2025中小企業白書
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中小企業白書
小規模企業白書
(上)
新たな時代に挑む
中小企業の経営力と成長戦略
2025年版
中小企業庁編
2025年版
中小企業白書
小規模企業白書
上
新たな時代に挑む中小企業の経営力と成長戦略
中小企業庁 編
この「中小企業白書 小規模企業白書 2025年版」は、
- ・中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第11条第1項の規定に基づく令和6年度の中小企業の動向及び講じた施策並びに同条第2項の規定に基づく令和7年度において講じようとする中小企業施策
- ・小規模企業振興基本法(平成26年法律第94号)第12条第1項の規定に基づく令和6年度の小規模企業の動向及び講じた施策並びに同条第2項の規定に基づく令和7年度において講じようとする小規模企業施策
について、令和7年4月25日に閣議決定を経て国会に提出した年次報告に、新たにデータ、コラム、付属統計資料等を追加して編さんしたものである。
「中小企業白書・小規模企業白書」の発刊に寄せて
はじめに、今般の米国による関税措置をはじめとした広範な貿易制限措置は、中小企業・小規模事業者の皆様を含め、日本経済に大きな影響を及ぼしかねないものであります。皆様のご懸念・ご不安を払しょくできるよう、中小企業・小規模事業者の皆様への適切な支援に万全を期してまいります。
さて、2024年は、実に33年ぶりとなる高水準の賃上げ、100兆円を超える設備投資など、日本の経済に明るい兆しが現れ始めた年であります。2025年の日本経済は、まさにこうした「潮目の変化」を継続させ、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」へ移行できるか否かの分岐点にあります。成長型経済への移行を確実なものとするためには、中小企業・小規模事業者の皆様の更なる成長・発展が極めて重要であり、政府としても大いに期待しているところです。
一方で、依然として中小企業・小規模事業者にとって厳しい環境が続いていることは事実です。円安・物価高の継続、金利の上昇、構造的な人手不足等、乗り越えなければならない課題は数多く存在します。しかし、こうした状況は、従来のやり方に固執しているだけでは打開することはできません。むしろこれを契機として、自社の状況と目指すべき方向性を改めて見つめ直し、思い切ったアクションを起こすことが必要です。コストカット戦略から脱却して付加価値向上を重視する戦略に転換する。そのために積極的な投資に着手する。こうした「攻め」の経営へのシフトに向けて適切な対策を打っていくことが期待されます。
今回の白書では、このような力を経営者の「経営力」と位置づけ、ここに焦点を当てて執筆しました。実際に思い切った改革を断行し、成長・発展を実現した企業の事例も多数掲載しています。この白書が、中小企業・小規模事業者はもちろん、地方公共団体や支援機関等の幅広い方々に発見をもたらすことを期待しています。政府としても引き続き、賃上げ原資の確保に向けたサプライチェーン全体での価格転嫁の定着や、「稼ぐ力」の向上に向けた生産性向上支援といった対策に全力で取り組んでまいります。
結びになりますが、中小企業・小規模事業者の皆様が、足下の課題を乗り越え、成長・発展を実現することを祈念して、私の挨拶とさせていただきます。
令和7年6月
経済産業大臣
武藤容治
2025年版 中小企業白書の概要
円安・物価高の継続、「金利のある世界」の到来による生産・投資コスト増、構造的な人手不足など、中小企業・小規模事業者が直面する状況は依然として厳しい。一方で、地域経済・日本経済全体の成長の観点から、雇用の7割を占める中小企業・小規模事業者への期待は大きい。激変する環境において、経営課題を乗り越え成長を遂げるためには、自社の現状を把握して適切な対策を打つ経営力が求められる。
第1部 令和6年度(2024年度)の中小企業の動向
- ・令和6年度は円安・物価高が継続し、30年ぶりに「金利のある世界」が到来した。輸出より輸入比率が高く、借入金依存度も高い中小企業にとっては、これらは利益下押しのリスクとなり得るため、中小企業・小規模事業者が直面する状況は依然として厳しい。
- ・また、2024年の春季労使交渉では、約30年ぶりの賃上げ率を達成するも、大企業との差は拡大した。中小企業の労働分配率は既に8割近く、更なる賃上げ余力も厳しい状況である。一方で、人手不足は依然として深刻な状況にあるため、人材確保のために業績改善を伴わない賃上げも増えている。
- ・こうした状況を踏まえれば、コストカット戦略は限界を迎えている。物価、金利、人件費の上昇と、構造的な人手不足に直面する今こそ、積極的な設備投資・デジタル化と、適切な価格設定・価格転嫁の推進により、付加価値や労働生産性を高める経営に転換していくことが必要である。
第2部 新たな時代に挑む中小企業の経営力と成長戦略
- ・中小企業がこうした課題を乗り越え、成長を遂げるに当たっては、経営者の「経営力」の向上が重要である。本書では、「経営力」について、個人特性面(他の経営者との交流、学び直しに取り組む経営者の成長意欲)、戦略策定面(経営計画の策定・実行、差別化や市場環境を意識した適切な価格設定等)、組織人材面(経営理念や業績等の共有を重視するオープンな経営や従業員を大切にする人材経営)の観点から分析を行い、経営力の向上が業績向上や人材確保に向けて重要であることを示した。
- ・その上で、中小企業が成長を遂げるには、売上高規模ごとに異なる「成長の壁」の打破が必要となる。成長の加速段階では、経営者にないスキルを持つ補完型人材の確保や、経営者の職務権限分散による一人経営体制の克服等が重要と考えられ、売上高100億円以上では、拡大する組織を経営者と共に支える経営人材やDX人材の確保等が重要と考えられる。さらに、企業規模拡大には、積極的なM&Aやイノベーション、海外展開の推進が有効な手段であることを示した。
第1部 令和6年度(2024年度)の中小企業の動向 I-1
第1章 中小企業・小規模事業者の動向 I-2
| 第1節 | 我が国経済の動向と中小企業・小規模事業者の業況 | I-2 |
| 第2節 | 金利・為替・物価 | I-13 |
| 第3節 | 雇用環境・労働移動 | I-46 |
| 第4節 | 労働生産性・設備投資 | I-56 |
| 第5節 | デジタル化・DX | I-68 |
| 第6節 | 価格転嫁 | I-80 |
| 第7節 | 賃金・賃上げ | I-97 |
| 第8節 | 開業、倒産・休廃業 | I-106 |
| 第9節 | 事業承継 | I-114 |
第2章 中小企業・小規模事業者に求められる共通価値 I-129
| 第1節 | 脱炭素化・GX | I-129 |
| 第2節 | サーキュラーエコノミー(循環経済) | I-139 |
| 第3節 | 経済安全保障・人権尊重 | I-144 |
| 第4節 | BCP | I-152 |
第2部 新たな時代に挑む中小企業の経営力と成長戦略 II-1
第1章 中小企業の経営力 II-2
| 第1節 | 経営戦略 | II-2 |
| 第2節 | 経営の透明性・開放性 | II-24 |
| 第3節 | ガバナンス体制 | II-39 |
| 第4節 | 人材戦略 | II-51 |
| 第5節 | 経営者の成長意欲 | II-80 |
| 第6節 | まとめ | II-107 |
第2章 スケールアップへの挑戦 II-108
| 第1節 | 成長する中小企業が我が国経済に与える影響 | II-108 |
| 第2節 | スケールアップに向けた課題 | II-127 |
| 第3節 | スケールアップに向けた投資行動と海外展開 | II-164 |
| 第4節 | まとめ | II-240 |
令和6年度において講じた中小企業施策
..... 中小企業庁ウェブサイトにて掲載
令和7年度において講じようとする中小企業施策
..... 中小企業庁ウェブサイトにて掲載
参考文献 ..... Ⅲ-1
付属統計資料 ..... Ⅲ-7
図表索引 ..... Ⅲ-39
【中小企業庁ウェブサイト】
2025年版中小企業白書
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/PDF/chusho.html
2025年版小規模企業白書
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/PDF/shokibo.html
その他更新情報があれば、中小企業庁ウェブサイトにて掲載していますのでご参照ください。
本書で取り上げた事例一覧
第1部 令和6年度(2024年度)の中小企業の動向
第1章 中小企業・小規模事業者の動向
| 事例 | 企業名等 | 所在地 | 事例 | 掲載ページ |
|---|---|---|---|---|
| 1-1-1 | タヤマスタジオ株式会社 | 岩手県盛岡市 | 伝統工芸の技術継承と人材育成にAIを活用している企業 | I-66 |
| 1-1-2 | 株式会社行田製作所 | 群馬県高崎市 | 積極的な省力化投資で作業工程を自動化し、業務効率化と賃上げを実現した企業 | I-67 |
| 1-1-3 | 株式会社倉岡紙工 | 熊本県嘉島町 | 「身の丈DX」により、生産性向上と職場環境改善を実現した企業 | I-74 |
| 1-1-4 | 株式会社広島メタルワーク | 広島県広島市 | 同じ課題を持つ他社と連携したDXで生産性向上を実現した企業 | I-75 |
| 1-1-5 | ウエックス株式会社 | 新潟県上越市 | ニッチ分野で研究開発と競争力強化に努め、価格決定力を高めている企業 | I-84 |
| 1-1-6 | 有限会社岡三屋 | 福井県若狭町 | 自社の強みを踏まえた適正な価格設定により、業績改善を実現した企業 | I-85 |
| 1-1-7 | 株式会社千成亭風土 | 滋賀県彦根市 | 省力化投資や価格転嫁により利益体質を強化し、賃上げを実現している企業 | I-105 |
| 1-1-8 | 株式会社奈留島運輸 | 長崎県五島市 | 島民の生活を守るために「サプライチェーン事業承継」に取り組んだ企業 | I-117 |
第2章 中小企業・小規模事業者に求められる共通価値
| 事例 | 企業名等 | 所在地 | 事例 | 掲載ページ |
|---|---|---|---|---|
| 1-2-1 | 備前発条株式会社 | 岡山県岡山市 | GXへの自発的な取組で、従業員の意識向上と事業拡大を実現している企業 | I-135 |
| 1-2-2 | 株式会社山翠舎 | 長野県長野市 | 古木と古民家を活用した新規事業でサーキュラーエコノミー実現に取り組む企業 | I-143 |
| 1-2-3 | 株式会社光響 | 京都府京都市 | 経済安全保障対策としての輸出管理により事業基盤の強化に取り組む企業 | I-150 |
| 1-2-4 | 雪ヶ谷化学工業株式会社 | 東京都品川区 | サプライチェーン上の人権侵害リスクに対処し、SDGs経営に取り組む企業 | I-151 |
| 1-2-5 | アイ・エム・ mamoru 株式会社 | 山形県真室川町 | BCP策定の取組を、災害対策だけでなく平時の事業強化にもつなげている企業 | I-156 |
第2部 新たな時代に挑む中小企業の経営力と成長戦略
第1章 中小企業の経営力
| 事例 | 企業名等 | 所在地 | 事例 | 掲載ページ |
|---|---|---|---|---|
| 2-1-1 | 松浪硝子工業株式会社 | 大阪府岸和田市 | 長期目線の経営計画を基にした人材戦略と事業展開に取り組む企業 | II-21 |
| 2-1-2 | 側島製罐株式会社 | 愛知県大治町 | MVV策定や人事制度改革などを通じ、組織活性化を実現した企業 | II-30 |
| 2-1-3 | 株式会社食研 | 千葉県千葉市 | 経営状態を可視化できる管理体制を構築し、成長している企業 | II-35 |
| 2-1-4 | 株式会社ダッドウェイ | 神奈川県横浜市 | ガバナンス体制を強化し経営の透明性向上に取り組む企業 | II-50 |
| 2-1-5 | 四国情報管理センター株式会社 | 高知県高知市 | 人材育成と社会課題解決への取組により、人材を確保し成長している企業 | II-77 |
| 2-1-6 | サンユー技研工業株式会社 | 三重県津市 | 社員の人生背景に合わせた働き方改善で、人材確保と定着を実現している企業 | II-78 |
| 2-1-7 | スズキハイテック株式会社 | 山形県山形市 | 外国人材と共にイノベーションを起こし、成長している企業 | II-79 |
| 2-1-8 | 株式会社内池建設 | 北海道室蘭市 | 経営者の積極的なリスクリングにより成長している企業 | II-88 |
| 2-1-9 | 梅乃宿酒造株式会社 | 奈良県葛城市 | 経営者ネットワークでの意識変革を成長につなげている企業 | II-99 |
| 2-1-10 | マツモトプレシジョン株式会社 | 福島県喜多方市 | 事業承継を機に、DXによる大胆な生産性向上とGXに取り組んだ企業 | II-106 |
第2章 スケールアップへの挑戦
| 事例 | 企業名等 | 所在地 | 事例 | 掲載ページ |
|---|---|---|---|---|
| 2-2-1 | 株式会社西村製作所 | 京都府京都市 | 優秀な技術人材を育て上げ、スケールアップを実現した企業 | II-114 |
| 2-2-2 | 株式会社ササキ | 山梨県韮崎市 | “人”重視の投資で地域経済を牽引し、良質な雇用を生み出す企業 | II-115 |
| 2-2-3 | 株式会社新原産業 | 宮崎県都城市 | 支援機関を有効活用し、経営課題を乗り越え成長する企業 | II-163 |
| 2-2-4 | マルオリグループ株式会社 | 石川県中能登町 | 積極的なM&Aにより買収先を成長させながら、グループを拡大する企業 | II-186 |
| 2-2-5 | サンコー防災株式会社 | 静岡県富士市 | 従業員との対話を通じた経営統合の取組によりM&Aを成功に導いた企業 | II-195 |
| 2-2-6 | 株式会社浜野製作所 | 東京都墨田区 | 産学官連携で技術・ノウハウを磨き、事業の高度化を実現し成長している企業 | II-215 |
| 2-2-7 | 八幡化成株式会社 | 岐阜県郡上市 | 知財戦略により自社製品の保護と脱価格競争を実現し、成長する企業 | II-225 |
| 2-2-8 | 株式会社ひのでや | 茨城県かすみかうら市 | 海外ニーズをつかんだ輸出拡大と、地元農家との共存共栄により成長する企業 | II-239 |
本書で取り上げたコラム一覧
第1部 令和6年度(2024年度)の中小企業の動向
第1章 中小企業・小規模事業者の動向
| コラム | タイトル | 掲載ページ |
|---|---|---|
| 1-1-1 | 外部環境の変化がもたらし得る企業収益への影響 | I-17 |
| 1-1-2 | 中小企業金融の現状 | I-21 |
| 1-1-3 | ローカルベンチマークの活用 | I-25 |
| 1-1-4 | 新規輸出1万者支援プログラム | I-30 |
| 1-1-5 | テキストデータを活用した景気判断と消費動向変化の把握 | I-36 |
| 1-1-6 | 中小企業における生産性向上に向けた投資支援策 (IT導入補助金、省力化投資補助金) | I-76 |
| 1-1-7 | 企業規模別・業種別に見た価格転嫁の状況 | I-86 |
| 1-1-8 | パートナーシップ構築宣言に関する取組状況 | I-92 |
| 1-1-9 | 団体協約制度 | I-96 |
| 1-1-10 | 事業承継税制 | I-118 |
| 1-1-11 | アトツギ甲子園と後継者支援の裾野拡大 | I-120 |
| 1-1-12 | サプライチェーン事業承継 | I-124 |
第2章 中小企業・小規模事業者に求められる共通価値
| コラム | タイトル | 掲載ページ |
|---|---|---|
| 1-2-1 | 中小企業のGXに向けた支援の取組 | I-136 |
第2部 新たな時代に挑む中小企業の経営力と成長戦略
第1章 中小企業の経営力
| コラム | タイトル | 掲載ページ |
|---|---|---|
| 2-1-1 | 地域経済分析システム(RESAS)を活用した自社の経営環境分析 | II-22 |
| 2-1-2 | 中小企業診断士 | II-89 |
第2章 スケールアップへの挑戦
| コラム | タイトル | 掲載ページ |
|---|---|---|
| 2-2-1 | 中小企業の成長経営の実現に向けて | II-116 |
| 2-2-2 | 「社員に愛される会社」からひもとく地域の良質な雇用 | II-121 |
| 2-2-3 | 地域の良質な雇用の創出に向けた産業立地の推進 | II-124 |
| 2-2-4 | 中小M & A市場における健全な環境整備に向けた取組 | II-196 |
| 2-2-5 | 中小企業におけるPMI促進に向けた取組 | II-199 |
| 2-2-6 | オープンファクトリーと万博がもたらす、ものづくりの未来 | II-216 |
| 2-2-7 | 技術流出防止対策について | II-226 |
本文を読む前に(凡例)
- 1 この報告の中で、中小企業とは、中小企業基本法第2条第1項の規定に基づく「中小企業者」をいう。また、小規模事業者とは、同法同条第5項の規定に基づく「小規模企業者」をいう。さらに、中規模企業とは、「小規模企業者」以外の「中小企業者」をいう。「中小企業者」、「小規模企業者」については、具体的には、下記に該当するものを指す。なお、集計・分析において具体的な定義を示している場合等は、その定義に準ずる。
| 業 種 | 中小企業者(下記のいずれかを満たすこと) | うち小規模企業者 | |
|---|---|---|---|
| 資本金 | 常時雇用する従業員 | 常時雇用する従業員 | |
|
①製造業・建設業・運輸業
その他の業種(②~④を除く)※ |
3億円以下 | 300人以下 | 20人以下 |
| ②卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 | 5人以下 |
| ③サービス業※ | 5,000万円以下 | 100人以下 | 5人以下 |
| ④小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 | 5人以下 |
※下記業種については、中小企業関連立法における政令に基づき、以下のとおり定めている。
【中小企業者】
-
①製造業
- ・ゴム製品製造業(一部を除く):資本金3億円以下又は常時雇用する従業員900人以下
-
③サービス業
- ・ソフトウェア業・情報処理サービス業:資本金3億円以下又は常時雇用する従業員300人以下
- ・旅館業:資本金5,000万円以下又は常時雇用する従業員200人以下
【小規模企業者】
-
③サービス業
- ・宿泊業・娯楽業:常時雇用する従業員20人以下
- 2 この報告では、一般に公表されている政府の統計資料を再編加工したものや民間諸機関の調査等を主として利用した。資料の出所、算出方法、注意事項等についてはそれぞれの使用箇所に明記してある。なお、この報告でいう「再編加工」とは、各統計調査の調査票情報等を中小企業庁で独自集計した結果であることを示す。
- 3 中小企業・小規模事業者に関する統計を見ていく場合、中小企業・小規模事業者は大企業と異なり、指標によっては企業間のばらつきが大きいため、平均値は中小企業・小規模事業者の標準的な姿を代表していない可能性があることに注意を要する。
- 4 各統計値については、過去分にわたって更新される可能性がある。
- 5 この報告に掲載した我が国の地図は、我が国の領土を包括的に示すものではない。
中小企業白書・小規模企業白書について
- ・中小企業白書は、中小企業基本法に基づく年次報告。2025年版で62回目。
- ・小規模企業白書は、小規模企業振興基本法に基づく年次報告。2025年版で11回目。
● 中小企業基本法(抄)
(年次報告等)
第11条 政府は、毎年、国会に、中小企業の動向及び政府が中小企業に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
2 政府は、毎年、中小企業政策審議会の意見を聴いて、前項の報告に係る中小企業の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。
● 小規模企業振興基本法(抄)
(年次報告等)
第12条 政府は、毎年、国会に、小規模企業の動向及び政府が小規模企業の振興に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
2 政府は、毎年、中小企業政策審議会の意見を聴いて、前項の報告に係る小規模企業の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。
● 中小企業・小規模事業者の企業数、従業者数、付加価値額
企業数(2021年)
中小企業は全企業の約99.7%
| 企業区分 | 企業数 | 割合 |
|---|---|---|
| 中小企業 | 約336.5万 | 99.7% |
| 大企業 | 約1.0万 | 0.3% |
うち小規模事業者 約285.3万 (84.5%)
従業者数(2021年)
中小企業の従業者数は全体の約70%
| 企業区分 | 従業者数 | 割合 |
|---|---|---|
| 大企業 | 約1,438万 | 30.3% |
| 中小企業 | 約3,310万 | 69.7% |
うち小規模事業者 約973万 (20.5%)
付加価値額(2020年)
中小企業の付加価値額は全体の約56%
| 企業区分 | 付加価値額 | 割合 |
|---|---|---|
| 大企業 | 約110.1兆円 | 44.0% |
| 中小企業 | 約140.1兆円 | 56.0% |
うち小規模事業者 約36.4兆円 (14.5%)
資料:総務省・経済産業省「令和3年経済センサス-活動調査」再編加工
第1部 2025 White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan
令和6年度(2024年度)の
中小企業の動向
The graphic consists of several 3D cubes of different sizes and orientations, rendered in shades of blue and white. A network of thin white lines connects some of the cubes, with small white dots at the intersections and along the lines. The background is a solid light blue color.
中小企業・小規模事業者の動向
第1部では、我が国経済の動向について概観するとともに、中小企業・小規模事業者 1 の動向及び中小企業・小規模事業者を取り巻く経営環境について確認する。
第1節 我が国経済の動向と中小企業・小規模事業者の業況
始めに、我が国経済の動向について確認する。実質GDP成長率の推移(年間)を見ると、2024年の前年比成長率は0.1%となり、2023年の成長率を下回った。2024年の動きについて見ると、第1四半期は「輸出」の減少などによりマイナス
であるものの、それ以降は、「民間最終消費支出」や「輸出」等の増加が寄与し、第2四半期から第4四半期にかけて3四半期連続で前期比プラスとなっている(第1-1-1図)。
第1-1-1図 実質GDP成長率の推移
①実質GDP成長率の推移(年間)
(前年比, %)
②実質GDP成長率の推移(四半期)
(前期比, %)
資料:内閣府「国民経済計算」
(注) 1. 2015暦年連鎖価格方式。
2. 数値は、「2024年10-12月期1次速報値」(2025年2月17日公表)による。
1 原則として、本白書における中小企業とは、中小企業基本法第2条第1項の規定に基づく「中小企業者」をいう。また、小規模事業者とは、同法同条第5項の規定に基づく「小規模事業者」をいう。さらに、中規模企業とは、「小規模事業者」以外の「中小企業者」をいう。集計・分析において具体的な定義を示している場合等は、その定義に準ずる。
経済産業省「鉱工業生産指数」を用いて、鉱工業の生産活動の状況を見ると、2020年4月には大幅な落ち込みとなった一方で、2020年9月頃
に回復し、足下では緩やかな低下傾向にある(第1-1-2図)。
第1-1-2図 鉱工業生産指数の推移
| 年/月 | 指数 (2020年=100) |
|---|---|
| 18/01 | 112 |
| 19/01 | 114 |
| 20/01 | 108 |
| 20/04 | 87 |
| 21/01 | 106 |
| 21/09 | 109 |
| 22/01 | 105 |
| 23/01 | 105 |
| 24/01 | 97 |
| 25/01 | 100.5 |
資料:経済産業省「鉱工業生産指数」
(注) 指数値は、「2025年1月速報」(2025年2月28日公表)による。
第1節
第2節
第3節
第4節
第5節
第6節
第7節
第8節
第9節
経済産業省「第3次産業活動指数」を用いて、非製造業や広義のサービス業などの第3次産業に属する対個人サービス・対事業所サービスの活動指数の推移を見ると、対個人を中心に2020年5
月頃に大きく落ち込んだのち、2021年から緩やかに上昇しているが、2024年においてはおおむね横ばいとなっている(第1-1-3図)。
第1-1-3図 第3次産業活動指数の推移
(季節調整済指数、2015年=100)
| 年/月 | 第3次産業総合 | 広義対個人サービス | 広義対事業所サービス |
|---|---|---|---|
| 24/12 | 101.9 | 101.6 | 102.3 |
— 第3次産業総合 — 広義対個人サービス — 広義対事業所サービス
資料:経済産業省「第3次産業活動指数」
(注) 指数値は、「2024年12月分」(2025年2月17日公表)による。
経済産業省「商業動態統計調査」を用いて、消費の動向を供給側から見ると、2020年3月から5月にかけて、卸売業、小売業共に大幅に低下し
たが、以降は足下にかけて緩やかな上昇傾向にある(第1-1-4図)。
第1-1-4図 商業販売額指数の推移
| 年/月 | 卸売業計 (Index) | 小売業計 (Index) |
|---|---|---|
| 19/01 | ~115 | ~103 |
| 20/01 | ~108 | ~103 |
| 20/07 | ~90 | ~90 |
| 21/01 | ~105 | ~102 |
| 21/07 | ~108 | ~102 |
| 22/01 | ~112 | ~103 |
| 22/07 | ~116 | ~105 |
| 23/01 | ~114 | ~108 |
| 23/07 | ~116 | ~111 |
| 24/01 | ~113 | ~110 |
| 24/07 | ~120 | ~114 |
| 24/12 | 120.3 | 114.1 |
資料:経済産業省「商業動態統計調査」
(注)指数値は、「2024年12月分」(2025年2月17日公表)による。
第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 第6節 第7節 第8節 第9節
財務省「貿易統計」を用いて、国・地域別の輸出入数量の推移を見ていく。輸出数量指数の推移を見ると、足下では「米国」、「EU」が大きく上昇していることが見て取れる(第1-1-5図)。
輸入数量指数の推移を見ると、「米国」は
2020年の水準を下回る推移が続いているほか、「EU」は2024年1月及び11月に大きな落ち込みが見られた。2024年12月は、いずれの地域も回復している(第1-1-6図)。
第1-1-5図 輸出数量指数の推移(国・地域別)
(季節調整値、2020年=100)
The chart displays the output quantity index from January 2019 to December 2024. The y-axis represents the index value (2020=100), ranging from 60 to 140. The x-axis shows dates from 19/01 to 24/12. Four lines are plotted: Total (blue), USA (orange), EU (red), and Asia (green). All lines show a sharp decline in early 2020, with the USA (orange) reaching a low of approximately 65. Recovery begins in mid-2020. In 2024, the USA (orange) and EU (red) show significant peaks, reaching approximately 130 and 125 respectively. The Asia (green) line remains relatively stable, fluctuating around 100.
資料:財務省「貿易統計」
(注)1.内閣府による季節調整値。指数値は「2024年12月分」(2025年1月30日公表)による。
2.「EU」については、英国を除く27か国ベース。
第1-1-6図 輸入数量指数の推移(国・地域別)
(季節調整値、2020年 = 100)
140
130
120
110
100
90
80
70
60
19/01 20/01 21/01 22/01 23/01 24/01 24/12
(年/月)
— 総合 — 米国 — EU — アジア
資料:財務省「貿易統計」
- (注)1.内閣府による季節調整値。指数値は「2024年12月分」(2025年1月30日公表)による。
- 2.「EU」については、英国を除く27か国ベース。
第1節
第2節
第3節
第4節
第5節
第6節
第7節
第8節
第9節
次に、中小企業・小規模事業者の業況について確認する。
第1-1-7図は、「中小企業景況調査」(以下、「景況調査」という。)を用いて、企業規模別に業況判断DIの推移を見たものである。これを見ると、2020年は新型コロナウイルス感染症(以下、「感
染症」という。)の感染拡大により大きく落ち込んだものの、2023年第2四半期における「中小企業」の景況認識は、1994年以降最高水準を記録した。一方で、足下では回復に足踏みの傾向が続いている。
第1-1-7図 業況判断DIの推移(企業規模別)
資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」
(注)景況調査の業況判断DIは、前年同期と比べて、業況が「好転」と答えた企業の割合(%)から、「悪化」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。
第1-1-8図は、景況調査を用いて、業種別に業況判断DIの推移を見たものである。これを見ると、2020年第2四半期にいずれの業種も大きく業況判断が悪化しただが、その後は回復傾向にあった。
た。この傾向は2023年上半年期においては継続していたものの、2024年以降は、いずれの業種も回復に足踏みの傾向が続いている。
第1-1-8図 業況判断DIの推移(業種別)
(DI, %pt)
(前年同期比)
(年期)
— 建設業 — 製造業 — 卸売業 — 小売業 — サービス業
資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」
(注)景況調査の業況判断DIは、前年同期と比べて、業況が「好転」と答えた企業の割合(%)から、「悪化」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。
第1-1-9図は、企業規模別に売上高・経常利益の推移を見たものである。これを見ると、「売上高(中小企業)」は、2021年第1四半期を底に増加傾向にあり、足下は増加幅に縮小が見られるものの、引き続き増加傾向が続いている。また、「経常利益(中小企業)」は、2020年第3四半期を底に増加傾向で推移しているが、大企業と比較して伸び悩んでおり、その差は拡大傾向にある。
また、中小企業における経常利益の推移を業種
別に見ると傾向の違いが見て取れる。2010年からの推移を見ると、「建設業」などは上昇傾向で推移している一方、「宿泊業、飲食サービス業」などでは伸び悩んでいることが分かる(第1-1-10図)。
第1-1-11図を見ると、「小規模企業」では、売上高、経常利益共に足下において緩やかな増加傾向であることが見て取れる。
| 項目 | 2024Q1 (年) |
|---|---|
| 売上高(大企業) (兆円・後方4四半期移動平均) | 155.4 |
| 売上高(中小企業) (兆円・後方4四半期移動平均) | 137.5 |
| 経常利益(大企業) (兆円・後方4四半期移動平均) | 17.5 |
| 経常利益(中小企業) (兆円・後方4四半期移動平均) | 6.5 |
資料:財務省「法人企業統計調査季報」
(注) 1.ここでの大企業とは資本金10億円以上の企業、中小企業とは資本金1千万円以上1億円未満の企業とする。
2.金融業、保険業は含まない。
第1-1-10図 中小企業における経常利益の推移(業種別)
(億円・後方4四半期移動平均)
(年期)
製造業
情報通信業
卸売業
不動産業、物品賃貸業
生活関連サービス業、娯楽業
建設業
運輸業、郵便業
小売業
宿泊業、飲食サービス業
学術研究、専門・技術サービス業
資料:財務省「法人企業統計調査季報」
(注) 資本金1千万円以上1億円未満の企業について集計したもの。
第1節
第2節
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第9節
第1-1-11図 売上高・経常利益の推移(企業規模別、小規模企業を含む)
(1) 売上高
| 年度 | 大企業 | 中規模企業 | 小規模企業 |
|---|---|---|---|
| 1994 | 500.0 | 520.0 | 190.0 |
| 1995 | 530.0 | 560.0 | 170.0 |
| 1996 | 540.0 | 520.0 | 150.0 |
| 1997 | 510.0 | 580.0 | 120.0 |
| 1998 | 500.0 | 550.0 | 100.0 |
| 1999 | 500.0 | 550.0 | 110.0 |
| 2000 | 520.0 | 580.0 | 90.0 |
| 2001 | 510.0 | 520.0 | 90.0 |
| 2002 | 500.0 | 520.0 | 90.0 |
| 2003 | 510.0 | 530.0 | 100.0 |
| 2004 | 530.0 | 550.0 | 110.0 |
| 2005 | 560.0 | 590.0 | 110.0 |
| 2006 | 580.0 | 580.0 | 120.0 |
| 2007 | 610.0 | 600.0 | 110.0 |
| 2008 | 580.0 | 550.0 | 110.0 |
| 2009 | 510.0 | 510.0 | 110.0 |
| 2010 | 530.0 | 520.0 | 100.0 |
| 2011 | 530.0 | 480.0 | 110.0 |
| 2012 | 530.0 | 490.0 | 110.0 |
| 2013 | 550.0 | 500.0 | 110.0 |
| 2014 | 560.0 | 500.0 | 120.0 |
| 2015 | 540.0 | 500.0 | 120.0 |
| 2016 | 530.0 | 520.0 | 120.0 |
| 2017 | 570.0 | 540.0 | 130.0 |
| 2018 | 580.0 | 510.0 | 130.0 |
| 2019 | 560.0 | 500.0 | 120.0 |
| 2020 | 510.0 | 460.0 | 120.0 |
| 2021 | 530.0 | 500.0 | 120.0 |
| 2022 | 590.0 | 530.0 | 140.0 |
| 2023 | 600.4 | 540.4 | 162.6 |
(2) 経常利益
| 年度 | 大企業 | 中規模企業 | 小規模企業 |
|---|---|---|---|
| 1994 | 11.0 | 7.0 | 0.0 |
| 1995 | 13.0 | 8.0 | 0.0 |
| 1996 | 15.0 | 8.0 | 0.0 |
| 1997 | 14.0 | 8.0 | 0.0 |
| 1998 | 12.0 | 5.0 | 0.0 |
| 1999 | 14.0 | 7.0 | 0.0 |
| 2000 | 18.0 | 10.0 | 0.0 |
| 2001 | 14.0 | 8.0 | 0.0 |
| 2002 | 16.0 | 8.0 | 0.0 |
| 2003 | 20.0 | 8.0 | 0.0 |
| 2004 | 25.0 | 10.0 | 0.0 |
| 2005 | 28.0 | 13.0 | 0.0 |
| 2006 | 32.0 | 12.0 | 0.0 |
| 2007 | 32.0 | 12.0 | 0.0 |
| 2008 | 18.0 | 10.0 | 0.0 |
| 2009 | 17.0 | 8.0 | 0.0 |
| 2010 | 25.0 | 10.0 | 0.0 |
| 2011 | 23.0 | 11.0 | 0.0 |
| 2012 | 25.0 | 12.0 | 0.0 |
| 2013 | 34.0 | 14.0 | 0.0 |
| 2014 | 37.0 | 14.0 | 0.0 |
| 2015 | 40.0 | 15.0 | 0.0 |
| 2016 | 42.0 | 17.0 | 0.0 |
| 2017 | 45.0 | 20.0 | 0.0 |
| 2018 | 47.0 | 18.0 | 0.0 |
| 2019 | 40.0 | 15.0 | 0.0 |
| 2020 | 36.0 | 12.0 | 0.0 |
| 2021 | 48.0 | 17.0 | 0.0 |
| 2022 | 55.0 | 18.0 | 0.0 |
| 2023 | 64.0 | 20.0 | 5.4 |
資料:財務省「法人企業統計調査年報」
(注)1.ここでの大企業とは資本金10億円以上、中規模企業とは資本金1千万円以上1億円未満、小規模企業とは資本金1千万円未満の企業とする。
2.金融業、保険業は含まない。
第2節 金利・為替・物価
本節では、中小企業・小規模事業者を取り巻く外部環境として、金利・為替・物価の動向について確認する。
第1-1-12図は、企業規模別の貸出残高の推移
を見たものである。「大企業」、「中小企業」向けの貸出残高は共に、昨年に続いて増加傾向にあることが見て取れる。
第1-1-12図 貸出残高の推移(企業規模別)
| 年 | 大企業 (兆円) | 中小企業 (兆円) | 合計 (兆円) |
|---|---|---|---|
| 2024年第4四半期 | 141.1 | 356.2 | 497.3 |
資料:日本銀行「貸出先別貸出金」ほかより中小企業庁作成
(注) 1.「大企業」の貸出残高は、「国内銀行銀行勘定」、「国内銀行信託勘定」における大企業向け貸出残高の合計。なお、ここでの大企業は、資本金10億円以上、かつ常用従業員300人(卸売業、サービス業は100人、小売業、飲食店は50人)超の企業を指す。
2.「中小企業」の貸出残高は、「国内銀行銀行勘定」、「国内銀行信託勘定」における中小企業向け貸出残高及び信用金庫・信用組合・(株)商工組合中央金庫・(株)日本政策金融公庫(中小企業事業・国民生活事業)の貸出残高の合計。なお、「国内銀行銀行勘定」、「国内銀行信託勘定」における「中小企業」は、資本金3億円(卸売業は1億円、小売業、飲食店、サービス業は50百万円)以下、又は常用従業員300人(卸売業、サービス業は100人、小売業、飲食店は50人)以下の企業を指す。詳細は付属統計資料14表を参照。
第1-1-13図は、企業規模別の借入金利水準判断DI及び基準金利の推移を見たものである。直近2024年第4四半期における借入金利水準判断DIは、前回、政策金利の引上げが行われた2007
年以來の水準となっている。大企業、中小企業共に金利の上昇を実感している企業が増加していることが分かる。
第1-1-13図 借入金利水準判断DI(企業規模別)、基準金利の推移
資料:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」「基準割引率および基準貸付利率」
(注)1.ここでの大企業は資本金10億円以上、中小企業は資本金2千万円以上1億円未満の企業とする。なお、2003年第4四半期以前の調査においては、大企業は常用雇用者数1,000人以上、中小企業は常用雇用者数50~299人の企業とする。
2.「借入金利水準判断DI」は、借入金利水準について、「上昇」と答えた企業の割合から「低下」と答えた企業の割合を引いたもの。
第1-1-14図は、企業規模別及び業種別に借入金依存度を見たものである。「全産業」を見ると「中小企業」は「大企業」と比較して借入金依存度が高い。業種別に見ると、特に「宿泊業、飲食サービス業」では企業規模間の差が大きく、「中
小企業」では7割を超えている。借入金利の上昇は支払利息の増加による経常利益の下押しにつながり、借入金依存度が高い業種では特にその影響が大きいと考えられる。
第1-1-14図 借入金依存度(企業規模別・業種別)
| 業種 | 大企業 (%) | 中小企業 (%) |
|---|---|---|
| 全産業 | 33 | 38 |
| 製造業 | 20 | 33 |
| 非製造業 | 39 | 39 |
| 建設業 | 14 | 32 |
| 情報通信業 | 28 | 21 |
| 運輸業、郵便業 | 43 | 38 |
| 卸売業・小売業 | 24 | 32 |
| 不動産業、物品賃貸業 | 55 | 50 |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 25 | 71 |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 23 | 38 |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 46 | 38 |
資料:財務省「法人企業統計調査年報」
(注) 1. ここでの大企業とは資本金10億円以上、中小企業とは資本金1億円未満の企業とする。
2. 金融業・保険業を含まない。
3. 借入金依存度 = (金融機関借入金 + その他の借入金 + 社債) ÷ 負債・純資産合計。
4. 2023年度の実績について集計したもの。
第1-1-15図は、企業規模別に有利子資産利子率及び有利子負債利子率を見たものである。金利の上昇局面では、支払利息の増加による利益の下押しだけでなく、資産運用において受取利息等の
増加がもたらす恩恵もあると考えられる。しかし、「中小企業」は「大企業」に比べて有利子資産保有量が少なく、その恩恵を受けにくい構造にあるといえる。
第1-1-15図 有利子資産利子率・有利子負債利子率(企業規模別)
(1)有利子資産利子率
| 年度 | 大企業 (%) | 中小企業 (%) |
|---|---|---|
| 1985 | 8.0 | 4.8 |
| 1987 | 6.0 | 4.0 |
| 1989 | 6.0 | 4.0 |
| 1991 | 7.5 | 5.5 |
| 1993 | 4.0 | 3.5 |
| 1995 | 3.0 | 2.0 |
| 1997 | 2.5 | 1.0 |
| 1999 | 3.0 | 1.0 |
| 2001 | 2.0 | 0.8 |
| 2003 | 2.0 | 0.8 |
| 2005 | 2.5 | 0.8 |
| 2007 | 3.5 | 1.0 |
| 2009 | 2.5 | 0.8 |
| 2011 | 2.5 | 0.8 |
| 2013 | 2.5 | 0.8 |
| 2015 | 2.5 | 0.8 |
| 2017 | 3.5 | 0.8 |
| 2019 | 2.5 | 0.8 |
| 2021 | 2.5 | 0.8 |
| 2023 | 4.0 | 0.8 |
(2)有利子負債利子率
| 年度 | 大企業 (%) | 中小企業 (%) |
|---|---|---|
| 1985 | 7.0 | 6.5 |
| 1987 | 5.0 | 5.0 |
| 1989 | 5.0 | 5.0 |
| 1991 | 6.0 | 7.0 |
| 1993 | 4.0 | 4.0 |
| 1995 | 3.0 | 3.0 |
| 1997 | 2.5 | 2.0 |
| 1999 | 2.5 | 2.0 |
| 2001 | 2.0 | 2.0 |
| 2003 | 2.0 | 2.0 |
| 2005 | 1.8 | 1.8 |
| 2007 | 1.8 | 2.0 |
| 2009 | 1.5 | 1.8 |
| 2011 | 1.5 | 1.8 |
| 2013 | 1.2 | 1.5 |
| 2015 | 1.0 | 1.2 |
| 2017 | 1.0 | 1.2 |
| 2019 | 1.0 | 1.0 |
| 2021 | 0.8 | 1.0 |
| 2023 | 1.0 | 1.0 |
資料:財務省「法人企業統計調査季報」
(注)1.ここでの大企業とは資本金10億円以上、中小企業とは資本金1千万円以上1億円未満の企業とする。
2.金融業・保険業を含まない。
3.有利子資産利子率=受取利息等(配当金含む)÷(現金・預金+公社債+長期貸付金+株式)。
4.有利子負債利子率=支払利息等÷(金融機関借入金+その他の借入金+社債+受取手形割引残高(期首・期末平均))。
1-1-1
外部環境の変化がもたらす企業収益への影響
1. 分析の背景・目的
日本銀行は、2024年3月にマイナス金利政策の解除を決定し、同年7月には政策金利を0.25%に引き上げ、更に2025年1月には0.5%への引き上げを決定した。これにより、我が国経済は「金利のある世界」に回帰したといえる 2 。
政策金利の引き上げは借入金に対する支払利息の増加・収益圧迫につながり得る 3 。実際に第1-1-13図で確認したように、2024年第4四半期の借入金金利水準判断DIは2007年と同等の水準まで上昇し、多くの企業が金利の上昇を実感していることが分かる。このように、政策金利の上昇による影響としては、短期的には借入金金利の上昇を通じた支払利息の増加が目立つが、中長期的に見れば、インフレ下で価格を柔軟に設定しやすい環境において、製品・商品・サービスに掛けた分のコストや生み出した付加価値を価格に転嫁しやすくなることで、思い切った投資・イノベーションや生産性の向上を促し得ることも指摘されている 4 。
本コラムでは、政策金利の上昇が企業収益にどのような影響を与え得るかについて、様々な仮定を置きながら分析した。分析に当たっては、先行研究 5 に基づき、可能な限り推計方法を簡素化するとともに、企業規模別に算出することを目的とし、「金利のある世界」における中小企業・小規模事業者の収益を推計することを試みた 6 。
2. 分析の概要
本分析の概要は、以下のとおり。
(1) 推計対象期間:2024年度~2027年度
(2) 推計対象:下記の2通りの状況を仮定して推計し、比較した。
①「金利上昇」ケース:2027年度までに、政策金利が段階的に1.5%まで上昇した場合
②「金利据置き」ケース:2027年度まで政策金利が0.5%の据置き 7 であった場合
(3) 企業規模:法人企業統計調査の規模区分に基づき、下記のとおり分類した。
①大企業:資本金10億円以上の企業
②中規模企業:資本金1千万円以上1億円未満の企業
③小規模企業:資本金1千万円未満の企業
※本分析における「中小企業」は、②と③の合計を指す。
3. 分析における推計方法、仮定
本分析では、2023年度の実績 8 を基に「経常利益」が政策金利の変動などの外部環境変化によってどのように推移するかを推計した。本分析における経常利益の定義は以下のとおり。
2 2007年2月、日本銀行が政策金利の誘導目標を0.25%から0.5%に引き上げた。その後、2008年に段階的に0.10%まで引き下げられ、2016年にはマイナス金利政策が導入された。2024年の引き上げは2007年の引き上げ以来、17年ぶりとなる。なお、2007年のような一時的な引き上げにとどまらないとの見方もあり、そうした「金利のある世界」は約30年ぶりともいえる。
3 (株)帝国データバンクは「借入金金利が1%上昇すると企業の7%が赤字に陥る」という主旨の分析を発表している(『「マイナス金利解除」と金利上昇に伴う企業の借入利息負担試算』(2024年3月))。
4 (株)日経BP (2024)、(株)日経BP (2025)
5 服部・有田 (2024)
6 本分析で用いた主な資料は以下のとおり。服部直樹・有田賢太郎編著『【展望】金利のある世界-シミュレーションで描く日本経済・金融の未来図』、財務省「法人企業統計調査」、経済産業省「企業活動基本調査」、内閣府「国民経済計算」「中長期の経済財政に関する試算(令和7年1月17日経済財政諮問会議提出)」、日本銀行「基準割引率および基準貸付利率」「無担保コールO/N物レート(毎営業日)」「外国為替市況」ほか。
7 2025年1月、0.5%への追加引き上げが決定されたことを受けて、このように仮定した。
8 財務省「法人企業統計調査」
「経常利益」
各項目の推計方法・仮定については、以下のとおり。
| 売上高増加率 | |
| 人件費増加率 | 内閣府(2025)を基に「金利上昇」では「成長移行ケース」、「金利据置き」では「過去投影ケース」から引用 12 。 |
| 利息収支 | 「受取利息等 13 」 - 「支払利息等」 |
| 受取利息等 | 「有利子資産 14 残高」 「有利子資産利子率」 |
| 有利子資産残高増加率 | 2022年度から2023年度の増加率で毎年一定と仮定。 |
| 有利子資産利子率 | 「前期の有利子資産利子率」 |
| 支払利息等 | 「有利子負債 15 残高」 「有利子負債利子率」 |
| 有利子負債残高増加率 | |
| 有利子負債利子率 | 「前期の有利子負債利子率」 |
| 長期金利 | 「無担保コールレート」 |
| 無担保コールレート | 政策金利に近づくように徐々に上昇すると仮定。 |
| 為替要因 | |
| 円高率 | |
| 当期の為替レート | 「前期の為替レート」 |
(※) 服部・有田(2024)より引用。
政策金利(年度末)は以下のとおり推移すると仮定した。
| 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | |
|---|---|---|---|---|
| 「金利上昇」ケース | 0.50% | 1.00% | 1.25% | 1.50% |
| 「金利据置き」ケース | 0.50% | 0.50% | 0.50% | 0.50% |
また、GDP等の増加率(年度平均)については先行研究や内閣府の推計などを踏まえ、以下のとおり仮定した 17 。
9 変動費率は、仕入値に対する価格転嫁の促進や、企業努力による生産効率化等により改善していくとも考えられるが、推計を簡素化するため推計期間において一定とした。なお、「売上高」 - 「変動費」を「限界利益」とする。
10 「人件費」 = 「役員給与」 + 「役員賞与」 + 「従業員給与」 + 「従業員賞与」 + 「福利厚生費」
11 経済産業省「企業活動基本調査」(2022年度決算実績)を用いて、企業規模ごとの輸出比率・輸入比率を算出し、2024年度から2027年度にかけて輸出比率・輸入比率が一定と仮定した場合の為替変動による為替差益・差損への影響を試算した。なお、本項目では従業者数300人未満の企業を「中小企業」、従業者数300人以上の企業を「大企業」としており、輸出比率・輸入比率に関しては中規模企業、小規模企業共に「中小企業」の数値を用いている。
12 内閣府(2025)は、今後10年間程度の経済財政の展望として、①TFP(全要素生産性)上昇率が直近の景気循環の平均並みで将来にわたって推移する想定(「過去投影ケース」、②TFP上昇率が過去40年平均程度まで高まる想定(「成長移行ケース」、③TFP上昇率がデフレ状況に入る前の期間の平均程度まで高まる想定(「高成長実現ケース」)の三つのシナリオを推計している。
13 「受取利息等」は実績値の算出上、配当金を含むことに留意が必要。
14 「有利子資産」 = 「現金・預金」 + 「株式(流動資産、固定資産)」 + 「公社債(流動資産、固定資産)」
15 「有利子負債」 = 「金融機関借入金(流動負債、固定負債)」 + 「その他の借入金(流動負債、固定負債)」 + 「社債」
16 ここで為替レートは、ドル円レート(円/ドル・年度平均)として算出している。ただし、2024年度の実績値には、作成時期の都合上、2024年4月~2024年12月までの平均値を使用した。
17 名目GDP = 実質GDP + GDPデフレーター。なお、「金利上昇」ケースでは内閣府(2025)の「成長移行ケース」、「金利据置き」ケースでは「過去投影ケース」から引用している。
(1)「金利上昇」ケース
| 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | |
|---|---|---|---|---|
| 実質GDP | 0.40% | 1.20% | 1.20% | 1.50% |
| GDPデフレーター | 2.50% | 1.50% | 1.40% | 1.40% |
| 名目GDP | 2.90% | 2.70% | 2.60% | 2.90% |
| 人件費 18 | 2.80% | 2.80% | 2.90% | 2.90% |
(2)「金利据置き」ケース
| 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | |
|---|---|---|---|---|
| 実質GDP | 0.40% | 1.20% | 0.60% | 0.60% |
| GDPデフレーター | 2.50% | 1.50% | 0.80% | 0.30% |
| 名目GDP | 2.90% | 2.70% | 1.40% | 0.90% |
| 人件費 | 2.80% | 2.80% | 1.70% | 1.10% |
4. 分析結果
以上の仮定に基づき、2024年度から2027年度まで4年間の推計を行った。
コラム1-1-1①図は、「金利上昇」ケースと「金利据置き」ケースにおける推計値について、4年間の差額を累計したものである。中小企業においては、2024年度から2027年度にかけて経常利益が27.8%増加すると推計された。また、経常利益変化率について要因分解を行うと、主な増加要因は売上高増加に伴う「限界利益」の増加で、主な減少要因は「人件費」の増加であることが見て取れる。
コラム 1-1-1①図 中小企業における経常利益変化率の要因分解
| 要因 | 変化率 |
|---|---|
| 限界利益 | 44.0% |
| 人件費 | -16.9% |
| 利息収支 | -7.9% |
| 為替要因 | 8.6% |
| 経常利益 | 27.8% |
資料:服部・有田(2024)、財務省「法人企業統計調査」、経済産業省「企業活動基本調査」、内閣府(2025)ほかより中小企業庁作成
また、企業規模別に同様の集計を行ったところ、2024年度から2027年度にかけて「大企業」では7.2%、「中規模企業」では29.2%、「小規模企業」では23.5%、経常利益が増加すると推計された(コラム1-1-1②図)。以上の結果から、政策金利の上げは、物価上昇局面で実施されるものであり、こうした局面では、全体の平均として見た中小企業の売上高・限界利益は拡大する傾向にあることから、金利が上昇しなかった場合に比べて企業
18 人件費の増加率に関して、過去の賃上げ率等を参照すると大企業と中小企業の水準や推移は異なると考えられるが、本分析においては、内閣府(2025)に基づき大企業、中小企業共に同様の水準で推移すると仮定した。
収益の押し上げに寄与する可能性があると考えられる。柔軟な価格設定による値上げを実施できれば、賃上げによる人件費の増加や金利上昇による支払利息の増加といったマイナスの影響を加味しても、中小企業の最終的な経常利益が押し上げられる可能性があることが分かる 19 。
コラム 1-1-1 ②図 経常利益変化率の要因分解(企業規模別)
| 企業規模 | 限界利益 | 人件費 | 利息収支 | 為替要因 | 経常利益 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大企業 | 13.8% | -3.1% | -2.6% | -0.9% | 7.2% |
| 中規模企業 | 41.7% | -15.8% | -5.8% | 9.1% | 29.2% |
| 小規模企業 | 51.1% | -20.2% | -14.3% | 7.0% | 23.5% |
資料:服部・有田(2024)、財務省「法人企業統計調査」、経済産業省「企業活動基本調査」、内閣府(2025)ほかより中小企業庁作成
なお、このシミュレーションにおいては、外部環境の変化に伴い各企業が適切な行動をとることが想定されており、実際には、今後の企業行動によって異なる結果となり得ることが予想される。ここまで述べてきたように、具体的には、コスト増加要因を他のコストカットで対応するだけではなく、イノベーションの推進や投資行動によって、付加価値や業務効率の向上を積極的に行うとともに、適切な価格設定を進める等の取組が重要といえる。中小企業・小規模事業者が外部環境の変化を好機と捉え、行動変化の契機とすることに期待したい。
19 これまで述べてきたとおり、本分析は先行研究等に基づき様々な仮定を置いた上での推計結果を取りまとめたものであり、将来的な一つの可能性を示したに過ぎない。また、本分析は2025年1月までの情報、見通しを基に作成しており、公開時には本分析の仮定と実際の環境が異なっている可能性があることにも留意が必要。
コラム
1-1-2
中小企業金融の現状
1. 中小企業金融を取り巻く現状
感染症の感染拡大時における中小企業・小規模事業者(以下、「事業者」という。)への資金繰り支援策等を経て、民間金融機関における実質無利子・無担保融資(以下、「民間ゼロゼロ融資」という。)の返済も本格化する中、足下では、物価高騰・人手不足といった厳しい経営環境下で、事業者は複雑化する経営課題への対応が求められている。そうした中で、中小企業金融は、引き続き重要な局面を迎えている。
感染症の感染拡大時に講じた民間ゼロゼロ融資については、2024年12月末時点で7割近くが完済又は返済中であるものの、信用保証協会の代位弁済率は感染拡大前の水準に到達しつつあり、今後は、2023年に措置した「コロナ借換保証」の返済が本格化していく点にも注意が必要である(同保証利用者のうち、約8割が2年以内の据置期間を設定している)。
加えて、収益力改善・事業再生・再チャレンジを一元的に支援する中小企業活性化協議会においては、小規模事業者からの相談を中心に、2024年4月以降の相談件数は前年同期比約20%増、再生計画策定件数は同約13%増、再チャレンジ支援に至っては同約70%増となるなど、感染症の感染拡大後の経営環境下で支援のニーズも高まっている現状がある。
コラム 1-1-2①図 民間ゼロゼロ融資の保証債務残高推移(借換分含む)(2020年4月~2024年12月)
| 年 | 民間ゼロゼロ融資の保証債務残高 (兆円) | 伴走支援型特別保証・コロナ借換保証における借換分 (兆円) | 合計 (兆円) |
|---|---|---|---|
| 2020年 | 0.5 | 0.0 | 0.5 |
| 2021年 | 21.0 | 0.0 | 21.0 |
| 2022年 | 19.5 | 0.0 | 19.5 |
| 2023年 | 16.0 | 0.5 | 16.5 |
| 2024年 | 14.0 | 0.0 | 14.0 |
資料:(一社)全国信用保証協会連合会提供資料より中小企業庁作成
(注)1. 民間ゼロゼロ融資の借換に係る信用保証制度として、伴走支援型特別保証(2021年4月~2022年12月)及び後継制度のコロナ借換保証(2023年1月~)を措置。
2. 「伴走支援型特別保証・コロナ借換保証における借換分」には、感染症の感染拡大前の債務(民間ゼロゼロ融資以外の債務)の借換分を含むため、実際の民間ゼロゼロ融資分の保証債務残高は約14兆円以下となっている。
第1節
第2節
第3節
第4節
第5節
第6節
第7節
第8節
第9節
コラム 1-1-2②図 信用保証協会における保証債務残高と100%保証の割合の推移
| 年 | 80%保証 (兆円) | 100%保証 (兆円) | 100%保証の割合 (%) |
|---|---|---|---|
| 2007年 | ~4.0 | ~25.0 | ~85 |
| 2008年 | ~9.0 | ~26.0 | ~70 |
| 2009年 | ~10.0 | ~25.0 | ~68 |
| 2010年 | ~11.0 | ~24.0 | ~65 |
| 2011年 | ~12.0 | ~22.0 | ~60 |
| 2012年 | ~13.0 | ~20.0 | ~55 |
| 2013年 | ~14.0 | ~18.0 | ~50 |
| 2014年 | ~15.0 | ~16.0 | ~45 |
| 2015年 | ~16.0 | ~14.0 | ~40 |
| 2016年 | ~17.0 | ~12.0 | ~35 |
| 2017年 | ~18.0 | ~10.0 | ~30 |
| 2018年 | ~19.0 | ~8.0 | ~25 |
| 2019年 | ~20.0 | ~6.0 | 22.6 |
| 2020年 | ~16.0 | ~20.0 | 36.5 |
| 2021年 | ~15.0 | ~25.0 | ~35 |
| 2022年 | ~15.0 | ~24.0 | ~35 |
| 2023年 | ~16.0 | ~23.0 | 55.6 |
資料:(一社)全国信用保証協会連合会提供資料より中小企業庁作成
(注) 1. ここでいう「80%保証」、「100%保証」とは、信用保証協会による債務保証割合のことであり、80%保証(負担金方式の場合)では、信用保証協会は金融機関から20%の負担金支払いを受ける。
2. 「100%保証の割合」 = 「100%保証」 ÷ (「80%保証」 + 「100%保証」)。
2. モニタリングの在り方
感染症の感染拡大時に講じた民間ゼロゼロ融資は、融資先の経営状況にかかわらず緊急避難的に政府がリスクを取り、資金繰り支援を行うものであった。そうした結果、「100%保証」をはじめとする保証付融資が増加するとともに、保証申込時にプロパー融資(保証を伴わない融資)を伴う割合は減少した。望まない廃業・倒産や地域経済への悪影響を防ぎながら、経営状況の回復及び成長・持続的発展を目指す事業者を後押しするためには、適切なモニタリング体制を構築し、経営状況の変化の予兆を早期かつ即時的に捉えて、適切な事業者支援につなげていくことが重要である。
このためには、①事業者が必要なデータを生成し、そのデータを信用保証協会・地域金融機関・支援者(士業、政府系支援機関、その他専門家等)が取得する、②当該データを基に信用保証協会・地域金融機関・支援者が予兆管理を行う(予兆フラグの検知)、③関係者で連携しつつ必要な事業者支援を行う、といったモニタリングの流れの中で、事業者と関係者間の対話等も通じて、事業者が自らの経営状況を適切に把握することの重要性を認識するとともに、初期段階で経営課題に気付き、支援を受け入れて経営改善に取り組む必要性について理解(腹落ち)するなど、事業者自身の行動変容につなげていくことが重要である。
コラム 1-1-2③図 モニタリングの概念・業務フロー(イメージ)
The diagram illustrates the 'Monitoring Concept and Business Flow (Image)' across three steps:
-
STEP 1: データ生成・取得 (Data Generation/Acquisition)
- 事業者 (Business): 会計ソフト等の導入/帳簿管理、日々の取引や労務等の管理、資金繰り計画/事業計画の作成、月次試算表/決算書の作成.
- 支援者 (Supporter: Industry, Support Organizations, etc.): 情報提供、会計・税務等の作成支援、平常の各種相談対応.
- 地域金融機関 (Regional Financial Institution): 試算表/決算書の入手・データ化、報告書作成、預金口座 (入出金状況)、事業者訪問 (非財務情報等).
- 信用保証協会 (Credit Guarantee Association): 決算書/業況報告書等の入手・データ化、事業者訪問 (非財務情報等).
-
STEP 2: 予兆管理 (予兆フラグの検知) (Early Management (Early Flag Detection))
- 事業者: 経営状況の認識、状況把握・助言、予兆フラグ管理.
- 支援者: 検知・状況精査、状況確認.
- 地域金融機関: 予兆フラグ管理、重点対象事業者との対話等.
- 信用保証協会: 予兆フラグ管理、重点対象事業者との対話等.
-
STEP 3: 事業者支援 (Business Support)
- 事業者: 経営改善/事業再生等の取組、条件変更等の発生、書類作成/状況報告.
- 支援者: 経営支援/事業再生支援等、連携 (人・情報等).
- 地域金融機関: 経営支援等、支援打診対応、連携 (人・情報等).
- 信用保証協会: 経営支援・専門家派遣等、保証対応.
資料資料:中小企業庁「円滑な事業再生等に向けたモニタリングの高度化に関する研究会報告書」(2025年3月)
3. 円滑な経営改善・事業再生等に向けて
前述のようなモニタリングをはじめ、早期の経営改善・事業再生や成長志向の事業者への支援のため、中小企業庁では、例えばコラム1-1-2④図やコラム1-1-2⑤図のように、様々な施策で事業者をサポートしている 20 。
円滑な経営改善・事業再生等に向けて最も大切なことは、「早期」に相談し、「早期」に適切な支援へとつなげることである。地方創生を促進する観点からも、地域のサービス供給と雇用の受け皿として地域における各産業を牽引する事業者は、欠かすことのできない存在である。こうした重要な経営資源を絶やさないためにも、「早期」に経営課題を感知し、各種支援策を活用していくことも効果的な選択肢となる。
特に、全国47都道府県に設置されている中小企業活性化協議会は、金融機関、民間専門家、各種支援機関とも連携し、事業者の収益力改善、事業再生、再チャレンジを地域全体で支援している機関である 21 。借入れや資金繰りに悩みを抱える事業者においては、どのようなことでも、まずは相談に行ってみることが重要である。
20 2025年1月以降の中小企業向け資金繰り支援メニューの詳細については、中小企業庁ホームページに掲載している。
- ・2025年1月以降の中小企業向け資金繰り支援について ( https://www.meti.go.jp/press/2024/11/20241128001/20241128001-1r.pdf )
- ・資金繰り支援のご案内 (2025年1月以降の支援メニュー) ( https://www.chusho.meti.go.jp/kinryu/pamphlet/shikinguri_shien.pdf )
21 中小企業活性化協議会で実施している支援策の詳細については、中小企業庁ホームページを参照 ( https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/index.html )。
コラム
1-1-2④図
今後の資金繰り支援の全体像
12月末 2月末~3月中旬 3月末 6月
民間金融機関
- 経営改善サポート保証(コロナ対応) (100%保証は100%保証で借換、保証料0.2%、上限2.8億円、保証期間15年) → 3ヶ月の延長
- 経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型) (100%保証は100%保証で借換、保証料0.3%、上限2.8億円、保証期間15年)
- コロナ借換保証 (石川県内一部地域でのみ継続中) (100%保証は100%保証で借換、保証料0.2%、上限1億円、保証期間10年) → 3ヶ月の延長
- 協調支援型特別保証 (80%保証、保証料引下げ、上限2.8億円、保証期間10年)
政府系金融機関
- 日本公庫等のコロナ特別貸付 (先上▲5%等 災害貸付金利を適用) ※ 終了。ただし、借換に対応可能な「危機対応後経営安定貸付」を新たに措置。(限度額20億円、貸付期間最大20年、基準金利を適用)
- 日本公庫等のコロナ資本性劣後ローン (適用利率2.95%等、限度額15億円) → 2ヶ月延長
- 通常時の資本性劣後ローンの拡充 (省力化投資に取り組む事業者を対象に追加、適用利率見直し、限度額の拡充(10億円→15億円))
- 日本公庫等のセーフティネット貸付 (利率▲5%→金利▲0.4%) ※資材費等の価格高騰対策として実施 → 3ヶ月の延長
(注) 青マーカー の施策はコロナ対応型の支援策、 緑マーカー の施策はコロナに限定していない支援策。
資料:中小企業庁「2025年1月以降の中小企業向け資金繰り支援について」
コラム
1-1-2⑤図
中小企業活性化協議会による支援内容
相談対応
収益力改善フェーズ 再生フェーズ 再チャレンジフェーズ
中小企業活性化協議会の常駐専門家が支援・伴走
-
収益力改善支援
- 収益力低下、借入増加の恐れのある中小企業を対象に、1年間から3年間の収益力改善アクションプラン+簡易な収支・資金繰り計画策定を支援。
-
プレ再生支援
- 将来の本格的な再生計画策定を前提とした経営改善を支援。
-
再生支援
- 外部専門家とともに、リスケジュール・DDS・債権放棄などの金融支援(財務面の支援)を含む再生計画の策定を支援。
-
再チャレンジ支援
- 事業再生が極めて困難な中小企業等を対象に、円滑な廃業に向けた助言や弁護士の紹介、経営者保証ガイドラインに基づく保証債務の整理を支援。
民間専門家(認定経営革新等支援機関)が支援・伴走
-
早期経営改善支援
- 金融支援まで至る前段階の早期の経営改善(資金繰り計画等の基本的な計画策定)を支援。
- ※必要に応じて中小企業活性化協議会の常駐専門家が助言
-
経営改善支援
- リスケ・新規融資等の金融支援を含む経営改善計画を支援。
- ※必要に応じて中小企業活性化協議会の常駐専門家が助言
-
再生・廃業支援
- 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」(中小版GL)に基づく私的整理(事業再生又は廃業)を支援。
中小企業活性化協議会が一元的に対応
資料:中小企業庁作成
コラム
1-1-3 ローカルベンチマークの活用
ローカルベンチマーク(以下、「ロカベン」という。)は、いわゆる「企業の健康診断」であり、企業の経営状態を把握するためのツールである。企業の経営者と金融機関・支援機関等が対話しながら「ローカルベンチマーク・シート」を作成・活用することで、企業の経営改善等を目指すものであり、「6つの指標 22 」による財務情報に加えて、「業務フロー」、「商流」、「4つの視点 23 」による非財務情報によって企業の抱える課題や強みを把握できる点が特徴である。
ロカベンは、企業の経営者が自社の事業について理解を深めることに役立つだけでなく、金融機関・支援機関等と共に、財務諸表や事業計画では見えてこない事業者の強みや弱みの評価(事業性評価)の手段として活用することで、新たな融資契約へつなげることも可能と考えられる。ここからは、実際に金融機関がロカベンを利用して取引先の企業を支援した事例を紹介する。
コラム 1-1-3①図 ローカルベンチマーク・シートの例(株式会社スギムラ精工)
| ① 経営者 |
経営理念・ビジョン
経営哲学・考え・方針等 |
塑性加工技術を追求し人と社会に貢献する企業であるよう、日々努力し成長を続ける企業活動(ものづくり)を通じ、社会・顧客から信頼される企業を目指す | ② 企業を取り巻く環境・関係者 | 市場動向・規模・シェアの把握 | EV化が進んでいたため、シートベルト、ステアリング、トランスミッション系の受注に注力していたが、直近はエンジン部品が増加。現行の製品より強度・複雑化・軽量化が求められていたため増加傾向にある。 |
|
経営意欲
※成長志向・現状維持など |
塑性加工技術で世界を目指す
成長志向企業であり、技術先行企業 |
顧客リピート率・新規開拓率 | 自動車メーカー1・2からの受注増加 | ||
|
後継者の有無
後継者の育成状況 承継のタイミング・関係 |
後継者候補複数あり
技術部長 杉村聡(代表者弟) 製造部長 杉村泰臣(代表者弟) 他、柔軟に検討できる社内体制となっている |
主な取引先企業の推移 | 当社の営業技術部門の技術力は高く、顧客からのフィードバックによる対応は他社を抜き出ている。 | ||
|
企業及び事業沿革
※ターニングポイントの把握 |
1980年12月:資本金500万(社外取締役) 1991年8月:所在地に本社、金型の内製開始 2000年10月:株式会社化 2003年:自動車部品製造本拠地を千葉開始 2014年10月:社内情報化推進 2015年:266号工場竣工(生産増強) 2017年:5号車線一部 大内工場の敷地内再開発 現在は約1000万円で2018年より5号車線二期工事、M/F 技術大増強 | 顧客からのフィードバックの有無 | 平均勤続年数10年未満。2015年の第二工場の稼働に伴い、大幅に人員増加したが要因。定着率は高いため今後勤続年数は増加、平均給与は地区内平均水準以上で推移。 | ||
| ② 事業 |
強み
技術力・販売力等 |
国内大手自動車メーカーからの信頼を得る技術力の高さと、最高峰の生産設備であるプレス機の保有
若い技術者が多数在籍し、従業員の多能化が実現されている |
③ 内部管理体制 | 取引金融機関数・推移 | 諏訪信用金庫をメインバンクとしており、関係性は密着。 |
|
弱み
技術力・販売力等 |
年商以上の金融債務
技術力向上と量産体制の構築のため設備投資が必要 |
メインバンクとの関係 | 他、第2地銀、県信連 | ||
| ITに関する投資、活用の状況 |
1時間当たり付加価値(生産性)
オートメーション化を常に考え導入中。採算性にも大幅に寄与している。 |
組織体制 | 品質管理部門の担当部長の統率力は高く、年々不良率は低減している。 | ||
| 向上に向けた取り組み | 品質管理・情報管理体制 | ||||
| ④ 内部管理体制 | 事業計画・経営計画の有無 |
中長期計画あり
社内に共有されており、定期的な進捗管理で共有している。 |
⑤ 対話内容の総括 | 事業計画・経営計画の有無 |
中長期計画あり
社内に共有されており、定期的な進捗管理で共有している。 |
| 従業員との共有状況 | 従業員との共有状況 | ||||
| 社内会議の実施状況 | 社内会議の実施状況 | ||||
| 研究開発・商品開発の体制 | 技術部長を中心とした研究開発・要素実験は常に実施中。 | 研究開発・商品開発の体制 | 技術部長を中心とした研究開発・要素実験は常に実施中。 | ||
| ⑥ 外部関係 | 知的財産権の保有・活用状況 | 金型に対する知的財産は豊富であり、共有化が図られている。 | ⑦ 対話内容の総括 | 知的財産権の保有・活用状況 | 金型に対する知的財産は豊富であり、共有化が図られている。 |
| 人材育成の取り組み状況 | 総務部長による個別ミーティング実施中。 | 人材育成の取り組み状況 | 総務部長による個別ミーティング実施中。 | ||
| 人材育成の仕組み | 人材育成の仕組み | ||||
| ITに関する投資、活用の状況 | ITに関する投資、活用の状況 |
| 現状認識 |
技術に裏付けされた高度なプレス製品であり、価格競争力もある。
人材も育成されており、金型設計部門の技術者の力量は高い。 先行した設備投資負担(金融債務)は多額である。 |
将来目標 |
売上高の増加・・・年間10%ずつ増加させ、5年後には30億円を目指す
人材育成と組織力強化・・・社員研修プログラムを充実させ、専門スキルを高める 財務基盤の強化・・・コスト削減と効率化を図り、利益率を向上させる |
| 現状と目標のギャップ | |||
| 課題 |
売上高の増加・・・需要の減少・価格競争の激化、サプライチェーンの不安定性
人材育成と組織力強化・・・組織内コミュニケーションの欠如 財務基盤の強化・・・コスト削減の限界、財務リスクの管理 |
対応策 |
売上高の増加・・・価格以外の価値(品質・サービス提供速度)を強化し、価格競争からの脱却を図る。
人材育成と組織力強化・・・コミュニケーションプラットフォームの導入、社内SNS、定期的な横しーティングの開催 財務基盤の強化・・・業務プロセスの見直しと自動化の徹底した推進、リスクヘッジ戦略の導入(デリバティブ取引や保険の活用) |
資料:諏訪信用金庫作成
22 「6つの指標」は、「売上増加率」「営業利益率」「労働生産性」「EBITDA有利子負債倍率」「営業運転資本回転期間」「自己資本比率」のことを指す。
23 「4つの視点」は、「経営者への着目」「事業への着目」「企業を取り巻く環境・関係者への着目」「内部管理体制への着目」のことを指す。
事例:諏訪信用金庫による株式会社スギムラ精工の支援事例
長野県岡谷市の株式会社スギムラ精工は、自動車部品をはじめとした各種精密部品の設計、金型製作、加工を行う金属プレス加工業者である。同社は、顧客のニーズにワンストップで対応できる一貫した加工技術に強みを持ち、コロナ禍を経て売上げの増加傾向が続く地場の優良企業である。一方で、売上増加に伴う売上債権等の増加に加え、近年の資材高騰の影響もあり、増加が続く運転資金の資金繰りに不安を抱えていた。このような課題を認識した同社は、メインバンクの諏訪信用金庫に対し、現状の財務構造改善についての相談を行った。
相談を受けた諏訪信用金庫の奥山真司部長は、同社の今後の成長性を見込み、成長に応じた更なる資金調達の可能性を考慮し、他行を巻き込んだシンジケートローン 24 の組成を企図。既存の借入れを見直し、追加の運転資金実行も伴うシンジケートローンのスキームを実行に移すには、同社に対しての緻密な事業性評価が求められた。
そこで、同金庫はロカベンを活用し、「商流・業務フロー」及び「4つの視点」の観点から同社の強みを可視化し、今後も売上げの増加傾向が続くことの裏付けなど事業性評価の確認を行った。「商流・業務フロー」においては、工場の現地調査や同社の従業員との対話を経て、生産工程を含めた業務フローを図としてまとめた。理論に基づくプレス成型技術によって、加工性を高めるための前工程等を廃止した独自の生産工程により、コスト低減、生産数量増加を実現し、高精度部品をスピーディーに加工することが可能な同社の強みを可視化した。
「4つの視点」においては、同社の非財務的な強みである、経営者・内部管理体制に着目。創業者である父親から事業を受け継いだ長男の杉村博幸社長を中心に、技術部長を務める次男、製造部長を務める三男といった現場を熟知した役員による、必ずしも経営者の指示がなくとも自走できる、レベルの高い分業・管理体制といった強みに加え、総務部長として社長夫人がキーマンとなり女性が働きやすく男性社員も育休取得ができる働き方の体制整備と外国人技能実習生を含め人材育成を行ってきたことによる人的資本の厚さという強みを確認した。また、適切な給与の引上げにより社員のやる気を引き出してきている点にも注目した。定量的な側面のみならず、こうした定性的な強みとなる情報を引き出すことが可能である点もロカベンの特徴である。奥山部長は、適切な情報開示があったから、ロカベンによる整理がはかどり適切な事業性評価が行えたと同社を評価している。そして「金融は頼もしく、そして優しくなければならない。地域の企業様と一緒に成長を歩むことが地域の豊かさにつながる」と語る。
ロカベン活用による同社の経営状態や強みの情報は関係機関の共通認識となり、同社に対し諏訪信用金庫、商工組合中央金庫、長野県信用農業協同組合連合会は、2024年7月、総額18億6,000万円にも及ぶシンジケートローンを組成。同融資の活用により、長短借入金のバランスが是正され、将来予定する積極的な事業展開に向け、一層の経営基盤の強化に取り組むことが可能となった。作成されたロカベン、現在も同社の伴走支援に活用されている。
岡谷市のつるみね工場
強みの一である生産設備
杉村社長(左)と対話する奥山部長(右)
24 シンジケートローンとは、大型の資金調達ニーズに対して、複数の金融機関が協調して、同一の融資契約書に基づき融資を行う信用供与の方法のことである。
このようにロカベンは、企業の経営者が自社の事業を見つめ直して可視化する機会となるほか、金融機関・支援機関等が事業性評価において活用することにより、連携先を巻き込むような踏み込んだ支援へつなげることが可能である。経済産業省は引き続きロカベンの普及・利用促進に取り組んでいく。
ロカベンの作成に当たっては、初めての利用者でも理解しやすいように記入事例や解説、対話例などを盛り込んだ作成ガイドである「ローカルベンチマーク・ガイドブック 25 」を策定している。SDGsやDXの取組事例も掲載しており、これらの取組についてもロカベンを通じて整理・共有することで、ステークホルダーに対し、自社の目指す方向性を説明することが可能になる。中小企業・小規模事業者、また、支援機関等においても、ロカベンの活用が進展していくことに期待したい。
25 経済産業省ホームページにて公開している ( https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/guide.html )。
続いて、物価・為替等の動向について確認する。政策金利の上げ等に伴い、今後為替レートが円高方向に動く可能性はあるものの、歴史的な円安・輸入物価高は2024年度も継続している(第1-1-16図)。また、従業者数300人未満の企
業では、「300人以上」の企業に比べて「輸入比率」が「輸出比率」を大きく上回っており、円安に起因した輸入物価高による利益下押しの影響を受けやすいといえる(第1-1-17図)。
第1-1-16図 国内企業物価指数、消費者物価指数、輸入物価指数、ドル円相場の推移
資料:日本銀行「企業物価指数」「外国為替市況」、総務省「消費者物価指数」
(注) ここでの「ドル円相場」は、「東京市場 ドル・円 スポット 中心相場/月中平均」のデータを示している。
第1-1-17図 輸出入比率(従業者規模別)
| 従業員規模 | 輸出比率 | 輸入比率 |
|---|---|---|
| 50人~99人 | 4.0% | 11.0% |
| 100人~199人 | 4.6% | 10.3% |
| 200人~299人 | 4.4% | 11.0% |
| 300人以上 | 13.5% | 15.5% |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」
(注) 1.2023年調査(2022年度決算実績)により集計。
2.輸出比率=モノの輸出額÷売上高、輸入比率=モノの輸入額÷仕入高。
第1-1-18図は、経済産業省「経済産業省企業活動基本調査」(以下、「企業活動基本調査」という。)を用いて、企業規模別に直接輸出企業割合、直接投資企業割合の推移を見たものである。これ
を見ると、「中小企業」においては、直接輸出企業割合及び直接投資企業割合共に、1990年代の水準から上昇傾向にあるが、足下はおおむね横ばいで推移していることが分かる。
第1-1-18図 直接輸出・直接投資企業割合の推移(企業規模別)
(1) 直接輸出企業割合
| 年度 | 中小企業 (%) | 大企業 (%) |
|---|---|---|
| 97 | 16.5 | 28.5 |
| 98 | 16.5 | 28.5 |
| 99 | 17.5 | 28.5 |
| 00 | 17.0 | 26.0 |
| 01 | 17.5 | 25.5 |
| 02 | 18.0 | 25.5 |
| 03 | 18.5 | 25.5 |
| 04 | 19.0 | 25.5 |
| 05 | 19.5 | 25.5 |
| 06 | 19.0 | 25.0 |
| 07 | 19.0 | 24.5 |
| 08 | 19.0 | 24.5 |
| 09 | 19.5 | 24.0 |
| 10 | 20.0 | 25.0 |
| 11 | 19.5 | 24.5 |
| 12 | 20.0 | 25.0 |
| 13 | 20.5 | 25.0 |
| 14 | 21.0 | 26.0 |
| 15 | 21.0 | 26.0 |
| 16 | 21.5 | 26.0 |
| 17 | 22.0 | 27.0 |
| 18 | 21.5 | 27.5 |
| 19 | 21.5 | 28.0 |
| 20 | 21.5 | 28.0 |
| 21 | 21.0 | 28.5 |
| 22 | 21.3 | 28.7 |
(2) 直接投資企業割合
| 年度 | 中小企業 (%) | 大企業 (%) |
|---|---|---|
| 97 | 8.5 | 26.5 |
| 98 | 8.5 | 26.5 |
| 99 | 8.5 | 26.5 |
| 00 | 8.5 | 24.5 |
| 01 | 9.0 | 24.0 |
| 02 | 10.0 | 25.5 |
| 03 | 11.0 | 26.0 |
| 04 | 12.0 | 26.5 |
| 05 | 12.0 | 26.5 |
| 06 | 11.5 | 26.0 |
| 07 | 11.5 | 26.5 |
| 08 | 11.5 | 26.5 |
| 09 | 12.0 | 27.0 |
| 10 | 12.5 | 28.0 |
| 11 | 13.0 | 29.0 |
| 12 | 14.0 | 29.5 |
| 13 | 14.5 | 30.5 |
| 14 | 14.5 | 31.0 |
| 15 | 14.5 | 31.0 |
| 16 | 15.0 | 31.0 |
| 17 | 15.0 | 31.5 |
| 18 | 14.5 | 32.0 |
| 19 | 14.5 | 32.5 |
| 20 | 14.5 | 32.5 |
| 21 | 14.0 | 32.0 |
| 22 | 14.3 | 32.5 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1.ここで「直接輸出企業」とは、直接外国企業との取引を行う企業である。
2.ここで「直接投資企業」とは、海外子会社を保有している企業である。
3.ここで「中小企業」は、経年での接続性を担保するため、各業種において下記の定義を用いている。
- ・製造業その他:資本金の額又は出資の総額が3億円以下又は常時使用する従業員の数300人以下。
- ・卸売業:資本金の額又は出資の総額が1億円以下又は常時使用する従業員の数100人以下。
- ・小売業:資本金の額又は出資の総額が5千万円以下又は常時使用する従業員の数50人以下。
- ・サービス業:資本金の額又は出資の総額が5千万円以下又は常時使用する従業員の数100人以下。
コラム
1-1-4
新規輸出1万者支援プログラム
1. 新規輸出1万者支援プログラムの概要
「新規輸出1万者支援プログラム」は、経済産業省、中小企業庁、独立行政法人日本貿易振興機構(以下、「JETRO」という。)及び独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、「中小機構」という。)が一体となり、新たに輸出に挑戦する事業者を支援するためのプログラムである。
2022年12月16日に開始した本プログラムでは、登録した事業者に対して、JETROのコンシェルジュがカウンセリングを行い、事業者の海外展開の目標や準備状況から課題を整理し、中小機構、JETRO及び各支援機関の支援策を提案し、輸出の実現に向けて一気通貫の支援を行っている。
コラム 1-1-4①図 新規輸出1万者支援プログラムの全体像
支援機関など
商工会議所、商工会
中小企業団体中央会、
自治体、金融機関 など
紹介
新たに輸出に
取り組む事業者
中堅・中小企業、
小規模事業者、
個人事業主 など
相談・登録
カウンセリング
提案
新規輸出1万者支援
プログラム
運営
経済産業省、中小企業庁
JETRO、中小機構
最適な支援策
支援機関など
JETRO、中小機構、
日本公庫、INPIT、NEXI など
関係省庁など
経済産業省、中小企業庁、
特許庁、農林水産省 など
資料:中小企業庁作成
本プログラムでは、輸出実現に向けた事業者のステージや抱えている課題や悩みに応じて、以下のような支援策を提案している。
(1)輸出準備ステージの支援
海外展開戦略の立案やターゲット市場の絞り込みが必要な事業者に対しては、中小機構の専門家が相談に応じ、輸出先の国・地域の検討、商材の市場適合化、ビジネスモデルの仮説検証等を支援している。
(2)輸出挑戦ステージの支援
輸出準備が整った事業者には、JETROによる輸出商社とのマッチング支援や海外ECサイトを活用した間接輸出、専門家による伴走支援や海外見本市への出展支援を通じた直接輸出の実現を支援している。
(3)輸出継続・拡大ステージの支援
輸出実現後も海外ビジネスの継続や拡大を図れるよう、自立化に向けて、社内人材の育成、資金支援、知的財産保護に関する支援、貿易リスクに関する支援を提供している。
2. 新規輸出1万者支援プログラムを通じた輸出実現状況
本プログラムは、2024年11月時点で全国の登録者が2万者を超え、うち2,800者超が輸出実現に至っている。登録者全体の約4割を製造業が占め、モノの輸出、特に食品関連の輸出挑戦が中心となっているが、サービス業や小売業も1割超の登録があり、海外への店舗出店やサービス輸出に取り組む事例も存在している。
輸出先国・地域別の成約件数では、米国向けの輸出が約2割を占めている。本プログラムでは、直接輸出に取り組むことが難しい中小企業・小規模事業者に対しては、国内の輸出商社や越境EC等を通じた間接輸出による海外展開のアプローチを提案している。特に成約件数が最も多い米国に関しては、ジェトロがAmazon社と連携した「JAPAN STORE」を展開するなど、中小企業・小規模事業者にとって市場開拓に挑戦しやすい環境の整備を進めている。
コラム
1-1-4②図
業種別プログラム登録者数、輸出先国・地域別成約件数
業種別 プログラム登録者数
| 業種 | 登録者数 (者) | 累積比率 (%) |
|---|---|---|
| 製造業 | 8,500 | 40.0% |
| 卸売業 | 4,500 | 61.2% |
| サービス業 | 2,800 | 74.4% |
| 小売業 | 2,200 | 84.8% |
| 情報通信業 | 1,200 | 90.5% |
| 農林水産業 | 500 | 92.9% |
| 建設業 | 400 | 94.8% |
| その他 | 1,200 | 100.0% |
輸出先国・地域別 成約件数 (上位10カ国・地域)
| 国・地域 | 成約件数 (件) | 累積比率 (%) |
|---|---|---|
| 米国 | 1,200 | 22.8% |
| 中国 | 650 | 35.2% |
| 香港 | 250 | 40.0% |
| 台湾 | 250 | 44.8% |
| タイ | 250 | 49.5% |
| シンガポール | 250 | 54.3% |
| フランス | 250 | 59.0% |
| 英国 | 250 | 63.8% |
| マレーシア | 250 | 68.5% |
| 韓国 | 250 | 73.3% |
資料:中小企業庁作成
3. 新規輸出1万者支援プログラムの活用事例
ここからは、本プログラムを活用し、新たな輸出を実現した事例や継続的な海外販路開拓に取り組む事例を紹介する。
事例:株式会社イノウエ
埼玉県秩父郡長瀞町に本社を置く株式会社イノウエは、1949年創業の老舗菓子店で、川越市内の豆菓子専門店は「小江戸まめ屋」として地元に愛されている。秩父地方の幻の大豆「秩父借金なし大豆」を使用した和菓子で、最高技法の手技で作る希少な逸品の「きなこまめ」や、日本お土産アカデミーでグランプリ賞を受賞し、日本一の土産に選出された実績もある「秩父借金なし大豆のお漬物」等、職人の技術と高品質な商品の品ぞろえを武器に事業を展開していた。
同社の経営方針を転換するきっかけは、2019年からのコロナ禍による売上低迷であった。国内市場の伸び悩みを以前から感じていた井上社長は、腕利きの和菓子職人の手技で作り上げた豆菓子の味を世界中に広め、海外需要を獲得したいと考えるようになっていた。そうした中、取引先の商社からジェトロを紹介され、新規輸出1万者支援プログラムの存在を知り、海外展開への挑戦を決意。2023年5月に本プログラムへ登録し、海外市場開拓を目指した本格的な取組を開始した。
初の海外展開で現地の情報収集が必要と感じた同社は、ジェトロの「海外ブリーフィングサービス」を利用し、タイや近隣国の市場規模や規制、現地の食文化や味の嗜好等の調査から始めた。同年9月からはジェトロの「新輸出大国コンソーシアム」で専門家のハンズオン支援を受けながら、海外商談に向けた準備を進めた。
2024年1月にはバンコクで開催された「JAPAN SELECTION」に出展。プロモーションや商談を重ねた結果、現地の日系小売事業者から高く評価され、テスト販売のオファー獲得につながった。帰国後も交渉と準備を重ね、同年8月からバンコクのタニア地区店舗でテスト販売を開始したほか、11月には「Siam Takashimaya 6周年記念」にポップアップ店舗を出店するに至った。
同社は、更なる海外市場の開拓を目指し、常温長期保存やハラール対応等、輸出規制をクリアする商品の開発・生産に向け、新工場建設に着手。秩父の食材をいかした豆菓子を世界中に広めるため、今後も海外市場の開拓に取り組んでいく。
A photograph of the exterior of a traditional Japanese shop named "小江戸まめ屋" (Koedo Mameya). The building is a two-story structure with a distinctive architectural style, featuring a large, ornate gabled roof with decorative elements. The facade is made of light-colored wood or plaster, and there are large windows on the upper floor. The shop is located on a street corner with a traffic light visible in the foreground. The surrounding area includes other buildings and street signs, suggesting an urban or suburban setting in Japan.
豆菓子専門店の外観「小江戸まめ屋」の外観
事例:東海バネ工業株式会社
1944年に大阪府大阪市で創業した東海バネ工業株式会社は、「単品のばねでお困りの方々のお役に立つ」を経営理念に、生産ロット平均5個の「多品種微量」の受注生産で顧客の要望に応えてきた。「1本のばねで困っている顧客がいれば、他社がやりたがらない仕事でも喜んで引き受ける」を信念に挑戦を続けた結果、人工衛星用の極小ばねから東京スカイツリーの制振装置に使う巨大ばねに至るまで、世界で唯一の製品を扱う職人集団となり、国内26業種、約4,900社との取引実績を有している。
価格競争を避けるためにも新規顧客開拓が経営課題である同社は、2019年から海外市場の開拓に着手し、ジェトロの「新輸出大国コンソーシアム」による支援を受け、米国やタイへの販路構築を実現させていた。実現当時の取引量は僅かであったものの、同社の技術力は海外でも高い評価を集め、海外からの相談は年々増加傾向にあった。そのため、「海外での認知度を高めれば世界でも存在価値を発揮できる」と考えた夏目直一社長は、海外事業部門の新設を決断。2023年5月に新規輸出1万者支援プログラムに登録した同社は、本格的な海外展開に乗り出した。
プログラム登録後は、中小機構の「海外展開ハンズオン支援事業」を利用し、対象国・地域の選定やビジネスモデル仮説の立案に取り組んだ。工作機械業界を重点ターゲットにしていた同社は、業界を牽引するドイツ、スイスに、今後成長が期待される台湾も候補に追加し、参入可能性の調査を進めた。ドイツ、スイスの2か国は、専門家の助言を受けて現地調査を実施した結果、EUの非関税障壁の高さに苦戦しながらも、2社との商談を実現させた。商談実現に加え、現地調査や海外企業との面談のノウハウを社内に蓄積できたことは大きく、台湾市場に関しては2024年3月に開催された「台湾国際工作機械展」への出展と併せて地元企業4社を訪問するなど、海外事業部門を中心とした海外市場開拓は着実な進展を見せている。
職人の養成システムを確立し、若手への技能伝承に取り組む同社は、人材育成にも余念がない。海外市場開拓に挑戦する傍ら、ジェトロの「中小企業海外ビジネス人材育成塾」に担当者を派遣し、海外事業戦略立案やプレゼン資料作成のポイント、商談スキルの習得を進めている。同社は中期ビジョンに「世界から相談される会社になる」を掲げ、今回の経験をいかしながら海外事業の更なる拡大に取り組んでいく。
画像は、東海バネ工業株式会社の工場外観を示しています。建物はモダンなデザインで、白とグレーの外壁が特徴です。青空の下、建物の左側には大きな赤い看板が掲げられています。
コイルばね工場外観
画像は、ばね製作現場の職人たちを示しています。複数の職人がヘルメットと安全装備を着用し、溶接や加工作業に集中しています。火花が散る中、職人たちが協力して作業を進めている様子が描かれています。
ばね製作現場の職人たち
第1-1-19図は、日本銀行「最終需要・中間需要物価指数」を用いて、需要段階別の物価の推移を見たものである。これを見ると、「原材料」
は2022年と比較すると低下したものの、中長期的に見れば高水準が続いている。「中間需要」や「最終需要」についても、上昇を続けている。
第1-1-19図 最終需要・中間需要物価指数の推移
| 年/月 | 原材料 | 中間需要ステージ2 | 中間需要ステージ3 | 中間需要ステージ4 | 最終需要 |
|---|---|---|---|---|---|
| 15/1 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
| 16/1 | 95 | 98 | 98 | 98 | 98 |
| 17/1 | 98 | 100 | 100 | 100 | 100 |
| 18/1 | 105 | 102 | 102 | 102 | 102 |
| 19/1 | 110 | 105 | 105 | 105 | 105 |
| 20/1 | 80 | 95 | 95 | 95 | 95 |
| 21/1 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
| 22/1 | 125 | 115 | 110 | 105 | 100 |
| 23/1 | 145 | 135 | 125 | 115 | 105 |
| 24/1 | 145 | 130 | 125 | 115 | 110 |
| 24/12 | 140 | 135 | 130 | 120 | 115 |
資料:日本銀行「最終需要・中間需要物価指数」
(注)1.各指数について、財だけでなくサービスも含む。
2.「原材料」については、「中間需要ステージ1」を集計している。
3.「最終需要」については、「最終需要(除く輸出)」を集計している。
第1-1-20図は、民間最終消費支出及び消費者態度指数の推移を見たものである。足下の「名目民間最終消費支出」は上昇したものの、「実質民間最終消費支出」は伸び悩んでおり、「消費者態
度指数」も2024年第1四半期をピークに低下傾向にある。物価高等の影響は個人消費にも及び、こうした消費動向の変化を踏まえた経営判断が重要になってくるといえる。
第1-1-20図 民間最終消費支出、消費者態度指数の推移
The graph displays three data series from 2018 to 2024. The X-axis shows quarterly periods from 18Q1 to 24Q4. The left Y-axis (trillion yen) ranges from 250 to 350. The right Y-axis (index) ranges from 20 to 70. The orange line (nominal expenditure) shows a general upward trend, peaking around 340 trillion yen in 2024. The blue line (real expenditure) shows a more volatile pattern, peaking around 300 trillion yen in 2023. The red line (consumer sentiment index) shows a sharp decline in 2020, followed by a recovery and a peak in 2024.
| 四半期 | 名目民間最終消費支出 (左軸) (兆円) | 実質民間最終消費支出 (左軸) (兆円) | 消費者態度指数 (右軸) |
|---|---|---|---|
| 18Q1 | 305 | 300 | 45 |
| 18Q2 | 305 | 300 | 45 |
| 18Q3 | 305 | 300 | 45 |
| 18Q4 | 305 | 300 | 45 |
| 19Q1 | 305 | 300 | 45 |
| 19Q2 | 305 | 300 | 45 |
| 19Q3 | 310 | 305 | 45 |
| 19Q4 | 300 | 295 | 45 |
| 20Q1 | 305 | 295 | 45 |
| 20Q2 | 275 | 270 | 25 |
| 20Q3 | 290 | 285 | 30 |
| 20Q4 | 295 | 290 | 30 |
| 21Q1 | 290 | 285 | 30 |
| 21Q2 | 295 | 290 | 30 |
| 21Q3 | 290 | 285 | 30 |
| 21Q4 | 300 | 295 | 35 |
| 22Q1 | 305 | 295 | 35 |
| 22Q2 | 320 | 295 | 35 |
| 22Q3 | 325 | 295 | 35 |
| 22Q4 | 330 | 295 | 35 |
| 23Q1 | 340 | 300 | 35 |
| 23Q2 | 340 | 295 | 35 |
| 23Q3 | 340 | 295 | 35 |
| 23Q4 | 340 | 295 | 35 |
| 24Q1 | 340 | 295 | 35 |
| 24Q2 | 345 | 295 | 35 |
| 24Q3 | 350 | 295 | 35 |
| 24Q4 | 350 | 295 | 35 |
資料:内閣府「国民経済計算」「消費動向調査」
(注) 1.「名目民間最終消費支出」及び「実質民間最終消費支出」は、いずれも季節調整系列。
2.消費者態度指数は「二人以上の世帯」、原数値。四半期ごとの平均値を集計している。
コラム
1-1-5
テキストデータを活用した景気判断と消費動向変化の把握
1. 本コラムの背景・目的
中小企業・小規模事業者を取り巻く外部環境は足下で大きく変化しており、円安に起因した輸入物価高による原材料価格やエネルギー価格の高騰は、企業のコスト構造に大きな影響を与えただけでなく、消費者物価の上昇を通じて個人の消費動向にも波及している。したがって、企業が経営戦略を検討するに当たって、このような外部環境の変化や、それが企業の行動や消費の動向にもたらす影響を把握することは重要であり、景況感や市場動向を反映した企業側・消費者側双方の現場の声を分析することで、公的統計のみでは把握しきれない情報を得ることに繋がる可能性がある。
そこで、本コラムでは、内閣府「景気ウォッチャー調査 26 」から取得したテキストデータを用いて、生成AIを活用したテキストマイニングを行うことで、景気判断、企業の行動、消費の動向の時系列変化と業種別の違いを分析し、外部環境がこれらにどのような影響を及ぼしているのかについて考察する。
また、昨今の大規模言語モデルをはじめとする生成AIは技術進歩が目覚ましく、企業が抱える問題意識や経営課題を検索するシステムを構築することも、技術的に可能になりつつある 27 。しかし、単にChatGPTなどの大規模言語モデルに問いかけて検索するだけでは、膨大な情報の中から確率的に生成された「もっともらしい」出力が提示されるだけであり、根拠が不明確な印象論の域を出ない。むしろ、景気ウォッチャー調査などの特定のエビデンスに基づいた出力によって現状を把握することの方が有用と考えられる。これを実現するために、景気ウォッチャー調査の回答を基にベクトル検索を行った結果を出力するRetrieval Augmented Generation (RAG) 28 を使用することも考えられるが、それでは本コラムのコラム1-1-5②図などで示すような、因果関係の波及を含む全体像を捉えることが難しい。
その中で近年注目されているのが、Graph RAGやKnowledge Graph RAG 29 という手法で、外部から取得した情報を因果関係などに基づき整理したデータベースを背後に構築しておき、問われた内容に対してデータベース内の関連情報を検索した結果を出力する方法である。今回は、そうした検索システムを作る際のデータベース構築を試行するというもう一つの意図もあるため、特定のキーワードを指定してそれと繋がる因果関係を抽出し、作成したネットワークの有用性の検証も行った。
2. 分析手法の概要
テキストマイニングとは、大量のテキストデータから有用な情報や知識を抽出するプロセスである。テキストデータに含まれる膨大な情報を効率的に整理することで、重要なトレンドや傾向を把握することが可能になる。本分析では、2017年4月から2024年11月までの景気ウォッチャー調査から取得したデータのうち、「景気の現状判断の理由の追加説明及び具体的状況の説明」・「景気の先行きに対する判断理由」の文字数が50以上のものを使用
26 内閣府「景気ウォッチャー調査」は、地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し、景気動向判断の基礎資料とすることを目的として、毎月実施される調査である。家計動向、企業動向、雇用等、代表的な経済活動項目の動向を敏感に反映する現象を観察できる業種の、適当な職種の中から選定した2,050人を調査対象体とする。また、調査事項は、5段階で評価する「景気の現状に対する判断(方向性)」・「景気の先行きに対する判断(方向性)」と、選択式で回答する「景気の現状判断の理由」、自由回答である「景気の現状判断の理由の追加説明及び具体的状況の説明」・「景気の先行きに対する判断理由」となっている。今回の分析では、このうち「景気の現状に対する判断(方向性)」・「景気の先行きに対する判断(方向性)」のデータと、「景気の現状判断の理由の追加説明及び具体的状況の説明」・「景気の先行きに対する判断理由」のテキストデータを使用している。
27 Xiong et al. (2024)
28 「RAG」とは、構造化されていない外部の情報源から、問題に対して関連する情報を検索し、その情報を利用して回答文を生成する手法である。
29 「Graph RAG」及び「Knowledge Graph RAG」では、外部の情報源をグラフ形式で構造化したデータベースから検索することで、従来の「RAG」と比較して、全体の因果関係や文脈などを踏まえた、より精度の高い回答生成が可能となる。
した。使用した回答数は134,840件である。景気ウォッチャー調査には、例えば以下のような回答が含まれる。
「2020年1月;近畿;その他非製造業〔衣服卸〕(経営者);・最近の新型コロナウイルスの悪影響も懸念されるが、既に中国政府の発表で、中国からの輸出の減少がしばらく続くことが予想される。これに伴い、納期の遅れや、販売時期の繰り下げといった、実質的な影響や混乱が生じつつある。業界では、悪い材料が多過ぎるとの見方が大半を占める。;□」
この「□」は5段階で評価する「景気の現状に対する判断(方向性)」・「景気の先行きに対する判断(方向性)」を表し、本コラムでは、景気の現状及び先行きを良いと判断する順に「◎」を5、「○」を4、「□」を3、「▲」を2、「×」を1といった数値に変換して扱う。
テキストデータは表形式でまとまっている構造化データとは異なり、元の非構造化状態のままでの分析が困難である。そのため本コラムでは、大規模言語モデルの一つである「claude-3-5-sonnet-20241022 30 」を活用し、因果表現のペアを抽出した。その抽出例を示したコラム1-1-5①図を見ると、元の回答から因果表現がネットワークとしてまとまっていることが確認できる 31 。
コラム 1-1-5①図 大規模言語モデルを用いた因果関係の抽出例
| 原因 | 結果 |
|---|---|
| 最近の新型コロナウイルスの悪影響も懸念 | 業界では、悪い材料が多過ぎるとの見方が大半 |
| 中国からの輸出の減少がしばらく続くことが予想 | 納期の遅れ |
| 中国からの輸出の減少がしばらく続くことが予想 | 販売時期の繰り下げ |
| 納期の遅れ | 実質的な影響や混乱が生じつつある |
| 販売時期の繰り下げ | 実質的な影響や混乱が生じつつある |
| 実質的な影響や混乱が生じつつある | 業界では、悪い材料が多過ぎるとの見方が大半 |
| 業界では、悪い材料が多過ぎるとの見方が大半 | 3 |
資料:内閣府「景気ウォッチャー調査」より中小企業庁作成
(注)右の図は、左の表をネットワークとして可視化したもの。矢印は因果関係を表している。
抽出した表現をそのままネットワーク分析に用いることも可能だが、例えば「レストラン関連はディナー利用が伸び悩んでいる」、「レストランのディナー帯の利用が伸び悩む」などは同じ意味としてまとめることで、複数の回答のつなぎ合わせがより有用となる。この処理について最も簡単な方法は、Matsuoka et al. (2024) で示されているように、各表現を文埋め込みによってベクトル表現に変換し、k-平均法 32 やノイズを含むアプリケーションのための密度に基づく空間クラスタリング(Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise、以
30 GPT-4oとClaudeのそれぞれの抽出結果を比較したところ、後者の方が精度が高かったため、本コラムではClaudeを採用した。
31 本稿の作成においては、久野遼平氏(中小企業庁事業環境部調査室、東京大学大学院情報理工学系研究科講師)が中心となって分析作業を行った。実際のプロンプトでは因果表現以外も抜き出しており、ここでは扱っていないが、今回の分析で使用した正確なプロンプトなどは、以下の「GitHub」にて久野氏が整理・公開している(外部サイト: https://github.com/hisanor013/HierarchicalNarratives )。
32 「k-平均法」は、各グループの中心点となるk個のデータを選び、各データを最も近い中心点のグループに割り当ててことで、類似したデータをk個のグループに分類する手法である。
下「DBSCAN 33 」などのクラスタリング手法を用いることである。しかし、今回のケースでは「新型コロナウイルスが終息傾向」、「新型コロナウイルスの出口がなかなか見通せない」、「新型コロナウイルス感染の脅威が高まっている」が同じものと判定されるなど、景況感に関係する正負の向きの情報を適切に抽出できない。特に、正負の向きに関する情報の区別がつかないことは、景況感の分析という観点からは致命的な問題となる。
そこで今回の分析では、フレーズ埋め込みのクラスタリング結果を大規模言語モデルによって更に改良する方法を採用した。これによって「新型コロナウイルス感染症の5類移行」、「新型コロナウイルスの5類感染症への移行」、「新型コロナウイルスが5類感染症に移行」などが同じ意味としてまとめられ、表記揺れをより人間の判断に近い分類に整理できる 34 。本分析では、このように表記揺れを吸収した表現をノードとして構築したネットワークを使用する。
3. マクロの分析結果
景気ウォッチャー調査の134,840件の回答から因果関係を抽出して構築したネットワークは、ノード数124,286、エッジ数284,439という比較的大きなネットワークとなる 35 。このサイズのネットワークの可視化は困難であるため、次数15以上のノード 36 に絞ったものをコラム1-1-5②図に示す 37 (ノード数2,681、エッジ数60,638)。各ノードのサイズは次数を表し、色はコミュニティ抽出によるクラスタリング結果を示している 38 。全体として、右側には景気判断が上向きを表す「4」や「5」に向かう表現が、左側には下向きを表す「1」、「2」に向かう表現が分布していることが分かる。中立を表す「3」はその中間に位置し、コミュニティ抽出の結果では他と色が異なっており独立したコミュニティを形成していることも注目に値する。これは、多様な回答者が景気判断について言及しているにもかかわらず、景気判断の理由付けにある程度の共通性が見られることを示唆している。
33 「DBSCAN」は、各データの位置から確認した密度を用いて、密度が高い場所にいるデータは同じグループとして結合していく手法である。どのデータからも離れているデータはノイズ(外れ値)として扱われるという特性がある。
34 本分析作業の詳細は、久野氏が講師を務める東京大学大学院の講義の関連記事において取りまとめている(外部サイト: http://dss.i.u-tokyo.ac.jp/blog/practical-graph-rag-1/ )。
35 ここで「ノード」とはテキストデータから切り出した単語やフレーズといった要素を表し、「エッジ」とは因果関係といったノード同士の関係性やつながりを表す。
36 ここで「次数」とは、各ノードにつながっているエッジの数を表す。次数が低いノードは、エッジが少なく他のノードとの関係性が薄いため、全体のトレンドや傾向を把握するに当たり、ここでは次数15以上のノードに絞る処理を行っている。
37 本コラムにおける全ての図表の詳細版は、以下の久野氏個人のホームページにて確認可能(外部サイト: https://www.rhisano.com/figures )。
38 久野・大西・渡辺(2024)に基づく。
コラム
1-1-5②図
構築したネットワークの全体図
資料:内閣府「景気ウォッチャー調査」より中小企業庁作成
(注) 1. 図中の点は「ノード」、矢印は「エッジ」を表す。また、図中の文字は、代表的なノードの文言を抜粋して示したものである。
2. 図中の1~5の数字は、1を「悪い」、5を「良い」とする5段階の景気判断の回答。
3. 2017年4月から2024年11月までの内閣府「景気ウォッチャー調査」から取得したデータを対象に、次数15以上のノードに絞って可視化したネットワークを表示している。
次に時期ごとのネットワークの変化を分析する。2017年4月から、各年度を上半期と下半期に分けて分析を行う。なお、本分析のデータ収集時点に公開されていたデータの最新時点は2024年11月であったため、2024年度下半期は2か月分のデータしか含まれていないことに留意が必要である。
コラム1-1-5③図は、2017年度上半期・2020年度上半期・2021年度上半期・2024年度上半期の各時期のネットワークを可視化したものである。これを見ると、2017年度上半期においては、左上の「新型コロナウイルスの影響」を起点としたネガティブな影響に対応する部分のエッジが見られない。一方、2020年度上半期と2021年度上半期については、2020年度上半期では「新型コロナウイルスの影響」を起点とした負の影響に関するエッジが増加し、2021年度上半期では右上に位置するワクチン接種などの正の影響に対応するエッジも増加している。2024年度上半期では「新型コロナウイルスの影響」に関するエッジは減少し、下部に見られる物価高や円安の負の影響が顕著となっている。このように構築したネットワークは、時期ごとの特徴の違いを明確に捉えている。
コラム
1-1-5③図
時期別に見たネットワーク図
資料:内閣府「景気ウォッチャー調査」より中小企業庁作成
(注)1. 図中の点は「ノード」、矢印は「エッジ」を表す。
2. 図中の文字は、2017年4月から2024年11月までの全期間における代表的なノードの文言を抜粋して示したものの、いずれの時期でも同一の位置に表示されているが、当該時期に必ずしもその文言に当たるノードが確認されているとは限らない。
このような時期によるネットワークの違いを定量的に分析するため、期間ごとのネットワークの類似度を計算したものをコラム1-1-5④図に示す。(1)からは、ネットワークが1年から1年半程度は類似性を保持すること、また2020年度上半期がいずれの時期とも類似度が低く、特異な時期となっていることが明らかとなっている。2024年度下半期の特異性については、データ量が十分に蓄積されていないことが要因と考えられる。コラム1-1-5④図の(2)は、参考として、ネットワーク間の類似度を基に各時期をt分布型確率的近傍埋め込み法(t-distributed stochastic neighbor embedding、以下、「t-SNE」という 39 。)によって低次元化したものを示したものである。この図からは、時間的に近接する期間のネットワークが空間的にも近接して配置される傾向が明確に表れている。
39 詳細は、van der Maaten and Hinton(2008)による。
コラム
1-1-5④図
時期ごとに見たネットワークの類似度
(1) Clustered Accounting Period Similarity Matrix
This heatmap displays the similarity between various accounting periods. The y-axis and x-axis both list 16 periods: 2017-April_to_September, 2017-October_to_March, 2018-April_to_September, 2018-October_to_March, 2019-April_to_September, 2019-October_to_March, 2020-April_to_September, 2020-October_to_March, 2021-April_to_September, 2021-October_to_March, 2022-April_to_September, 2022-October_to_March, 2023-April_to_September, 2023-October_to_March, 2024-April_to_September, and 2024-October_to_March. The diagonal line of dark squares indicates that each period has a similarity of 1 with itself. The matrix is symmetric. The color scale on the right indicates similarity values from 0.0000 to 0.0200.
(2) Accounting Period Subnetwork Similarity
This scatter plot shows the relationship between Dimension 1 and Dimension 2 for the accounting periods. The x-axis (Dimension 1) ranges from -20 to 40, and the y-axis (Dimension 2) ranges from -30 to 30. The periods are plotted as points: 2018-October_to_March (top right), 2019-October_to_March, 2019-April_to_September, 2020-April_to_September (left), 2017-April_to_September, 2018-April_to_September, 2017-October_to_March, 2020-October_to_March (left), 2021-April_to_September, 2023-April_to_September, 2021-October_to_March (left), 2023-October_to_March, 2024-October_to_March (bottom right), 2022-October_to_March (bottom left), 2024-April_to_September, and 2022-April_to_September (bottom left).
資料:内閣府「景気ウォッチャー調査」より中小企業庁作成
(注) 1. (1) は、半期ごとに作成したネットワークを各半期同士で確認した類似度について行列として表したもので、色が明るいほどネットワークの類似度が高く、暗いほど類似度が低いことを表す。
2. (2) は、多次元空間で表されるネットワークに対して低次元化する処理を行うことで、ネットワークの類似度を二次元に可視化したもの。類似度の高いネットワークは近接して表示されている。
第1節
第2節
第3節
第4節
第5節
第6節
第7節
第8節
第9節
コラム1-1-5⑤図は、業種間における同様の分析結果を示したものである。(1)のネットワークの類似度を示した行列から、「スーパー」、「コンビニ」、「衣料品専門店」などの間で高い類似度が観察される。また、(2)のネットワーク間の類似度を基に各業種をt-SNEによって低次元化した図からは、事業環境が類似している業種が空間的に近接して配置される傾向が見られ、これは直感的な業種間の関係性とも整合的である。このような分析結果は、構築されたネットワークがマクロ的な産業構造を適切に捉えていることを示唆している。
コラム 1-1-5⑤図 業種ごとに見たネットワークの類似度
(1) Clustered Industry Similarity Matrix
This heatmap displays the similarity between various industries. The axes are labeled with industry names such as 電気機械器具製造業, 自動車部品, 人材派遣, 飲食, 建設業, etc. The color scale on the right indicates similarity values from 0.0000 (dark blue) to 0.0175 (yellow). Brighter colors indicate higher similarity, notably between 衣料品専門店, コンビニ, and スーパー.
(2) Industry Subnetwork Similarity
This t-SNE plot shows the low-dimensional representation of industries based on network similarity. The x-axis is Dimension 1 and the y-axis is Dimension 2. Industries are clustered based on similarity, with 衣料品専門店, コンビニ, and スーパー appearing in close proximity.
資料:内閣府「景気ウォッチャー調査」より中小企業庁作成
(注) 1. (1)は、業種ごとに作成したネットワークを各業種同士で確認した類似度について行列として表したもので、色が明るいほどネットワークの類似度が高く、暗いほど類似度が低いことを表す。
2. (2)は、多次元空間で表されるネットワークに対して低次元化する処理を行うことで、ネットワークの類似度を二次元に可視化したもの。類似度の高いネットワークは近接して表示されている。
4. ミクロの分析結果
ここまでネットワークをマクロの視点から分析してきた。次にミクロ的な観点から、各業種におけるナラティブ 40 の相違を分析する。この分析の目的は、指定時点における特定キーワードを起点とするナラティブの業種間の違いを明らかにすることである。同時に、Graph RAGやKnowledge Graph RAGを構築する上で、本コラムで作成したネットワークの有用性を検証するという目的もある。
ここでは昨今の物価高に着目し、特定キーワードを起点として、景気判断の「1」~「5」に至るまで五つのエッジで構成されるパスを分析対象とする。しかし、この方法では、業種によってはそうしたパスが全く存在しない場合や、非常に多くのパスが抽出される場合がある。特に後者の場合、個々のパスの精査に多大な労力を要する。
そこで本コラムでは、パスに含まれる情報を用いて順位付けを行った上位の結果を表示する。具体的には、パスが複数のエッジの連なりによって構成され、各エッジには少なくとも一つ以上の裏付けとなる景気ウォッチャー調査の回答が存在することから、回答に付随する時点や業種の情報を活用する方法を採用した。
まず、エッジごとに裏付けとなる回答の時点情報に注目し、指定時点との最小時間差をそのパスの時間として設定した。このパスの時間に対して指定時点からの時間的距離に応じて指数関数的に減少するウェイトを設定し、エッジごとにウェイトを算出した。各パスのウェイトは、パスを構築する五つのエッジのウェイトの平均値として定義した。指定時点になるべく近いパスの方が、その時点におけるナラティブをより正確に反映していると考えられるため、ウェイトの大きい順に並び替える。次に、パスを構築する五つのエッジにおいて指定業種以外の回答の使用を最大一つまでに制限し、指定業種の回答のみで構成されるパスを優先的に配置した。これら二つの基準で大部分の順位付けが可能となるが、順位の曖昧さが残る可能性を考慮し、各エッジを支える回答数の平均値も補助的な情報として付加した。これらの情報を活用することで、特定時点における特定のキーワードに関する業種別ナラティブの相違を効率的に把握することが可能となる。
ここでは、2024年12月31日を基準時点とし、次の物価高に関するキーワードに注目した。「消費者の節約志向」、「財布のひもは固くなる」、「買上点数が減少」、「消費者の買い控えが顕著」、「来客数が十分に戻っていない」、「生活防衛を意識する動き」、「消費が低迷」、「来客数の減少が止まらない」、「可処分所得は大して増えていない」、「客足が遠のく」の計10個である。これらは各ノードについて大規模言語モデルに消費動向との関係を尋ねた結果、関係があると判断されたもののうち、出現回数が多かった上位10件に該当する。
これらのキーワードから出発して5ステップで景気判断にたどり着くパスを、上記の基準に基づいて並び替え、いくつかの業種についてまとめたものがコラム1-1-5⑥図である。この図から分かることは、どの業種も「消費者の節約志向」という共通の課題に直面していることである。各業種の経営者の回答からは、「来客数が十分に戻っていない」や「売上の減少」といった具体的な影響が浮かび上がってきた。
しかし、この共通した逆風の中で、各業種は異なる対応策を模索している。「食料品製造業」では、国内市場の縮小に対して「東南アジア向けの輸出が増加」しており、新たな成長の可能性を見いだしている。この動きは、他の業種とは一線を画す前向きな戦略として注目される。一方、「都市型ホテル」は「販売価格に転嫁できていない」状況に直面し、「経営が大変」な状況が続いている。また、小売業界内部でも、業態による違いが顕著である。「百貨店」では「消費分野の2極化」という構造変化への対応を迫られる一方、「スーパー」では「買上点数が減少」という課題に直面している。「コンビニ」は、「たばこの買い控えが続いている」や「フランチャイズシステムの維持に不安がある」という独自の課題を抱えている。他方で、「金融業」は、これらの消費動向をマクロの視点から注視しており、その分析から「先行き不透明感がますます強くなる」という認識を示している。この見方は、多くの業種で共有されている「景気がまだまだ良くない」という認識とも呼応している。
40 ここでの「ナラティブ」とは、「物語」や「叙述」などと訳され、出来事や状況を伝える一連のストーリーを意味する。すなわち、本コラムにおける「ナラティブ」とは、ノード同士の因果関係などから構築された、回答者の景況感の認識に至る一連のストーリー構造を表す。
コラム
1-1-5⑥図
物価高に関するキーワードに注目した各業種のコラティブ
【業種】百貨店
(消費者の節約志向→財布のひもは固くなる→消費が低迷→景気がまだまだ良くない→当面は現状維持で推移→3)
(消費者の買い控えが顕著→買い回り品といわれる一般商品の動きは良くない→消費分野の2極化→トータルでは横ばい→3)
(来客数の減少が止まらない→売上は落ち込んでいる→停滞した現状→まだしばらくは続く→4)
(来客数の減少が止まらない→売上は落ち込んでいる→停滞した現状→まだしばらくは続く→3)
(消費が低迷→大きな改善は期待できない→生活防衛を意識する動き→売上は厳しい→3)
【業種】スーパー
(来客数が十分に戻っていない→買上点数が減少→売上が落ちている→景気がまだまだ良くない→厳しくなる可能性→1)
(買上点数が減少→消費が低迷→3か月前と比較し、明らかに販売状況が悪化→景気は少しずつ悪くなっている→1)
(買上点数が減少→消費が低迷→3か月前と比較し、明らかに販売状況が悪化→景気は少しずつ悪くなっている→2)
(生活防衛を意識する動き→価格にシビアになっており→節約傾向が強い→大きく変わった様子はない→3)
(来客数が十分に戻っていない→買上点数が減少→売上が落ちている→景気がまだまだ良くない→厳しくなる可能性→2)
【業種】コンビニ
(来客数が十分に戻っていない→経営が大変→多くのオーナーが辞めることになる→フランチャイズシステムの維持に不安がある→1)
(来客数が十分に戻っていない→たばこの買い控えが続いている→売上の減少→経営が大変→2)
(客数が十分に戻っていない→たばこの買い控えが続いている→売上の減少→経営が大変→3)
(来客数が十分に戻っていない→経営が大変→利益が出ない→景気がまだまだ良くない→変わらない→3)
(来客数が十分に戻っていない→たばこの買い控えが続いている→売上の減少→経営が大変→4)
【業種】食料品製造業
(来客数が十分に戻っていない→売上の減少→利益の出ない状況となっている→景気は現状と大きく変わらない→3)
(消費者の節約志向→最低限の物しか購入せず→販売の数量は減少→売上が低迷→経営が大変→2)
(消費者の節約志向→最低限の物しか購入せず→販売の数量は減少→売上が低迷→経営が大変→3)
(来客数が十分に戻っていない→売上の減少→かなりの不安定さを生んでいる→東南アジア向けの輸出が増加しつつある→前年超えで推移→4)
(来客数が十分に戻っていない→売上の減少→かなりの不安定さを生んでいる→東南アジア向けの輸出が増加しつつある→好調を維持→3)
【業種】都市型ホテル
(生活防衛を意識する動き→客は価格に敏感→販売価格に転嫁できていない→経営が大変→利益が出ない→3)
(生活防衛を意識する動き→客は価格に敏感→販売価格に転嫁できていない→経営が大変→景気に大きく影響するような変化はない→3)
(生活防衛を意識する動き→客は価格に敏感→販売価格に転嫁できていない→経営が大変→2)
(生活防衛を意識する動き→客は価格に敏感→販売価格に転嫁できていない→経営が大変→3)
(生活防衛を意識する動き→客は価格に敏感→販売価格に転嫁できていない→経営が大変→見通しが立たない→3)
【業種】金融業
(消費が低迷→景気がまだまだ良くない→消費者の節約志向→マイナス要因となる→先行き不透明感がますます強くなる→2)
(消費が低迷→景気がまだまだ良くない→消費者の節約志向→マイナス要因となる→先行き不透明感がますます強くなる→3)
(消費者の節約志向→マイナス要因となる→先行き不透明感がますます強くなる→不安になることがある→2)
(消費者の節約志向→マイナス要因となる→先行き不透明感がますます強くなる→現状維持→3)
(消費が低迷→景気がまだまだ良くない→消費者の節約志向→マイナス要因となる→特に変化は感じられない→3)
資料:内閣府「景気ウォッチャー調査」より中小企業庁作成
(注) 2024年12月31日を基準時点とし、物価高に関するキーワードに注目した場合に抽出される各業種のアラティプについて、特定の条件で並び替えた上位5件を表示している。
5. 分析結果のまとめ
本コラムでは、内閣府「景気ウォッチャー調査」を用いて因果関係を表すネットワークを構築して分析した結果を紹介した。最初に、そのネットワークの時間的推移や業種ごとの違いに焦点を当てたマクロ分析を行い、時期や業種ごとに適切なネットワークが形成されていることを確認した。次に、ミクロの視点から2024年12月時点の消費動向に関する業種別のアラティプを分析したところ、全業種が「消費者の節約志向」という共通課題に直面し、多くの業種で「景気がまだまだ良くない」という認識が共有されていることが判明した。
その一方で、この厳しい環境下でも、各業種の事業者は自らの特性に応じた対応策を模索していることも判明した。例えば、食料品製造業では「東南アジア向けの輸出が増加」した結果、「前年超えで推移」あるいは「好調を維持」といった動きが見られ始めており、一つの方向性を示唆している可能性がある。現状、多くの業種で「現状維持」や「大きく変わった様子はない」という停滞的な見通しが示されているものの、各業種が直面する課題の性質は異なるため、求められる解決策も業種ごとに異なる。この状況は、我が国の事業者が単一の処方箋ではなく、業界特性に応じた多様な対応策を必要としていることを示している。
最後に、今回構築したネットワークは、マクロの観点からもミクロの観点からも意義のあるものといえる。将来的にはこうした技術と生成AIを更に掛け合わせることで、テキストデータからエビデンスに基づいた示唆を与える検索システムが構築され、そこから把握できる情報が経営戦略検討や政策立案において有効活用されることが期待される。
第3節 雇用環境・労働移動
本節では、中小企業・小規模事業者の雇用環境・労働移動について確認する。
第1-1-21図は、アンケート調査 41 で中小企業・小規模事業者が最も重視する経営課題を確認したものである。これを見ると、「中規模企業」、「小規模事業者」共に「人材確保」と回答する割合が最も高く、人材不足への対応は企業規模にかかわ
らず中小企業・小規模事業者の共通課題といえる。また、「中規模企業」では「省力化・生産性向上」、「小規模事業者」では「事業承継(後継者不在を含む)」の回答割合が「人材確保」に次いで高く、こうした面にも人材不足への課題感が表れていると推察される。
第1-1-21図 最も重視する経営課題(企業規模別)
| 企業規模 | 人材確保 | 省力化・生産性向上 | 受注・販売の拡大 | 事業承継(後継者不在を含む) | 価格転嫁 | 資金繰り改善 | その他 | 特にない |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中規模企業 (n=13,053) | 22.3% | 20.9% | 14.3% | 14.1% | 10.2% | 5.3% | 8.7% | |
| 小規模事業者 (n=9,645) | 23.0% | 12.7% | 15.3% | 15.7% | 11.0% | 8.2% | 11.1% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)「直面している経営課題のうち、まだ取り組んでいないが、これから着手する必要があるもの」で最も重要なものについて聞いたもの。
41 (株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」:(株)帝国データバンクが2024年11月から12月にかけて、以下の事業者を対象に実施したWebアンケート調査。
・全国75,000者の事業者【有効回答数:17,848者、回収率23.8%】
※調査を進める中で判明した大企業170社を除いた中小企業・小規模事業者17,678者について分析を行った。
・商工会及び商工会議所の会員である小規模事業者【有効回答数:6,910者】
なお、中小企業とは、中小企業基本法第2条第1項の規定に基づく「中小企業者」をいう。また、小規模事業者とは、同法同条第5項の規定に基づく「小規模事業者」をいう。さらに、中規模企業とは「小規模事業者」以外の「中小企業者」をいう。
第1-1-22図は、景況調査を用いて、企業規模別に従業員数過不足DIの推移を見たものである。中小企業・小規模事業者の人材不足は依然として深刻であり、企業規模別に見ると「中規模企業」
の不足感が特に強いことが分かる。また、業種別に見ると「建設業」において特に不足感が強いことが分かる(第1-1-23図)。
第1-1-22図 従業員数過不足DIの推移(企業規模別)
資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」
(注)従業員数過不足DIは、従業員数の今期の水準について、「過剰」と答えた企業の割合(%)から、「不足」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。
第1節
第2節
第3節
第4節
第5節
第6節
第7節
第8節
第9節
第1-1-23図 従業員数過不足DIの推移(業種別)
The chart displays the Employee Over/Understaffing DI (DI, %pt) for five industries from 1994 to 2024. The Y-axis represents the DI in percentage points, ranging from -60 to 30. The X-axis shows quarterly data from 1994 (94Q1) to 2024 (24Q1). A horizontal line at 0 indicates the 'current level' (今期の水準). The data shows significant fluctuations, with a notable sharp decline in the Construction industry (blue line) starting around 2012, reaching a low of approximately -45%pt in 2020, and ending around -42%pt in 2024. Other industries show more moderate declines, with Manufacturing (orange) and Service (green) ending around -20%pt and -25%pt respectively. Wholesale (red) and Small Retail (purple) remain relatively stable, ending around -15%pt and -10%pt.
| 業種 | 94Q1 | 96Q1 | 98Q1 | 00Q1 | 02Q1 | 04Q1 | 06Q1 | 08Q1 | 10Q1 | 12Q1 | 14Q1 | 16Q1 | 18Q1 | 20Q1 | 22Q1 | 24Q1 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 建設業 | -20 | -18 | -15 | -10 | -5 | -2 | -1 | 0 | 5 | 0 | -15 | -25 | -35 | -45 | -35 | -42 |
| 製造業 | -5 | -2 | 5 | 10 | 5 | 0 | -2 | 15 | 10 | 5 | -5 | -10 | -15 | -20 | -15 | -20 |
| 卸売業 | 5 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 小売業 | -5 | -2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| サービス業 | -10 | -8 | -5 | -2 | -1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」
(注)従業員数過不足DIは、従業員数の今期の水準について、「過剰」と答えた企業の割合(%)から、「不足」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。
第1-1-24図は、総務省「労働力調査(基本集計)」を用いて、完全失業率・完全失業者数・就業者数の推移を見たものである。「完全失業率」は、2002年をピークに、リーマン・ショック以
降の2009年及び感染症の感染が拡大した2020年の上昇を除いて長期的には低下傾向にある。「就業者数」については、2020年に僅かに減少したものの、足下では増加傾向にある。
第1-1-24図 完全失業率・完全失業者数・就業者数の推移
資料:総務省「労働力調査(基本集計)」
第1節
第2節
第3節
第4節
第5節
第6節
第7節
第8節
第9節
第1-1-25図は、厚生労働省「職業安定業務統計」を用いて、有効求人倍率、有効求職者数及び有効求人数の推移を見たものである。これを見る
と、足下では「有効求人倍率」、「有効求職者数」及び「有効求人数」のいずれもおおむね横ばいであることが分かる。
第1-1-25図 有効求人倍率・有効求職者数・有効求人数の推移
(倍)
(百万人)
07/01 09/01 11/01 13/01 15/01 17/01 19/01 21/01 23/01 25/01
(年/月)
■ 有効求人倍率(左軸) — 有効求職者数(右軸) — 有効求人数(右軸)
資料:厚生労働省「職業安定業務統計」
(注)季節調整値。
ここからは、雇用者数の増減の推移について確認する。
まず、雇用者数の増減の推移を見ると、2024年の「合計」は前年比で増加している。産業別に
見ると「情報通信業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「医療、福祉」の増加幅が大きく、「製造業」の減少幅が大きいことが分かる(第1-1-26図)。
第1-1-26図 雇用者数の増減の推移(前年比、産業別)
| 産業 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 製造業 | 30 | 40 | 30 | 40 | 20 | -40 | -20 | -30 | -10 | -10 |
| 情報通信業 | 5 | 10 | 10 | 15 | 10 | 10 | 15 | 10 | 10 | 15 |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 10 | 15 | 15 | 20 | 10 | -10 | 10 | 10 | 10 | 15 |
| 医療、福祉 | 10 | 15 | 15 | 20 | 10 | 10 | 15 | 10 | 10 | 15 |
| 合計 | 50 | 90 | 70 | 100 | 50 | -10 | 20 | 10 | 20 | 40 |
資料:総務省「労働力調査(基本集計)」
(注)1.「合計」については、各系列の合計となっており、雇用者総数とは異なる。
2.2020年国勢調査結果に基づく推計人口をベンチマークとして遡及又は補正した時系列接続用数値を用いている。
次に、年齢階級・性・雇用形態別に、雇用者数の増減の推移(前年比)を見ると、「15~64歳・女性・正規」については2015年以降一貫して増加していることが分かる。
また、「15~64歳・男性・正規」については、2024年で増加に転じた(第1-1-27図)。
第1-1-27図 雇用者数の増減の推移(前年比、年齢階級・性・雇用形態別)
| 年 | 15~64歳・男性・正規 | 15~64歳・男性・非正規 | 65歳以上・男性・正規 | 65歳以上・男性・非正規 | 15~64歳・女性・正規 | 15~64歳・女性・非正規 | 65歳以上・女性・正規 | 65歳以上・女性・非正規 | 総数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2015 | 10 | -10 | 5 | 20 | 25 | 0 | 0 | 15 | 45 |
| 2016 | 15 | 0 | 5 | 20 | 35 | 0 | 0 | 15 | 90 |
| 2017 | 20 | -10 | 5 | 20 | 35 | 0 | 0 | 15 | 80 |
| 2018 | 30 | 0 | 5 | 20 | 50 | 45 | 0 | 15 | 140 |
| 2019 | 10 | 0 | 5 | 20 | 25 | 15 | 0 | 15 | 70 |
| 2020 | -10 | -10 | 5 | 10 | 35 | -70 | 0 | 10 | -60 |
| 2021 | 10 | 0 | 5 | 10 | 25 | -15 | 0 | 10 | 15 |
| 2022 | 10 | 0 | 5 | 10 | 25 | 0 | 0 | 10 | 30 |
| 2023 | 10 | 0 | 5 | 10 | 25 | 0 | 0 | 10 | 40 |
| 2024 | 10 | 0 | 5 | 10 | 35 | -10 | 0 | 15 | 45 |
資料:総務省「労働力調査(基本集計)」
(注)2020年国勢調査結果に基づく推計人口をベンチマークとして遡及又は補正した時系列接続用数値を用いている。
また、従業員規模別に雇用者数の増減の推移(前年比)を見ると、「合計」は増加傾向にあり、中でも、「500人以上」及び「100~499人」の従業員規模が比較的大きい事業者における増加数
が大きい。「1~4人」、「5~9人」では2024年で増加に転じた一方、「10~29人」の事業者では減少が続いた(第1-1-28図)。
第1-1-28図 雇用者数の増減の推移(前年比、従業員規模別)
| 年 | 1~4人 | 5~9人 | 10~29人 | 30~99人 | 100~499人 | 500人以上 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2015 | -10 | -10 | 0 | 10 | 20 | 25 | 50 |
| 2016 | -10 | -10 | 0 | 20 | 10 | 60 | 90 |
| 2017 | -5 | -5 | 5 | 5 | 15 | 55 | 65 |
| 2018 | 5 | 5 | 10 | 10 | 10 | 85 | 120 |
| 2019 | -5 | -5 | 0 | 10 | 15 | 40 | 55 |
| 2020 | -10 | -10 | -5 | -10 | -5 | 10 | -15 |
| 2021 | 5 | 5 | 0 | 10 | 10 | 45 | 75 |
| 2022 | 0 | 0 | 0 | 5 | 10 | 30 | 45 |
| 2023 | 0 | 0 | 0 | 10 | 15 | 35 | 60 |
| 2024 | 5 | 5 | 0 | 10 | 20 | 40 | 80 |
資料:総務省「労働力調査(基本集計)」
(注)1.農林業・漁業を除く雇用者数の増減を示している。
2.「合計」については、各系列の合計となっており、雇用者総数とは異なる。
3.2020年国勢調査結果に基づく推計人口をベンチマークとして遡及又は補正した時系列接続用数値を用いている。
ここまで確認してきたような雇用者数の増減について、労働移動という観点から、どのような産業間で動きが活発であるのかを確認する。
第1-1-29図は、中小企業における産業間の労働移動の状況を見たものである。これを見ると、
特に労働移動が活発である産業は、「宿泊業、飲食サービス業」、「製造業」、「建設業」、「サービス業(他に分類されないもの)」であり、いずれも同産業間での労働移動が多いことが分かる。
第1-1-29図 中小企業における産業間の労働移動の状況(労働者数、2020~2023年)
【現職の産業】
建設業 製造業 情報通信業 運輸業、郵便業 卸売業、小売業
【現職の産業】
宿泊業、飲食サービス業 生活関連サービス業、娯楽業 教育、学習支援業 医療、福祉 サービス業(他に分類されないもの)
【前職の産業】
- 建設業
- 製造業
- 情報通信業
- 運輸業、郵便業
- 卸売業、小売業
- 宿泊業、飲食サービス業
- 生活関連サービス業、娯楽業
- 教育、学習支援業
- 医療、福祉
- サービス業(他に分類されないもの)
- その他
資料:総務省「労働力調査」再加工
(注) 1. 2020~2023年における労働移動について、現職の産業別に、前職の産業について集計したもの。
2. 以下の労働者について集計している。
・調査回答時点で仕事についており、現職以前に職歴があって、前職を「過去3年以内にやめた」と回答した労働者
・「勤め先(現職)の従業者数」及び「勤め先(前職)の従業者数」について、「1人」、「2~4人」、「5~9人」、「10~29人」、「30~99人」と回答した労働者
第1節
第2節
第3節
第4節
第5節
第6節
第7節
第8節
第9節
第1-1-30図は、第1-1-29図で確認した中小企業における産業間の労働移動について、現職の産業別に、前職の産業の割合を見たものである。これを見ると、いずれの産業も同産業間での労働移動の割合が最も高いことが分かる。一方で、「卸
売業、小売業」、「生活関連サービス業、娯楽業」、「サービス業(他に分類されないもの)」は、他の産業と比べ、同産業間での労働移動の割合が低く、異なる産業から労働者が参入している傾向がうかがえる。
第1-1-30図 中小企業における産業間の労働移動の状況(前職の産業の割合、2020~2023年)
【前職の産業】
- ■ 建設業
- ■ 製造業
- ■ 情報通信業
- ■ 運輸業、郵便業
- ■ 卸売業、小売業
- ■ 宿泊業、飲食サービス業
- ■ 生活関連サービス業、娯楽業
- ■ 教育、学習支援業
- ■ 医療、福祉
- ■ サービス業(他に分類されないもの)
- ■ その他
資料:総務省「労働力調査」再編加工
(注) 1. 2020~2023年における労働移動について、現職の産業別に、前職の産業の割合を見たものである。
2. 以下の労働者について集計している。
・調査回答時点で仕事についており、現職以前に職歴があって、前職を「過去3年以内にやめた」と回答した労働者
・「勤め先(現職)の従業者数」及び「勤め先(前職)の従業者数」について、「1人」、「2~4人」、「5~9人」、「10~29人」、「30~99人」と回答した労働者
第4節 労働生産性・設備投資
本節では、労働生産性・設備投資の動向について確認する。
第1-1-31図は、企業規模別に労働生産性(従業員一人当たり付加価値額)の推移を見たものである。これを見ると、「大企業」では増加傾向にあるが、「中規模企業」、「小規模企業」ではおお
むね横ばいが続いており、約30年前と比較すると緩やかに減少している。
また、中小企業の労働生産性の推移を業種別に見ると、多くの業種において横ばいの傾向で推移しており、特にサービス業の伸びは小さい傾向にある(第1-1-32図)。
第1-1-31図 労働生産性の推移(企業規模別)
| 年 | 大企業 (万円) | 中規模企業 (万円) | 小規模企業 (万円) |
|---|---|---|---|
| 1989 | 1,120 | 580 | 520 |
| 1991 | 1,150 | 610 | 550 |
| 1993 | 1,080 | 600 | 550 |
| 1995 | 1,180 | 610 | 560 |
| 1997 | 1,200 | 600 | 550 |
| 1999 | 1,150 | 580 | 500 |
| 2001 | 1,250 | 570 | 500 |
| 2003 | 1,280 | 580 | 500 |
| 2005 | 1,350 | 540 | 450 |
| 2007 | 1,360 | 550 | 480 |
| 2009 | 1,050 | 540 | 430 |
| 2011 | 1,120 | 550 | 480 |
| 2013 | 1,220 | 550 | 480 |
| 2015 | 1,300 | 580 | 500 |
| 2017 | 1,380 | 580 | 500 |
| 2019 | 1,300 | 550 | 480 |
| 2021 | 1,150 | 540 | 450 |
| 2023 | 1,588.8 | 578.5 | 503.3 |
資料:財務省「法人企業統計調査年報」
(注)1.ここでの大企業とは資本金10億円以上の企業、中規模企業とは資本金1千万円以上1億円未満、小規模企業とは資本金1千万円未満の企業とする。
2.金融業、保険業は含まれていない。
3.労働生産性は「従業員一人当たり付加価値額」、付加価値額=営業純益(営業利益-支払利息等)+人件費+支払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課。
第1-1-32図 中小企業における労働生産性の推移(業種別)
| 業種 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 建設業 | 580 | 600 | 680 | 650 | 650 | 700 | 680 | 750 | 750 | 700 | 730 | 700 | 700 | 750 | 800 |
| 情報通信業 | 650 | 580 | 620 | 720 | 650 | 680 | 700 | 700 | 750 | 680 | 650 | 600 | 550 | 650 | 550 |
| 卸売業・小売業 | 520 | 530 | 550 | 560 | 530 | 550 | 580 | 570 | 560 | 560 | 570 | 550 | 550 | 580 | 600 |
| 運輸業・郵便業 | 450 | 440 | 430 | 440 | 450 | 460 | 480 | 450 | 450 | 480 | 500 | 470 | 480 | 480 | 500 |
| 宿泊業・飲食サービス業 | 350 | 340 | 340 | 290 | 320 | 330 | 380 | 380 | 350 | 320 | 290 | 220 | 170 | 300 | 300 |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 460 | 480 | 470 | 550 | 530 | 460 | 450 | 420 | 420 | 390 | 400 | 360 | 350 | 370 | 380 |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 580 | 600 | 680 | 680 | 650 | 700 | 630 | 610 | 680 | 700 | 680 | 700 | 660 | 670 | 640 |
資料:財務省「法人企業統計調査年報」
(注)1. 資本金1億円未満の企業について集計したもの。
2. 労働生産性は「従業員一人当たり付加価値額」、付加価値額=営業純益(営業利益-支払利息等)+人件費+支払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課。
第1節
第2節
第3節
第4節
第5節
第6節
第7節
第8節
第9節
第1-1-33図は、経済産業省「企業活動基本調査」を用いて、業種・企業規模別に、労働生産性の水準ごとの企業割合の累積分布 42 を示したものである。これを見ると、製造業・非製造業のいずれにおいても、中小企業は大企業と比べ低い水準に多くの企業が分布していることが分かる。
また、製造業では約1割、非製造業では約2割
の中小企業が大企業の平均値を上回っていることが分かる 43 。第1-1-31図から分かるように、大企業と中小企業の間での労働生産性の格差が広がっている一方で、大企業を上回る労働生産性を実現している中小企業も一定程度存在していることがうかがえる。
第1-1-33図 労働生産性の水準ごとの企業割合の累積分布(業種別・企業規模別)
(1) 製造業
(2) 非製造業
資料:経済産業省「企業活動基本調査」(2022年度実績)再編加工
(注) 1.労働生産性(従業者一人当たり付加価値額)の分布を10万円/人ごとに集計し、その累積割合を集計した。なお、図表上は労働生産性20百万円/人までの範囲を表示している。
2.労働生産性 = 付加価値額 ÷ 従業者数、付加価値額 = 営業利益 + 給与総額 + 減価償却費 + 福利厚生費 + 勘定・不動産賃借料 + 租税公課
3.中小企業と大企業の分類は、中小企業基本法上の定義に基づく。
42 ここでこの累積分布とは、労働生産性の水準を10万円/人単位で区切り、それぞれの区間ごとに何%の企業が分布しているかを集計した後、足し上げたものを指す。
43 同図では大企業の労働生産性の平均値を表示しているが、この労働生産性の数値に対する累積割合を100%から引くことで、大企業の平均値よりも労働生産性が高い中小企業がどの程度存在するのかを確認することができる。
ここからは、設備投資の動向について確認する。
第1-1-34図は、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」を用いて、生産・営業用設備判断DIの推移を見たものである。これを見ると、中小企業・大企業共にいずれの業種でも2020年には一
時的に過剰感が強まり、2021年から2022年にかけて過剰感は収束した。2024年においては、製造業では過剰感が強まっている傾向、非製造業では不足感が強まっている傾向にある。
第1-1-34図 生産・営業用設備判断DIの推移(企業規模別、業種別)
資料:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
(注)1.ここでの大企業は資本金10億円以上、中小企業は資本金2千万円以上1億円未満の企業とする。なお、2003年第4四半期以前の調査においては、大企業は常用雇用者数1,000人以上、中小企業は常用雇用者数50~299人の企業とする。
2.「生産・営業用設備判断DI」は、生産・営業用設備について、「過剰」と答えた企業の割合(%)から、「不足」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。
第1-1-35図は、企業規模別に設備投資額の推移を見たものである。足下の傾向を見ると、「大企業」では増加している一方で、「中規模企業」
ではおおむね横ばい、「小規模企業」では減少傾向となっている。
第1-1-35図 設備投資額の推移(企業規模別)
| 年度 | 大企業 (兆円) | 中規模企業 (兆円) | 小規模企業 (兆円) |
|---|---|---|---|
| 1989 | 23.0 | 13.5 | 6.5 |
| 1991 | 35.0 | 14.0 | 7.0 |
| 1992 | 28.0 | 15.0 | 6.5 |
| 1993 | 24.0 | 11.5 | 4.5 |
| 1994 | 22.5 | 11.0 | 3.5 |
| 1995 | 23.0 | 11.5 | 3.5 |
| 1996 | 25.0 | 10.0 | 3.0 |
| 1997 | 25.5 | 11.0 | 2.5 |
| 1998 | 23.0 | 8.0 | 2.0 |
| 1999 | 20.0 | 8.5 | 1.5 |
| 2000 | 21.5 | 9.5 | 1.5 |
| 2001 | 20.0 | 9.5 | 1.5 |
| 2002 | 17.5 | 6.5 | 1.5 |
| 2003 | 18.5 | 9.0 | 2.0 |
| 2004 | 23.0 | 9.5 | 2.5 |
| 2005 | 23.0 | 10.0 | 1.5 |
| 2006 | 25.5 | 8.5 | 2.0 |
| 2007 | 26.5 | 9.5 | 2.0 |
| 2008 | 14.0 | 7.5 | 2.5 |
| 2009 | 17.5 | 9.5 | 2.0 |
| 2010 | 19.0 | 8.0 | 1.5 |
| 2011 | 18.5 | 8.5 | 2.0 |
| 2012 | 17.5 | 9.0 | 2.5 |
| 2013 | 18.0 | 10.0 | 3.0 |
| 2014 | 18.5 | 11.0 | 4.0 |
| 2015 | 19.5 | 12.5 | 3.0 |
| 2016 | 19.5 | 13.0 | 3.0 |
| 2017 | 21.0 | 13.5 | 3.5 |
| 2018 | 24.5 | 12.5 | 3.5 |
| 2019 | 21.0 | 10.5 | 3.5 |
| 2020 | 20.5 | 10.0 | 3.5 |
| 2021 | 21.0 | 12.0 | 4.0 |
| 2022 | 22.0 | 12.5 | 4.5 |
| 2023 | 24.5 | 12.8 | 4.2 |
資料:財務省「法人企業統計調査年報」
(注)1.ここでの大企業とは資本金10億円以上の企業、中規模企業とは資本金1千万円以上1億円未満、小規模企業とは資本金1千万円未満の企業とする。
2.設備投資は、ソフトウェアを除く。
3.金融業、保険業は含まない。
第1-1-36図は、前年度の同時期と比較した中小企業の設備投資計画を見たものである。2024
年度の前年度比水準は2023年度のそれと比べて低いことが分かる。
第1-1-36図 中小企業の設備投資計画
| 調査時期 | 2020 (%) | 2021 (%) | 2022 (%) | 2023 (%) | 2024 (%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 3月調査 | -12 | -6 | -12 | 1 | -4 |
| 6月調査 | -17 | 0 | -2 | 2 | -1 |
| 9月調査 | -16 | 4 | 1 | 8 | 3 |
| 12月調査 | -14 | 5 | 4 | 10 | 4 |
| 実績見込み | -11 | 4 | 0 | 8 | - |
| 実績 | -9 | 6 | 4 | 9 | - |
資料:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
(注) ここでの中小企業とは資本金2千万円以上1億円未満の企業とする。
第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 第6節 第7節 第8節 第9節
第1-1-37図は、企業規模別にソフトウェア投資比率 44 の推移を見たものである。これを見ると、近年は「大企業」、「中小企業」共に上昇傾向にあ
るが、「中小企業」は「大企業」と比較して低い水準で推移している。
第1-1-37図 ソフトウェア投資比率の推移(企業規模別)
| 年四半期 | 大企業 (%) | 中小企業 (%) |
|---|---|---|
| 02Q2 | ~5.8 | ~2.5 |
| 04Q2 | ~8.5 | ~3.0 |
| 06Q2 | ~8.5 | ~2.5 |
| 08Q2 | ~8.5 | ~3.5 |
| 10Q2 | ~9.5 | ~5.0 |
| 12Q2 | ~10.5 | ~6.0 |
| 14Q2 | ~10.5 | ~4.0 |
| 16Q2 | ~10.0 | ~4.0 |
| 18Q2 | ~10.0 | ~5.0 |
| 20Q2 | ~12.5 | ~4.0 |
| 22Q2 | ~13.0 | ~6.0 |
| 24Q2 | ~12.9 | ~7.3 |
資料:財務省「法人企業統計調査季報」
(注)1.ここでの大企業とは資本金10億円以上の企業、中小企業とは資本金1千万円以上1億円未満の企業とする。
2.ソフトウェア投資比率=ソフトウェア投資額÷設備投資額×100。
3.金融業、保険業は含まない。
44 ソフトウェア投資額は無形固定資産のうちソフトウェアに関する投資額を指し、資産計上されないものは含まれていないことに留意が必要。
第1-1-38図は、ソフトウェア装備率の分布状況を企業規模別に見たものである。これを見ると、ソフトウェア装備率がゼロ 45 である企業の割合は、「大企業」で約2割である一方、「中規模企業」では約7割、「小規模企業」は約9割となっている。なお、ここでのソフトウェア装備率は
「無形固定資産のうちソフトウェアに関する投資額」を集計したもので、例えばSaaS 46 等のクラウドサービスのように、一定の利用料を支払うことでソフトウェアをサービスとして利用する仕組み等、資産計上されないものは含まれていないことに留意が必要である。
第1-1-38図 ソフトウェア装備率の分布(企業規模別)
| ソフトウェア装備率 (万円/人) | 小規模企業 (%) | 中規模企業 (%) | 大企業 (%) |
|---|---|---|---|
| 0 | 88.0 | 68.5 | 21.5 |
| 10 | 9.7 | 25.7 | 34.1 |
| 20 | 0.0 | 0.0 | 15.0 |
| 30 | 0.0 | 0.0 | 10.0 |
| 40 | 0.0 | 0.0 | 8.0 |
| 50 | 0.0 | 0.0 | 5.0 |
| 60 | 0.0 | 0.0 | 4.0 |
| 70 | 0.0 | 0.0 | 3.0 |
| 80 | 0.0 | 0.0 | 2.0 |
| 90 | 0.0 | 0.0 | 1.0 |
| 100 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
| 101~ | 0.0 | 0.0 | 9.8 |
資料:中小企業庁「中小企業実態基本調査」再編加工、経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1.本集計において、中小企業(中規模企業、小規模企業)は「中小企業実態基本調査」(令和4年度決算実績)から集計しており、大企業は「企業活動基本調査」(2022年度実績)から集計している。なお、「中小企業実態基本調査」は拡大個票により集計したものである。
2.ソフトウェア装備率(万円/人)= ソフトウェア投資額(無形固定資産、うちソフトウェア)÷ 従業者数。
3.企業規模ごとに、ソフトウェア装備率(千円単位を四捨五入)別の企業数の割合を表示しており、101万円/人以上は集約して集計している。
4.各平均値は、大企業52.9万円/人、中規模企業3.7万円/人、小規模企業2.6万円/人。
45 ソフトウェア装備率の千円単位を四捨五入しているため、必ずしも全ての企業のソフトウェア投資額がゼロではない可能性がある。
46 SaaS (Software as a Service) とは、特定又は不特定のユーザーが必要とするシステム機能を、ネットワークを通じて提供するサービスのことをいう。近年はこうしたサービスを活用するデジタル化の選択肢も存在しており、中小企業庁の補助金では、このようなデジタル化も補助の対象としている。
第1-1-39図は、現預金残高及び借入金等の推移を企業規模別に見たものである。中小企業について見ると、現預金残高は、リーマン・ショックが発生した2008年以降増加傾向にあり、感染症の感染拡大時に借入金等が増加したのと時期を同
じくして、その傾向が強まっている。経営の先行き不透明感の強まりや、借入金等の返済原資の確保等の観点から、中小企業は現預金残高を増やしている可能性がある 47 。
第1-1-39図 現預金残高及び借入金等の推移(企業規模別)
| 年 | 現預金残高(大企業) | 借入金等(大企業) | 現預金残高(中小企業) | 借入金等(中小企業) |
|---|---|---|---|---|
| 1989 | 65 | 180 | 80 | 225 |
| 1990 | 60 | 200 | 80 | 235 |
| 1991 | 55 | 215 | 80 | 260 |
| 1992 | 50 | 220 | 80 | 290 |
| 1993 | 48 | 220 | 80 | 310 |
| 1994 | 45 | 220 | 80 | 325 |
| 1995 | 42 | 220 | 80 | 335 |
| 1996 | 40 | 220 | 75 | 310 |
| 1997 | 40 | 220 | 80 | 315 |
| 1998 | 40 | 220 | 75 | 330 |
| 1999 | 40 | 210 | 75 | 285 |
| 2000 | 40 | 205 | 85 | 265 |
| 2001 | 40 | 200 | 80 | 255 |
| 2002 | 38 | 190 | 80 | 245 |
| 2003 | 38 | 185 | 75 | 240 |
| 2004 | 40 | 180 | 85 | 250 |
| 2005 | 40 | 175 | 85 | 250 |
| 2006 | 40 | 180 | 85 | 235 |
| 2007 | 35 | 190 | 85 | 230 |
| 2008 | 45 | 205 | 90 | 265 |
| 2009 | 45 | 205 | 95 | 270 |
| 2010 | 45 | 205 | 95 | 255 |
| 2011 | 45 | 210 | 95 | 260 |
| 2012 | 45 | 215 | 100 | 225 |
| 2013 | 45 | 220 | 105 | 250 |
| 2014 | 45 | 220 | 105 | 240 |
| 2015 | 55 | 225 | 115 | 245 |
| 2016 | 60 | 240 | 120 | 245 |
| 2017 | 60 | 255 | 125 | 245 |
| 2018 | 60 | 270 | 120 | 245 |
| 2019 | 60 | 290 | 120 | 245 |
| 2020 | 75 | 335 | 145 | 260 |
| 2021 | 80 | 345 | 160 | 290 |
| 2022 | 80 | 370 | 170 | 280 |
| 2023 | 85 | 380 | 175 | 280 |
資料:財務省「法人企業統計調査年報」
(注)1.ここでの大企業とは資本金10億円以上の企業、中小企業とは資本金1億円未満の企業とする。
2.金融業、保険業は含まない。
3.借入金等 = 金融機関借入金 + その他の借入金 + 社債。
47 (株) 日本政策投資銀行(2024)は「一般に企業の現預金保有動機としては、将来調達コストの上昇懸念や、経済環境変化など不確実性への備えなどが挙げられる」と述べた上で、「不確実性への備えとしてコロナ禍で高まった安全志向が継続していることも、現預金保有動機を一層強めている」と指摘している。
第1-1-40図は貯蓄と投資の差額の推移を企業規模別に見たものである。これを見ると、「大企
業」に比べて水準は低いものの、「中小企業」においても「貯蓄投資差額」が増加傾向にある。
第1-1-40図 貯蓄投資差額の推移(企業規模別)
■ 貯蓄投資差額(貯蓄-投資)(左軸) — 投資(右軸) — 貯蓄(右軸)
資料:財務省「法人企業統計調査年報」
(注)1.ここでの大企業とは資本金10億円以上の企業、中小企業とは資本金1億円未満の企業とする。
2.金融業、保険業は含まない。
3.投資=ソフトウェアを除く設備投資。
4.貯蓄=当期純利益-配当金+減価償却費。
事例1-1-1では、伝統工芸の技術継承のための人材育成に当たり、AIを活用することで職人育成と業務効率化の両立を実現した企業の事例を紹介する。
事例1-1-2では、積極的な省力化投資で作業工程の自動化に取り組み、業務効率化と賃上げを実現した企業の事例を紹介する。
事例
1-1-1
伝統工芸の技術継承と人材育成にAIを活用している企業
所在地 岩手県盛岡市
従業員数 8名
資本金 300万円
事業内容 金属製品製造業
タヤマスタジオ株式会社
▶ 長期にわたる若手育成期間を背景に、職人育成と生産性向上の両立が課題
岩手県盛岡市のタヤマスタジオ株式会社は、400年以上の歴史を持つ伝統的工芸品である南部鉄器を製造・販売する企業である。2018年に厚生労働省から「卓越した技能者(現代の名工)」に選ばれた田山和康氏を父に持つ田山貴紘社長が、2013年に設立した。南部鉄器は精巧で硬派な作りが特徴で、その製造技術は職人の繊細な感覚に頼るところが多く、火に当てた際の音や色などが暗黙知として継承されてきた。そのため、技術継承は熟練のベテラン職人によるOJT指導が一般的で、若手職人が一人前になるまで10年ほどの長期間を要していた。ベテラン職人が指導を丁寧に行うほど、鉄器製造に割く時間が減少して生産性が低下してしまうほか、若手職人の戦力化に時間が掛かることも経営面では負担となっており、職人育成と生産性向上の両立が課題だった。
▶ 複雑な工程を省略した新製品の開発とAI活用で若手職人への技術継承を効率化
田山社長は「若手職人が早期に付加価値を生み出せる環境を整備することが経営と技術継承のカギ」と考え、2018年に新製品「あかいりんご」の開発に着手。「あかいりんご」は田山社長が考案した、表面に模様を持たないシンプルなデザインの鉄瓶であり、高度な技術が必要で習熟に時間が掛かる「模様押し」の工程を省いた簡易な作りにした。若手職人でも基礎的な技術の活用だけで完成まで一貫して対応できる製品を開発したことで、技術習得が容易になり、人材育成の簡略化と量産体制の構築を進めた。さらに、2023年から取り組んでいるのが技術継承へのAIの活用だ。2018年に参加したAI導入促進のワークショップから着想を得た後、2019年にAIを活用した技術継承を支援する事業を行う盛岡市出身の経営者との出会いを契機に、同社と岩手大学との共同研究が開始。昨年には盛岡市の補助金を活用して実証実験も行っており、和康氏へのヒアリングを基に、鋳造の基本から南部鉄器の不良発生のメカニズムなどを工学的知見も含めて学習させることで、熟練のベテラン職人の思考をモデル化し、若手職人が製造技術やノウハウの基礎的な部分をAIから自主学習できるようにした。これらの取組を通じて、経験や感覚に基づく暗黙知を形式知に変換し、効率的な技術継承が可能となる仕組みづくりを進めている。
▶ 従来の3分の1の期間で若手職人の戦力化を実現し、若手・ベテラン共に生産性が向上
「あかいりんご」の開発とAI活用により、現在は入社3年目の若手職人が、製品を一人で完成させている。田山社長の発想の転換が生み出した「あかいりんご」は、模様押しの工程省略により価格も抑えられ、かつ、手に取りやすい価格と生活になじみやすいデザインという従来の南部鉄器と異なる特徴が注目されて顧客の裾野を広げることにも成功した。AI活用を通じては、年齢の離れた職人間のコミュニケーションの質の向上や、ベテラン職人の指導時間の減少といった効果も見え始めているという。現在は、鋳造などの基礎的な技術・ノウハウにとどまるが、今後は着色や火入れ具合など高度なノウハウの継承にもAIを活用できるように試行錯誤を続けている。「過去からの積み重ねは早く習得するのが責任だ」という意識で、技術習得の仕組みづくりを行っている。『あかいりんご』とAI活用を組み合わせて、新たな積み重ねを行い、伝統工芸を高度化させていきたい」と田山社長は語る。
田山貴紘社長
田山社長考案の「あかいりんご」
AIによる製品評価
事例
1-1-2
積極的な省力化投資で作業工程を自動化し、業務効率化と賃上げを実現した企業
所在地 群馬県高崎市
従業員数 42名
資本金 1,000万円
事業内容 金属製品製造業
株式会社行田製作所
▶ 人手不足への対応として従業員の多能工化を進めるも限界を感じ、自動化を推進
群馬県高崎市の株式会社行田製作所は、板金・プレスを中心技術として持ち、エレベーターや自動車部品、半導体製造装置、給水システム、芝刈り機など多様な製品の加工を手掛ける企業である。2010年には、板金・プレス加工から部品の組立てや配線作業までを一貫して対応するワンストップサービスにも乗り出し、顧客業種の多様化と、1製品における受託作業の幅を広げて付加価値の最大化を図ることで事業を拡大してきた。受注量の増加に伴って人手不足が深刻化する中、同社はこれまで従業員の多能工化で対応してきたが限界を感じ、2016年からは、積極的な設備投資を進め、作業工程の自動化と、省力化の推進による生産性向上に取り組んできた。
▶ 作業工程全体を見据え、戦略的に設備投資を実施
同社ではまず、前工程の抜き加工を自動化して精度とスピードを向上させ、次に後工程の曲げ加工をベンダーロボで自動化することで、上流から下流へと順に効率化を進めた。行田正巳社長は「時間が掛かっている工程の効率化を進めていかないと後工程にものが流れず、全体の作業効率が低下してしまう。全工程をトータルで見て、ボトルネックとなっている工程を特定し、機械から後工程の機械への接続がスムーズになるよう、戦略的に投資を進めることが重要」と語る。設備投資効果はすぐ得られるわけではないが、使い続けていれば工程になじむ瞬間が必ず来るという。当初は従業員が段取りの違いに戸惑い、慣れた汎用機を使った方が早いと敬遠されたが、社長自ら自動化の必要性を説くとともに、時に汎用機の使用を禁止する荒療治も断行。たった1個の加工であってもベンダーロボを使用させる徹底ぶりによって、従業員の自動化設備に対する熟練度が上がり、結果的に汎用機を使う場合よりも作業時間が短縮されるようになった。
▶ 自動化による成果を従業員へ還元するとともに、人的余裕を戦略的に活用して更なる成長へ
現在、自動化率は全工程の約70%に至る。累計で約10億円に上る投資は、即時償却制度の活用で利益を圧縮して手元資金を蓄積しながら、次の投資へ挑む着実な足取りで進めてきた。自動化による作業時間短縮で、通常は納期に1~2か月必要な制御盤の製造を、少ロットで急ぎの発注であっても1日で対応できるようになるなど、顧客対応力が飛躍的に向上。同社の売上高は、従業員数を維持したまま2016年の6億円から2024年の12億円へと、8年間で倍増した。また、成果は企業収益だけでなく職場環境にも表れ、一人当たり残業時間は2016年比で3分の1まで減少したほか、継続的な賃上げや福利厚生の充実を通じて従業員への還元も実施している。加えて、自動化で生じた人的余裕を自社の将来的な戦略検討に充てられるメリットも大きい。同社では、自動化が難しいとされるサンダー仕上げを行うロボット開発に専任者を置き、既に実用段階に入っている。サンダーは研磨作業で用いる機器だが、手首への負荷が大きく作業者が腱鞘炎になることもある重労働で、自動化ニーズの強さを見込み、製品の外販も視野に入れて特許も取得している。「今後も自動化できる部分は自動化し、新技術の開発など人が試行錯誤しながら進める部分は人が進め、技術を磨いていきたい」と行田社長は語る。
行田正巳社長
会社外観
曲げ加工用の機械
第5節 デジタル化・DX
本節では、中小企業・小規模事業者におけるデジタル化・DX 48 の取組状況について確認する。
第1-1-41図は、デジタル化の取組段階 49 を見たものである。これを見ると、2024年は、2023年に実施したアンケート調査(以下、「2023年調査 50 」という。)の結果に比べて「段階1」(「紙
や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない状態」)と回答する事業者の割合が大きく減少していることが分かる 51 。他方で、デジタル化に取り組めていない中小企業・小規模事業者も一定数存在しており、DXの実現に向けても、更なるデジタル化の進展が期待される。
第1-1-41図 デジタル化の取組段階
| 年 | 段階4 | 段階3 | 段階2 | 段階1 |
|---|---|---|---|---|
|
2023年
(n=5,309) |
6.9% | 26.9% | 35.4% | 30.8% |
|
2024年
(n=24,588) |
3.2% | 32.0% | 52.3% | 12.5% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」「中小企業が直面する外部環境の変化に関する調査」
(注)デジタル化の取組段階については、以下のとおり。
段階4:デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる状態
段階3:デジタル化による業務効率化やデータ分析に取り組んでいる状態
段階2:アナログな状況からデジタルツールを利用した業務環境に移行している状態
段階1:紙や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない状態
48 ここでDXとは、「デジタル・トランスフォーメーション」の略称であり、「顧客視点で新たな価値を創出していくために、ビジネスモデルや企業文化の変革に取り組むこと」を指す。
49 各取組段階は、以下のとおりに大別されている。
段階4:デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる状態
(例)システム上で蓄積したデータを活用して販路拡大、新商品開発を実践している
段階3:デジタル化による業務効率化やデータ分析に取り組んでいる状態
(例)売上高・顧客情報や在庫情報などをシステムで管理しながら、業務フローの見直しを行っている
段階2:アナログな状況からデジタルツールを利用した業務環境に移行している状態
(例)電子メールの利用や会計業務における電子処理など、業務でデジタルツールを利用している
段階1:紙や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない状態
50 (株)帝国データバンク「中小企業が直面する外部環境の変化に関する調査」:(株)帝国データバンクが2023年11月から12月にかけて、全国29,491社の中小企業を対象にアンケート調査を実施【有効回答数:6,255社、回収率21.2%】。
51 2023年、2024年共にサンプル調査であり、調査間で母集団が異なるため、回答割合を一概には比較できないことに留意が必要。
第1-1-42図は、デジタル化の取組段階が「段階2」以上の事業者について、DXに向けたデジタル化の取組内容を見たものである。これを見ると、いずれの取組段階でも「自社ホームページの作成・更新」の回答割合が最も高い。また、「顧
客データの一元管理」や「営業活動や受発注管理のオンライン化」などの取組では、「段階2」の事業者と「段階3」の事業者との間で回答割合の差が大きく、DXに向けて有効な取組である可能性が示唆される。
第1-1-42図 デジタル化の取組内容(デジタル化の取組段階別)
| 取組内容 | 段階2 (n=12,869) | 段階3 (n=7,861) | 段階4 (n=778) |
|---|---|---|---|
| 自社ホームページの作成・更新 | 60.3% | 73.0% | 74.8% |
| 紙書類の電子化・ペーパーレス化 | 50.2% | 66.6% | 70.4% |
| コミュニケーションツールの導入 | 29.9% | 49.3% | 60.9% |
| セキュリティ対策の強化 | 28.8% | 47.8% | 52.7% |
| 顧客データの一元管理 | 16.3% | 40.7% | 49.4% |
| 営業活動や受発注管理のオンライン化 | 13.9% | 34.5% | 47.3% |
| バックオフィス業務でのクラウドサービス活用 | 12.9% | 28.2% | 39.6% |
| データを活用した製品・商品・サービスの開発・改良 | 4.5% | 12.5% | 32.6% |
| テレワークの推進 | 6.9% | 17.8% | 31.2% |
| キャッシュレス化への対応 | 18.4% | 23.1% | 27.1% |
| 生成AIやIoTの活用 | 3.0% | 9.6% | 26.1% |
| ECサイトの新設・強化 | 7.6% | 13.9% | 21.6% |
| RPAによる業務自動化 | 1.6% | 7.6% | 13.5% |
| その他 | 2.9% | 2.6% | 3.5% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. デジタル化の取組内容について、「特にない」と回答した事業者を含む合計に対する割合を集計している。なお、「特にない」は表示していない。
2. 複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第1-1-43図は、デジタル化の取組段階が「段階2」以上の事業者について、デジタル化の取組の効果を見たものである。売上面・コスト面・人材面のいずれにおいても、デジタル化の取組段階が進展している事業者では「とても効果を感じている」又は「ある程度効果を感じている」の回答割合が高い。デジタル化の取組が進展することで業務の効率化などの効果が高まり、売上面・コスト面・人材面に好影響を及ぼしている可能性がうかがえる。
第1-1-43図 デジタル化の取組の効果(デジタル化の取組段階別)
(1) 売上面
| 段階 | サンプル数 (n) | とても効果を感じている | ある程度効果を感じている | あまり効果を感じていない | ほとんど効果を感じていない |
|---|---|---|---|---|---|
| 段階4 | 739 | 24.2% | 51.8% | 18.4% | 5.5% |
| 段階3 | 7,388 | 6.2% | 48.8% | 37.9% | 7.1% |
| 段階2 | 10,674 | 2.8% | 33.3% | 48.8% | 15.2% |
(2) コスト面
| 段階 | サンプル数 (n) | とても効果を感じている | ある程度効果を感じている | あまり効果を感じていない | ほとんど効果を感じていない |
|---|---|---|---|---|---|
| 段階4 | 743 | 22.5% | 48.6% | 22.9% | 6.1% |
| 段階3 | 7,419 | 7.1% | 54.3% | 32.4% | 6.2% |
| 段階2 | 10,671 | 2.8% | 37.5% | 45.5% | 14.3% |
(3) 人材面
| 段階 | サンプル数 (n) | とても効果を感じている | ある程度効果を感じている | あまり効果を感じていない | ほとんど効果を感じていない |
|---|---|---|---|---|---|
| 段階4 | 728 | 22.1% | 47.9% | 23.9% | 6.0% |
| 段階3 | 7,254 | 6.5% | 52.5% | 34.2% | 6.8% |
| 段階2 | 10,301 | 2.6% | 34.5% | 47.0% | 15.9% |
■ とても効果を感じている ■ ある程度効果を感じている
■ あまり効果を感じていない ■ ほとんど効果を感じていない
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 1.デジタル化の取組の効果は、「わからない」と回答した事業者を除いて集計している。
2. デジタル化の取組内容について、「特にない」以外と回答した事業者に聞いたもの。
3.「売上面」とは、製品・商品・サービスの品質向上、販売力強化などを指す。
4.「コスト面」とは、業務効率化による人件費・経費の削減などを指す。
5.「人材面」とは、働き方の改善、業務負担軽減による人材確保・定着などを指す。
第1-1-44図は、DXに向けてこれから取り組もうとしていることについて、デジタル化の取組段階別に見たものである。これを見ると、「段階4」、「段階3」の約2割の事業者が、「生成AIやIoTの活用」などに取り組もうとしていることが
分かる。一方で、「段階1」の事業者の約半数、他の取組段階でも約2割の事業者は「特にない」と回答しており、DXに向けて特に取り組もうとしていない事業者が、取組段階にかかわらず一定数存在していることがうかがえる。
第1-1-44図 DXに向けてこれから取り組もうとしていること(デジタル化の取組段階別)
| 取組項目 | 段階1 (n=2,836) | 段階2 (n=11,629) | 段階3 (n=7,060) | 段階4 (n=663) |
|---|---|---|---|---|
| 生成AIやIoTの活用 | 2.8% | 12.9% | 24.7% | 23.2% |
| RPAによる業務自動化 | 1.5% | 6.7% | 14.0% | 14.9% |
| データを活用した製品・商品・サービスの開発・改良 | 5.6% | 14.8% | 19.5% | 13.7% |
| 営業活動や受発注管理のオンライン化 | 7.9% | 19.3% | 15.6% | 11.0% |
| バックオフィス業務でのクラウドサービス活用 | 4.5% | 12.8% | 12.0% | 10.9% |
| 顧客データの一元管理 | 11.2% | 21.9% | 15.5% | 10.4% |
| ECサイトの新設・強化 | 3.6% | 5.7% | 6.4% | 8.1% |
| キャッシュレス化への対応 | 7.0% | 8.3% | 7.8% | 8.0% |
| セキュリティ対策の強化 | 5.9% | 12.1% | 12.0% | 7.8% |
| 紙書類の電子化・ペーパーレス化 | 17.6% | 17.0% | 10.9% | 7.7% |
| コミュニケーションツールの導入 | 5.8% | 9.3% | 7.7% | 4.8% |
| 自社ホームページの作成・更新 | 10.3% | 8.8% | 5.6% | 4.8% |
| テレワークの推進 | 1.3% | 3.9% | 4.5% | 4.7% |
| その他 | 1.7% | 2.6% | 3.4% | 4.4% |
| 特にない | 49.3% | 19.8% | 16.4% | 22.2% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第1-1-45図は、DXに向けた取組を進めるに当たっての問題点について、デジタル化の取組段階別に見たものである。これを見ると、いずれの取組段階でも「費用の負担が大きい」又は「DXを推進する人材が足りない」と回答する事業者の
割合が高い。DXに向けて取り組んでいる事業者においては、取組を進める中で資金や人材といったリソース不足に直面しているケースが多い可能性が示唆される。
第1-1-45図 DXに向けた取組を進めるに当たっての問題点(デジタル化の取組段階別)
| 問題点 |
段階1
(n=2,978) |
段階2
(n=12,500) |
段階3
(n=7,644) |
段階4
(n=753) |
|---|---|---|---|---|
| 費用の負担が大きい | 27.7% | 44.7% | 48.8% | 38.1% |
| DXを推進する人材が足りない | 32.4% | 51.2% | 50.3% | 37.3% |
| DXに取り組む時間がない | 19.0% | 23.8% | 19.5% | 12.6% |
| 経営者や従業員の意識・理解が足りていない | 16.3% | 23.6% | 17.9% | 10.2% |
| 具体的な効果や成果が見えない | 16.6% | 23.1% | 19.4% | 9.3% |
| どのように推進すればよいか分からない | 21.0% | 21.3% | 11.7% | 4.2% |
| どこに相談すればよいか分からない | 5.5% | 5.8% | 3.7% | 3.1% |
| その他 | 1.8% | 2.0% | 2.6% | 3.6% |
| 特にない | 30.4% | 10.2% | 12.4% | 27.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第1-1-46図は、支援機関及び地方公共団体における、デジタル化に関する支援状況を見たものである 52 。相談件数について、約6割の支援機関及び地方公共団体が2023年に比べて「非常に増加している」又は「やや増加している」と回答し
ている。また、相談に対する課題解決状況について、約7割の支援機関及び地方公共団体が「ほぼ全て解決できている」又は「やや解決できている」と回答している。
第1-1-46図 デジタル化に関する支援状況
(1) デジタル化に関する相談件数の変化
(n=3,151)
(2) デジタル化に関する相談の課題解決状況
(n=3,012)
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業支援機関の取組と課題に関する調査」
(注)1. デジタル化に関する支援状況について、「取り組んでいる」と回答した先に聞いたもの。
2. デジタル化に関する相談件数の変化は、2023年と比べた状況について聞いたもの。「今年(2024年)から取り組み始めた」と回答した先を除く。
3. デジタル化に関する相談の課題解決状況は、「分からない」と回答した先を除く。
事例1-1-3では、必要最小限の取組からDXを進めていくことで、資金や人材といったリソースが限られる中でも効率的に社内のデジタル化・DXに取り組む企業の事例を紹介する。
事例1-1-4では、DXに向けて同じ課題を持つ他社と連携し、共同で独自の生産管理ソフトを開発することで、生産性を向上した企業の事例を紹介する。
52 (株)帝国データバンク「令和6年度中小企業支援機関の取組と課題に関する調査」:(株)帝国データバンクが2024年11月から12月にかけて、商工会、商工会議所、よろず支援拠点、認定経営革新等支援機関、地方公共団体を対象に実施したWebアンケート調査【有効回答数:4,642件、回収率19.2%】。
事例
1-1-3
『身の丈DX』により、生産性向上と職場環境改善を実現した企業
所在地 熊本県嘉島町
従業員数 30名
資本金 1,000万円
事業内容 パルプ・紙・紙加工品製造業
株式会社倉岡紙工
▶ 4K職場からの脱却と生産性向上に向けたDX推進を決意
熊本県嘉島町の株式会社倉岡紙工は、1965年創業の紙製パッケージや美粧段ボールなど紙製品の企画・設計から製造までを手掛ける企業である。3代目の倉岡和徳社長が入社した2013年、工場は老朽化が進み、「暗い・きつい・汚い・危険」といういわゆる4K職場であった。入社当初は製造現場に配属され、現場で山積する課題の洗い出しや分析を進めてきた倉岡社長は、熊本県で若く優秀な人たちが働く職場をつくりたいという思いから、職場環境改善に着手。さらに、下請受注中心の事業構造からの脱却や、DXによる生産性向上を志向する中で、2016年の熊本地震による本社工場半壊をきっかけに工場建て替えを決意し、DXによる職場環境改善と新規需要獲得に向けた取組を加速させることとなった。
▶ 社内のボトルネックを特定し、できるところから必要最小限の取組を行う「身の丈DX」で作業負担を削減
新工場建設に向けては、プロジェクトごとに若手従業員を抜てきし、DXを推進。まず、熊本県や熊本県産業技術センターの支援を受けながら、在庫管理や位置情報の把握に労力が掛かっていた約3,000個の木型に、RFIDタグを付けるIoT管理に取り掛かった。また、旧工場では、1枚5kgほどある木型を階をまたいで運んでいたが、新工場では木型の保管場所と使用機を同一フロアに配置したほか、紙の型抜き後に不要部を取り除く「カス取り作業」や梱包作業といった、人手の掛かる重労働となっていた作業工程も機械化し、作業負担削減にも取り組んだ。資金や人材といったリソースが限られる中、多額の投資をして全てを一挙に解決しようとするのではなく、「まずは従業員のペインを取り除く」という考えに基づき、社内のボトルネックを特定し、できるところから必要最小限の取組を行う「身の丈DX」が成功のカギとなった。
▶ 仕事と人材が集まる会社になり、更なる成長に向けAI活用へ
木型のIoT管理により木型を探す時間がゼロになり、また、機械化により「カス取り作業」は時間が3分の1、梱包作業は従来3人で行っていた作業が一人で可能になるという作業負担削減を実現。より付加価値の高い仕事に向き合うリソースが生まれ、職場環境改善も進んだことで、業績向上や人材確保への好循環につながっている。デザイナーを採用してパッケージの企画部門も新設したことによって、デザインから製造までの一貫対応が可能になり、土産物や産地直送品の箱など新たな受注も獲得。DXや新規需要獲得に向けた取組の結果、顧客社数は新工場稼働前の約20社から約100社超に、従業員数は2013年時点の13人から30人に増加した。かつては印刷会社からの下請が100%に近かったが、現在はエンドユーザーからの直接受注が半数以上を占め、自社のデザイン企画を伴う受注も30~40%に上るまでにビジネスモデルは変貌。「次の目標はAIの活用。会社を更に成長させ、紙パッケージのイノベーションや、印刷・紙工業界の地位向上にも挑戦していきたい」と倉岡社長は語る。
倉岡和徳社長
同社の新工場
木型のIoT管理
事例
1-1-4
同じ課題を持つ他社と連携したDXで生産性向上を実現した企業
所在地 広島県広島市
従業員数 53名
資本金 1,000万円
事業内容 金属製品製造業
株式会社広島メタルワーク
▶ いち早くDX化の必要性を認識、生産管理ソフトの導入を検討するも、費用面で難航
広島県広島市の株式会社広島メタルワークは、産業用機械部品の精密板金加工などを手掛ける企業である。1995年のMicrosoft Windows 95の発売を契機に大手取引先がコンピューターによる受発注処理にシフトする中、同社の前田啓太郎社長(当時常務)は「中小企業である当社も、デジタルツールを活用した効率的な生産管理を進めなければ未来はない」と考え、DXにいち早く取り組んだ。生産管理システムを一から構築するには、費用が高額であり、またIT人材の確保も容易ではない。そこで、約3,000万円の市販のソフトを購入したが、接続台数に制限のある点がネックとなり、さらに各生産工程で必要なPC台数分をそろえるには1億円を超える費用が掛かるため、限られた工程でしか使用できなかった。前田社長は「生産管理は、受注の入口から出口までを管理することが重要」と考えており、生産工程に従事する全員がリアルタイムで各工程の進捗を把握でき、かつ導入費用が安価な生産管理ソフトの導入を模索していた。
▶ 8社の中小企業が意見を出し合い、共同でオリジナル生産管理ソフトを開発
前田社長は、大手金属加工機械メーカーが運営する後継者育成講座で知り合った中小企業8社の経営者と、生産管理の勉強会を継続的に実施していた。2003年、メンバーの一人と面識のあった静岡大学教授の協力を得たことを契機に、共同で生産管理ソフトの開発に着手。勉強会で生まれた生産管理のアイデアを取り入れ、8社のどこの使い勝手にも特化しないフラットな仕様をスタンダードとして、中小製造業に特化した生産管理ソフト「TED」を開発。「TED」の特徴は、簡易かつ直感的な操作性と、同時接続台数に制限がなく、導入費用はフルスペックで約1,000万円と大手ベンダーが提供するソフトと比較して安価である点だ。開発工程を振り返って、「自社開発では自社のこれまでのやり方を『正』として、開発が進む。他社との共同開発だと、意見を交わす中で必ずしも自社が『正』ではなかったことに気付くことができ、それがより良い開発の実現につながった」と前田社長は話す。
▶ 生産管理ソフトの導入により生産性が飛躍的に向上。過去の生産データを活用し、不良率も削減
同社は、2017年に「TED」を全面導入し、各社員のPCで受注ごとの生産工程や図面等がリアルタイムで確認可能となり、生産現場には、画面の視認性を重視して大型モニターを配置するなどの工夫も行った。導入効果として、進捗確認のため現場に行く、図面を探すといった、人員の無駄な動きが減るとともに、図面の視認性が向上したことで作業の違い防止にも寄与した。導入当初の2017年と2021年を比較すると、社員一人当たり売上高が8.6%増加した一方で、労働時間は15.9%減少し、生産性は飛躍的に向上している。さらに、「TED」導入以降に蓄積されたデータを活用し、製品ごとに過去に不良品が発生した工程をアラート表示して注意喚起することで、不良率は97%も減少した。「DXを進める肝は、今の会社の仕組みに合わせてデジタル化を進めるのではなく、既存のデジタルツールに合わせて仕組みを変えていくことだ。当然、最初は社員からの反発は出るが、結果を出せば社員の意識も変わってくる。経営者自ら未来を語りながら強くリードしていくしかない」と前田社長は語る。
前田啓太郎社長
同社が加工した製品
「TED」で図面や作業進捗を確認しながら、溶接作業を進める
コラム
1-1-6
中小企業における生産性向上に向けた投資支援策
(IT導入補助金、省力化投資補助金)
1. 中小企業における人手不足対策の必要性
我が国の足下の生産年齢人口(男性・女性)、高齢者の労働参加率はいずれも世界最高水準であることから、新規の労働参入が頭打ちとなっている可能性があり、少子高齢化等を背景とした構造的な人手不足が生じている 53 。こうした背景から、企業の人員確保は年々厳しくなることが予想される。
近年の従業員数過不足DI 54 の推移を見ると、2020年前後の感染症の感染拡大以降、中小企業の人手不足感は高まっている。また、2024年には人手不足による倒産が過去最多件数を記録した 55 。したがって中小企業にとって、短期的にも中長期的にも「人手不足にどのように対応するか」が重要な経営課題となっているといえる。
こうした労働供給制約が高まる状況下において、人手不足に対応する方法の一つとしては、デジタル投資による効率化や、設備投資による自動化・機械化を通して、企業の生産性を向上させることが考えられる。
そのため中小企業庁では、IT導入補助金や省力化投資補助金等の支援策により、前向きな企業のデジタル投資や設備投資を後押しすることで、人手不足を乗り越える経営基盤と意欲を持った企業の創出を促している。本コラムでは、こうした支援策の概要について解説する。
コラム
1-1-6①図
主要国間での労働参加率の比較
| 年 | 性別・年齢 | 日 | 米 | 英 | 仏 | 独 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1990 | 男性 (15~64歳) | 83.0 | 85.6 | 88.3 | 75.6 | 79.0 |
| 女性 (15~64歳) | 57.1 | 67.8 | 67.3 | 58.0 | 55.5 | |
| 高齢者 (65歳以上) | 24.3 | 11.8 | 5.6 | 2.4 | 3.0 | |
| 2000 | 男性 (15~64歳) | 85.2 | 83.9 | 84.1 | 75.1 | 78.9 |
| 女性 (15~64歳) | 59.6 | 70.7 | 69.0 | 62.4 | 63.3 | |
| 高齢者 (65歳以上) | 22.6 | 12.9 | 5.3 | 1.3 | 2.7 | |
| 2010 | 男性 (15~64歳) | 84.8 | 79.6 | 82.4 | 74.7 | 82.4 |
| 女性 (15~64歳) | 63.2 | 68.4 | 69.7 | 65.4 | 70.8 | |
| 高齢者 (65歳以上) | 19.9 | 17.4 | 8.3 | 1.6 | 4.0 | |
| 2022 | 男性 (15~64歳) | 86.7 | 79.1 | 81.9 | 76.6 | 83.4 |
| 女性 (15~64歳) | 74.3 | 69.0 | 74.8 | 70.7 | 75.4 | |
| 高齢者 (65歳以上) | 25.6 | 19.2 | 11.1 | 4.0 | 8.5 |
資料:経済産業省「産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 第3次中間整理 参考資料集」(2024年6月)
(出所)OECD.stat
53 (株) リクルート リクルートワークス研究所(2023)は、2030年に約340万人の労働力不足が見込まれるとの推計を発表している。
54 詳細については、第1部第1章第3節 第1-1-22図を参照。
55 詳細については、第1部第1章第8節 第1-1-61図を参照。
2. 「IT導入補助金」の概要
日本銀行「経済・物価情勢の展望(2025年1月)」によると、日本企業のソフトウェア投資額は、特に建設業、小売業、宿泊・飲食サービス業のような人手不足が深刻な業種で急増しており、限られた人手で労働生産性を高める動きが活発化している(コラム1-1-6②図)。
IT導入補助金は、労働生産性を高めることを目的として、業務効率化に資するソフトウェア、サービスの導入費用を支援する制度である。人手不足が深刻な建設業、小売業、宿泊・飲食サービス業を含めた幅広い業種で活用されている。
コラム 1-1-6②図 日本企業のソフトウェア投資の推移
| 年度 | 全産業 | 建設 | 小売 | 宿泊・飲食サービス |
|---|---|---|---|---|
| 2005 | 100 | 100 | 100 | 100 |
| 2006 | 105 | 105 | 110 | 115 |
| 2007 | 100 | 100 | 105 | 100 |
| 2008 | 105 | 105 | 115 | 105 |
| 2009 | 100 | 100 | 105 | 100 |
| 2010 | 90 | 90 | 95 | 90 |
| 2011 | 100 | 100 | 105 | 100 |
| 2012 | 105 | 105 | 110 | 105 |
| 2013 | 110 | 120 | 130 | 150 |
| 2014 | 105 | 115 | 120 | 140 |
| 2015 | 110 | 120 | 125 | 145 |
| 2016 | 115 | 130 | 140 | 150 |
| 2017 | 120 | 150 | 160 | 180 |
| 2018 | 125 | 160 | 170 | 200 |
| 2019 | 130 | 170 | 210 | 320 |
| 2020 | 120 | 180 | 220 | 220 |
| 2021 | 130 | 200 | 240 | 240 |
| 2022 | 150 | 250 | 340 | 340 |
| 2023 | 160 | 280 | 380 | 320 |
| 2024 | 180 | 300 | 450 | 380 |
資料:日本銀行「経済・物価情勢の展望(2025年1月)」
(注)短観ベース(全規模)。2024年度は、2024年12月調査時点の計画値。
コラム 1-1-6③図 「IT導入補助金2025」の概要
| 通常枠 | 複数社連携IT導入枠 | インボイス枠 | セキュリティ対策推進枠 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| インボイス対応類型 | 電子取引類型 | ||||
| 活用イメージ | ITツールを導入して、業務効率化やDXを推進 | 商店街など、複数の中小・小規模事業者で連携してITツール等を導入 | ITツール等を導入して、インボイス制度に対応 | 発注者主導でITツールを受注者に共有し、取引先のインボイス対応を促す | サイバーセキュリティ対策を進める |
| 対象経費 |
ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費(保守適用やマニュアル作成等のサポート費用に加えて、IT活用の定着を促す導入後の“活用支援”も対象化)
単独申請可能なツールの拡大 |
クラウド利用料(最大2年分) | サイバーセキュリティお助け隊サービス利用料(最大2年分) | ||
| 補助上限 |
ITツールの業務プロセスが1~3つまで: 5万円~150万円
4つ以上: 150万円~450万円 |
(a)インボイス枠対象経費: 同右
(b)消費動向等分析経費: 50万円×グループ構成員数 (a)+(b)合わせて3,000万円まで (c)事務費・専門家費: 200万円 |
ITツール: 1機能: ~50万円
2機能以上: ~350万円 PC・タブレット等: ~10万円 レジ・券発機等: ~20万円 |
~350万円 | 5万円~150万円 |
| 補助率 |
中小企業: 1/2
最低賃金近傍の事業者: 2/3 (3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の30%以上であることを示した事業者) |
(a)インボイス枠対象経費: 同右
(b)・(c): 2/3 |
~50万円以下: 3/4
(小規模事業者: 4/5) 50万円~350万円: 2/3 ハードウェア購入費: 1/2 |
中小企業: 2/3
大企業: 1/2 |
中小企業: 1/2
小規模事業者: 2/3 |
資料: 中小企業庁「『IT導入補助金2025』の概要」『IT導入補助金2025』ホームページより中小企業庁作成
(注) 赤字部分は令和6年度補正予算での拡充点。
コラム 1-1-6④図 IT導入補助金の活用事例
製造業
- 建築基準法の改正を契機にCADソフトを導入することで、インハウスでの構造計算を可能にし、事業拡大を期待。
導入したITツール
- 主な機能: 顧客対応・販売支援、CAD
卸売業
- 管理会計を導入し、年間の経費予測を可視化することで、流動的な事業戦略立案を可能に。
- 柔軟な事業戦略の立案により、通常より売れ行きの良い新商品の販売に寄与。
導入したITツール
- 主な機能: 会計・財務・経営
不動産業
- 会計ソフトを導入し、基幹システムと連携させることで情報の一元化・業務効率化を実現。
- 業務の70%を占めていた定型業務を、10%程度に削減できる見込み。
導入したITツール
- 主な機能: 決済・債権債務・資金回収、会計・財務・経営
広告業
- オンラインレッスン予約システムをパッケージで導入し、新規事業を立ち上げ。
- 新規事業の立ち上げが、自社の宣伝にもつながっていることを実感。
導入したITツール
- 主な機能: 顧客対応・販売支援、決済・債権債務・資金回収
飲食サービス業
- セルフオーダーシステムを導入し、0.7人分の工数を削減し、新商品開発の構想に。
- 回転率が上がり、売り上げ約40%向上。
- 接客機会が減ったことで接客が苦手な従業員の負担が軽減し、定着率も改善。
導入したITツール
- 主な機能: 顧客対応・販売支援、決済・債権債務・資金回収
福祉業
- 管理・記録システムを導入し、顧客情報の一元管理、システム間の円滑なデータ連携により、1人当たりの作業時間が10分~20分削減。
導入したITツール
- 主な機能: 顧客対応・販売支援、福祉業務支援
サービス業
- 整備システムを導入し、紙で行っていた業務をシステム化することで業務工数削減。
- ヒューマンエラーの減少による生産性向上。
- システムと連動したタブレット端末を活用することで従業員のITリテラシー向上。
導入したITツール
- 主な機能: 顧客対応・販売支援、決済・債権債務・資金回収、供給・在庫・物流
卸売業
- 販売管理システムを導入することで、手入力の業務を削減し、伝票発行業務を6分の1に短縮。
- データ管理が自動化されたことで、人的ミスが解消され顧客数20%UP。
導入したITツール
- 主な機能: 顧客対応・販売支援、生産・販売・在庫管理
物品賃貸業
- 貸衣袋管理ツールを導入し、顧客情報~請求まで一元管理できることで、残業時間が10分の1まで削減。
- データの関連付けや分析が可能になり経験や知見のある人材確保にも有効。
導入したITツール
- 主な機能: 貸衣袋管理
建設業
- 積算システムを導入し、積算精度を高めることで、入札件数が年間件数から3か月で5件に増加。
- 入札件数増加によりスタッフの意識が変わり、自主的に情報収集を行うようになった。
導入したITツール
- 主な機能: 土木積算
運輸業
- クラウドでリアルタイムにデータ共有することで、船内・本社間の移動がなくなり業務効率UP。
- クラウド化により年間約3,000枚ほどの書類の90%削減。
導入したITツール
- 主な機能: 業務日報
小売業
- 管理システムを導入し、契約・請求・入金情報を一元管理することができ、手作業による属人的なミスが2割減少。
- IT化による働き方改革によって社員定着率が向上。
導入したITツール
- 主な機能: 賃貸管理、募集・契約・請求・入金
資料: 中小企業庁「『IT導入補助金2025』の概要」
3.「省力化投資補助金(カタログ注文型・一般型)」の概要
省力化投資補助金は中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするために、人手不足に悩む中小企業等に対して、省力化投資を支援する事業である。一般的な単年度事業とは異なり、3年間の事業として令和5年度補正予算で措置した。これにより、中小企業等の付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげることを目的としている。
更なる省力化投資のニーズに応えるためにも、これまでの「カタログ注文型」の支援に加えて、令和7年3月より、新たに「一般型」としてオーダーメイド型の支援を行う枠組みを創設した。
①カタログ注文型
省力化投資補助金(カタログ注文型)は、人手不足に悩む中小企業などに対して、「どこから手をつけてよいか分からない」といった企業の声も踏まえ、IoT、ロボット等の汎用製品をカタログから選ぶような、簡易で即効性のある支援を行い、生産性向上、持続的な賃上げを後押しする支援策である。
この事業では、人手不足への対応を目的として、省力化製品を対象製品のリスト(カタログ)から選んで導入し、生産性向上に取り組む中小企業などが対象である。例えば、券売機、清掃ロボット、無人搬送車(AGV)、タブレット型給油許可システムなど、様々な製品カテゴリから選択可能で、対象製品は今後も随時拡大していく予定である。
申請に当たっては、対象製品の販売事業者から、申請や手続きのサポートを受けることができる。
コラム
1-1-6⑤図
省力化投資補助金(カタログ注文型)の活用事例
| 飲食業 | 宿泊業 |
|---|---|
↓
|
↓
|
| 製造業(自動車・同附属品製造業) | 小売業(ガソリンスタンド) |
↓
|
↓
|
資料:中小企業庁「中小企業省力化投資補助事業 カタログ注文型 活用事例集(初版:第1版)」より中小企業庁作成
(注)画像は導入製品のイメージであり、実際に導入した製品とは異なる。
②一般型
省力化投資補助金(一般型)は、業務プロセスの自動化・高度化やデジタルトランスフォーメーション(DX)等、中小企業等の個別の現場の設備や事業内容等に合わせて設備導入・システム構築等の多様な省力化投資を促進する支援策である。
第6節 価格転嫁
本節では、中小企業・小規模事業者における価格転嫁の動向について確認する。
始めに、中小企業・小規模事業者の仕入価格・販売価格の状況について確認する。第1-1-47図は、中小企業・小規模事業者の売上単価DI、原
材料・商品仕入単価DI、採算DIの推移を見たものである。「原材料・商品仕入単価DI」の上昇は足下で落ち着いているものの高水準が続いており、「売上単価DI」との差は埋まっておらず、「採算DI」はおおむね横ばいとなっている。
第1-1-47図 売上単価DI、原材料・商品仕入単価DI、採算DIの推移
資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」
(注)1.売上単価DIとは、前年同期と比べて、売上単価が「上昇」と答えた企業の割合(%)から、「低下」と答えた企業の割合(%)を引いたものである。
2.原材料・商品仕入単価DIとは、前年同期と比べて、原材料・商品仕入単価が「上昇」と答えた企業の割合(%)から、「低下」と答えた企業の割合(%)を引いたものである。
3.採算DIとは、前年同期と比べて、採算(経常利益)が「好転」と答えた企業の割合(%)から、「悪化」と答えた企業の割合(%)を引いたものである。
次に、価格交渉及び価格転嫁率の状況について確認する 56 。2024年における価格交渉の状況を見ると、価格交渉を必要とした事業者の8割超で、価格交渉が行われていることが分かる。また、「発注企業から、交渉の申し入れがあり、価
格交渉が行われた」と回答した割合が「2024年3月」に比べて「2024年9月」では若干高まっており、発注企業からの申し入れが浸透しつつあるといえる(第1-1-48図)。
第1-1-48図 価格交渉の状況
| 調査時期 | 発注企業から、交渉の申し入れがあり、価格交渉が行われた | 受注企業から、発注企業に交渉を申し出、価格交渉が行われた | コストが上昇したが、発注企業から申し入れがなく、発注減少や取引停止を恐れ、交渉を申し出なかった | コストが上昇し、発注企業から申し入れがなく、受注企業から交渉を申し出たが、応じてもらえなかった | コストが上昇し、発注企業から申し入れがあったが、発注減少や取引停止を恐れ、発注企業からの申し入れを辞退した |
|---|---|---|---|---|---|
|
2024年9月
(n=34,586) |
28.3% | 58.1% | 10.2% | 3.0% | - |
|
2024年3月
(n=47,005) |
26.3% | 58.9% | 11.2% | 3.1% | - |
資料:中小企業庁「価格交渉促進月間フォローアップ調査(2024年9月)」
(注)2024年3月、2024年9月の調査における価格交渉の状況について、「価格交渉は不要」との回答を除いた場合の回答分布を示したものの。
56 詳細については、中小企業庁「価格交渉促進月間の実施とフォローアップ調査結果」( https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/follow-up/index.html )を参照。
第1-1-49図は、2022年から2024年におけるコスト全般及各コストの変動に対する価格転嫁率の推移を見たものである。各コストの転嫁率は
上昇傾向であり、「コスト全般」の転嫁率は直近で5割程度まで上昇しているが、更なる価格転嫁の実現が期待される。
第1-1-49図 各コストの変動に対する価格転嫁率の推移
| 調査時期 | サンプル数 (n) | コスト全般 (%) | 原材料 (%) | 労務費 (%) | エネルギー費 (%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年3月 | 25,575 | 41.5 | 44.0 | 32.5 | 32.5 |
| 2022年9月 | 17,848 | 47.0 | 48.0 | 33.0 | 30.0 |
| 2023年3月 | 20,722 | 48.0 | 48.0 | 37.0 | 35.0 |
| 2023年9月 | 44,059 | 45.5 | 45.5 | 36.5 | 33.5 |
| 2024年3月 | 67,390 | 46.0 | 47.0 | 40.0 | 40.0 |
| 2024年9月 | 54,430 | 49.7 | 51.4 | 44.7 | 44.4 |
資料:中小企業庁「価格交渉促進月間フォローアップ調査」
(注) 1. 2022年3月、2022年9月、2023年3月、2023年9月、2024年3月、2024年9月の調査における、価格転嫁率の平均値を算出したもの。
2. ここでの価格転嫁率とは、主要な発注側企業(最大3社)との間で、直近6か月間のコスト上昇分のうち、何割を価格転嫁できたかの回答を集計したもの。
第1-1-50図は、2024年9月の価格転嫁率の状況について、受注側企業の取引段階別に見たものである。これを見ると、サプライチェーンにおける取引段階が最終製品・サービスを提供する企業
に近い「1次請け」から下流に行くほど、価格転嫁率を「0割」と回答した割合が高まっており、価格転嫁が進みづらい傾向にあることが分かる。
第1-1-50図 価格転嫁率の状況(受注側企業の取引段階別)
| 取引段階 | 10割 | 9~7割 | 6~4割 | 3~1割 | 0割 | マイナス |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1次請け | 27.3% | 19.3% | 10.0% | 25.2% | 17.0% | 1.2% |
| 2次請け | 21.6% | 18.3% | 10.9% | 26.8% | 21.3% | 1.2% |
| 3次請け | 15.9% | 16.6% | 12.5% | 26.8% | 27.0% | 1.3% |
| 4次請け以上 | 12.1% | 17.9% | 11.8% | 22.3% | 35.2% | 0.8% |
(n=33,377)
価格転嫁率:■ 10割 ■ 9~7割 ■ 6~4割 ■ 3~1割 ■ 0割 ■ マイナス
資料:中小企業庁「価格交渉促進月間フォローアップ調査(2024年9月)」
(注)1.ここでの価格転嫁率とは、主要な発注側企業(最大3社)との間で、直近6か月間の全般的なコスト上昇分のうち、何割を価格転嫁できたかの回答を集計したもの。なお、「価格転嫁は不要」と回答した事業者を除いている。
2.ここでの取引段階とは、受注側中小企業に対する、「自社が、最終製品・サービスを提供する企業から数え、どの取引段階に位置しているか」との質問への回答を集計したもの。
事例1-1-5では、ニッチ分野で研究開発と競争力強化に取り組んできたことで、価格決定力を高めている企業の事例を紹介する。
事例1-1-6では、原価管理の強化と自社の強みを踏まえた適正な価格設定により、業績改善を実現した企業の事例を紹介する。
事例
1-1-5
ニッチ分野で研究開発と競争力強化に努め、
価格決定力を高めている企業
所在地 新潟県上越市
従業員数 30名
資本金 2,400万円
事業内容 情報通信機械器具
製造業
ウエタックス株式会社
▶ 原材料価格高騰と賃上げによる人件費増加が経営を圧迫
新潟県上越市のウエタックス株式会社は、水中スピーカーや防水マイクなどの水中音響機器を製造する企業である。国内トップシェアの水中スピーカーをはじめとする多様な製品は、アーティストティックスイミングやスキューダイビング、レスキューなどで使用されている。同社では2018年頃から原価低減に向けた取組を進めてきたが、2020年末からの輸入物価上昇による原材料価格の高騰を受けて、取組を更に強化。一度の仕入量を2~3倍に増やすことで仕入単価を5%程度抑えたほか、製品数を20種類強から半数に絞り、部品の共用による合理化も進めた。また、受注生産が主であり、以前は受注後に部品を調達していたため、納期の長さが負担となっていたが、主力製品の部品在庫を増やすことで納期を短縮して資金化を早め、資金繰りの改善にも努めた。それでも、原材料輸入における円安の影響拡大や、エネルギー価格上昇が重なって原価低減での対応は限界に達し、従業員の賃上げも経営を圧迫。一時は役員給与の削減で対処したが、賃上げを継続するための原資確保が課題となった。
▶ 競争力を高める取組を背景に、15~20%の大幅値上げを実現
同社が手掛ける水中音響機器は、市場が小さいことから大手メーカーが力を入れず、中小企業も多くは技術不足で手を出せない分野だという。同社はそのニッチ分野に的を絞り、長年の継続的な研究開発により技術優位性を確立し、新たな用途開発や研究機関との共同研究、展示会出展等を通じて販路拡大にも取り組んできた。また、「小回りが利いて、かゆいところに手が届くのが中小企業の強み」と植木正春専務が語るように、大手企業にはできない製品仕様のきめ細かなカスタマイズ対応や、迅速な修理対応などアフターサポートの充実により競合他社との差別化も進めていた。原価低減による対応の限界に直面した同社は、2022年に全製品の15~20%の値上げを決断。価格改定の根拠を丁寧に説明するとともに、保証期間延長などサービスを拡充した提案を併せて行ったほか、技術力・製品を磨き続けて競争力を高めていたことが奏功し、多くの顧客から納得を得ることができた。
▶ 価格転嫁による収益力向上で、研究開発と販路拡大を強化
値上げを行った結果、顧客離れも一部あったものの、販売単価上昇により売上げを維持。かねてより取り組んできた原価低減の効果もあって利益率が改善し、継続的な賃上げを実施できるようになった。さらに、設備投資の余裕も生まれて、従前は手が出なかった高価な測定器を購入。測定精度が向上し、正確な研究データの蓄積が可能になったことで、大学や研究機関からの共同研究の依頼が増加した。今後の事業拡大のためには、新たな技術開発や新市場の模索が不可欠だが、価格転嫁による収益力向上が研究開発の強化につながり、更なる共同研究にも力を入れられている。「常にチャレンジをしていかなと、企業の成長はない。地元の新潟県では、メタンハイドレートの回収地に生息するベニズワイガニを音で忌避させて、エネルギー資源開発と水産資源保護を両立する最先端の研究にも参加しており、技術の活用範囲が広がっている。今後は海外のレジャーリゾートのプールに設置する水中スピーカーの売り込みも本格化させ、研究開発と販路拡大を同時に進めていきたい」と植木専務は語る。
植木正春専務
本社社屋
主力製品の水中スピーカー
事例
1-1-6
自社の強みを踏まえた適正な価格設定により、
業績改善を実現した企業
所在地 福井県若狭町
従業員数 4名
資本金 300万円
事業内容 宿泊業
有限会社岡三屋
▶ 価格変動の大きいカニの仕入れや、適正な価格設定の難しさが業績回復のネックに
福井県若狭町の有限会社岡三屋は、「彩(いろ)かさね」の施設名で温泉旅館を営む企業である。三方五湖を見渡せる湖畔に位置し、心のこもった接客と、天然温泉の浴場を備えた絶景の宿と評判だ。有名料亭で修業を積んだ3代目の岡勝之社長が手掛ける料理も宿の自慢の一つで、冬期には地元名産の越前ガニと若狭フグを使用した料理が人気を博している。しかし、予約は半年前から受け付けている一方で、特にカニはその年ごとの漁獲高によって仕入値が約2倍に変動することもあるなど予測が困難で、原価率への影響も大きいため、適正な提供価格の設定が難しく、高騰時には料理を赤字で提供せざるを得ないこともあった。新型コロナウイルス感染症の感染拡大時に約5割まで落ち込んだ稼働率は8割前後まで回復してきたが、原価管理は依然として課題で、適正価格の算出や余分なコスト削減が進んでいなかったことが業績回復の妨げとなっており、経営改善が必要な状況であった。
▶ 金融機関から助言を受け、原価管理の強化と適正価格の算出・価格設定の見直しを実施
経営改善に向けて、まず原価管理の強化とコスト削減に着手した。取引銀行に毎月1回試算表を精査してもらう中で、原価率など財務状況改善の助言を受け、不要な電気代のような細かな経費削減に取り組みながら、カニなど魚介類の仕入れでは仕入先を2社に増やし、安い方を購入することで競争を促して原価率の改善につなげた。次に、原価管理の強化により把握した原価率を踏まえて、適正価格の算出と価格設定の見直しに着手。同社の立地・料理・接客などのサービス品質から、現状より高い価格設定でもよいのではないかとの助言を取引銀行から受けたことを契機に、地域の同業者の宿泊価格を調査し、同社の強みと宿泊者数見通しや稼働率、原価率を基に、黒字確保が可能となる適正価格を算出した。同社では宿泊プランと食事プランで価格設定を分けており、宿泊プランでは一人当たり1,000円の値上げを実施。一方で、食事プランは地元客の宴会利用も多いので、仕入値に応じた価格設定が必要なカニなどを提供するプラン以外は、地元客を守る観点から飲み物代のみの引上げとした。
▶ 収益力強化により3期ぶりの黒字化を達成、自社の強みを伸ばして更なる高級化路線を志向
コスト削減や価格改定の効果は業績にもすぐに表れ、2023年7月期は3期ぶりに黒字化を達成。収益力強化の取組と並行して、利用者から口コミで寄せられた要望にもこまめに対応し、設備の修繕を行うなど顧客満足度を高めるための取組も欠かさない。顧客管理情報として、前回利用時の提供メニューや接客への反応なども蓄積しており、原価率を常に考えながらも、常連客を飽きさせない献立の組立や心地よい接客を工夫している。利用客の約4割がリピーターだが、このようなサービスの質を向上させる取組が受け入れられ、値上げへの拒否反応は今のところ見られない。さらに、増収分を原資として、従業員の賃金を約1割引き上げるなど従業員への還元も行っているほか、後継者である息子と共に5年先を見据えて高級旅館へスタイルを変えていくことも考えており、そのための設備投資も計画している。「今後も料理や接客など自社の強みを伸ばすことで、旅館としての付加価値を高めて宿泊価格も上げられるような好循環を確立し、将来は高級旅館へと生まれ変わっていきたい」と岡社長は語る。
岡勝之社長
彩かさね
食事プランのカニ料理
コラム
1-1-7
企業規模別・業種別に見た価格転嫁の状況
1. 価格転嫁状況の把握に向けた分析の概要
中小企業・小規模事業者を取り巻く外部環境が大きく変化する中、中小企業が抱える足下の経営課題において、輸入物価上昇などに起因する原材料価格高騰や、人材不足に起因する人件費上昇といった問題の影響度が高まっている。これらの問題に対処するためには、コスト上昇分の適切な価格転嫁を進めることがより一層重要となると考えられる。
現状、企業間取引における取引価格を直接的に捕捉する公的統計や民間データは限られているため、価格転嫁の状況を正確に把握することは容易ではない。また、企業規模や業種ごとの取引慣行等の違いも存在することが想定されるため、企業規模別・業種別での比較を行わなければ、価格転嫁の実態を理解することは困難であると考えられる。
そこで本コラムでは、先行研究 57 等を踏まえて、価格転嫁の状況に関する以下二つの分析を行った。一つは、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(以下、「日銀短観」という。)における販売価格DI、仕入価格DIをカールソン・パーキン法により修正したデータを用いて推計した「付加価値デフレーター」と、それが労働生産性に与える影響についての分析である。もう一つは、公的統計で把握できる財務データから推計した「マークアップ率」と、それが利益率・設備投資額・賃金水準といった企業の経営指標に与える影響についての分析である。
なお、本コラムでは、「中小企業の価格転嫁状況を把握する指標開発のための調査・分析事業 58 」(以下、「本事業」という。)において実施した分析結果を中心に紹介する。
2. 付加価値デフレーターの分析結果
付加価値デフレーターとは、企業が生み出す付加価値の「価格」に相当するものである。付加価値は、売上高(販売価格×販売数量)から中間投入(仕入価格×仕入数量)を差し引いたものであるため、販売数量と仕入数量との関係性が一定であるとき、付加価値デフレーターの変化は販売価格の変化と仕入価格の変化から算出される。すなわち、付加価値デフレーターは、仕入価格の変化分に係る販売価格への転嫁度合いを示す指標であると解釈できることから、本コラムでは「価格転嫁力指標」と表すこととする 59 。
価格転嫁力指標を推計するには、販売価格・仕入価格の変化率を把握する必要がある。本事業では、鎌田・吉村(2010)及び中小企業白書(2014)に基づき、日銀短観から取得した販売価格DI・仕入価格DIのデータに対してカールソン・パーキン法を適用して、販売価格・仕入価格の変化率を企業規模別・業種別に算出することで、価格転嫁力指標の推計を行った。
また、カールソン・パーキン法を適用するに当たっては、価格変化率の情報を物価統計から補完する必要があることから、日本銀行「企業物価指数」、「企業向けサービス価格指数」、「最終需要・中間需要物価指数」、総務省「消費者物価指数」のデータを取得し、総務省「産業連関表」から計算した業種別のウェイトを用いて、業種ごとに補完する価格変化率を算出した 60 。なお、本指標の分析で使用するデータは、いずれも2015年1月以降のものであり最新時点は2024年6月である。
57 内閣府(2023)、鎌田・吉村(2010)ほか
58 詳細は、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(同)「令和6年度中小企業実態調査事業(中小企業の価格転嫁状況を把握する指標開発のための調査・分析)調査報告書」による。
59 付加価値デフレーターの分析について、用語の定義や推計手法等に関する本コラムの記載内容の詳細は、鎌田・吉村(2010)及び2014年版中小企業白書第1部第1章第3節を参照。
60 算出方法の詳細は、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(同)「令和6年度中小企業実態調査事業(中小企業の価格転嫁状況を把握する指標開発のための調査・分析)調査報告書」を参照。
上記の手法により推計された価格転嫁力指標を企業規模別・業種別に見ると、「製造業」、「非製造業」共に、「中小企業」の価格転嫁力指標が「大企業」と比べて低い水準で推移していることが分かる。「製造業」では「大企業」が前期比プラスで推移しているのに対して、「中小企業」は前期比マイナスからゼロ近傍で推移しており、価格転嫁が十分に進んでいないことが推察される。一方で、「非製造業」では、足下の価格転嫁力指標が「大企業」、「中小企業」共に前期比プラスとなっており、価格転嫁が比較的順調に進んでいることが示唆される(コラム1-1-7①図)。
コラム 1-1-7①図 価格転嫁力指標の推移(企業規模別、業種別)
資料:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」「企業物価指数」「企業向けサービス価格指数」「最終需要・中間需要物価指数」、総務省「消費者物価指数」「産業連関表」
(注) 1. ここでの大企業は資本金10億円以上、中小企業は資本金2千万円以上1億円未満の企業をいう。
2. ここで「価格転嫁力指標」とは、仕入価格の変化分を販売価格にどの程度転嫁できているか(すなわち、価格転嫁力)について、前期比変化率を数値化したものを指す。算出方法の詳細は、鎌田・吉村(2010)、2014年版中小企業白書付注1-1-1を参照。
続いて、価格転嫁力指標と労働生産性との関係性を見ていく。コラム1-1-7②図は、財務省「法人企業統計調査」を用いて算出した「一人当たり名目付加価値額」の変化率から、価格転嫁力指標の変化率を差し引いた残差を「実質労働生産性」の変化率として表示し、「一人当たり名目付加価値額」の変動要因を算出したものである。
これを見ると、製造業においては、中小企業では大企業と比較して、「価格転嫁力指標」が低く、「一人当たり名目付加価値額」の上昇率の押し下げに寄与していることが分かる。足下の動きとしては、2022年のロシアによるウクライナ侵攻に伴う輸入物価上昇の影響等により「中小企業・製造業」の「価格転嫁力指標」は落ち込んだものの、2023年度には価格転嫁への取組もあり回復傾向に転じたのではないかと考えられる。
一方、非製造業においては、2022年度以降、中小企業・大企業共に「価格転嫁力指標」が上昇していることが分かる。足下の動きとしては、2022年以降の原材料費をはじめとする諸物価の高騰を背景に、消費者・販売先への価格転嫁が進み、「一人当たり名目付加価値額」の上昇率の押し上げに寄与していることが示唆される 61 。
61 非製造業には、仕入価格の変動が直接的に販売価格に反映されやすい小売業や卸売業も含まれており、これらの業種では価格転嫁力指標が高く出やすい構造にあるが、仕入価格の上昇分を転嫁できても収益向上に直結しているとは限らない可能性があることに留意が必要。
コラム 1-1-7②図 価格転嫁力指標と労働生産性の関係性(企業規模別、業種別)
| 企業規模・業種 | 期間 | 価格転嫁力指標 (%) | 実質労働生産性 (%) | 一人当たり名目付加価値額 (%) |
|---|---|---|---|---|
| 中小企業・製造業 | 2016~18 | 1.1 | 0.0 | 0.3 |
| 2019~21 | 0.0 | 0.0 | 0.3 | |
| 2022 | 0.3 | 0.0 | 3.4 | |
| 2023(年度) | 3.4 | 0.0 | 3.4 | |
| 中小企業・非製造業 | 2016~18 | -1.1 | -0.8 | 0.0 |
| 2019~21 | -0.8 | 0.0 | 0.0 | |
| 2022 | 3.2 | 0.0 | 1.4 | |
| 2023(年度) | 1.4 | 0.0 | 1.4 | |
| 大企業・製造業 | 2016~18 | 1.6 | 3.2 | 1.0 |
| 2019~21 | 3.2 | 0.0 | 1.0 | |
| 2022 | 1.0 | 0.0 | 5.9 | |
| 2023(年度) | 5.9 | 0.0 | 5.9 | |
| 大企業・非製造業 | 2016~18 | 2.5 | -2.1 | 0.0 |
| 2019~21 | -2.1 | 0.0 | 0.0 | |
| 2022 | 9.3 | 0.0 | 12.5 | |
| 2023(年度) | 12.5 | 0.0 | 12.5 |
資料:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」「企業物価指数」「企業向けサービス価格指数」「最終需要・中間需要物価指数」、総務省「消費者物価指数」「産業連関表」、財務省「法人企業統計調査年報」
(注) 1. ここでの大企業は資本金10億円以上、中小企業は資本金1千万円以上1億円未満の企業をいう。
2. 「一人当たり名目付加価値額」の前年度比変化率から、「価格転嫁力指標」の変化率を除いた差分を「実質労働生産性」の変化率として表示。「2016~18」「2019~21」は各年度の前年度比変化率を平均した数値を表示している。
3. 一人当たり名目付加価値額 = 付加価値額 ÷ (期中平均役員数 + 期中平均従業員数)。
3. マークアップ率の分析結果
マークアップ率とは、名目限界費用(企業が製品・商品・サービス1単位を追加的に生産・提供するときに必要な名目費用)に対する販売価格の比率を指すものである。企業が名目限界費用を上回る販売価格を設定できているとき、マークアップ率は1倍を上回り、この水準が高いほど、費用構造に応じた適切な価格設定を行って利益を確保できている状態を表す 62 。
マークアップ率を推計するには、企業の限界費用を正確に計測する必要があり、労働・資本・原材料といった資源投入量に対する生産量の関係性を示した生産関数を正確に推計することで、限界費用を計測することができる。本事業では、内閣府(2023)、Nakamura and Ohashi(2019)と同様の手法により、売上高などの財務データを用いて、企業の最適化行動(収益最大化・費用最小化)を前提とする生産関数を推計することで、マークアップ率を推計した。なお、生産関数の推計は、青木・高富・法眼(2023)と同様に、企業規模別・業種(中分類)別で行っており、推計した個社ごとのマークアップ率を積み上げることで、企業規模別・業種(製造業・非製造業)別の数値を算出している 63 。
62 マークアップ率の算出式において、分子に当たる販売価格を引き上げる取組だけでなく、分母に当たる限界費用を生産プロセス改善等により低減させる取組を通じても、マークアップ率は向上する。
63 生産関数の推計に当たっては、De Loecker and Warzynski(2012)、Levinsohn and Petrin(2003)なども参考にしている。詳細は、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(同)「令和6年度中小企業実態調査事業(中小企業の価格転嫁状況を把握する指標開発のための調査・分析)調査報告書」を参照。
本指標の推計で使用する企業の財務データは、経済産業省「企業活動基本調査」、中小企業庁「中小企業実態基本調査」、財務省「法人企業統計調査」から取得している。推計に当たっては、法人番号をキーとして同一企業の複数年のデータを接合するため、法人番号の情報が必要であることから、「中小企業実態基本調査」は2016年度以降、「法人企業統計調査」は2018年度以降のデータを使用している。また、永久企業番号をキーとしてデータ接合を行った「企業活動基本調査」は、2016年度以降のデータを使用している。なお、最新時点はいずれも2022年度である。加えて、生産関数の推計式における各変数のデフレーターとして、内閣府「国民経済計算」の経済活動別のデフレーターを使用している。
上記の手法により推計されたマークアップ率を企業規模別・業種別に見ると、「製造業」、「非製造業」共に、「中小企業」に比べて「大企業」のマークアップ率の方が高い水準で推移していることが分かる。このことから、「中小企業」は「大企業」と比べて、費用変動に応じた適切な価格設定や価格転嫁が十分に進んでいない可能性があると考えられる。また、マークアップ率の水準を業種別に比較すると、「製造業」が「非製造業」よりも高い水準で推移しており、製造業では競合他社との差別化や市場環境を意識した価格設定、生産プロセスの改善による費用低減等が、非製造業よりも進んでいると示唆される(コラム1-1-7③図)。
コラム
1-1-7③図
マークアップ率の推移(企業規模別、業種別)
| 業種 | 企業規模 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 製造業 | 大企業 | 1.40 | 1.40 | 1.40 | 1.40 | 1.40 | 1.42 | 1.40 |
| 中小企業 | 1.25 | 1.25 | 1.25 | 1.25 | 1.27 | 1.26 | 1.23 | |
| 非製造業 | 大企業 | 1.18 | 1.18 | 1.21 | 1.20 | 1.21 | 1.22 | 1.22 |
| 中小企業 | 1.10 | 1.11 | 1.12 | 1.12 | 1.12 | 1.12 | 1.12 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工、中小企業庁「中小企業実態基本調査」再編加工、財務省「法人企業統計調査年報」再編加工、内閣府「国民経済計算」
(注) 1. ここでの中小企業とは、中小企業基本法第2条第1項の規定に基づく「中小企業者」を指し、大企業とは、中小企業以外の企業を指す。
2. 企業規模別・業種(中分類)別に推計した個社ごとのマークアップ率を積み上げることで、製造業・非製造業のそれぞれにおける数値を算出している。
続いて、マークアップ率と経営指標(経常利益率・設備投資額(売上高比)・賃金水準 64 )との関係性を見ていく。コラム1-1-7④図は、中小企業について、業種(中分類)ごとにマークアップ率の上位20%の企業をグループVとして、グループI~Vの五分位階級を作成したのち、製造業・非製造業それぞれにおいて集計し、各経営指標について、分位階級ごとに売上高加重平均値を算出したものである。なお、2016年度から2022年度まででマークアップ率を推計できた全ての中小企業を対象としている。また、設備投資額については、このうち「中小企業実態基本調査」における設備投資の実施有無に関する設問で、「設備投資を行った」と回答した企業のみを対象に集計している。
これを見ると、「中小企業・製造業」、「中小企業・非製造業」共に、マークアップ率が高い企業ほど、経常利益率・設備投資額・賃金水準が高い傾向にあり、適切な価格を設定することによる好循環を実現できている可能性がある 65 。
コラム 1-1-7④図 中小企業におけるマークアップ率と経常利益率・設備投資額・賃金水準の関係性(業種別)
| 業種 | グループ | 左軸 (%) | 右軸 (倍) | |
|---|---|---|---|---|
| 経常利益率 | 設備投資額 (売上高比) | 賃金/限界生産性 | ||
| 中小企業・製造業 | I | ~0.2 | ~4.0 | ~0.5 |
| II | ~2.5 | ~3.5 | ~0.7 | |
| III | ~3.5 | ~4.2 | ~1.0 | |
| IV | ~5.2 | ~5.2 | ~1.3 | |
| V | ~7.8 | ~7.8 | ~2.5 | |
| 中小企業・非製造業 | I | ~1.2 | ~2.5 | ~0.6 |
| II | ~2.5 | ~2.8 | ~0.9 | |
| III | ~3.5 | ~3.0 | ~1.1 | |
| IV | ~5.5 | ~4.5 | ~1.5 | |
| V | ~8.0 | ~5.0 | ~3.2 | |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工、中小企業庁「中小企業実態基本調査」再編加工、財務省「法人企業統計調査年報」再編加工、内閣府「国民経済計算」
(注)1. ここでの中小企業とは、中小企業基本法第2条第1項の規定に基づく「中小企業者」を指す。
2. 2016年度から2022年度まででマークアップ率を推計できた全ての中小企業を対象としている。なお、設備投資額(売上高比)については、このうち「中小企業実態基本調査」における設備投資の実施有無に関する設問で「設備投資を行った」と回答した企業のみを対象に集計している。
3. 業種(中分類)ごとにマークアップ率の上位20%の企業をグループVとして、グループI~Vの五分位階級を作成したのち、製造業・非製造業それぞれにおいて集計したもの。
4. 経常利益率・設備投資額(売上高比)・賃金/限界生産性は、いずれも分位階級ごとの売上高加重平均値。
64 ここでの賃金水準とは、労働力の1単位追加により増加する生産物収入(限界生産性)に対する、労働力1単位に支払う賃金の比率(賃金/限界生産性)を指す。この水準が高いほど、企業の収益を従業員へ還元する度合いが高いことを表す。なお、この「賃金/限界生産性」は、内閣府(2023)と同様の手法により推計している。
65 この分析結果は、マークアップ率と経常利益率・設備投資額・賃金水準との相関関係を示したものであり、因果関係を示すものではないことに留意が必要。
4. 分析結果のまとめ
価格転嫁力指標とマークアップ率のいずれの分析結果からも、中小企業は大企業と比べて価格転嫁が進んでいないという共通した傾向が確認された 66 。価格転嫁力指標と労働生産性との関係性の分析結果からは、中小企業の労働生産性は大企業と比較して低い状況にあるが、中小企業においては価格転嫁が十分に進んでいないことが、その一因となっている可能性があると考えられる。他方で、マークアップ率と経営指標との関係性の分析結果からは、適切な価格設定を行うことができている企業ほど、収益向上・設備投資・賃上げへの好循環を実現できていることが推察された。中小企業においても、正確な原価構成の把握や適切な価格交渉などを通じて価格転嫁を推進することで好循環を実現し、更なる労働生産性の向上につなげていくことが期待される。
66 両指標については、先行研究等に基づき様々な仮定を置いて推計したものであることから、分析結果については幅をもって見る必要がある。
1-1-8 パートナーシップ構築宣言に関する取組状況
1. パートナーシップ構築宣言とは
パートナーシップ構築宣言は、「サプライチェーン全体の共存共栄と新たな連携」、「親事業者と下請事業者の望ましい取引慣行の遵守」に重点的に取り組むことで、新たなパートナーシップを構築することを、企業の代表権を有する者の名前で宣言するものである。2025年2月現在、60,000社を超える企業が宣言している。宣言は、2020年5月の「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」(共同議長:内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、経済産業大臣)において導入が決定された。
政府としては、宣言の拡大と実効性向上のため、以下のような取組を実施している。
2. 宣言拡大に資するインセンティブ措置
(1)宣言企業の申請に対する補助金の加点措置の拡大
経済産業省、中小企業庁、その他の省庁の補助金において、パートナーシップ構築宣言の宣言企業への加点措置を継続しているほか、加点措置のある補助金を拡大している(中堅・中小成長投資補助金等)。
(2)賃上げ促進税制の適用に必要なマルチステークホルダー方針に位置付け
一定規模以上の企業が税制を利用するに当たっては、マルチステークホルダー方針の公表及びその旨の届出が要件となっており、当該方針において、パートナーシップ構築宣言について記載を行う必要がある。
令和6年度賃上げ促進税制 67 では、マルチステークホルダー方針の公表及び届出が要件となる企業の対象を拡大した。
具体的には、全企業向け賃上げ促進税制では、「資本金10億円以上かつ従業員数1,000人以上の企業」に加えて、「従業員数が2,000人超の企業」等も、また、令和6年度賃上げ促進税制において新設された中堅企業向け賃上げ促進税制では、「資本金10億円以上かつ従業員数1,000人以上の企業」を対象とした。
(3)株式会社日本政策金融公庫による「企業活力強化資金」の要件拡充
株式会社日本政策金融公庫の「企業活力強化資金」において、パートナーシップ構築宣言を公表している企業は、宣言内容に基づく取組を実施するために必要な設備資金や長期の運転資金について、長期固定金利の融資を受けることが可能となっている。
令和7年度は、宣言の更なる取組促進の観点から、金利水準の見直しを図り、特別利率での支援が可能となっている(令和7年3月開始) 68 。
67 令和6年4月1日~令和9年3月31日までの間に開始する事業年度が対象。全企業向け・中堅企業向け賃上げ促進税制の詳細は経済産業省ホームページを参照のこと( https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/syotokukakudai.html )。
68 企業活力強化資金の詳細については、(株)日本政策金融公庫ホームページを参照のこと( https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/14_syougousikin_m.html )。
3. 宣言の取組状況調査の実施と宣言企業へのフィードバック文書の送付
<宣言の取組状況調査の実施>
宣言企業の取組状況を把握し、実効性の向上につなげるため、宣言企業に対する調査に加えて、受注側企業に対して取引先の宣言企業の取組状況を確認する調査を、2022年度より毎年度実施している。2024年度は、宣言数拡大に伴い、宣言企業調査、受注側企業調査ともに2023年度より配布企業数を増加して実施した。
コラム1-1-8①図は、「受注側企業が、発注側の宣言企業に対して行ってほしい支援や連携の取組」、「受注側企業が、発注側の宣言企業(大企業)が力を入れていると感じる支援や連携の取組」、「宣言企業(大企業)が、サプライチェーンの課題への対応、共存共栄に向けて、取引先と連携や支援している取組」について、それぞれ上位5項目を示したものである。受注側企業が発注側である宣言企業に期待する取組、受注側企業が発注側である宣言企業が力を入れていると感じる取組のいずれにおいても「働き方改革」の取組支援が最も多く挙げられた。
| コラム 1-1-8①図 | パートナーシップ構築宣言の取組状況調査概要① | ||
|---|---|---|---|
|
下請企業が、発注側の宣言企業に対して行ってほしい支援や連携の取組(複数回答)
(n=3,951 ※「特になし」と回答した企業を除く) |
下請企業が、発注側の宣言企業(大企業)が力を入れていると感じる支援や連携の取組(複数回答)
(n=6,237 ※「特になし」と回答した企業を除く) |
||
| 【回答が多かった上位5項目】 | 【回答が多かった上位5項目】 | ||
| 1 | 働き方改革 43.2% | 1 | 働き方改革 45.7% |
| 2 | 人材育成・人材マッチング 20.7% | 2 | 健康経営、労働安全衛生 36.0% |
| 3 | 健康経営、労働安全衛生 18.7% | 3 | グリーン化 24.6% |
| 4 | データの相互利用 15.4% | 4 | サイバーセキュリティ関係 22.5% |
| 5 | IT機器、設備導入 14.8% | 5 | データの相互利用 18.3% |
|
宣言企業(大企業)が、サプライチェーンの課題への対応、共存共栄に向けて、取引先と連携や支援している取組(複数回答)
(n=1,369 ※「特になし」と回答した企業を除く) |
【回答が多かった上位5項目】 | ||
| 1 | グリーン化 32.3% | 2 | EDI(共通取引基盤)導入 29.5% |
| 3 | 健康経営、労働安全衛生 28.3% | 4 | 働き方改革 25.6% |
| 5 | データの相互利用 24.1% | ||
資料:経済産業省「第6回 未来を拓くパートナーシップ構築推進会議 資料2-3 宣言の取組状況調査等」(2025年2月)
受注側企業調査においては、下請中小企業振興法の「振興基準」のうち、取引適正化の重点5課題(コラム1-1-8②図(1)~(5))に関する宣言企業の取組状況を確認した。受注側企業5社以上から回答の集まった宣言企業の結果を見ると、「(1)価格決定方法の適正化」の「①価格協議について」では、全ての企業が8割以上の受注側企業との協議に応じていることが分かった。価格転嫁については、大半の宣言企業で4割以上の転嫁率となったが、価格転嫁の裾野が広がりつつある中で、転嫁率の上昇を図っていくことが課題である。
また、「(2)型取引の適正化」、「(3)支払条件の改善」、「(5)働き方改革に伴うしわ寄せ防止」については、前年度に比べ、改善傾向にあるが、問題となり得る行為を指摘された宣言企業も確認された。
コラム 1-1-8②図 パートナーシップ構築宣言の取組状況調査概要②
| (1) 価格決定方法の適正化 | 令和6年度結果 | 令和5年度結果 |
|---|---|---|
| ①価格協議について (令和6年度:n=527, 令和5年度:n=163) | ||
| ・ 8割以上の受注側企業から、 価格協議に応じたと 評価された | 527社 (100%) | 161社 (98.8%) |
| ・ 8割未満の受注側企業から、 価格協議に応じたと 評価された | 0社 | 2社 (1.2%) |
| ②価格転嫁について (令和6年度:n=617, 令和5年度:n=206) | ※受注側企業が回答した価格転嫁率の平均値 | |
| ・ 7~10割程度 の価格転嫁を受け入れたと評価された | 158社 (25.6%) | 72社 (35.0%) |
| ・ 4~6割程度 の価格転嫁を受け入れたと評価された | 383社 (62.1%) | 120社 (58.3%) |
| ・ 1~3割程度 の価格転嫁を受け入れたと評価された | 74社 (12.0%) | 14社 (6.8%) |
| ・ 価格転嫁を受け入れなかったと評価された | 2社 (0.2%) | 0社 |
| ③不合理な価格引き下げの要請 (令和6年度:n=677, 令和5年度:n=229) | ||
| ・ 2割超~5割未満の受注側企業から、 要請したと 評価された | 0社 | 1社 (0.4%) |
| ・ 5割以上の受注側企業から、 要請したと 評価された | 0社 | 0社 |
| (2) 型取引の適正化 (令和6年度:n=73, 令和5年度:n=25) | ||
| ・ 2割超~5割未満 の受注側企業から、 無償の型管理ありと 評価された | 46社 (63.0%) | 17社 (68.2%) |
| ・ 5割以上 の受注側企業から、 無償の型管理ありと 評価された | 3社 (4.1%) | 4社 (16.0%) |
| (3) 支払条件の改善 (令和6年度:n=677, 令和5年度:n=229) | ||
| ・ 2割超~5割未満 の受注側企業から、 手形等の支払の割引料等の負担ありと 評価された | 109社 (16.1%) | 36社 (15.7%) |
| ・ 5割以上 の受注側企業から、 手形等の支払の割引料等の負担ありと 評価された | 46社 (6.8%) | 24社 (10.5%) |
| (4) 知的財産・ノウハウの保護 (令和6年度:n=177, 令和5年度:n=72) | ||
| ・ 2割超~5割未満 の受注側企業から、 知財取引に関してガイドラインに沿っていないと 評価された | 1社 (0.6%) | 0社 |
| ・ 5割以上 の受注側企業から、 知財取引に関してガイドラインに沿っていないと 評価された | 0社 | 0社 |
| (5) 働き方改革に伴うしわ寄せ防止 (令和6年度:n=677, 令和5年度:n=299) | ||
| ・ 2割超~5割未満 の受注側企業から、 追加料金なく、短納期発注や急な仕様変更をしたと 評価された | 32社 (4.7%) | 17社 (7.4%) |
| ・ 5割以上 の受注側企業から、 追加料金なく、短納期発注や急な仕様変更をしたと 評価された | 3社 (0.4%) | 0社 |
資料:経済産業省「第6回 未来を拓くパートナーシップ構築推進会議 資料2-3 宣言の取組状況調査等」(2025年2月)より中小企業庁作成
(注) 令和6年度と令和5年度で質問項目等が異なるため、直接的な比較はできない。
<宣言企業へのフィードバック文書の送付>
宣言の実効性の向上に向けて、受注側企業調査において5社以上から回答の集まった宣言企業677社と、宣言企業調査において振興基準に照らして問題となるおそれがある回答が確認された宣言企業449社に対しては、企業の代表者宛てに、調査結果についてのフィードバック文書を送付し、必要な改善を促している(コラム1-1-8③図)。
コラム
1-1-8③図
受注側企業調査結果の各企業へのフィードバックイメージ
| 設問 | 貴社 | 平均 | 今回順位 | 今回偏差値 | 前回偏差値 |
|---|---|---|---|---|---|
| 問1:宣言の周知 | 5.9 | 3.8 | 87/677 | 61.8 | 57.8 |
| 問2:価格協議 | 9.2 | 7.9 | 26/554 | 60.9 | 52.8 |
| 問3:価格転嫁 | 6.2 | 5.8 | 270/617 | 52.3 | 50.7 |
| 問4:短納期先注等 | 5.0 | 8.4 | 636/677 | 31.7 | 45.2 |
| 問5:手形支払 | 8.1 | 7.2 | 402/677 | 52.4 | 50.0 |
| 問6:知財取引 | 7.8 | 8.6 | 117/177 | 45.6 | 56.2 |
| 問7:型管理 | 1.3 | -0.1 | 28/73 | 53.7 | - |
| 問11:新たな連携 | 6.8 | 4.8 | 31/677 | 66.0 | 36.9 |
| 総合順位 | 385/677 | 53.0 | 50.0 |
資料:経済産業省「第6回 未来を拓くパートナーシップ構築推進会議 資料2-3 宣言の取組状況調査等」(2025年2月)
4. パートナーシップ構築宣言の取組事例の発信
2022年度から、宣言の更なる拡大やサプライチェーン全体での協力拡大の機運醸成を目的としたシンポジウムを開催し、サプライチェーンにおけるグリーン化や働き方改革など新たな連携に積極的に取り組む優良な取組事例を「パートナーシップ構築大賞」として表彰している。2023年度からは経済産業大臣賞、中小企業庁長官賞に加え、中小企業の優れた取組を表彰する「中小企業賞」、世間の注目度が高い、政府として注力している等のテーマを設定し、表彰する「テーマ特別賞」(2023~2024年度はサプライチェーンのGXの優れた取組を表彰するGX表彰)を表彰している。
また、パートナーシップ構築宣言の趣旨を踏まえ、サプライチェーンにおける新たな連携に積極的に取り組む事例や、宣言したことを契機に、受注側企業との適正な取引を含めて、経営者や調達担当者の意識が高まった事例など、他の宣言企業やこれから宣言を行う企業にとって参考になる事例について、取組の概要や背景などのポイントを事例集としてまとめて公表している。
コラム
1-1-9 団体協約制度
中小企業者は、取引に当たって、相手方との力関係から不利な条件を付されることが多い。この点、事業協同組合等(以下、「組合」という。)は、組合員の競争力を補強するための手段として、中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号、以下、「中協法」という。)に基づき、組合員とその取引先事業者との間の取引価格や納入条件等の取引条件に関する団体協約を締結することができる。組合は、組合員と取引関係がある事業者に対して、団体協約を締結するための交渉の申出を行うことができ、申出を受けた当該事業者は誠意を持って交渉に応じなければならないとされており、取引条件の改善の有効な手段の一つとして期待されている。
また、中協法及び私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号、以下、「独占禁止法」という。)に基づき、中小企業者により構成される組合の行為は独占禁止法の適用除外となることから、本来はカルテルに該当し、認められない「最低製品価格の設定」などが可能となる。
令和6年6月には、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(令和6年6月21日閣議決定)の価格転嫁対策の項において、「中小企業等協同組合法に基づく団体協約の更なる活用の推進に向け、活用実態の調査や組合への制度周知に取り組む」旨が明記された。これに伴い、団体協約の更なる普及促進に向けた今後の取組を検討する上で、団体協約の知名度や利用実態の把握のために全国の組合に対し、調査を実施した。
団体協約については、組合の価格交渉力の向上につながることが期待されている。中小企業庁においても、利用実態把握に向けた調査結果等を踏まえつつ、引き続き、全国中小企業団体中央会等の関係団体と連携しながら、団体協約制度の活用促進に向けて取り組んでいく。
コラム 1-1-9①図 団体協約を活用した取引条件の改善のイメージ
協同組合X
組合員A
個別交渉及び個別契約
取引条件:○円/個
組合員B
個別交渉及び個別契約
取引条件:△円/個
組合員C
個別交渉及び個別契約
取引条件:□円/個
取引の相手方Y
組合代表者等による交渉及び組合名義での団体協約
価格転嫁のため、商品単価を5%アップ
★ポイント★
- ● 組合員と取引先事業者との取引内容を変更する際には、団体協約の活用が可能である。
- ● 団体協約締結の際には、組合員ではなく、組合代表者が取引先事業者と交渉を行うことができる。
-
● 団体協約が締結されると、当該協約で定めた内容が各組合員の契約内容に適用され、上図においては各組合員の相手方Yとの契約内容は下記記載の内容に変更される。
組合員A:○円 → ○円 + 5%
組合員B:△円 → △円 + 5%
組合員C:□円 → □円 + 5%
資料:経済産業省作成
第7節 賃金・賃上げ
本節では、賃金の動向や中小企業・小規模事業者の賃上げの動向について確認する。
第1-1-51図は、最低賃金の推移を見たものである。2024年度の最低賃金の全国加重平均額は、
前年度と比べて51円、比率にして5.1%の改定が行われたことで1,055円となり、過去最高を更新した。
第1-1-51図 最低賃金の推移
| 年度 | 最低賃金 (円) | 引上げ率 (%) |
|---|---|---|
| 2003 | 660 | 0.0 |
| 2004 | 660 | 0.0 |
| 2005 | 660 | 0.0 |
| 2006 | 670 | 1.5 |
| 2007 | 680 | 3.0 |
| 2008 | 700 | 3.0 |
| 2009 | 710 | 1.5 |
| 2010 | 730 | 3.0 |
| 2011 | 740 | 1.0 |
| 2012 | 750 | 1.5 |
| 2013 | 760 | 2.0 |
| 2014 | 780 | 2.0 |
| 2015 | 798 | 2.5 |
| 2016 | 823 | 3.0 |
| 2017 | 848 | 3.0 |
| 2018 | 874 | 3.0 |
| 2019 | 901 | 3.0 |
| 2020 | 902 | -1.0 |
| 2021 | 930 | 2.5 |
| 2022 | 961 | 3.0 |
| 2023 | 1,004 | 4.5 |
| 2024 | 1,055 | 5.1 |
資料:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
第1-1-52図は、春季労使交渉による賃上げ率の推移を見たものである。これを見ると、2024年の賃上げの状況は、「賃上げ率(全規模)」で5.10%、「賃上げ率(中小)」で4.45%となっており、約30年ぶりの水準となった。
| 年 | 賃上げ率(全規模) | 賃上げ率(中小) |
|---|---|---|
| 1992 | 4.97% | 5.10% |
| 2021 | 3.58% | 3.58% |
| 2023 | 3.23% | 3.23% |
| 2024 | 5.10% | 4.45% |
資料:日本労働組合総連合会「春季生活闘争第7回(最終)回答集計」(2024年7月1日集計・7月3日公表)
(注)1.ここで「賃上げ率(中小)」とは、組合員数300人未満の中小組合における賃上げ率をいう。
2.ここで賃上げ率は、平均賃金方式(組合員の平均賃金をいくら引き上げるかについて、一人平均の労務コストをもとに交渉する方式)での賃上げ状況の推移を見たものである。
第1-1-53図は、常用労働者規模別に、一人当たりの所定内給与額の推移を見たものである。これを見ると、「100~999人」及び「10~99人」
は増加傾向にあるが、「1,000人以上」との間には依然として差が存在しており、足下の2024年には、その差が拡大している。
第1-1-53図 所定内給与額の推移(常用労働者規模別)
| 年 | 1,000人以上 | 100~999人 | 10~99人 |
|---|---|---|---|
| 2010 | 345 | 285 | 255 |
| 2011 | 348 | 285 | 255 |
| 2012 | 342 | 285 | 255 |
| 2013 | 342 | 280 | 255 |
| 2014 | 345 | 285 | 258 |
| 2015 | 348 | 290 | 260 |
| 2016 | 345 | 290 | 262 |
| 2017 | 345 | 288 | 265 |
| 2018 | 348 | 290 | 265 |
| 2019 | 342 | 295 | 270 |
| 2020 | 335 | 300 | 275 |
| 2021 | 338 | 298 | 278 |
| 2022 | 345 | 305 | 282 |
| 2023 | 342 | 315 | 290 |
| 2024(年) | 364.5 | 323.1 | 299.3 |
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
(注) 1. ここでの「所定内給与額」とは、労働契約等であらかじめ定められている支給条件、算定方法により支給された現金給与額のうち、超過労働給与額(時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当として支給される給与)を差し引いた額を指す。
2. 「短時間労働者」を除いた、「一般労働者」について集計している。「短時間労働者」とは、1日の所定労働時間が一般の労働者よりも短い又は1日の所定労働時間が一般の労働者と同じでも1週の間所定労働日数が一般の労働者よりも少ない労働者を指す。
第1-1-54図は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を用いて、企業規模別に、2023年の常用労働者における時間当たり所定内給与額の分布を見たものである。これを見ると、分布のボ
リュームゾーンは「中小企業」で約1,000円、「大企業」で約1,100円となっており、水準に差が生じていることが分かる。
第1-1-54図 時間当たり所定内給与額の分布(企業規模別、常用労働者・2023年)
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」再編加工
(注)1.中小企業基本法第2条の規定に基づき、業種別の従業員数の定義に基づく中小企業と、それ以外の大企業に分けて集計している。
2.全常用労働者数に対する、時間当たり所定内給与額の該当者数の割合を、10円単位で、大企業・中小企業ごとに4,000円までの範囲で集計している。
3.ここでの「所定内給与額」とは、労働契約等であらかじめ定められている支給条件、算定方法により支給された現金給与額のうち、超過労働給与額(時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当として支給される給与)を差し引いた額を指す。
第1-1-55図は、企業規模別に付加価値額の構成要素を見たものである。賃上げ余力を高めるには付加価値額に占める営業純益の割合を高めることが必要であるが、「中小企業」は「大企業」と比較してこの割合が低い。
労働分配率に着目すると、「中規模企業」及び「小規模企業」の労働分配率は約8割であり、中小企業・小規模事業者の更なる賃上げ余力は、大企業と比較して厳しい状況といえる 69 (第1-1-56図)。
第1-1-55図 付加価値額の構成要素(企業規模別)
The figure consists of two stacked area charts. The left chart is for '中小企業' (SMEs) and the right chart is for '大企業' (Large Enterprises). Both charts show the percentage contribution of five components to the total value-added from 1989 to 2021. The components are stacked from bottom to top: 人件費 (gray), 支払利息等 (green), 動産・不動産賃借料 (blue), 租税公課 (yellow), and 営業純益 (red). In the SME chart, the red area at the top is labeled '8.3%'. In the Large Enterprise chart, the red area at the top is labeled '34.3%'. The X-axis for both charts shows years from 1989 to 2021 in 4-year increments.
資料:財務省「法人企業統計調査年報」
(注)1. ここでの大企業とは資本金10億円以上の企業、中小企業とは資本金1億円未満の企業とする。
2. 金融業、保険業は含まれていない。
3. 付加価値額 = 営業純益(営業利益-支払利息等) + 人件費 + 支払利息等 + 動産・不動産賃借料 + 租税公課。
4. 人件費 = 役員給与 + 役員賞与 + 従業員給与 + 従業員賞与 + 福利厚生費。
69 (株) 東京商工リサーチ (2025) によれば、資本金1億円未満の企業4,900社のうち4,147社 (84.6%) が、2025年度に賃上げを「実施する」と回答している。また、「実施する」と回答した資本金1億円未満の企業に、向こう5年先まで見通した場合、毎年の賃上げを実施できそうか聞いたところ、「必ず毎年実施できる」、「高い確率で毎年実施できる」、「おそらく毎年実施できる」と回答した企業の合計は3,964社のうち2,575社 (65.0%) であった。このように、一定数の中小企業が、賃上げに対して意欲を示していることには留意が必要。
第1-1-56図 労働分配率の推移(企業規模別)
| 年 | 大企業 (%) | 中規模企業 (%) | 小規模企業 (%) |
|---|---|---|---|
| 1989 | 57.0 | 70.0 | 78.0 |
| 1991 | 58.0 | 71.0 | 78.0 |
| 1993 | 65.0 | 76.0 | 84.0 |
| 1995 | 62.0 | 76.0 | 83.0 |
| 1997 | 62.0 | 78.0 | 85.0 |
| 1999 | 65.0 | 81.0 | 89.0 |
| 2001 | 60.0 | 80.0 | 86.0 |
| 2003 | 58.0 | 78.0 | 85.0 |
| 2005 | 55.0 | 77.0 | 85.0 |
| 2007 | 53.0 | 78.0 | 85.0 |
| 2009 | 65.0 | 78.0 | 89.0 |
| 2011 | 61.0 | 78.0 | 82.0 |
| 2013 | 56.0 | 76.0 | 84.0 |
| 2015 | 53.0 | 75.0 | 82.0 |
| 2017 | 52.0 | 74.0 | 80.0 |
| 2019 | 55.0 | 77.0 | 82.0 |
| 2021 | 58.0 | 80.0 | 91.0 |
| 2023 | 48.2 | 76.9 | 80.0 |
資料:財務省「法人企業統計調査年報」
(注)1.ここでの大企業とは資本金10億円以上、中規模企業とは資本金1千万円以上1億円未満、小規模企業とは資本金1千万円未満の企業とする。
2.金融業、保険業は含まない。
3.労働分配率 = 人件費 ÷ 付加価値額。
4.付加価値額 = 営業純益(営業利益-支払利息等) + 人件費 + 支払利息等 + 動産・不動産賃借料 + 租税公課。
5.人件費 = 役員給与 + 役員賞与 + 従業員給与 + 従業員賞与 + 福利厚生費。
第1-1-57図は、中小企業・小規模事業者における賃上げの実施状況を見たものである。これを見ると、賃上げを実施する中小企業・小規模事業者の割合は高まっているが、中でも業績の改善を
きっかけとしない賃上げの割合が高まっており、賃上げを実施した企業のうちの過半数を占めていることが分かる。
第1-1-57図 中小企業・小規模事業者における賃上げの実施状況
| 調査期間 | 業績が好調・改善しているため賃上げを実施(予定を含む) | 業績の改善が見られないが賃上げを実施(予定を含む) | 現時点では未定 | 賃上げを見送る(予定や引き下げる場合を含む) | 無回答 |
|---|---|---|---|---|---|
|
2024年1月
(n=2,988) |
24.4% | 36.9% | 34.7% | 3.7% | 0.3% |
|
2024年4~5月
(n=1,979) |
30.4% | 43.9% | 20.4% | 5.4% | 0.4% |
資料:日本商工会議所・東京商工会議所「『中小企業の賃金改定に関する調査』集計結果」(2024年6月5日)、「『中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査』集計結果」(2024年2月14日)
第1-1-58図は、消費者物価指数・賃金指数・消費者態度指数の推移を見たものである。これを見ると、ここまで確認したような賃上げの動向を背景に、「賃金指数」は直近数年間で上昇傾向にあり、令和6年平均の所定内給与は対前年比で
2.1%と30年ぶりの高い伸びとなった 70 。一方で「消費者物価指数」は「賃金指数」を上回る上昇を続けており、こうした動向などを受けて、「消費者態度指数」が低下している可能性が考えられる。
第1-1-58図 消費者物価指数・賃金指数・消費者態度指数の推移
| 年/月 | 消費者物価指数 (総合) (左軸) | 賃金指数 (左軸) | 消費者態度指数 (右軸) |
|---|---|---|---|
| 16/01 | 97.5 | 97.5 | 40.0 |
| 17/01 | 98.5 | 98.5 | 41.0 |
| 18/01 | 99.5 | 99.5 | 42.0 |
| 19/01 | 100.0 | 100.0 | 40.0 |
| 20/01 | 100.0 | 100.0 | 35.0 |
| 21/01 | 100.0 | 100.0 | 38.0 |
| 22/01 | 101.0 | 101.0 | 38.0 |
| 23/01 | 104.0 | 102.0 | 35.0 |
| 24/01 | 108.0 | 105.0 | 38.0 |
| 24/12 | 110.7 | 108.2 | 35.4 |
資料:総務省「消費者物価指数」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」、内閣府「消費動向調査」
(注) 1. 「消費者物価指数 (総合)」、「賃金指数」はいずれも2020年を基準としている。
2. 「賃金指数」は、事業所規模5人以上の、所定内給与の賃金指数を用いている。
3. 「消費者態度指数」は、原数値(総世帯)を用いている。
事例1-1-7では、省力化投資や適切な価格転嫁の事例を紹介する。により収益力を高め、賃上げを実現している企業
70 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年分結果速報 プレスリリース」より引用。なお、令和7年2月25日に確報値が公表されたが、令和6年平均の所定内給与の前年比は、速報値と同一であった。
事例
1-1-7
省力化投資や価格転嫁により利益体質を強化し、賃上げを実現している企業
所在地 滋賀県彦根市
従業員数 240名
資本金 4,800万円
事業内容 飲食料品小売業
株式会社千成亭風土
▶ 新型コロナウイルス感染症の影響による業況悪化で賃金据置きを余儀なくされる
滋賀県彦根市の株式会社千成亭風土は、滋賀県のブランド牛である近江牛の生産から加工品の製造・販売、飲食サービスまでを一貫して行う企業である。飲食店は彦根市を中心に9店舗を展開している。これまでは好調な業績を背景に毎年ベースアップを行っていたが、新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」)の影響による外食機会の制限・減少に伴い飲食部門の利用客が減少し、業況が悪化。2020年度は売上げが前年比10%を切る月もあり、賃金据置きを余儀なくされた。業況回復を目指す中、従業員のモチベーション向上や人材確保も図るべく、滋賀県の最低賃金改定や持続的な賃上げを見据えて、賃上げ原資確保のために利益体質の強化が課題となった。
▶ バックヤードの機械化による生産効率向上と価格転嫁で、利益体質強化を推進
利益体質強化を目指す施策として、まずバックヤードの機械化による生産効率向上に着手。製造現場からの報告や、従業員へのアンケート調査を用いて、人手や時間を要する負担の大きい作業を特定し、現場のニーズに基づいて機械化を進めた。機械化を進める上では、品質の維持と安定が新たな課題となり、「味が違う」というクレームを受けることもあったが、材料の配合など改良を重ねて解決。肉のカットのような手作業で行うと技術や経験の差が出る工程も、機械化によって技術・経験の多寡を問わず品質安定化を実現し、食材ロスも減少した。機械化により余裕が生じた人員は、顧客満足度を高めるため接客・販売・調理のスキルアップに取り組むなど、人にしかできない業務の付加価値向上に注力するとともに、新規出店した飲食店の運営にも充てた。加えて、販売価格の見直しにも着目。製造原価を洗い出し、メニュー内容を見直したほか、高品質の製品を安定して提供可能になったことも後押しとなり、価格の全体的な底上げを進めた。
▶ 収益力向上により3年ぶりの賃上げを実現、人材確保にも好影響
機械化による生産効率向上で欠品率が減少し、小売・EC部門の機会損失が減少したことで、同部門の売上げが増加したほか、飲食店の新規出店も寄与し、2023年度には感染症の感染拡大以前と同水準の売上げに回復。さらに、繁忙月である12月の平均残業時間は2020年の57時間から2023年には30時間とほぼ半減したほか、品質安定化に伴うロス率減少や価格転嫁も相まって、利益率も向上した。一連の利益体質強化の取組を背景に、2023年度には3年ぶりの賃上げを実現、2024年度には正社員の基本給を3.1%、パート・アルバイトの平均時給を4.5%上昇させた。機械化による業務効率改善や賃上げは人材確保にも好影響を及ぼし、2019年度まで例年5名程度だった新卒採用者数は、2022年度以降8名に増加。かつて20%超であった離職率も、2022年度11.5%、2023年度12.4%と、「宿泊業、飲食サービス業」の離職率26.6%(厚生労働省「令和5年雇用動向調査」)を下回る水準を維持している。今後も継続的に収益力を向上させ、賃上げなどで従業員に還元するサイクルを確立するとともに、更なる職場環境改善や従業員の満足度向上に注力して、モチベーション向上や人材確保につなげていくことが目標だ。「飲食業界は労働時間が長くて働きにくいイメージがあるが、今後も現場の声に耳を傾けながら、機械化や職場環境改善に取り組み、働きやすい環境づくりと企業の成長を両立していきたい」と上田健一郎社長は語る。
上田健一郎社長
主力商品の近江牛
バックヤードに導入した新規設備
第8節 開業、倒産・休廃業
本節では、開業及び倒産・休廃業の動向について確認する。
第1-1-59図は、厚生労働省「雇用保険事業年報」を用いて、開業率と廃業率の推移を見たもの
である。2023年度の「開業率」は、2022年度から横ばいの3.9%、「廃業率」は、2022年度から上昇し、3.9%となった。
第1-1-59図 開業率・廃業率の推移
| 年度 | 開業率 (%) | 廃業率 (%) |
|---|---|---|
| 1981 | 7.2 | 3.7 |
| 1983 | 6.2 | 4.3 |
| 1985 | 5.8 | 4.2 |
| 1987 | 6.8 | 3.5 |
| 1989 | 6.8 | 3.2 |
| 1991 | 5.8 | 3.2 |
| 1993 | 4.6 | 3.4 |
| 1995 | 4.6 | 3.5 |
| 1997 | 4.6 | 2.5 |
| 1999 | 4.8 | 3.2 |
| 2001 | 4.2 | 4.2 |
| 2003 | 4.0 | 4.7 |
| 2005 | 4.2 | 4.4 |
| 2007 | 4.8 | 4.3 |
| 2009 | 4.5 | 4.7 |
| 2011 | 4.5 | 4.0 |
| 2013 | 4.8 | 4.0 |
| 2015 | 5.5 | 3.5 |
| 2017 | 5.5 | 3.5 |
| 2019 | 4.2 | 3.5 |
| 2021 | 5.1 | 3.2 |
| 2023 | 3.9 | 3.9 |
資料:厚生労働省「雇用保険事業年報」より中小企業庁作成
(注) 1. 「開業率」 = 当該年度の保険関係新規成立事業所数 / 前年度末の適用事業所数 × 100
2. 「廃業率」 = 当該年度の保険関係消滅事業所数 / 前年度末の適用事業所数 × 100
3. 適用事業所数とは、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定により雇用保険に係る労働保険の保険関係が成立している事業の事業所数をいう(雇用保険法第5条)。
4. 事業所における保険関係の成立、消滅をそれぞれ開廃業とみなしているため、企業単位での開廃業を確認できない点、雇用者が存在しない事業者の開廃業の実態は把握できない点に留意が必要。
第1-1-60図は、倒産件数の推移を見たものである。2009年以降、倒産件数は減少傾向だったが、2021年を底に増加傾向に転じ、2024年の倒産件数は10,006件だった。
また、従業員規模別に見ると、「~4人」の企
業が大半を占めている。要因別に見ると、「人手不足」に関連するものに加え、「物価高」を要因とした倒産の件数も増加していることが分かる 71 (第1-1-61図)。
第1-1-60図 倒産件数の推移
| 年 | 倒産件数 |
|---|---|
| 00 | 6,444 |
| 01 | 10,644 |
| 02 | 14,044 |
| 03 | 14,544 |
| 04 | 14,044 |
| 05 | 15,044 |
| 06 | 14,844 |
| 07 | 16,444 |
| 08 | 18,844 |
| 09 | 15,344 |
| 10 | 18,544 |
| 11 | 18,855 |
| 12 | 16,244 |
| 13 | 13,544 |
| 14 | 12,544 |
| 15 | 10,855 |
| 16 | 9,544 |
| 17 | 8,444 |
| 18 | 8,111 |
| 19 | 8,344 |
| 20 | 7,744 |
| 21 | 5,944 |
| 22 | 6,344 |
| 23 | 8,644 |
| 24 | 10,006 |
資料:(株)東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」
(注)1.ここで「倒産」とは、企業が債務の支払不能に陥ることや、経済活動を続けることが困難になった状態となること。また、私的倒産(銀行取引停止処分、内整理)も倒産に含まれる。
2.負債総額1,000万円以上の倒産が集計対象。
71 総務省「労働力調査(基本集計)」によれば、倒産件数が前年比で増加した2022年、2023年及び2024年の完全失業率(年平均)はそれぞれ2.6%、2.6%、2.5%であり、2021年の2.8%と比較して横ばいである。
第1-1-61図 倒産件数の推移(内訳)
(1)倒産件数の推移(従業員規模別)
This stacked bar chart displays the number of bankruptcies per month from February 2022 to December 2024, categorized by employee size. The y-axis represents the number of cases (0 to 1,200), and the x-axis shows the months. The legend indicates six employee size categories: ~4 (blue), 5-9 (orange), 10-19 (green), 20-49 (yellow), 50-299 (purple), and 300+ (red). The total number of bankruptcies shows a general upward trend, peaking in mid-2023 at nearly 1,000 cases per month, before slightly declining towards the end of 2024.
(2)「人手不足」関連倒産
This stacked bar chart shows the number of bankruptcies related to labor shortages from 2013 to 2024. The y-axis represents the number of cases (0 to 300), and the x-axis shows the years. The legend indicates three categories: high labor costs (blue), employee resignations (orange), and recruitment difficulties (red). The total number of cases shows a significant increase over the period, with a notable peak in 2024 (289 cases). The 'recruitment difficulties' category has become the most prominent factor in recent years.
(3)「物価高」倒産
This bar chart displays the number of bankruptcies related to high prices by month for the years 2022, 2023, and 2024. The y-axis represents the number of cases (0 to 100), and the x-axis shows the months (1-12). The total annual counts are 286 for 2022, 646 for 2023, and 698 for 2024. The chart shows a clear upward trend in the frequency and volume of these bankruptcies over the three-year period, with a significant peak in May 2024.
資料:(株)東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」
(注)1.ここで「倒産」とは、企業が債務の支払不能に陥ることや、経済活動を続けることが困難になった状態となること。また、私的倒産(銀行取引停止処分、内整理)も倒産に含まれる。
2.負債総額1,000万円以上の倒産が集計対象。
3.ここで「物価高」倒産とは、①仕入コストや資源・原材料価格の上昇、②価格上昇分を価格転嫁できなかった、等による倒産を指す。
第1-1-62図は、休廃業・解散件数の推移を見たものである。休廃業・解散件数は近年減少傾向にあったものの、2023年に増加傾向に転じ、2024年には約7万件となった 72 。
第1-1-62図 休廃業・解散件数の推移
| 年 | 件数 |
|---|---|
| 2016 | 60,168 |
| 2017 | 59,702 |
| 2018 | 58,519 |
| 2019 | 59,225 |
| 2020 | 56,103 |
| 2021 | 54,709 |
| 2022 | 53,426 |
| 2023 | 59,105 |
| 2024 | 69,019 |
資料:(株)帝国データバンク「全国企業『休廃業・解散』動向調査」
(注)1.(株)帝国データバンクが調査・保有する企業データベースのほか、各種法人データベースを基に集計したもの。休廃業・解散とは、倒産(法的整理)によるものを除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認(休廃業)、若しくは商業登記等で解散(ただし「みなし解散」を除く)を確認できたものを指す。
2.調査時点での休廃業・解散状態を確認したもので、将来的な企業活動の再開を否定するものではない。また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計する場合もある。
72(株)帝国データバンクが定義する「休廃業・解散」について、同社のデータベース等から集計している。集計対象のデータベースや、「休廃業・解散」の定義等によっては、件数や傾向が他の調査結果と異なってくる可能性があることに留意が必要。
第1-1-63図は、休廃業・解散企業数について を見ると、休廃業・解散企業数に占める「小規模企業規模別構成比の推移を見たものである。これ 事業者」の割合は一貫して9割超となっている。
第1-1-63図 休廃業・解散企業数の企業規模別構成比の推移
| 年 | 小規模事業者 (%) | 中規模企業 (%) | 大企業 (%) |
|---|---|---|---|
| 2015年 | 92.7% | 7.2% | 0.1% |
| 2016年 | 93.6% | 6.4% | 0.0% |
| 2017年 | 93.1% | 6.8% | 0.1% |
| 2018年 | 93.0% | 6.9% | 0.1% |
| 2019年 | 93.5% | 6.5% | 0.0% |
| 2020年 | 92.6% | 7.4% | 0.0% |
| 2021年 | 93.3% | 6.6% | 0.1% |
| 2022年 | 94.0% | 5.9% | 0.1% |
| 2023年 | 94.7% | 5.3% | 0.0% |
| 2024年 | 94.2% | 5.8% | 0.0% |
資料:(株)帝国データバンク「企業概要ファイル」再編加工
(注)1.(株)帝国データバンクが調査・保有する企業データベースを基に集計したもの。休廃業・解散とは、倒産(法的整理)によるものを除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認(休廃業)、若しくは商業登記等で解散(ただし「みなし解散」を除く)を確認できたものを指す。
2.調査時点での休廃業・解散状態を確認したもので、将来的な企業活動の再開を否定するものではない。また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計する場合もある。
3.ここでの「小規模事業者」とは、中小企業基本法に定める「小規模事業者」のことを指す。「中規模企業」とは、同法に定める「中小事業者」のうち、「小規模事業者」を除いた者を指す。なお、企業規模は企業概要ファイルの情報に基づき分類をしている。
4.会社法上の「会社」に該当する企業(株式会社・合資会社・合名会社・合同会社のほか、有限会社を含む。)に限定して集計している。
第1-1-64図は、休廃業・解散企業における損益別構成比の推移を見たものである。「黒字」の状態で休廃業・解散に至る企業の割合は減少傾向にあるものの、2024年でも51.1%と過半数を占めている。
第1-1-64図 休廃業・解散企業の損益別構成比の推移
| 年 | 赤字 (%) | 黒字 (%) |
|---|---|---|
| 2016 | 44.3 | 55.7 |
| 2017 | 45.5 | 54.5 |
| 2018 | 44.0 | 56.0 |
| 2019 | 44.6 | 55.4 |
| 2020 | 42.9 | 57.1 |
| 2021 | 43.8 | 56.2 |
| 2022 | 45.7 | 54.3 |
| 2023 | 48.1 | 51.9 |
| 2024 | 48.9 | 51.1 |
資料:(株)帝国データバンク「全国企業『休廃業・解散』動向調査」
(注) 1. (株)帝国データバンクが調査・保有する企業データベースのほか、各種法人データベースを基に集計したもの。休廃業・解散とは、倒産(法的整理)によるものを除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認(休廃業)、若しくは商業登記等で解散(ただし「みなし解散」を除く)を確認できたものを指す。
2. 調査時点での休廃業・解散状態を確認したもので、将来的な企業活動の再開を否定するものではない。また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計する場合もある。
3. 「黒字」及び「赤字」の判定は休廃業・解散直前の当期純利益に基づく。
第1-1-65図は、休廃業・解散企業における損益別構成比の推移を、企業規模別に見たものである。これを見ると、中規模企業では、休廃業・解散企業に占める「黒字」の割合が2019年をピークに減少傾向にあり、2022年には半数を下回ったが、足下では再び過半数となっている。一方、小規模事業者においては、「赤字」の状態で休廃業・解散に至る割合が2023年に半数を超え、2024年も引き続き「赤字」の割合が過半数を占めていることが分かる。
第1-1-65図 休廃業・解散企業の損益別構成比の推移(企業規模別)
(1) 中規模企業
| 年 | 黒字 (%) | 赤字 (%) |
|---|---|---|
| 2015年 | 56.7% | 43.3% |
| 2016年 | 61.8% | 38.2% |
| 2017年 | 54.8% | 45.2% |
| 2018年 | 58.2% | 41.8% |
| 2019年 | 64.5% | 35.5% |
| 2020年 | 58.0% | 42.0% |
| 2021年 | 51.9% | 48.1% |
| 2022年 | 49.8% | 50.2% |
| 2023年 | 56.9% | 43.1% |
| 2024年 | 52.0% | 48.0% |
(2) 小規模事業者
| 年 | 黒字 (%) | 赤字 (%) |
|---|---|---|
| 2015年 | 55.5% | 44.5% |
| 2016年 | 55.3% | 44.7% |
| 2017年 | 53.8% | 46.2% |
| 2018年 | 54.4% | 45.6% |
| 2019年 | 56.7% | 43.3% |
| 2020年 | 56.1% | 43.9% |
| 2021年 | 56.0% | 44.0% |
| 2022年 | 55.2% | 44.8% |
| 2023年 | 49.5% | 50.5% |
| 2024年 | 49.6% | 50.4% |
資料:(株)帝国データバンク「企業概要ファイル」再編加工
(注)1.(株)帝国データバンクが調査・保有する企業データベースを基に集計したもの。休廃業・解散とは、倒産(法的整理)によるものを除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認(休廃業)、若しくは商業登記等で解散(ただし「みなし解散」を除く)を確認できたものを指す。
2.調査時点での休廃業・解散状態を確認したもので、将来的な企業活動の再開を否定するものではない。また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計する場合もある。
3.ここでの「小規模事業者」とは、中小企業基本法に定める「小規模事業者」のことを指す。「中規模企業」とは、同法に定める「中小企業者」のうち、「小規模事業者」を除いた者を指す。なお、企業規模は企業概要ファイルの情報に基づき分類をしている。
4.「黒字」及び「赤字」の判定は、休廃業・解散する直前期の決算の当期純利益に基づいている。なお、ここでの直前期の決算は、休廃業・解散から最大2年の業績データを遡り、最新のものを使用している。
5.会社法上の「会社」に該当する企業(株式会社・合資会社・合名会社・合同会社のほか、有限会社を含む。)に限定して集計している。
第1-1-66図は、休廃業・解散企業について経営者年齢の推移を見たものである。これを見ると、「70代」、「80代以上」の割合が2016年と比
較して増加している傾向にあり、「ピーク年齢」、「平均年齢」も共に上昇傾向にあることが分かる。
第1-1-66図 休廃業・解散企業の経営者年齢の推移
| 年 | 30代以下 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | 80代以上 | 平均年齢 | ピーク年齢 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2016 | 2.1% | 7.4% | 13.2% | 33.5% | 31.8% | 13.2% | 67.4 | 67 |
| 2017 | 2.1% | 7.4% | 14.4% | 30.9% | 34.1% | 14.4% | 68.5 | 70 |
| 2018 | 2.1% | 7.4% | 15.4% | 28.2% | 36.4% | 15.4% | 69.5 | 70 |
| 2019 | 2.1% | 7.4% | 16.0% | 26.4% | 37.8% | 16.0% | 70.5 | 72 |
| 2020 | 2.1% | 7.4% | 17.8% | 24.9% | 39.2% | 17.8% | 71.5 | 72 |
| 2021 | 2.1% | 7.4% | 19.8% | 23.0% | 39.9% | 19.8% | 72.5 | 72 |
| 2022 | 2.1% | 7.4% | 21.3% | 21.7% | 41.1% | 21.3% | 73.5 | 75 |
| 2023 | 2.1% | 7.4% | 21.7% | 21.5% | 42.6% | 21.7% | 73.5 | 74 |
| 2024 | 2.1% | 7.4% | 23.7% | 20.6% | 39.5% | 23.7% | 74.5 | 75 |
資料:(株)帝国データバンク「全国企業『休廃業・解散』動向調査」
(注)1.(株)帝国データバンクが調査・保有する企業データベースのほか、各種法人データベースを基に集計したもの。休廃業・解散とは、倒産(法的整理)によるものを除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認(休廃業)、若しくは商業登記等で解散(ただし「みなし解散」を除く)を確認できたものを指す。
2.調査時点での休廃業・解散状態を確認したもので、将来的な企業活動の再開を否定するものではない。また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計する場合もある。
3.各集計年のうち、代表者の年齢が判明した企業を対象に集計している。
4.ここでいう「ピーク年齢」とは、各年の休廃業・解散企業における経営者年齢のうち、最も多かった経営者の年齢を指す。
第9節 事業承継
本節では、中小企業・小規模事業者における事業承継の動向について確認する。
第1-1-67図は、中小企業における後継者不在率の推移を、経営者の年代別に見たものである。これを見ると、「全体」として後継者不在率は減少傾向にあり、経営者の年代が「60代」以上の事業者においても同様に減少傾向にあることから、後継者不足の解消が一定程度進んでいるといえる。
第1-1-67図 中小企業における後継者不在率の推移(経営者の年代別)
| 年 | 全体 (%) | 60代 (%) | 70代 (%) | 80代以上 (%) |
|---|---|---|---|---|
| 2011年 | 66.2% | 54.5% | 41.5% | 31.5% |
| 2014年 | 66.9% | 54.0% | 41.0% | 32.5% |
| 2017年 | 66.2% | 52.0% | 40.0% | 31.5% |
| 2018年 | 67.2% | 53.0% | 41.0% | 32.0% |
| 2019年 | 66.0% | 52.0% | 40.0% | 30.5% |
| 2020年 | 65.8% | 52.0% | 39.5% | 30.5% |
| 2021年 | 62.3% | 48.0% | 36.0% | 28.5% |
| 2022年 | 57.9% | 43.0% | 32.0% | 26.0% |
| 2023年 | 54.5% | 40.0% | 29.0% | 23.5% |
| 2024年 | 52.7% | 38.1% | 27.7% | 22.2% |
資料:(株)帝国データバンク「企業概要ファイル」、「信用調査報告書」再編加工
(注)1. ここでの「中小企業」とは、中小企業基本法に定める「中小企業者」のことを指す。なお、企業規模は企業概要ファイルの情報に基づき分類している。
2. 「全体」については、経営者年齢の情報がない企業も含んだ中小企業数に対する割合を示している。
第1-1-68図は、中小企業における経営者年齢の分布を見たものである。これを見ると、中小企
業の経営者年齢の水準は依然として高く、60歳以上の経営者が過半数を占めている。
第1-1-68図 中小企業における経営者年齢の分布
| 年齢区分 (歳) | 2000年 (%) | 2005年 (%) | 2010年 (%) | 2015年 (%) | 2020年 (%) | 2023年 (%) | 2024年 (%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 15~19 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
| 20~24 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 |
| 25~29 | 0.5 | 0.5 | 0.5 | 0.5 | 0.5 | 0.5 | 0.5 |
| 30~34 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 | 1.5 |
| 35~39 | 3.5 | 3.5 | 3.5 | 3.5 | 3.5 | 3.5 | 3.5 |
| 40~44 | 7.0 | 7.0 | 7.0 | 7.0 | 7.0 | 7.0 | 7.0 |
| 45~49 | 11.0 | 11.0 | 11.0 | 11.0 | 11.0 | 11.0 | 11.0 |
| 50~54 | 15.0 | 15.0 | 15.0 | 15.0 | 15.0 | 15.0 | 15.0 |
| 55~59 | 19.0 | 20.0 | 19.0 | 19.0 | 19.0 | 19.0 | 22.0 |
| 60~64 | 16.0 | 17.0 | 21.0 | 17.0 | 17.0 | 17.0 | 15.0 |
| 65~69 | 12.0 | 13.0 | 14.0 | 18.0 | 14.0 | 14.0 | 13.0 |
| 70~74 | 8.0 | 9.0 | 10.0 | 12.0 | 14.0 | 12.0 | 11.0 |
| 75~79 | 4.0 | 5.0 | 6.0 | 8.0 | 10.0 | 8.0 | 8.0 |
| 80~ | 1.0 | 1.0 | 2.0 | 3.0 | 5.0 | 4.0 | 5.0 |
資料:(株)帝国データバンク「企業概要ファイル」再編加工
(注)1.ここでの「中小企業」とは、中小企業基本法に定める「中小企業者」のことを指す。なお、企業規模は企業概要ファイルの情報に基づき分類している。
2.経営者年齢の分布は、経営者年齢が判明した中小企業を対象に集計している。
3.データ制約上、「2000年」については、2001年1月更新時点の企業概要ファイルを使用し、ほかの系列については毎年12月更新時点の企業概要ファイルを使用している。
第1節
第2節
第3節
第4節
第5節
第6節
第7節
第8節
第9節
第1-1-69図は、中小企業庁「中小企業実態基本調査」を用いて、中小企業における事業承継の意向を企業形態別に見たものである。これを見ると、「法人企業」の約3割が「親族内承継を考えている」と回答している。一方、「個人企業」は
「法人企業」と比較して「現在の事業を継続するつもりはない」と回答した割合が高く、約4割の企業が自らの代での廃業を考えている様子がうかがえる。
第1-1-69図 事業承継の意向(企業形態別)
| 企業形態 | 1. 親族内承継 | 2. 役員・従業員 | 3. 会社への引継ぎ | 4. 個人への引継ぎ | 5. 1.~4.以外 | 6. 継続するつもりはない | 7. 考えていない | 8. その他 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 法人企業 | 30.8% | 6.8% | 1.1% | 1.3% | 1.0% | 10.9% | 45.0% | 2.1% |
| 個人企業 | 16.5% | 0.9% | 0.5% | 0.5% | 0.1% | 38.4% | 39.1% | 2.8% |
資料:中小企業庁「中小企業実態基本調査」(令和5年調査(令和4年度決算実績))
事例1-1-8では、離島における地域住民の生活を支えるために、サプライチェーン事業承継に取
り組んだ企業の事例を紹介する。
事例
1-1-8
島民の生活を守るために『サプライチェーン事業承継』に取り組んだ企業
所在地 長崎県五島市
従業員数 39名
資本金 1,000万円
事業内容 道路貨物運送業
株式会社奈留島運輸
▶ 離島での生活を支える商店が、事業継続に向けて譲受先探しに着手
長崎県五島市の株式会社奈留島運輸は、五島列島のほぼ中央に位置する奈留島に本社を置く運送業を手掛ける企業である。九州商船株式会社の代理店として柿森誠社長が創業し、奈留島で始まったマグロ養殖をきっかけとして2018年に運送業にも進出。九州本土から毎日船で届く生活必需品を島内へ配送するほか、工事現場で使う木材や機材なども取り扱い、離島である奈留島の物流インフラを担っている。鈴木信吉代表が経営するスーパーマーケット「新鮮館すずらん」も長年の取引先の一社であった。鈴木代表は自身が高齢であることに加え、昨今の島民人口の減少や人件費の上昇を受けて経営の先行きに不安を抱いていたが、地域住民の生活と従業員の雇用を守りたいという思いで、2020年、本格的な事業承継に着手。鈴木代表の子息は島外に住んでおり後継者がいない中、地元の五島市商工会に相談したところ、長崎県事業承継・引継ぎ支援センターを紹介され、譲受先探しを始めた。
▶ 島のために事業承継を決意。新鮮館すずらんを廃業から救う
新鮮館すずらんの譲受先探しは、主に離島の事業であることなどを理由に難航。譲渡はなかなか実現せず、鈴木代表はやむなく、2022年10月をもって廃業することを決意した。当時、新鮮館すずらんのほかに島内のスーパーマーケットは残り1店の状況で、新鮮館すずらんの廃業は島民の利便性悪化や地元経済の縮小につながり、地域の活力が失われてしまうことが懸念されていた。新鮮館すずらんの承継について、柿森社長も同センター同席の下でマッチングを行ったが、異業種のスーパーマーケット経営を担うことに不安もあり、慎重に検討を重ねていた。しかし、廃業日が間近に迫る中、島民に愛されている新鮮館すずらんをこのままなくす訳にはいかない、島のために自分が何とかしなければならないという強い使命感で、ついに承継を決断するに至った。合意後の事業承継に関する手続きは同センターが中心となり、契約まで伴走したことでスムーズに進められた。結果として、新鮮館すずらんの看板は守られ、従業員19名についても全員の雇用を継続することができた。
▶ 「店はコミュニケーションの場」。常連客からの感謝の声を受けて、更に魅力的な店づくりを目指す
鈴木代表は「人間が最後まで必要とするのは食料品。人がいる限り食料品は絶対に必要になるため、店を存続させたい思いが強かった。信頼できる柿森社長に事業承継ができて心配事は何もなくなった」と話す。一方、柿森社長にとってスーパーマーケット事業は全くの畑違い。運送業との価格設定の考え方の違いなどに経営の難しさを感じながらも、同事業に携わっていく中で、この店が島民のコミュニケーションの場にもなっていることに気付いた。店の存続は常連客から大いに感謝され、「島のため」と決めた承継が実際に島民の日々の生活を支えていることを実感している。柿森社長の目下の課題は、奈留島が離島のために商品を卸す商社の足が遠のいてきたことだ。「このままでは品ぞろえが乏しくなり、島民は更に不便になる。自ら積極的に商品の視察に出向いて魅力的な商品を見つけ、地元住民の声を反映させて品ぞろえを豊かにできるよう努めていく」と柿森社長は語る。
柿森誠社長(左)、長崎県事業承継・引継ぎ支援センター 濱里幸司氏(中央)、鈴木信吉代表(右)
「新鮮館すずらん」の外観
島民とのコミュニケーションの場
コラム
1-1-10 事業承継税制
事業承継税制は、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下、「円滑化法」という。)に基づく認定の下、会社や個人事業者の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度である。
同税制には、会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」がある。
活用に当たっては、特例承継計画・個人事業承継計画の提出が必要であり、計画の提出期限は2026年3月31日までとなっている。
1. 法人版事業承継税制
法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件の下、その納税を猶予するとともに、後継者の死亡等の一定の事由が生じた場合に、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度である。
同税制は、平成30年度税制改正で抜本的に拡充された。具体的には、これまでの措置(以下、「一般措置」という。)に加え、10年間の措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の3分の2まで)の撤廃や納税猶予割合の引き上げ(80%から100%)等を認める「特例措置」が創設された。
なお、本税制の適用に当たって、後継者は株式贈与時に役員就任後3年以上経過している必要があったが、令和7年度税制改正において、「特例措置」に限って役員就任要件が事実上撤廃され、後継者が贈与直前に役員に就任した場合にも適用が認められることとなった。
コラム
1-1-10①図
法人版事業承継税制の「特例措置」と「一般措置」の比較
| 特例措置 | 一般措置 | |
|---|---|---|
| 事前の計画策定 |
特例承継計画の提出
2018年4月1日から 2026年3月31日まで |
不要 |
| 適用期限 |
10年以内の贈与・相続等
2018年1月1日から 2027年12月31日まで |
なし |
| 対象株数 | 全株式 | 総株式数の最大3分の2まで |
| 納税猶予割合 | 100% |
贈与:100%
相続:80% |
| 承継パターン | 複数の株主から最大3人の後継者 | 複数の株主から1人の後継者 |
| 雇用確保要件 | 弾力化 |
承継後5年間
平均8割の雇用維持が必要 |
|
経営環境変化に
対応した免除 |
あり | なし |
|
相続時精算課税の
適用 |
60歳以上の者から18歳以上の者への贈与 |
60歳以上の者から18歳以上の
推定相続人・孫への贈与 |
資料:中小企業庁作成
2. 個人版事業承継税制
個人版事業承継税制は、青色申告(正規の簿記の原則によるものに限る。)に係る事業(不動産貸付事業等を除く。)を行っていた事業者の後継者として円滑化法の認定を受けた者が、個人の事業用資産を贈与又は相続等により取得した場合において、その事業用資産に係る贈与税・相続税について、一定の要件の下、その納税を猶予するとともに、後継者の死亡等の一定の事由が生じた場合に、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度である。
同税制は、令和元年度税制改正において、個人事業者の事業承継を促進するため、10年間限定で、多様な事業用資産の承継に係る相続税・贈与税を100%納税猶予とする制度として創設された。
本税制の適用に当たって、これまで後継者は事業用資産の贈与時にその事業用資産に係る事業に3年以上従事している必要があったが、令和7年度税制改正において、事業従事要件が事実上撤廃され、後継者が贈与直前から事業に従事していた場合にも適用が認められることとなった。
コラム 1-1-10②図 個人版事業承継税制の概要
| 個人版事業承継税制 | |
|---|---|
| 事前の計画策定 |
個人事業承継計画の提出
2019年4月1日から 2026年3月31日まで |
| 適用期限 |
10年以内の贈与・相続等
2019年1月1日から 2028年12月31日まで |
| 納税猶予割合 | 100% |
| 対象資産 |
|
資料:中小企業庁作成
1-1-11
アトツギ甲子園と後継者支援の裾野拡大
1. アトツギ甲子園による後継者育成支援の機運醸成
全国の経営者の平均年齢は2024年には平均60.7歳 73 となっており、中小企業・小規模事業者においても高齢化はますます進んでいる。中小企業・小規模事業者が、将来にわたり、その活力を維持していくためには、後継者、特に若い年齢の後継者を育成し、円滑な事業承継によって企業価値を次世代に引き継ぎ、更に事業を成長させることが必要不可欠であり、政府としても支援を行っていく必要がある。
こうした観点から、中小企業庁では令和2年度より、39歳以下の後継予定者を対象に、承継先の経営資源を活用した新規事業のアイデアを競うピッチイベントである「アトツギ甲子園」を開催している。書類審査を突破した後継者には、地方大会、決勝大会前に、先輩経営者等によるメンタリングや審査委員からの指摘といった、事業をブラッシュアップする機会を提供しており、若き後継予定者が承継先の経営資源を見直し、新たな事業アイデアを考えるきっかけを与えている。さらに、審査委員等の第三者から評価を受けることができるだけでなく、メディア取材や登壇機会の増加、新たな取引先の獲得などにつながることも期待でき、事業の更なる発展が望める。なお、大会出場者への補助金等の優遇措置の付与、表彰者に対する、事業化に向けた追加のメンタリング支援により、若き後継予定者の経営者マインドの醸成とともにそのアイデアの事業化、早期の事業承継を後押ししている。
実際に、2024年8月、過去(第1回から第4回)にアトツギ甲子園に出場した者に対して、アンケート調査を実施したところ、アンケートに回答した者の27.5%が事業承継済みと回答し、そのうち88%が39歳以下で事業承継をしていることが分かった。交代後に就任する経営者の平均年齢が52.7歳 74 であることを踏まえると、中小企業の事業承継においてアトツギ甲子園は早期の事業承継を促進しており、十分な効果が表れているといえる。今後も政府として、後継者育成支援に取り組んでいく。
73 (株) 帝国データバンク「全国『社長年齢』分析調査(2024年)」
74 (株) 帝国データバンク「全国『社長年齢』分析調査(2024年)」
コラム
1-1-11①図
過去アトツギ甲子園出場者へのアンケートの回答状況
エントリー後の事業承継の状況
| 状況 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 事業承継済みである | 25人 | 27.5% |
| 事業の後継者に決定している | 42人 | 46.2% |
| 事業の後継者候補である | 21人 | 23.1% |
| その他 | 3人 | 3.3% |
事業承継した者の年齢層
| 年齢層 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 35~39歳 | 13人 | 52.0% |
| 30~34歳 | 8人 | 32.0% |
| 40歳 | 3人 | 12.0% |
| 25~29歳 | 1人 | 4.0% |
資料:中小企業庁作成
2. 後継者育成に取り組む支援機関等
アトツギ甲子園の開催に加えて、地方公共団体、金融機関、商工団体等において後継者支援に取り組む支援機関が増えてきている。これまでの中小企業白書においても、宇治市、京都信用保証協会、京都信用金庫、みなと銀行、大分県、岡山市を取り上げてきた 75 が、これまでとは異なる新しい枠組みで後継者支援を実施している支援機関も現れている。ここでは、実際の支援機関及び地方公共団体の取組事例として2事例を紹介する。
75 2023年版中小企業白書において、宇治市、2024年版中小企業白書において、みなと銀行、京都信用保証協会、京都信用金庫、大分県及び岡山市の取組事例を掲載している。
事例:福岡ひびき信用金庫
福岡県北九州市に本店を置く福岡ひびき信用金庫では、平成2年から満47歳までの若手経営者を対象にした「ひびしんニューリーダー会」において、自主運営で経営への知識習得や会員間の交流を行っていた。その中で、今後、中小企業の後継者を掘り起こすためには営業店の金庫職員の意識改革が必要と考え、令和6年より職員向けに後継者育成の重要性に関する研修を行うとともに、後継者向けの新規事業開発講座を組み合わせた支援プログラムを実施。職員が後継者と共に研修を受け、後継者と実際の新規事業や経営資源の見直しについて一緒に考える講座を実施することで、実践的な学びを得ている。同プログラムに参加した職員は、中小企業の持続的な成長の観点から後継者育成の重要性について理解し、企業訪問の際には、後継者について積極的に伺うなど、後継者に向けた意識が高まった。また、同講座内では、職員が実際にアトツギ甲子園の地方大会出場者の事業のブラッシュアップのサポートも行うことができた。
コラム 1-1-11 ②図 福岡ひびき信用金庫の取組
資料:(左)福岡ひびき信用金庫、(右)福岡ひびき信用金庫への取材を基に中小企業庁作成
事例:熊本県熊本市
熊本県熊本市では、創業支援・ベンチャー支援を実施する場としているビジネス支援施設「XOSS POINT」を拠点に、株式会社熊本日日新聞社と共に後継者支援に取り組み始めている。これまで創業支援・ベンチャー支援やイベント等を実施してきたが、その中で、第二創業として後継者がプログラムに参画していることを目の当たりにした。その実情を踏まえ、後継者向けに特化したイベントを行う中で、地域の企業が事業承継をしていく必要性を改めて認識した。その後、経営資源を見つめ直し、新規事業を実施する後継者に対象を絞った支援プログラムを始めた。具体的には、熊本市内の39歳以下の後継者・後継者候補を対象に、新規事業の開発講座、ワークショップ、発表に向けた磨き上げの支援を合計3か月間のプログラムとして実施した。熊本市内の後継者に対し、経営資源を見つめ直す機会を与えるだけでなく、ビジネス支援施設をハブとして、後継者同士のコミュニティを作り上げている。
コラム 1-1-11 ③図 熊本市における後継者支援
資料:(左、中央) 熊本市、(右) 熊本市への取材を基に中小企業庁作成
組織図の構成要素と関係性:
-
熊本市
(内部組織)
- 起業・新産業支援課 (ビジネス支援施設 XOSS POINT) → 指定管理委託 → 熊本日日新聞社
- 経済政策課 (事業承継支援担当) → 後継者支援協力体制の構築 → 熊本日日新聞社
- 熊本日日新聞社 → 業務委託 → ベンチャー型事業承継
- 熊本県商工会連合会 (熊本県事業承継・引継ぎ支援センター 市内信用金庫) → 協力 → 熊本日日新聞社
3. まとめ
アトツギ甲子園への参加により、後継者が主体的に経営資源を改めて見つめ直し、次世代経営者として企業の未来、業界の未来を考え、プレゼンし、第三者から評価を得ることは、後継者の良い成長機会となっている。こうした取組を通じて後継者の育成が進むことで、中小企業における早期の事業承継が促されることもうかがえる。
また、後継者支援について、主体となる支援機関、後継者と接点がある支援機関等複数の支援機関がそれぞれの役割を持ちながら、後継者の育成という同じ目的に向かって後継者支援プログラムを組み立てている。中小企業庁では、今後も後継者支援の裾野の拡大を期待し、「アトツギ甲子園」を行い、後継者育成の機運醸成についても引き続き行っていく。
コラム
1-1-12 サプライチェーン事業承継
1. サプライチェーン事業承継の重要性
地域のサプライチェーンを担っている中小企業の廃業は、その取引先であった事業者の事業継続にも大きな影響を与え、地域産業全体に負の波及効果が及ぶ可能性がある。
中小企業の経営者年齢の高齢化に伴い、取引先が後継者不在等で廃業してしまうことを防ぐために、後継者不在等の原因で事業承継に悩む取引先の事業の承継、又は事業承継に向けた働きかけ(支援機関の紹介等)を行い、サプライチェーンの維持・発展を実現する「サプライチェーン事業承継」が重要である。
コラム 1-1-12①図 サプライチェーン事業承継のイメージ
サプライチェーン事業承継のイメージ(製造業)
資料:中小企業庁作成
サプライチェーン事業承継のメリットには、大きく以下の6点がある。
- ①取引先の廃業を防ぎ、雇用とサプライチェーンを守ることができる
- ②既存事業とのシナジー効果により、売上げの拡大が見込まれる
- ③業務の内製化によって、事業範囲が拡大し、経営基盤を強固にできる
- ④専門人材・設備リソースの取得・共有が可能
- ⑤既存の取引先との信頼関係を維持できる
- ⑥知己の関係であるため、円滑な事業承継につながりやすい
以上のように、サプライチェーン事業承継には多くのメリットがあり、地域の雇用を守るだけでなく、これまで長年一緒に仕事を進めてきたことによる信頼関係や相互の事業の親和性により、円滑な事業承継が期待でき、更に既存事業とのシナジーを得ることができる可能性がある。そのため、必ずしも取引先を失うことへのリスクヘッジだけではなく、自社が属するサプライチェーンの強化や売上拡大等に向けた成長戦略としての側面も大きいことがうかがえる。
また、事業承継に要する期間として、3年以上を要すると回答した割合が半数を超えており、10年以上を要すると回答した割合も少なくない。このように、事業承継は短期間で実現するものではなく、対応が遅れると廃業
を避けられず、直接の取引先事業者のみならず、地域産業全体の事業継続にも大きな影響を及ぼす可能性がある。そのため、中長期的な視点を持ち、サプライチェーン全体で早期の準備を行っていくことが重要である。
コラム 1-1-12②図 事業承継する際に、後継者への移行にかかる期間
| 移行期間 | 割合 |
|---|---|
| 移行情間必要としない | 9% |
| 1~2年程度 | 11% |
| 3~5年程度 | 27% |
| 6~9年程度 | 14% |
| 10年以上 | 11% |
| 分からない | 28% |
資料:(株) 帝国データバンク「事業承継に関する企業の意識調査」(2021年8月)
サプライチェーン事業承継の重要性を啓発するべく、中小企業庁では2024年10月に「サプライチェーン事業承継啓発チラシ」及び「サプライチェーン事業承継事例集」を中小企業庁ホームページに公表した 76 。地域の業界団体や商工団体・金融機関等の支援機関が、サプライチェーン事業承継について、事業者にタッチする際のドアノックツールとして活用することを想定している。同チラシを基に企業が自己診断を行い、自社の取引先の事業承継状況やその後の具体的な支援手法の把握、事業承継・引継ぎ支援センター等を中心とした事業承継支援機関への相談促進につながることを期待している。
特に、業界団体や多くの取引先を抱える事業者等において、自社を取り巻くサプライチェーンの維持・発展に向けて本資料が活用されることを期待したい。
76 中小企業庁ホームページ「サプライチェーン事業承継」( https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/implement_business_succession.html#a6 )
コラム
1-1-12③図
「サプライチェーン事業承継啓発チラシ」及び「サプライチェーン事業承継事例集」
Image: Two promotional materials for supply chain business succession. The left one is a 'Supply Chain Business Succession Case Study' booklet cover. The right one is a 'Supply Chain Business Succession Awareness Flyer' with three steps: 1. Focus on business succession for suppliers, 2. Check the status of business succession, 3. Communicate with suppliers and assess their status. Includes a QR code and a link to the METI website.
サプライチェーン事業承継事例集
事業承継における社長のホンネ・良かったこと 10事例
本誌に関するお問い合わせ 中小企業庁事業承継推進課 TEL: 03-3501-1511 内線1261
1 取引先の事業承継に目を向けることが必要です
2 取引先の事業承継の状況をご確認下さい
3 取引先と対話し、自社の取引先の状況を見直しましょう
中企庁HP:事業承継を実施する | 中小企業庁 (meti.go.jp)
資料:中小企業庁「サプライチェーン事業承継啓発チラシ」、「サプライチェーン事業承継事例集」
2. サプライチェーン事業承継の実践に当たって
サプライチェーン事業承継を実施する方法は、主に三つある。
一つ目は、自社で事業承継することができなかったとしても、取引先に代わって事業承継支援機関を紹介することである。各都道府県に設置されている公的相談窓口である「事業承継・引継ぎ支援センター」等の事業承継支援機関を紹介し、後継者の有無にかかわらず、早めの親族内承継・第三者承継の支援につなげていくことが重要である。
二つ目は、従業員の派遣による技術・ノウハウの承継、運営体制の維持だ。サプライチェーンの維持を目的に自社の従業員を取引先に派遣し、技術・ノウハウの承継、運営体制の維持を支援することも重要な支援方法になる。
三つ目は、M&Aだ。サプライチェーンの維持とともに将来的な発展のため、取引先に対してM&Aを打診し、自社で取引先の事業を承継することで、連鎖廃業を防止し、さらに既存事業のシナジー効果による更なる発展を目指していくことが可能となる。ただし、対等な立場での条件交渉が重要である。
以上が、サプライチェーン事業承継の具体的な取組方法である。最後に、実際にサプライチェーン事業承継が行われた事例として、M&Aによるサプライチェーン事業承継の事例を二つ紹介する。
事例:株式会社大楨精機
埼玉県朝霞市の株式会社大楨精機は、5軸マシニング加工の達人として知られる切削加工業者である。30年以上の取引関係がある埼玉県川口市の鋳造会社である株式会社エヌケーが廃業予定だと聞き、同社の大町亮介社長は、すぐさまサプライチェーン事業承継を提案したという。そこには、これまでの両者の関係性ももとより、1社廃業することによって生じるサプライチェーンの崩壊や連鎖廃業の危険性を防ぐことができ、また、これまで外注していた鋳造業に参入することで幅広い金属加工のニーズに対応でき、新規案件を獲得できるという既存事業とのシナジー効果が見込まれたことが大きかった。
そして、株式会社エヌケーや取引先からも早期に承諾が得られ、事業承継は一気に進んだ。廃業を予定していた株式会社エヌケーは、従業員と生産設備だけでなく、既存の取引先も承継することができ、同社側も事業承継により、大きな資金負担なく鋳造部門を自社保有することが実現した。
さらに、実際に事業を承継した後のシナジー効果は大きく、作業効率の向上はもちろん、鋳造から切削までをセットで取り扱う案件の受注量は、以前に比べて10倍に拡大したという。サプライチェーン事業承継による社内体制の強化は、新規顧客の開拓など事業領域の拡大につながっていると考えられ、新たな挑戦が今後も続けられていくことを期待したい。
大町亮介社長
社屋外観
同社製品の展示スペース
事例:福山ゴム工業株式会社
広島県福山市の福山ゴム工業株式会社は、建設機械のゴムクローラ等の工業用ゴム製品に強みを持つゴム製品製造業者である。40年以上にわたって部品を調達してきた地域の協力会社である有限会社新坂加工が会社の譲渡を希望していると聞き、サプライチェーン事業承継に踏み切った。
有限会社新坂加工は、もともと同社の元社員が独立創業した企業ということもあり、資本関係はなかったものの、同社の職員を出向で派遣するなど密に連携が図られていた。有限会社新坂加工の経営者が70歳という年齢をきっかけに引退するに当たって、日頃の連携関係を背景に、事業承継について同社に相談した。同社としては、社員を派遣させていたことにより経営内容や設備、人的資本等もある程度把握できていたことから「黒字経営の良い会社にできると思った」と松岡伸晃社長が語るように、事業承継に向けて前向きに取り組み始めた。
事業承継の交渉は、広島県事業承継・引継ぎ支援センターに相談して進め、資産の評価額や承継の進め方等について助言を受けたことで、トラブルなく、M&Aによる事業承継を実現した。
実際に承継した後には、承継先の現場改革を進め、原価低減に向けた作業の見直しはもちろん、清潔なトイレへの改修等、細かい職場環境も含めて工場全体を見直した。その結果、社員の労働環境や待遇の改善によりモチベーションアップが図られ、生産する商品の不良率も大幅に低減した。また、同社とは約50km離れた遠隔地という立地により、災害時の事業継続計画(BCP)の観点からも有効に機能している。
サプライチェーンが強固になり、部品の生産・供給をコントロールしやすくなったこともあり、今後も時代の変化に合わせてグループ全体での事業拡大を目指していけるという。さらに、承継先については将来的な経営幹部の育成の場としても活用を見据えるなど、今後も更なるシナジー効果が見込まれている。
松岡伸晃社長
同社のロゴマーク
同社の従業員
中小企業・小規模事業者求められる共通価値
本章では、中小企業・小規模事業者において対応の重要性が高まっている共通価値(脱炭素化・GX、サーキュラーエコノミー、経済安全保障・人権尊重、BCP)に対する中小企業・小規模事業者の取組状況等について確認する。
第1節 脱炭素化・GX
本節では、脱炭素化・GXに関して、中小企業・小規模事業者への要請や中小企業・小規模事業者における対応状況などについて確認する。
第1-2-1図は、企業規模別に脱炭素化の取組段階 77 について見たものである。これを見ると、
「中規模企業」、「小規模事業者」共に「段階2」以上の事業者は一定数存在するものの、「段階1」が6割超と最も高い。また、「中規模企業」では「小規模事業者」に比べて取組が進展していることが分かる。
第1-2-1図 脱炭素化の取組段階(企業規模別)
| 企業規模 | 段階5 | 段階4 | 段階3 | 段階2 | 段階1 | 段階0 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 中規模企業 (n=13,932) | 5.0% | 9.6% | 64.1% | 11.6% | ||
| 小規模事業者 (n=10,656) | 2.6% | 5.5% | 65.4% | 22.5% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
77 ここで「脱炭素化」とは、二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの排出量を削減、若しくは排出量をゼロにする取組を指す。それぞれの取組段階の定義は、下記のとおり。
段階0:気候変動対応やCO2削減に係る取組の重要性について理解していない
段階1:気候変動対応やCO2削減に係る取組の重要性について理解している
段階2:事業所全体での年間CO2排出量(Scope1,2)を把握している
段階3:事業所における主要な排出源や削減余地の大きい設備等を把握している
段階4:段階3で把握した設備等のCO2排出量の削減に向けて、削減対策を検討・実行している
段階5:段階1~4の取組を実施しており、かつ情報開示を行っている
第1-2-2図は、脱炭素化に向けた取組に関する協力要請の状況について、業種別に確認したものである。「製造業」、「運輸業、郵便業」、「卸売業」では「協力要請を受けた」割合が他の業種に比べ
て高い傾向にある。また、「2023年調査」における「協力要請を受けた」割合は「全体(2023年)」で8.5%であり、「全体(2024年)」では増加している傾向が見て取れる 78 。
第1-2-2図 脱炭素化に向けた協力要請状況(業種別)
| 業種 | 協力要請を受けた (%) | 協力要請を受けていない (%) |
|---|---|---|
| 全体(2023年) (n=5,386) | 8.5% | 91.5% |
| 全体(2024年) (n=24,588) | 12.0% | 88.0% |
| 建設業 (n=5,605) | 13.1% | 86.9% |
| 製造業 (n=5,713) | 16.4% | 83.6% |
| 情報通信業 (n=542) | 10.0% | 90.0% |
| 運輸業、郵便業 (n=899) | 15.6% | 84.4% |
| 卸売業 (n=3,660) | 13.5% | 86.5% |
| 小売業 (n=2,330) | 6.7% | 93.3% |
| 不動産業、物品賃貸業 (n=764) | 7.5% | 92.5% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 (n=535) | 8.8% | 91.2% |
| 飲食サービス業、宿泊業 (n=1,315) | 2.9% | 97.1% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 (n=633) | 4.9% | 95.1% |
| 医療、福祉 (n=114) | 2.6% | 97.4% |
| サービス業(他に分類されないもの) (n=1,706) | 9.3% | 90.7% |
| その他 (n=772) | 12.2% | 87.8% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」「中小企業が直面する外部環境の変化に関する調査」
(注)「その他」は、「鉱業、採石業、砂利採取業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「教育、学習支援業」、「その他」と回答した事業者の合計。
78 調査間で母集団が異なるため、回答割合を一概には比較できないことに留意が必要。
第1-2-3図は、脱炭素化に向けた取組に関する協力要請の状況について「協力要請を受けた」と回答した事業者における、具体的な要請の内容を
見たものである。これを見ると、「省エネルギー(使用量削減や設備更新等)」、「CO2排出量の算定」の回答割合が比較的高い。
第1-2-3図 脱炭素化に向けた協力要請の内容
| 協力要請の内容 | 割合 |
|---|---|
| 省エネルギー(使用量削減や設備更新等) | 44.9% |
| CO2排出量の算定 | 32.4% |
| グリーン製品(環境負荷の低い製品)仕入れへの移行 | 28.2% |
| CO2削減目標の策定 | 27.5% |
| 再生可能エネルギーの利用 | 21.5% |
| カーボンフットプリント(CFP)の算定・開示に向けた取組 | 4.9% |
| グリーン分野への業態転換・事業再構築 | 2.8% |
| 中小企業向けSBT認定の取得 | 2.6% |
| 外部の専門人材の受入れ(取引先からの派遣を含む) | 0.8% |
| その他 | 9.4% |
(n=2,849)
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.脱炭素化に向けた取組に関する取引先からの協力要請状況について、「協力要請を受けた」と回答した事業者に聞いたもの。
2.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第1-2-4図は、脱炭素化の取組段階別に、GXの取組を進めるに当たっての問題点を見たものである。これを見ると、いずれの取組段階の事業者においても「コストに見合ったメリットがない」や「脱炭素化・GXを推進する人材が足りない」
といった回答割合が比較的高い傾向にある。また、取組段階が低い事業者では、取組段階が高い事業者に比べて「どのように推進すればよいか分からない」や「特にない」と回答した割合が高い傾向にある。
第1-2-4図 GXの取組を進めるに当たっての問題点(脱炭素化の取組段階別)
| 問題点 |
段階0
(n=3,861) |
段階1
(n=15,356) |
段階2
(n=1,860) |
段階3
(n=951) |
段階4
(n=1,221) |
段階5
(n=506) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| コストに見合ったメリットがない | 20.4% | 33.0% | 38.3% | 41.0% | 42.1% | 34.6% |
| どのように推進すればよいか分からない | 18.2% | 26.8% | 19.1% | 13.2% | 11.5% | 7.1% |
| 脱炭素化・GXを推進する人材が足りない | 14.5% | 26.7% | 30.5% | 26.3% | 27.5% | 23.5% |
| 具体的な効果や成果が見えない | 13.9% | 24.6% | 25.3% | 25.3% | 23.7% | 14.0% |
| 手元資金に余裕がない | 10.4% | 16.4% | 15.3% | 20.7% | 17.5% | 10.5% |
| 経営者や従業員の意識・理解が足りない | 10.0% | 12.3% | 11.6% | 12.2% | 10.2% | 7.9% |
| どこに相談すればよいか分からない | 7.9% | 7.2% | 4.6% | 3.8% | 3.0% | 3.4% |
| 必要な技術が足りない | 7.4% | 14.4% | 17.0% | 16.8% | 14.8% | 12.1% |
| サプライチェーンの見直しに困難である | 1.6% | 4.3% | 6.1% | 6.8% | 6.1% | 8.3% |
| その他 | 2.8% | 3.6% | 3.9% | 4.2% | 4.2% | 5.3% |
| 特にない | 48.1% | 22.1% | 17.1% | 14.3% | 18.4% | 29.1% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第1-2-5図は、支援機関及び地方公共団体における、支援先事業者からのGXに関する相談件数の変化を見たものである。これを見ると、2023年に比べて「増加している」と回答した割合は約
半数となっている。中小企業・小規模事業者においても脱炭素化への取組の必要性が高まっていることに伴い、足下でこうした相談が増加している傾向にあると考えられる。
第1-2-5図 GXに関する相談件数の変化
| 変化 | 割合 |
|---|---|
| 増加している | 46.2% |
| 変わらない | 50.1% |
| 減少している | 3.6% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業支援機関の取組と課題に関する調査」
(注)1.GXに関する支援に「取り組んでいる」と回答した支援機関及び地方公共団体に聞いたもの。
2.GXに関する相談件数の2023年と比べた状況について、「増加している」は「非常に増加している」、「やや増加している」と回答した先の合計。「減少している」は「非常に減少している」、「やや減少している」と回答した先の合計。なお、「今年(2024年)から取り組み始めた」と回答した先は除いている。
第1-2-6図は、支援機関及び地方公共団体における、GXに関する事業者からの相談において、最も件数が多い相談内容を見たものである。これを見ると、「補助金など支援策に関する情報収集」
と回答した割合が最も高く、次いで、「GXに取り組むメリット・意義の把握」、「最初に着手すべき取組内容」と続いている。
第1-2-6図 GXに関する相談において、最も件数が多い相談内容
| 相談内容 | 割合 |
|---|---|
| 補助金など支援策に関する情報収集 | 40.8% |
| GXに取り組むメリット・意義の把握 | 24.7% |
| 最初に着手すべき取組内容 | 9.0% |
| CO2排出量の算定・把握方法 | 8.6% |
| GXを推進するための資金調達 | 3.8% |
| CO2排出量の削減方法 | 2.9% |
| CO2削減計画の策定 | 2.0% |
| 社外への情報開示やPRの方法 | 1.4% |
| GXを推進する人材の確保 | 1.1% |
| その他 | 5.8% |
(n=736)
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業支援機関の取組と課題に関する調査」
(注)GXに関する支援に「取り組んでいる」と回答した支援機関及び地方公共団体に聞いたもの。
事例1-2-1では、GXへの自発的な取組により、従業員意識の高め、事業拡大を実現した企業の事例を紹介する。
事例
1-2-1
GXへの自発的な取組で、従業員の意識向上と事業拡大を実現している企業
所在地 岡山県岡山市
従業員数 233名
資本金 1,000万円
事業内容 金属製品製造業
備前発条株式会社
▶ 環境に配慮したものづくりの要請がいずれやってくる予測し、GXに向けた取組を決意
岡山県岡山市の備前発条株式会社は、1949年に農機具向けのバネ生産で創業し、現在はヘッドレストやアームレストなどの自動車部品を中心に製造する企業である。山根教代社長は2019年に父の後を継いで社長に就任したが、直後に新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」)の感染拡大により工場の操業停止に見舞われた。今後の経営方針について頭を抱える中、欧米の環境意識の高さや米国の多国籍IT企業が脱炭素を調達基準に据えたことを知り、環境に配慮しないものづくりでは取引先や社会の要望に応えられず、将来的に仕事を失うリスクにつながるのではないかという強い危機感を覚えた。また、学校でSDGsを学ぶ我が子からの「このままで地球は大丈夫か」という純粋な疑問に答えられなかったことも、環境に配慮した取組を決意するきっかけとなった。
▶ 社内で「SDGsチーム」を結成し、全社横断的にCO2削減の取組を加速
最初の取組は、2020年に受けたCO2削減ポテンシャル診断であった。社内設備のCO2排出量の削減余地が大きいことを知り、具体的な取組に向けた準備を進めてきた。その後、2023年に社内各部署から約10人を選抜して「SDGsチーム」を設置。SDGsやGXのために何ができるか、自分たちの考えや思いを形にすることから取り組み始め、CO2排出量を経営の目標値に設定したことで、CO2削減の取組が加速した。優秀な専門人材の入社も後押しとなり、CO2排出量の「みえる化」は専門人材が中心となって、スコープ1、2の排出量把握やCO2削減のロードマップ策定を実現。CO2削減に向けて自走する体制が構築できた。また、本社・工場内の照明のLEDへの切替えや、塗装プラントの設備をより燃料効率の高いものに更新するなどの取組を行い、2023年はCO2排出量を約19t削減した。2024年は新たにCO2フリー電力の購入も行い、前年比6.9%(約127t)の削減、売上高当たりのCO2排出量(炭素強度)は、2019年比で約34%の減少を見込む。自分たちでアイデアを出して進める同社のGXの取組は、CO2を出さない技術開発にも発展。製品の溶接を、熱源を使わないカシメによる接合に置き換えることで省エネを実現する新技術開発は、外部機関との連携やGo-Tech事業を活用し、実用化を目指している。
▶ GXに向けた自発的な取組は、従業員の意識向上や採用、業績にも好循環
従業員のアイデアに基づく自発的な取組でCO2削減を達成するという自己実現の積み重ねは、従業員の意識向上や、更なる取組のアイデアが出てくる好循環につながっている。また、こうした取組を同社公式サイトや展示会出展等で積極的に情報発信した結果、2024年には5人の採用につながったほか、既存の取引先やこれまで取引のなかった企業からの信頼が高まって受注増加につながり、売上高は感染症の影響を受けた2020年度の26億円からV字回復し、2024年度は過去最高の35億円を見込む。「GXの取組は、我慢や負担があっては続かない。皆が社会に役立っていると実感でき、利益につながるポジティブな行動が重要。引き続きロードマップに沿って段階的にCO2削減を続けながら、今後はスコープ3についても取り組んでいきたい」と山根社長は語る。
山根教代社長
同社製品(ヘッドレスト)
CO2削減に向けた会議
コラム
1-2-1
中小企業のGXに向けた支援の取組
中小企業の脱炭素経営に向けた取組に対する意識は高まりつつあるものの、未だ取り組む必要性やメリットを感じていない、具体的な取組方法が分からない、人材不足等により取組に着手することが難しい、といった事業者も多い。そのため、日頃から接点を持つ地域の商工会議所や商工会、金融機関、地方自治体等が、中小企業に対して、脱炭素経営に取り組む必要性やメリット、具体的な取組方法に関する情報を提供するとともに、リソース制約下での脱炭素経営に向けた取組をサポートすることが重要となる。中小企業の脱炭素経営に向けた取組の実行面をサポートするには、温室効果ガス排出量の算定、削減計画の策定・実行、削減計画を踏まえた経営計画の策定など幅広いスキルが求められることから、地域の支援機関等が連携した支援体制を構築していく必要がある。ここでは、こうした支援機関が連携して中小企業のサポートに取り組む事例を紹介する。
コラム
1-2-1 ①図
中小企業のGX推進に向けた施策の強化
The diagram illustrates the support measures for SMEs' GX promotion, centered around the SME itself. It is divided into four main categories:
-
プッシュ型の情報提供 (Push-type information provision):
This section is titled "取組段階に応じた支援策" (Support measures according to the implementation stage). It includes:
- 知る (Know): Introducing the trends and necessary measures of GX. (Icon: Two people talking)
- 測る (Measure): Advice on energy consumption visualization or reduction, and visualization of emission levels. (Icon: Pie chart)
- 減らす (Reduce): Supporting the formulation of emission reduction plans and equipment investment plans. (Icon: Hand holding a document)
- 窓口相談 (Window consultation): A general support channel.
- ハンズオン支援 (Hands-on support): Direct support for implementation.
-
ネットワークによる伴走型支援 (Network-based accompaniment support):
Titled "支援機関等による支援" (Support by support organizations), it shows a network of organizations including:
- よろず支援拠点 商工会議所等 (General support base, chambers of commerce, etc.)
- 中小機構 (SME organization)
- 地方自治体 (Local government)
- 地域の金融機関 (地銀・信金等) (Local financial institutions (city banks, credit unions, etc.))
- スタートアップ等 (Startups, etc.)
- 省エネ専門機関 (省エネ診断) (Energy-saving specialized organization (energy-saving diagnosis))
-
取引先との連携 (Collaboration with trading partners):
Titled "取引先等による支援" (Support by trading partners, etc.), it focuses on:
- 取引先等が主導するサプライヤーの排出量の算定や排出量削減を図る取組を支援 (Supporting measures to calculate and reduce the emission levels of suppliers led by trading partners, etc.)
-
支援策の活用 (Utilization of support policies):
Titled "設備導入支援" (Equipment introduction support), it includes:
- 補助金や税制等による設備投資を支援等 (Supporting equipment investment through subsidies and tax systems, etc.)
At the bottom right, there is a box for 支援機関の人材育成 (Personnel training of support organizations) , which states: GXの動向を理解し、事業者とGXに関する対話が可能 な知識の習得支援 (Supporting the acquisition of knowledge that enables dialogue with businesses about GX by understanding GX trends) .
資料:内閣官房「第9回 GX実現に向けた専門家ワーキンググループ 資料1 分野別投資戦略について」
事例:豊田市脱炭素スクール
愛知県豊田市は、豊田商工会議所や豊田信用金庫と連携して、2050年「ゼロカーボンシティ」の実現に向けて、事業者の自主的な脱炭素化に向けた取組の実現を支援するため、2021年から脱炭素経営のポイントや省エネ推進・再エネ導入の実践手法を学び合う場として、「豊田市脱炭素スクール」を開校した。豊田市は事務局として全体企画やスクール運営、参加者の募集、事業の啓発、中小企業診断士の手配等、豊田商工会議所や豊田信用金庫は集客の協力やスクール会場の提供、企業向け支援メニューを紹介するという役割分担で、支援を行っている。
スクールのカリキュラムとしては、約1年間にわたって実施する講義を通じて脱炭素経営やCO 2 削減対策の基礎知識やポイントなどを学ぶ「講義」と、自社のCO 2 削減効果のシミュレーションや事業計画の組立てを学ぶ「演習」を組み合わせた内容となっており、受講者が脱炭素経営の基礎を学び、脱炭素経営のアクションプランシートを作成することをゴールとしている。
スクールでは、一方向で答えを教えるのではなく、過去にスクールを修了した参加企業同士の双方向のコミュニケーションを通じて、互いに気づきの機会を与え、企業が自主的に脱炭素化を進めていくための支援を行っており、これまでに製造業、建設業、運輸業等の約40社が参加し、修了認定が授与されている。
コラム
1-2-1 ②図
豊田市脱炭素スクール 脱炭素経営計画の検討の流れ
脱炭素経営計画の検討の流れ
| ゴールに向けたフェーズ | 回数 | 内容 |
|---|---|---|
|
①気づきを得る
②自社の状況を知る |
第1回 (11月頃) |
開校特別講演会
「脱炭素経営の動向と視点を知る」 |
| 第2回 (12月) |
・CO
2
排出量算定によるエネルギー消費量の見える化
・CO 2 削減率の目標設定について ・Scope 1~3の考え方について |
|
| 第3回 (2月) |
・省エネ・再エネの取組の検討について
・脱炭素経営を実施する企業の事例紹介 |
|
| 第4回 (3月) | ・中間発表・事例紹介 | |
|
③脱炭素経営の方針を考える
(ゴール想定) ④脱炭素経営アクションプランの組み立て |
第5回 (4月) |
・豊田市や国からの施策と支援メニューの紹介
・脱炭素経営のアクションプランを組立てる ・ニーズに応じた話題提供 (省エネ取組紹介、SBTイニシアチブの紹介など) ・アクションプラン組立て要素の総おさらい ・テーマを選び、グループワークで検討を深める |
| 第6回 (5月) | ||
| 第7回 (6月) | ||
| 第8回 (7月) |
・修了式
・成果発表 |
※具体的なスクールの流れについては、豊田市脱炭素スクール冊子をご参照ください。(こちらの二次元コードからアクセスできます)
※この二次元コードは外部サイトにアクセスします。
資料:豊田市環境政策課作成
事例:神戸地域におけるGX支援ネットワーク
兵庫県神戸地域では、兵庫県や神戸市、神戸商工会議所をはじめとする支援機関・金融機関等が、近畿経済産業局と近畿地方環境事務所と共に、地域の中小企業のGXを推進するための体制構築を開始した。
そこでは、カーボンニュートラルの実現に向けた各取組段階(知る・測る・減らす・続ける)に対応する各機関の施策 79 の整理を行った上で、神戸市内の中小企業によるCN課題ピッチ 80 とそれを踏まえた経営課題解決の糸口を探るネットワークイベント等を実施することで、企業ニーズに対応した支援提案や支援機関同士の連携を更に深める必要性を共有する機会となった。
本ネットワークをきっかけに、複数の支援機関による共同でのワークショップの開催や、地域の中小企業への伴走支援を通じた支援提案等につながっており、GXの取組を進めようとする中小企業を地域で支える支援機関同士の情報交流の活発化と、支援事例の蓄積が進んでいる。
コラム 1-2-1 ③図 神戸GX支援ネットワークの構築体制
神戸GX支援ネットワーク体制(イメージ)
神戸商工会議所
商工会・商工会議所
(公財)こうべ産業・就労支援財団
(令和7年4月に(公財)神戸市産業振興財団より名称変更)
兵庫県、神戸市
各自治体
産業支援センター
地域銀行・信用金庫・信用組合等の地域金融機関
・三井住友銀行
・みなと銀行
・信金中金神戸支店
・日本政策金融公庫神戸支店
・ひょうご環境創造協会
・こうべ環境フォーラム
・ワット神戸
・(株)みのりアソシエイツ
その他CNの促進に資する
サービスを提供する
団体・民間企業等
協力機関
・(独)中小企業基盤整備機構
・近畿経済産業局
・近畿地方環境事務所
■地域の実態に応じたきめ細やかな情報提供
■各支援機関の役割の見える化
地域内の中堅・中小企業
資料:近畿経済産業局作成
79 各支援機関等の施策の詳細については、近畿経済産業局「近畿経済産業局における 中堅・中小企業の面的GX支援プロジェクト」(p.14)を参照 ( https://www.kansai.meti.go.jp/5-1shiene/mentekishien.pdf )。
80 「CN課題ピッチ」とは、一般的なセミナー等に見られる支援機関から中小企業への一方向の情報提供ではなく、中小企業が支援機関に対して自社の課題をCNの観点から発表し、その個別課題に対して支援機関が質問を行いながら、課題に対応し得る支援施策を提示するという双方向のピッチイベント。
第2節 サークラーエコノミー(循環経済)
本節では、中小企業・小規模事業者におけるサーキュラーエコノミー(循環経済)への取組状況等について確認する。
サーキュラーエコノミー(循環経済)への対応についても、昨今の経営環境においては重要性が高まっている。中小企業・小規模事業者において
は、具体的な取組だけでなく、その理念や目指すところなどを理解することが重要といえよう。なお、「中規模企業」と「小規模事業者」で比較すると、「中規模企業」の方がサーキュラーエコノミーへの認知・取組が進んでいることが分かる(第1-2-7図)。
第1-2-7図 サークラーエコノミーの認知・取組状況(企業規模別)
| 企業規模 | 概念を認知しており、実際に取り組んでいる | 概念を認知しているが、取り組んでいない | 概念を知らない・分からない |
|---|---|---|---|
| 全体 (n=24,588) | 6.5% | 35.6% | 57.9% |
| 中規模企業 (n=13,932) | 8.0% | 42.1% | 49.9% |
| 小規模事業者 (n=10,656) | 4.6% | 27.1% | 68.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)サーキュラーエコノミーへの認知・取組状況は、2024年時点の状況を集計している。
第1-2-8図は、サーキュラーエコノミーの認知・取組状況について「概念を認知しており、実際に取り組んでいる」と回答した事業者における、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取組内容を見たものである。これを見ると、「産業廃
棄物削減・リサイクル推進」と回答した割合が最も高く、次いで「再生材や環境配慮型素材の積極利用」、「生産ロスの削減や端材・副産物の再利用」と続いている 81 。
第1-2-8図 サークラーエコノミーの実現に向けた取組内容
| 取組内容 | 割合 |
|---|---|
| 産業廃棄物削減・リサイクル推進 | 61.0% |
| 再生材や環境配慮型素材の積極利用 | 41.1% |
| 生産ロスの削減や端材・副産物の再利用 | 34.5% |
| 包装の簡素化(過剰包装の抑制) | 21.7% |
| 中古品のリユースやカスケード利用 | 16.5% |
| 耐久性の強化(耐用年数の長期化) | 14.5% |
| 製品の軽量化(使用する資源量の削減) | 13.5% |
| 修理性の向上(代替部品の入手容易性向上、修理工程の簡素化等) | 12.0% |
| 製品の単一素材化(使用する素材の種類を抑制) | 8.4% |
| IoTの活用等による販売ロスの削減 | 4.0% |
| 易解体設計の導入(部品ごとの解体が容易な設計) | 2.4% |
| その他 | 7.4% |
(n=1,556)
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.サーキュラーエコノミーへの認知・取組状況について、「概念を認知しており、実際に取り組んでいる」と回答した事業者に聞いたもの。
2.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
81 経済産業省産業構造審議会 イノベーション・環境分科会 資源循環経済小委員会「成長志向型の資源自律経済戦略の実現に向けた制度見直しに関する取りまとめ」(2025年2月)では、「我が国を含めて世界では、3Rによる廃棄物の発生抑制を基礎としつつ、社会経済システムを従来の『線形経済(リニアエコノミー)』から、『循環経済(サーキュラーエコノミー)』(バリューチェーンのあらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じ、付加価値の最大化を図る経済)へと転換する必要に迫られている」と指摘している。
第1-2-9図は、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取組を通して、期待する効果を見たものである。これを見ると、「特にない・分からない」の回答割合が最も高く、サーキュラーエコノミーの効果に対する認識が十分に浸透していないことが分かる。一方、期待する効果としては「顧客満
足度の向上」、「コストの削減」、「商品付加価値の向上・差別化」、「知名度や企業イメージの向上」といった回答割合が比較的高く、サーキュラーエコノミーに取り組むことで自社の製品・商品・サービスの競争力強化につながることを期待する事業者が一定数存在していることが分かる。
第1-2-9図 サークラーエコノミーの実現に向けた取組を通して、期待する効果
| 期待する効果 | 割合 |
|---|---|
| 顧客満足度の向上 | 16.5% |
| コストの削減 | 16.1% |
| 商品付加価値の向上・差別化 | 15.3% |
| 知名度や企業イメージの向上 | 15.1% |
| 新規顧客の獲得 | 12.1% |
| 人材の採用・定着 | 9.0% |
| 地域活性化 | 7.7% |
| 役員・従業員のモチベーション向上 | 6.9% |
| その他 | 1.7% |
| 特にない・分からない | 56.1% |
(n=23,526)
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第1-2-10図は、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取組を進めるに当たっての問題点を見たものである。これを見ると「コストに見合った収益を上げられない」と回答した割合が最も高
く、次いで「具体的な効果や成果が見えない」、「何から取り組めばよいか分からない」と続いている。
第1-2-10図 サークュラーエコノミーの実現に向けた取組を進めるに当たっての問題点
(n=23,461)
| 問題点 | 割合 |
|---|---|
| コストに見合った収益を上げられない | 20.5% |
| 具体的な効果や成果が見えない | 19.2% |
| 何から取り組めばよいか分からない | 17.3% |
| 必要な技術が足りない | 10.8% |
| 経営者や従業員の意識・理解が足りない | 9.2% |
| 手元資金に余裕がない | 8.5% |
| 取り組む必要性を感じない | 7.8% |
| どこに相談すればよいか分からない | 6.2% |
| サプライチェーンの見直しが困難である | 3.6% |
| その他 | 2.6% |
| 特にない | 43.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
事例1-2-2では、新規事業の検討に当たってサーキュラーエコノミーの観点を取り入れ、既存
事業のノウハウをいかせる新たなビジネスモデルの構築を実現した企業の事例を紹介する。
事例
1-2-2
古木と古民家を活用した新規事業で
サーキュラーエコノミー実現に取り組む企業
所在地 長野県長野市
従業員数 18名
資本金 3,000万円
事業内容 総合工事業
株式会社山翠舎
▶ 捨てられていく木材に対しての「もったいない精神」
長野県長野市の株式会社山翠舎は、建具店として1930年に創業し、住宅や店舗などの一般建築を行う企業である。現在は古木(古材)を活用した店舗内装の設計・施工を強みとし、古民家の移築・解体・再生事業なども手掛けている。山上浩明社長は、幼い頃から家業である同社で木材の加工現場を目にし、木材への愛着が強かったことや、環境問題への関心が高かったことなどから、建築現場で古い建物等が当然のように解体され、そこで使われていた良質な木材が捨てられていくことに「もったいない」と問題意識を抱いていた。山上社長は2005年に同社へ入社して以降、何とかして古木を利活用する取組と事業を両立できないかと考えビジネスモデルを模索していた。
▶ 既存事業の延長線上で、古木を利活用してビジネスモデルを構築
古木は一本一本形が違うことなどから取扱いが難しい建材だが、同社ではかつて業界で先駆けて輸入古木を用いた内装施工を手掛けており、古木に関するノウハウや施工技術が蓄積していた。山上社長はここに着目し、古民家解体の際に生じる古木の買取り・販売を行う事業を2006年に開始した。同事業の開始当初は販路開拓に苦戦したが、既存の一般建築事業にて下請から元請への転換を狙って設計部門を強化していたことが奏功し、単に古木を販売するだけでなく、古木を使った設計から施工まで一貫した提案により受注を獲得できるようになった。2009年には古木を活用した店舗デザイン事業も立ち上げ、古木をいかした空間のブランディングを強化することで、同社の技術力により古木にしか出せない付加価値を引き出し、需要を創出する取組を進めている。「元々工務店という建築分野で技術力はあったため、その延長線上に古木の利活用を位置付け、相乗効果を狙った事業展開が成功につながった」と山上社長は現在までの道のりを振り返る。2013年には古民家の移築再生事業も始めるなど事業領域を徐々に拡大し、サーキュラーエコノミーの観点では「廃材を出さない」方面への事業展開も進めている。
▶ 環境意識の高まりを追い風に、古木・古民家の更なる需要創出・国内外での販路拡大へ
同社の取組は古木の循環を通じて環境負荷軽減につながるサーキュラーエコノミー実現と、古民家の利活用による空き家減少・地域活性化という社会問題解決の使命も帯びたことで注目度が上昇。2015年には長野県大町市に日本最大の古木倉庫兼工場を開設、古木を活用した設計施工の実績は2016年に累計300件を超えた。足下では600件超と順調に拡大、年間50~60件を手掛けるほどに成長している。同社の発展には古木・古民家の更なる需要創出が不可欠だが、持続可能性やSDGsが重視される時代が到来し、古木が生み出す空間の雰囲気の良さだけでなく、古木・古民家の再利用による環境負荷軽減の観点での引き合いも増えているという。同社は古木・古民家を活用したまちづくりまでを提案する「古民家デベロッパー」を目指し、全国の古民家とその古木が捨てられることなく循環する世界を構想している。「全ての古民家が解体されない世界を築きたいが壊されるのが現実。それならば全部回収して全部再利用されるのが理想だが、国内では需要が限られる現実もあり、市場を海外に広げることも挑戦中。自社の事業が真似されるくらい注目され、古木の活用が進むことを願っている」と山上社長は語る。
山上浩明社長
古木を保管する倉庫
古木を活用した設計・施工事例
第3節 経済安全保障・人権尊重
本節では、中小企業・小規模事業者における経済安全保障及び企業活動における人権尊重への取組の要請状況や実際の取組状況について確認する。
国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等により、中小企業・小規模事業者においても企業活動の中で経済安全保障の観点を踏まえた取組を行うことの重要性が高まっている。第1-2-11図は、経済安全保障関連の要請や規制の強化を背景に、
自社の取引先(発注企業)から実際に対応を求められている、又は今後対応を求められる可能性が高いと考えている取組を確認したものである。これを見ると、「特にない」の割合が最も高いが、それ以外の具体的な要請内容としては「サイバーセキュリティ・技術情報管理強化」、「サプライチェーンの強靱化」の回答割合が高い。
第1-2-11図 経済安全保障に関する要請内容
| 要請内容 | 割合 |
|---|---|
| サイバーセキュリティ・技術情報管理強化 | 22.1% |
| サプライチェーンの強靱化 | 8.6% |
| 経済制裁による輸出入規制強化 | 2.4% |
| 貿易摩擦による輸出入規制強化 | 2.0% |
| 人権尊重を理由とする輸入規制強化 | 2.0% |
| その他 | 4.6% |
| 特にない | 67.5% |
(n=24,588)
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.経済安全保障関連の取組について、取引先(発注企業)から「実際に対応を求められている」又は「今後対応を求められる可能性が高いと考えている」ものについて聞いたもの。
2.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第1-2-12図は、経済安全保障関連の要請や規制の強化を背景に、自ら積極的に行っている対応を見たものである。これを見ると、「特に対応はしていない」の回答割合が最も高く、足下では、経済安全保障関連の要請等に対応する必要性が高い中小企業・小規模事業者は一部に限られている
といえる。実際に行われている取組としては、「技術情報等の情報セキュリティの強化」、「自社の事業活動への具体的な影響の把握」、「仕入れ・調達先の新規開拓」といった取組の回答割合が上位となっている。
第1-2-12図 経済安全保障関連の要請や規制の強化を背景に、自ら積極的に行っている対応
(n=24,588)
| 技術情報等の情報セキュリティの強化 | 8.6% |
| 自社の事業活動への具体的な影響の把握 | 8.4% |
| 仕入れ・調達先の新規開拓 | 7.0% |
| 管理・保護すべき技術情報等の特定 | 3.2% |
| 仕入れ・調達先の切り替え | 3.2% |
| 内製化・国内調達率の向上 | 2.8% |
| 調達在庫(原材料等)の積み増し | 2.5% |
| 生産拠点の増設・移転 | 1.3% |
| その他 | 3.8% |
| 特に対応はしていない | 73.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
ここからは、人権尊重に関する取組等について確認する。
第1-2-13図は、企業活動における人権尊重の取組 82 について、取引先等からの具体的な働きか
けや要請の有無を見たものである。これを見ると、約1割の中小企業・小規模事業者が取引先等から要請を受けていることが分かる。
第1-2-13図 人権尊重に関する取組の要請有無
| Category | Percentage |
|---|---|
| 受けた | 9.6% |
| 受けていない | 90.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
82 2022年、経済産業省は「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を公表した。同ガイドラインでは、人権侵害に関する様々な経営リスクを例示するとともに、中小企業を含む全ての企業に対して、人権方針の策定や人権デュー・ディリジェンスの実施といった人権尊重の取組を進めていくことを推奨している。
第1-2-14図は、企業活動における人権尊重の重要性に関する認識について、企業規模別に見たものである。これを見ると、「全体」では9割超の事業者が「非常に重要である」又は「ある程度
重要である」と回答していることが分かる。「中規模企業」、「小規模事業者」共に重要と認識している割合が高い様子が見て取れる。
第1-2-14図 企業活動における人権尊重の重要性に関する認識(企業規模別)
| 企業規模 | 非常に重要である | ある程度重要である | あまり重要ではない | 全く重要ではない |
|---|---|---|---|---|
| 全体 (n=19,641) | 40.0% | 52.0% | 6.6% | 1.4% |
| 中規模企業 (n=12,088) | 43.3% | 50.1% | 5.7% | 0.9% |
| 小規模事業者 (n=7,553) | 34.6% | 55.0% | 8.2% | 2.2% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)企業活動における人権尊重の重要性について、「分からない」と回答した事業者を除く。
また、第1-2-15図は、企業活動における人権尊重の重要性について「非常に重要である」又は「ある程度重要である」と回答した事業者に対し、「人権方針」の策定状況を確認したものである。これを見ると、「既に策定している」割合は低い
ものの、今後策定を検討している事業者も含めると約半数となっている。企業規模別に見ると、「中規模企業」は「小規模事業者」に比べて取組が進んでおり、今後の取組にも意欲的であることが見て取れる。
第1-2-15図 人権方針の策定状況(企業規模別)
| 企業規模 | 既に策定している | 策定していないが、策定することを検討中 | 策定しておらず、今後策定することも検討していない |
|---|---|---|---|
| 全体 (n=13,915) | 9.6% | 40.3% | 50.1% |
| 中規模企業 (n=8,973) | 11.7% | 43.7% | 44.7% |
| 小規模事業者 (n=4,942) | 5.9% | 34.1% | 60.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.企業活動における人権尊重について、「非常に重要である」、「ある程度重要である」と回答した事業者に聞いたもの。
2.ここでの「人権方針」は、「人権を尊重する責任を果たす、という企業のコミットメントを示す方針」を指す。なお、「分からない」と回答した事業者を除く。
第1-2-16図は、人権デュー・ディリジェンスの実施 83 状況を見たものである。「全体」を見ると、既に実施している割合は高くないものの、今後の実施を検討している事業者も含めると約半数
となっている。企業規模別に見ると、人権方針の策定と同様に、「中規模企業」は「小規模事業者」に比べて取組が進んでおり、今後の取組にも意欲的であることが見て取れる。
第1-2-16図 人権デュー・ディリジェンスの実施状況(企業規模別)
| 企業規模 | 自社及び取引先において実施している | 自社のみ実施している | 実施していないが、実施することを検討中 | 実施しておらず、今後実施することも検討していない |
|---|---|---|---|---|
| 全体 (n=12,185) | 10.6% | 38.5% | 47.7% | |
| 中規模企業 (n=7,956) | 11.7% | 41.7% | 43.4% | |
| 小規模事業者 (n=4,229) | 8.5% | 32.5% | 55.8% |
■ 自社及び取引先において実施している
■ 自社のみ実施している
■ 実施していないが、実施することを検討中
■ 実施しておらず、今後実施することも検討していない
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.人権尊重について、「非常に重要である」、「ある程度重要である」と回答した事業者に聞いたもの。
2.「分からない」と回答した事業者は除く。
事例1-2-3では、経済安全保障対策として輸出管理の強化に取り組み、事業基盤を強化している企業の事例を紹介する。
事例1-2-4では、サプライチェーン上の人権侵害リスクに対処し、他社を巻き込みながらSDGs経営に取り組む企業の事例を紹介する。
83 ここで「人権デュー・ディリジェンスの実施」とは、事業活動に伴う人権侵害リスクの把握・予防・軽減策を講じることを指す。
事例
1-2-3
経済安全保障対策としての輸出管理により
事業基盤の強化に取り組む企業
所在地 京都府京都市
従業員数 45名
資本金 1,500万円
事業内容 機械器具卸売業
株式会社光響
▶ 事業拡大に向けて輸出管理体制の整備が急務に
京都府京都市の株式会社光響は、レーザー・光学関連製品を取り扱う専門商社である。主力の卸売事業では、専門性の高いレーザー・光学関連製品を海外の約300社から仕入れ、研究機関等に販売している。自社で開発・製造している製品もあり、ビーム径や空間強度分布を測定する「ビームプロファイラ」の輸出版売、超高精密フェムト秒レーザー加工機「femt-pro」などを国内に向けて販売しており、日本のレーザー分野のフロントランナーともいえる企業である。現在、同社の取扱商品における輸出管理対象は、国内に卸すため輸入した商品の返品・修理等を理由とする生産国への返送が大半であるが、事業規模拡大に伴う返送対応の増加に加え、今後は自社製品の海外輸出も視野に入れる中で、軍事転用リスクが高いとされるレーザー製品を扱う同社にとって、地政学リスクの高まりに対応できる輸出管理体制の構築が求められた。さらに、同社は2023年にTOKYO PRO Marketに上場したこともあり、「上場企業としてふさわしい管理体制の構築が必要だった」と住村和彦代表取締役CEOは振り返る。
▶ 経済産業省「中小企業等アウトリーチ事業」を活用し、輸出管理体制を整備
こうした流れの中で、2023年に大手電機メーカーから入社した吉川達彦取締役の主導で輸出管理体制の構築に取り組んだ。「一つ間違いを犯すと取り返しがつかないことになる」と認識して取組を推進した」と吉川取締役は語る。輸出管理体制の構築に当たっては、2024年に経済産業省が国際平和及び企業の技術流出の防止を目的として実施している「中小企業等アウトリーチ事業」を活用。アドバイザーの指導の下、輸出管理に関する内部規程を作成した。また、輸出管理の社内体制も増強し、従来は管理部3名のみで規制対象の確認を行っていたところを、他部署も巻き込み8名にまで増員。取引先の審査を厳格化し、輸出管理フローについては多段階承認化することでチェック機能を強化している。体制強化を契機に、日々アップデートされる最新の輸出関連法規のモニタリングを徹底して社内に共有しているほか、従業員の法令遵守意識を高めるための社内研修にも取り組んでいる。
▶ 全社で輸出管理に対する高い意識が醸成。予測不能な世界情勢の変化に備える
一連の取組を経て、住村CEOが特に効果を感じているのは社内における輸出管理意識の高まりだという。全従業員に輸出管理の重要性が浸透し、従来は営業部門と管理部門との間で存在していた輸出管理に対する認識のそごが解消。迅速な対応を最重視していた営業部門においても正確な管理や手続きを前提とした取引を行うようになっている。昨今の地政学リスクの高まりにより、特に欧米のレーザー機器メーカーではエンドユーザー管理の要求が高度化しており、社内体制・意識共に、これらに対応する組織が構築された。予測不能な世界情勢の変化に危機感を高める同社は、中国製品が輸出入できなくなるリスクに備えて、足下では韓国や台湾から製品を確保できるよう供給網の見直しも進めている。「どのような状況にも耐え得る体制を整えることが重要だ。レーザー機器の安定供給を実現するために今後も取組を強化していきたい」と住村CEOは語る。
住村和彦CEO(中央)、吉川達彦取締役(左)、管理部阿部辰哉氏(右)
同社の取り扱うレーザー関連製品
レーザー製品の輸出前には管理担当者が入念にチェックする
事例
1-2-4
サプライチェーン上の人権侵害リスクに対処し、SDGs経営に取り組む企業
所在地 東京都品川区
従業員数 70名
資本金 1,000万円
事業内容 ゴム製品製造業
雪ヶ谷化学工業株式会社
▶ 自社製品の一般化を背景に、差別化可能かつ環境にも配慮した製品開発を模索
東京都品川区の雪ヶ谷化学工業株式会社は、化粧品用、医療用、産業用などのスポンジを製造する企業である。かつて国内の化粧品用スポンジは天然ゴムを原料としていたが、ファンデーションが含む油分への耐久性が不十分で、アレルギーを引き起こすこともあるという課題があった。同社の主力製品である化粧品用スポンジは、原料を石油由来の合成ゴムに切り替えることでその課題を解決した画期的な製品となり、現在では世界シェア60%に及ぶ。しかし、一般化されやすい製品特性上、常に新興国の低品質・低価格な模倣品の脅威に直面してきたことから、2013年に就任した坂本昇社長は差別化が可能な製品開発を模索。加えて、同製品は石油由来の合成ゴムを主原料とするため生産過程で大量のCO 2 を排出することから、環境に配慮した製品開発の必要性も感じていた。
▶ 脱炭素化にとどまらず、人権侵害リスクに対処した製品開発と全社的なSDGsへの取組を推進
2019年、坂本社長は外部の勉強会への参加をきっかけに、SDGsに配慮した製品が今後ビジネスチャンスになるという着想を得て、脱炭素化につながる天然ゴムを原料に混合することを考案。さらに、天然ゴムの生産現場における人権侵害リスクを認識し、農園での児童労働・強制労働や不当な取引がないフェアトレード天然ゴムを用いることを発案した。並行して、人権侵害リスクへの対応を含むSDGsへの取組を全社的に進めるため、2020年に勉強会やワークショップを開催。従業員のSDGsへの理解を深めるとともに、取組への意識を高めるためのポスター制作や今後取り組むべき施策について議論を重ねた。さらに、各部門から選抜した若手従業員を中心に「SDGsプロジェクトチーム」を組成し、具体的な取組目標の設定と対外発信も行った。当初は従業員から取組への理解を得られなかったが、SDGsがメディアで頻繁に取り上げられ始めたことなどから風向きが変わり、「SDGsへの取組は慈善事業ではなく、社会課題解決への貢献と付加価値向上を両立する製造業の本質そのもの」という経営層による意識付けも徹底して、従業員が主体的に取り組む体制を構築した。2021年には天然ゴムからアレルギー物質を取り除く技術を開発して製品化に成功。原料調達に当たっては、同社のタイ工場からスタッフを派遣してタイのゴム農園の現地調査を行い、フェアトレード天然ゴムを用いたサステナブルスポンジシリーズの発売に至った。
▶ SDGsへの主体的な取組は、社内のみならず他社を巻き込もうねりに
サステナブルスポンジシリーズは、SDGsへの意識の高い企業に注目され、現在10社に計16製品が採用されている。また、人権侵害リスクへの対応やSDGs経営を進めた結果、メディアへの露出が増加したことで同社の知名度が向上し、取引先との関係強化や求人への応募数増加といった効果も表れている。さらに、従業員のモチベーションも向上して意識・行動が変容し、SDGsへの取組が加速。天然ゴムはフェアトレードの正式な国際認証がまだなかった中、プロジェクトチームを中心に同社独自で認証基準を設定し、作成・公開した「フェアトレード天然ゴムマーク」は、現在7社の企業が賛同してマークを使用しており、他業種にも活動が広がりつつある。「サプライチェーンの川上との関係性は日々強化されている。新たな差別化要素を加えたことによる製品価格上昇を許容する取引先はまだ少数だが、世の中の消費行動は変わると信じて粘り強く取り組んでいく」と坂本社長は語る。
坂本昇社長
サステナブルスポンジ
SDGsプロジェクトチームの様子
第4節 BCP
頻発する災害等に備え、不測の事態における業務の中断リスク低下や、短期間での復旧などのため、「事業継続計画」(以下、「BCP 84 」という。)の策定が重要となっている。本節では、BCPに関する状況について確認する。
第1-2-17図は、「事業継続計画(BCP)に対す
る企業の意識調査(2024年) 85 」を用いて、BCP策定率の推移を企業規模別に見たものである。「中小企業」におけるBCP策定率は上昇傾向にあるものの、「大企業」のBCP策定率と比較すると、その水準には依然として差があることが分かる。
第1-2-17図 BCP策定率の推移(企業規模別)
| 年 | 大企業 (%) | 中小企業 (%) |
|---|---|---|
| 2016 | 27.0 | 12.0 |
| 2017 | 26.0 | 11.0 |
| 2018 | 26.5 | 11.5 |
| 2019 | 29.0 | 11.5 |
| 2020 | 31.0 | 13.5 |
| 2021 | 32.5 | 14.5 |
| 2022 | 34.0 | 14.5 |
| 2023 | 35.5 | 15.5 |
| 2024 | 37.1 | 16.5 |
資料:(株)帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2024年)」
(注)企業規模区分は、原則として中小企業基本法に準拠している。加えて、全国売上高ランキング(TDB産業分類別)に基づき、以下の分類を行っている。
- ・中小企業基本法で小規模事業者を除く中小事業者に分類される企業の中で、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を「大企業」として区分。
- ・中小企業基本法で中小事業者に分類されない企業の中で、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を「中小企業」として区分。
84 Business Continuity Planのことを指す。
85 (株)帝国データバンクが2024年5月、全国27,104社の企業を対象に実施したアンケート調査【有効回答数:11,410社(大企業1,802社、中小企業9,608社)、回収率:42.1%】。
第1-2-18図は、BCP策定率を地域別に見たものである。地域ごとの策定率に若干の差があり、BCP策定の必要性等に地域差が存在している可能性がある。
第1-2-18図 BCP策定率(地域別)
| 全体 (n=11,410) | 19.8% |
| 北海道 (n=510) | 20.6% |
| 東北 (n=777) | 19.6% |
| 北関東 (n=902) | 20.4% |
| 南関東 (n=3,434) | 21.4% |
| 北陸 (n=584) | 21.4% |
| 東海 (n=1,228) | 20.0% |
| 近畿 (n=1,857) | 18.4% |
| 中国 (n=761) | 17.5% |
| 四国 (n=367) | 23.7% |
| 九州 (n=990) | 15.1% |
資料:(株)帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2024年)」再編加工
第1-2-19図は、事業中断リスクに備えた実施・検討内容について見たものである。これを見ると、「中小企業」では「従業員の安否確認手段の整備」と回答した割合が最も高く、次いで「情報システムのバックアップ」、「緊急時の指揮・命令システムの
構築」と続いている。また、「中小企業」と「うち小規模事業者」を比較すると、「事業中断時の資金計画策定」を除いた全ての項目について、「中小企業」の方が高い回答割合となっている。
第1-2-19図 事業中断リスクに備えた実施・検討内容(企業規模別)
| 項目 | 中小企業 (n=4,454) | うち小規模事業者 (n=1,330) |
|---|---|---|
| 従業員の安否確認手段の整備 | 65.7% | 55.9% |
| 情報システムのバックアップ | 55.0% | 47.8% |
| 緊急時の指揮・命令システムの構築 | 39.6% | 29.5% |
| 災害保険への加入 | 38.7% | 37.8% |
| 事業所の安全性確保(建物の耐震補強、設備の転倒・落下対策など) | 34.3% | 27.7% |
| 調達先・仕入先の分散 | 33.8% | 32.6% |
| 多様な働き方の制度化(テレワーク、時差出勤、サテライトオフィスなど) | 20.2% | 17.7% |
| 生産・物流拠点の分散 | 17.9% | 12.5% |
| 代替生産先・仕入先・業務委託先・販売場所の確保 | 16.5% | 15.8% |
| 事業中断時の資金計画策定 | 14.4% | 15.4% |
資料:(株)帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2024年)」再編加工
(注)1.企業規模区分は、原則として中小企業基本法に準拠している。加えて、全国売上高ランキング(TDB産業分類別)に基づき、以下の分類を行っている。
・中小企業基本法で小規模事業者を除く中小事業者に分類される企業の中で、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を「大企業」として区分。
・中小企業基本法で中小事業者に分類されない企業の中で、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を「中小企業」として区分。
2.BCPの策定状況について、「策定している」、「現在、策定中」、「策定を検討している」と回答した企業に聞いたもの。
3.「中小企業」の上位10項目を表示している。
4.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第1-2-20図は、BCPを策定していない理由について見たものである。これを見ると、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」、「策定する人材を確保できない」といったリソース不足に関する
回答割合が比較的高いことが分かる。また、「うち小規模事業者」では、「必要性を感じない」と回答した割合が「中小企業」に比べて特に高いことも見て取れる。
第1-2-20図 BCPを策定していない理由(企業規模別)
| 理由 | 中小企業 (n=4,371) | うち小規模事業者 (n=2,131) |
|---|---|---|
| 策定に必要なスキル・ノウハウがない | 41.0% | 37.9% |
| 策定する人材を確保できない | 34.0% | 29.8% |
| 策定する時間を確保できない | 27.9% | 25.8% |
| 自社のみ策定しても効果が期待できない | 25.0% | 23.9% |
| 書類作りでおわってしまい、実践的に使える計画にすることが難しい | 24.8% | 22.1% |
| 必要性を感じない | 21.0% | 26.3% |
| リスクの具体的な想定が難しい | 16.8% | 16.6% |
| 策定する費用を確保できない | 14.8% | 15.8% |
| ガイドライン等に自組織の業種に即した例示がない | 4.7% | 4.6% |
| 策定に際して公的機関の相談窓口が分からない | 3.3% | 3.6% |
| 策定に際してコンサルティング企業等の相談窓口が分からない | 2.3% | 2.4% |
| その他 | 3.0% | 3.1% |
資料:(株)帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2024年)」再編加工
(注)1.企業規模区分は、原則として中小企業基本法に準拠している。加えて、全国売上高ランキング(TDB産業分類別)に基づき、以下の分類を行っている。
・中小企業基本法で小規模事業者を除く中小事業者に分類される企業の中で、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を「大企業」として区分。
・中小企業基本法で中小事業者に分類されない企業の中で、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を「中小企業」として区分。
2.BCPの策定状況について、「策定していない」と回答した企業に聞いたもの。
3.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
事例1-2-5では、BCP策定の取組を、災害対策だけでなく、顧客の信頼獲得や、コスト削減、
生産効率向上、人材確保など平時の事業強化にもつなげている企業の事例を紹介する。
事例
1-2-5
BCP策定の取組を、災害対策だけでなく
平時の事業強化にもつなげている企業
所在地 山形県真室川町
従業員数 86名
資本金 4,000万円
事業内容 その他の製造業
アイ・エム・ Mamoru 株式会社
▶ 水害・雪害への対応が喫緊の課題に
山形県真室川町のアイ・エム・ Mamoru 株式会社は、大手メーカーの高級腕時計の組立てや、工作機械やロボットの可動部分に使われるリニアモーションガイドという部品の組立てなどを行う企業である。本社を置く真室川町は山形県北部に位置し、最上川水系の一級河川が横断している地域だ。河川の氾濫や土砂崩れなど水害が起こりやすく、通勤経路によっては従業員の身に危険が及んだり、出社できなくなったりするリスクを抱えている。また、冬には積雪の深さが1.5mにもなる地域で雪害による停電が多く、工場が停止するリスクも高い。そのため、災害対策は同社にとって長年の課題であった。こうした状況の中、2018年に真室川町を含む最上地域一帯で豪雨による水害が発生。幸いにも同社の事業への影響はなかったが、従業員とその家族の安全を確保するため、事前対策の必要性をより強く認識した。また、この出来事は、同社の高橋智之社長が10歳のときに集中豪雨で被災して自衛隊に救助された経験と重なり、災害対策を喫緊の課題と捉えるに至った。
▶ BCPセミナーで得た着想を基に、事業継続力強化計画とBCPを策定
同社の災害対策に向けた取組の第一歩は、2008年のBCPセミナーへの参加であった。高橋社長はそこで、災害時の復旧には自社の事業に優先順位を付け、何を残して何を切り捨てるかの判断が必要という着想を得た。また、そのセミナーの講師を自社に招き、納品ルートや仕入先の代替策、最小限の人員体制などについて、数回にわたるブレインストーミングも行った。それらの発想を蓄積していた中、2018年の水害をきっかけに災害対策を強化し、2019年に災害時の安全対策や復旧に関する事業継続力強化計画を策定した。さらに、災害時だけでなく平時の事業継続も見据えたBCPの策定にも着手。セミナーで得た着想を基に「自社にしかできない事業か」という観点で事業や製造工程などを見直し、他社で代替可能なことは切り捨てる判断も明確にした。また、計画策定を通じて認識した課題に対しては、従業員の安否確認システムや停電対策の非常用自家発電機を導入したほか、納品ルートの状況を常に把握できるように通信型ドライブレコーダーを納品車に設置するなどハード面の強化を進めた。
▶ BCP策定が顧客の信頼獲得や、コスト削減・生産効率向上、人材確保につながる
事業継続力強化計画とBCPを策定し、そこで認識した課題に対策する一連の取組は、顧客からの信頼獲得につながり、取引継続や新規顧客の開拓に寄与した。また、BCP策定を通じて、日頃から代替となる仕入先・外注先を検討したことや、最小限の人員体制で運営できるように製造工程を見直したことは、平時でもコスト削減につながったほか、少人数・短時間での製造が可能となり生産効率向上も実現した。同社の近隣地域では、若者が都心部へ流出してしまう傾向が続いているが、BCP関連の取組や災害対策の徹底は従業員の心理的安全性を担保し、人材確保の一助にもなっている。「今後の事業継続を見据えて、働く場所や人材を確保する観点から、新事業進出や拠点分散も検討している。通勤や納品のルートを維持するための高規格道路の整備など、自社だけでは対応困難なインフラ面については、行政にも働きかけながら事業継続力を更に高めていきたい」と高橋社長は語る。
高橋智之社長
製品の組立て工程の様子
非常用自家発電機
第2部 2025 White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan
新たな時代に挑む中小企業の
経営力と成長戦略
The graphic design features five 3D cubes of different sizes and orientations, rendered in shades of blue and white. They are scattered across the lower half of the page. A network of thin white lines connects some of the cubes, forming a web-like structure. The background is a solid light blue color.
中小企業の経営力
第1部では、中小企業・小規模事業者を取り巻く外部環境や中小企業・小規模事業者が直面する課題等について概観した。深刻化する人材不足、「金利のある世界」の到来、円安・物価高等を背景とした生産・投資コストの増加など、中小企業・小規模事業者の経営環境は厳しい状況にあることが確認された。
第2部では、こうした環境変化を乗り越えることに資する取組として、経営資源を確保・活用して経営力を高めていく取組、スケールアップにつながり得る経営戦略・投資行動等に焦点を当てた分析を行っていく。分析に当たっては、中小企業・小規模事業者を対象としたアンケート「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査 1 」等を用いた。
第1章では、中小企業の成長・発展において重要である経営者・経営陣の「経営力」に着目した分析を行っていく。なお、本章における「経営力」とは、中小企業の成長や持続可能性の向上に寄与し得る、経営戦略の策定力及び経営資源のマネジメント力、経営者の成長志向、従業員にとって健全な環境や待遇を整備する能力等と定義する。
第2章では、積極的かつ継続的に賃上げや投資に取り組むことができるような、一定企業規模への成長を実現するための、中小企業の経営戦略や投資行動等について分析を行う。
第1節 経営戦略
中小企業白書(2023) 2 では、自社の経営資源とターゲット市場の両方を分析することが、優れた経営戦略につながっている可能性を指摘している。本節では、経営戦略における社内資源・外部環境の分析状況と効果を確認する。また、経営戦略を実行するための具体的なプランである経営計
画も重要だ。先行研究 3 では、経営計画の策定と運用は目標実現に加え、組織の活性化等にも効果があるとされる。本節では中小企業における経営計画の策定・運用への取組状況、効果についても確認する。
1 (株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」:(株)帝国データバンクが2024年11月から12月にかけて、以下の事業者を対象に実施したWebアンケート調査。以下、本章における「アンケート調査」は、本調査を指すものとする。
・全国75,000者の事業者【有効回答数:17,848者、回収率23.8%】
※調査を進める中で判明した大企業170社を除いた中小企業・小規模事業者17,678者について分析を行った。
・商工会及び商工会議所の会員である小規模事業者【有効回答数:6,910者】
なお、中小企業とは、中小企業基本法第2条第1項の規定に基づく「中小企業者」をいう。また、小規模事業者とは、同法同条第5項の規定に基づく「小規模事業者」をいう。さらに、中規模企業とは「小規模事業者」以外の「中小企業者」をいう。
2 詳細については、2023年版中小企業白書第2部第1章第1節を参照。
3 伊藤(2002)
1. 製品・商品・サービスの差別化と外部環境を意識した経営戦略
先行研究 4 では、製品・サービスの差別化によるブランド力の構築等が価格競争を脱することにつながり、付加価値を高めていくと指摘している。本項では、中小企業の経営戦略における製品・商品・サービスの差別化と外部環境への意識について確認する。
①製品・商品・サービスの差別化
第2-1-1図は、競合他社に対する差別化として最も重視している要素を見たものである。「顧客との密着性・コミュニケーション」を重視しているという回答割合が最も高く、次いで「高い品質」、「希少価値・プレミアム感」と続いている。「特に差別化を意識していない」と回答した事業者も一定数存在していることが分かる。
第2-1-1図 製品・商品・サービスで最も重視する差別化要素
(n=24,588)
| 差別化要素 | 割合 |
|---|---|
| 顧客との密着性・コミュニケーション | 28.3% |
| 高い品質 | 24.6% |
| 希少価値・プレミアム感 | 11.2% |
| 柔軟な納期対応 | 5.3% |
| 豊富な品揃え・サービスのラインナップ | 5.1% |
| 手厚いアフターフォロー | 3.6% |
| 小ロット・小案件への対応 | 3.0% |
| 地域資源・文化の活用 | 2.9% |
| 安価であること | 2.9% |
| 好条件の立地 | 1.7% |
| 事業背景(ストーリー性)への共感 | 1.2% |
| その他 | 1.0% |
| 特に差別化を意識していない | 9.1% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
第2-1-2図は、業種別に、競合他社に対する差別化として最も重視している要素を見たものである。「製造業」や「建設業」では「高い品質」、
「卸売業」や「小売業」では「顧客との密着性・コミュニケーション」を重視している割合が高
く、業種により傾向の違いが見られる。また、「建設業」や「運輸業、郵便業」では「特に差別化を意識していない」の割合が、他の業種と比較して高いことが分かる。
第2-1-2図 製品・商品・サービスで最も重視する差別化要素(業種別)
| 業種 (n) | 高い品質 | 顧客との密着性・コミュニケーション | 希少価値・プレミアム感 | 柔軟な納期対応 | 豊富な品揃え・サービスのラインナップ | その他 | 特に差別化を意識していない |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 製造業 (n=5,713) | 35.0% | 15.2% | 13.9% | 7.6% | 4.6% | 14.8% | 4.6% |
| 建設業 (n=5,605) | 30.9% | 28.0% | 7.6% | 4.6% | 4.6% | 14.8% | 14.8% |
| 卸売業 (n=3,660) | 13.4% | 37.5% | 9.5% | 7.6% | 4.6% | 14.8% | 5.7% |
| 小売業 (n=2,330) | 10.7% | 39.4% | 13.6% | 7.6% | 4.6% | 14.8% | 6.5% |
| 宿泊業、飲食サービス業 (n=1,315) | 21.3% | 23.1% | 18.3% | 7.6% | 4.6% | 14.8% | 6.5% |
| 運輸業、郵便業 (n=899) | 24.7% | 28.4% | 5.7% | 7.6% | 4.6% | 14.8% | 17.9% |
| 情報通信業 (n=542) | 26.0% | 32.8% | 16.1% | 7.6% | 4.6% | 14.8% | 7.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)「その他」は、「地域資源・文化の活用」、「事業背景(ストーリー性)への共感」、「好条件の立地」、「安価であること」、「小ロット・小案件への対応」、「手厚いアフターフォロー」、「その他」と回答した事業者の合計。
②外部環境
第2-1-3図は、経営戦略策定や新規事業の検討で最も重視する外部環境を見たものである。「競合他社の特徴・動向」を重視しているという回答
割合が最も高い。「特に外部環境は重視していない」と回答している事業者も一定数存在していることが分かる。
第2-1-3図 経営戦略策定や新規事業の検討で最も重視する外部環境
(n = 24,588)
| 外部環境 | 割合 |
|---|---|
| 競合他社の特徴・動向 | 29.4% |
| 個人消費の特徴・動向 | 12.6% |
| 仕入れ・調達の安定性 | 10.6% |
| ニッチな市場であること | 8.7% |
| 価格決定力を持てること | 7.0% |
| 市場の成長段階 | 5.0% |
| 大きい市場であること | 3.1% |
| 参入障壁が高いこと | 2.8% |
| 環境問題対応の影響を受けるか | 1.0% |
| 代替品が現れるリスク | 0.7% |
| その他 | 0.9% |
| 特に外部環境は重視していない | 18.2% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
第2-1-4図は、業種別に、経営戦略策定や新規事業の検討で最も重視する外部環境を見たものである。多くの業種で、「競合他社の特徴・動向」を重視していることが分かる。また、「製造業」や「情報通信業」では「ニッチな市場であること」と回答した割合が他の業種と比較して高く、
大企業が参入し難い領域に注目して事業展開を行う戦略を採っている可能性がある。また、「建設業」や「運輸業、郵便業」では「特に外部環境は重視していない」と回答した割合が、他の業種と比較して高いことが分かる。
第2-1-4図 経営戦略策定や新規事業の検討で最も重視する外部環境(業種別)
| 業種別 | 競合他社の特徴・動向 | ニッチな市場であること | 仕入れ・調達の安定性 | 価格決定力を持てること | 個人消費の特徴・動向 | 市場の成長段階 | その他 | 特に外部環境は重視していない |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 製造業 (n=5,713) | 27.3% | 14.1% | 9.9% | 9.4% | 13.9% | |||
| 建設業 (n=5,605) | 32.7% | 8.3% | 8.0% | 26.3% | ||||
| 卸売業 (n=3,660) | 29.6% | 9.7% | 21.3% | 10.2% | ||||
| 小売業 (n=2,330) | 26.0% | 12.8% | 30.1% | 14.9% | ||||
| 宿泊業、飲食サービス業 (n=1,315) | 21.4% | 11.9% | 38.1% | 16.2% | ||||
| 運輸業、郵便業 (n=899) | 31.6% | 5.9% | 10.2% | 26.8% | ||||
| 情報通信業 (n=542) | 31.4% | 14.9% | 7.6% | 17.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)「その他」は、「参入障壁が高いこと」、「代替品が現れるリスク」、「環境問題対応の影響を受けるか」、「大きい市場であること」、「その他」と回答した事業者の合計。
第2-1-5図は、製品・商品・サービスの差別化への意識及び経営戦略策定や新規事業の検討における外部環境、すなわち市場環境への意識の有無別に、売上高の変化率(中央値)、経常利益の変化率(中央値)を見たものである。差別化・市場環境の両方を意識している事業者は、両指標とも高い水準であることが分かる。また、差別化のみ意識している事業者は、市場環境のみ意識してい
る事業者に比べて、両指標とも高い水準であることが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、市場環境を重視することも重要ではあるものの、中小企業では、製品・商品・サービスの差別化への取組が業績向上に寄与する可能性が示唆される。まずは、自社の経営資源をいかした独自性のある製品・商品・サービスの供給に取り組むことが求められるといえよう。
第2-1-5図 売上高、経常利益の変化率(差別化への意識・市場環境への意識の有無別、中央値)
(1)売上高の変化率(中央値)
| 意識レベル | 売上高の変化率(中央値) |
|---|---|
| 差別化を意識している×市場環境を意識している (n=13,936) | 7.5 |
| 差別化を意識している×市場環境を意識していない (n=2,009) | 5.7 |
| 差別化を意識していない×市場環境を意識している (n=513) | 2.7 |
| 差別化を意識していない×市場環境を意識していない (n=1,115) | 2.0 |
(2)経常利益の変化率(中央値)
| 意識レベル | 経常利益の変化率(中央値) |
|---|---|
| 差別化を意識している×市場環境を意識している (n=10,395) | 36.0 |
| 差別化を意識している×市場環境を意識していない (n=1,453) | 29.9 |
| 差別化を意識していない×市場環境を意識している (n=370) | 19.1 |
| 差別化を意識していない×市場環境を意識していない (n=760) | 17.9 |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.「差別化を意識している」は、製品・商品・サービスに関して競合他社に対する差別化として重視する要素を聞いた設問で「特に差別化を意識していない」以外を回答した事業者の合計。「差別化を意識していない」は同設問で「特に差別化を意識していない」と回答した事業者。
2.「市場環境を意識している」は、経営戦略策定や新規事業の検討で重視する外部環境を聞いた設問で「特に外部環境は重視していない」以外を回答した事業者の合計。「市場環境を意識していない」は同設問で「特に外部環境は重視していない」と回答した事業者。
3.売上高、経常利益の変化率は、2023年と2018年を比較して算出したもの。
第2-1-6図は、製品・商品・サービスの差別化への意識及び経営戦略策定や新規事業の検討における外部環境、すなわち市場環境への意識の有無別に、価格転嫁の状況を見たものである。これを見ると、差別化・市場環境の両方を意識している事業者は、価格転嫁が進んでいる傾向にあることが分かる。また、市場環境のみ意識している事業者は、差別化のみ意識している事業者に比べて50%以上価格転嫁ができていると回答した割合
が若干高いことが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、価格転嫁においては製品・商品・サービスの差別化も重要ではあるものの、市場環境を意識することによる影響が大きいことがうかがえる。ターゲット市場における競合他社の動向、市場構造、仕入れ・調達の安定性などの面から、価格交渉力を有することができる市場環境であるかを分析することが重要といえる。
第2-1-6図 価格転嫁の状況(差別化への意識・市場環境への意識の有無別)
| 意識の有無 | 75%以上 | 50%以上~75%未満 | 25%以上~50%未満 | 0%超~25%未満 | 価格転嫁できなかった |
|---|---|---|---|---|---|
| 差別化を意識している × 市場環境を意識している (n=17,452) | 12.9% | 11.6% | 12.9% | 45.8% | 16.8% |
| 差別化を意識している × 市場環境を意識していない (n=2,342) | 13.0% | 7.5% | 10.8% | 44.7% | 23.9% |
| 差別化を意識していない × 市場環境を意識している (n=530) | 13.8% | 10.0% | 8.9% | 43.4% | 24.0% |
| 差別化を意識していない × 市場環境を意識していない (n=964) | 9.9% | 6.7% | 8.5% | 48.2% | 26.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. ここでの価格転嫁の状況とは、過去1年間における製品・商品・サービスの生産や製造、あるいは提供等にかかる費用全体の変動分について、どの程度、販売価格に転嫁できたか聞いたもの。販売価格への転嫁について、「転嫁不要」、「分からない」と回答した事業者を除く。
2. 「差別化を意識している」は、製品・商品・サービスに関して競合他社に対する差別化として重視する要素を聞いた設問で「特に差別化を意識していない」以外を回答した事業者の合計。「差別化を意識していない」は同設問で「特に差別化を意識していない」と回答した事業者。
3. 「市場環境を意識している」は、経営戦略策定や新規事業の検討で重視する外部環境を聞いた設問で「特に外部環境は重視していない」以外を回答した事業者の合計。「市場環境を意識していない」は同設問で「特に外部環境は重視していない」と回答した事業者。
③まとめ
本項では、製品・商品・サービスの差別化と外部環境を意識した経営戦略について確認した。経営資源が限られる中小企業にとって、自社の製品・商品・サービスの特徴やターゲット市場の環
境を見極め、自社の競争力や優位性といった価値を的確に認識することが重要といえる。中小企業には自社のリソースと外部環境の分析をベースとした経営戦略の立案が求められる。
2. 経営計画 5 の策定・運用
ここからは、経営戦略を実現するための具体的なプランとなる経営計画について分析する。本項では、経営計画の策定、策定した経営計画に基づく取組の状況と効果について確認する。
①経営計画の策定
第2-1-7図は、経営計画の策定状況を見たもの
である。約5割の事業者が経営計画を「策定している」ことが分かる。第2-1-8図は、経営計画を策定している事業者のうち、最長で何年先を見据えて経営計画を策定しているかを見たものである。これを見ると、3年以内が過半数を占めていることが分かる。「5年超」を見据え、経営計画を策定している事業者も1割程度存在している。
第2-1-7図 経営計画の策定状況
(n=24,588)
| 策定状況 | 割合 |
|---|---|
| 策定している | 51.1% |
| 策定していないが、今後策定する予定である | 26.6% |
| 策定しておらず、策定する予定もない | 22.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
第2-1-8図 経営計画の計画期間
(n=12,389)
| 計画期間 | 割合 |
|---|---|
| 1年以内 | 15.1% |
| 1年超~3年以内 | 38.2% |
| 3年超~5年以内 | 34.0% |
| 5年超 | 12.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 経営計画を「策定している」と回答した事業者に対して、策定している経営計画は最長で何年先を見据えたものか聞いたもの。なお、「5年超」は、「5年超~10年以内」、「10年超」と回答した事業者の合計。
5 本章における「経営計画」とは、当面の収支計画、また、それらを達成するためのアクションプランや資金繰り計画などについて策定したものを指す。
第2-1-9図は、経営計画を策定する目的として最も当てはまるものを見たものである。「業績の向上」、「経営状況の把握」を策定目的とした回答
割合が高い。次いで、策定プロセスにおける分析を通じた「自社の強みや弱みの理解」の回答割合が高いことが分かる。
第2-1-9図 経営計画の策定目的
(n=12,570)
| 業績の向上 | 35.1% |
| 経営状況の把握 | 33.2% |
| 自社の強みや弱みの理解 | 15.2% |
| 補助金の獲得 | 8.0% |
| 融資の獲得 | 4.8% |
| 取引先への共有 | 0.8% |
| その他 | 2.2% |
| 特にない | 0.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)経営計画を「策定している」と回答した事業者に聞いたもの。
第2-1-10図は、経営人材の有無別に経営計画の策定状況を確認したものである。これを見ると、「経営人材がいる」事業者は「経営人材はいない」事業者に比べて、経営計画を「策定している」割合が高いことが分かる。さらに、「経営人
材はいない」事業者は、「策定しておらず、策定する予定もない」と回答した割合が高いことが見て取れる。経営人材によるサポートが経営計画の策定を促進する可能性がある。
第2-1-10図 経営計画の策定状況(経営人材の有無別)
| 経営人材の有無 | 策定している | 策定していないが、今後策定する予定である | 策定しておらず、策定する予定もない |
|---|---|---|---|
| 経営人材がいる (n=17,569) | 56.3% | 26.4% | 17.3% |
| 経営人材はいない (n=7,019) | 38.1% | 27.1% | 34.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここでの「経営人材」とは、経営者と近い視点・視座で、経営戦略の立案や事業展開等に関して意思決定を担うことができる人材を指す。
2.経営人材の有無について「経営人材がいる」は、経営人材の人数を「1人」、「2人」、「3人以上」と回答した事業者の合計。
第2-1-11図は、経営計画を策定していない事業者について、策定していない理由を見たものである。策定していない理由として、「時間的余裕
がないため」の割合が最も高く、次いで、「事業環境変化が激しく、先が見通せないため」、「必要性を感じないため」と続いている。
第2-1-11図 経営計画を策定しない理由
(n=11,709)
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 時間的余裕がないため | 37.5% |
| 事業環境変化が激しく、先が見通せないため | 26.4% |
| 必要性を感じないため | 21.8% |
| どのように作成して良いか分からないため | 17.8% |
| 策定のきっかけがないため | 17.7% |
| 業績向上への効果を感じないため | 8.0% |
| 近々廃業を考えているため | 1.3% |
| その他 | 3.8% |
| 特にない | 9.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
2.経営計画を「策定していないが、今後策定する予定である」、「策定しておらず、策定する予定もない」と回答した事業者に聞いたもの。
②経営計画の運用 6
策定した経営計画を適切に運用していくことも重要である。第2-1-12図は、経営計画の運用として、「計画の達成に向けた行動」、「計画の進捗管理」、「計画に対する実績の評価・計画の見直し」について、取組状況を見たものである。これ
を見ると、総じて高い水準で取り組んでいる様子が見られるものの、「計画の達成に向けた行動」に比べ、「計画の進捗管理」、「計画に対する実績の評価・計画の見直し」では「取り組んでいる」割合が比較的低くなっていることが分かる。
第2-1-12図 経営計画の運用状況
| 項目 | 取り組んでいる | 取り組んでいない |
|---|---|---|
|
計画の達成に向けた行動
(n=12,570) |
95.8% | 4.2% |
|
計画の進捗管理
(n=12,570) |
89.9% | 10.1% |
|
計画に対する実績の評価・計画の見直し
(n=12,570) |
85.6% | 14.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.経営計画の運用に関する各取組について、「取り組んでいる」は、「行っている」、「ある程度行っている」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「行っていない」、「あまり行っていない」と回答した事業者の合計。
2.経営計画を「策定している」と回答した事業者に聞いたもの。
6 ここで「経営計画の運用」とは、計画の達成に向けた行動、計画の進捗管理、実績の評価・計画の見直し等を指す。
第2-1-13図は、経営人材の有無別に経営計画の運用に取り組んでいる事業者の割合を見たものである。「経営人材がいる」事業者の方が、運用に取り組んでいる割合が高いことが分かる。経営
計画の運用は業務負担が重く、運用の役割を分担できる経営人材の存在が重要であることが示唆される。
第2-1-13図 経営計画の運用に取り組んでいる割合(経営人材の有無別)
| 項目 | 経営人材がいる (n=9,894) | 経営人材はいない (n=2,676) |
|---|---|---|
| 計画の達成に向けた行動 | 96.2% | 94.2% |
| 計画の進捗管理 | 91.2% | 85.1% |
| 計画に対する実績の評価・計画の見直し | 87.3% | 79.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.経営計画の運用に関する各取組について、「行っている」、「ある程度行っている」と回答した事業者の割合を示したもの。
2.経営計画を「策定している」と回答した業者に聞いたもの。
3.ここでの「経営人材」とは、経営者と近い視点・視座で、経営戦略の立案や事業展開等に関して意思決定を担うことができる人材を指す。
4.経営人材の有無について「経営人材がいる」は、経営人材の人数を「1人」、「2人」、「3人以上」と回答した事業者の合計。
③経営計画の策定・運用による効果
第2-1-14図は、経営計画策定の結果、実現できたことを見たものである。「経営状況の把握」と回答した割合が最も高く、次いで「自社の強みや
弱みの理解」、「業績の向上」が続く。経営計画の策定目的と上位3項目が同じであり、おおむね策定目的の効果を得られていることが示唆される。
第2-1-14図 経営計画策定で実現できたこと
(n = 12,570)
| 実現できたこと | 割合 |
|---|---|
| 経営状況の把握 | 56.5% |
| 自社の強みや弱みの理解 | 39.1% |
| 業績の向上 | 33.2% |
| 補助金の獲得 | 14.4% |
| 融資の獲得 | 13.7% |
| 取引先への共有 | 4.3% |
| その他 | 2.7% |
| 特にない | 2.5% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
2.経営計画を「策定している」と回答した事業者に聞いたもの。
第2-1-15図は、経営計画の策定状況別に売上高の変化率(中央値)と付加価値額の変化率(中央値)を見たものである。経営計画を「策定している」事業者は「策定していない」事業者に比べ
て両指標とも高い水準であることが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、経営計画の策定は、業績の向上につながる可能性がある。
第2-1-15図 売上高、付加価値額の変化率(経営計画の策定状況別、中央値)
(1)売上高の変化率(中央値)
| 経営計画の策定状況 | 売上高の変化率(中央値) |
|---|---|
| 策定している (n=9,804) | 7.7 |
| 策定していない (n=7,769) | 5.7 |
(2)付加価値額の変化率(中央値)
| 経営計画の策定状況 | 付加価値額の変化率(中央値) |
|---|---|
| 策定している (n=8,787) | 9.9 |
| 策定していない (n=7,175) | 8.1 |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.経営計画の策定状況について、「策定していない」は、「策定していないが、今後策定する予定である」、「策定しておらず、策定する予定もない」と回答した事業者の合計。
2.売上高、付加価値額の変化率は2023年と2018年を比較して算出したもの。
3.付加価値額=営業利益+人件費+賃借料+租税公課。
第2-1-16図は、策定している経営計画の計画期間別に、売上高の変化率(中央値)と付加価値額の変化率(中央値)を見たものである。これを見ると、長期を見据えた計画を策定している事業
者ほど、両指標とも高い水準であることが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、長期目線での経営計画は、業績の向上をもたらしている可能性がある。
第2-1-16図 売上高、付加価値額の変化率(経営計画の計画期間別、中央値)
(1)売上高の変化率(中央値)
| 計画期間 | 中央値 (%) |
|---|---|
| 5年超 (n=1,347) | 13.2 |
| 3年超~5年以内 (n=3,082) | 9.9 |
| 1年超~3年以内 (n=3,622) | 5.4 |
| 1年以内 (n=1,616) | 3.6 |
(2)付加価値額の変化率(中央値)
| 計画期間 | 中央値 (%) |
|---|---|
| 5年超 (n=1,211) | 15.1 |
| 3年超~5年以内 (n=2,762) | 11.8 |
| 1年超~3年以内 (n=3,235) | 8.2 |
| 1年以内 (n=1,459) | 5.7 |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. 経営計画を「策定している」と回答した事業者に対して、策定している経営計画は最長で何年先を見据えたものか聞いたもの。なお、「5年超」は、「5年超~10年以内」、「10年超」と回答した事業者の合計。
2. 売上高、付加価値額の変化率は、2023年と2018年を比較して算出したもの。
3. 付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 賃借料 + 租税公課。
第2-1-17図は、経営計画の運用状況別に経営計画の評価を見たものである。①計画の達成に向けた行動、②計画の進捗管理、③計画に対する実績の評価・計画の見直し、について、各項目の取組状況別に経営計画の評価を分析している。
これを見ると、「①、②、③全てに取り組んでいない」事業者は「想定した効果は得られなかつ
た」と回答する割合が特に高い。さらに、①、②、③に取り組むほどに評価が高まることが分かる。環境変化が激しい昨今、経営計画の効果を高めるためには、単に経営計画を策定するだけでなく、進捗管理、計画の評価・見直しを行い、適宜、環境に合わせた軌道修正を行うことが重要であると示唆される。
第2-1-17図 経営計画の評価(経営計画の運用状況別)
①計画の達成に向けた行動、②計画の進捗管理、③計画に対する実績の評価・計画の見直し
| 運用状況 | 想定を超える効果が得られた | 想定した効果が得られた | 想定した効果は得られなかった |
|---|---|---|---|
| ①、②、③全てに取り組んでいない (n=206) | 1.5% | 50.0% | 48.5% |
| ①に取り組んでいるが、②、③には取り組んでいない (n=437) | 6.9% | 64.3% | 28.8% |
| ①、②に取り組んでいるが、③には取り組んでいない (n=678) | 7.5% | 73.2% | 19.3% |
| ①、②、③全てに取り組んでいる (n=9,028) | 8.9% | 79.8% | 11.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
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(注)1.経営計画を「策定している」と回答した事業者に聞いたもの。
2.経営計画の運用に関する各取組について、「取り組んでいる」は、「行っている」、「ある程度行っている」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「行っていない」、「あまり行っていない」と回答した事業者の合計。
3.策定した経営計画の評価について、「分からない」と回答した事業者は除く。
④まとめ
本項では、中小企業における経営計画の策定、運用の取組、効果について確認した。経営計画の策定は、業績の向上や経営状況の把握、自社の強みや弱みの把握等に効果があることが示唆された。また、経営計画の適切な運用は、経営計画の目的達成度合いを高める可能性も確認できた。これら経営計画の策定と運用に当たっては、経営者と近い視点・視座で経営を考えることができる経営人材の存在も大切な要素といえる。さらに、長期的な視野で投資や人材確保に向けた戦略を検討
し、不断に見直していくことも重要だ。実際に、長期を見据えた経営計画を策定している事業者ほど、業績が向上している傾向にあることも確認されている。経営計画を策定していない理由として「時間的余裕がないため」、「必要性を感じないため」という回答割合が高かったが、経営計画により期待される効果を見ると、時間を掛けてでも策定・運用に取り組む価値があるといえよう。
事例2-1-1では、長期の経営計画から逆算してマイルストーンを設定し、長期目線で人材戦略・事業展開に取り組んでいる企業の事例を紹介する。
事例
2-1-1
長期目線の経営計画を基にした人材戦略と事業展開に取り組む企業
所在地 大阪府岸和田市
従業員数 309名
資本金 9,000万円
事業内容 窯業・土石製品製造業
松浪硝子工業株式会社
▶ 売上拡大期に直面した経営課題と組織環境・人材育成における問題点
大阪府岸和田市の松浪硝子工業株式会社は、創業180年の医療用ガラス製品を製造する企業である。同社が生産する顕微鏡用ガラスは、国内シェアの約7割を占め、売上高の約8割を担う主力商品であるが、物価高騰や円安基調による原材料費、電力費などの上昇により利益率が低下している。一方、残りの売上高を占めている電子機器用ガラス事業は中国メーカーを中心とした海外製品との価格競争に陥りやすく、足下の売上目標達成を重視し、人員配置や設備投資を続けたことで、6年連続で赤字事業となっていた。また、先代社長は37年間にわたり辣腕を振るい、売上高を30億円から70億円へと成長させたが、トップダウン型の業務に慣れ、自ら考えて行動する人材が育ちにくい組織環境となっていた。同社では、更なる成長に向けて、電子機器用ガラス事業の付加価値を高めて第二の収益の柱に育てることに加え、次世代の経営を担える人材の確保・育成が課題となっていた。
▶ 9年先の未来像から逆算してマイルストーンを設定する
2023年に創業家以外から初めて社長に就任した安原弘泰社長は、従来の3か年計画から変更し、より長期的な成長を見据えた9か年計画を策定。長期目線で設定した目標から逆算して設定されるマイルストーンを重視した。例えば、電子機器用ガラス事業については、2032年の目標を2023年実績から大きく伸ばさせながらも、2029年まではあえて2023年実績を下回る売上目標値とした。従来の足下の売上目標達成を至上命題とする方針から転換し、長期的な視点で採算改善や人材の採用・育成に取り組むことにした。具体的には、同事業における不採算製品から撤退して時間の掛かる新技術開発や産学連携に取り組むことに加え、一朝一夕には確保が困難な技術開発人材や、海外法務、薬事を担当する人材の採用・育成をマイルストーンとして設定。トップダウンによる閉塞感を拭うべく、9か年計画の策定を部門単位に任せることに加え、運用面では会議でプレゼン・意見を述べさせるなど社員を関らせることで当事者意識の醸成を促し、モチベーション向上と社内コミュニケーションの活性化につなげている。
▶ 不採算事業の黒字転換を達成、将来への種まきも着実に実施
計画初年の2024年には、早速電子機器用ガラス事業が黒字に転換。加えて、部門間・部門内のコミュニケーションが活発になってきた。将来に向けた専門人材の採用には初めこそ既存社員から抵抗感が見られたが、すぐに不可欠なメンバーとしてなじんだ。9か年計画の達成を担う現在の中堅・若手社員は当事者意識を持ち、積極的な発言、未来志向の意見も目に見えて増えている。「来期はやる気のある若手を昇進させ成長を促す。常に長期的な視点を持ち、マイルストーンとのギャップを埋めながら適切な施策を打つことが大事だ」と安原社長は語る。
安原弘泰社長
本社外観
同社製品のスライドガラス
コラム
2-1-1
地域経済分析システム(RESAS)を活用した自社の経営環境分析
1. 地域経済分析システム(RESAS)の概要
中小企業・小規模事業者は、雇用や技術力といった地域経済の担い手として我が国の経済・社会において重要な役割を果たしている。将来にわたり、中小企業・小規模事業者の経営者が安定的な経営を行っていくためには、経営に関する判断や評価を適切に行う必要がある。そのためには、自社の内部環境を把握するだけでなく、外部環境も把握することが重要である。
経済産業省と内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局では、地域経済に関連する様々なビッグデータを「見える化」するシステムとして、平成27年度より地域経済分析システム(以下、「RESAS」という。)を提供しており、ID登録等の手続きが不要で、誰でも無料で使える形で一般公開している。現在、デジタル田園都市国家構想総合戦略(令和4年12月23日閣議決定)に基づき、多様なユーザーがデータを容易に利活用できる環境を実現するため、地方自治体のほか、中小企業・小規模事業者等のニーズを取材しつつ、分析メニューの充実や高度化を進めている。
2. 経営環境分析シートの概要
RESASでは、経営者が自社業界の規模や動向といった外部環境をわずか4クリックで把握でき、経営戦略の検討材料として活用することができる「経営環境分析メニュー(以下、「本メニュー」という。)」を提供している。
本メニュー( https://www.resas.go.jp/industry-business-environment-analysis )では、操作画面(コラム2-1-1①図)上で自社の業種を選択することで、当該業種の付加価値額の規模と動向を把握することができる。データ活用が苦手な経営者でも活用できるように情報が整理されているため、自社の外部環境の分析や経営戦略の検討を実施するためのツールとして、活用できる。
本メニューの強みは、簡単な操作で数値を確認できるほか、自社にとっての優先的な取組を政府統計のデータと併せて確認できることである。一般的に、業界が拡大傾向であれば製品やサービスが消費されやすい状態で、縮小傾向であれば製品やサービスが消費されにくい状態である。また、自社の状況は、黒字傾向であれば製品やサービスに競争力がある状態で、赤字傾向であれば製品やサービスに競争力がない状態である。経営環境分析シートでは、こうした業界や自社の状況が簡単に把握できる。
中小企業・小規模事業者の経営者が自社の経営戦略を考える際に、本メニューを用いて、自社のポジションを定量的に把握し、それに応じた事業内容や経営戦略を構築していくことで、経営力を向上させることが期待される。
コラム 2-1-1 ①図 経営環境分析メニューの操作画面
経営環境分析メニューの操作画面
検索条件
自社の業種を指定する
e-Stat
政府統計の総合窓口
業種はこちらから検索
外部サイトに遷移します
注意事項
・自社の業種に当てはまっているかは、事例より確認してください。
・自社の業種がうまく探し出せない場合は、検索する単語を変えて調べてください。
経済センサス 大分類
G 情報通信業
経済センサス 中分類
39 情報サービス業
経済センサス 分類コード
391 ソフトウェア業
自社の経営状況を指定する
2021年以降の傾向
黒字傾向
赤字傾向
経営環境分析シート
1 自社の業種
(経済センサス産業分類)
(大) 情報通信業
(中) 情報サービス業
(分類コード) ソフトウェア業
2 自社の経営状況
黒字傾向
✓ 自社業界の規模
経済センサス活動調査
全国
付加価値額(百万円)
2021年
9,412,514
経済センサス-活動調査は、5年に1度実施される個人経営含む全ての企業(一部除く)を対象とする調査です(実数値)。
✓ 自社業界の動向
経済構造実態調査
全国
付加価値額(百万円)
2022年 9,587,872
2023年 9,877,509
付加価値額 前年比
2022年→2023年
+3.0%
経済構造実態調査は、経済センサス-活動調査の実施中間年における経済構造統計を作成することを目的とした調査で、本シート(※)では個人経営を除く法人企業を対象として表示しています(推計値)。 ※産業横断調査の二次集計結果を活用
信号に応じた優先的な取り組み
青信号
自社業界 拡大傾向
自社 黒字傾向
業界は拡大傾向、自社事業は黒字傾向のため、供給を増やす取組、単価を上げる取組の優先度が高いのではないのでしょうか。
黄信号
自社業界 拡大傾向
自社 赤字傾向
業界は拡大傾向、自社事業は赤字傾向のため、赤字の原因を確認する取組(本業で稼げていないのか、無駄な支出が多いのか)の優先度が高いのではないのでしょうか。
点滅信号
自社業界 縮小傾向
自社 黒字傾向
業界は縮小傾向、自社事業は黒字傾向のため、自社の強みを更に強く取組、増加傾向の新たな業界を開拓する取組の優先度が高いのではないのでしょうか。
赤信号
自社業界 縮小傾向
自社 赤字傾向
業界は縮小傾向、自社事業は赤字傾向のため、社内で行き届くことができる費用を下げる取組(固定費、変動費の削減)の優先度が高いのではないのでしょうか。
地域経済分析システム RESAS
資料:経済産業省・内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局「地域経済分析システムRESAS(経営環境分析)」
第2節 経営の透明性・開放性
前節では、経営戦略・計画について分析した。先行研究 7 では、経営計画の策定プロセスにおいて従業員に経営理念・ビジョンを共有することや経営計画の内容や進捗を全社に周知徹底することが重要だと指摘している。また、別の先行研究 8 では、経営を身近に感じることが従業員にとって中小企業で働く魅力であるとも指摘されており、その点においても従業員への情報開示が重要だ。さらに、自社の業績や製品・商品・サービスの原
価把握など経営状態を可視化できる管理体制も経営戦略・計画を実現するために求められる。また、これらの取組を進めるに当たっては、支援機関などのサポートも重要な要素となっている可能性がある。そこで、本白書では、従業員に対する情報開示や業務の脱属人化、経営状態を可視化できる経営管理を「透明性」、社外への情報開示や相談の取組を「開放性」と定義し、各取組について分析を行っていく。
1. 組織運営
本項では、組織運営の透明性として、従業員に対する情報開示、業務の脱属人化の取組について、取組状況と取組効果を分析していく。
①組織運営における透明性の状況
第2-1-18図は、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録
など経営情報の共有」、「業務の属人化・ブラックボックス化の防止」への取組状況を見たものである。これを見ると、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」には約7割が取り組んでおり、他の2項目については、5~6割の事業者が取り組んでいることが分かる。
第2-1-18図 組織運営の透明化への取組状況
| 取組項目 | 取り組んでいる (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| 従業員への経営理念・ビジョンの共有 (n=24,588) | 70.2% | 29.8% |
| 従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有 (n=24,588) | 57.0% | 43.0% |
| 業務の属人化・ブラックボックス化の防止 (n=24,588) | 51.5% | 48.5% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)各取組について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
7 伊藤(2002)
8 日本政策金融公庫総合研究所(2015)
第2-1-19図は、従業員規模別に「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「業務の属人化・ブラックボックス化の防止」への取組状況を見たものである。従業員規模が大きな事業者ほど組織運営の透明化に取り組んでいることが分かる。従業員
数が増えるほど、経営者自らが従業員に経営理念を理解・浸透させることが難しくなることへの対応や脱属人化による効率化、ノウハウの喪失及び業務停滞等のリスク防止のために透明性を高める取組を行っている可能性がある。
第2-1-19図 組織運営の透明化への取組状況(従業員規模別)
(1)従業員への経営理念・ビジョンの共有
| 従業員規模 | 取り組んでいる (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| 100名超 (n=2,169) | 89.5% | 10.5% |
| 50名超100名以下 (n=2,866) | 83.7% | 16.3% |
| 30名超50名以下 (n=3,145) | 79.5% | 20.5% |
| 30名以下 (n=16,408) | 63.5% | 36.5% |
(2)業務の属人化・ブラックボックス化の防止
| 従業員規模 | 取り組んでいる (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| 100名超 (n=2,169) | 64.5% | 35.5% |
| 50名超100名以下 (n=2,866) | 62.6% | 37.4% |
| 30名超50名以下 (n=3,145) | 60.6% | 39.4% |
| 30名以下 (n=16,408) | 46.0% | 54.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.各取組について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
2.ここでの従業員数は、2024年に常時雇用する正社員、パート・アルバイトの人数について聞いたもの。
②透明性の高い組織運営の効果
第2-1-20図は、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」への取組状況別に人材の定着率を見たものである。
本章では、定着率の分析軸を「7割以上」、「3割以上7割未満」、「3割未満」としている 9 。いずれの取組についても「取り組んでいる」事業者
では、定着率「7割以上」と回答した割合が比較的高いことが分かる。また、「取り組んでいない」事業者では定着率「3割未満」の割合が比較的高い。前述の先行研究 10 のように、透明性を高めることで経営を身近に感じられること等を理由として従業員のモチベーションが高まったことが、定着率にも寄与している可能性がある。
第2-1-20図 従業員の定着状況(組織運営の透明化への取組状況別)
(1) 従業員への経営理念・ビジョンの共有への取組状況
| 取組状況 | 7割以上 | 3割以上7割未満 | 3割未満 |
|---|---|---|---|
| 取り組んでいる (n=14,390) | 52.6% | 34.2% | 13.2% |
| 取り組んでいない (n=4,379) | 48.5% | 32.7% | 18.8% |
(2) 従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有への取組状況
| 取組状況 | 7割以上 | 3割以上7割未満 | 3割未満 |
|---|---|---|---|
| 取り組んでいる (n=11,698) | 52.9% | 33.6% | 13.4% |
| 取り組んでいない (n=7,071) | 49.6% | 34.2% | 16.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 1.各取組について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
2.従業員の定着状況は、直近3年間で従業員を「採用した」と回答した事業者に対し、直近3年間で採用した従業員の定着割合を聞いたもの。ここでの、直近3年間で採用した従業員の定着割合における「3割以上7割未満」は、「3割以上5割未満」、「5割以上7割未満」と回答した事業者の合計。
9 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」(2024年10月25日)では、就職後3年以内の離職率について、事業所規模5人未満では新規高卒就職者62.5%・新規大卒就職者59.1%、事業所規模5~29人では新規高卒就職者54.4%・新規大卒就職者52.7%、事業所規模30~99人では新規高卒就職者45.3%・新規大卒就職者42.4%と発表している。
10 日本政策金融公庫総合研究所(2015)
第2-1-21図は、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」への取組状況別に売上高の変化率(中央値)を確認したものである。これを見ると、「取り組んでいる」事業者は「取り組んでいない」事業者と比べ、売上高の変化率が高いことが分かる。
る。この調査結果から一概にはいえないが、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」により従業員のモチベーションが高まり、売上高の増加につながっている可能性がある。
第2-1-21図 売上高の変化率(従業員への経営理念・ビジョンの共有への取組状況別、中央値)
A horizontal bar chart comparing the median sales growth rate between two groups of companies. The y-axis lists the groups: '取り組んでいる (n=13,358)' and '取り組んでいない (n=4,215)'. The x-axis represents the sales growth rate in percentage, ranging from 0 to 10. The bars show values of 8.1% for the '取り組んでいる' group and 2.4% for the '取り組んでいない' group.
| 取組状況 | 売上高の変化率 (%) |
|---|---|
| 取り組んでいる (n=13,358) | 8.1 |
| 取り組んでいない (n=4,215) | 2.4 |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.「従業員への経営理念・ビジョンの共有」について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
2.売上高の変化率は、2023年と2018年を比較して算出したもの。
第2-1-22図は、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」、「業務の属人化・ブラックボックス化の防止」への取組状況別に付加価値額の変化率(中央値)を確認したものである。いずれの取組についても、「取り組んでいる」事業者は「取り組んでいない」事業者に比べて付加価値
額の変化率が高いことが分かる。経営理念や経営情報の共有は従業員の主体性を高め、改善・効率化等の行動を促すことで付加価値額の向上につながっている可能性がある。また、業務の属人化から脱却することで、ボトルネック工程の削減や業務の標準化による効率アップにつながっているとも考えられる。
第2-1-22図 付加価値額の変化率(組織運営の透明化への取組状況別、中央値)
(1)従業員への経営理念・ビジョンの共有への取組状況
| 取組状況 | 付加価値額の変化率 (%) |
|---|---|
| 取り組んでいる (n=12,117) | 10.7 |
| 取り組んでいない (n=3,845) | 3.7 |
(2)従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有への取組状況
| 取組状況 | 付加価値額の変化率 (%) |
|---|---|
| 取り組んでいる (n=10,275) | 10.5 |
| 取り組んでいない (n=5,687) | 6.3 |
(3)業務の属人化・ブラックボックス化の防止への取組状況
| 取組状況 | 付加価値額の変化率 (%) |
|---|---|
| 取り組んでいる (n=9,032) | 11.4 |
| 取り組んでいない (n=6,930) | 5.9 |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.各取組について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
2.付加価値額の変化率は、2023年と2018年を比較して算出したもの。
3.付加価値額=営業利益+人件費+賃借料+租税公課。
③まとめ
本項では、組織運営の透明化に向けた取組と効果を確認してきた。従業員への経営理念・ビジョンや業績・財務内容等の共有は、従業員の主体性の醸成につながり、業績の向上や人材の定着に資する可能性が示唆されている。また、業務の属人化から脱却することで、ボトルネック工程の削減や業務標準化による効率化も期待される。さら
に、業務を属人化した従業員の退職等によるノウハウの喪失、業務停滞等のリスク防止にもつながることが期待でき、重要な取組といえよう。
事例2-1-2は、従業員を主役としたミッション・ビジョン・バリューの策定や従業員の主体性を醸成する人事評価制度の導入を通じて、成長を実現している企業の事例を紹介する。
事例
2-1-2
MVV策定や人事制度改革などを通じ、
組織活性化を実現した企業
所在地 愛知県大治町
従業員数 43名
資本金 4,900万円
事業内容 金属製品製造業
側島製罐株式会社
▶ 家業の製缶会社に入社。経営理念がなく、まとまりのない組織に問題意識を抱く
側島製罐株式会社は、1906年創業の製缶会社である。菓子などの食品で使用される容器を主力とし、ブリキ缶やスチール缶を小ロット・短納期で製造する強みを持つ。石川貴也代表は2020年に金融機関を退職し、家業に入社したときから実質的に経営者となった。同社は2000年以降減収が続、石川代表が入社した2020年12月期には過去最低の売上高で、直前3期は赤字に陥っており企業存続も危ぶまれる状態にあった。石川代表が入社してまず驚いたのは、社員間の雰囲気が悪く、組織として機能していなかったこと。さらに、変革に取り組もうにも、よりどころとなる経営理念がないことに強い問題意識を抱いたという。
▶ 仕事・自社の意義を社員自らが策定、経営への当事者意識は人事制度の活用で更に強まっている
組織改革の原点とすべく、全社員を巻き込んで、自身が働く意味、同社の存在意義・価値を定義する「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」策定に着手。社員の想いと策定過程にこそMVVの価値があると考え、石川代表自身の役割は取りまとめと言語化にとどめ、策定のオーナーシップは社員に任せる形とし、約1年を掛けて作り上げた。「このMVVは自分たちの心の中から生まれたものだ」という認識が社員には強くあって、みんなで大事にしようという機運はすごく高まった」と石川代表は語る。その後、石川代表は人事制度立案に着手するも、内発的なMVVに基づく仕事を他律的に評価することに矛盾を感じ、全員が経営を自分事と捉える自律型組織の構築に取り組んだ。組織づくりにおいては、社長を含む役職、評価などは全て撤廃したほか、各自がやるべきミッションを自ら考え、報酬を宣言・決定する自己申告報酬制度も導入している。ミッションの決定・達成にはサポートチームが手助けする仕組みも作り、社員のモチベーション向上だけでなく、社内の結束も強まっている。社長の顔色をうかがう組織から、自分の心に問い立てて、MVVを羅針盤として自ら考えて行動する自律型組織に生まれ変わった。
▶ 社内の雰囲気・エンゲージメントに好影響を与え、業績はV字回復
成果は早速業績に表れた。MVVの策定過程から効果は徐々に表れており、売上高は2020年12月期を底に20年ぶりに増収に転じ、その後は3年連続増収を達成。生まれ変わった組織では、缶の魅力高めるような自社商品、低CO2鋼材を利用した超エコ缶など続々とアイデアが生まれている。既存の経営資源を活用しつつ、事業承継を機に変革に挑戦する「アトツギベンチャー」が実現されているといえよう。新たな仕組みになじめず同社を去る人材もいたが、能動的な人材が集まるようになった。2024年入社のcan推進課・伊東絵美氏は同社が3社目。「報酬の自己申告は初めてだが、いろいろと自分で提案してやってみたい性格なので、フラットな組織・人間関係は合っている」と話す。入社2年弱のcan製造課・中島拓海氏は「職場の課題を自分で見つけ、話し合って解決していくのは有意義。報酬制度もワクワク感がある」と語った。入社30年のベテランである物流管理課・安井幸男氏は「社員が自分で考えるようになった。自分も報酬に見合った行動や思考を出すように努力している」と変革の効果を実感する。「他人軸より自分軸で生き方が豊かな人生を歩める。人生を預けてくれる社員には豊かな人生を送ってほしいと考えている。今までの慣習にとらわれず、中小企業だからこそできる新しい時代の組織づくり・『ベンチャー型事業承継』にアトツギとして挑戦していきたい」と石川代表は語る。
石川貴也代表
缶の魅力高める同社製品
MVV策定の様子
2. 経営管理
本項では、経営管理の透明化への取組として、自社の業績状況や製品・商品・サービスの原価把握など経営状態を可視化できる管理への取組状況と効果について分析する。
①経営管理における透明性の状況
第2-1-23図は、「製品・商品・サービスの原価構成・利益の把握」、「業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理」への取組状況を見たものである。いずれも高い割合で取り組まれていることが分かる。
第2-1-23図 経営管理の透明化への取組状況
| 取組状況 | 取り組んでいる | 取り組んでいない |
|---|---|---|
| 製品・商品・サービスの原価構成・利益の把握 (n=24,588) | 85.2% | 14.8% |
| 業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理 (n=24,588) | 76.7% | 23.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)各取組について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
第2-1-24図は、財務諸表分析・管理会計などを通じた財務戦略として取り組んでいることを見たものである。「財務内容の健全化」、「資金繰りの安定化」、「赤字に陥らない経営」と回答する割合が高いことが分かる。
第2-1-24図 財務諸表分析・管理会計などを通じた財務戦略
(n=24,172)
| 財務内容の健全化 | 45.3% |
| 資金繰りの安定化 | 43.7% |
| 赤字に陥らない経営 | 36.9% |
| 利益率重視の経営 | 34.5% |
| 部門・製品別のコスト管理 | 27.4% |
| 仕入・生産量の適正化 | 22.2% |
| 成長率の維持・向上 | 20.3% |
| その他 | 1.5% |
| 財務諸表分析・管理会計は行っていない | 7.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
②透明性の高い経営管理の効果
第2-1-25図は、「製品・商品・サービスの原価構成・利益の把握」への取組状況別に価格転嫁の状況を見たものである。「取り組んでいる」事業者
は「取り組んでいない」業者に比べて、価格転嫁が進んでいることが分かる。原価をベースとした適切な値付け、原価をエビデンスとした価格交渉等により価格転嫁が進んでいる可能性がある。
第2-1-25図 価格転嫁の状況(製品・商品・サービスの原価構成・利益の把握への取組状況別)
| 取組状況 | 75%以上 | 50%以上~75%未満 | 25%以上~50%未満 | 0%超~25%未満 | 価格転嫁できなかった |
|---|---|---|---|---|---|
| 取り組んでいる (n=18,400) | 13.5% | 11.4% | 12.7% | 45.9% | 16.5% |
| 取り組んでいない (n=2,888) | 8.0% | 7.5% | 10.7% | 45.0% | 28.8% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. 製品・商品・サービスの原価構成・利益の把握について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
2. ここでの価格転嫁の状況とは、過去1年間における製品・商品・サービスの生産や製造、あるいは提供等にかかる費用全体の変動分について、どの程度、販売価格に転嫁できたか聞いたもの。価格転嫁の状況について、「転嫁不要」、「分からない」と回答した事業者を除く。
第2-1-26図は、「業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理」への取組状況別に経常利益の変化率(中央値)を見たものである。「取り組んでいる」事業者は「取り組んでいない」
事業者に比べて、高い水準であることが分かる。適切な業績・キャッシュフローの管理により、資金調達方法等を含むコストマネジメントに取り組み、収益性を高めている可能性がある。
第2-1-26図 経常利益の変化率(業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理への取組状況別、中央値)
| 取組状況 | 中央値 (%) | サンプル数 (n) |
|---|---|---|
| 取り組んでいる | 35.1 | 11,062 |
| 取り組んでいない | 28.9 | 1,916 |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
2.経常利益の変化率は、2023年と2018年を比較して算出したもの。
③まとめ
本項では、経営管理の透明化への取組と効果について確認した。多くの事業者で、財務・キャッシュフローや損益の把握・マネジメントに取り組んでいることが分かる。効果を見ると、製品・商品・サービスの原価構成・利益の把握を通じた適切なコスト把握により価格転嫁につなげられている可能性が確認された。また、業績やキャッシュ
フローを適時・適切に確認できる管理に基づいたコストマネジメントを通じて、収益性向上につなげられる可能性も見て取れた。
事例2-1-3では、製造原価のリアルタイム把握など経営状態を可視化できる管理体制を構築することで成長している企業の事例を紹介する。
事例
2-1-3
経営状態を可視化できる管理体制を構築し、成長している企業
所在地 千葉県千葉市
従業員数 323名
資本金 9,000万円
事業内容 食料品製造業
株式会社食研
▶ 持続的に成長し続ける企業へ。経営管理の透明性向上が課題となる
千葉県千葉市の株式会社食研は、カツ類を主力とする食肉加工製品・冷凍食品のメーカーである。2010年の新工場竣工による生産能力拡大や新型コロナウイルス感染症の感染拡大下における冷凍食品需要の急増等を要因に、2023年度の売上高は2010年度比約2.5倍に成長している。同社の新井裕社長は、2021年に大手食品メーカーから転職して入社。生産部門を管掌すると、売上高は好調に伸びている一方、大雑把な経営管理や作業の属人化が常态化している状況に問題意識を抱いたという。取引先や従業員などステークホルダーが増加する状況下、2023年に就任した新井社長は、同社の「非上場の中小企業」という意識を払拭し、持続的に成長し続けられる企業になるべく、変革に取り組んできた。
▶ 製造原価を詳細かつリアルタイムに把握できる体制を構築
新井社長の入社当時、同社では売上高と営業利益を注視した財務会計による月次管理を行っていたものの、製造原価の把握が不十分だった。新井社長は前職での経験から、日々の製造原価に裏付けられた管理会計の徹底による生産性改善が必要であると考え、改善に着手。同社では、既に生産に関するデータを管理するためのシステムが導入されていたが、活用は全く進んでいなかったため、このシステムの有効活用に着目した。同システムの本格活用に当たっては、IT人材の育成、管理会計の教育、工場業務の標準化による適切な労務費の把握が必要となった。まずIT人材の育成については、外部のコンサルタントを招き、若手主体でIT人材育成プロジェクトを設立。外部に一任するのではなく、持続的な運用のために社内人材が必要との考えからだった。管理会計の教育では、新井社長が自ら講師となり、千葉市と豊橋市の工場で従業員向けの勉強会を開催。週1回、半年を掛けて丁寧に教育を行い、限界利益や損益分岐点売上高等を重視する管理会計へと切替えを進めた。また、業務の標準化では、独自マニュアルを策定。“自分流”を徹底して排除し、全業務にルールを付して従業員に遵守させた。これらの取組が奏功し、現在では工場別・工程別・生産ライン別・製品別などの生産データを基にリアルタイムで製造原価を把握できる体制を構築し、この情報をベースに週次で業績検討を行うまでになっている。
▶ 透明性の向上は、業績だけでなく従業員のモチベーション向上にも効果が波及
これらの取組は様々な効果を生んだ。リアルタイムでの製造原価の把握により、生産性向上はもちろん、製造原価をベースとした価格交渉も進み、収益性は改善している。また、コスト削減効果を把握できるようになったことで、作業のみだった働き方は「作業+改善」へと変わり、生産性向上のみではなく従業員のモチベーションにも好影響が見られている。これは数値面にも表れており、2024年に実施した従業員エンゲージメント調査の結果は2023年から大幅に改善したという。成長を更に加速させるため、前述のIT人材育成プロジェクトの新たな取組として、管理部門の効率化を目指したRPA活用など、より高度なシステムの導入にも挑戦している。「売上高は七難を隠す」。持続的な成長を実現するためには、将来に向けた成長エンジンである無形資産を構築することが重要だ。優秀な人材を育て、効率的に組織を機能させることが持続的な成長につながる」と新井社長は語る。
新井裕社長
同社の千葉工場
IT人材育成プロジェクトの様子
3. 経営の開放性
本項では、経営の開放性として、社外 11 への情報開示、経営課題の共有・相談の状況と効果を確認する。
①経営の開放性への取組状況
第2-1-27図は、「決算情報の社外開示」、「社外
への経営課題の共有・相談」への取組状況を見たものである。「決算情報の社外開示」には約6割の事業者が取り組んでおり、「社外への経営課題の共有・相談」については約半数の事業者が取り組んでいることが分かる。
第2-1-27図 社外に対する経営の開放性への取組状況
| 項目 | 取り組んでいる (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| 決算情報の社外開示 (n=24,588) | 61.1% | 38.9% |
| 社外への経営課題の共有・相談 (n=24,588) | 48.7% | 51.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 各取組について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
11 ここでの「社外」とは、外部株主、金融機関、支援機関、有償のコンサルタント等を指す。
第2-1-28図は、経営者の年代別に「社外への経営課題の共有・相談」への取組状況を見たものである。これを見ると、若い経営者ほど社外への経営課題の共有・相談に取り組んでいる傾向にあ
り、自身・自社の経験やリソースだけにとどまらず、積極的に外部と連携して経営課題の解決に取り組んでいる様子がうかがえる。
第2-1-28図 社外への経営課題の共有・相談への取組状況(経営者の年代別)
| 年代別 (n) | 取り組んでいる (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| 80歳代以上 (n=587) | 44.0% | 56.0% |
| 70歳代 (n=3,251) | 44.9% | 55.1% |
| 60歳代 (n=6,810) | 48.0% | 52.0% |
| 50歳代 (n=7,883) | 49.9% | 50.1% |
| 40歳代 (n=4,934) | 49.8% | 50.2% |
| 30歳代以下 (n=1,123) | 51.8% | 48.2% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.経営者の年齢について、「30歳代以下」は、「29歳以下」、「30代」と回答した事業者の合計。
2.社外への経営課題の共有・相談について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
②経営の開放性の効果
第2-1-29図は、「社外への経営課題の共有・相談」への取組状況別に経常利益の変化率(中央値)を見たものである。「取り組んでいる」事業者の方が高い水準を示している。この調査結果から
一概にはいえないが、社外に経営課題を共有・相談することで、本業のみならず、例えば資金調達など、幅広い経営課題の解決につなげることができ、収益性向上を実現している可能性がある。
第2-1-29図 経常利益の変化率(社外への経営課題の共有・相談への取組状況別、中央値)
| 取組状況 | 中央値 (%) |
|---|---|
| 取り組んでいる (n=6,527) | 37.7 |
| 取り組んでいない (n=6,451) | 30.5 |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.社外への経営課題の共有・相談について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
2.経常利益の変化率は、2023年と2018年を比較して算出したもの。
③まとめ
本項では経営の開放性として、社外への情報開示、経営課題の共有・相談の状況を確認した。社外への情報開示に当たり、論理的かつ正確に社内の状況を説明する必要があることから、日頃から
経営管理の透明性を高める等の取組につながり、それが収益性の改善に取り組むきっかけになっている可能性がある。また、社外への経営課題の共有・相談により、経営課題の解決につながり、成長が実現できている可能性も見て取れた。
第3節 ガバナンス体制
ここまで、経営戦略・計画の策定や経営の透明性・開放性の向上への取組が業績に好影響を及ぼす可能性、経営の透明性・開放性の向上への取組は人材定着にも効果がある可能性を確認した。本
節では、経営者の属性と株主構成により企業を類型化し、取締役会や社外取締役といった透明性を担保するガバナンス体制構築の取組、透明性向上への取組について確認する。
1. 企業類型
本節では、アンケート調査に回答があった企業 12 について、経営者の属性と株主構成から、第2-1-30図の基準に従い、「同族企業」、「パブリック企業」、「所有と経営の分離企業」の3類型に分
けて分析を行っていく。第2-1-31図を見ると、本調査の対象は、「同族企業」79.0%、「パブリック企業」14.3%、「所有と経営の分離企業」6.7%という構成割合になっている。
第2-1-30図 企業類型図
| 経営者 | |||
|---|---|---|---|
| 同族 | 非同族 | ||
| 株式保有比率 | 同族グループ50%超 | 同族企業 | 所有と経営の分離企業 |
| 同族グループ50%以下 | パブリック企業 | ||
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. 経営者における「同族」は、経営者が企業の筆頭株主本人又はその親族(6親等内の血族、若しくは3親等内の姻族)であることを指す。
2. 株式保有比率における「同族グループ」は、親族(企業の筆頭株主から見て6親等内の血族、若しくは3親等内の姻族)又は企業の筆頭株主の親族が50%超の議決権を保有している他の会社のことを指す。
3. 株式保有比率の算出においては、自己株式を除いて計算している。
4. 「株主は存在しない」と回答した事業者は除く。
第2-1-31図 企業類型の構成割合
(n=19,440)
| 企業類型 | 構成割合 |
|---|---|
| 同族企業 | 79.0% |
| パブリック企業 | 14.3% |
| 所有と経営の分離企業 | 6.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
12 アンケートの詳細については、第2部第1章冒頭を参照。
第2-1-32図は、売上高規模別に企業類型の構成割合を見たものである。売上高規模が大きくなるほど「同族企業」の割合が低下し、「パブリック企業」の割合が高まっていることが見て取れる。
第2-1-32図 企業類型の構成割合(売上高規模別)
| 売上高規模 | 同族企業 | パブリック企業 | 所有と経営の分離企業 |
|---|---|---|---|
| 100億円以上 (n=521) | 61.4% | 29.2% | 9.4% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=855) | 68.3% | 23.4% | 8.3% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,562) | 74.9% | 16.7% | 8.4% |
| 10億円未満 (n=12,488) | 82.4% | 11.9% | 5.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
- (注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
- 2.ここでの売上高は、直近(1期前)の売上高に基づいて集計している。「事業を開始していない」と回答した事業者は除く。
2. 企業類型別のガバナンス体制、経営の透明性等への取組
①ガバナンス体制構築等の取組
企業類型別にガバナンス体制を確認する。第2-1-33図は、企業類型別に(1)取締役会の設置状況、(2)社外取締役の登用状況を確認したものである。「同族企業」は他の類型に比べていずれについても取組割合が低いことが分かる。
第2-1-33図 ガバナンス体制構築への取組状況(企業類型別)
(1)取締役会の設置状況
| 企業類型 (n) | 取締役会設置 (%) | 取締役会非設置 (%) |
|---|---|---|
| 同族企業 (n=15,367) | 66.6% | 33.4% |
| パブリック企業 (n=2,774) | 78.7% | 21.3% |
| 所有と経営の分離企業 (n=1,299) | 79.4% | 20.6% |
(2)社外取締役の登用状況
| 企業類型 (n) | 社外取締役登用 (%) | 社外取締役非登用 (%) |
|---|---|---|
| 同族企業 (n=15,367) | 9.9% | 90.1% |
| パブリック企業 (n=2,774) | 27.1% | 72.9% |
| 所有と経営の分離企業 (n=1,299) | 26.4% | 73.6% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.ここでの「社外取締役」とは、次の①~③の全てに該当する人物。①経営者又は筆頭株主の親族でない②現在及び過去に自社や自社の親・子会社の役員や従業員でない③経営陣に対して、監督機能や企業戦略の方向性を示す等の役割を発揮している。
第2-1-34図は、ガバナンス体制別に経営の透明性への取組について見たものである。これを見ると、各ガバナンス体制を構築している企業は、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」に「取り組んでいる」割合も高いことが分かる。ガバナンス体制の構築により経営の透明性の必要性が高まり、透明性向上の取組が促進されていると考えられる。
第2-1-34図 経営の透明性への取組状況(ガバナンス体制別)
(1)従業員への経営理念・ビジョンの共有
| ガバナンス体制 | 取り組んでいる (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| 取締役会設置 (n=14,456) | 77.8% | 22.2% |
| 取締役会非設置 (n=6,952) | 67.6% | 32.4% |
| 社外取締役登用 (n=2,903) | 80.8% | 19.2% |
| 社外取締役非登用 (n=18,505) | 73.5% | 26.5% |
(2)従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有
| ガバナンス体制 | 取り組んでいる (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| 取締役会設置 (n=14,456) | 65.1% | 34.9% |
| 取締役会非設置 (n=6,952) | 53.7% | 46.3% |
| 社外取締役登用 (n=2,903) | 72.4% | 27.6% |
| 社外取締役非登用 (n=18,505) | 59.7% | 40.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.ここでの「社外取締役」とは、次の①~③の全てに該当する人物。①経営者又は筆頭株主の親族でない②現在及び過去に自社や自社の親・子会社の役員や従業員でない③経営陣に対して、監督機能や企業戦略の方向性を示す等の役割を発揮している。
3.各取組について、「取り組んでいる」は、「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
第2-1-35図は、企業類型のうち「同族企業」における、財務戦略の取組について、取締役会と社外取締役の有無による差異を見たものである。これを見ると、取締役会や社外取締役による内外の目を取り入れている企業では「財務内容の健全化」、「部門・製品別のコスト管理」など、成長やリスク管理のために重要な戦略に取り組んでいる
割合が高いことが分かる。特に、取締役会設置の有無で取組に大きな差異が見られる。また、社外取締役を登用することで、若干ではあるが、更に取組を進めている様子も見て取れる。この調査結果から一概にはいえないが、成長やリスク管理において取締役会や社外取締役といったガバナンス体制が寄与していることが考えられる。
第2-1-35図 同族企業の財務戦略(取締役会・社外取締役の有無別)
| 財務戦略 | 取締役会設置×社外取締役登用 (n=1,305) | 取締役会設置×社外取締役非登用 (n=8,805) | 取締役会非設置×社外取締役非登用 (n=4,834) |
|---|---|---|---|
| 財務内容の健全化 | 54.6% | 53.9% | 43.7% |
| 資金繰りの安定化 | 50.2% | 49.1% | 43.9% |
| 利益率重視の経営 | 39.8% | 40.3% | 33.6% |
| 部門・製品別のコスト管理 | 38.2% | 32.1% | 23.1% |
| 赤字に陥らない経営 | 35.9% | 38.0% | 36.4% |
| 成長率の維持・向上 | 27.0% | 23.0% | 19.2% |
| 仕入・生産量の適正化 | 25.6% | 23.9% | 21.2% |
| その他 | 0.9% | 1.2% | 1.6% |
| 財務諸表分析・管理会計は行っていない | 2.4% | 3.5% | 6.5% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.ここでの「社外取締役」とは、次の①~③の全てに該当する人物。①経営者又は筆頭株主の親族でない②現在及び過去に自社や自社の親・子会社の役員や従業員でない③経営陣に対して、監督機能や企業戦略の方向性を示す等の役割を発揮している。
3.企業類型「同族企業」に該当する企業について集計したもの。
4.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
②経営の透明性向上等の取組
企業類型別に経営の透明性向上等への取組状況を見ていく。「同族企業」では透明性向上への取組が進んでいない売上高規模の小さな企業が多く存在していると考えられるため 13 、透明性向上への取組が企業類型ではなく売上高規模に影響されてしまう可能性がある。そのため、本分析では、全ての類型において売上高10億円以上の企業を
対象として分析する。なお、ここでの売上高は、直近(1期前)の売上高に基づいたものである。
第2-1-36図は、企業類型別に経営計画の策定状況を見たものである。これを見ると、「同族企業」では、他の類型に比べて「策定している」割合が低く、「策定しておらず、策定する予定もない」と回答した割合が高いことが分かる。
第2-1-36図 経営計画の策定状況(企業類型別)
| 企業類型 | 策定している | 策定していないが、今後策定する予定である | 策定しておらず、策定する予定もない |
|---|---|---|---|
| 同族企業 (n=5,069) | 64.0% | 22.0% | 14.0% |
| パブリック企業 (n=1,283) | 72.6% | 17.3% | 10.1% |
| 所有と経営の分離企業 (n=586) | 76.6% | 15.0% | 8.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.直近(1期前)の売上高について、10億円以上と回答した事業者を対象としている。
13 詳細については、第2-1-32図、第2-2-25図、第2-2-27図を参照。第2-1-32図では、売上高規模が小さな事業者ほど「同族企業」の割合が高いことを確認している。第2-2-25図、第2-2-27図では、売上高規模が小さな事業者ほど経営の透明性向上への取組が進んでいないことを確認している。
第2-1-37図は、企業類型別に組織運営の透明性への取組状況を確認したものである。本分析でも同様に、全ての類型において売上高10億円以上の企業を対象としている。なお、ここでの売上高は、直近(1期前)の売上高に基づいたものである。
「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の
共有」の各取組について、企業類型別に見ると、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」ではあまり差がないものの、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」について、「パブリック企業」と「所有と経営の分離企業」は、「同族企業」に比べて若干ではあるが取組が進んでいることが分かる。
第2-1-37図 組織運営の透明性への取組状況(企業類型別)
(1)従業員への経営理念・ビジョンの共有
| 企業類型 | 取り組んでいる (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| 同族企業 (n=5,069) | 83.0% | 17.0% |
| パブリック企業 (n=1,283) | 84.1% | 15.9% |
| 所有と経営の分離企業 (n=586) | 87.9% | 12.1% |
(2)従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有
| 企業類型 | 取り組んでいる (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| 同族企業 (n=5,069) | 69.5% | 30.5% |
| パブリック企業 (n=1,283) | 75.4% | 24.6% |
| 所有と経営の分離企業 (n=586) | 76.3% | 23.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.直近(1期前)の売上高について、10億円以上と回答した事業者を対象としている。
3.各取組について、「取り組んでいる」は「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」は、「ほとんど取り組んでいない」、「あまり取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
第2-1-38図は、企業類型別に、経営判断の際、意見や反応を重視するステークホルダーを確認したものである。どの類型でも「従業員」への重視度合いに差は見られない。一方、「同族企業」で
は「親族」を、「所有と経営の分離企業」では「株主」を他の類型に比べて重視している傾向が見て取れる。
第2-1-38図 経営判断におけるステークホルダーの重視度合い(企業類型別)
(1)親族
| 企業類型 (n) | 重視する (%) | 重視しない (%) |
|---|---|---|
| 同族企業 (n=13,456) | 63.9% | 36.1% |
| パブリック企業 (n=1,501) | 46.1% | 53.9% |
| 所有と経営の分離企業 (n=649) | 43.8% | 56.2% |
(2)従業員
| 企業類型 (n) | 重視する (%) | 重視しない (%) |
|---|---|---|
| 同族企業 (n=14,682) | 83.3% | 16.7% |
| パブリック企業 (n=2,664) | 83.6% | 16.4% |
| 所有と経営の分離企業 (n=1,246) | 83.3% | 16.7% |
(3)株主
| 企業類型 (n) | 重視する (%) | 重視しない (%) |
|---|---|---|
| 同族企業 (n=12,775) | 64.6% | 35.4% |
| パブリック企業 (n=2,535) | 67.8% | 32.2% |
| 所有と経営の分離企業 (n=1,243) | 77.0% | 23.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者聞いたもの。
2.ここでの「ステークホルダー」とは「利害関係者」と同義である。
3.各ステークホルダーの意見を重視する度合いについて、「重視する」は、「強く重視する」、「ある程度重視する」と回答した事業者の合計。「重視しない」は、「あまり重視しない」、「ほとんど重視しない」と回答した事業者の合計。
4.各ステークホルダーの意見を重視する度合いについて、「関係者はいない」と回答した事業者は除く。
第2-1-39図は、企業類型別に経営方針として重視するものを確認したものである。「同族企業」と「パブリック企業」では傾向に大きな違いが見られない。一方、「所有と経営の分離企業」では、他の2類型に比べて「売上拡大」、「利益拡大」を
重視する割合が若干高いといえる。前述のとおり、「所有と経営の分離企業」では株主を意識した経営を行っており、それが成長重視の経営方針につながっている可能性が考えられる。
第2-1-39図 経営方針として重視するもの(企業類型別)
| 企業類型 | 売上拡大 | 利益拡大 | 現状維持 | その他 |
|---|---|---|---|---|
| 同族企業 (n=15,367) | 24.8% | 56.4% | 14.0% | 4.8% |
| パブリック企業 (n=2,774) | 25.3% | 56.9% | 13.6% | 4.3% |
| 所有と経営の分離企業 (n=1,299) | 27.2% | 59.3% | 9.6% | 3.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.経営方針として重視するものについて、「その他」は、「縮小しつつも存続」、「円滑な廃業・譲渡」、「その他」と回答した事業者の合計。
第2-1-40図は、企業類型別に経営計画の計画期間を確認したものである。特定の株主グループが議決権の過半数を握ることで株主構成が安定している「同族企業」と「所有と経営の分離企業」は「パブリック企業」と比べて、「5年超」を見
据えて経営計画を策定している割合が高いことが分かる。また、「パブリック企業」は、他の2類型に比べて「1年以内」の割合が高く、相対的に短期間にフォーカスして経営を行っている様子がうかがえる。
第2-1-40図 経営計画の計画期間(企業類型別)
| 企業類型 | 1年以内 | 1年超~3年以内 | 3年超~5年以内 | 5年超 |
|---|---|---|---|---|
| 同族企業 (n=7,913) | 14.6% | 36.9% | 34.5% | 14.1% |
| パブリック企業 (n=1,695) | 19.8% | 38.3% | 31.2% | 10.7% |
| 所有と経営の分離企業 (n=860) | 15.7% | 40.0% | 30.9% | 13.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.経営計画を「策定している」と回答した事業者に対して、策定している経営計画は最長で何年先を見据えたものか聞いたもの。なお、「5年超」は、「5年超~10年以内」、「10年超」と回答した事業者の合計。
③まとめ
本項では、企業類型別のガバナンス体制構築、経営の透明性への取組の違いを分析してきた。ガバナンス体制構築の取組では、「同族企業」に比べて「パブリック企業」、「所有と経営の分離企業」の方が進んでいることが見て取れた。ガバナンス体制の構築が成長やリスク管理のために重要な財務戦略へとつながっている可能性も確認され、「同族企業」でもガバナンス体制構築を進めることが課題といえよう。また、経営計画策定や透明性を高める取組についても「同族企業」に比べて、他の2類型の方が積極的に取り組んでいることが分かる。
株主を意識して経営を行う「所有と経営の分離企業」は、他の2類型に比べて成長意欲が高い傾向にあることも確認した。「同族企業」、「所有と経営の分離企業」は安定した株主構成を背景に、長期的な目線で経営を行っている可能性も示唆された。各類型で一長一短の部分があり、それぞれが自社に不足している観点を見定めて対応することが重要といえよう。
事例2-1-4では外部株主の導入を契機に、取締役会の機能強化、社外取締役の登用といったガバナンス体制強化と経営の透明性向上に取り組んでいる企業の事例を紹介する。
事例
2-1-4
ガバナンス体制を強化し経営の透明性向上に
取り組む企業
所在地 神奈川県横浜市
従業員数 250名
資本金 3,000万円
事業内容 その他の卸売業
株式会社グッドウェイ
▶ 創業社長からの事業承継を機に持続的に成長できる組織を目指す
神奈川県横浜市の株式会社グッドウェイは、海外ブランドやオリジナルのベビー・キッズ用品の卸売業及び小売業の企業である。1992年の設立以降、日本の細やかな育児事情にマッチした商品を世界中から選定、日本の育児シーンに提案することで企業規模を拡大。大野浩人社長が就任する2022年までに社員数約300名にまで成長してきた。同社の礎を築いた創業社長から親族ではない大野社長への事業承継に当たり、個人によらず持続的に成長し続けることができる組織づくりが求められた。大野社長は、組織づくりのベースとして経営の透明性を向上すべくガバナンス体制の強化に取り組んだ。
▶ ガバナンス体制の強化に大胆に取り組む。社内情報開示を通じた経営の透明性向上も実現
ガバナンス体制強化の足掛かりとして、東京中小企業投資育成株式会社(以下、「投資育成」という。)を引受人とする第三者割当増資を実施することで外部株主を導入した。体制強化のため投資育成からのアドバイスを受け、社外取締役の登用と取締役会の機能強化に取り組んできた。社外取締役には会計事務所に勤務する財務会計のプロフェッショナル人材を登用し、財務の一層の健全化に着手。取締役会については、それまで月次業績の確認にとどまっていたが、業績の進捗管理、人事面も含めた組織戦略、将来の経営方針まで経営陣全員で議論することにした。さらに、意思決定機関としての機能を高め、合議的に経営判断を下す場に昇華させている。また、このようなガバナンス体制の強化に加えて、社内における経営の透明性向上のためには社員への情報開示が必要と大野社長は考え、DXを加速。従来は各部署が個別にExcelで管理していた販売実績等のデータを一元管理・分析・共有するためのBIツールを独自に開発し、従来は社員がリーチできなかったリアルタイムでの業績数値を、いつでも・誰でも確認できる体制を構築している。このBIツールの活用は上記ガバナンス体制を適切に運用する基盤にもなっており、データに基づいた議論を促している。
▶ ガバナンス体制の強化と透明性向上の取組は業績向上、組織の活性化につながっている
取組の効果は早々に表れた。外部株主・社外取締役による外部からのチェック機能、取締役会の機能強化は良い緊張感を生み、経営陣の規律を高めている。また、外部株主・社外取締役からのアドバイスは新たな視点をもたらす、取締役会での活発な議論で経営判断は確かなものになった。加えて、BIツールの活用は販促だけでなく、業務の見直しにもつながり、部署間で重複していたデータ管理業務などを75%程度削減できているという。これらの取組により業績面では、「円安の逆風下でも、影響はかなり低減できている」と大野社長は効果を実感する。また、社員がいつでも業績数値にアクセスできるようになったことは社員の経営への関心を高めている。現在では、主体的に「こういうことをやりたい」、「ここは改善した方が良い」といった提案を行う社員が格段に増えているという。「当社は経営の透明性向上に取り組んできた→自負はあったが、外部株主・役員の導入、取締役会の機能強化というガバナンス体制強化により透明性は一層高まり、経営に好影響を生んでいる。今後は更に透明性を追求して成長を実現したい」と大野社長は語る。
大野浩人社長
同社店舗
全社員と経営方針を共有
第4節 人材戦略
第1部で確認したような人材不足の状況下、中小企業にとって人材確保が重要な経営課題になっ
ている。本節では、中小企業の人材不足の状況、人材確保のための取組について分析していく。
1. 人材の不足感
第2-1-41図は、2023年と2024年の人材の過不足状況を見たものである。どちらも「不足」の割合が高く、「2024年」は「2023年」に比べ、
「不足」と回答した割合が若干増加している。中小企業の人材の不足感は高止まり局面が継続している様子がうかがえる。
第2-1-41図 人材の過不足状況
| 年 | 過剰 | 適正 | 不足 |
|---|---|---|---|
| 2024年 (n=24,588) | 3.6% | 33.0% | 63.4% |
| 2023年 (n=23,819) | 4.0% | 34.6% | 61.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)人材の過不足状況について、「過剰」は「過剰」、「やや過剰」と回答した事業者の合計。「不足」は「不足」、「やや不足」と回答した事業者の合計。
第2-1-42図は、従業員規模別に2024年の人材の過不足状況を見たものである。従業員規模が大きな事業者ほど人材不足を感じていることが分かる。
かる。特に、従業員数30名超の事業者では、人材の不足感が強くなる傾向にあることが分かる。
| 従業員規模 | 過剰 | 適正 | 不足 |
|---|---|---|---|
| 100名超 (n=2,169) | 3.7% | 16.2% | 80.1% |
| 50名超100名以下 (n=2,866) | 4.7% | 18.9% | 76.4% |
| 30名超50名以下 (n=3,145) | 4.4% | 22.3% | 73.3% |
| 30名以下 (n=16,408) | 3.2% | 39.7% | 57.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.2024年の人材の過不足状況について、「過剰」は「過剰」、「やや過剰」と回答した事業者の合計。「不足」は「不足」、「やや不足」と回答した事業者の合計。
2.ここでの従業員数は、2024年に常時雇用する正社員、パート・アルバイトの人数について聞いたもの。
第2-1-43図は、2024年において人材が「不足」又は「やや不足」と回答した事業者における不足している職種を企業規模別に確認したものである。これを見ると、「中規模企業」、「小規模事
業者」共に、特に製造作業者・販売従業者・サービス職業従業者・運輸従業者・建設作業者といった現場作業に従事している「現業職」が不足していることが分かる。
第2-1-43図 不足している職種(企業規模別)
| 職種 | (1) 中規模企業 (n=9,817) | (2) 小規模事業者 (n=5,578) |
|---|---|---|
| 現業職 | 85.7% | 88.0% |
| 管理職 | 35.4% | 16.3% |
| 事務職 | 25.0% | 17.9% |
| 研究職 | 8.5% | 3.7% |
| その他 | 4.3% | 4.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここでの「現業職」とは、製造作業者・販売従業者・サービス職業従業者・運輸従業者・建設作業者等のことを指す。
2.ここでの「事務職」とは、経理・営業・人事等の部門における従事者のことを指す。
3.2024年の人材の過不足状況について、「不足」、「やや不足」と回答した事業者に聞いたもの。
4.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第2-1-44図は、人材が不足している事業者と不足していない事業者とで、直近3年間で採用した従業員の定着率を比較したものである。人材が「不足していない」事業者では定着率「7割以上」の割合が高いことが分かる。一方、人材が「不足
している」事業者では定着率「3割未満」の割合が高い。人材不足の状況下、人材確保のためには採用した人材の定着率を高める取組が重要といえる。
第2-1-44図 従業員の定着状況(人材の不足状況別)
| 人材の不足状況 | 7割以上 | 3割以上 7割未満 | 3割未満 |
|---|---|---|---|
| 不足していない (n=5,550) | 64.6% | 25.1% | 10.3% |
| 不足している (n=13,219) | 46.2% | 37.5% | 16.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. 2024年の人材の過不足状況について、「不足している」は「不足」、「やや不足」と回答した事業者の合計。「不足していない」は「過剰」、「やや過剰」、「適正」と回答した事業者の合計。
2. 従業員の定着状況は、直近3年間で従業員を「採用した」と回答した事業者に対し、直近3年間で採用した従業員の定着割合を聞いたもの。ここでの、直近3年間で採用した従業員の定着割合における「3割以上 7割未満」は、「3割以上 5割未満」、「5割以上 7割未満」と回答した事業者の合計。
2. 人材確保の取組
本項では、賃金、採用、人材育成、人事評価制度、職場環境の改善の取組に着目し、取組状況と人材確保への効果を分析していく。
①賃金
第2-1-45図は、賃上げの実施状況別に直近3年間で採用した従業員の定着率を見たものである。
これを見ると、賃上げ率が高い事業者ほど定着率「7割以上」の割合が高いことが分かる。また、「賃上げをしていない」事業者では、定着率「3割未満」の割合が高いことが分かり、賃上げが定着率に影響を及ぼしている可能性が高いと考えられる。
第2-1-45図 従業員の定着状況(賃上げの実施状況別)
| 賃上げの実施状況 (n) | 7割以上 | 3割以上 7割未満 | 3割未満 |
|---|---|---|---|
| 10%以上 (n=420) | 56.4% | 28.8% | 14.8% |
| 5%以上~10%未満 (n=2,687) | 53.4% | 33.4% | 13.2% |
| 0%超~5%未満 (n=13,072) | 51.7% | 34.9% | 13.5% |
| 賃上げをしていない (n=2,031) | 48.8% | 30.9% | 20.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 1.従業員の定着状況は、直近3年間で従業員を「採用した」と回答した事業者に対し、直近3年間で採用した従業員の定着割合を聞いたもの。ここでの、直近3年間で採用した従業員の定着割合における「3割以上7割未満」は、「3割以上5割未満」、「5割以上7割未満」と回答した事業者の合計。
2.賃上げの実施状況は、2024年における正社員一人当たりの賃上げ率について聞いたもの。「0%超~5%未満」は「0%超~3%未満」、「3%以上~5%未満」と回答した事業者の合計。「賃上げをしていない」は「据え置き(0%)」、「減少」と回答した事業者の合計。「正社員はいない」と回答した事業者は除く。
第2-1-46図は、2018年と2023年を比較した従業員数の増加状況別に労働分配率の変化率(中央値)を比較したものである。これを見ると、従業員数が「増えていない」事業者は、「増えている」事業者に比べて労働分配率の上昇幅が大きいことが分かる。これは、従業員数が「増えていない」事業者の方が、従業員数が増えていないにもかかわらず、付加価値額に占める人件費の割合が
増加していることを意味しており、人材不足により付加価値額が減少している、又は業績の改善が見られない中で賃上げを実施しているといったことが原因である可能性がある。従業員数を増やせば人件費は増加するが、それに見合った付加価値額の増加も期待できることから、積極的に人材を確保していくことの重要性が示唆される。
第2-1-46図 労働分配率の変化率(従業員数の増加状況別、中央値)
| 従業員数の増加状況 | 労働分配率の変化率(中央値) |
|---|---|
| 増えている (n=4,271) | 0.2 (%) |
| 増えていない (n=9,797) | 1.5 (%) |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.従業員数の増加状況は、2023年と2018年を比較して算出したもの。
2.ここでいう労働分配率とは付加価値額に占める人件費の比率とする。付加価値額=営業利益+人件費+賃借料+租税公課、労働分配率=人件費÷付加価値額で算出している。
3.労働分配率の変化率は、2023年と2018年を比較して算出したもの。
②採用
第2-1-47図は、採用担当者の人件費や求人広告費、採用仲介手数料等の採用コストについて、5年前との変化を確認したものである。「全体」を見ると「増加した」と回答した事業者が約7割を占める。第2-1-42図で従業員規模が大きな事
業者ほど人材不足を感じていることを確認したが、採用コストについても従業員規模が大きな事業者ほどコストの増加を感じている様子が見て取れる。中小企業の人材確保においては採用コスト増加への対応も課題になっているといえよう。
第2-1-47図 5年前と比較した採用コストの変化(従業員規模別)
| 従業員規模 | 増加した | 変わらない | 減少した |
|---|---|---|---|
| 全体 (n=19,780) | 69.4% | 27.6% | 3.0% |
| 100名超 (n=2,110) | 85.6% | 11.4% | 3.0% |
| 50名超100名以下 (n=2,789) | 79.5% | 17.9% | 2.6% |
| 30名超50名以下 (n=3,022) | 76.3% | 21.4% | 2.3% |
| 30名以下 (n=11,859) | 62.4% | 34.4% | 3.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここで「採用コスト」とは、採用担当者の人件費や求人広告費、採用仲介手数料などを指す。
2.採用コストについて、「増加した」は「非常に増加した」、「やや増加した」と回答した事業者の合計。「減少した」は「非常に減少した」、「やや減少した」と回答した事業者の合計。採用コストについて、「分からない」、「採用は実施していない」、「業歴5年未満」と回答した事業者は除く。
3.ここで従業員数は、2024年に常時雇用する正社員、パート・アルバイトの人数について聞いたもの。
第2-1-48図は、採用の主な担当者別、従業員規模別に採用実績の状況を見たものである。ここでは、第2-1-42図で見たように特に人材の不足感が強い従業員数30名超の事業者に焦点を当てて分析している。「全体」について見ると、経営者が自ら採用活動を担っている事業者は「予定人
数を採用」と回答した割合が高いことが分かる。さらに、この傾向は「従業員数100名超」の事業者でも同様であることが見て取れる。経営者自らが採用に関わることで、組織の雰囲気や熱意を直接伝えることができ、採用につながっている可能性がある。
第2-1-48図 採用実績の状況(採用の主な担当者別、従業員規模別)
(1)全体
| 担当者 | 予定人数を採用 | 予定人数には未達 |
|---|---|---|
| 経営者 (n=8,987) | 54.0% | 46.0% |
| 人事専門の部署・担当者 (n=5,388) | 39.6% | 60.4% |
| 他の管理部署・担当者が兼務 (n=3,138) | 40.9% | 59.1% |
(2)従業員数30名超100名以下
| 担当者 | 予定人数を採用 | 予定人数には未達 |
|---|---|---|
| 経営者 (n=1,888) | 43.9% | 56.1% |
| 人事専門の部署・担当者 (n=2,400) | 39.6% | 60.4% |
| 他の管理部署・担当者が兼務 (n=1,396) | 38.0% | 62.0% |
(3)従業員数100名超
| 担当者 | 予定人数を採用 | 予定人数には未達 |
|---|---|---|
| 経営者 (n=226) | 38.9% | 61.1% |
| 人事専門の部署・担当者 (n=1,396) | 31.0% | 69.0% |
| 他の管理部署・担当者が兼務 (n=465) | 27.7% | 72.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.採用活動の主な担当者を聞いたもの。「その他」、「特にやっていない」と回答した事業者は除く。
2.採用実績は、直近3年間で従業員を「採用した」と回答した事業者に聞いたもの。
3.ここでの従業員数は、2024年に常時雇用する正社員、パート・アルバイトの人数について聞いたもの。
第2-1-49図は、イノベーション活動への取組姿勢別、従業員規模別に採用実績の状況を見たものである。ここでも、特に人材の不足感が強い従業員数30名超の事業者に焦点を当てている。「全体」について見ると、イノベーション活動を「主体的に実施している」事業者ほど「予定人数を採用」できている割合が高いことが分かる。さらに、この傾向は「従業員数100名超」の事業者でも同様であることが見て取れる。この調査結果から一概にはいえないが、イノベーション等を通じて魅力ある職場にしていくことが採用目標達成に寄与する可能性が示唆される。
第2-1-49図 採用実績の状況(イノベーション活動への取組姿勢別、従業員規模別)
(1)全体
| 取組姿勢 | 予定人数を採用 | 予定人数には未達 |
|---|---|---|
| 主体的に実施している (n=2,798) | 52.8% | 47.2% |
| 実施していない (n=12,687) | 46.7% | 53.3% |
(2)従業員数30名超100名以下
| 取組姿勢 | 予定人数を採用 | 予定人数には未達 |
|---|---|---|
| 主体的に実施している (n=976) | 48.0% | 52.0% |
| 実施していない (n=3,868) | 38.1% | 61.9% |
(3)従業員数100名超
| 取組姿勢 | 予定人数を採用 | 予定人数には未達 |
|---|---|---|
| 主体的に実施している (n=504) | 36.3% | 63.7% |
| 実施していない (n=1,248) | 28.7% | 71.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.イノベーション活動に対する姿勢・取組状況について、「実施していない」は「必要性を感じているが、実施していない」、「必要性を感じておらず、実施していない」と回答した事業者の合計。「顧客・取引先からの要請に応じて実施している」と回答した事業者は除く。
2.ここでのイノベーション活動は、「プロダクト・イノベーション」又は「ビジネス・プロセス・イノベーション」の実現に向けた取組を指す。
3.採用実績は、直近3年間で従業員を「採用した」と回答した事業者に聞いたもの。
4.ここでの従業員数は、2024年に常時雇用する正社員、パート・アルバイトの人数について聞いたもの。
ここでは、外国人労働者について確認する。第2-1-50図は、総務省「労働力調査(基本集計)」、厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」を用いて、外国人労働者数と就業者数全体に
占める割合の推移を見たものである。これを見ると、外国人労働者数・割合共に増加傾向にあることが分かる。外国人労働者の活用拡大は人材不足緩和の一助になる可能性がある。
第2-1-50図 外国人労働者数と就業者数全体に占める割合の推移
| 年 | 外国人労働者数 (万人) | 就業者数全体に占める割合 (%) |
|---|---|---|
| 2017 | 127.9 | 2.0% |
| 2018 | 146.0 | 2.2% |
| 2019 | 165.9 | 2.5% |
| 2020 | 172.4 | 2.6% |
| 2021 | 172.7 | 2.6% |
| 2022 | 182.3 | 2.7% |
| 2023 | 204.9 | 3.0% |
| 2024 | 230.3 | 3.4% |
資料:総務省「労働力調査(基本集計)」、厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」
(注)就業者数は年平均、外国人労働者数は各年10月末時点の数値。
第2-1-51図は、厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」を用いて、外国人労働者数の推移を在留資格別に見たものである。これを
見ると、全ての在留資格で増加が確認され、特に「専門的・技術的分野の在留資格」の増加が顕著であることが見て取れる。
第2-1-51図 外国人労働者数の推移(在留資格別)
| 年 | 技能実習 | 身分に基づく在留資格 | 専門的・技術的分野の在留資格 | 資格外活動 | 特定活動 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | 25.8 | 45.9 | 23.8 | 29.7 | 2.6 |
| 2018 | 30.8 | 49.6 | 27.7 | 34.4 | 3.6 |
| 2019 | 38.4 | 53.2 | 32.9 | 37.3 | 4.1 |
| 2020 | 40.2 | 54.6 | 36.0 | 37.0 | 4.6 |
| 2021 | 35.2 | 58.0 | 39.5 | 33.5 | 6.6 |
| 2022 | 34.3 | 59.5 | 48.0 | 33.1 | 7.3 |
| 2023 | 41.3 | 61.6 | 59.6 | 35.3 | 7.2 |
| 2024 | 47.1 | 62.9 | 71.9 | 39.8 | 8.6 |
資料:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」
(注)1.外国人労働者数は、各年10月末時点の数値であり、このうち在留資格について「不明」を除いて表示している。
2.ここでいう「特定活動」は、ワーキング・ホリデー、外交官等に雇用される家事使用人等の合計。
3.ここでいう「身分に基づく在留資格」は、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者を含む。
4.ここでいう「専門的・技術的分野の在留資格」は、機械工学等の技術者や語学教師等(技術・人文知識・国際業務)や、企業等の経営者・管理者等(経営・管理)が含まれる。なお、2019年以降は特定技能も含まれる。
人材確保に有効な可能性がある副業人材の活用について確認する。第2-1-52図は、総務省「就業構造基本調査」を用いて「副業がある者の数」及び「追加就業希望者数」の推移を見たものである。
る。「副業がある者の数」、副業を希望している「追加就業希望者数」は共に、10年間で増加していることが分かる。
第2-1-52図 副業がある者の数及び追加就業希望者数の推移
(万人)
| 年 | 副業がある者の数 (万人) | 追加就業希望者数 (万人) |
|---|---|---|
| 2012年 | 213.2 | 339.8 |
| 2017年 | 243.8 | 399.4 |
| 2022年 | 304.0 | 492.8 |
■ 副業がある者の数 ■ 追加就業希望者数
資料:総務省「就業構造基本調査」
(注) 1. 有業者のうち本業の産業が「農業、林業」、「漁業」、「分類不能の産業」以外の者を集計している。
2. ここでの「副業」とは、主な仕事以外に就いている仕事を指す。
3. ここでの「追加就業希望者」とは、現在就いている仕事を続けながら、他の仕事もしたいと思っている者を指す。
第2-1-53図は、副業・兼業人材 14 の活用状況を見たものである。「現在活用している」、「現在活用していないが、活用したことはある」と回答した事業者の合計は約2割にとどまっている。現
時点で中小企業における副業・兼業人材の活用は道半ばであり、更なる活用普及が人材不足解消に寄与する可能性がある。
第2-1-53図 副業・兼業人材の活用状況
(n=24,588)
| 活用状況 | 割合 |
|---|---|
| 現在活用している | 10.3% |
| 現在活用していないが、活用したことはある | 6.8% |
| 活用したことはない | 82.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
14 ここでの「副業・兼業人材」とは、他企業に勤める正社員で業務後や休日等の空き時間を使って別の仕事を行う人材を指す。
③人材育成
第2-1-54図は、5年前と比べた人材育成の取組状況について見たものである。これを見ると、「全体」では約半数の事業者が人材育成の取組を
「増やした」と回答している。従業員規模別に見ると、従業員規模が大きい事業者ほど、人材育成の取組を「増やした」割合が高いことが分かる。
第2-1-54図 5年前と比べた人材育成への取組状況(従業員規模別)
| 従業員規模 | サンプル数 (n) | 増やした (%) | 増やしていない (%) |
|---|---|---|---|
| 全体 | 22,819 | 49.2% | 50.8% |
| 100名超 | 2,166 | 72.3% | 27.7% |
| 50名超100名以下 | 2,861 | 67.8% | 32.2% |
| 30名超50名以下 | 3,135 | 62.6% | 37.4% |
| 30名以下 | 14,657 | 39.3% | 60.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.5年前と比べた人材育成の取組状況について、「増やした」は「大いに増やした」、「やや増やした」と回答した事業者の合計。「増やしていない」は「変わらない」、「やや減らした」、「大いに減らした」と回答した事業者の合計。「従業員はいない」、「業歴5年未満」と回答した事業者は除く。
2.ここでの従業員数は、2024年に常時雇用する正社員、パート・アルバイトの人数について聞いたもの。
第2-1-55図は、人材育成の取組状況別に直近3年間で採用した従業員の定着状況を確認したものである。人材育成の取組を「増やした」事業者は「増やしていない」事業者に比べて、定着率が
3割以上と回答した割合が高いことが分かり、人材育成の取組が採用後の定着につながっていることが示唆される。
第2-1-55図 従業員の定着状況(5年前と比べた人材育成の取組状況別)
| 人材育成の取組状況 | 7割以上 | 3割以上7割未満 | 3割未満 |
|---|---|---|---|
| 増やした (n=10,543) | 52.2% | 35.6% | 12.3% |
| 増やしていない (n=7,957) | 50.9% | 31.9% | 17.2% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. 5年前と比べた人材育成の取組状況について、「増やした」は「大いに増やした」、「やや増やした」と回答した事業者の合計。「増やしていない」は「変わらない」、「やや減らした」、「大いに減らした」と回答した事業者の合計。人材育成の取組について、「従業員はいない」、「業歴5年未満」と回答した事業者は除く。
2. 従業員の定着状況は、直近3年間で従業員を「採用した」と回答した事業者に対し、直近3年間で採用した従業員の定着割合を聞いたもの。ここでの、直近3年間で採用した従業員の定着割合における「3割以上7割未満」は、「3割以上5割未満」、「5割以上7割未満」と回答した事業者の合計。
第2-1-56図は、人材育成の取組状況別に、売上高の変化率(中央値)、付加価値額の変化率(中央値)を見たものである。これを見ると、人材育成の取組を「増やした」事業者では、「増や
していない」事業者に比べて両指標とも高いことが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、人材育成の取組が業績向上につながる可能性が見て取れる。
第2-1-56図 売上高、付加価値額の変化率(5年前と比べた人材育成の取組状況別、中央値)
(1)売上高の変化率(中央値)
| 取組状況 | 中央値 (%) | サンプル数 (n) |
|---|---|---|
| 増やした | 10.7 | 9,462 |
| 増やしていない | 2.3 | 7,981 |
(2)付加価値額の変化率(中央値)
| 取組状況 | 中央値 (%) | サンプル数 (n) |
|---|---|---|
| 増やした | 13.8 | 8,605 |
| 増やしていない | 3.9 | 7,242 |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. 5年前と比べた人材育成の取組状況について、「増やした」は「大いに増やした」、「やや増やした」と回答した事業者の合計。「増やしていない」は「変わらない」、「やや減らした」、「大いに減らした」と回答した事業者の合計。人材育成の取組について、「従業員はいない」、「業歴5年未満」と回答した事業者は除く。
2. 売上高の変化率、付加価値額の変化率は、2023年と2018年を比較して算出したもの。
3. 付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 賃借料 + 租税公課。
第2-1-57図は、人材育成の取組を増やしていない事業者が、人材育成の取組において感じている問題点を見たものである。「育成に充てる時間的余裕がない」、「指導する人材が足りない」と回答する割合が高く、人材育成の取組に充てるリ
ソースが不足している様子が見て取れる。また、「戦力化に時間がかかる」、「育成する能力が明確になっていない」などと回答する事業者も一定数存在し、育成プログラム自体の改善についても取り組んでいくことが重要といえよう。
第2-1-57図 人材育成の問題点
(n=11,174)
| 問題点 | 割合 |
|---|---|
| 育成に充てる時間的余裕がない | 37.8% |
| 指導する人材が足りない | 37.5% |
| 戦力化に時間がかかる | 25.6% |
| 金銭負担が大きい | 19.8% |
| 従業員の成長意欲が低い | 17.1% |
| 育成する能力が明確になっていない | 14.9% |
| 育成効果が感じられない | 5.5% |
| その他 | 2.1% |
| 特にない | 19.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
2.5年前と比べた人材育成の取組について「変わらない」、「やや減らした」、「大いに減らした」と回答した事業者について集計したもの。
3.人材育成の問題点について、「従業員はいない」と回答した事業者を除く。
④人事評価制度 15
第2-1-58図は、人事評価制度の有無を見たものである。これを見ると、「全体」では約4割の事業者が人事評価制度を「設けている」と回答している。また、従業員規模別に人事評価制度の有無を見ると、従業員規模が大きな事業者ほど人事
評価制度を設けている割合が高くなり、30名超の事業者では過半数が「設けている」と回答している。従業員が増えるほど、経営者が全ての従業員の実績・勤務態度等を詳細に把握することが困難になり、制度化している様子が見て取れる。
第2-1-58図 人事評価制度の有無(従業員規模別)
| 従業員規模 | 設けている (%) | 設けていない (%) |
|---|---|---|
| 全体 (n=20,982) | 40.6% | 59.4% |
| 100名超 (n=2,164) | 78.9% | 21.1% |
| 50名超100名以下 (n=2,848) | 68.1% | 31.9% |
| 30名超50名以下 (n=3,119) | 52.6% | 47.4% |
| 30名以下 (n=12,851) | 25.1% | 74.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
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(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.人事評価制度の設置状況について、「役員・従業員はいない」と回答した事業者は除く。
3.ここでの従業員数は、2024年に常時雇用する正社員、パート・アルバイトの人数について聞いたもの。
15 ここでの「人事評価制度」とは、会社が役員・従業員を評価する際に使用される明確・公正な評価基準のことを指す。
第2-1-59図は、人事評価制度の有無別、従業員規模別に従業員の定着状況を見たものである。第2-1-58図で見たように、過半数が人事評価制度を「設けている」と回答した従業員数30名超の事業者を分析対象としている。総じて、人事評価制度を「設けている」事業者は「設けていない」事業者に比べて、定着率「7割以上」の割合が高く、定着率「3割未満」の割合が低いことが
分かる。さらに、定着率「7割以上」に着目すると従業員規模が大きいほど、人事評価制度の導入有無により差が拡大していることが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、人事評価制度による明確・公正な評価により、従業員の評価に対する納得感が高まることが定着につながっている可能性があり、特に従業員規模が大きな事業者ほど重要な取組であることが示唆される。
第2-1-59図 従業員の定着状況(人事評価制度の有無別、従業員規模別)
(1)従業員数30名超100名以下
| 人事評価制度の有無 | 7割以上 | 3割以上7割未満 | 3割未満 |
|---|---|---|---|
| 設けている (n=3,537) | 53.0% | 38.5% | 8.6% |
| 設けていない (n=2,330) | 47.7% | 39.0% | 13.3% |
(2)従業員数100名超
| 人事評価制度の有無 | 7割以上 | 3割以上7割未満 | 3割未満 |
|---|---|---|---|
| 設けている (n=1,702) | 49.1% | 43.4% | 7.5% |
| 設けていない (n=453) | 35.1% | 53.0% | 11.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.人事評価制度の設置状況について、「役員・従業員はいない」と回答した事業者は除く。
3.従業員の定着状況は、直近3年間で従業員を「採用した」と回答した事業者に対し、直近3年間で採用した従業員の定着割合を聞いたもの。ここでの、直近3年間で採用した従業員の定着割合における「3割以上7割未満」は、「3割以上5割未満」、「5割以上7割未満」と回答した事業者の合計。
4.ここでの従業員数は、2024年に常時雇用する正社員、パート・アルバイトの人数について聞いたもの。
第2-1-60図は、人事評価制度を設けていない事業者に対して、従業員規模別に人事評価制度を設けていない理由を見たものである。これを見ると、いずれの規模についても「経営者が全従業員の状況を把握している」の割合が最も高い。「従業員数100名超」を見ると、「経営者が全従業員の状況を把握している」の割合が最も高く、次い
で「制度の運用が困難」という回答が続き、制度を設け、運用するためのリソースが不足している様子もうかがえる。前述のとおり、明確・公正な人事評価制度は人材定着に寄与する可能性があり、特に従業員規模が大きくなり、経営者の目が行き届きにくくなる事業者では、導入を検討することも重要といえよう。
第2-1-60図 人事評価制度を設けていない理由(従業員規模別)
| 理由 | 従業員数30名以下 (n=9,313) | 従業員数30名超100名以下 (n=2,327) | 従業員数100名超 (n=442) |
|---|---|---|---|
| 経営者が全従業員の状況を把握している | 56.6% | 45.1% | 29.2% |
| 制度の運用が困難 | 5.6% | 13.7% | 19.0% |
| 評価する風土がない | 8.4% | 8.5% | 10.6% |
| 評価を給与や昇格等に反映できない | 4.4% | 7.6% | 9.5% |
| 制度設計の方法が分からない | 5.8% | 7.4% | 7.9% |
| 従業員の反発が予想される | 1.1% | 2.1% | 2.3% |
| その他 | 3.3% | 6.4% | 11.5% |
| 特にない | 14.7% | 9.2% | 10.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.人事評価制度を「設けていない」と回答した事業者に聞いたもの。
3.ここでの従業員数は、2024年に常時雇用する正社員、パート・アルバイトの人数について聞いたもの。
⑤職場環境の改善
第2-1-61図は、人材確保に効果があったと考えられる働き方改善の取組を、従業員数の増加状況別に見たものである。これを見ると、「有給休暇・育児休業など休暇が取得しやすい職場づくり」、「時間外労働の削減」、「福利厚生の充実」な
どが人材確保に寄与する可能性がある。一方、従業員数が「増加していない」事業者では「特に働き方改善の取組を行っていない」の割合が高く、働き方改善の取組を行うことが人材確保に寄与している可能性が示唆される。
第2-1-61図 人材確保に効果があった働き方改善の取組(従業員数の増加状況別)
| 働き方改善の取組 | 増加している (n=6,592) | 増加していない (n=14,950) |
|---|---|---|
| 有給休暇・育児休業など休暇が取得しやすい職場づくり | 67.9% | 52.6% |
| 時間外労働の削減 | 59.3% | 48.8% |
| 福利厚生の充実 | 35.6% | 24.6% |
| 快適なオフィス・工場・店舗等の整備 | 27.6% | 19.9% |
| 時短勤務・時差出勤制度の導入 | 17.8% | 16.4% |
| ハラスメント防止対策 | 11.0% | 8.6% |
| 柔軟なテレワーク運用 | 9.6% | 7.1% |
| その他 | 11.8% | 9.8% |
| 特に働き方改善の取組を行っていない | 9.7% | 26.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.「働き方改善の取組のうち、人材の確保・定着に効果があったと考えられるもの」について3つまで回答したもの。複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
2.従業員数の増加状況は、回答時点(2024年)と1年前(2023年)の従業員数を比較したもの。
3.ここでの従業員数は、常時雇用する正社員、パート・アルバイトの人数について聞いたもの。
第2-1-62図は、社内コミュニケーションの円滑度合い別に直近3年間で採用した従業員の定着状況を見たものである。これを見ると、社内コミュニケーションが「円滑である」事業者の方
が、定着率「7割以上」の割合が高いことが分かる。円滑な社内コミュニケーションによる、組織の風通しの良さ、心理的な働きやすさが従業員の定着につながっている可能性がある。
第2-1-62図 従業員の定着状況(社内コミュニケーションの円滑度合い別)
| 円滑度合い | 7割以上 | 3割以上7割未満 | 3割未満 |
|---|---|---|---|
| 円滑である (n=16,271) | 53.5% | 33.0% | 13.5% |
| 円滑でない (n=2,316) | 39.5% | 40.6% | 19.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.社内コミュニケーションの円滑度合いについて、「円滑である」は「非常に円滑である」、「ある程度円滑である」と回答した事業者の合計。「円滑でない」は「全く円滑ではない」、「あまり円滑ではない」と回答した事業者の合計。
2.社内コミュニケーションの円滑度合いについて、「経営者のみで経営している」と回答した事業者は除く。
3.従業員の定着状況は、直近3年間で従業員を「採用した」と回答した事業者に対し、直近3年間で採用した従業員の定着割合を聞いたもの。ここでの、直近3年間で採用した従業員の定着割合における「3割以上7割未満」は、「3割以上5割未満」、「5割以上7割未満」と回答した事業者の合計。
第2-1-63図は、社内コミュニケーションが円滑であると回答している事業者における、円滑な社内コミュニケーションによる効果を見たもので
ある。「業務上の迅速な情報共有」、「従業員のモチベーションの向上」の回答割合が高い。
第2-1-63図 円滑な社内コミュニケーションによる効果
(n=20,158)
| 効果 | 割合 |
|---|---|
| 業務上の迅速な情報共有 | 59.0% |
| 従業員のモチベーションの向上 | 50.3% |
| 技術や知識の承継 | 33.1% |
| 経営理念の共有 | 31.4% |
| 従業員のエンゲージメント・愛社精神の向上 | 16.3% |
| 社内イノベーションの創出 | 6.4% |
| その他 | 2.0% |
| 特になし | 6.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.社内コミュニケーションの円滑度合いについて、「非常に円滑である」、「ある程度円滑である」と回答した事業者に聞いたもの。
2.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第2-1-64図は、社内コミュニケーションの円滑度合い別に労働生産性の変化率(中央値)を見たものである。これを見ると、円滑度合いで労働生産性の変化率に大きく差が生じていることが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、前
述の円滑な社内コミュニケーションによる「業務上の迅速な情報共有」、「従業員のモチベーションの向上」などが労働生産性向上に寄与している可能性がある。
第2-1-64図 労働生産性の変化率(社内コミュニケーションの円滑度合い別、中央値)
| 円滑度合い | 労働生産性の変化率(中央値) (%) |
|---|---|
| 円滑である (n=13,687) | 4.2 |
| 円滑でない (n=2,014) | 1.1 |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.社内コミュニケーションの円滑度合いについて、「円滑である」は「非常に円滑である」、「ある程度円滑である」と回答した事業者の合計。「円滑でない」は「全く円滑ではない」、「あまり円滑ではない」と回答した事業者の合計。
2.社内コミュニケーションの円滑度合いについて、「経営者のみで経営している」と回答した事業者は除く。
3.労働生産性=付加価値額÷従業員数で算出している。
4.付加価値額=営業利益+人件費+賃借料+租税公課。
5.労働生産性の変化率は、2023年と2018年を比較して算出したもの。
第2-1-65図は、社内コミュニケーションが円滑でないと回答した事業者における、社内コミュニケーションが円滑でない関係性を見たものである。「経営陣と非管理職」のみならず「部署内の
管理職と非管理職」の回答割合が高く、従業員の身近な関係からコミュニケーションを改善することが、風通しの良さや心理的な働きやすさにつながるることが示唆される。
第2-1-65図 社内コミュニケーションが円滑でない関係性(社内コミュニケーションが円滑でない事業者)
(n=2,548)
| 関係性 | 割合 |
|---|---|
| 経営陣と非管理職 | 36.8% |
| 部署内の管理職と非管理職 | 36.3% |
| 経営陣と管理職 | 28.6% |
| 部署・支店・事業所間 | 20.5% |
| 部署内の非管理職同士 | 20.2% |
| 経営陣間 | 12.5% |
| その他 | 7.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
2.社内コミュニケーションの円滑度合いについて、「全く円滑ではない」、「あまり円滑ではない」と回答した事業者について集計したもの。
3.社内コミュニケーションが円滑でない関係性について、「円滑でない関係性はない」と回答した事業者は除く。
⑥まとめ
本項では、賃金、採用、人材育成、人事評価制度、職場環境の改善の取組状況と人材確保への効果を確認した。賃金が人材確保に好影響を及ぼす可能性が確認できるものの、賃上げ余力の乏しい中小企業にとっては、付加価値を高めて魅力ある賃金体系を築いていくだけではなく、賃金のみによらずに働き手に選ばれる事業者になることが重要である。
採用については、人材不足に加えて採用コストの増加などで採用難易度が上がっている状況下、経営者自らが採用に携わり組織の魅力を伝えていくことや、イノベーション等を通じて魅力ある職場にしていくことが採用目標達成に寄与する可能性が示唆された。外国人労働者や副業・兼業人材の活用も人材不足解消の一助となる可能性がある。
人材育成については、育成リソースの確保などにコストが掛かるものの、定着率、業績向上に寄
与する可能性があり、人材不足の状況下では重要な取組課題といえる。人事評価制度による明確・公正な評価が定着率を高める可能性も見て取れた。
職場環境の改善では、働き方改善の取組や円滑な社内コミュニケーションが人材確保に寄与する可能性が示されたほか、円滑な社内コミュニケーションにより労働生産性の向上も期待できることが確認された。
事例2-1-5では人材育成の取組を強化することで、人材の採用と育成に成功している企業の事例を紹介する。
事例2-1-6では働き方改善と社内コミュニケーションの活性化に取り組むことで人材確保を実現している企業の事例を紹介する。
事例2-1-7では人口減少が顕著な地方圏において、外国人材を積極的に活用し、成長を実現している企業の事例を紹介する。
事例
2-1-5
人材育成と社会課題解決への取組により、
人材を確保し成長している企業
所在地 高知県高知市
従業員数 147名
資本金 4,800万円
事業内容 情報サービス業
四国情報管理センター株式会社
▶ 地方に所在するIT企業として人材確保が年々困難に
高知県高知市の四国情報管理センター株式会社は、四国エリアを中心に、官公庁と民間企業にITソリューションを提供する企業である。業界全体としてプログラミングなどITスキルを持つ人材(以下、「IT人材」という。)が不足している状況下、IT人材が大都市や大手同業者に流れる傾向が強まっており、地方圏に所在する同社では、IT人材を確保するハードルが年々高まっていた。同社では例年、新卒採用で3~10名、中途採用で5名程度を採用しており、技術職は約110名が在籍。この5年間における採用時点での未経験人材比率は約5割で、10年前の約4割から高まっている。同社の中城一社長は「IT人材の採用が難しくなっている中、未経験人材を採用し、IT人材に引き上げるべく育成に取り組んできた」と話す。
▶ 未経験人材への手厚い研修を用意し、全社員の学習意欲も喚起
未経験人材の研修プログラムは、中城社長自らが先頭に立って構築した。同社では、未経験人材は入社後2か月間業務に従事せず、外部の基礎研修を受講して土台を作る。続いてOJTによる2か月間のシステム開発実践研修、4か月間の高度スキル技術研修、OJTによる2か月間の高度スキル実践研修と、計10か月間にわたる手厚い教育を施している。また、経験を積んだ社員が更にスキルアップする制度も整備。AI等の高度スキルの習得では、研修受講料を会社が負担し、就業時間内での学習も認めている。さらに、ITに限らず、全社を挙げて新しい知識を習得する風土も醸成すべく、2024年からは、営業・総務職も含む全社員が参加する新しい知識習得のための「学習コンペ」を開始した。目指す資格が同じ社員を4人前後のチームにまとめ、四半期ごとに学習状況と受験結果を全社に報告し合い、良好な取組を行ったチームには表彰と副賞を授与する、というユニークな取組だ。これらの取組による同社の人材育成関連投資は年間数千万円にも及んでいる。また、人材育成の強化には育てる立場にある上席者の理解と意識向上も欠かせない。中城社長は「部下の成長に上司が責任を持つこと」と掲げ、同社の将来像と求められるスキル、そこに至るまでに必要な人材育成について社長自ら社員に丁寧に説明し、全社員の理解・協力を得ることを大切にしている。また、「社員のITスキル習得意欲を高めるためには、仕事の『やりがい』も重要だ」と中城社長は語る。デジタル技術を活用して農産品直販所の販売状況を可視化するなど、地域の社会課題解決にも積極的に取り組み、社会への貢献を社員に実感させることで挑戦意欲を促している。
▶ 人材育成と社会課題解決の取組は、人材確保と事業展開に好影響を及ぼしている
一連の取組により、未経験人材は同社を支える戦力になっている。次世代の事業を担う高度資格取得者も着実に増加し、高度デジタル技術の社会実装など新たな事業展開の可能性も生まれている。また、同社の人材育成や社会課題解決への取組は採用・定着にも好影響を及ぼしている。最近では同取組に興味を持ったUターン・Iターン層の入社希望者が増加していることに加え、定着面を見ても2023年度の同社離職率は2.7%と業界他社と比較して低水準にある。「課題があふれているこの地域をテクノロジーで前進させたい。社員の成長により課題解決に資する新しい価値を提供することで会社を成長させていく」と中城社長は語る。
中城一社長
デジタル技術を活用した地域の社会課題解決
学習コンペでの表彰
事例
2-1-6
社員の人生背景に合わせた働き方改善で、
人材確保と定着を実現している企業
所在地 三重県津市
従業員数 100名
資本金 2,000万円
事業内容 生産用機械器具製造業
サンユー技研工業株式会社
▶ 堅調な規模拡大の一方で、人材確保は年々困難に。「働きたい会社」への改革に着手
三重県津市のサンユー技研工業株式会社は、大型アルミダイカスト金型の設計・製造を手掛ける企業である。主に次世代自動車に組み込まれるエンジンやモーター、バッテリーケースなどの駆動系部品の金型を取り扱っており、世界中の自動車メーカー、部品メーカー向けに販売している。同社の梅本大輔社長が家業である同社に入社した2007年当時、社員数は十数名であったが、次世代自動車開発の本格化とともに工場新設など積極投資を進め、生産能力を拡大してきたことで、堅調に企業規模が成長してきた。一方で、人材確保は常に課題であり、梅本社長は足下の採用の状況について「ただでさえ人気がない製造業であることに加えて、近年は人材が都市部に流れ、最寄り駅から車で30分のへき地にある当社は見向きもされなくなった」と話しており、他社にはないユニークな取組を通じて、自社を「働きたい会社」へと変革し企業としての魅力を高め、採用強化と採用した人材の離職を減らしていくことが必要であると考えた。
▶ 人生背景に合わせた福利厚生を整備。親密な社内コミュニケーションが助け合いを可能にする
「人を雇うことは、人生を買うことに等しく、会社としてその人の人生を豊かにしていくべき」との考えの下、梅本社長は社長就任後間もなく、一人一人の人生背景に合わせた福利厚生の整備を進めた。各社員のライフステージ、家庭環境や趣味などに応じ、要望を踏まえながら、休暇制度や勤務形態、各種手当を臨機応変にカスタマイズしている。例えば、子の看護休暇や不妊治療休暇はもちろん、子供の行事のための大会休暇、親の介護のために在宅作業する介護勤務、離婚手当、マッチングアプリ手当など多種多様だ。これらの制度が円滑に機能している背景として、日頃から技能承継を進め属人業務を削減することに加え、休暇などによる不在の穴を社員同士で助け合いながらカバーしていることにある。このような自然な助け合いは、円滑な社内コミュニケーションと社員同士の信頼関係が可能にしている。各部署には親睦を深めるために飲み会代などの用途自由な月3万円を支給しているほか、2年に1回は家族同伴の社員旅行も実施するなど、信頼関係を結ぶ機会の提供に努めた。
▶ 福利厚生や職場環境の整備により、企業としての魅力を高め、人材確保と定着率の向上を実現
2019年には、工場拡張と同時にオフィスも抜本的に改装し、職場環境の整備にも取り組んだ。改装は梅本社長が主導し、同社の若手社員の意見を取り入れることに加え、実際に都内のIT企業に足を運び、それらの内装を参考にしながら、若者をひきつけるような都会的で「オシャレ」なオフィスを作り上げた。選考過程で同社を訪れた求職者は、整備されたオフィスと、社内の風通しの良さを感じたことにより、ほぼ100%が同社への就職を決断するという。また、ユニークな改革は同社の知名度を高め、東京都や秋田県などの遠方からも人材が集まるようになったほか、人材定着の面でも、病気やキャリアアップなどの理由以外で離職者は出ておらず、社員の平均年齢は約32歳と若く、女性比率は40%まで高まった。「今年の社員旅行はヨーロッパの予定だが、お子さんにも『うちの親は家族をドイツやフランスに連れて行ってくれる会社に勤めている』と誇らしく感じてもらいたい」と梅本社長は語る。
梅本大輔社長
本社オフィス
社員同士の交流の場
事例
2-1-7
外国人材と共にイノベーションを起こし、成長している企業
所在地 山形県山形市
従業員数 239名
資本金 6,900万円
事業内容 金属製品製造業
スズキハイテック株式会社
▶ 受託型で業績低迷、開発型企業への転換を目指す
山形県山形市のスズキハイテック株式会社は、1914年創業のメッキによる表面処理加工を手掛ける企業である。半導体分野を主力に約25億円の売上高にまで堅調に成長してきたが、リーマン・ショックによる景気後退、東日本大震災に端を発する主要顧客の工場移転等が重なり、鈴木一徳社長が就任した2015年度には約16億円にまで売上高が低下。その後も売上高の低下に歯止めがかからず、「どん底。非常に厳しい局面だった」と鈴木社長は当時を振り返る。このような状況下、鈴木社長は従来の図面どおりに製造する受託型企業では生き残りができないと考え、「自社がスペックを作る」開発型企業への転換に舵を切った。
▶ 高度外国人材が社内で活躍。外国人材の採用を本格化し、働きやすく、過ごしやすい環境整備に注力
同社の開発型企業への転換をリードしたのは外国人材の能力であった。同社が外国人材を採用するようになったのは、メキシコ現地法人設立のため、2015年に山形大学に留学していたボリビア人と中国人の高度外国人材を採用したことがきっかけだった。同2名が活躍している姿を確認し、2018年からは外国人材の採用を本格化。現在では同社の国内拠点に5か国93名が在籍し、全従業員の約4割を占める。驚異的なのは、高度外国人材が4月に採用が決まっている新入社員を含め40名を超えることだ。外国人材を確保するためには「経営トップの関与が欠かせない」と鈴木社長は語る。同社では、外国人材が働きやすく、また、過ごしやすい環境の整備に力を入れてきた。働きやすさでは、「理解と尊重の共有」を重視し、外国人材に対して日本の文化・習慣を丁寧に教えるだけでなく、日本人従業員にも外国文化への理解を進めた。また、高度外国人材の確保では、特に「働く目的・価値」の共有が重要だという。採用前には必ず社長が面談し、外国人材の希望や目標と同社が期待する役割のすり合わせを丁寧に行っている。過ごしやすい環境は、試行錯誤して作り上げてきた。日本語教室の開催、孤立防止の取組、病院や役所への付き添いなど日常生活の手厚い支援に加え、外国人材のライフサイクルにも対応。結婚して家族同伴を希望する外国人材に対しては配偶者も雇用するほか、子育てでもサポートし、鈴木社長自ら学校に挨拶へと出向いているという。2025年2月には外国人材専門のサポート部署を新設し、更なる支援強化に取り組んでいる。これらの取組により外国人材の間で同社の名前が広まり、入社希望者が絶えず、定着率も非常に高い水準にある。
▶ 外国人材と日本人従業員の技術が融合。イノベーションを起こすことで成長を実現
博士号を取得した高度外国人材の入社が増加し、受託型企業であった同社に不足していた開発力を獲得。さらに、外国人材の柔軟な考え方や積極性は、同社の日本人従業員の意識変化も引き起こし、イノベーションに果敢に挑戦する会社風土へと変わっていった。この外国人材と同社の技術の融合によるイノベーションの最も顕著な成果は、自動車部品のメッキ加工だ。同社から世界初となる技術が生まれ、世界の自動車メーカーで採用が広がっている。2019年度には11億円にまで低下した売上高は、2023年度に約42億円へとV字回復を遂げ、2029年度には92億円を見込む。「外国人材がいなければ、この成長は絶対に成し得なかった。多様性が組織を変革し、それまででは考えられなかったイノベーションが起きた。これからも世界で当社にしかできない技術を生み出すことで成長していきたい」と鈴木社長は語る。
鈴木一徳社長
外国人材とのパーティーの様子
工場で活躍する外国人材
第5節 経営者の成長意欲
前節まで、中小企業における経営戦略・計画の策定と運用、経営の透明性・開放性の取組や人材戦略が、業績や人材確保に寄与する可能性があることを分析した。中小企業にとって、これらの取組の推進における経営者の役割は非常に大きく、
経営者のスキルの有無、成長意欲が大きく影響を及ぼすことが考えられる。本節では、経営者自身の成長に向けた取組に焦点を当てた分析を行っていく。
1. 経営者のリスクキリング
経営環境の変化が激しい昨今、経営者に求められるスキルも多様化が見込まれる。本節では、経営環境の変化への対応等のために新たな知識やスキルを学ぶことを「経営者のリスクキリング」と称し、その取組と効果に着目して分析を行っていく。
①経営者のリスクキリングへの取組
第2-1-66図は、経営者のリスクキリングへの取組状況を見たものである。約3割の経営者がリスクキリングに取り組んでいることが分かる。
第2-1-66図 経営者のリスクキリングへの取組状況
(n=24,588)
| 取組状況 | 割合 |
|---|---|
| 取り組んでいる | 34.8% |
| 取り組んでいないが、数年のうちに取り組む意向 | 35.0% |
| 取り組んでおらず、今後も取り組む意向はない | 30.2% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
第2-1-67図は、経営者の年代別にリスクリングと、若い経営者ほど意欲的にリスクリングに取り組む傾向にあることが分かる。これを見る
第2-1-67図 経営者のリスクリングへの取組状況(経営者の年代別)
| 年代別 (n) | 取り組んでいる (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| 80歳以上 (n=587) | 22.5% | 77.5% |
| 70歳代 (n=3,251) | 29.7% | 70.3% |
| 60歳代 (n=6,810) | 33.3% | 66.7% |
| 50歳代 (n=7,883) | 35.9% | 64.1% |
| 40歳代 (n=4,934) | 39.3% | 60.7% |
| 30歳代以下 (n=1,123) | 37.8% | 62.2% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 1.経営者の年齢について、「30歳代以下」は、「29歳以下」、「30代」と回答した事業者の合計。
2.経営者のリスクリングへの取組状況について、「取り組んでいない」は「取り組んでいないが、数年のうちに取り組む意向」、「取り組んでおらず、今後も取り組む意向はない」と回答した事業者の合計。
第2-1-68図は、経営方針別に経営者のリスクリングへの取組状況を見たものである。これを見ると、経営方針として「売上拡大」、「利益拡大」を挙げている事業者は、経営者のリスクリングに
「取り組んでいる」割合が高いことが分かる。一方、「現状維持」、「縮小しつつも存続」を挙げている事業者では、「取り組んでおらず、今後も取り組む意向はない」と回答した割合が高い。
第2-1-68図 経営者のリスクリングへの取組状況(経営方針別)
| 経営方針 | 取り組んでいる | 取り組んでいないが、数年のうちに取り組む意向 | 取り組んでおらず、今後も取り組む意向はない |
|---|---|---|---|
| 売上拡大 (n=6,433) | 35.6% | 36.2% | 28.2% |
| 利益拡大 (n=12,933) | 39.0% | 37.1% | 23.9% |
| 現状維持 (n=3,891) | 23.1% | 29.0% | 47.9% |
| 縮小しつつも存続 (n=867) | 21.6% | 30.1% | 48.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 経営方針について、「円滑な廃業・譲渡」、「その他」と回答した事業者を除く。
第2-1-69図は、経営者がリスクリングにより獲得したいスキルを確認したものである。これを見ると、獲得したいスキルとして「経営戦略」、「管理者の職務とリーダーシップ」といった経営
者としての能力を高めるものの割合が高く、次いで「マーケティング」、「IT活用」といった営業や管理の強化を目的とするものが続いている。
第2-1-69図 経営者がリスクリングにより獲得したいスキル
| スキル | 割合 |
|---|---|
| 経営戦略 | 60.0% |
| 管理者の職務とリーダーシップ | 49.0% |
| マーケティング | 34.5% |
| IT活用 | 33.2% |
| 財務管理 | 33.1% |
| 組織管理・人事労務 | 32.3% |
| 生産管理・生産性向上 | 32.2% |
| 経営法務 | 13.2% |
| 語学 | 5.4% |
| その他 | 5.9% |
(n=8,323)
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 1. 経営者のリスクリングへの取組状況に関する設問で、リスクリングに「取り組んでいる」と回答した事業者に聞いたもの。
2. 複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第2-1-70図は、経営者がリスクリングに取り組んでいる事業者に対して、リスクリングの取組内容について確認したものである。これを見ると、
「書籍からの知識収集」、「外部研修の受講(中小企業大学校を除く)」と回答した割合が高い。
第2-1-70図 経営者のリスクリングの取組内容
(n=8,355)
| 取組内容 | 割合 |
|---|---|
| 書籍からの知識収集 | 56.6% |
| 外部研修の受講(中小企業大学校を除く) | 55.0% |
| 優良事例の視察 | 23.3% |
| 資格取得 | 22.3% |
| 内部研修の受講 | 11.1% |
| 中小企業大学校の研修受講 | 3.4% |
| MBA取得 | 1.1% |
| その他 | 12.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.経営者のリスクリングへの取組状況に関する設問で、リスクリングに「取り組んでいる」と回答した事業者に聞いたもの。
2.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第2-1-71図は、経営者がリスクリングに取り組んでいない事業者に対して、取り組まない理由を確認したものである。これを見ると、「時間の確保が困難」の回答割合が最も高く、リスクリン
グに割く時間の確保が課題となっている様子が見て取れる。次いで、「取り組むきっかけがない」、「必要性を感じていない」、「何を学べばいいのか分からない」といった回答割合が高い。
第2-1-71図 経営者がリスクリングに取り組まない理由
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 時間の確保が困難 | 48.3% |
| 取り組むきっかけがない | 25.3% |
| 必要性を感じていない | 24.5% |
| 何を学べばいいのか分からない | 21.3% |
| 費用負担が大きい | 15.3% |
| 精神的余裕がない | 9.8% |
| 身近に学習できる場所がない | 9.6% |
| その他 | 6.6% |
(n=15,626)
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.経営者のリスクリングへの取組状況に関する設問で、リスクリングに「取り組んでいないが、数年のうちに取り組む意向」、「取り組んでおらず、今後も取り組む意向はない」と回答した事業者に聞いたもの。
2.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
②経営者のリスクリングの効果
第2-1-72図は、経営者のリスクリングへの取組状況別に売上高の変化率(中央値)と付加価値額の変化率(中央値)を見たものである。これを見ると、「取り組んでいる」事業者は「取り組んで
いない」事業者に比べて、両指標とも高い水準で増加していることが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、経営者のリスクリングの取組が自社の成長に寄与することが示唆される。
第2-1-72図 売上高、付加価値額の変化率(経営者のリスクリングへの取組状況別、中央値)
(1)売上高の変化率(中央値)
| 取組状況 | 中央値 (%) |
|---|---|
| 取り組んでいる (n=6,657) | 8.7 |
| 取り組んでいない (n=10,916) | 5.7 |
(2)付加価値額の変化率(中央値)
| 取組状況 | 中央値 (%) |
|---|---|
| 取り組んでいる (n=6,030) | 11.0 |
| 取り組んでいない (n=9,932) | 8.1 |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.経営者のリスクリングへの取組状況について、「取り組んでいない」は「取り組んでいないが、数年のうちに取り組む意向」、「取り組んでおらず、今後も取り組む意向はない」と回答した事業者の合計。
2.売上高の変化率、付加価値額の変化率は、2023年と2018年を比較して算出したもの。
3.付加価値額=営業利益+人件費+賃借料+租税公課。
第2-1-73図は、経営者のリスクリングへの取組状況別に人材育成の取組状況を確認したものである。これを見ると、経営者がリスクリングに「取り組んでいる」事業者は「取り組んでいない」
事業者に比べて人材育成に積極的に取り組んでいることが分かる。経営者の学ぶ姿勢が組織文化に昇華し、人材育成の取組につながっている可能性が示唆される。
第2-1-73図 5年前と比べた人材育成への取組状況(経営者のリスクリングへの取組状況別)
| 経営者のリスクリングへの取組状況 | 増やした | 増やしていない |
|---|---|---|
| 取り組んでいる (n=8,172) | 65.2% | 34.8% |
| 取り組んでいない (n=14,647) | 40.3% | 59.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.経営者のリスクリングへの取組状況について、「取り組んでいない」は「取り組んでいないが、数年のうちに取り組む意向」、「取り組んでおらず、今後も取り組む意向はない」と回答した事業者の合計。
2.5年前と比べた人材育成の取組について、「増やした」は「大いに増やした」、「やや増やした」と回答した事業者の合計。「増やしていない」は「変わらない」、「やや減らした」、「大いに減らした」と回答した事業者の合計。
3.人材育成の取組について、「従業員はいない」、「業歴5年未満」と回答した事業者は除く。
③まとめ
本項では、経営者のリスクリングへの取組状況を確認した。経営者のリスクリングが業績に好影響を及ぼしている可能性が見て取れた。また、経営者の学びの姿勢は組織文化に昇華し、組織全体として人材育成・学びの風土が醸成されていることが示唆された。自社の成長・発展のためには、
経営者自身の成長が重要だと認識し、必要とされる知識の把握・習得に努めることが求められる。
事例2-1-8では経営者のリスクリングへの取組により、経営改善や新規事業創出を実現して成長していることに加え、経営者の学びの姿勢が、学び続ける組織風土の醸成にもつながったことで成長を加速させている企業の事例を紹介する。
事例
2-1-8
経営者の積極的なリスキリングにより
成長している企業
所在地 北海道室蘭市
従業員数 54名
資本金 1億円
事業内容 総合工事業
株式会社内池建設
▶ 若くして社長に就任。山積する経営課題に直面する
北海道室蘭市の株式会社内池建設は、1980年創業の建設会社である。内池秀敏社長は大手ハウスメーカーを経て、2005年に28歳で実父が創業した同社に入社した。「優良企業としか聞いていなかった」と当時を振り返るが、同社に入社すると、室蘭エリアの公共工事への依存、競争優位性がなく価格競争に陥った低収益体質、マネジメント不足や残業・休日出勤を当たり前とする組織文化など、山積する問題に直面した。2007年に30歳で社長に就任後、社内での求心力や経験を補うため、自身で様々なスキルを獲得・活用することで、変革に取り組んできた。
▶ 中小企業診断士やIT知識を取得。「選択と集中」で目覚ましい成長を遂げている
まず、内池社長は就任後、中小企業の経営課題の診断・助言を行う国家資格である中小企業診断士を取得。同社の事業改革には経営理論の知識に基づいた戦略が必要との考えからだった。資格取得後、自社の経営資源や外部環境の動向を分析する中で、少子高齢化で市場が縮小する室蘭エリアだけでは成長が見込めないと判断。経営理論のセオリーである「選択と集中」を意識し、室蘭エリアで見込まれる受注減による余剰人員と不採算だった苫小牧支店閉鎖で生じたリソースを市場規模が大きい札幌エリアに集中投下した。併せて、中小企業診断士としての知識をいかし、財務体質改善や原価管理を通じた収益性向上、社内ルールの制定による健全な組織運営にも取り組んでいる。さらに、業界でもいち早くITの事業活用に目を付け、ITスキルの習得にも注力。内池社長が先頭に立ってIT活用を進め、新規事業への活用や、営業・現場管理システム導入による案件の一元管理化を遂行した。中小企業診断士とIT知識を掛け合わせて生まれた1,000(戦)通りの構造シミュレーションから顧客ニーズに合った提案を行う倉庫工場建設に特化した新規事業「戦略倉庫」は、現在の収益の柱になっている。旺盛な倉庫工場需要を見定め、経営資源を集中投下するという「選択と集中」により生産性は飛躍的に向上、案件の一元管理化による残業時間等の削減でコスト低減も実現されている。内池社長の社長就任直前期である2006年と直近2024年5月の決算を比較すると、売上高は約1.5倍、営業利益は約27倍、社員の平均残業時間は70%削減、平均年収1.2倍と目覚ましい成長を遂げている。
▶ 経営者の学ぶ姿勢は組織風土となり、社員の主体的な学びが進んでいる
内池社長の学ぶ姿勢は組織風土に昇華している。内池社長は会社方針として社員の資格取得を掲げ、一級建築士、宅地建物取引士、簿記などの資格勉強を1日2時間まで業務時間中に行えるようにした。さらに、業務面や金銭面でサポートする「一級建築士特待制度」や簿記の社内勉強会、資格手当等の制度も整備している。内池社長は「堂々と教科書を机に広げて勉強して良い。むしろそれを推奨する」と社員の学びを応援する。取組翌年の2023年度には一級建築士の合格者が誕生。2024年度は最終結果を待つが、5名が二次試験を通過しており、取組の効果が表れている。また、ITスキルについても、未経験ながら主体的に学んで中核として活躍する人材が現れ、事業展開にも新たな可能性が生まれている。内池社長自身も新たな学びに意欲を見せ、同社の更なる成長が期待される。「心の幸せは、自身の成長だ。社員には、資格取得などの研鑽で自身を高める機会、また、高めた自分を発揮する場を提供したい。こうした取組が企業成長を実現する好循環を生むことが重要だ」と内池社長は語る。
内池秀敏社長
同社が手掛けた工場
簿記の社内勉強会
コラム
2-1-2 中小企業診断士
1. 中小企業診断士とは
中小企業の発展において、中小企業が経営資源に関して、適切な経営の診断及び経営に関する助言(以下、「経営診断」という。)を受けることが重要である。そのため、経済産業省では、中小企業が経営診断を受ける機会を確保し、また、経営診断に従事する者の資質の向上を図ることを目的に、経営診断に関して一定の能力を有すると認められる者を中小企業診断士(以下、「診断士」という。)として登録している。
診断士制度は昭和38年に中小企業診断員制度として法定化された後、昭和44年に中小企業診断員から「中小企業診断士」に名称が改称された。当初、診断士は過去の財務諸表等の分析による問題点の抽出など、中小企業に対して「診断(現状把握・分析)」を行うことが求められていた。その後、平成12年に中小企業支援法(以下、「支援法」という。)が制定されたことに伴い、従来の「診断」業務だけではなく、経営診断の専門家として、中小企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスを行うことに加え、中小企業と行政・金融機関等をつなぐ橋渡し役となることを期待され、現在では数多くの診断士が様々な分野で活躍している。
令和5年度末時点での診断士の登録者は32,373人であり、年齢は50代が28.9%と最も多く、次いで40代が26.3%である。また、勤務先の状況としては26.7%が経営コンサルタントとして勤務しており、民間企業や金融機関、公的機関に勤務しながら診断士資格を保有している「企業内診断士」は64.6%に上る。加えて、診断士の活動分野としては「経営企画・戦略立案」が21.6%と最も多く、「経営全般」が11.6%、「販売・マーケティング」が10.4%の順になっている(コラム2-1-2①図)。
コラム 2-1-2①図 診断士登録者の年齢構成比・勤務先状況、活動分野
登録者の年齢構成比 (n=32,373)
| 年齢区分 | 割合 |
|---|---|
| 20歳代 | 7.9% |
| 30歳代 | 13.5% |
| 40歳代 | 26.3% |
| 50歳代 | 28.9% |
| 60歳代 | 19.9% |
| 70歳代 | 2.1% |
| 80歳代 | 0.2% |
| 90歳代 | 1.3% |
診断士の勤務先状況 (n=32,373)
| 勤務先状況 | 割合 |
|---|---|
| 経営コンサルタント | 26.7% |
| 民間企業 | 52.4% |
| 公的機関 | 12.2% |
| その他 | 8.7% |
診断士の活動分野 (n=1,783)
| 活動分野 | 割合 |
|---|---|
| 経営企画・戦略立案 | 21.6% |
| 経営全般 | 11.6% |
| 販売・マーケティング | 10.4% |
| 財務 | 7.7% |
| 情報化・IT化 | 5.5% |
| 人事・労務管理 | 4.5% |
| 事業再生 | 28.4% |
| その他 | 10.3% |
「その他」の内訳は生産管理、事業承継、M&A、創業支援など
資料:(左図及び中央図) 中小企業庁「中小企業診断士登録簿(令和5年度末時点)」より中小企業庁作成
(右図) (一社) 日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士活動状況アンケート調査(令和3年5月)」より中小企業庁作成
2. 中小企業診断士制度について
診断士として登録を受けるためには、支援法第12条第2項において指定試験機関として指定される一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会が実施する診断士試験に合格し、経営診断に関する実務に一定期間従事するなど、所定の要件を満たす必要がある。
また、診断士としての登録有効期間は5年間であり、その登録有効期間内において、経営診断に関する実務従事及び新たな知識の補充を目的とした理論政策更新研修等を修了することで登録の更新を行うことができる。
診断士試験について、現行の試験制度が開始した平成13年度の第1次試験の申込者数は10,025人だったが、平成21年度には20,000人を超え、令和5年度には26,190人まで増加した。また、診断士資格の取得を通じて、経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論など、経営コンサルタントだけではなく、民間企業等においても役立つ経営に関する幅広い知識を身につけることができる。
コラム 2-1-2②図 診断士制度の概要
<中小企業診断士の登録までの流れ>
graph LR
A[中小企業診断士試験 第1次試験] --> B[中小企業診断士試験 第2次試験]
A --> C[(独) 中小企業基盤整備機構が実施する養成課程の修了
又は
登録養成機関が実施する登録養成課程の修了]
B --> D[実務従事又は実務補習の受講
(15日以上)]
C --> D
D --> E[中小企業診断士の登録
(登録有効期間: 5年間)]
<中小企業診断士の更新登録制度>
登録有効期間内にいずれの要件を満たすことで更新登録が可能
・理論政策更新研修の修了等(5回以上)
・経営診断に関する実務従事等(30日以上)
<中小企業診断士の休止制度>
登録有効期間内に「経営診断業務休止申請」を行うことで、最長15年間、診断士として経営診断業務に従事することを休止できる。
※休止期間内であれば、「経営診断再開申請」が可能
資料:中小企業庁作成
コラム 2-1-2③図 診断士試験における受験申込者数(第一次試験)の推移
| 年度 | 受験申込者数(人) |
|---|---|
| 平成13年度 | 10,025 |
| 平成14年度 | 12,447 |
| 平成15年度 | 14,692 |
| 平成16年度 | 15,131 |
| 平成17年度 | 13,476 |
| 平成18年度 | 16,595 |
| 平成19年度 | 16,845 |
| 平成20年度 | 17,934 |
| 平成21年度 | 20,054 |
| 平成22年度 | 21,309 |
| 平成23年度 | 21,145 |
| 平成24年度 | 20,210 |
| 平成25年度 | 20,005 |
| 平成26年度 | 19,538 |
| 平成27年度 | 18,361 |
| 平成28年度 | 19,444 |
| 平成29年度 | 20,118 |
| 平成30年度 | 20,116 |
| 令和元年度 | 21,163 |
| 令和2年度 | 20,169 |
| 令和3年度 | 24,495 |
| 令和4年度 | 24,778 |
| 令和5年度 | 26,190 |
資料:(一社)日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移」より中小企業庁作成
3. 中小企業診断士の活躍
経営コンサルタントとして中小企業支援に携わる診断士に加え、経営診断の知見やスキルを所属する組織内で活用する診断士など、活躍の場面は多岐にわたる。
<経営コンサルタントとして活躍する女性診断士>
女性診断士A氏は、顧問先の建設業I社で女性技術者が活躍していることに着目し、「女性目線の建設業」をコンセプトに経営者と共に改革を進めていった。特に顧客開拓においては、保育園などの「女性が多く働く職場」を重点ターゲットに設定。保育園建設では、現場で働く人の声が不可欠と考え、「保育士女子会」などの開催を通じてニーズを収集し、女性ならではの気遣いとお客様の声を伺う姿勢を前面に打ち出した。こうした取組が奏功しダイバーシティ経営に取り組む企業から大型案件を受注したこともあり、支援を開始してからの13年間で売上高は7倍以上に成長している。
また、別の顧問先であるアパレル製造業N社では、売上高の9割近くを占めていたメイン取引先の売上高が半分以下に激減し、予断を許さない状況から支援を開始した。それまでの流通を見直し、業界としては異例の試みで季節セールを撤廃。原価計算と値付けの高精度化により、売上総利益率を2.9倍に伸ばした。これによって売上高は微減したものの利益金額を増加させ、N社は危機を脱することができた。加えて、自社の廃棄衣料をゼロにし、消費者への啓発活動も行う「捨てないアパレル ® 」の取組は、県のビジネスプランコンテストで最優秀賞を受賞。これらの事業推進はA氏と後継者の二人三脚で行い、その経験を基に事業承継が実現した。
<経営診断の知見やスキルをいかり所属企業内で活躍する若手診断士>
30代の女性診断士K氏は、IT企業で営業担当として従事している中で、コンサルティング領域のスキルを習得する必要性を感じ、診断士資格の勉強を開始。診断士資格の取得を目指していることを社内の上層部に伝えたため、意欲的な社員として期待値が高まり、目線の高い業務へのアサインが増加した。具体的には、社内から選抜された社員を集めたプロジェクトにアサインされ、食品インダストリーでのホワイトペーパー作成を担当した。作成に当たっては、業界における外部環境の変化を踏まえた上で、当社が考えるDXアジェンダを整理する必要があり、診断士資格取得を通じて得た知識や論理的思考力を活用。新規顧客の獲得や既存顧客に対して認識の変化を促すことを主な目的とし、中長期での目線を踏まえつつ、足下の事業課題にどのように対応していくのかを記載する方針とした。
所属企業から資格勉強で得た知識は企業内でもいかされていることが認められたと感じており、診断士資格取得後は昇進を果たした。当社では兼業が認められているため、今後は兼業先で得た気づきや学びを社内で活用するなど、積極的に相乗効果を生み出すべく検討している。
2. 経営者ネットワーク
中小企業庁が実施した研究会 16 では、経営者の成長意欲の醸成やスキル獲得の取組に当たり、優れた経営者との交流によるモチベーション向上がきっかけになる可能性を述べている。本項では経営者ネットワークに着目した分析を行う。
に参加している事業者の割合を見たものである。これを見ると、「全体」では約7割の事業者が「参加している」と回答している。また、企業規模別に見ると、「中規模企業」は「小規模事業者」に比べて「参加している」と回答した事業者の割合が高いことが分かる。
①経営者ネットワーク 17 の活用
第2-1-74図は、経営者が経営者ネットワーク
第2-1-74図 経営者ネットワークへの参加状況(企業規模別)
| 企業規模 | 参加している (%) | 参加していない (%) |
|---|---|---|
| 全体 (n=24,588) | 70.2% | 29.8% |
| 中規模企業 (n=13,932) | 76.8% | 23.2% |
| 小規模事業者 (n=10,656) | 61.5% | 38.5% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
16 中小企業庁「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会 第2次中間報告書」(2024年6月)。以下、本章における「研究会」は同研究会を指すものとする。
17 ここで「経営者ネットワーク」は、他社の経営者や経営幹部との交流を目的とした社外のコミュニティを指す。
ここからは、経営者ネットワークについて、「同業種・同域ネットワーク」、「同業種・広域ネットワーク」、「異業種・同域ネットワーク」、「異業種・広域ネットワーク」の四つの属性に分けて分析を行っていく(第2-1-75図)。
第2-1-76図は、経営者ネットワークに「参加している」と回答した事業者において、最も頻繁
に参加している経営者ネットワークの属性の構成割合を見たものである。「異業種・同域ネットワーク」が最多で36.4%、「同業種・同域ネットワーク」と「異業種・広域ネットワーク」が2割強で同程度、「同業種・広域ネットワーク」が最も少なく16.5%となっている。
第2-1-75図 経営者ネットワークの属性分類図
| 業種 | |||
|---|---|---|---|
| 主に同業種のネットワーク | 異業種も交えたネットワーク | ||
| 地域 | 主に同地域のネットワーク | 同業種・同域ネットワーク | 異業種・同域ネットワーク |
| 地域を越えたネットワーク | 同業種・広域ネットワーク | 異業種・広域ネットワーク | |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)ここでの「同地域」とは所在の都道府県内を指す。
第2-1-76図 経営者ネットワークの属性の構成割合
(n=17,254)
| 属性 | 割合 |
|---|---|
| 同業種・同域ネットワーク | 22.3% |
| 同業種・広域ネットワーク | 16.5% |
| 異業種・同域ネットワーク | 36.4% |
| 異業種・広域ネットワーク | 24.8% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. 経営者ネットワークに「参加している」と回答した事業者に聞いたもの。
2. 複数のネットワークに参加している場合は、最も頻繁に参加しているネットワークについて聞いている。
第2-1-77図は、最も頻繁に参加している経営者ネットワークの属性別に参加経緯を見たものである。他のネットワークと比較して高い割合の回答に着目すると、「異業種・広域ネットワーク」では、「自身で探索」して入会している割合が比較的高い。また、「異業種・同域ネットワーク」では「経営者仲間からの紹介」、「支援機関・金融機関からの紹介」の割合が比較的高く、各機関が
所管地域で運営しているネットワークが想定される。「同業種・広域ネットワーク」では「取引先(販売先・仕入先)からの紹介」の割合が高く、業界団体等のネットワークが想定される。「同業種・同域ネットワーク」は「自分の意思に関わらず入会(地域・業界などのコミュニティ)」の割合が比較的高い。
第2-1-77図 経営者ネットワークへの参加経緯(経営者ネットワークの属性別)
| 経営者ネットワークの属性別 | 経営者仲間からの紹介 | 取引先(販売先・仕入先)からの紹介 | 支援機関・金融機関からの紹介 | 自身で探索 | 自分の意思に関わらず入会(地域・業界などのコミュニティ) | その他 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 異業種・広域ネットワーク (n=4,196) | 37.8% | 17.8% | 15.7% | 18.0% | 6.6% | |
| 異業種・同域ネットワーク (n=6,174) | 38.7% | 11.0% | 24.1% | 7.8% | 14.4% | |
| 同業種・広域ネットワーク (n=2,798) | 23.3% | 41.1% | 8.8% | 15.0% | ||
| 同業種・同域ネットワーク (n=3,754) | 26.7% | 27.6% | 9.6% | 8.3% | 22.1% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.経営者ネットワークに「参加している」と回答した事業者に聞いたもの。
2.経営者が最も頻繁に参加しているネットワークへの参加に至った経緯について、「その他」は、「自身で立ち上げた」、「その他」と回答した事業者の合計。
②経営者ネットワーク活用の効果
第2-1-78図は、最も頻繁に参加している経営者ネットワークの属性別に、経営者ネットワークへの参加によって最も得られた効果について確認したものである。「異業種・広域ネットワーク」では「成長に向けた新たな発想を得た」、「成長意欲が高まった」といった成長に関する選択肢への回
答割合が高い。広域に様々な経営者と関わりながら成長意欲の向上につながっていることが示唆される。また、「同業種・同域ネットワーク」や「異業種・同域ネットワーク」では、「経営の悩みを共有できた」の割合が比較的高く、地域特有の経営課題等の共有の場として有益な可能性がある。
第2-1-78図 経営者ネットワークへの参加で最も得られた効果(経営者ネットワークの属性別)
| 経営者ネットワークの属性別 | 成長に向けた新たな発想を得た | 成長意欲が高まった | ビジネスチャンスにつながった | 経営の悩みを共有できた | その他 | 特に効果を感じていない |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 異業種・広域ネットワーク (n=4,276) | 28.1% | 25.6% | 17.6% | 15.4% | 8.7% | 4.6% |
| 異業種・同域ネットワーク (n=6,282) | 18.1% | 20.7% | 17.0% | 24.2% | 10.9% | 9.2% |
| 同業種・広域ネットワーク (n=2,848) | 22.9% | 19.7% | 18.5% | 22.3% | 8.6% | 8.1% |
| 同業種・同域ネットワーク (n=3,848) | 15.4% | 16.9% | 16.2% | 28.0% | 9.8% | 13.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. 経営者ネットワークに「参加している」と回答した事業者聞いたもの。
2. 経営者ネットワークに参加することによって最も得られた効果について、「その他」は、「経営の悩みの解決策を得られた」、「優良な支援機関の紹介を受けられた」、「その他」と回答した事業者の合計。
第2-1-79図は、最も頻繁に参加している経営者ネットワークの属性別に、経営者のリスクリングへの取組状況を見たものである。これを見ると、「異業種・広域ネットワーク」に参加している事業者は「取り組んでいる」と回答した割合が高く、かつ、「取り組んでおらず、今後も取り組む意向はない」の割合が低い。また、「同業種・
広域ネットワーク」に参加している事業者についても、「全体」と比較して同様の傾向が見られる。第2-1-78図で示唆された、広域に様々な経営者と関わることで高まった成長意欲が、経営者のリスクリングという行動として顕在化している可能性がある。
第2-1-79図 経営者のリスクリングへの取組状況(経営者ネットワークの属性別)
| 属性別 | 取り組んでいる | 取り組んでいないが、数年のうちに取り組む意向 | 取り組んでおらず、今後も取り組む意向はない |
|---|---|---|---|
| 全体 (n=17,254) | 41.1% | 35.7% | 23.2% |
| 異業種・広域ネットワーク (n=4,276) | 51.1% | 33.6% | 15.4% |
| 異業種・同域ネットワーク (n=6,282) | 38.8% | 35.5% | 25.7% |
| 同業種・広域ネットワーク (n=2,848) | 42.2% | 36.2% | 21.6% |
| 同業種・同域ネットワーク (n=3,848) | 32.9% | 38.0% | 29.1% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)経営者ネットワークに「参加している」と回答した事業者に聞いたもの。
第2-1-80図は、最も頻繁に参加している経営者ネットワークの属性別に、事業者の売上高の変化率(中央値)を見たものである。特に「異業種・広域ネットワーク」は他のネットワークと比べて高い水準であることが分かる。また、「同業
種・広域ネットワーク」も比較的高い水準にある。この調査結果から一概にはいえないが、これまで述べてきたような経営者の成長意欲の高まりが、結果として売上高の成長につながっている可能性がある。
第2-1-80図 売上高の変化率(経営者ネットワークの参加状況・属性別、中央値)
A horizontal bar chart showing the median sales growth rate for different types of business networks. The y-axis lists five categories with their sample sizes in parentheses. The x-axis shows the growth rate in percentage from 0 to 12. The bars are blue, and the exact percentage value is displayed at the end of each bar.
| ネットワーク属性 | サンプル数 (n) | 売上高の変化率 (%) |
|---|---|---|
| 異業種・広域ネットワーク | 3,178 | 11.2 |
| 異業種・同域ネットワーク | 4,204 | 6.1 |
| 同業種・広域ネットワーク | 2,382 | 7.2 |
| 同業種・同域ネットワーク | 2,933 | 5.3 |
| 経営者ネットワークに参加していない | 4,876 | 5.5 |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)売上高の変化率は、2023年と2018年を比較して算出したもの。
③まとめ
本項では、経営者ネットワークに着目した分析を行った。特に「異業種」や「広域」といった、自身とは境遇の異なる様々な経営者と関わる機会は、経営者の成長意欲を高め、経営者のリスクキリングといった行動にもつながっている可能性が確
認された。また、こうして高まった成長意欲が業績にも好影響を及ぼしている可能性が見て取れた。
事例2-1-9では、異業種・広域の経営者ネットワークへの参加により、成長意欲を高めたことが企業風土の変革にもつながり、成長を実現している企業の事例を紹介する。
事例
2-1-9
経営者ネットワークでの意識変革を成長につなげている企業
所在地 奈良県葛城市
従業員数 71名
資本金 3,000万円
事業内容 飲料・たばこ・飼料製造業
梅乃宿酒造株式会社
▶ 酒類需要の減少に直面しつつも変わらない自社に問題意識を抱く
奈良県葛城市の梅乃宿酒造株式会社は、1893年創業の老舗酒蔵である。近年では、梅酒をはじめとした日本酒仕込みのリキュール「梅乃宿あらごし」シリーズが人気商品となっている。2013年に同社の社長に就任した5代目の吉田佳代社長は、人口減少やライフスタイルの変化による国内の酒類需要の減少から、自社の今後の売上げに不安を感じていた。一方、長い歴史の中で築き上げた相応の収益基盤によって社員には危機感が乏しく、経営幹部と共に自社の変革実現を議論する会議も頓挫してしまった。ただ、吉田社長はこの会議を通じて、自社が変わらない原因は社員ではなく、経営者である自分自身にこそ変革を進める覚悟がなかったことに気が付いたという。
▶ 自身の経営の固定観念から解放。成長意欲が駆り立てられ、変革に取り組む
吉田社長は自身を変革するために、高い数値目標を掲げる成長意欲にあふれた若手起業家が各地から集まる経営者ネットワークに飛び込んだ。最も自身を高めてくれそうなネットワークを能動的に探索したという。「外から見ていてすごいと思っていた経営者の方も、内情を話し合うと意外と自分と共通した悩みもあった。いろんな経営をしている方がいて『こんなに自由でいいんだ』と視野が広がった」とネットワーク参加当時を振り返る。また、多様な経営者と切磋琢磨することは自身の成長意欲を駆り立て、自社と同程度や自社よりも小さな規模の企業が挑戦して成長する様子に競争心と成長への覚悟を再認識することとなった。成長を目指すに当たっては、明確に高付加価値化による売上げ・利益拡大の方針を打ち出し、推進する覚悟を決めた。「売上高 = 顧客に喜んでもらった数」、「利益 = 自分たちの付加価値への評価」と定義した上で、売上高と利益の両方を追求する必要があることを社員に改めて訴えた。社内では、「現状維持では落ちるだけ」という問題意識を明確に提起し、売上高と利益を追求する重要性を浸透させるため、中期計画も従来の保守的な計画から高い目標に変更した。吉田社長の成長意欲は徐々に社員の意識変革も引き起こし、1年半ほど前には社員から「10年後の売上高200億円を目指す」という高い目標が出されるまでになったほか、幅広い層の社員の前向きな発言が目に見えて増えているという。
▶ 経営者自身の変革は会社の変革にもつながり、売上増加や人材確保、組織の活性化が実現
現在ではその大きな目標を1年単位の計画に落とし込みながら全社で挑戦しており、直近2024年6月期の売上高は過去最高の約30億円に到達した。国内の酒類需要が減少傾向にある中、海外展開を強化して旺盛な需要を獲得することで成長につなげている。また、吉田社長の成長志向に共感して大企業等からも新たなメンバーが加わり、社内の雰囲気は更に活性化している。「企業は経営者の『器』以上には成長しないとよく言われる。経営者ネットワークにおける様々な経営者との関わりは、自身の『器』を大きくしてくれた。また、ネットワークで得た『経営者の覚悟』、『良いお手本』は企業の成長に欠かせない。『経営者の覚悟』がなければ会社の成長は実現できない。『良いお手本』がなければ、正しい成長にはつながらない。当社は、これらをかして更なる成長を遂げていきたい」と吉田社長は語る。
吉田佳代社長
「梅乃宿あらごし」シリーズ
社内会議の様子
3. 事業承継
研究会では、経営者年齢が若い企業ほど、新事業分野進出に取り組んだ企業の割合が高いことや、事業承継実施後の成長率は同業種平均値を上回るといったデータもあることから、事業承継による代替わりは新しい挑戦へのきっかけであると指摘している。本項では事業承継の状況や事業承継に向けた体制構築、事業承継をきっかけとした変化について分析を行っていく。
①事業承継の状況
第2-1-81図は、50歳以上の経営者について、経営者の年代別に後継者の選定状況を確認したものである。経営者の年代が上がるにつれて、後継者が決定している割合が高まっており、事業承継に備えている様子がうかがえる。
第2-1-81図 後継者の選定状況(経営者の年代別)
| 経営者の年代 | 後継者が決まっている(本人の了承を得ている) | 後継者候補はいるが、本人の了承を得ていない | 事業承継したいが後継者は未定 |
|---|---|---|---|
| 80歳以上 (n=495) | 63.4% | 14.5% | 22.0% |
| 70歳代 (n=2,791) | 58.5% | 15.4% | 26.1% |
| 60歳代 (n=5,430) | 48.2% | 19.3% | 32.6% |
| 50歳代 (n=4,918) | 30.3% | 23.8% | 46.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.後継者の選定状況について、「事業承継は検討していない」と回答した事業者は除く。
2.「後継者候補はいるが、本人の了承を得ていない」は、複数の候補者で検討中の場合を含む。
第2-1-82図は、50歳以上の経営者について、売上高規模別に後継者の選定状況を見たものである。これを見ると、売上高規模間で後継者の選定状況に大きな違いは見られない。事業承継は一朝
一夕にはいかず、特に取引先や従業員等のステークホルダーが多い売上高規模が大きな事業者では、早めに事業承継に備えることが重要だと考えられる。
第2-1-82図 後継者の選定状況(売上高規模別)
| 売上高規模 | 後継者が決まっている(本人の了承を得ている) | 後継者候補はいるが、本人の了承を得ていない | 事業承継したいが後継者は未定 |
|---|---|---|---|
| 100億円以上 (n=322) | 47.8% | 23.0% | 29.2% |
| 50億円以上100億円未満 (n=562) | 44.7% | 27.6% | 27.8% |
| 10億円以上50億円未満 (n=3,501) | 48.2% | 20.7% | 31.1% |
| 10億円未満 (n=9,243) | 42.8% | 19.1% | 38.1% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
-
(注)1.後継者の選定状況について、「事業承継は検討していない」と回答した事業者は除く。
2.「後継者候補はいるが、本人の了承を得ていない」は、複数の候補者で検討中の場合を含む。
3.経営者年齢について、「29歳以下」、「30代」、「40代」と回答した事業者は除く。
4.ここでの売上高は、直近(1期前)の売上高に基づいて集計している。「事業を開始していない」と回答した事業者は除く。
第2-1-83図は、企業類型 18 別に後継者の選定状況を見たものである。「同族企業」は、他の類型に比べて「後継者が決まっている(本人の了承を得ている)」割合が高いことが分かる。また、
「パブリック企業」、「所有と経営の分離企業」では、「後継者候補はいるが、本人の了承を得ていない」、「事業承継したいが後継者は未定」を合わせた割合が高い。
第2-1-83図 後継者の選定状況(企業類型別)
| 企業類型 | 後継者が決まっている(本人の了承を得ている) | 後継者候補はいるが、本人の了承を得ていない | 事業承継したいが後継者は未定 |
|---|---|---|---|
| 同族企業 (n=10,586) | 46.4% | 19.5% | 34.1% |
| パブリック企業 (n=1,838) | 33.8% | 23.9% | 42.3% |
| 所有と経営の分離企業 (n=807) | 34.6% | 21.4% | 44.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
-
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.後継者の選定状況について、「事業承継は検討していない」と回答した事業者は除く。
3.「後継者候補はいるが、本人の了承を得ていない」は、複数の候補者で検討中の場合を含む。
18 企業類型の詳細については、第2-1-30図を参照。
次に、「後継者が決まっている(本人の了承を得ている)」事業者における後継者の属性について、企業類型別に確認する。第2-1-84図は、現
経営者と後継者の親族関係、後継者の勤務状況から、後継者の属性を四つに分類したものである。
第2-1-84図 後継者の属性分類図
| 現経営者と後継者の親族関係 | |||
|---|---|---|---|
| 親族 | 親族ではない | ||
| 勤務状況 | 常勤している | 親族内承継(社内人材) | 親族外承継(社内人材) |
| 非常勤又は自社に勤務していない | 親族内承継(外部人材) | 親族外承継(外部人材) | |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)ここで「親族」とは、6親等内の血族、若しくは3親等内の姻族関係にあることを指す。
第2-1-85図を見ると、「同族企業」では「親族内承継(社内人材)」を予定している割合が高く、事業承継に備え、親族が社内で経験を積んでいる様子が見て取れる。一方、「同族企業」であっても「親族外承継(社内人材)」も一定数存在しており、親族外承継が選択肢となっていることが分
かる。また、「パブリック企業」、「所有と経営の分離企業」であっても親族内承継が一定の選択肢となっていることが確認される。「所有と経営の分離企業」では、現状を継続する親族外承継が比較的高い割合を占めていることが見て取れる。
第2-1-85図 後継者の属性(企業類型別)
| 企業類型 | 親族内承継(社内人材) | 親族内承継(外部人材) | 親族外承継(社内人材) | 親族外承継(外部人材) |
|---|---|---|---|---|
| 同族企業 (n=4,907) | 74.1% | 14.6% | 10.6% | 0.7% |
| パブリック企業 (n=621) | 44.3% | 7.9% | 43.6% | 4.2% |
| 所有と経営の分離企業 (n=279) | 25.8% | 5.0% | 59.1% | 10.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者聞いたもの。
2.後継者の選定状況について、「後継者が決まっている(本人の了承を得ている)」と回答した事業者聞いたもの。
第2-1-86図は、2代目以降で40歳代以下の経営者において、事業承継後に効果があった取組を見たものである。「新たな感性や考え方の導入」、「社内の雰囲気の変化」などに効果を感じている
割合が高いことが分かる。若い経営者への事業承継を機に組織風土に前向きな変化が生じている可能性が見て取れる。
第2-1-86図 事業承継後に効果のあった取組(40歳代以下の経営者)
(n=4,176)
| 取組 | 割合 |
|---|---|
| 新たな感性や考え方の導入 | 42.7% |
| 社内の雰囲気の変化 | 36.9% |
| 経営管理の改善 | 36.8% |
| 組織体制の変化 | 35.5% |
| 新規事業への挑戦 | 26.9% |
| 経営判断の迅速化 | 25.3% |
| 既存事業の見直し | 24.4% |
| その他 | 2.6% |
| 特にない | 18.1% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
2.経営者が何代目かを聞いた設問で、「2代目」、「3代目」、「4代目」、「5代目以上」と回答した事業者に聞いたもの。
3.経営者年齢について、「29歳以下」、「30代」、「40代」と回答した事業者について集計したもの。
②まとめ
本項では事業承継への取組状況と後継者属性、承継後の変化等について確認した。経営者の年代が上がるほどに、後継者選定など事業承継への取組が進んでいる様子が見て取れたものの、売上高規模による取組差異は小さいことが分かった。また、後継者の属性を見ると、「同族企業」では親族を候補とする企業が多いものの、親族関係にな
い社内人材からの登用を検討している企業も一定数存在していることが確認された。さらに、若い経営者への事業承継は、新たな考え方の導入や社内の雰囲気の変化へのきっかけになるなど、ポジティブな転換点となる可能性がある。
事例2-1-10では、事業承継を機に、生産性向上やGXに大胆に取り組むことで成長を実現している企業の事例を紹介する。
事例
2-1-10
事業承継を機に、DXによる大胆な生産性向上とGXに取り組んだ企業
所在地 福島県喜多方市
従業員数 143名
資本金 7,000万円
事業内容 金属製品製造業
マツモトプレシジョン株式会社
▶ 人口4万人都市の人材不足を懸念、賃上げに向け「稼ぐ力」強化に取り組む
福島県喜多方市のマツモトプレシジョン株式会社は、金属材料の調達から切削・研削加工・熱処理などを一貫して行っている企業である。空気圧制御部品を主力とし、自動車や半導体製造装置をエンドユーザーに持つ、1948年創立の老舗企業だ。松本敏忠社長は創業家である松本家の娘婿として2014年に入社し、2017年に4代目社長に就任した。松本社長は入社直後から、人口約4万人の喜多方市に所在する同社にとって、将来にわたって安定的に人材を確保することへの強い課題意識を持っていた。「会社を持続可能なものにするには、人材から選ばれる会社にならなくてはならない。そのためには賃上げなどの待遇改善が重要だ」という考えから、「地域社会に認められるリーディング・カンパニーを目指す」というビジョンを新たに掲げ、DXによる生産性向上とGXによるSDGs対応を同時に進め、賃上げ原資を確保するための「稼ぐ力」の強化に大胆に取り組んだ。
▶ DXによる生産性向上とGXによるSDGs対応への大胆な変革
生産性の面では、同社の前近代的であった生産現場を抜本から見直した。松本社長の就任当時は、ベテラン社員による経験値で原価管理がなされており、松本社長は「いわゆる『どんぶり勘定』だった。データがなく、人によって利益の評価が異なっていた」と振り返る。さらに、工場では作業進捗を手書きで管理するなど、業務のうち約2割が製造以外の事務作業に費やされていたという。松本社長は、製品ごとの原価を正しく把握した上で無駄を省いて生産性を高めるべく、2018年に製造原価のデータベース化構想を経営方針会議で打ち出し、全社を巻き込んで業務の棚卸しに取り組んだ。2021年、地元企業・大学・大手IT企業が共に開発した中小企業向けの基幹統合システムプラットフォーム(CMEs)を、同社が第1号としてサブスクリプション型で導入。製品ごとの原価把握が可能になり、低採算事業を中心に生産品目を約半減させ、高採算事業にリソースを集中する体制に舵を切った。さらに、約50台の設備を省力化設備に刷新するとともに、作業進捗をタブレット端末で管理することで時間の掛かっていた手書き作業を削減するなど、製造現場の改善にも取り組んできた。こうした事業承継を契機とする大変革も、賃上げという目的を明確にしたことで既存従業員からの目立った反発はなく全社一丸で推進することができたという。また、GXでは、2021年に自家消費型PPA(電力販売契約)で東北地方最大規模のソーラーカーポートを設置し、100%再生可能エネルギーで賄う工場を実現。2024年にはCMEsとの連携で製品別のCO2排出量を示すカーボンフットプリントも算出可能な体制にまできている。
▶ 従業員の基本給4%アップを達成、持続可能な会社を作る
会社を一から作り直す覚悟で挑んだ生産性向上策の結果が表れ、松本社長の就任時と比べ、足下の利益率は3割近く上昇した。2022年度は全従業員を対象に4%のベースアップを実施し、その後も賃上げを継続することで、生産性向上で生じた利益を従業員へ還元。結果として採用増加や定着率向上にもつながっている。さらに、GXの取組は特に大手企業からの評価が高く、新たな引き合いも増加しているという。今後はロボット等による工場自動化を進め、「ザ・サステナブルファクトリー」を目指す方針だ。「生産性改善やGXは手段だ。地域やユーザーから選ばれる会社になる。その目的のために必要な取組を継続していくことが大切だ」と松本社長は語る。
松本敏忠社長
主力の空気圧制御部品
DXが進む現場
第6節 まとめ
本章では、中小企業の成長・発展に求められる「経営力」に着目した分析を行った。
第1節では、自社の経営資源と外部環境の分析をベースとした経営戦略が成長・発展に有効である可能性が示された。また、戦略を実行するための経営計画の策定も同様に重要であり、長期的な視野で投資や人材確保に向けた戦略を検討し、不断に見直していくことの重要性も確認された。
第2節では、経営の透明性・開放性への取組について分析を行った。従業員への経営理念・ビジョンや経営情報の共有は、従業員の主体性醸成等につながり、業績向上や人材定着に寄与する可能性が見て取れた。また、経営状態を可視化できる管理体制により、コスト把握を通じた価格転嫁やコストマネジメントが進み、収益性改善につながる可能性も見られた。開放性という観点では、社外への経営課題の共有・相談も業績改善に寄与する可能性が示された。
第3節では、経営者属性と株主構成を基準に企業を類型化し、経営の透明性、ガバナンス体制構築等への取組差異について分析を行った。これらの取組は、「同族企業」に比べて「パブリック企業」、「所有と経営の分離企業」の方が進んでいることが確認された。ガバナンス体制構築による内
外の目を入れた経営は成長やリスク管理につながる可能性も示されており、意識的に取組を推進すべき課題といえよう。
第4節では、中小企業が強い課題意識を持つ人材確保に着目した分析を行った。賃金が人材確保に好影響を及ぼす可能性が確認でき、魅力ある賃金体系を築くための原資とすべく付加価値を高めることが求められる。また、賃金のみによらず、働き手に選ばれる事業者になることも重要だ。採用における自社の魅力を伝える取組、仕事のやりがい、働き方改善、円滑な社内コミュニケーションは人材確保の一助となる可能性がある。
第5節では、これらの取組遂行において、最も重要なファクターであろう経営者に着目した分析を行った。経営者のリスクリングは業績に好影響を及ぼしている可能性が見て取れた。また、経営者の学びの姿勢は組織文化に昇華し、組織全体として人材育成・学びの風土醸成につながっている可能性も確認されている。経営者の成長意欲を高める上では、経営者ネットワークの活用も有効だ。特に、自身と境遇の異なる様々な経営者と関わる機会が成長意欲を高めることに効果的である可能性が示された。さらに、若い経営者への事業承継が前向きな変化を起こす可能性も確認された。
スケールアップへの挑戦
第2部第1章では、厳しい経営環境下において、中小企業・小規模事業者が成長・発展を遂げるためには「経営力」を高めることが重要であることを確認した。中小企業・小規模事業者が「経営力」を振りながら生産性を高め、賃上げ等により人材を確保し、投資を積極的に進めながら、地域経済を先導するような企業、輸出等により外需を獲得する企業へと成長を果たすことが我が国経済・地域経済のより一層の発展につながっていく。
本章では、経済産業省「企業活動基本調査 19 」や中小企業・小規模事業者を対象としたアンケート「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査 20 」等を用いて、積極的かつ継続的に賃上げや投資に取り組むことができるような、一定企業規模への成長(以下、「スケールアップ」という。)を実現するための、中小企業の経営戦略や投資行動等について分析を進めていく。
第1節 成長する中小企業が我が国経済に与える影響
中小企業庁の研究会 21 では、「賃上げ・投資を積極的・継続的に行うには、一定の企業規模への成長が必要」と述べた上で、売上高100億円規模の企業(以下、「100億企業」という。)へのスケールアップを一つの目標水準であるとしている。
本節では、100億企業に着目した分析を通じて、中小企業がスケールアップを実現することによる我が国経済への影響を、賃上げ、域内経済への貢献度合い、輸出による外需の獲得という三つの観点から確認していく。
19 経済産業省「企業活動基本調査」は、従業員50人以上かつ資本金又は出資金3,000万円以上の企業を対象とした調査である。本調査の概要は、経済産業省のホームページを参照のこと。 https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kikatu/index.html
20 (株) 帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」:(株) 帝国データバンクが2024年11月から12月にかけて、以下の事業者を対象に実施したWebアンケート調査。以下、本章における「アンケート調査」は、本調査を指すものとする。
・全国75,000者の事業者【有効回答数:17,848者、回収率23.8%】
※調査を進める中で判明した大企業170社を除いた中小企業・小規模事業者17,678者について分析を行った。
・商工会及び商工会議所の会員である小規模事業者【有効回答数:6,910者】
21 中小企業庁「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会 第2次中間報告書」(2024年6月)。以下、本章における「研究会」は同研究会を指すものとする。
1. 賃上げ
最初に、スケールアップの実現が賃上げにどのような影響を及ぼしているかという点を確認していく。
第2-2-1図は、中小企業庁「中小企業実態基本調査」を用いて、中小企業の売上高規模(以下、
「スケール」という。)別の従業者一人当たり人件費の水準について確認したものである。これを見ると、スケールが大きくなるほど、賃金水準も高くなる傾向が見て取れる。
第2-2-1図 従業者一人当たり人件費(スケール別)
| 売上高規模 | 従業者一人当たり人件費(百万円) | サンプル数 (n) |
|---|---|---|
| 1億円以下 | 2.3 | 999,879 |
| 1億円超~10億円以下 | 3.5 | 540,492 |
| 10億円超~50億円以下 | 4.2 | 84,169 |
| 50億円超~100億円以下 | 4.5 | 11,269 |
| 100億円超 | 4.5 | 6,675 |
資料:中小企業庁「中小企業実態基本調査」(令和4年度決算実績)再編加工
(注)1. 従業者一人当たりの人件費は、人件費総額を従業者数で除して算出している。人件費総額は売上原価のうち労務費、販売費及び一般管理費のうち人件費の合計である。
2. 法人企業を対象に集計している。また、標本調査である関係上、本分析のnは推計値である。
次に、賃上げの実施状況を確認していく。第2-2-2図は、アンケート調査を用いて、スケール別の賃上げ率を確認したものである。これを見ると、スケールが大きくなるほど、より高い賃上げ率を達成している事業者の割合が高まっているこ
とが分かる。
これらの調査結果から一概にはいえないが、スケールアップの実現は、従業員の待遇向上に寄与している可能性がある。
第2-2-2図 賃上げ率(2024年における正社員一人当たりの平均賃金、スケール別)
| スケール (n) | 10%以上 | 5%以上~10%未満 | 3%以上~5%未満 | 0%超~3%未満 | 据え置き (0%) | 減少 | 正社員はいない |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=16,641) | 2.0% | 10.7% | 26.9% | 27.9% | 19.4% | 12.5% | |
| 10億円以上~50億円未満 (n=6,015) | 2.1% | 15.6% | 43.0% | 33.6% | 5.4% | ||
| 50億円以上~100億円未満 (n=911) | 2.0% | 18.7% | 46.0% | 30.4% | 3.0% | ||
| 100億円以上 (n=575) | 3.1% | 18.8% | 48.0% | 26.6% | 3.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 1.正社員(経営者、役員、パート・アルバイト、派遣・下請従業員等含まない)一人当たりの平均賃金について聞いたもの。
2.スケールは、回答時点(今期見通し)のもの。
2. 域内経済への貢献度合い
続いて、企業がスケールアップを実現することによる域内経済への貢献度合いについて、域内取引の観点から確認していく。
第2-2-3図は、中小企業の域内仕入高及び域内仕入率について、スケール別に確認したものである。これを見ると、「域内仕入高」と「域内仕入
率」のいずれも、「100億円超~200億円以下」において最も高いことが分かる。
この調査結果から一概にはいえないが、スケールアップを実現した企業は、地域のサプライチェーンの中で域内需要を創出し、地域経済を牽引する役割を果たしている可能性が示唆される。
第2-2-3図 域内仕入高・域内仕入率(スケール別)
| スケール別 | 域内仕入高 (左軸) (百万円) | 域内仕入率 (右軸) | サンプル数 (n) |
|---|---|---|---|
| 1億円以下 | 5 | 10.7% | 104,295 |
| 1億円超~10億円以下 | 26 | 9.0% | 268,549 |
| 10億円超~50億円以下 | 193 | 10.4% | 75,076 |
| 50億円超~100億円以下 | 747 | 11.0% | 12,678 |
| 100億円超~200億円以下 | 1,601 | 11.9% | 7,018 |
資料:(株)帝国データバンク「企業概要ファイル」、「取引シェア推計データ」再編加工
(注)1.「域内仕入高」は本社が所在する都道府県内からの仕入高(中央値)。「域内仕入率」は売上高に占める「域内仕入高」の割合(中央値)。
2.(株)帝国データバンクが調査・保有する企業データベースに企業情報が収録されている企業のうち、2023年の売上高及び域内仕入高の両方が確認できる企業について集計している。「域内仕入高」について、企業の取引関係は(株)帝国データバンクが過去3年以内に調査を行い把握できたものに限り集計している。
3.会社法上の「会社」に該当する企業(株式会社・合資会社・合名会社・合同会社のほか、有限会社を含む。)に限定して集計している。
3. 輸出による外需の獲得
次に、スケールアップと輸出の関係性について確認する。
第2-2-4図は、アンケート調査の結果を用いて、スケール別に輸出実施状況を確認したものである。
これを見ると、スケールが大きくなるほど、輸出の実施割合が高くなる傾向にあり、「100億円以上」では約4割の事業者が輸出を実施していることが分かる。
第2-2-4図 輸出の実施状況(スケール別)
| スケール | 直接輸出を実施している | 間接輸出を実施している | 輸出していたが、今はしていない | 実施したことがない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=17,106) | 3.6% | 6.4% | 3.0% | 87.0% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,934) | 9.7% | 11.1% | 5.3% | 73.9% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=917) | 15.8% | 14.0% | 5.0% | 65.2% |
| 100億円以上 (n=556) | 20.0% | 18.3% | 5.2% | 56.5% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここで「直接輸出」とは、「企業が自己又は自社名義で通関手続きを行った輸出」を指し、「間接輸出」とは、「自国内商社や卸売業者、輸出代理店等を通じて行った輸出」を指す。
2.「直接輸出」、「間接輸出」の双方に取り組んでいる場合は、いずれか売上高が大きい方の回答を集計している。
3.ここでスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
第2-2-5図は、中小企業庁「中小企業実態基本調査」により、中小企業の1社当たり直接輸出額をスケール別に確認したものである。これを見ると、輸出の実施割合と同様の傾向であり、スケールが大きくなるほど直接輸出額が大きくなること
が分かる。特に、「100億円超~200億円以下」は「50億円超~100億円以下」の約2.5倍の実績となっており、100億円企業は輸出による外需獲得に大きく貢献していることがうかがえる。
第2-2-5図 1社当たり直接輸出額(スケール別)
| スケール別 | 1社当たり直接輸出額(百万円) | サンプル数 (n) |
|---|---|---|
| 1億円以下 | 0.2 | 999,879 |
| 1億円超~10億円以下 | 1.5 | 540,492 |
| 10億円超~50億円以下 | 30.3 | 84,169 |
| 50億円超~100億円以下 | 137.4 | 11,269 |
| 100億円超~200億円以下 | 342.5 | 4,122 |
資料:中小企業庁「中小企業実態基本調査」(令和4年度決算実績)再編加工
(注)1.ここで「直接輸出」には、商社等を通じたモノの間接輸出やサービスの輸出を含まない。
2.法人企業を対象に集計している。また、標本調査である関係上、本分析のnは推計値である。
本節では、スケールアップを実現した企業の存在感について、賃上げ、域内経済への貢献度合い、輸出による外需の獲得という三つの観点から確認した。賃上げの観点では、スケールが大きくなるほど、従業者一人当たりの賃金水準及び足下の賃上げ率が高まっている傾向があり、スケールアップの実現は、従業員の待遇向上に寄与している可能性が示唆された。次に、域内経済への貢献度合いについて、域内取引の観点から確認したところ、スケールが大きくなるほど、域内仕入高及び域内仕入率が高いことが分かり、スケールアップを実現した企業は、地域のサプライチェーンの
中で域内需要を創出し地域経済を牽引する役割を果たしている可能性も示された。最後に、外需の獲得の観点についても同様に、スケールが大きくなるほど、輸出の実施割合や輸出額が高まることを確認した。
事例2-2-1では、優秀な人材の確保・育成と定着に向けた取組を進め、海外需要を取り込んでスケールアップを実現した企業の事例を紹介する。
事例2-2-2では、地域での良質な雇用創出と、現地企業との連携による地方サプライチェーンの活性化に貢献し、地域経済を牽引する企業の事例を紹介する。
事例
2-2-1
優秀な技術人材を育て上げ、スケールアップを実現した企業
所在地 京都府京都市
従業員数 125名
資本金 1億円
事業内容 生産用機械器具製造業
株式会社西村製作所
▶ 幅広い製品ラインナップと、取引先のニーズに応える技術力、メンテナンス体制が強み
京都府京都市の株式会社西村製作所は、多種多様なスリッターを製造する企業である。スリッターはシート状の材料を任意の幅に裁断する産業機械であり、身近なものではアルミホイルや粘着テープ、スマートフォンや電気自動車のリチウムイオン電池等の製造過程で使われている。同社は日本で初めてスリッターを製造した1950年代以来、布用、紙用、フィルム用等の多様な材料の切断に対応する製品を製造してきた経験から、幅広い製品ラインナップを有する。また、取引先のニーズに応えるオーダーメイドの製品設計及び製造を可能にしている高い技術力、手厚いメンテナンス体制を築いていることも同社の大きな強みである。
▶ 技術力の源泉である、優秀な人材の確保・育成と定着に向けた取組を進める
同社の技術力の源泉は、優秀な人材の存在である。まず、人材確保に当たっては、近隣の大学や工業高校とつながりを持ち、自社にマッチする人材を狙い撃ちで採用する方針をとっている。採用した若手人材の定着に向けては、風通しの良い職場づくりはもちろんのこと、入社3年までは定期面談を実施するといった取組の成果もあり、「大卒採用、高卒採用いずれも入社後3年以内の離職者を発生させていないため、大学や工業高校の信頼も厚く、それが次の優秀な人材の紹介につながっている」と同社の西村久人社長は話す。また、的確なOJT指導によりベテラン社員のノウハウを承継し若手社員の技術力をじっくりと高めながら、優秀な人材を確保・育成し、定着させてきた。同社の岡田則之常務は、「せっかく人材を育てても、辞めてしまったら意味がない。会社のパフォーマンスを維持・向上させるためには、離職率をいかに下げていくかが重要である」と話す。
▶ 技術人材を総動員し、海外需要を取り込んでスケールアップを実現
西村社長が「売上高の8割が海外売上げで、創業後の早い段階から海外市場の開拓に取り組んできた」と話すように、同社は「NISHIMURA」のネームバリューを地道に高め、海外需要を捉えてきた。
2020年以降に電気自動車の急速な普及という世界的な変化が訪れ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により海外渡航ができず競合他社が営業活動に取り組めない中で、感染症の感染拡大以前から営業活動を仕掛けていた同社は中国のバッテリーメーカーから大量の受注を獲得。2023年2月に新たに亀岡工場を新設して生産能力を増強しながら、同社が育て上げた優秀な技術人材50名を総動員することで、大量受注に対応することができた。このような成長機会をつかんだことで、売上高は2016年3月期の34億5,000万円から2022年3月期に71億円へ倍増、2024年3月期には200億円を突破し、大幅なスケールアップを実現した。売上拡大は社員への利益還元にもつながっており、定期昇給はもちろんのこと、2023年度の賞与は支給給与の8.5か月分という中小製造業では異例の数値である。「あらゆる分野の技術革新の波に負けないよう、人材育成の環境を整えながら一層技術力を高め、この先も更に成長していきたい」と西村社長は語る。
西村久人社長
セパレータフィルム用スリッター
社員旅行の集合写真
事例
2-2-2
“人”重視の投資で地域経済を牽引し、良質な雇用を生み出す企業
所在地 山梨県韮崎市
従業員数 274名
資本金 5,000万円
事業内容 電気機械器具製造業
株式会社ササキ
▶「人間の手でしか作れない分野」では、人材確保がカギ
山梨県韮崎市の株式会社ササキは、電気供給や信号用の電線を束にしたワイヤーハーネスを製造する企業である。半導体製造装置を中心に、航空・宇宙・防衛、自動車(レーシング)、理化学機器といった、特に高い信頼性が要求される四つの領域を対象に、高付加価値の製品を多品種少量生産・短納期で手掛けられることが強みだ。「(自社の製品は、)人間の手でしか作れない分野。はんだ付け一つでも品質を左右し得る」と佐々木啓二社長が語るように、細かい手作業が必要とされる同社製品の製造においては、人材確保がカギとなる。
▶取引先の需要増に対応すべく、人材確保・定着の取組を進める
2018年に主要取引先である半導体メーカーが宮城県で生産体制を増強したことに伴い、同社も宮城県に工場を建設し、半導体製造装置分野を山梨本部から増設することとなった。新たな土地で取引先の需要増に対応できる生産体制を構築するため、同社は人材の確保・定着に向けて様々な取組を行った。まず、毎年3.0~3.5%の定期昇給による賃上げを実施し、従業員への利益還元を進めながら、子育て世帯の女性が働きやすい環境を整備するため、フレキシブルな勤務体制の導入など就業規則の改正に取り組んだ。また、月額1万円の子ども手当を取り入れるなど、従業員からの要望を踏まえた職場環境の整備や福利厚生の充実等を進めた。その結果、2024年にはほぼ100%の従業員を現地で採用し、従業員数は220名に拡大。また、同社は地域での新たな雇用創出だけでなく、現地企業との協業連携を進めることで地方サプライチェーンの活性化に貢献し、地域経済を牽引する役割を担いつつある。
▶「山梨に『丸の内』を」をコンセプトに地域の良質な雇用を実現
さらに2023年には、自動車R&D分野、航空・宇宙・防衛分野を強化するため、山梨本部に新工場を建設。同工場を働きやすく誇れる職場とすべく、「山梨県韮崎市に『丸の内』をつくる」をコンセプトに掲げ、女性や若手の意見を多く取り入れ、広くすっきりした作業スペース、明るくモダンな休憩所、フィットネスジム、パウダールーム付き更衣室などを完備。現在では、女性比率は5割を超え、新卒採用では毎年必要な人数を確保しており、従業員の平均年齢は38歳と若手が多い。こちらも従業員は現地採用で、女性・若者を山梨に定着させており、良質な雇用を実現している。
今後は、生産力強化と並行して工場内のDXによる生産性の向上を進めながら、半導体の需要変動に左右されないよう、半導体製造装置以外の新分野の技術力も高めるために全社一丸で成長を続け、2031年の売上高110億円を目指している。「職場環境の評判が地域で広まっており、無理なく人材確保ができている。今後は年4.5%の賃上げを目指し、働きやすい職場環境を一層整備し従業員のエンゲージメントを高め、業績向上による従業員への還元という好循環を続けていきたい」と佐々木社長は語る。
佐々木啓二社長
山梨本部 外観
主力製品のワイヤーハーネス
コラム
2-2-1
中小企業の成長経営の実現に向けて
1. はじめに
中小企業庁は、令和5年度に引き続き、令和6年3月~5月にかけて、「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」(座長・沼上幹早稲田大学教授)(以下、「本研究会」という。)を開催し、中小企業が「100億企業 22 」への成長を目指すことの意義や重要性を示した令和5年度の中間報告書に続き、令和6年6月、成長志向の中小企業経営者を増やし、100億企業の創出を加速化するための政策の在り方を示す「第2次中間報告書」を公表した。本コラムでは、本研究会の多岐にわたる検討課題のうち、重点的な議論が行われた、「成長機会の発掘・成長に資する経営者ネットワーク」を取り上げるとともに、100億企業への成長に向けて基盤となる要素として集中的に議論された、「成長資金の調達」及び「人材の確保・育成と組織体制の構築」に関するトピックについて紹介する。
2. 成長志向の経営者を増やすためのアプローチに関する議論
(1)100億企業の売上高規模に応じた特徴と、サプライチェーンのポジションに応じた特徴的・共通の打ち手等の分析
本研究会では、「経営者自身が、現状の正確な理解と危機感を持つこと/これらと表裏の関係にある成長メリットを知ること」へのアプローチの一環として、100億企業の成長過程の分析を実施した。同分析は、2002年~2022年の間に売上高10~70億円台から売上高100億円以上へ成長した企業1,653社を抽出し、全体の傾向についてデータ分析を行うとともに、さらにその中から比較的100億企業の数が多く地域の偏在が少ない業種から企業を抽出し、この群に対比のための非成長企業を加えた合計200社 23 の個別の成長過程を分析することとした。
全体のデータ分析 24 では、100億企業への成長過程で、総資産に対する借入金の割合の低下及び利益剰余金の割合の増加など、自己資本比率が高まる傾向が見られたことから、自己資本比率を高めるために必要な経常利益率の向上のため、特定の取引相手に大きく依存しないビジネスモデルの構想や自社でイニシアチブを持つことが重要であるとの示唆が得られた。
個社の成長過程の分析では、100億企業がこれまでに売上高の規模に応じて、どのような課題に直面し、どのような打ち手を講じたかを一般化した。サプライチェーン上のポジションごとに特徴的な、又は共通の打ち手を整理したところ、「事業戦略の構想・推敲」、「設備投資」、「研究開発」、「組織・人材・M&A」及び「資金調達」の各領域で、共通の打ち手が見られた。
22 年間の売上高が100億円超の中小企業のこと指す。
23 成長企業140社、非成長企業60社の合計200社を抽出。成長企業は、100億企業数の多い製造業、卸売業・小売業を中心に選定している。成長のきっかけを探るため、売上高が3~5年程度、一定規模(10~20億円台、30~40億円台、50~60億円台)にとどまったことのある企業を抽出した。非成長企業は、成長企業の比較対象として、上記の業種において会社法上の「会社」に該当し、かつ直近10年間の売上高が、10~20億円台、30~40億円台、50~60億円台のいずれか一つの区分にとどまっている企業を抽出した。
24 100億企業1,653社に関して、売上高等の財務データや経営者情報等の定性面についても分析を行っている。
コラム 2-2-1 ①図 100 億企業 1,653 社の起点売上高と成長期間
| 売上高区分 | 1年以上-5年以下 | 6年以上-10年以下 | 11年以上-15年以下 | 16年以上-20年以下 | 合計 (N) |
|---|---|---|---|---|---|
| 10億円台 | 12 | 38 | 55 | 60 | 165 |
| 20億円台 | 27 | 58 | 73 | 54 | 212 |
| 30億円台 | 28 | 42 | 51 | 58 | 179 |
| 40億円台 | 33 | 54 | 61 | 62 | 210 |
| 50億円台 | 43 | 66 | 77 | 62 | 248 |
| 60億円台 | 65 | 98 | 62 | 54 | 279 |
| 70億円台 | 146 | 107 | 63 | 44 | 360 |
資料:中小企業庁「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会第2次中間報告書」
(2)成長機会の発掘・成長に資する経営者ネットワーク
100 億企業の売上高の規模に応じた課題や共通の打ち手等を整理した結果、これらの端緒となり得る、ノウハウなどに関する「気づき」を経営者が得るための「相談相手」や「学び」を考察するに至った。
支援機関や金融機関は、経営者が「気づき」や「学び」を得られる相談相手として引き続き重要な役割を担っている。また、これらに加えて、売上高の規模に限らず、「気づき」や「学び」を得られる存在として「他の経営者」も挙げられた。
他の経営者と積極的に交流し、「気づき」や「学び」を得て、課題の発見と打ち手を講じることに取り組み、自身の経験を他の経営者の「気づき」や「学び」にもつなげる、そのような循環的なネットワークが生まれることによって、個別の中小企業の成長だけでなく、「成長志向の経営者が増える」ことが期待される。
コラム
2-2-1 ②図
100億企業創出の加速に向けた「好循環」の仕組み
100億企業創出の加速に向けた「好循環」の仕組み
①100億企業を目指すことを表明
- ➤ 100億という高い目標を定め、表明することで、それを達成するための課題や戦略を研究する。
- ➤ 目標の公表により、世間の注目が集まることで、支援や助言、ビジネスチャンスを得やすくなる。
②100億企業を目指す経営者のネットワークを構築
- ➤ 地域や業種を超えた、多様・異質な経営者のネットワークであり、高い成長意欲を共有する。
- ➤ 100億達成に資する成長の視座・発想を得られ、高い成長を目指す経営者ならではの悩み・解決策を共有できる。
③優れた経営者を称揚
- ➤ 100億を目指す企業の中で、実績を上げた企業や特に優良な企業は、表彰等で経営者個人を称揚。
- ➤ これにより、成長を目指す経営者の社会的評価を高める。
④社会の機運醸成
- ➤ 社会の中で「100億企業・経営者」というブランドが形成される。
- ➤ より多くの経営者が100億企業や成長を目指すきっかけとなる。
資料:中小企業庁「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会第2次中間報告書」
3. 100億企業への成長に向けて基盤となる要素
(1) 成長資金の調達
令和5年度「中小企業における最適なファイナンス手法に関する調査」及び中小企業庁によるヒアリングから、売上高規模が大きくなるほど、エクイティ又はメザニン・ファイナンスの利用割合が高くなることが分かっている。
資金調達をデット・ファイナンスのみで行おうとすると、調達のしやすさなどを背景に、新規事業であっても事業性評価がしやすい既存事業の周辺領域にとどまってしまう傾向があることから、リスクを取る新しい挑戦に向けた資金調達手段としては、エクイティ・ファイナンスが有効と考えられる。
他方、エクイティ・ファイナンスに対する恐怖心やネガティブなイメージを抱いている経営者も少なからず存在することから、中小企業の経営者の正しい理解を促進するため、エクイティ・ファイナンスのメリットや適した活用のケースを発信した。
メザニン・ファイナンスについても、本質的には成長資金の調達に適した特徴を持つことに注目し、必ずしも資金繰り安定のための調達方法に限られない、成長資金の調達方法としての活用を促すメッセージを発信した。
エクイティ・ファイナンス、メザニン・ファイナンス共に、中小企業の経営者の正しい理解が進み、特に成長志向の中小企業における活用が広まっていくことを期待したい。
コラム
2-2-1 ③図
エクイティ・ファイナンスによる成長資金の調達
企業の抱える ネガティブなイメージ
- ・ 経営の自由度が低下する。
- ・ より高い収益へのプレッシャー。
- ・ 高いリターンを求められる。
- ・ 経営権が奪われる。
エクイティ・ファイナンスの メリット
- ・ 長期的に資金を活用できる。
- ・ 返済が伴わないため、財務基盤が安定する。
- ・ 引受先から経営、事業に関する支援を受けられる。
- ・ 種類株式の発行などで安定経営の維持も可能。
エクイティ・ファイナンスに 適したケース
-
・ 既存の事業から外れた
新規事業
を行うとき
➤ 事業性評価が難しくデットでは調達しづらい。 -
・
早期にキャッシュフロー化が見込めない事業
を立ち上げるとき
➤ デットは事業の進捗にかかわらず返済が発生。 -
・ 成長のために
大企業のネットワーク、技術、ヒトを使いたいとき
➤ 大手事業会社との資本提携ではエクイティが活用される。
エクイティ・ファイナンス 以外の調達方法を検討すべきケース
-
・ リソーススペースビューによる成長投資(既存事業に関する追加投資など)
➤ 金融機関に事業性評価されやすいため、コストの低いデットでの調達を検討。 -
・ 早期にキャッシュフローが生まれる蓋然性が高い
➤ すぐに返済が始まり、コストも低いデットでの調達を検討。 -
・ 株主総会の厳格な運営や投資契約事項の遵守などの社内ガバナンスが未整備
➤ まずはガイドライン等を活用してガバナンスの構築・強化を行う。
➤ 参考: 中小エクイティ・ファイナンス活用に向けたガバナンス・ガイドライン
資料:中小企業庁「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会第2次中間報告書」
(2)人材の確保・育成と組織体制の構築
本研究会では、中小企業が成長していくためには、「組織としての総合的な能力」(ケイパビリティ)を向上させていく必要があることが示唆された。そのために必要となる要素を、人材への投資、現状の組織体制に整合する人材確保・育成に分けて、議論を深めた。
人材への投資に関しては、主に経営人材に着目し、経営者だけが成長志向に至っても、組織内で孤立するおそれがあることなどを踏まえ、経営者を支える経営幹部の育成にも焦点が当てられた。
経営者・経営幹部の育成には、中小企業大学校の研修の継続的な活用や、専門家を派遣する独立行政法人中小企業基盤整備機構のハンズオン支援が有用であると考えられる。
現状の組織体制に整合する人材確保・育成に関しては、経営戦略と人材戦略を一体的に構想・実践することを説く「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」(2023年6月)の活用を推奨し、戦略的な組織・人材戦略策定に当たっての糸口とするよう発信した。
また、同ガイドラインでは、内閣府や金融庁の公的機関のほか、民間の人材マッチング事業を取り上げており、これらが活用され、中小企業の構想する具体的な組織体制とこれに整合する人材の確保・育成が促進されることが期待される。
コラム
2-2-1 ④図
人材の確保・育成、組織体制の構築
<中小企業における人材・組織面の課題>
- ● 経営者や経営幹部の経営・ファイナンス・マネジメントに関する知識や新しい技術等に対するリテラシーの不足。
- ● 部分最適・労働投入に頼るマネジメントに陥りがち。
-
● 自分たちで人を育てる土壌を持てていない。
- ➢ 大企業に比べて人材開発・教育が弱く、教える層も薄い。
- ➢ 社員教育に時間を割けず、人材育成がOJT型。十分な新人教育ができていない。
- ➢ 社内のバックアップ体制が乏しく、経営者自身や経営幹部が中長期研修を受講することが難しい。その結果、経営者を支える右腕・中核人材が育たない。
- ● AI等の新しい技術を身に付けた専門人材の確保・育成が難しい。
- ● 社内CFO人材がおらず、資金の相談相手が銀行や税理士、会計士が中心となり、エクイティの選択肢に至らない。
<成長企業の人材・組織戦略>
- ● 経営者自身が経営リテラシーを高め、部分事業主ではない独立した経営者として、多くのステークホルダーに対応しながら経営。
- ● 右腕人材・経営幹部に経営の共通言語を身に付けさせ、組織としての経営リテラシー、経営戦略の実行力を向上。
- ● 売上高が大きくなると、部門の統括者を設置したり、その下の各部署の責任者を配置するなど組織構築を実施。
- ● 会社の規模に応じて求められる管理者の役割を把握し、全体最適で視野を広くもったマネジメントのカルチャーへの転換と適材適所によるマネジメント体制の構築。
- ● 人手不足社会でも全体として付加価値を高めることができるよう、労働投入のみならず、資本も含めたトータルでのマネジメントを構築。
- ● 社員にも経営マインドを身に付けさせ、売上を伸ばすためにはどのようなビジネスを行うべきか、今の延長線上ではない視点から考えさせるなど、社員教育に力を入れる。
- ● 人材マッチングサービスや複業人材を有効活用して専門人材を獲得。また、M&Aによってチームごと人材獲得。
資料:中小企業庁「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会第2次中間報告書」
4. 今後の政策の方向性について
中小企業庁では、本研究会での議論を踏まえ、成長のきっかけ、後押しとなる環境整備を行うため、成長段階に応じたシームレスな支援を行う旨の方向性を打ち出した。
令和6年度補正予算では、持続的な賃上げの実現に向けた中小企業の成長投資支援として、「成長加速化補助金」や「100億企業育成ファンド出資事業」の新設など、令和7年度税制改正では、中小企業経営強化税制の拡充を行った。
経営者の挑戦姿勢を後押しし、成長支援のインフラを整備することで、成長志向の中小企業経営者が顕在化し、各経営者が相互に刺激し合いながら高みを目指すエコシステム、機運が全国各地に生まれることを期待し、中小企業庁として、中小企業の飛躍的成長の実現を促進していく。
コラム
2-2-2
「社員に愛される会社」からひもとく地域の良質な雇用
1. 背景・目的
経済産業省では「経済産業政策の新機軸」において、地方と都会、大企業と中小企業といった格差解消を成長機会と捉え、域内需要の減少に対応しながら一人一人が豊かに生活できる2040年頃の日本を目指す「地域の包摂的成長」という考え方を提示した。その実現に向けては、地域の核となる中堅・中小企業の在り方を改めて考えるとともに、少子高齢化・生産年齢人口の減少という構造的な人手不足の中で、地域で保有すべき「良質な雇用」の解像度を高め、その実践を進めることが重要である。
近畿経済産業局では、地域の包摂的成長に資する「良質な雇用」の実現のためには人と組織が選び、選ばれる関係を基盤とする経営、すなわち地域企業における人的資本経営の実践が不可欠との仮説を立て、地域の中堅・中小企業が良質な雇用を実現するための具体的取組を探るとともにそれらの取組が経営に与える影響等に関するヒアリング調査を実施した。
同ヒアリング調査では、2022~2023年度の2年間で、関西を中心に人財の獲得・育成に秀でているとの表彰等の情報や、経営者からの推薦に基づき、55社の中堅・中小企業を訪問。各企業が実践する数々の取組を把握するとともに、これらの企業群が取組の根幹に有する経営の目的が「社員の幸せ」であるという共通項も併せて把握した。
コラム 2-2-2①図 社員の幸せを中心とする経営の因数分解(概念図・案)
この概念図は、「社員の幸せ」を「経営の目的」とし、それを構成要素に分解したものです。主要な要素は以下の通りです。
-
社員の幸せ
(経営の目的)
-
会社の経営をつくり伝える
(バース・MVVなどを示す)
-
言語化
-
MVV/バース 経営理念
-
歴史や強みの棚卸し
- 株式会社サンエース(兵庫県神戸市)
- 株式会社サンコー(和歌山県海南市)
-
幹部・社員との共創
- 株式会社友安製作所(大阪府八尾市)
- 井上株式会社(京都府福知山市)
-
社員との共創
- 株式会社ミヤマエ(大阪府東大阪市)
- 株式会社中の坊(兵庫県神戸市)
-
歴史や強みの棚卸し
-
発信
-
社外(アウトダー)
-
広報でらしさを
- 株式会社澤村(滋賀県高島市)
-
行動でらしさを
- 株式会社ウエダ本社(京都府京都市)
- 株式会社リゲッタ(大阪府大阪市)
-
広報でらしさを
-
社内(インナー)
-
利益を重視する経営
- 株式会社アックスヤマザキ(大阪府大阪市)
- 株式会社特発三協製作所(兵庫県尼崎市)
-
中長期的視点(3年決算)
- 株式会社ウエダ本社(京都府京都市)
-
利益を重視する経営
-
社外(アウトダー)
-
MVV/バース 経営理念
-
継続的な成長を目指す経営戦略
-
身の丈に合う着実な成長
-
顧客・協力者と共存共栄
-
顧客・取引先の共存共栄
- 兵庫鉄鋼株式会社(兵庫県神戸市)
- 株式会社福井製作所(大阪府枚方市)
-
地域・社会との共存共栄
- 株式会社廣野鐵工所(大阪府岸和田市)
- 徳武産業株式会社(香川県さぬき市)
-
顧客・取引先の共存共栄
-
事業・顧客等の分散
- 株式会社SHINDO(福井県あわら市)
-
継続的な未来投資
- 木村石綿工業株式会社(大阪府八尾市)
-
顧客・協力者と共存共栄
-
身の丈に合う着実な成長
-
組織をデザインする(制度より風土づくり)
-
(理念の)浸透
-
対話
-
社員同士で
- 株式会社澤村(滋賀県高島市)
- 東海パネ工業株式会社(大阪府大阪市)
-
部署横断的な活動
- 株式会社天房産業(大阪府大阪市)
-
フラットさの醸成
- 株式会社友安製作所(大阪府八尾市)
-
社員同士で
-
対話
-
関係性を高める仕組み
-
自律性を高める仕組み
-
自律的挑戦の応援
- 株式会社エコリング(兵庫県姫路市)
-
オーナーシップ
- 東海パネ工業株式会社(大阪府大阪市)
- 日本ワキコ株式会社(大阪府大阪市)
-
自律的挑戦の応援
-
自律性を高める仕組み
-
公平を担保する仕組み
-
評価の透明性
-
自己評価型
- 株式会社コンピュータ技術(大阪府大阪市)
-
意欲が生まれにくい仕組み
- 株式会社伍魚福(兵庫県神戸市)
- 東陽精工株式会社(大阪府大阪市)
-
自己評価型
-
情報の透明性
-
財務情報ほか
- 甲斐高分子株式会社(滋賀県湖南市)
- 株式会社河辺商会(大阪府堺市)
-
財務情報ほか
-
評価の透明性
-
家族に感謝する仕組み
-
手厚い福利厚生
- 株式会社シンコーメタリコン(滋賀県湖南市)
-
会社と家族の接点づくり
- 株式会社サンエース(兵庫県神戸市)
- 株式会社ウエダ本社(京都府京都市)
-
手厚い福利厚生
-
教育の仕組み
-
社内教育システム
- 株式会社ハンナ(奈良県新奈良市)
- 三和建設株式会社(大阪府大阪市)
-
社内教育システム
-
(理念の)浸透
-
言語化
-
会社の経営をつくり伝える
(バース・MVVなどを示す)
資料:近畿経済産業局「BE THE LOVED COMPANY REPORT 1.0」
同ヒアリング調査を踏まえ、近畿経済産業局では地域の良質な雇用を実現するために必要な、地域企業における人的資本経営を「人(社員)の幸せを中心に据えた経営」と位置付け、当該経営を実践するための具体的な方策・取組について「社員の幸せを中心とする経営の因数分解(概念図・案)」として整理した。そして、このような経営を実践する企業が広がるための機運醸成の一環として「BE THE LOVED COMPANY PROJECT」と銘打ち、「働きがいのあるいい仕事、いい会社とは何か」を探り続けている。
2. 「人(社員)の幸せを中心に据えた経営」の効果
1. において整理した「人(社員)の幸せを中心に据えた経営の因数分解」を踏まえて、人的資本経営の実践が企業の財務や組織に与える効果について把握すべく、2022年度の協力企業を対象にアンケート調査を実施した。
本アンケート調査は、「自社にとって、社員の幸せを中心とする経営」に、経営者(経営陣)がシフトしたと考える起点/タイミングと比較し、現在の経営状況についてその比較を行った。結果として、回答企業(30/45社)のうち、およそ75%強の企業が業績(売上げ・利益)の伸長を果たすとともに、回答した全ての企業が賃上げ(一人当たり給与支給額の増加)を達成。また、90%の企業が人材確保・維持を達成するとともに、およそ75%強の企業において離職率の低下につながり、企業成長と人的資本投資の好循環が起きている可能性が示唆された。
また、このような経営にシフトした時から現在までの経過期間において、70%弱の企業が5年以上掛けてじっくりと取り組んでいることが判明。短期的に効果が上がるような取組ではなく、日々の営みやコミュニケーションの蓄積で育まれる企業風土の改革の取組として長い目線で取り組む必要性も示唆された。
コラム 2-2-2②図 社員の幸せを中心とする経営の効果
4章
4.4 社員の幸せを中心とする経営の”効果”
モデル企業45社に対して、「社員の幸せを中心とする経営」や「人的資本経営」に「経営者(経営陣)がシフトした」と考える起点/タイミングと比べた現在の状況について調査を実施。
結果として、およそ75%強の企業が業績(売上げ・利益)の伸長を果たすとともに、回答した全ての企業が賃上げ(一人当たり給与支給額)の増加を達成。また、60%弱の企業が採用を増やすとともに、およそ75%強の企業において離職率の減少につながり、企業の成長と人的投資の好循環が起きている可能性が示唆された。
併せて、このような経営にシフトしてから現在までのタイミングは企業によって様々であるが、70%弱の企業が5年以上かけて取り組んでいることから、企業風土の改革として長い目線で取り組む必要性も示唆された。
調査対象の45社の内、回答頂いた30社分(2023/5/17時点)
BE THE LOVED COMPANY REPORT_METI-Kansai
資料:近畿経済産業局「BE THE LOVED COMPANY REPORT 1.0」
3. 「人(社員)の幸せを中心に据えた経営」の具体的取組
「BE THE LOVED COMPANY REPORT」では、1. で示した「社員の幸せを中心とする経営の因数分解(概念図・案)」のそれぞれの項目に即したより実践的な事例企業について、2022年度版に35事例、2023年度版に23事例を掲載している。本稿では具体的な企業の実践事例を3社紹介する。
事例:株式会社ウエダ本社(京都府京都市)
<会社の羅針盤をつくり伝える-行動でらしさを>
株式会社ウエダ本社は、「働く環境の総合商社」として多様なプロジェクトを展開しているが、長期的なプロジェクトが多いため、単年度の売上げや利益が実態を反映しきれず、経営状況が決算書に正しく表れないという課題に直面していた。
この課題を克服するため、同社は「3カ年決算」という新たな考え方を導入。3年を1期と捉え、経営状況や今後の戦略を取引先と共有することで、短期的な業績にとらわれることなく、経営の視野が広がった。
また、自社が大切にする価値観を世に発信するイベント「京都流議定書」を主宰し、協力企業や顧客も招待することで、一層の信頼関係の強化と安心感を提供することにつながり、より良いビジネス環境と関係性を築くことができている。
事例:木村石鹸工業株式会社(大阪府八尾市)
<永続的な成長を目指す経営戦略-継続的な未来投資>
木村石鹸工業株式会社では、「広告宣伝費」「教育研修費」「コンサルティング費用」の三つの経費を「未来費用」として捉えている。これらの費用を自社の未来を創るための投資と再定義し、財務諸表上での位置付けを見直した。この考え方により、未来への投資が時間軸でのリスクヘッジになると考えている。
「この再定義により、経営者や幹部のマインドセットが変わる」と、同社の木村社長は述べる。短期的には費用対効果が見えづらいため、従来の価値観ではコストカットの対象とされがちだが、「未来費用」として捉えることで、これらの費用が減少することは「自社の未来に対する投資ができていない」ことを意味する。
結果として、持続的な成長を志向する経営者や幹部にとって、未来への投資ができていないことは心理的なプレッシャーとなり、逆に安定的な投資を続ける機運を高めることにつながっている。
事例:株式会社友安製作所(大阪府八尾市)
<組織デザイン-フラットさの醸成>
株式会社友安製作所では、一般的に社員が社長に意見を言うことが難しいとされる状況を打破し、フラットな社内風土を実現するために2014年から「ニックネーム制度」を導入している。この制度では、年齢や役職に関係なく互いに愛称で呼び合い、役職呼びを禁止することで、親しみやすい雰囲気を作り出すことに貢献している。これにより、新人や中途社員もスムーズに職場になじむことができ、上下の垣根が低くなったという。
さらに、全社員の業務日報をオープン化し、SNSを活用して全社員が自由に閲覧できる環境を整備した。これにより、部署を越えた業務の理解が深まり、自然な協力関係の創出に貢献している。また、社員同士が気軽に「いいね」やコメントをし合うことで、個々のモチベーション向上にも寄与し、これまで以上に意見を言いやすい職場文化を育むことに成功している。
コラム
2-2-3 地域の良質な雇用の創出に向けた産業立地の推進
経済産業省産業構造審議会経済産業政策新機軸部会では、累次の検討作業の中で、少子化対策に資する「地域の包摂的成長」をミッションとして掲げてきた。この観点から、地域において、地域の稼ぐ力を高め良質な雇用を創造することで、地域の所得水準の引上げや豊かな生活環境を併せて実現していくことが重要である。
地域経済を牽引する中堅・中小企業の内発的成長を促進することに加えて、国内外の幅広い分野の国内投資を呼び込むことで、地域に良質な雇用を生み、関連企業を含めたサプライチェーンの活性化など地域経済に波及効果をもたらしていく中で、円滑な投資の障壁となる課題に対処する産業立地政策の重要性がとりわけ増している。過去の政策の成果と反省を検証しつつ、新しい地方創生と産業政策を一体的に推進する方策について検討を進め、産業立地政策を力強く推進していく必要がある。
1. 国内立地の促進により局所的に不足する産業用地
近年、地政学リスクに伴うサプライチェーンの見直し等に加え、GX・DXや経済安全保障、中堅・中小企業政策の強化も相まって、30年ぶりとなる水準の賃上げ、100兆円を超える設備投資、史上最高値水準の株価、GDPも初めて600兆円の大台を超えるなど、国内投資に「潮目の変化」が起きている。この変化を継続させるためには、予算・税制・規制緩和等あらゆる政策を総動員し、積極的な政策を更に展開していくことが必要であり、とりわけ、製造業を中心に国内回帰が進み、今後の産業立地も加速する中で、産業用地整備は地方経済の成長をもたらす観点から、ますます重要になってきている。
一部の地域では大型投資も生まれており、サプライチェーンを担う地域の中堅・中小企業も含めた投資が相次いでいる。コラム2-2-3①図のとおり、直近では1社当たりの平均立地面積も大きくなっている。また、産業立地ニーズは、立地条件の良いエリアや既存の産業集積の近傍に集中する傾向にあるが、企業ニーズの強い地域では産業用地の開発スピードが追い付いておらず、分譲可能な産業用地の面積ストックは、この10年で半減している。
コラム 2-2-3①図 産業用地の需給状況
このグラフは、2019年から2023年までの5年間の立地面積(左軸、ha)と1社あたり平均面積(右軸、ha)を示しています。立地面積は2019年1,260 ha、2020年1,390 ha、2021年1,490 ha、2022年1,390 ha、2023年1,451 haと推移しています。1社あたり平均面積は2019年1.26 ha、2020年1.39 ha、2021年1.49 ha、2022年1.39 ha、2023年1.95 haと推移しています。
| 年 | 立地面積 (ha) | 1社あたり平均面積 (ha) |
|---|---|---|
| 2019年 | 1,260 | 1.26 |
| 2020年 | 1,390 | 1.39 |
| 2021年 | 1,490 | 1.49 |
| 2022年 | 1,390 | 1.39 |
| 2023年 | 1,451 | 1.95 |
(出所)経済産業省「2023年工場立地動向調査」
(注)平均面積は年間の立地面積を立地件数で除したものの
この円グラフは、産業団地の枯渇が見込まれる都道府県・政令市の割合を示しています。既に枯渇しているのは42%(28箇所)、3年以内の枯渇が見込まれるのは30%(20箇所)、5年以内の枯渇が見込まれるのは14%(9箇所)、当座は枯渇の懸念はないのは12%(8箇所)、わからないのは2%(1箇所)です。
| 状態 | 割合 | 箇所数 |
|---|---|---|
| 既に枯渇している | 42% | 28 |
| 3年以内の枯渇が見込まれる | 30% | 20 |
| 5年以内の枯渇が見込まれる | 14% | 9 |
| 当座は枯渇の懸念はない | 12% | 8 |
| わからない | 2% | 1 |
(出所)経済産業省「各都道府県・政令市向けアンケート調査」(2023年)を基に作成。
(注)2023年8月~9月において、都道府県・政令市を対象としたアンケート調査。「仮に新たな産業団地の開発がなかった場合、貴都道府県等内の分譲可能な産業団体(貴都道府県等が開発したものに限らず、市町村や民間が開発したものも含む)が枯渇する可能性はあるでしょうか。(既に枯渇している)という質問に対する46道府県・20政令市からの回答を集計。
産業団地を確保できていないと回答した42府県の産業用地の需給状況
このグラフは、2007年から2022年までの42府県の産業用地の需給状況を示しています。左軸は開発面積・立地面積(m²)、右軸は分譲可能面積(ha)です。開発面積は2007年6,794 m²、2008年6,974 m²、2009年6,722 m²、2010年5,401 m²、2011年3,392 m²、2012年3,006 m²と推移しています。立地面積は2007年1,000 m²、2008年1,200 m²、2009年1,400 m²、2010年1,600 m²、2011年1,800 m²、2012年2,000 m²と推移しています。分譲可能面積は2007年7,000 ha、2008年6,500 ha、2009年6,000 ha、2010年5,500 ha、2011年5,000 ha、2012年4,500 haと推移しています。
| 年 | 開発面積 (m²) | 立地面積 (m²) | 分譲可能面積 (ha) |
|---|---|---|---|
| 2007年 | 6,794 | 1,000 | 7,000 |
| 2008年 | 6,974 | 1,200 | 6,500 |
| 2009年 | 6,722 | 1,400 | 6,000 |
| 2010年 | 5,401 | 1,600 | 5,500 |
| 2011年 | 3,392 | 1,800 | 5,000 |
| 2012年 | 3,006 | 2,000 | 4,500 |
(出所)一般財団法人日本立地センター「産業用地ガイド」及び経済産業省「工業立地動向調査」を基に作成。
(注1)都道府県・市町村・開発公社・民間ディベロッパーが事業主体となっている全国の造成済・造成中の工業団地、流通団地、研究団地、業務団地等及び集合工場について、日本立地センターが全都道府県に聞き取り調査を行い、都道府県から報告のあった全ての用地を集計(各年10月時点の内容)。
(注2)経済産業省が実施した各都道府県・政令市向けアンケート調査(2023年実施)において、「貴都道府県等では、現時点で、①の企業等からの問い合わせ(ニーズ)に応えられる産業団体(貴都道府県等が開発したものに限らず、市町村や民間が開発したものも含む)を確保できていると認識されていますか。」という質問に対して、「確保できていない」と回答した42自治体を抜粋。
資料:経済産業省「産業構造審議会経済産業政策新機軸部会(第25回)資料3 新しい地方創生と産業政策の一体的推進」(2024年12月24日)より抜粋
過去には、地域振興整備公団(現:独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、「中小機構」という。))や地方公共団体が中心となり、全国各地での産業用地整備を促進していたが、バブル崩壊後は企業立地の低迷、円高の進行などにより国内工場の海外移転が相次ぐ中、多くの地方公共団体では産業用地の売却の長期化に伴う財政負担等を経験し、長らく新規の産業団体整備が行われていなかった。国内投資が活発になる一方で、長らく新規の産業用地整備が行われていなかった地方公共団体においてはノウハウ不足の課題があり、令和6年度は、「自治体担当者のための産業用地整備ガイドブック」を発行したほか、中小機構の助成金による「中小企業集積活性化支援事業」の一環として、一般財団法人日本立地センター(以下、「日本立地センター」という。)において、産業用地整備のプロジェクトマネジメント等にかかる地方公共団体向けの伴走支援や中小企業を中心とする工業団地の構造変化等対応支援を開始したところだ。
2. 産業用地不足に対する政策的方向性
経済産業省をはじめ、政府機関においては、産業用地不足に対し、活用ポテンシャルの観点から、①整備済で未利用の産業用地、②重厚長大産業の大規模跡地及び③新規造成の三つの観点で取り組んでいく方向で検討が進められている。
- ①整備済で未利用の産業用地については、土地に関する非公表情報が多く企業による適地情報へのアクセス手段が限定的という点があり、産業用地のミスマッチの解消に向けたマッチングの仕組みの構築が必要である。ミスマッチの解消に向けたマッチングに関しては、工場立地法に基づく工場適地調査の結果を活用し、令和7年度からは、日本立地センターの事業において、円滑な企業立地の促進を図るべく、専門人材が間に入り、産業用地を探している企業と地方公共団体との間のマッチングを、企業が求める立地条件に関する調整も含めて行う予定である。
- ②重厚長大産業の大規模跡地については、土地の用途転換には、汚染状況調査に加え、場合により土壌汚染対策が必要になるが、事前にその要否が分からないために転換の判断に至りにくいという課題がある。また、外部環境変化に伴う様々なコストアップにより、中小企業にとっては、土壌汚染対策費用の確保が困難になっている。環境省において検討されている土壌汚染対策法の見直しを契機として、予見可能・合理的な制度運用(例:人の健康被害が想定されにくい臨海部等)となることが期待される。
- ③新規造成については、産業用地の取得や土地利用調整手続の円滑さ、地方公共団体におけるノウハウのぜい弱化等、地方公共団体の産業用地・インフラ投資へのリスク回避的傾向に課題がある。地方公共団体におけるノウハウの補完に関しては、今後も前述の日本立地センターによる伴走支援事業の強化を行いつつ、地方公共団体と民間ディベロッパーの連携についても促進していく必要がある。
産業立地政策は、地域の中堅・中小企業も含めたサプライチェーンの活性化など、地域経済に様々な波及効果を創出し、地域の「しごと」の創出につながる重要な取組である。今後も、政府としては、「潮目の変化」を継続させ国内投資を呼び込み、産業政策と一体となった新しい地方創生を推進していくため、産業用地整備をはじめ、関連インフラ整備、人材確保・育成などの幅広い課題に対して、関係省庁で連携して取り組んでいく。
第2節 スケールアップに向けた課題
前節では、成長する中小企業が我が国経済に与える影響について確認し、中小企業がスケールアップを実現していくことの重要性を明らかにした。本節では、スケールアップを実現するために乗り越えるべき課題(以下、「成長の壁」という。)とその打開策について、分析していく。
第1項では、経済産業省「企業活動基本調査」
を用いて、スケールアップを実現した企業の財務指標等を概観していく。
第2項では、アンケート調査を用いて、スケール別の「成長の壁」を明らかにするとともに、それを打破するための有効な打ち手について分析を進める。
1. スケールアップ企業の実態把握
本項では、経済産業省「企業活動基本調査」のパネルデータ 25 を用いて、スケールアップを実現した企業の財務指標等を概観し、その特性について確認していく。
①中小企業におけるスケールアップの達成状況
最初に、2013年度から2022年度までの10年
間における中小企業のスケールアップの達成状況について確認していく。
第2-2-6図は、スケール別の企業数を見たものである。例えば、売上高「100億円以上」の企業数に着目すると、2013年度では1,594社であったが、2022年度では1,970社となっており、376社増加していることが分かる。
第2-2-6図 スケール別の企業数
(単位:社)
|
売上高規模
(スケール) |
企業数 | |||
|---|---|---|---|---|
| 2013年度 | (割合) | 2022年度 | (割合) | |
| 10億円未満 | 1,115 | (10.3%) | 1,053 | (9.7%) |
| 10億円以上~20億円未満 | 2,315 | (21.3%) | 2,083 | (19.2%) |
| 20億円以上~30億円未満 | 1,681 | (15.5%) | 1,591 | (14.7%) |
| 30億円以上~40億円未満 | 1,161 | (10.7%) | 1,179 | (10.9%) |
| 40億円以上~50億円未満 | 887 | (8.2%) | 872 | (8.0%) |
| 50億円以上~60億円未満 | 671 | (6.2%) | 638 | (5.9%) |
| 60億円以上~70億円未満 | 488 | (4.5%) | 477 | (4.4%) |
| 70億円以上~80億円未満 | 356 | (3.3%) | 401 | (3.7%) |
| 80億円以上~90億円未満 | 321 | (3.0%) | 311 | (2.9%) |
| 90億円以上~100億円未満 | 265 | (2.4%) | 279 | (2.6%) |
| 100億円以上 | 1,594 | (14.7%) | 1,970 | (18.1%) |
| 総計 | 10,854 | (100.0%) | 10,854 | (100.0%) |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
25 2014年調査(2013年度実績)から2023年調査(2022年度実績)まで連続して回答している企業を抽出したもの。なお、2013年度実績において、以下のいずれかに該当する企業は除外している。
- ・中小企業基本法上の中小企業に当てはまらない企業
- ・「親会社の証券コード」が空欄でない企業(親会社が上場している企業)
次に、2013年度から2022年度までの10年間における、スケールの変動状況を確認していく。第2-2-6図におけるスケールを基に、10年間で1段階以上スケールが上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合を
「維持」、下方遷移した場合を「スケールダウン」と定義する(第2-2-7図)。
スケールの変動状況は第2-2-8図のとおりで、約3社に1社がスケールアップを実現していることが分かる。
第2-2-7図 スケールの変動(例)
| <2013年度> | <2022年度> | |
|---|---|---|
| スケール | スケール | |
| 30億円以上~40億円未満 | 50億円以上~60億円未満 | スケールアップ(2段階) |
| 40億円以上~50億円未満 | スケールアップ(1段階) | |
| 30億円以上~40億円未満 | 維持 | |
| 20億円以上~30億円未満 | スケールダウン(1段階) | |
| 10億円以上~20億円未満 | スケールダウン(2段階) |
第2-2-8図 スケールの変動状況
| 状況 | 割合 |
|---|---|
| スケールアップ | 33.7% |
| 維持 | 48.5% |
| スケールダウン | 17.8% |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
第2-2-9図は、10年間のスケールの変動状況について、2013年度のスケール別に確認したものである。例えば、2013年度におけるスケールが「10億円以上~20億円未満」の企業のうち、29.3%が2022年度において、売上高20億円以上へのスケールアップを果たしていることを示し
ている。全体の傾向を見ると、2013年度におけるスケールが大きいほど、スケールアップを実現した割合が高い傾向にあることが分かる。
なお、スケール別の「成長の壁」を乗り越えるために有効な取組等については、本節第2項において分析を行う。
第2-2-9図 スケールの変動状況(2013年度におけるスケール別)
| 2013年度スケール (n) | スケールアップ (%) | 維持 (%) | スケールダウン (%) |
|---|---|---|---|
| 10億円以上~20億円未満 (n=2,315) | 29.3% | 58.7% | 11.9% |
| 20億円以上~30億円未満 (n=1,681) | 36.9% | 42.2% | 20.9% |
| 30億円以上~40億円未満 (n=1,161) | 43.2% | 33.4% | 23.4% |
| 40億円以上~50億円未満 (n=887) | 44.2% | 25.9% | 29.9% |
| 50億円以上~60億円未満 (n=671) | 49.3% | 22.2% | 28.5% |
| 60億円以上~70億円未満 (n=488) | 53.3% | 18.9% | 27.9% |
| 70億円以上~80億円未満 (n=356) | 53.7% | 18.8% | 27.5% |
| 80億円以上~90億円未満 (n=321) | 55.8% | 14.0% | 30.2% |
| 90億円以上~100億円未満 (n=265) | 54.3% | 15.8% | 29.8% |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
第2-2-10図は、業種別にスケールの変動状況を確認したものである。これを見ると、「不動産業、物品賃貸業」、「情報通信業」の順にスケールアップを実現した割合が高いことが分かる。要因について一概にはいえないが、これらの業種は、直近10年間における需要拡大局面の中で、売上げを拡大してきた企業が一定数存在しているものと考えられる。
一方で、「スケールダウン」は、「小売業」、「宿泊業、飲食サービス業」の順に割合が高くなっている。要因について一概にはいえないが、これらの業種は、BtoCビジネスが主であり、感染症の感染拡大下における売上げの落ち込みなどの厳しい業況から、回復に時間を要している企業が一定数存在しているものと考えられる。
第2-2-10図 スケールの変動状況(業種別)
| 業種 (n) | スケールアップ | 維持 | スケールダウン |
|---|---|---|---|
| 建設業 (n=202) | 33.7% | 44.6% | 21.8% |
| 製造業 (n=5,861) | 35.0% | 47.2% | 17.8% |
| 情報通信業 (n=827) | 42.0% | 48.4% | 9.7% |
| 卸売業 (n=2,118) | 33.3% | 50.5% | 16.2% |
| 小売業 (n=753) | 22.0% | 45.8% | 32.1% |
| 不動産業、物品賃貸業 (n=101) | 42.6% | 46.5% | 10.9% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 (n=128) | 31.3% | 48.4% | 20.3% |
| 宿泊業、飲食サービス業 (n=128) | 15.6% | 53.9% | 30.5% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 (n=184) | 9.2% | 73.9% | 16.8% |
| サービス業(他に分類されないもの) (n=366) | 38.5% | 53.0% | 8.5% |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1. パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2. 2013年度時点の業種(大分類)に基づき、集計したもの。
3. n数が100以下の業種については、表示していない。
②従業者数
ここからは、スケール変動状況別の従業者数や財務指標等の推移を確認していく。
始めに、従業者数の推移について確認する。第2-2-11図は、スケール変動状況別の従業者数の
推移について見たもので、これを見ると、「スケールアップ」、「維持」企業は、10年間で雇用を拡大してきた一方、「スケールダウン」企業は雇用縮小傾向にあることが分かる。
第2-2-11図 従業者数の推移(スケール変動状況別)
(従業者数 2013年度=100)
| 年度 | スケールアップ (n=3,659) | 維持 (n=5,264) | スケールダウン (n=1,931) |
|---|---|---|---|
| 2013 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
| 2014 | 102.5 | 101.5 | 99.5 |
| 2015 | 106.5 | 103.5 | 98.5 |
| 2016 | 110.5 | 105.5 | 97.5 |
| 2017 | 114.2 | 106.9 | 96.6 |
| 2018 | 117.5 | 108.5 | 95.5 |
| 2019 | 120.5 | 111.5 | 94.5 |
| 2020 | 121.5 | 111.5 | 90.5 |
| 2021 | 124.5 | 111.5 | 86.5 |
| 2022 | 126.9 | 111.8 | 83.4 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.従業者数は、「本社本店・本社以外・他企業出向者従業者数合計」の項目を集計している。
3.2013年度と比較した、2022年度までの変化を見たもの。
③従業者一人当たり売上高平均値
第2-2-12図は、スケールの変動状況別に、従業者一人当たり売上高平均値の推移を見たものである。これを見ると、「スケールアップ」企業は、10年間で従業者一人当たり売上高平均値を高めていることが分かる。一方で、「維持」企業は10年間でおおむね横ばい、「スケールダウン」企業は減少傾向にあることが分かる。
第2-2-11図の結果も踏まえると、「スケールアップ」企業と「維持」企業の違いは、いずれも雇用を拡大している中で、前者は従業者一人当たり売上高平均値を高めているが、後者は横ばいで推移している点にある。スケールアップを実現するためには、単に、人材の数を確保するだけでなく、従業者一人当たりの売上高を高めるための取組も重要である可能性が示唆される。
第2-2-12図 従業者一人当たり売上高平均値の推移(スケール変動状況別)
| 年度 | スケールアップ (n=3,659) | 維持 (n=5,264) | スケールダウン (n=1,931) |
|---|---|---|---|
| 2013 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
| 2014 | 105.0 | 101.0 | 95.0 |
| 2015 | 105.5 | 98.0 | 91.0 |
| 2016 | 105.5 | 95.0 | 89.0 |
| 2017 | 109.2 | 99.3 | 89.2 |
| 2018 | 112.0 | 101.0 | 89.0 |
| 2019 | 111.0 | 96.0 | 84.0 |
| 2020 | 105.0 | 91.0 | 77.0 |
| 2021 | 112.0 | 95.0 | 78.0 |
| 2022 | 120.7 | 103.7 | 78.9 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.従業者一人当たり売上高平均値=売上高÷本社本店・本社以外・他企業出向者従業者数合計。
3.2013年度と比較した、2022年度までの変化を見たもの。
④有形固定資産
次に、有形固定資産の活用状況を確認していく。
第2-2-13図は、スケールの変動状況別に有形固定資産の推移を見たものである。これを見ると、「スケールアップ」、「維持」企業は、10年間
で有形固定資産を増やしてきた一方で、「スケールダウン」企業は、設備投資による資産の取得が進まない中で、既存資産の減価償却や売却・処分などにより有形固定資産を減らしてきたことがうかがえる。
第2-2-13図 有形固定資産の推移(スケール変動状況別)
(有形固定資産 2013年度=100)
| 年度 | スケールアップ (n=3,659) | 維持 (n=5,264) | スケールダウン (n=1,931) |
|---|---|---|---|
| 2013 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
| 2014 | 102.5 | 101.5 | 99.5 |
| 2015 | 105.0 | 103.5 | 99.0 |
| 2016 | 108.8 | 106.0 | 98.8 |
| 2017 | 113.7 | 108.9 | 98.1 |
| 2018 | 120.4 | 111.6 | 98.5 |
| 2019 | 126.3 | 113.5 | 99.1 |
| 2020 | 129.1 | 114.1 | 98.5 |
| 2021 | 132.5 | 114.8 | 97.2 |
| 2022 | 136.9 | 114.9 | 96.6 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.2013年度と比較した、2022年度までの変化を見たもの。
⑤資本装備率
第2-2-14図は、スケールの変動状況別に、資本装備率 26 の推移を見たものである。これを見ると、2022年度においては、「スケールダウン」企業が最も高く、次いで「スケールアップ」、「維持」企業と続いていることが分かる。第2-2-11図及び第2-2-13図で確認したように、「スケールダウン」企業は、資本装備率の分子である有形固
定資産の減少よりも、分母である従業者数の減少が大きく、その結果が資本装備率の上昇につながっている。
一方で、「スケールアップ」、「維持」企業は、いずれも従業者数を増やしている中で、「スケールアップ」企業は従業者数の増加以上に有形固定資産の保有額を増やしてきた結果として、資本装備率を高めてきたことがうかがえる。
第2-2-14図 資本装備率の推移(スケール変動状況別)
(資本装備率 2013年度=100)
| 年度 | スケールアップ (n=3,659) | 維持 (n=5,264) | スケールダウン (n=1,931) |
|---|---|---|---|
| 2013 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
| 2014 | 99.6 | 100.5 | 100.0 |
| 2015 | 98.7 | 101.0 | 100.5 |
| 2016 | 101.0 | 101.3 | 101.3 |
| 2017 | 101.5 | 101.9 | 101.9 |
| 2018 | 102.5 | 103.4 | 103.4 |
| 2019 | 105.0 | 101.5 | 105.9 |
| 2020 | 106.5 | 102.4 | 110.8 |
| 2021 | 106.3 | 102.8 | 114.6 |
| 2022 | 107.9 | 102.8 | 115.8 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.資本装備率 = 有形固定資産 ÷ 本社本店・本社以外・他企業出向者従業者数合計。
3.2013年度と比較した、2022年度までの変化を見たもの。
26 資本装備率とは、有形固定資産を従業者数で除したものであり、従業者一人当たりの設備等の保有状況を示す。一般に、この指標が高いと、生産現場における機械化が進んでいることを示す。ただし、設備等が効率的に売上高の増加等に寄与しているかという点にも留意が必要。
⑥有形固定資産回転率
第2-2-15図は、スケールの変動状況別に、有形固定資産回転率 27 の推移を見たものである。これを見ると、2022年度においては、「スケールアップ」企業が最も高く、次いで「維持」、「ス
ケールダウン」企業と続いていることが分かる。このことから、「スケールアップ」企業は、単に設備投資を進めてきただけではなく、導入した設備を有効に活用し、売上高を高めてきたことがうかがえる。
第2-2-15図 有形固定資産回転率の推移(スケール変動状況別)
(有形固定資産回転率 2013年度=100)
| 年度 | スケールアップ (n=3,659) | 維持 (n=5,264) | スケールダウン (n=1,931) |
|---|---|---|---|
| 2013 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
| 2014 | 105.5 | 100.0 | 95.2 |
| 2015 | 107.6 | 97.4 | 88.1 |
| 2016 | 109.6 | 98.3 | 87.9 |
| 2017 | 109.7 | 95.6 | 86.2 |
| 2018 | 105.5 | 93.6 | 79.9 |
| 2019 | 99.4 | 89.4 | 70.0 |
| 2020 | 105.5 | 93.6 | 68.2 |
| 2021 | 111.9 | 100.9 | 68.1 |
| 2022 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再加工
(注) 1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.有形固定資産回転率=売上高÷有形固定資産。
3.2013年度と比較した、2022年度までの変化を見たもの。
27 有形固定資産回転率とは、売上高と有形固定資産の比率であり、企業の所有する有形固定資産がどれだけ有効活用されているかという点を確認する指標である。有形固定資産回転率が高い場合は、一般的に有形固定資産が効率的に使用されており、収益性の向上につながるといわれている。ただし、例えば、企業が将来における事業の展望を見据え、一時的に多額の設備投資を行った結果、有形固定資産が増加することで、当該期の有形固定資産回転率が低下することもあるが、その場合、当該期の有形固定資産回転率の低下がそのまま収益性の低下につながるとは限らないということに留意が必要。
⑦設備投資の実施有無別に見た、売上高の推移
第2-2-16図は、設備投資の実施有無別に、企業の売上高の推移を見たものである。これを見ると、「2017年度に実施した企業」の方が、「2013~2022年度の間に一切実施していない企業」より
も、売上高を向上させていることが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、設備投資はスケールアップにおいて有効である可能性が示唆される 28 。
第2-2-16図 売上高の推移(設備投資の実施有無別)
| 年度 | 2017年度に実施した企業 (n=767) | 2013~2022年度の間に一切実施していない企業 (n=7,355) |
|---|---|---|
| 2013 | 89.0 | 93.9 |
| 2014 | 93.0 | 95.7 |
| 2015 | 93.7 | 95.8 |
| 2016 | 95.2 | 95.5 |
| 2017 | 100.0 | 100.0 |
| 2018 | 107.7 | 103.0 |
| 2019 | 105.5 | 101.7 |
| 2020 | 98.7 | 95.9 |
| 2021 | 103.9 | 100.9 |
| 2022 | 117.9 | 107.8 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
- (注)1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
- 2.ここでいう「設備投資の実施」とは、「有形固定資産当期取得額」が同期の売上高の10%より大きい場合をいう。
- 3.2017年度の数値を100として、2013年度から2022年度までの変化を見たもの。
28 設備投資については、第2章第3節第1項で詳細に分析している。
⑧売上高営業利益率
最後に、利益率について確認する。第2-2-17図は、スケールの変動状況別に、売上高営業利益率の推移を見たものである。これを見ると、「スケールアップ」企業は、10年間で売上高営業利益率を高めていることが分かる。一方で、「維持」企業はおおむね横ばい、「スケールダウン」企業は低下傾向で推移していることが分かる。
は低下傾向で推移していることが分かる。
ここまでの調査結果から一概にはいえないが、スケールアップを実現した企業は、利益率を継続的に高めるとともに、資本を積み上げながら、設備投資により資本装備率を高め、それらの設備を有効活用し、売上高を高めてきた可能性が示唆される。
第2-2-17図 売上高営業利益率の推移(スケール変動状況別)
| 年度 | スケールアップ (n=3,659) | 維持 (n=5,264) | スケールダウン (n=1,931) |
|---|---|---|---|
| 2013 | 3.5% | 3.0% | 2.9% |
| 2014 | 4.2% | 2.9% | 2.4% |
| 2015 | 4.7% | 3.1% | 2.4% |
| 2016 | 5.3% | 3.3% | 2.5% |
| 2017 | 5.6% | 3.2% | 2.4% |
| 2018 | 5.4% | 3.1% | 2.0% |
| 2019 | 5.0% | 2.9% | 1.8% |
| 2020 | 5.0% | 2.9% | 0.3% |
| 2021 | 6.1% | 3.3% | 1.0% |
| 2022 | 6.1% | 3.2% | 0.8% |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再加工
(注) 1. パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2. 売上高営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100 (%)、営業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費。
⑨まとめ
本項では、経済産業省「企業活動基本調査」のパネルデータを用いて、スケールアップを実現した企業の財務指標等を概観しその特性について確認した。2013年度から2022年度までの10年間における、スケールの変動状況を見ると、約3社に1社がスケールアップを実現していることが分かった。業種別では、「不動産業、物品賃貸業」、「情報通信業」といった業種でスケールアップを実現した割合が高く、反対に「小売業」、「宿泊業、飲食サービス業」では特にスケールダウンの
割合が高くなっていることを確認した。
スケールの変動状況と財務指標等の関係性を見てみると、スケールアップを実現した企業は、設備投資により取得した有形固定資産を有効活用していることや、売上高の増加と同時に、売上高営業利益率も高めていることが分かった。利益率を継続的に高めるとともに、資本を積み上げながら、設備投資により資本装備率を高め、それらの設備を有効活用し、売上高を高めるという好循環の中で、スケールアップを実現してきたことがうかがえる。
2. スケールアップに向けた課題
本項では、アンケート調査を用いて、スケール別の経営課題や重視する組織・人材戦略を概観し、スケール別の「成長の壁」を明らかにするとともに、それを克服してスケールアップを実現するための有効な取組等についての示唆を得ることを目的として、分析を進めていく。具体的には、人材育成の取組、ガバナンス体制の強化や経営の透明性を高めるための組織管理・運営、経営計画の策定・運用、DXの取組について確認していく。
①スケール別の経営課題
研究会では、「成長志向の経営者は、自社の成長段階に応じた課題を認識し、戦略を考える必要がある」と述べ、企業のスケールごとに成長に向けた課題と打ち手が存在することを示している。
最初に、事業者が独力で対応していくことが難しいと考えている経営課題について、スケール別に確認した(第2-2-18図)。この結果を見ると、
「人材確保・人材育成」、「デジタル化・DX」については、いずれのスケールにおいても高い割合となっていることが分かる。また、「経営計画策定」、「資金繰り」といった項目について、「10億円未満」で割合が特に高く、スケールが小さくなるほど割合が高くなっている傾向が見て取れる。「10億円未満」のスケールにおいては、支援機関 29 等を活用しながら、資金繰りの安定化や経営計画の策定などにより、成長に向けて経営基盤を整えることが重要であると考えられる。一方、「50億円以上~100億円未満」、「100億円以上」の比較的大きい事業者は、特に「脱炭素化・GX」、「M & A」の割合が高いことが分かる。「脱炭素化・GX」については、スケールが大きくなるにつれて、企業の社会的責任が増し、ステークホルダーからの要請が増加することや、大企業のサプライチェーンへの参画が背景にある可能性がある。
第2-2-18図 独力で対応していくことが難しい経営課題(スケール別)
| 経営課題 | 10億円未満 (n=16,531) | 10億円以上~50億円未満 (n=5,774) | 50億円以上~100億円未満 (n=894) | 100億円以上 (n=530) |
|---|---|---|---|---|
| 人材確保・人材育成 | 30.9% | 39.1% | 38.5% | 36.6% |
| デジタル化・DX | 24.0% | 31.3% | 37.0% | 34.3% |
| 販路開拓・マーケティング | 21.9% | 15.2% | 13.1% | 11.9% |
| 経営計画策定 | 21.6% | 10.4% | 7.7% | 6.4% |
| 資金繰り | 21.5% | 10.2% | 7.9% | 5.3% |
| 脱炭素化・GX | 15.5% | 23.0% | 26.6% | 24.9% |
| 事業承継 | 14.1% | 10.6% | 10.4% | 10.9% |
| M & A | 13.4% | 23.4% | 30.3% | 30.6% |
| 海外展開 | 11.8% | 13.9% | 15.5% | 16.8% |
| 生産設備増強、技術・研究開発 | 11.6% | 10.2% | 10.7% | 8.1% |
| 経営改善・事業再生 | 10.7% | 7.5% | 5.4% | 6.0% |
| 価格転嫁 | 7.9% | 9.2% | 7.0% | 9.8% |
| その他 | 1.5% | 1.5% | 1.8% | 1.5% |
| 特にない | 11.6% | 10.9% | 9.8% | 11.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
2.ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
29 ここでの「支援機関」とは、商工会、商工会議所、よろず支援拠点、都道府県等中小企業支援センター、中小企業団体中央会、税・法務関係士業、中小企業診断士、金融機関等を指す。
②スケールアップに向けた組織・人材戦略
次に、企業規模を拡大するに当たって、事業者が重要と考えている組織・人材戦略について、スケール別に確認した(第2-2-19図)。これを見ると、「10億円未満」では、他のスケールと比べ、「経営者の兼務解消・権限委譲」の割合が最も高く、「その他専門的な人材の確保・育成」についても「10億円以上~50億円未満」に次いで高い割合となっていることが分かる。売上高10億円の「成長の壁」は、経営者一人で経営することの
限界であり、例えば営業人材や経理人材などの経営者に足りないスキルを補う専門人材の確保と、経営者に集中しがちな職務権限の委譲が必要であることがうかがえる 30 。また、「経営人材の確保・育成」、「DX人材の確保・育成」については、スケールが大きくなるほど回答割合が高くなる傾向にあることが分かる。100億企業への到達に向けては、事業拡大を伴う中で、DXによる業務変革と、経営者と同じ目線で判断できる経営人材の重要性が増していると考えられる。
第2-2-19図 企業規模を拡大するに当たって、重要と考える組織・人材戦略(スケール別)
| 戦略 |
10億円未満
(n=12,784) |
10億円以上~50億円未満
(n=5,186) |
50億円以上~100億円未満
(n=823) |
100億円以上
(n=508) |
|---|---|---|---|---|
| 採用の拡大 | 37.8% | 51.5% | 53.7% | 51.2% |
| その他専門的な人材の確保・育成 | 33.6% | 34.4% | 32.1% | 28.0% |
| 経営人材の確保・育成 | 32.7% | 39.2% | 40.5% | 44.7% |
| DX人材の確保・育成 | 11.7% | 17.6% | 20.7% | 23.2% |
| 経営者の兼務解消・権限委譲 | 9.3% | 6.7% | 5.2% | 3.1% |
| 研究開発人材の確保・育成 | 6.7% | 9.5% | 9.4% | 8.3% |
| ガバナンスの強化 | 4.3% | 7.7% | 10.3% | 12.2% |
| M&Aによる人材確保 | 2.4% | 4.2% | 4.9% | 4.9% |
| その他 | 3.5% | 1.6% | 0.9% | 2.0% |
| 特にない | 11.5% | 2.7% | 2.1% | 2.2% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. 複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
2. ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
3. 「その他専門的な人材」とは、「経営人材」、「DX人材」、「研究開発人材」以外の専門的な人材を指す。
4. 自社の経営方針について、「売上拡大」、「利益拡大」と回答した事業者に聞いたもの。
30 2023年版中小企業白書第2部第1章第3節では、従業員数の増加に応じて、経営者からの権限委譲が進んでいることを示した上で、権限委譲を進めている企業の方が、進めていない企業に比べて、売上高をより高めていることを確認した。この結果について、「権限委譲を進めたことが自律的な社員の増加や社員からの改善提案の増加につながっており、こうした状況下で既存事業の拡大や新規事業の創出に取り組んだことで、売上高の増加を実現している可能性が考えられる」と指摘している。
③専門人材の確保に向けた、人材育成の取組
第2-2-19図において、いずれのスケールにおいても、専門人材の確保を重点課題として認識している事業者が多いことを確認した。専門人材の確保に当たっては新規採用に加え、社内で育成することも重要である 31 。そこで、人材育成の取組の増減とスケールアップの関係性について確認した(第2-2-20図)。これを見ると、人材育成の取組を「増やした」事業者の方が、「増やしていない」事業者よりも、スケールアップを実現した割合が高いことが分かる。この調査結果から、因果関係の
特定には至らないものの、人材育成の取組はスケールアップの一助となっている可能性がある。
第2-2-20図について、スケール別に集計したものが第2-2-21図である。これを見ると、いずれのスケールにおいても、第2-2-20図と同様の傾向が見て取れる。特に10億円未満のスケールにおいては、人材育成の取組が経営者に足りないスキルを補う人材の確保につながり、経営者一人で経営することの限界という「成長の壁」の打破につながる可能性がある。
第2-2-20図 スケール変動状況(人材育成の取組の増減別)
| 人材育成の取組 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 増やした (n=11,190) | 18.4% | 81.6% |
| 増やしていない (n=11,541) | 7.6% | 92.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.「人材育成の取組の増減」は、5年前(2019年)と比べた、人材育成の取組状況を聞いたもの。「増やした」は、「大いに増やした」、「やや増やした」の合計。「増やしていない」は、「変わらない」、「やや減らした」、「大いに減らした」の合計。「従業員はいない」、「業歴5年未満」と回答した事業者は集計から除いている。
2.5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
31 2018年版中小企業白書第2部第1章第3節では、高い専門性や技能等を有し、事業活動の中枢を担う役割を持った「中核人材」が不足していることの対応方法として、社内で育成するという意向を持った企業が多いことを確認している。
第2-2-21図 スケール変動状況(人材育成の取組の増減別、スケール別)
(1) 売上高10億円未満(5期前)
| Category | Scale-up (%) | Horizontal or Scale-down (%) |
|---|---|---|
| 増やした (n=6,905) | 11.0% | 89.0% |
| 増やしていない (n=9,093) | 3.8% | 96.2% |
(2) 売上高10億円以上~50億円未満(5期前)
| Category | Scale-up (%) | Horizontal or Scale-down (%) |
|---|---|---|
| 増やした (n=3,395) | 29.0% | 71.0% |
| 増やしていない (n=2,078) | 20.6% | 79.4% |
(3) 売上高50億円以上~100億円未満(5期前)
| Category | Scale-up (%) | Horizontal or Scale-down (%) |
|---|---|---|
| 増やした (n=561) | 55.3% | 44.7% |
| 増やしていない (n=245) | 44.5% | 55.5% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.「人材育成の取組の増減」は、5年前(2019年)と比べた、人材育成の取組状況を聞いたもの。「増やした」は、「大いに増やした」、「やや増やした」の合計。「増やしていない」は、「変わらない」、「やや減らした」、「大いに減らした」の合計。「従業員はいない」、「業歴5年未満」と回答した事業者は集計から除いている。
2.5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。なお、ここでの5期前は決算期を指しており、5年前(2019年)と同義でないことに留意する。
次に、経営人材について確認していく。第2-2-22図は、スケール別の経営人材の有無及び人数を確認したものである。これを見ると、スケールが大きくなるほど経営人材が存在している割合が高くなり、人数も増える傾向にある。特に、「経営人材はいない」と回答した割合は、「10億円未満」で最も高いことが見て取れる。この分析からも、売上高10億円未満の事業者が売上高10億円
以上へのスケールアップを実現するに当たっての「成長の壁」の一つとして、経営者一人で経営することの限界が存在している可能性が改めて示唆される。特に、「100億円以上」では、9割超の事業者が経営人材を有していることから、将来的に100億企業を目指すに当たっては、経営人材の確保は重要な取組である可能性がある。
第2-2-22図 経営人材の有無及び人数(スケール別)
| スケール別 | 3人以上 | 2人 | 1人 | 経営人材はいない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=17,106) | 10.5% | 20.1% | 34.4% | 35.0% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,934) | 32.8% | 28.9% | 24.4% | 13.8% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=917) | 47.7% | 25.8% | 15.4% | 11.1% |
| 100億円以上 (n=556) | 57.6% | 21.0% | 13.1% | 8.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここでの「経営人材」とは、経営者と近い視点・視座で、経営戦略の立案や事業展開等に関して意思決定を担うことができる人材を指す。
2.ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
④ガバナンス体制の強化と経営の透明性を高める取組
第2-2-19図を見ると、企業規模を拡大するに当たって、重要と考えている組織・人材戦略として「ガバナンスの強化」と回答する事業者が一定数存在することが分かる。「ガバナンスの強化」と回答している事業者の割合は、スケールが大きくなるほど高まっていることから、比較的大規模な事業者における課題の一つであると考えられる。
ガバナンス体制について分析を進めるに当たっ
て、最初に、利害関係者について確認していく。第2-2-23図は、経営判断において、その意見を重視する利害関係者をスケール別に確認したものである。これを見ると、いずれの利害関係者においても、スケールが大きくなるほど「強く重視する」又は「ある程度重視する」と回答した割合が高くなる傾向がうかがえる。このことから、スケールアップに当たっては、より利害関係者を意識した経営に取り組む必要があり、ガバナンス体制を強化し、経営の透明性を高めることが重要であると考えられる 32 。
32 2018年版中小企業白書第1部第4章第3節では、取締役会の設置といった組織的な意思決定構造の整備や、決算情報等の情報開示や経営計画の策定、管理会計の取組について、従業員規模が大きいほどそれらの整備・取組が進んでいる状況を確認した上で、「企業の成長とともに、これら外部からの規律付けや経営体制といった統治構造を整備していくことで、企業の投資活動が促進され、生産性を向上させながら健全な成長をしていくと考えられよう」と示唆している。
第2-2-23図 経営判断において、重視する利害関係者(スケール別)
(1) 株主
| スケール | 強く重視する | ある程度重視する | あまり重視しない | ほとんど重視しない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=11,313) | 22.5% | 42.2% | 20.1% | 15.2% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,323) | 24.3% | 43.2% | 18.2% | 14.3% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=858) | 28.3% | 40.2% | 18.5% | 12.9% |
| 100億円以上 (n=518) | 28.0% | 43.1% | 18.5% | 10.4% |
(2) 従業員
| スケール | 強く重視する | ある程度重視する | あまり重視しない | ほとんど重視しない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=14,906) | 19.6% | 61.9% | 12.7% | 5.8% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,763) | 20.4% | 64.1% | 11.7% | 3.8% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=898) | 22.0% | 64.5% | 10.2% | 3.2% |
| 100億円以上 (n=543) | 23.8% | 63.7% | 9.8% | 2.8% |
(3) 取引先
| スケール | 強く重視する | ある程度重視する | あまり重視しない | ほとんど重視しない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=15,827) | 18.2% | 59.5% | 15.8% | 6.5% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,710) | 19.6% | 58.4% | 15.4% | 6.6% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=891) | 21.4% | 58.1% | 15.2% | 5.3% |
| 100億円以上 (n=536) | 24.8% | 58.4% | 14.6% | 2.2% |
(4) 地域社会・地元住民
| スケール | 強く重視する | ある程度重視する | あまり重視しない | ほとんど重視しない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=13,894) | 9.3% | 46.5% | 27.8% | 16.4% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=4,931) | 5.8% | 42.3% | 33.3% | 18.6% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=805) | 6.7% | 44.3% | 31.4% | 17.5% |
| 100億円以上 (n=489) | 10.2% | 47.6% | 28.6% | 13.5% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここでスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
2.経営判断を行う際、利害関係者の意見について、どの程度重視しているかを聞いたもの。
3.ここで「取引先」とは、販売先、仕入先、取引金融機関などを指す。
4.利害関係者について、「関係者はいない」と回答した事業者は除いている。
ここからは、ガバナンス体制について分析していく。第2-2-24図は、「取締役会の設置」、「社外取締役の登用」について、スケール別に確認したものである。これを見ると、いずれもスケールが大きくなるほど、取り組んでいる割合が高く、スケール間の差については「10億円未満」と「10億円以上~50億円未満」の間で最も大きいこと
が分かる。スケールアップを目指すに当たっては、「10億円未満」の比較的小さい段階から、まずは「取締役会の設置」によりガバナンス体制の整備に取り組むことが重要である可能性がうかがえる。一方で、「社外取締役の登用」については、「100億円以上」の事業者でも3割を下回っている。
第2-2-24図 ガバナンス体制(スケール別)
(1) 取締役会の設置
| スケール | 設置している (%) | 設置していない (%) |
|---|---|---|
| 10億円未満 (n=13,990) | 59.8% | 40.2% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,926) | 80.7% | 19.3% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=917) | 86.8% | 13.2% |
| 100億円以上 (n=554) | 91.0% | 9.0% |
(2) 社外取締役の登用
| スケール | 登用している (%) | 登用していない (%) |
|---|---|---|
| 10億円未満 (n=13,990) | 10.4% | 89.6% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,926) | 18.5% | 81.5% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=917) | 22.4% | 77.6% |
| 100億円以上 (n=554) | 25.6% | 74.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
3.ここでの「社外取締役」は、以下の全てに該当する人物を指す。
- ・経営者又は筆頭株主の親族でない。
- ・現在及び過去において、自社や自社の親・子会社の役員や従業員でない。
- ・経営陣に対して、監督機能や企業戦略の方向性を示す等の役割を発揮している。
次に、経営の透明性を高めるための組織管理・運営の取組について確認していく。
第2-2-25図は、組織管理の取組である「従業員への経営理念・ビジョンの共有」の取組状況について、スケール別に確認したものである。これを見ると、スケールが大きくなるほど、「十分取り組んでいる」又は「ある程度取り組んでいる」と回答した割合が高くなっていることが分かる。
続いて、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」の取組状況とスケール変動状況の関係性について見ていく。第2-2-26図は、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」に「取り組んでいる」事業者と「取り組んでいない」事業者について、5
期前のスケール別に、スケール変動状況を確認したものである。これを見ると、いずれのスケールにおいても「取り組んでいる」事業者の方がよりスケールアップを実現していることが分かるが、「取り組んでいない」事業者との差については、「50億円以上~100億円未満」のスケールにおいて最も大きい。スケールが大きい事業者ほど抱えている従業員数も多く、経営に関する経営者の考えを自らの言葉で従業員全員に伝えることが難しくなる中、経営理念・ビジョンという形で従業員に浸透させる仕組みを構築できているか否かがスケールアップの実現に向けた一要素となっている可能性がうかがえる。
第2-2-25図 従業員への経営理念・ビジョンの共有の取組状況(スケール別)
| スケール別 | 十分取り組んでいる | ある程度取り組んでいる | あまり取り組んでいない | ほとんど取り組んでいない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=17,106) | 14.1% | 50.3% | 21.0% | 14.5% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,934) | 24.9% | 57.4% | 14.2% | 3.4% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=917) | 31.3% | 56.9% | 9.3% | 2.5% |
| 100億円以上 (n=556) | 36.9% | 53.1% | 8.3% | 1.8% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
第2-2-26図 スケール変動状況(従業員への経営理念・ビジョンの共有の取組状況別)
(1) 売上高10億円未満(5期前)
| 取組状況 | サンプル数 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|---|
| 取り組んでいる | 11,379 | 8.0% | 92.0% |
| 取り組んでいない | 5,982 | 3.3% | 96.7% |
(2) 売上高10億円以上~50億円未満(5期前)
| 取組状況 | サンプル数 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|---|
| 取り組んでいる | 4,529 | 26.6% | 73.4% |
| 取り組んでいない | 955 | 22.0% | 78.0% |
(3) 売上高50億円以上~100億円未満(5期前)
| 取組状況 | サンプル数 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|---|
| 取り組んでいる | 701 | 53.8% | 46.2% |
| 取り組んでいない | 105 | 40.0% | 60.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. 5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
2. 「取り組んでいる」は、「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」の合計。「取り組んでいない」は、「あまり取り組んでいない」、「ほとんど取り組んでいない」の合計。
第2-2-27図は、組織管理の取組である「業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理」の取組状況について、スケール別に確認したものである。これを見ると、「十分取り組んでいる」と回答した割合について、スケール間の差に着目すると、「10億円未満」と「10億円以上~50億円未満」の間で最も大きいことが見て取れる。
続いて、「業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理」の取組状況とスケール変動状況の関係性について見ると、いずれのスケールにおいても、「取り組んでいる」と回答した事業者の方がスケールアップを実現した割合が高いことが分かる(第2-2-28図)。
第2-2-27図 業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理の取組状況(スケール別)
| スケール | 十分取り組んでいる | ある程度取り組んでいる | あまり取り組んでいない | ほとんど取り組んでいない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=17,106) | 20.3% | 51.5% | 19.1% | 9.1% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,934) | 31.9% | 55.7% | 10.4% | 1.9% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=917) | 34.2% | 56.1% | 8.3% | 1.4% |
| 100億円以上 (n=556) | 36.2% | 52.7% | 9.7% | 1.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
第2-2-28図 スケール変動状況(業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理の取組状況別)
(1) 売上高10億円未満(5期前)
| 管理の取組状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 取り組んでいる (n=12,663) | 7.7% | 92.3% |
| 取り組んでいない (n=4,698) | 2.7% | 97.3% |
(2) 売上高10億円以上~50億円未満(5期前)
| 管理の取組状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 取り組んでいる (n=4,787) | 26.3% | 73.7% |
| 取り組んでいない (n=697) | 22.1% | 77.9% |
(3) 売上高50億円以上~100億円未満(5期前)
| 管理の取組状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 取り組んでいる (n=732) | 52.3% | 47.7% |
| 取り組んでいない (n=74) | 48.6% | 51.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
2.「取り組んでいる」は、「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」の合計。「取り組んでいない」は、「あまり取り組んでいない」、「ほとんど取り組んでいない」の合計。
第2-2-29図は、経営判断において意思決定が必要な事項と、その意思決定者を明確にする取組である、「意思決定プロセスの明確化」の取組状況について、スケール別に確認したものである。これを見ると、スケールが大きくなるほど「十分取り組んでいる」又は「ある程度取り組んでいる」と回答した割合が高くなる傾向にあり、スケール間の差に着目すると、「10億円未満」と「10億円以上~50億円未満」の間で最も大きいことが見て取れる。
続いて、「意思決定プロセスの明確化」の取組状況とスケール変動状況の関係性について見ていく。これを見ると、いずれのスケールにおいても、「取り組んでいる」と回答した事業者の方がスケールアップを実現した割合が高いことが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、意思決定プロセスを明確化し、迅速かつ適切な経営判断を行うことができる体制の整備を進めることが、スケールアップを実現する上で重要である可能性がうかがえる(第2-2-30図)。
第2-2-29図 意思決定プロセスの明確化に向けた取組状況(スケール別)
| スケール (n) | 十分取り組んでいる | ある程度取り組んでいる | あまり取り組んでいない | ほとんど取り組んでいない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=17,106) | 15.4% | 50.2% | 22.8% | 11.6% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,934) | 22.0% | 59.2% | 16.1% | 2.7% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=917) | 24.6% | 60.1% | 13.2% | 2.1% |
| 100億円以上 (n=556) | 29.0% | 57.7% | 11.7% | 1.6% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
第2-2-30図 スケール変動状況(意思決定プロセスの明確化に向けた取組状況別)
(1) 売上高10億円未満(5期前)
| 取組状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 取り組んでいる (n=11,544) | 7.6% | 92.4% |
| 取り組んでいない (n=5,817) | 4.0% | 96.0% |
(2) 売上高10億円以上~50億円未満(5期前)
| 取組状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 取り組んでいる (n=4,469) | 26.8% | 73.2% |
| 取り組んでいない (n=1,015) | 21.3% | 78.7% |
(3) 売上高50億円以上~100億円未満(5期前)
| 取組状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 取り組んでいる (n=683) | 52.9% | 47.1% |
| 取り組んでいない (n=123) | 47.2% | 52.8% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
2.「取り組んでいる」は、「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」の合計。「取り組んでいない」は、「あまり取り組んでいない」、「ほとんど取り組んでいない」の合計。
次に、社外に向けた情報開示の取組状況について確認していく。
第2-2-31図は、「決算情報の社外開示」の取組状況について、スケール別に確認したものである。これを見ると、「十分取り組んでいる」又は「ある程度取り組んでいる」と回答した割合は、スケールが大きくなるほど高くなる傾向にある。一方で、「100億円以上」の事業者においても、約2割の事業者は「あまり取り組んでいない」又は「ほとんど取り組んでいない」と回答していることが分かる。
続いて、「決算情報の社外開示」の取組状況とスケール変動状況の関係性について見ていく。第
2-2-32図は、「決算情報の社外開示」に「取り組んでいる」事業者と「取り組んでいない」事業者について、5期前のスケール別に、スケール変動状況を確認したものである。これを見ると、いずれのスケールにおいても、「取り組んでいる」と回答した事業者の方が、「取り組んでいない」と回答した事業者よりもスケールアップを実現した割合が高いことが分かる。外部株主、金融機関、支援機関等に決算情報を開示することで、借入れによる資金調達や、効果的な経営支援・助言を得ることにつながり、それがスケールアップの一助となっている可能性がうかがえる。
第2-2-31図 決算情報の社外開示の取組状況(スケール別)
| スケール | 十分取り組んでいる | ある程度取り組んでいる | あまり取り組んでいない | ほとんど取り組んでいない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=17,106) | 23.4% | 32.5% | 17.5% | 26.6% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,934) | 31.8% | 41.1% | 16.1% | 11.1% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=917) | 34.2% | 41.5% | 14.3% | 9.9% |
| 100億円以上 (n=556) | 34.5% | 43.0% | 13.1% | 9.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここでスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
2.ここで「社外」とは、外部株主、金融機関、支援機関、有償のコンサルタント等を指す。
第2-2-32図 スケール変動状況(決算情報の社外開示の取組状況別)
(1) 売上高10億円未満(5期前)
| 取組状況 | サンプル数 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|---|
| 取り組んでいる | 9,884 | 8.1% | 91.9% |
| 取り組んでいない | 7,477 | 4.0% | 96.0% |
(2) 売上高10億円以上~50億円未満(5期前)
| 取組状況 | サンプル数 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|---|
| 取り組んでいる | 4,033 | 26.2% | 73.8% |
| 取り組んでいない | 1,451 | 24.7% | 75.3% |
(3) 売上高50億円以上~100億円未満(5期前)
| 取組状況 | サンプル数 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|---|
| 取り組んでいる | 610 | 53.4% | 46.6% |
| 取り組んでいない | 196 | 47.4% | 52.6% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
2.「取り組んでいる」は、「十分取り組んでいる」、「ある程度取り組んでいる」の合計。「取り組んでいない」は、「あまり取り組んでいない」、「ほとんど取り組んでいない」の合計。
3.ここでの「社外」とは、外部株主、金融機関、支援機関、有償のコンサルタント等を指す。
⑤スケールアップに向けた経営計画の策定
第1章第1節では、経営計画の策定は、経営状況の把握、自社の強みや弱みの理解等に効果があることに加え、売上高や付加価値額といった業績の向上にもつながる可能性があることを確認した。ここからは、スケール別の経営計画の策定状況とスケールアップとの関係性について確認していく。
最初に、経営計画の策定状況を確認していく。第2-2-33図は、経営計画の策定状況について、スケール別に確認したものである。これを見ると、10億円以上の事業者では6割超が経営計画を策定しているが、「10億円未満」の事業者では「策定している」割合が5割未満であることが分かる。
かる。
続いて、経営計画の策定状況とスケール変動状況の関係性について見ていく。第2-2-34図は、経営計画を「策定している」事業者と「策定していない」事業者について、5期前のスケール別に、スケール変動状況を確認したものである。これを見ると、いずれのスケールにおいても、「策定している」と回答した事業者の方が、「策定していない」と回答した事業者よりもスケールアップを実現した割合が高いことが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、経営計画の策定を進めることはスケールアップの実現に当たって効果的である可能性がうかがえる。
第2-2-33図 経営計画の策定状況(スケール別)
| スケール | 策定している | 策定していないが、今後策定する予定である | 策定しておらず、策定する予定もない |
|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=17,106) | 44.3% | 29.2% | 26.5% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,934) | 64.9% | 21.9% | 13.2% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=917) | 73.5% | 16.2% | 10.3% |
| 100億円以上 (n=556) | 77.9% | 13.3% | 8.8% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここでスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
2.ここで「経営計画」とは、当面の収支計画、また、それらを達成するためのアクションプランや資金繰り計画などについて策定したものを指す。
第2-2-34図 スケール変動状況(経営計画の策定状況別)
(1) 売上高10億円未満(5期前)
| 経営計画の策定状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 策定している (n=7,821) | 9.0% | 91.0% |
| 策定していない (n=9,540) | 4.2% | 95.8% |
(2) 売上高10億円以上~50億円未満(5期前)
| 経営計画の策定状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 策定している (n=3,552) | 26.7% | 73.3% |
| 策定していない (n=1,932) | 24.2% | 75.8% |
(3) 売上高50億円以上~100億円未満(5期前)
| 経営計画の策定状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 策定している (n=605) | 53.4% | 46.6% |
| 策定していない (n=201) | 47.8% | 52.2% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. 5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
2. ここでの「経営計画」とは、当面の収支計画、また、それらを達成するためのアクションプランや資金繰り計画などについて策定したものを指す。
3. 「策定していない」は、「策定していないが、今後策定する予定である」、「策定しておらず、策定する予定もない」の合計。
第2-2-35図は、経営計画を策定したことに
よる効果について、スケール別に確認したものであ
る。これを見ると、「経営状況の把握」、「自社の
強みや弱みの理解」は、いずれのスケールにおい
ても回答した割合が高いことが分かる。スケール
別では、「10億円未満」において、「補助金の獲
得」と回答している割合が特に高く、補助金の申
請を契機に経営計画の策定に取り組んだ事業者が
一定数存在することが示唆される。一方で、「業
績の向上」については、スケールが小さいほど、
その回答割合が低くなっている傾向があり、経営
計画を策定する過程で自社の経営状況や強み・弱
みを把握する機会にはなっているものの、業績面
への効果までは実感できていないという現状がう
かがえる。
第2-2-35図 経営計画を策定したことにによる効果(スケール別)
| 効果 | 10億円未満 (n=7,574) | 10億円以上~50億円未満 (n=3,850) | 50億円以上~100億円未満 (n=674) | 100億円以上 (n=433) |
|---|---|---|---|---|
| 経営状況の把握 | 54.4% | 60.1% | 57.6% | 59.4% |
| 自社の強みや弱みの理解 | 39.3% | 38.7% | 40.1% | 39.5% |
| 業績の向上 | 29.0% | 38.3% | 45.8% | 45.5% |
| 補助金の獲得 | 20.0% | 6.1% | 4.0% | 4.2% |
| 融資の獲得 | 14.6% | 12.4% | 12.0% | 7.9% |
| 取引先への共有 | 4.0% | 4.7% | 4.7% | 4.2% |
| その他 | 2.7% | 2.6% | 2.2% | 2.8% |
| 特にない | 2.7% | 2.2% | 1.5% | 1.6% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここでスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
2.経営計画の策定状況について、「策定している」と回答した事業者に聞いたもの。
3.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
次に、策定した経営計画の運用状況について確認していく。第2-2-36図は、策定した経営計画に対する実績の評価・計画の見直しの取組状況について、スケール別に確認したものである。これを見ると、スケールが小さいほど「行っている」と回答した割合が低いことが分かる。第2-2-35
図では、スケールが小さい事業者ほど、経営計画策定による業績面への効果を実感できていない傾向にあることを確認したが、策定した経営計画に対して適切な運用に取り組んでいるか否かが、経営計画の効果を高めるための一要素となっている可能性がある。
第2-2-36図 計画に対する実績の評価・計画の見直しの取組状況(スケール別)
| スケール別 | 行っている | ある程度行っている | あまり行っていない | 行っていない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=7,574) | 31.5% | 51.5% | 14.9% | 2.1% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=3,850) | 42.8% | 46.0% | 9.9% | 1.3% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=674) | 49.6% | 42.7% | 7.1% | 0.6% |
| 100億円以上 (n=433) | 53.1% | 38.3% | 7.6% | 1.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
2.経営計画の策定状況について、「策定している」と回答した事業者に聞いたもの。
⑥スケールアップに向けたDX 33
第2-2-18図では、スケールを問わず、自社の経営課題として「デジタル化・DX」と回答した事業者が一定程度存在することを確認した。ここからはスケールアップとDXの関係性について分析を進める。
第2-2-37図は、デジタル化の取組段階 34 について
て、スケール別に確認したものである。これを見ると、売上高「10億円未満」は約7割の事業者が「段階2」以下となっており、業務環境のデジタル化を果たした段階でとどまっているが、売上高50億円以上は5割超の事業者が「段階3」以上となっており、デジタル化による業務効率化やデータ分析に取り組んでいる様子がうかがえる。
第2-2-37図 デジタル化の取組段階(スケール別)
| 売上高スケール (n) | 段階4 | 段階3 | 段階2 | 段階1 |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=17,106) | 2.8% | 27.0% | 54.4% | 15.9% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,934) | 3.8% | 42.3% | 49.2% | 4.8% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=917) | 4.8% | 47.1% | 43.8% | 4.3% |
| 100億円以上 (n=556) | 6.3% | 53.2% | 38.1% | 2.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
33 ここでDXとは「デジタル・トランスフォーメーション」の略称であり、「顧客視点で新たな価値を創出していくために、ビジネスモデルや企業文化の変革に取り組むこと」を指す。
34 デジタル化の取組段階は、第1部と同様、以下のとおりとなっている。
段階4:デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる状態
段階3:デジタル化による業務効率化やデータ分析に取り組んでいる状態
段階2:アナログな状況からデジタルツールを利用した業務環境に移行している状態
段階1:紙や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない状態
第2-2-38図は、デジタル化の取組内容をスケール別に見たものである。これを見ると、いずれのスケールにおいても、「自社ホームページの作成・更新」、「紙書類の電子化・ペーパーレス化」が上位2項目となっていることが分かる。スケール別の取組について確認すると、「10億円未満」と「10億円以上~50億円未満」の間で特に差が大きい項目は、「コミュニケーションツールの導入」、「セキュリティ対策の強化」である。売上高10億円以上の規模になると、従業員数が増え、支社・支店の増設による拠点の分散が進み、「コミュニケーションツールの導入」により円滑
かつ効率的な社内コミュニケーションを推進することの必要性が高まると考えられる。「10億円以上~50億円未満」と「50億円以上~100億円未満」の間で特に差が大きい項目は、「営業活動や受発注管理のオンライン化」、「バックオフィス業務でのクラウドサービス活用」であり、経理・労務等のバックオフィス業務や営業活動の効率化が進んでいることがうかがえる。「100億円以上」では、「生成AIやIoTの活用」、「RPAによる業務自動化」といったデジタル化の取組が一部の事業者において進んでいることが分かる。
第2-2-38図 デジタル化の取組内容(スケール別)
| 取組内容 |
10億円未満
(n=17,106) |
10億円以上~50億円未満
(n=5,934) |
50億円以上~100億円未満
(n=917) |
100億円以上
(n=556) |
|---|---|---|---|---|
| 自社ホームページの作成・更新 | 54.3% | 74.1% | 77.2% | 74.8% |
| 紙書類の電子化・ペーパーレス化 | 44.7% | 64.8% | 73.5% | 77.3% |
| コミュニケーションツールの導入 | 27.9% | 46.7% | 54.7% | 60.1% |
| セキュリティ対策の強化 | 26.8% | 45.1% | 53.2% | 59.0% |
| 顧客データの一元管理 | 21.7% | 27.5% | 30.9% | 31.5% |
| キャッシュレス化への対応 | 20.1% | 15.7% | 20.5% | 22.7% |
| 営業活動や受発注管理のオンライン化 | 16.5% | 27.1% | 34.0% | 37.1% |
| バックオフィス業務でのクラウドサービス活用 | 12.5% | 26.1% | 35.4% | 37.8% |
| ECサイトの新設・強化 | 8.6% | 10.8% | 14.5% | 16.4% |
| テレワークの推進 | 8.1% | 14.9% | 18.5% | 22.1% |
| データを活用した製品・商品・サービスの開発・改良 | 6.7% | 8.8% | 12.4% | 13.1% |
| 生成AIやIoTの活用 | 4.5% | 7.3% | 7.7% | 14.6% |
| RPAによる業務自動化 | 1.5% | 7.2% | 12.1% | 24.5% |
| その他 | 2.8% | 2.7% | 1.6% | 0.7% |
| 特にない | 14.0% | 3.4% | 2.0% | 1.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここでスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
2.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
⑦スケールアップと支援機関の活用
最後に、経営課題を解決するための支援や助言を担う支援機関について、その活用状況等を分析する。第2-2-39図は、支援機関の活用状況について、スケール別に確認したものである。これを見ると、「大いに活用している」と回答した割合は、「10億円未満」で最も高いことが分かる。また、「大いに活用している」又は「ある程度活用している」と回答した割合は、いずれのスケールにおいても過半数を占めており、支援機関は広く活用されていることが見て取れる。
第2-2-40図は、支援機関の活用状況別に2024年における売上高の見通しについて、スケール別に確認したものである。これを見ると、いずれのスケールにおいても、「活用している」事業者の方が「活用していない」事業者よりも「増加」の割合が高く、特に「100億円以上」において最も大きな差が生じていることが分かる。いずれも顕著な差ではないという点で、この調査結果から一概にはいえないが、支援機関の活用は売上高の増加に一定の効果を及ぼす可能性がある。
第2-2-39図 支援機関の活用状況(スケール別)
| スケール (n) | 大いに活用している | ある程度活用している | あまり活用していない | 全く活用していない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=17,106) | 28.8% | 43.8% | 17.4% | 10.0% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,934) | 14.2% | 48.8% | 25.6% | 11.4% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=917) | 14.6% | 48.9% | 25.7% | 10.8% |
| 100億円以上 (n=556) | 14.6% | 46.8% | 27.5% | 11.2% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここでスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
2.ここで「支援機関」とは、商工会、商工会議所、よろず支援拠点、都道府県等中小企業支援センター、中小企業団体中央会、税・法務関係士業、中小企業診断士、金融機関等を指す。
第2-2-40図 2024年の売上高(支援機関の活用状況別、スケール別)
(1) 売上高10億円未満(1期前)
| 活用状況 | 増加 | 不変 | 減少 |
|---|---|---|---|
| 活用している (n=12,389) | 46.0% | 26.5% | 27.5% |
| 活用していない (n=4,668) | 41.8% | 25.9% | 32.3% |
(2) 売上高10億円以上~50億円未満(1期前)
| 活用状況 | 増加 | 不変 | 減少 |
|---|---|---|---|
| 活用している (n=3,729) | 50.1% | 21.1% | 28.8% |
| 活用していない (n=2,194) | 49.4% | 22.3% | 28.3% |
(3) 売上高50億円以上~100億円未満(1期前)
| 活用状況 | 増加 | 不変 | 減少 |
|---|---|---|---|
| 活用している (n=581) | 56.1% | 16.2% | 27.7% |
| 活用していない (n=335) | 54.0% | 19.1% | 26.9% |
(4) 売上高100億円以上(1期前)
| 活用状況 | 増加 | 不変 | 減少 |
|---|---|---|---|
| 活用している (n=341) | 58.9% | 16.4% | 24.6% |
| 活用していない (n=215) | 52.6% | 18.6% | 28.8% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここで「支援機関」とは、商工会、商工会議所、よろず支援拠点、都道府県等中小企業支援センター、中小企業団体中央会、税・法務関係士業、中小企業診断士、金融機関等を指す。「活用している」は、「大いに活用している」、「ある程度活用している」と回答した事業者の合計。「活用していない」は、「あまり活用していない」、「全く活用していない」と回答した事業者を合計したもの。
2.「2024年の売上高」は、2023年と比較した2024年の見通し。「増加」は「大幅に増加」「やや増加」と回答した事業者、「減少」は「やや減少」「大幅に減少」と回答した事業者を合計したもの。なお、「2023年時点で事業を開始していない」と回答した事業者は除いている。
3.ここでスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
⑧まとめ
本項では、アンケート調査を用いて、スケール別の「成長の壁」を明らかにするとともに、「成長の壁」を克服してスケールアップを実現するために有効と考えられる取組等について確認した。売上高10億円未満の事業者において、重視する組織・人材戦略の特徴は、「経営者の兼務解消・権限委譲」、「その他専門的な人材の確保・育成」であり、経営者一人で経営することの限界が「成長の壁」の一つであることが示唆された。専門人材の確保に当たっては新規採用に加え、社内で育成することも重要であるとの仮説に基づき、人材育成の取組とスケールアップの関係性を確認すると、人材育成の取組を増やした事業者は増やしていない事業者よりもスケールアップを実現した割合が高いことが示され、人材育成の取組が経営者に足りないスキルを補う人材の確保につながり、経営
者一人で経営することの限界という「成長の壁」の打破につながる可能性があることを確認した。
一方、経営課題のうち「ガバナンスの強化」については、比較的大きい事業者における課題の一つであることが示唆された。ガバナンスの強化に当たっては、取締役会の設置や社外取締役の登用といった体制面の整備を進めることに加え、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」といった経営の透明性を高めるための取組が重要である可能性を示した。
また、経営課題を解決するための支援や助言を担う支援機関を活用することも売上高を高めるために有効である可能性を示した。
事例2-2-3では、支援機関を活用することで、組織変革と製造現場の見直しといった課題を克服し、成長した企業の事例を紹介する。
事例
2-2-3
支援機関を有効活用し、経営課題を乗り越え
成長する企業
所在地 宮崎県都城市
従業員数 45名
資本金 4,500万円
事業内容 機械器具卸売業
株式会社新原産業
▶ 成長過程で技術・ノウハウの属人化が進み、承継と平準化が喫緊の課題に
宮崎県都城市の株式会社新原産業は、養豚、養鶏業向けの畜産機材卸売を柱に、畜舎の設計・施工から機材の製造・販売までワンストップで行う企業である。畜産機材の輸入販売から、南九州の風土に合わせた機材のカスタマイズ、更に発展して畜産農家の「お困りごと」に応じた畜舎の設計・リフォーム、機材の製造にも事業を拡大して成長してきた。一方、こうした同社の成長は、社員の高い提案力や設計力等に裏付けられるものであるが、重要なノウハウは一部のベテラン社員に属人化していた。さらに、祖業が卸売であり製造業のノウハウがないまま、段階的に製造部門を拡大してきたため、非効率的な生産現場となっていた。持続的に成長していくためには、次世代を担う若い社員への技術・ノウハウの承継と製造現場の改善が喫緊の課題となっていた。同社の新原弘二社長は「目の前の仕事がますます広がる中で生じる経営課題に、経営陣だけで対応することに苦労していた」と振り返る。
▶ 支援機関を活用して大きな課題であった組織変革と製造現場の見直しに着手、課題を克服
こうした課題の解消に向けて、まず、2018年に独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、「中小機構」)によるハンズオン支援を受け、組織づくりに着手。具体的には、40歳前後の社員3名を部長、工場長に据えることで組織の若返りを図るとともに、業務の主体となっている営業部門を1課、2課に分け、チーム制を敷いた。これにより、若い社員も含めたチーム内のコミュニケーションの活性化につながり、ベテラン社員から若手社員への技術承継が進んでいる。中小機構による組織づくり支援は、技術承継だけではなく、ITや専門的な工事・建築の知識を持つ若手社員とベテラン社員の連携を促進し、新たな事業展開にもつながっている。新原道子副社長は「これまでは個人の力量に頼って成長してきたが、社員同士で得意分野と不得意分野を補完できるようになり、若手にも活躍の場が生まれた。組織として一枚岩になっている」、新原成道常務は「若手社員のモチベーションは間違いなく高まっている」と語る。また、製造現場の改善でも中小機構のハンズオン支援を活用。これまで行き届いていなかった5S活動といった製造業の基礎から学び直し、作業手順書の整備といった製造工程の標準化を進め、限界を迎えていた生産能力を大きく向上させている。
▶ 新社屋・工場の建設により社内連携を推進し、外部株主の支援を受けながら、一層の成長を目指す
更なる成長を見据え、同社は2024年10月に新社屋・工場を建設した。これにより、単なる生産能力の強化だけでなく、分散していた作業場や事務所が一拠点に集約され、製造現場と営業現場といった部門を超えた、社内連携の一層の推進を実現する考えた。建設資金の調達に当たっては、大阪中小企業投資育成株式会社(以下、「投資育成」)の出資を活用。出資後は投資育成の支援により、自社を客観的に見る機会や細かな経営課題への助言を得られていることに加え、長男である新原崇弘専務への事業承継に備えて後継者育成プログラムも活用している。同社の今後の展望について「システム畜舎の設計やデータに基づいた製品の提供など、『進化するアグリサポーター』としてDX分野も取り入れながら、より高いレベルでお客様の課題解決に貢献することで成長していきたい」と新原社長は語る。
(右から) 新原弘二社長、道子副社長、崇弘専務、成道常務
新社屋
ブロイラーの体重を量り、データを飼育に活用するバードスケール
第3節 スケールアップに向けた投資行動と海外展開
前節では、スケールアップを実現した事業者の財務指標とその特性、スケール別の経営課題を概観しながら、スケールアップの実現に向けて有効な取組について、主に組織・人材戦略等の観点から確認してきた。本節では、スケールアップを実現するための手段として、設備投資、M&A、研究開発・イノベーション活動といった投資行動と海外展開に焦点を当て、その実施状況や効果等について確認していく。
第2-2-41図は、企業規模を拡大するに当たっ
て、重要と考えている投資戦略について、スケール別に確認したものである。これを見ると、「設備・拠点の新設」、「M&A(水平・垂直)」、「M&A(多角化)」、「輸出の開始・拡大」は、スケールが大きくなるほど回答割合が高くなる傾向にあり、将来的に100億企業を目指すに当たっては重要性が増す投資行動であることが示唆される。一方で、「既存設備の更新」、「研究開発」はスケールの大小にかかわらず、一定程度重視されていることがうかがえる。
第2-2-41図 企業規模を拡大するに当たって、重要と考える投資戦略(スケール別)
| 投資戦略 | 10億円未満 (n=12,784) | 10億円以上~50億円未満 (n=5,186) | 50億円以上~100億円未満 (n=823) | 100億円以上 (n=508) |
|---|---|---|---|---|
| 既存設備の更新 | 41.6% | 42.6% | 41.3% | 44.3% |
| 設備・拠点の新設 | 30.9% | 35.8% | 38.8% | 37.4% |
| 研究開発 | 13.1% | 15.5% | 15.1% | 14.4% |
| M&A (水平・垂直) | 10.5% | 19.3% | 24.2% | 27.2% |
| M&A (多角化) | 6.7% | 10.1% | 10.3% | 13.2% |
| 輸出の開始・拡大 | 4.8% | 7.2% | 10.1% | 14.2% |
| その他 | 9.9% | 10.5% | 9.8% | 6.9% |
| 特にない | 18.9% | 10.8% | 7.7% | 6.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
2.自社の経営方針について、「売上拡大」、「利益拡大」と回答した事業者に聞いたもの。
3.ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
4.ここで「M&A(水平・垂直)」とは、同業種の企業(水平統合)又は商流の川上や川下企業(垂直統合)を対象とするM&Aのことを指し、「M&A(多角化)」とは、異業種の企業を対象とするM&Aのことを指す。
1. 設備投資
第2-2-41図を見ると、いずれのスケールにおいても、3割超の事業者が、重視する投資戦略として「既存設備の更新」又は「設備・拠点の新設」といった設備投資を回答していることが分かる。本項では、設備投資の実施状況、その目的や効果について、スケールアップとの関係性に焦点を当て、分析を進めていく。
①設備投資の実施状況と効果
第2-2-16図(再掲)は、経済産業省「企業活
動基本調査」のパネルデータを用いて、設備投資の実施有無別に売上高の推移を確認したものである。これを見ると、「2017年度に実施した企業」は、設備投資実施以降で売上高が増加しており、「2013~2022年度の間一切実施していない企業」よりも高い水準で推移していることが分かる。その他の取組や経営者の手腕などといった他の要素を排除しきれないため、この調査結果から一概にはいえないが、一定規模の設備投資の実施が成長につながる可能性が示唆される。
第2-2-16図 売上高の推移(設備投資の実施有無別)(再掲)
| 年度 | 2017年度に実施した企業 (n=767) | 2013~2022年度の間一切実施していない企業 (n=7,355) |
|---|---|---|
| 2013 | 89.0 | 93.9 |
| 2014 | 93.0 | 95.7 |
| 2015 | 93.7 | 95.8 |
| 2016 | 95.2 | 95.5 |
| 2017 | 100.0 | 100.0 |
| 2018 | 107.7 | 103.0 |
| 2019 | 105.5 | 101.7 |
| 2020 | 98.7 | 95.9 |
| 2021 | 103.9 | 100.9 |
| 2022 | 117.9 | 107.8 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注)1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.ここでいう「設備投資の実施」とは、「有形固定資産当期取得額」が同期の売上高の10%より大きい場合をいう。
3.2017年度の数値を100として、2013年度から2022年度までの変化を見たもの。
第2-2-42図は、無形固定資産投資の実施有無別に売上高の推移を確認したものである。これを見ると、「2017年度に実施した企業」は、無形固定資産投資の実施以降で売上高が増加しており、2018年度を除き、「2013~2022年度の間
一切実施していない企業」よりも高い水準で推移していることが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、一定規模の無形固定資産投資の実施が成長につながる可能性が示唆される。
第2-2-42図 売上高の推移(無形固定資産投資の実施有無別)
| 年度 | 2017年度に実施した企業 (n=63) | 2013~2022年度の間に一切実施していない企業 (n=10,587) |
|---|---|---|
| 2013 | 92.5 | 93.5 |
| 2014 | 86.1 | 95.1 |
| 2015 | 104.6 | 96.0 |
| 2016 | 103.1 | 96.0 |
| 2017 | 100.0 | 100.0 |
| 2018 | 100.4 | 103.2 |
| 2019 | 111.5 | 102.0 |
| 2020 | 110.3 | 95.9 |
| 2021 | 117.3 | 101.5 |
| 2022 | 121.9 | 108.6 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.ここでいう「無形固定資産投資の実施」とは、「無形固定資産当期取得額」が同期の売上高の5%より大きい場合をいう。
3.2017年度の数値を100として、2013年度から2022年度までの変化を見たもの。
次に、アンケート調査を用いて、設備投資の実施状況、その効果や目的等について確認していく。第2-2-43図は、直近5年間程度の設備投資の実施状況について、業種別に見たものである。これを見ると、「実施した」と回答した割合が最も高い業種は「宿泊業」であり、次いで「運輸
業、郵便業」、「製造業」と続いていることが分かる。これらの業種は、サービスの提供や製品の製造、その品質や生産性の維持・向上において、定期的な設備の取得・増強・更新が必要であることが推察される。
第2-2-43図 設備投資の実施状況(業種別)
| 業種 | 実施した (%) | 実施していない (%) |
|---|---|---|
| 建設業 (n=5,605) | 36.3% | 63.7% |
| 製造業 (n=5,713) | 52.7% | 47.3% |
| 情報通信業 (n=542) | 32.1% | 67.9% |
| 運輸業、郵便業 (n=899) | 59.8% | 40.2% |
| 卸売業 (n=3,660) | 28.0% | 72.0% |
| 小売業 (n=2,330) | 33.2% | 66.8% |
| 不動産業、物品賃貸業 (n=764) | 38.2% | 61.8% |
| 宿泊業 (n=280) | 61.4% | 38.6% |
| 飲食サービス業 (n=1,035) | 42.6% | 57.4% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 (n=535) | 38.3% | 61.7% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 (n=633) | 51.5% | 48.5% |
| サービス業(他に分類されないもの) (n=1,706) | 41.9% | 58.1% |
| その他 (n=886) | 39.2% | 60.8% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.直近5年間程度の設備投資の実施状況について聞いたもの。なお、ここでの「設備投資」とは、直近決算期における売上高(年商)対比で10%以上の規模の設備投資を指す。また、複数回にわたって設備投資を実施しており、投資総額が売上高(年商)対比10%以上となる場合は、「実施した」として集計している。
2.「その他」は、「鉱業、採石業、砂利採取業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「教育、学習支援業」、「医療、福祉」、「その他」と回答した事業者の合計。
第2-2-44図は、第2-2-43図において設備投資を「実施した」と回答した割合が特に高かった業種 35 について、直近5年間程度の設備投資の実施状況別に、5年間のスケール変動状況を見たものである。これを見ると、業種によってスケールアップを実現した割合の水準に差があるものの、
いずれの業種においても「実施した」と回答した事業者は、「実施していない」と回答した事業者よりも、スケールアップを実現している割合が高いことが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、設備投資の実施は、スケールアップに向けて有効な投資行動の一つであると考えられる。
35 「宿泊業、飲食サービス業」、「運輸業、郵便業」、「製造業」を抽出した。なお、「宿泊業」については、サンプル数が少なかったため、「飲食サービス業」と統合している。
第2-2-44図 スケール変動状況(設備投資の実施状況別)
(1)宿泊業、飲食サービス業
| 設備投資の実施状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 実施した (n=563) | 9.4% | 90.6% |
| 実施していない (n=633) | 3.0% | 97.0% |
(2)運輸業、郵便業
| 設備投資の実施状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 実施した (n=536) | 20.0% | 80.0% |
| 実施していない (n=360) | 12.5% | 87.5% |
(3)製造業
| 設備投資の実施状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 実施した (n=2,987) | 15.0% | 85.0% |
| 実施していない (n=2,673) | 8.0% | 92.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.「設備投資の実施状況」は、直近5年間程度の設備投資の実施状況について聞いたもの。なお、ここでの「設備投資」とは、直近決算期における売上高(年商)対比で10%以上の規模の設備投資を指す。また、複数回にわたって設備投資を実施しており、投資総額が売上高(年商)対比10%以上となる場合は、「実施した」として集計している。
2.5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
②設備投資の目的
第2-2-45図は、直近5年間程度で実施した設備投資の目的を見たものである。これを見ると、「設備の更新・維持」と回答した割合が最も高く、
次いで「生産能力・販売能力の強化」、「新製品・新規事業の開始」、「生産拠点の増設」と続いていることが分かる。
第2-2-45図 実施した設備投資の目的
(n=9,844)
| 設備の更新・維持 | 44.7% |
| 生産能力・販売能力の強化 | 24.4% |
| 新製品・新規事業の開始 | 9.9% |
| 生産拠点の増設 | 6.8% |
| デジタル化への対応 | 5.4% |
| 製造・販売プロセスの合理化・省力化 | 2.6% |
| 製造・販売コストの削減 | 1.7% |
| 省エネ・脱炭素化への対応 | 1.5% |
| その他 | 2.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.直近5年間程度に設備投資を実施したと回答した事業者に聞いたもの。
2.複数回実施している場合は、最も投資額が大きかった設備投資について聞いたもの。
第2-2-46図は、設備投資の目的について、スケール変動状況別に見たものである。これを見ると、「スケールアップ」の事業者は、「横ばい・スケールダウン」の事業者と比べ、「生産能力・販
売能力の強化」、「生産拠点の増設」と回答した割合が高いことが分かる。このことから、生産・販売能力の強化を目的とした設備投資が、スケールアップの一助となっていることがうかがえる。
第2-2-46図 実施した設備投資の目的(スケール変動状況別)
| 目的 | スケールアップ (n=1,415) | 横ばい・スケールダウン (n=8,239) |
|---|---|---|
| 設備の更新・維持 | 39.0% | 46.0% |
| 生産能力・販売能力の強化 | 27.3% | 23.8% |
| 生産拠点の増設 | 12.4% | 5.9% |
| 新製品・新規事業の開始 | 7.0% | 10.1% |
| デジタル化への対応 | 5.9% | 5.3% |
| 製造・販売プロセスの合理化・省力化 | 2.0% | 2.7% |
| 省エネ・脱炭素化への対応 | 1.3% | 1.6% |
| 製造・販売コストの削減 | 1.3% | 1.9% |
| その他 | 3.7% | 2.8% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1. 直近5年間程度に設備投資を実施したと回答した事業者聞いたもの。なお、設備投資を複数回実施している場合は、最も投資額が大きかった設備投資の目的について聞いている。
2. 5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
③設備投資の実施予定
最後に、今後の設備投資の実施予定と実施予定額を確認する。第2-2-47図は、スケール変動状況別に、今後3年間程度における設備投資の実施予定・総投資予定額を確認したものである。これを見ると、「実施予定はない・総投資予定額は未定」と回答している割合は、「スケールアップ」の事業者の方が、「横ばい・スケールダウン」の
事業者よりも低いことが分かる。スケールアップを実現した事業者は、更なるスケールアップを目指して、設備投資を検討していることがうかがえる。また、設備投資の総投資予定額についても、1億円以上と回答している割合は、「横ばい・スケールダウン」の事業者よりも、「スケールアップ」の事業者の方が高いことが分かる。
第2-2-47図 今後3年間程度における設備投資の実施予定・総投資予定額(スケール変動状況別)
| スケール変動状況 | 10億円以上 | 5億円以上~10億円未満 | 3億円以上~5億円未満 | 2億円以上~3億円未満 | 1億円以上~2億円未満 | 1億円未満 | 実施予定はない・総投資予定額は未定 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| スケールアップ (n=2,885) | 4.6% | 4.6% | 5.6% | 4.7% | 11.9% | 38.5% | 29.9% |
| 横ばい・スケールダウン (n=20,684) | 3.8% | 41.8% | 49.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.今後3年間程度における設備投資の実施予定、及び、実施を予定している場合における総投資予定額を聞いたもの。複数回の実施を予定している場合における総投資予定額は、最も投資予定額が大きいものを回答している。
2.5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
3.総投資予定額について、「1億円以上~2億円未満」は、「1億円以上~1億5千万円未満」、「1億5千万円以上~2億円未満」と回答した事業者の合計。「1億円未満」は、「1千万円未満」、「1千万円以上~5千万円未満」、「5千万円以上~1億円未満」と回答した事業者の合計。
④まとめ
本項では、設備投資の実施状況、その目的や効果等について確認した。経済産業省「企業活動基本調査」による分析では、一定規模の設備投資、無形固定資産投資の実施は、売上高を高め、成長につながる可能性が示唆された。また、アンケート調査を用いて、設備投資の実施とスケールアップ
の関係性について確認したところ、業種によって差異はあるものの、設備投資の実施は、スケールアップに向けて有効な投資行動の一つであることが分かった。また、設備投資の目的については、特に生産・販売能力の強化を目的とした設備投資が、スケールアップの一助となっている可能性が示された。
2. M & A
第2-2-41図では、企業規模を拡大するに当たって重要な投資戦略について、スケールが大きくなるほど「M & A(水平・垂直)」、「M & A(多角化)」と回答している事業者の割合が高くなっており、将来的に100億企業を目指すに当たっては重要性が増す投資行動である可能性を確認した。本項では、M & Aの実施状況、その目的や効果等について、スケールアップとの関係性に焦点を当て、分析を進めていく。
① M & Aの実施状況と効果
第2-2-48図は、我が国企業のM & A件数の推移を見たものである。(株)レコフデータの調べによると、M & Aの件数は近年増加傾向で推移しており、2024年には過去最多の4,700件となった。これらはあくまでも公表されている件数であるが、M & Aについては未公表のものも一定数存在することを考慮すると、我が国におけるM & Aは更に活発化していることが推察される。
第2-2-48図 M&A件数の推移
| 年 | M&A件数 |
|---|---|
| 00 | 1,600 |
| 01 | 1,650 |
| 02 | 1,750 |
| 03 | 1,700 |
| 04 | 2,200 |
| 05 | 2,700 |
| 06 | 2,750 |
| 07 | 2,650 |
| 08 | 2,400 |
| 09 | 1,900 |
| 10 | 1,650 |
| 11 | 1,650 |
| 12 | 1,800 |
| 13 | 2,000 |
| 14 | 2,250 |
| 15 | 2,400 |
| 16 | 2,600 |
| 17 | 3,000 |
| 18 | 3,800 |
| 19 | 4,000 |
| 20 | 3,700 |
| 21 | 4,304 |
| 22 | 4,015 |
| 23 | 4,700 |
| 24 | 4,700 |
資料:(株)レコフデータ調べ
また、第三者に事業を引き継ぐ意向がある中小企業者と、他社から事業を譲り受けて事業の拡大を目指す中小企業者等からの相談を受け付け、マッチングの支援等を行う支援機関として、事業承継・引継ぎ支援センターが全都道府県に設置されている。第2-2-49図は、事業承継・引継ぎ支
援センターの相談社数と第三者承継に関する成約件数の推移を見たものである。これを見ると、「相談社数」、「成約件数」共に近年増加傾向にあることが分かる。このことから大企業だけでなく、中小企業においてもM&A件数が増加していることが分かる。
第2-2-49図 事業承継・引継ぎ支援センターの相談社数・成約件数
| 年度 | 相談社数 (左軸) | 成約件数 (右軸) |
|---|---|---|
| 11 | 250 | 0 |
| 12 | 994 | 17 |
| 13 | 1,634 | 33 |
| 14 | 2,894 | 102 |
| 15 | 4,924 | 209 |
| 16 | 6,292 | 430 |
| 17 | 8,526 | 687 |
| 18 | 11,477 | 923 |
| 19 | 11,514 | 1,176 |
| 20 | 11,686 | 1,379 |
| 21 | 13,005 | 1,514 |
| 22 | 14,414 | 1,681 |
| 23 | 15,639 | 2,023 |
資料:(独)中小企業基盤整備機構調べ
(注)1.事業承継・引継ぎ支援センターは、第三者承継支援を行っていた「事業引継ぎ支援センター」に、親族内承継支援を行っていた「事業承継ネットワーク」の機能を統合し、2021年4月より活動を開始している。そのため、2011年度から2020年度は事業引継ぎ支援センターの件数、2021年度以降は事業承継・引継ぎ支援センターの件数として集計している。
2.事業引継ぎ支援センターは、2011年度に7か所設置され、2013年度:10か所(累計)、2014年度:16か所(累計)、2015年度:46か所(累計)、2016年度:47か所(累計)となり、2017年度に48か所の体制となった。
3.2011年度から2020年度までの相談社数については、第三者承継のほか、従業員承継等に関する相談も一部含まれている。また、2021年度以降の相談社数については第三者承継のみの数値を集計している。
ここからは、経済産業省「企業活動基本調査」のパネルデータを用いて、分析を進めていく。第2-2-50図は、2022年度のスケール別に、M&A
の実施状況を確認したものである。これを見ると、スケールが大きい企業ほど、M&Aを実施している割合が高い傾向にあることが分かる。
第2-2-50図 M&Aの実施状況(スケール別)
| スケール (n) | 実施 (%) | 非実施 (%) |
|---|---|---|
| 10億円未満 (n=1,053) | 6.2% | 93.8% |
| 10億円以上~20億円未満 (n=2,083) | 9.6% | 90.4% |
| 20億円以上~30億円未満 (n=1,591) | 12.9% | 87.1% |
| 30億円以上~40億円未満 (n=1,179) | 17.2% | 82.8% |
| 40億円以上~50億円未満 (n=872) | 18.9% | 81.1% |
| 50億円以上~60億円未満 (n=638) | 17.6% | 82.4% |
| 60億円以上~70億円未満 (n=477) | 19.9% | 80.1% |
| 70億円以上~80億円未満 (n=401) | 22.7% | 77.3% |
| 80億円以上~90億円未満 (n=311) | 21.2% | 78.8% |
| 90億円以上~100億円未満 (n=279) | 25.4% | 74.6% |
| 100億円以上 (n=1,970) | 30.3% | 69.7% |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.ここでいうM&Aの実施とは、2013~2022年度の間に「事業譲受」、「吸収合併」を実施した場合、及び「国内子会社」若しくは「海外子会社」を1社以上買収した場合をいう。
3.スケールは、2022年度の実績である。
第2-2-51図は、2017年度におけるM&Aの実施有無別に売上高の推移を見たものである。これを見ると、「2017年度に実施した企業」は、
「2013~2022年度の間に一切実施していない企業」よりも、M&Aの実施後において売上高をより高めていることが分かる。
第2-2-51図 売上高の推移(M&Aの実施有無別)
| 年度 | 2017年度に実施した企業 (n=297) | 2013~2022年度の間に一切実施していない企業 (n=8,983) |
|---|---|---|
| 2013 | 89.8 | 94.0 |
| 2014 | 91.6 | 96.1 |
| 2015 | 94.3 | 96.1 |
| 2016 | 94.1 | 95.9 |
| 2017 | 100.0 | 100.0 |
| 2018 | 105.3 | 102.9 |
| 2019 | 104.0 | 101.7 |
| 2020 | 97.1 | 95.3 |
| 2021 | 102.4 | 100.3 |
| 2022 | 108.3 | 107.7 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注)1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.ここでいうM&Aの実施とは、「事業譲受」、「吸収合併」を実施した場合、及び「国内子会社」若しくは「海外子会社」を1社以上買収した場合をいう。
3.2017年度の数値を100として、2013年度から2022年度までの変化を見たもの。
第2-2-52図は、2017年度のスケール別にM&A実施企業の売上高の推移を見たものである。これを見ると、2022年度時点において、「30億円以上~60億円未満」が最も売上高を高めており、次いで、「30億円未満」、「100億円以上」、「60億円以上~100億円未満」と続いていること
が分かる。研究会においても、売上高30億円~50億円の規模においては、M&Aによりマーケットの限界を打破し、同時に人材確保につなげることが成長に向けて有効であると指摘しており、スケールアップに向けてM&Aの実施には一定の有効性があると示唆される。
第2-2-52図 M&A実施企業の売上高の推移(スケール別)
(売上高 2017年度=100)
| 年度 | 30億円未満 (n=75) | 30億円以上~60億円未満 (n=74) | 60億円以上~100億円未満 (n=54) | 100億円以上 (n=94) |
|---|---|---|---|---|
| 2017 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
| 2018 | 109.0 | 107.0 | 104.0 | 105.0 |
| 2019 | 112.0 | 106.0 | 102.0 | 104.0 |
| 2020 | 109.0 | 99.0 | 93.0 | 96.0 |
| 2021 | 111.0 | 106.0 | 98.0 | 102.0 |
| 2022 | 115.4 | 119.6 | 105.7 | 107.2 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.ここでいうM&Aの実施とは、2017年度において、「事業譲受」、「吸収合併」を実施した場合、及び「国内子会社」若しくは「海外子会社」を1社以上買収した場合をいう。
3.2017年度の数値を100として、2017年度から2022年度までの変化を見たもの。
4.スケールは、2017年度の実績である。
第2-2-53図は、2017年度におけるM&Aの実施有無別に経常利益の推移を見たものである。これを見ると、2019年度以降の実績では、「2017年度に実施した企業」は、「2013~2022年度の間に一切実施していない企業」よりも、経常利益を
高めていることが分かる。M&Aによって、生産設備、技術・ノウハウといった経営資源の共有等を通じたシナジー効果の発揮により、経常利益を高めてきた可能性がうかがえる。
第2-2-53図 経常利益の推移(M&Aの実施有無別)
| 年度 | 2017年度に実施した企業 (n=297) | 2013~2022年度の間に一切実施していない企業 (n=8,983) |
|---|---|---|
| 2013 | 78.0 | 80.4 |
| 2014 | 79.3 | 84.5 |
| 2015 | 92.2 | 86.8 |
| 2016 | 92.3 | 86.9 |
| 2017 | 100.0 | 100.0 |
| 2018 | 95.3 | 110.0 |
| 2019 | 99.6 | 93.4 |
| 2020 | 112.2 | 86.9 |
| 2021 | 161.8 | 113.7 |
| 2022 | 147.6 | 122.0 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注)1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.ここでいうM&Aの実施とは、「事業譲受」、「吸収合併」を実施した場合、及び「国内子会社」若しくは「海外子会社」を1社以上買収した場合をいう。
3.2017年度の数値を100として、2013年度から2022年度までの変化を見たもの。
第2-2-54図は、アンケート調査を用いて、直近5年間程度におけるM&Aの実施状況について、業種別に見たものである。これを見ると、「全体」では、「買収した」と回答した割合は1割に及ばないが、「買収していない(買収意欲はある)」と回答した割合は約2割であり、一定の事
業者が潜在的なM&Aのニーズを抱えていることが分かる。
業種別に見ると、「買収した」と回答した割合は「運輸業、郵便業」で最も高く、次いで「卸売業」、「不動産業、物品賃貸業」と続いていることが分かる。
第2-2-54図 M&Aの実施状況(業種別)
| 業種 | 買収した (%) | 買収していない(買収意欲はある) (%) | 買収していない(買収意欲はない) (%) |
|---|---|---|---|
| 全体 (n=21,408) | 6.7% | 18.8% | 74.4% |
| 建設業 (n=5,242) | 5.4% | 19.2% | 75.4% |
| 製造業 (n=5,258) | 5.7% | 15.9% | 78.4% |
| 情報通信業 (n=534) | 6.0% | 23.8% | 70.2% |
| 運輸業、郵便業 (n=881) | 10.4% | 24.0% | 65.6% |
| 卸売業 (n=3,570) | 8.9% | 20.5% | 70.6% |
| 小売業 (n=1,667) | 6.1% | 16.1% | 77.7% |
| 不動産業、物品賃貸業 (n=748) | 8.6% | 23.8% | 67.6% |
| 宿泊業 (n=188) | 5.3% | 14.4% | 80.3% |
| 飲食サービス業 (n=381) | 6.6% | 17.1% | 76.4% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 (n=456) | 5.0% | 19.1% | 75.9% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 (n=333) | 8.4% | 20.1% | 71.5% |
| サービス業(他に分類されないもの) (n=1,383) | 8.0% | 20.2% | 71.9% |
| その他 (n=767) | 7.7% | 18.3% | 74.1% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.ここでの「M&Aの実施」とは、直近5年間程度において、他社又は他社事業を買収することを指す。なお、ここでの「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得することを指し、「他社事業の買収」とは事業譲受のことを指す。いずれも有償・無償かは問わない。
3.「その他」は、「鉱業、採石業、砂利採取業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「教育、学習支援業」、「医療、福祉」、「その他」と回答した事業者の合計。
第2-2-55図は、直近5年間程度のM&Aの実施状況別に、5年間のスケール変動状況を見たものである。これを見ると、「買収した」と回答し
た事業者は、「買収していない」と回答した事業者よりも、スケールアップを実現している割合が高いことが分かる。
第2-2-55図 スケール変動状況(M&Aの実施状況別)
| M&A実施状況 | サンプル数 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|---|
| 買収した | n=1,441 | 30.3% | 69.7% |
| 買収していない | n=19,824 | 12.6% | 87.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.ここでの「M&Aの実施」とは、直近5年間程度において、他社又は他社事業を買収することを指す。なお、ここでの「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得することを指し、「他社事業の買収」とは事業譲受のことを指す。いずれも有償・無償かは問わない。
3.ここでの「買収していない」は、「買収していない(買収意欲はある)」、「買収していない(買収意欲はない)」と回答した事業者を合計したもの。
4.5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
第2-2-56図は、M & Aの実施回数について、スケール別に確認したものである。これを見ると、スケールが大きい事業者ほど実施回数が多い傾向にあることが分かる。これらの調査結果から
一概にはいえないが、スケールアップに向けた成長戦略として、M & Aは有効である可能性がうかがえる。
| スケール別 | 5回以上 | 4回 | 3回 | 2回 | 1回 | 買収したことはない |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 全体 (n=21,244) | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 7.8% | 0.0% | 88.0% |
| 10億円未満 (n=13,904) | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 4.6% | 0.0% | 93.9% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,875) | 0.0% | 0.0% | 4.2% | 13.1% | 0.0% | 79.9% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=913) | 6.2% | 5.4% | 0.0% | 14.5% | 16.7% | 69.6% |
| 100億円以上 (n=552) | 6.2% | 5.4% | 0.0% | 14.5% | 16.7% | 55.1% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者聞いたもの。
2.ここでの「M&Aの実施」とは、他社又は他社事業を買収することを指す。なお、「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得すること、「他社事業の買収」とは事業譲受のことを指す。いずれも有償・無償かは問わない。
3.ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
第2-2-57図は、買収先との関係性について、スケール変動状況別に確認したものである。これを見ると、「スケールアップ」の事業者は、「横ばい・スケールダウン」の事業者と比べ、「仕入先・外注先」、「同一の財・サービスを提供している
競合他社」と回答した割合が若干高いことが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、川上への垂直統合や、水平統合を目的としたM&Aがスケールアップにつながる可能性が示唆される。
第2-2-57図 買収先との関係性(スケール変動状況別)
| スケール変動状況 | 販売先 | 仕入先・外注先 | 同一の財・サービスを提供している競合他社 | 異なる財・サービスを提供している競合他社 | 取引・資金交流がない先、競合関係にない先 | その他 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| スケールアップ (n=421) | 7.8% | 22.3% | 35.4% | 8.1% | 18.1% | 8.3% |
| 横ばい・スケールダウン (n=962) | 11.5% | 19.2% | 32.0% | 8.3% | 18.3% | 10.6% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.直近5年間程度において、他社又は他社事業を買収(M&A)したと回答した事業者に聞いたもの。「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得すること、「他社事業の買収」とは事業譲受のことを指す。いずれも有償・無償かは問わない。
3.複数回実施している場合は、最もプラスの効果を及ぼしたと思うM&Aについて聞いている。
4.5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
第2-2-58図は、M & Aを実施した事業者の買収目的について、スケール変動状況別に確認したものである。これを見ると、「スケールアップ」の事業者は、「横ばい・スケールダウン」の事業者と比べ、「市場シェアの拡大」、「人材の獲得」、「技術・ノウハウの獲得」と回答した事業者の割
合が高いことが分かる。その中でも、「人材の獲得」で最も大きい差があることに着目すると、人材不足というリソースの制約をM & Aによる「人材の獲得」で解消し、スケールアップを果たしてきたことがうかがえる。
第2-2-58図 M&Aの目的(スケール変動状況別)
| 目的 | スケールアップ (n=421) | 横ばい・スケールダウン (n=962) |
|---|---|---|
| 市場シェアの拡大 | 50.4% | 46.2% |
| 人材の獲得 | 33.3% | 23.6% |
| 新事業展開・異業種への参入 | 30.2% | 30.8% |
| 技術・ノウハウの獲得 | 26.6% | 20.6% |
| 廃業予定先の救済 | 18.5% | 19.8% |
| 買収先の雇用維持 | 16.9% | 13.9% |
| コスト低減・合理化 | 11.9% | 8.6% |
| 事業用資産の獲得 | 10.9% | 10.6% |
| サプライチェーンの維持 | 8.6% | 6.8% |
| ブランドの獲得 | 7.4% | 4.3% |
| その他 | 5.2% | 6.2% |
| 特にない | 1.9% | 5.1% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.直近5年間程度において、他社又は他社事業を買収(M&A)したと回答した事業者に聞いたもの。「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得すること、「他社事業の買収」とは事業譲受のことを指す。いずれも有償・無償かは問わない。
3.複数回実施している場合は、最もプラスの効果を及ぼしたと思うM&Aについて聞いている。
4.5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
5.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
ここまで、他社又は他社事業の買収に焦点を当てた分析を行ってきたが、ここからはM&Aの売り手側として自社を売却した事業者と、他社と資本提携を行った事業者について分析を進める。
第2-2-59図は、直近5年間程度において自社
を売却した事業者を対象に、売却したことによる効果を確認したものである。これを見ると、「親会社・資本提携先からの経営支援による業績改善」と回答した割合が最も高く、次いで「販路拡大による売上増加」の割合が高いことが分かる。
第2-2-59図 自社売却による効果
| 効果 | 割合 |
|---|---|
| 親会社・資本提携先からの経営支援による業績改善 | 42.5% |
| 販路拡大による売上増加 | 29.8% |
| 経営資源共有によるコスト削減 | 22.6% |
| 従業員への賃上げ | 22.6% |
| 技術・ノウハウの獲得 | 16.8% |
| ブランドの獲得 | 10.6% |
| その他 | 13.0% |
| 特に効果は感じていない | 14.4% |
(n=292)
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した業者に聞いたもの。
2.直近5年間程度において、「自社売却」を実施した業者に聞いたもの。ここでの「自社売却」とは、議決権過半数に当たる株式を売却することを指す。有償・無償かは問わない。
3.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第2-2-60図は、直近5年間程度において資本提携を実施した事業者を対象に、その効果を確認したものである。これを見ると、「販路拡大による売上増加」と回答した割合が最も高く、次いで
「親会社・資本提携先からの経営支援による業績改善」、「技術・ノウハウの獲得」と続いていることが分かる。
第2-2-60図 資本提携による効果
(n=186)
| 効果 | 割合 |
|---|---|
| 販路拡大による売上増加 | 38.7% |
| 親会社・資本提携先からの経営支援による業績改善 | 35.5% |
| 技術・ノウハウの獲得 | 22.0% |
| 経営資源共有によるコスト削減 | 18.3% |
| ブランドの獲得 | 14.0% |
| 従業員への賃上げ | 13.4% |
| その他 | 13.4% |
| 特に効果は感じていない | 11.8% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.直近5年間程度において、「資本提携」を実施した事業者に聞いたもの。ここでの「資本提携」とは、経営権を維持した範囲で他社から出資を受け入れることを指す。
3.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第2-2-59図及び第2-2-60図では、「自社売却」、「資本提携」の効果として、「親会社・資本提携先からの経営支援による業績改善」の回答割合が高かったことを確認した。第2-2-61図は、直近5年間程度において「自社売却」、「事業譲渡」、「資本提携」を実施した事業者について、経常利益の変化率を確認したものである。これを見ると、「自社売却」、「資本提携」を実施したと回答した事業者は、「いずれも実施していない」と回答した事業者に比べ、経常利益の変化率が高いことが
分かる。この調査結果から一概にはいえないが、自社を売却し親会社のグループ傘下に入ることや資本提携を行うことは、親会社や資本提携先からの経営支援やシナジー効果の発揮などにより、業績向上につながる可能性が示唆される。
事例2-2-4では、積極的なM&Aを進め、経営統合の取組により買収先の経営改善に取り組みながら、グループ全体で成長している企業の事例を紹介する。
第2-2-61図 経常利益の変化率(自社売却、事業譲渡、資本提携の実施状況別、中央値)
| 実施状況 | 経常利益の変化率 |
|---|---|
| 自社売却 (n=212) | 54.3% |
| 事業譲渡 (n=183) | 20.6% |
| 資本提携 (n=123) | 102.8% |
| いずれも実施していない (n=12,426) | 33.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.直近5年間程度における、自社又は自社事業の売却、資本提携の実施状況を問う設問について、その回答別に経常利益の変化率を比較したもの。なお、ここでの変化率は2018年から2023年までの変化率である。
3.ここでの「自社売却」とは、議決権過半数に当たる株式を売却すること、「事業譲渡」とは、「自社事業を売却(事業譲渡)」を指す。「自社売却」と「事業譲渡」のいずれも有償・無償かは問わない。
4.ここでの「資本提携」とは、経営権を維持した範囲で他社から出資を受け入れることを指す。
5.直近5年間程度の中に「自社売却」、「事業譲渡」、「資本提携」を複数実施した場合は、直近で実施したものを回答している。
事例
2-2-4
積極的なM&Aにより買収先を成長させながら、グループを拡大する企業
所在地 石川県中能登町
従業員数 779名(グループ計)
資本金 5,000万円
事業内容 専門サービス業
(他に分類されないもの)
マルオリグループ株式会社
▶ 付加価値の高い商品生産体制への転換と市場変化への対応が課題。積極的なM&Aを進める
石川県中能登町のマルオリグループ株式会社は、1937年創業の丸井織物株式会社(以下、「丸井織物」)を中核とするホールディングス企業である。丸井織物は繊維製品の製造を手掛け、大手繊維メーカーからの生産委託による織物専門で堅調な経営を続けてきた。しかしながら、繊維産業におけるグローバル競争の急速な加速と将来的な市場縮小が見込まれる中で、委託による織物専門から脱却し、商品の高付加価値化に向けた川上・川下産業への進出と、市場の変化に対応していくための新たなビジネスモデル構築を課題と捉えた。同社は、企画から生産、販売までを一貫して手掛ける体制への転換による付加価値向上と、ものづくりとITの融合によるBtoCビジネスへの参入を目指す経営方針を打ち出し、その実現に向けて積極的なM&Aを戦略として掲げた。
▶ 11社を買収してグループ化。経営統合の取組により、買収先の成長を実現
2013年から2024年までに買収した企業は事業買収を含めて11社に及ぶ。繊維事業の垂直統合として繊維染色加工企業や最終商品を扱うユニフォームアパレル、販路の多角化に向けたEC販売の強化を目的としたIT企業など買収先の業種・業態は多岐にわたる。経営統合に当たっては、同社の宮本智行専務が買収先の経営を主導。3か年の中期経営計画を策定し、買収先企業の経営陣に対して洗い出した改善点や新たな戦略について丁寧に説明し、理解を得ながら統合を進めた。計画策定の考え方について「事業が黒字でうまくいっている場合は新事業を立ち上げて更なる事業拡大を図る。赤字の場合は、コストダウンも含めた収支計画を策定し、何よりもまずは黒字化を実現する」と宮本専務は話す。例えば、2019年に子会社化したスポーツウェア製造を手掛ける企業は、高い技術力がありながら買収当時は材料支給型のOEMのみに徹していたところ、グループ参入をきっかけに自社で材料を仕入れ、製品企画・販売まで手掛けるように変革。結果、売上高は4年間で4億円から25億円にまで拡大した。
▶ 多彩なシナジー効果で買収先と共に成長、グループ規模を拡大する
M&Aによるグループ化は売上げや利益の単純な積み上げだけでなく、グループ企業間で多彩なシナジー効果を実現している。ITのバックグラウンドを有する宮本専務が主導して2015年に開始した「UP-T(アップティー)」は、オリジナルTシャツを1着から発注できるサービスであり、丸井織物の技術力とECのシナジーにより消費者ニーズを捉え、同グループのBtoC事業への参入を実現。同社はIT企業を買収して更に同事業を拡大したことで、売上高は事業開始当初の約5千万円から2024年には約55億円まで増加しており、現在ではグループの大きな収益源の一つとなっている。このようなシナジー効果の積み重ねもあり、2012年に丸井織物だけで約66億円だった売上げは2024年にグループ全体で約300億円に達した。「繊維事業の持続的成長とともに、産業資材事業での新規ビジネスの創出、ITなど成長産業への積極投資を行い、2026年にグループ全体で売上高500億円を目指す」と宮本専務は語る。
宮本智行専務
テックススタイルブランド「NOTO QUALITY」
UP-T(アップティー)製造現場
② M & A の課題
ここからはM & Aの課題や障壁について確認していく。第2-2-62図は、M & Aを実施した事業者に対して、その経験を踏まえた課題を確認したものである。これを見ると、「買収判断に必要
な情報収集・分析」と回答した割合が最も高く、次いで「買収先の経営陣・従業員の理解を得ること」、「仲介手数料の費用負担」と続いていることが分かる。
第2-2-62図 M&A実施時の課題
(n=1,373)
| 課題 | 割合 |
|---|---|
| 買収判断に必要な情報収集・分析 | 41.9% |
| 買収先の経営陣・従業員の理解を得ること | 34.0% |
| 仲介手数料の費用負担 | 25.1% |
| 買収資金の調達 | 22.5% |
| 買収先の発掘 | 19.8% |
| 自社の役員・従業員の理解を得ること | 16.9% |
| 煩雑な買収手続きへの対応 | 16.2% |
| 適切な相談相手の確保 | 15.8% |
| 買収先のステークホルダーの理解を得ること | 11.5% |
| その他 | 5.0% |
| 特にない | 11.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.ここでの「M&Aの実施」とは、他社又は他社事業を買収することを指す。なお、「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得すること、「他社事業の買収」とは事業譲受のことを指す。いずれも有償・無償かは問わない。
3.直近5年間程度において、他社又は他社事業を買収(M&A)したと回答した事業者に聞いたもの。
4.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第2-2-63図は、M&Aを実施していないものの意欲はある事業者に対し、実施に当たっての障壁を確認したものである。これを見ると、「買収判断に必要な情報収集・分析」と回答した割合が最も高く、次いで「買収先の発掘」、「買収資金の調達」と続いていることが分かる。「買収先の発掘」と回答した割合は、第2-2-62図で確認したM&Aを実施した事業者に聞いた課題と比較すると、特に大きな差があることが見て取れる。M&Aを一度以上実施すると、情報収集ノウハウの
蓄積に加え、仲介業者や金融機関等の支援機関から買収候補先の紹介や打診が得られるようになるなど、買収候補先の情報収集が容易になるといった要因が考えられる。
一方で、「買収先の経営陣・従業員の理解を得ること」と回答した割合は、M&Aを一度以上実施した事業者の方が高い割合を示している。M&Aを実際に経験する中で、買収前に想定していた以上に、買収先の経営陣や従業員との関係構築に苦労している様子がうかがえる。
第2-2-63図 M&A実施に当たっての障壁
(n=3,874)
| 障壁 | 割合 |
|---|---|
| 買収判断に必要な情報収集・分析 | 48.6% |
| 買収先の発掘 | 47.5% |
| 買収資金の調達 | 37.7% |
| 買収先の経営陣・従業員の理解を得ること | 27.7% |
| 仲介手数料の費用負担 | 26.1% |
| 適切な相談相手の確保 | 23.1% |
| 煩雑な買収手続きへの対応 | 18.2% |
| 自社の役員・従業員の理解を得ること | 14.8% |
| 買収先のステークホルダーの理解を得ること | 13.0% |
| その他 | 3.7% |
| 特にない | 9.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.ここでの「M&Aの実施」とは、他社又は他社事業を買収することを指す。なお、「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得すること、「他社事業の買収」とは事業譲受のことを指す。いずれも有償・無償かは問わない。
3.直近5年間程度において、他社又は他社事業(M&A)を「買収していない(買収意欲はある)」と回答した事業者に聞いたもの。
4.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
③ M & A成立前後における経営統合の取組
第2-2-62図では、M & Aを実施した事業者が、買収先の経営陣や従業員との関係構築に課題感を抱えていることを確認した。ここからは、PMI 36 の取組やその有効性等について確認していく。第
2-2-64図は、PMIの取組 37 状況を確認したものである。これを見ると、「大いに取り組んだ」又は「ある程度取り組んだ」と回答している割合は、「信頼関係構築」において最も高く、「経営統合」、「業務統合」は同水準であることが分かる。
第2-2-64図 PMIの取組状況
| 項目 | 大いに取り組んだ | ある程度取り組んだ | あまり取り組んでいない | 取り組んでいない |
|---|---|---|---|---|
| (1) 経営統合 (n=1,445) | 21.0% | 38.5% | 17.5% | 23.0% |
| (2) 信頼関係構築 (n=1,445) | 33.1% | 44.8% | 8.3% | 13.8% |
| (3) 業務統合 (n=1,445) | 20.6% | 39.7% | 18.8% | 21.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.直近5年間程度において、他社又は他社事業を買収(M&A)したと回答した事業者に聞いたもの。「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得すること、「他社事業の買収」とは事業譲受のことを指す。いずれも有償・無償かは問わない。
3.ここでの「経営統合」とは、経営理念や将来像、行動指針といった価値観を買収企業と被買収企業の間で統合することを指す。
4.ここでの「信頼関係構築」とは、組織・文化の融合に向けた取組を指す。具体的には、被買収企業の経営者・従業員の不安・不信感を払拭して協力を得ること、被買収企業の社外関係者(販売先・仕入先・取引金融機関・地域等)との意思疎通により関係を維持すること等を指す。
5.ここでの「業務統合」とは、事業機能(製造・調達・物流・営業)や管理機能(人事・会計・財務・法務)に関する統合を指す。
36 ここでいう「PMI(Post Merger Integration)」は、M & A成立後の一定期間内に行う経営統合作業(「狭義のPMI」)に加え、M & A成立前の取組と、狭義のPMIの後の継続的な取組を含めたプロセス全般のことを指す。2023年版中小企業白書第2部第2章第1節では、「M & Aで期待した成果を得る上で、早期の段階からM & A成立後を見据えて、PMIの準備を行うことが重要だと示唆される」と指摘している。
37 中小企業庁「中小PMIガイドライン~中小M & Aを成功に導くために~」では、PMIの取組領域について、①経営統合、②信頼関係構築、③業務統合の三つの領域に分類しており、本節においても同様の分類に基づき、分析を行った。
第2-2-65図は、PMIの取組状況別に、実施したM&Aの評価を確認したものである。これを見ると、いずれの取組においても、「取り組んだ」と回答した事業者は、「取り組んでいない」と回答した事業者に比べて、実施したM&Aについて
「想定以上の効果が得られた」と評価している割合が高いことが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、PMIの取組は、M&Aの効果を高めることにつながる可能性がある。
第2-2-65図 実施したM&Aの評価(PMIの取組状況別)
(1) 経営統合
| 取組状況 | 想定以上の効果が得られた | 想定した効果が得られなかった |
|---|---|---|
| 取り組んだ (n=771) | 81.2% | 18.8% |
| 取り組んでいない (n=378) | 69.3% | 30.7% |
(2) 信頼関係構築
| 取組状況 | 想定以上の効果が得られた | 想定した効果が得られなかった |
|---|---|---|
| 取り組んだ (n=993) | 79.3% | 20.7% |
| 取り組んでいない (n=156) | 64.7% | 35.3% |
(3) 業務統合
| 取組状況 | 想定以上の効果が得られた | 想定した効果が得られなかった |
|---|---|---|
| 取り組んだ (n=790) | 82.3% | 17.7% |
| 取り組んでいない (n=359) | 66.3% | 33.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.直近5年間程度において、他社又は他社事業を買収(M&A)したと回答した事業者に聞いたもの。「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得すること、「他社事業の買収」とは事業譲受のことと定義している。いずれも有償・無償かは問わない。
3.ここでの「経営統合」とは、経営理念や将来像、行動指針といった価値観を買収企業と被買収企業の間で統合することを指す。
4.ここでの「信頼関係構築」とは、組織・文化の融合に向けた取組を指す。具体的には、被買収企業の経営者・従業員の不安・不信感を払拭して協力を得ること、被買収企業の社外関係者(販売先・仕入先・取引金融機関・地域等)との意思疎通により関係を維持すること等を指す。
5.ここでの「業務統合」とは、事業機能(製造・調達・物流・営業)や管理機能(人事・会計・財務・法務)に関する統合を指す。
6.「取り組んだ」とは、「大いに取り組んだ」、「ある程度取り組んだ」と回答した事業者の合計。「取り組んでいない」とは、「あまり取り組んでいない」、「取り組んでいない」と回答した事業者の合計。
7.「実施したM&Aの評価」は、自社事業に最もプラスの効果を及ぼしたと思うM&Aについて聞いたもの。「想定以上の効果が得られた」とは、「想定を超える効果が得られた」、「想定した効果が得られた」と回答した事業者の合計。「分からない」と回答した事業者を除く。
第2-2-66図は、PMIで重点的に実施した具体的な取組を確認したものである。これを見ると、「相手先経営者とのコミュニケーションを通じた相互理解」と回答した割合が最も高く、次いで
「相手先従業員とのコミュニケーションを通じた相互理解」、「相手先従業員の雇用継続の保証を表明」と続いていることが分かる。
第2-2-66図 重点的に実施したPMIの取組
(n=1,376)
| 取組 | 割合 |
|---|---|
| 相手先経営者とのコミュニケーションを通じた相互理解 | 54.9% |
| 相手先従業員とのコミュニケーションを通じた相互理解 | 50.4% |
| 相手先従業員の雇用継続の保証を表明 | 38.9% |
| 相手先事業の収益改善 | 21.0% |
| 相手先への経営幹部の派遣 | 20.6% |
| 財務・会計の統合 | 20.1% |
| 人事・労務の統合 | 18.2% |
| 社内システムの統合 | 17.3% |
| その他 | 2.4% |
| 特になし | 13.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.直近5年間程度において、他社又は他社事業を買収(M&A)したと回答した事業者に聞いたもの。なお、「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得すること、「他社事業の買収」とは事業譲受のことと定義している。いずれも有償・無償かは問わない。
3.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第2-2-67図は、実施したM&Aの評価別に、PMIで重点的に実施した取組を見たものである。これを見ると、「想定以上の効果が得られた」と回答した事業者は、「想定した効果が得られなかった」と回答した事業者に比べ、「相手先経営者とのコミュニケーションを通じた相互理解」、「相手先従業員とのコミュニケーションを通じた
相互理解」、「相手先従業員の雇用継続の保証を表明」と回答した割合が高いことが分かる。M&Aの実施に当たっては、まずは買収先の働き手との相互理解や雇用保証といったPMIの取組を重点的に実施し、働き手のエンゲージメントを高めていくことが重要である可能性がある。
第2-2-67図 重点的に実施したPMIの取組(実施したM&Aの評価別)
| 取組項目 | 想定以上の効果が得られた (n=857) | 想定した効果が得られなかった (n=253) |
|---|---|---|
| 相手先経営者とのコミュニケーションを通じた相互理解 | 62.1% | 53.4% |
| 相手先従業員とのコミュニケーションを通じた相互理解 | 56.9% | 49.8% |
| 相手先従業員の雇用継続の保証を表明 | 44.5% | 36.8% |
| 財務・会計の統合 | 24.3% | 15.8% |
| 相手先への経営幹部の派遣 | 23.6% | 20.2% |
| 相手先事業の収益改善 | 22.3% | 26.9% |
| 人事・労務の統合 | 20.8% | 17.4% |
| 社内システムの統合 | 20.4% | 14.2% |
| その他 | 1.1% | 2.0% |
| 特にない | 5.5% | 9.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.直近5年間程度において、他社又は他社事業を買収(M&A)したと回答した事業者に聞いたもの。なお、「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得すること、「他社事業の買収」とは事業譲受のことと定義している。いずれも有償・無償かは問わない。
3.「実施したM&Aの評価」は、自社事業に最もプラスの効果を及ぼしたと思うM&Aについて聞いたもの。「想定以上の効果が得られた」とは、「想定を超える効果が得られた」、「想定した効果が得られた」と回答した事業者の合計。「分からない」と回答した事業者を除く。
4.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
第2-2-68図は、PMIの主導者を確認したものである。これを見ると、半数超の事業者で、「経営者」がPMIの主導者であることが分かる。
第2-2-68図 PMIの主導者
| PMIの主導者 | 割合 |
|---|---|
| 経営者 | 65.1% |
| 経営者以外の役員 | 20.5% |
| 担当部署・担当者 | 7.0% |
| 顧問の士業・コンサルタント | 3.0% |
| スポット契約のコンサルタント | 2.0% |
| その他 | 2.3% |
(n=1,220)
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 1.組織形態について「法人」と回答した事業者に聞いたもの。
2.直近5年間程度において、他社又は他社事業を買収(M&A)したと回答した事業者に聞いたもの。なお、「他社の買収」とは議決権過半数に当たる株式を取得すること、「他社事業の買収」とは事業譲受のことと定義している。いずれも有償・無償かは問わない。
3.「PMIの主導」とは、PMIの取組の全体を把握し、各取組の指示・監督、管理(進捗管理、タスク管理)等を行うことを指す。
4.「PMIに取り組んでいない」と回答した事業者を除いている。
④まとめ
本項では、M&Aの実施状況、その目的や効果等について確認した。まず、我が国企業のM&A件数は近年増加傾向で推移しており、2024年には過去最多となっている。また、経済産業省「企業活動基本調査」のパネルデータを用いて、スケール別のM&A実施状況を見ると、スケールが大きい企業ほど、M&Aを実施している割合が高い傾向にあることが分かった。2017年度におけるM&Aの実施有無別に売上高及び経常利益の推移を確認したところ、M&A実施企業は非実施企業よりも、売上高及び経常利益をより高めていることが分かり、生産設備、技術・ノウハウといった経営資源の共有等を通じたシナジー効果の発揮により、売上高だけでなく経常利益も高めてきた可能性が示された。次に、M&Aの実施目的について、「スケールアップ」の事業者は、「横ばい・スケールダウン」の事業者と比べ、「市場シェアの拡大」、「人材の獲得」、「技術・ノウハウの獲得」等の回答割合が高く、特に「人材の獲得」で最も大きい差があることから、人材不
足というリソースの制約をM&Aによる「人材の獲得」で解消し、スケールアップを果たしてきたことが示唆された。
一方で、M&Aを過去に実施した事業者は、買収先の経営陣や従業員との関係構築に課題感を抱えていることが分かった。このような背景を踏まえ、買収先との関係構築など、経営統合を円滑に進めるための取組である、PMIについても分析を行った。PMIの取組状況別に実施したM&Aの評価を確認すると、「取り組んだ」と回答した事業者は、「取り組んでいない」と回答した事業者に比べて、実施したM&Aについて「想定以上の効果が得られた」と評価していることが分かり、PMIの取組はM&Aの効果を高める可能性が示唆された。また、多くの事業者では、経営者がPMIの主導者であることも併せて確認している。
事例2-2-5では、経営者自らが従業員との丁寧な対話を通じた経営統合に取り組み、M&Aを成功に導いた企業の事例を紹介する。
事例
2-2-5
従業員との対話を通じた経営統合の取組により
M & Aを成功に導いた企業
所在地 静岡県富士市
従業員数 127名
資本金 7,000万円
事業内容 設備工事業
サンコー防災株式会社
▶ 静岡を地盤に消防用設備施工・保守事業を展開
静岡県富士市のサンコー防災株式会社は、消防用設備の施工・保守、各種防災機器の販売を担う企業である。同社は消防設備点検の有資格者である消防設備士を多く有しており、県内に10営業拠点を構えている。県内及び一部隣県の官公庁や民間企業と4,000件を超える保守契約を結んでおり、豊富な人材と高い技術力で顧客の信頼を築いてきた。しかし、1962年の創業以来、着実に事業を展開してきた一方で、売上げの過半を占める施工業務は、工場やビルの新規建設数に依存しており、近年これが減少傾向にあることに伴い、商圏の拡大と、施工業務のほかに安定して売上げを確保できるビジネスの創出が課題となっていた。
▶ 商圏を広げるために同業他社をM & A。従業員との対話を通じた経営統合の取組によりM & Aを成功に導く
商圏の拡大に向けて、同社の鈴木文三社長は常にその機会をうかがってきた。2022年5月に仲介会社から、同業他社である静岡防災株式会社(同県伊東市)のM & Aを提案され、同年7月には実施を決意。M & Aに当たって、鈴木社長は丁寧な経営統合に取り組んだ。まず、静岡防災の全従業員と個別面談し、仕事や家族、社内の人間関係、悩み事について丁寧にヒアリングを行った。中には子会社となることに不安感をじませる従業員もいたが、面談を通じて個々の考え方や社内での立ち位置等を把握し、資質や適性を考慮してグループ内での人材交流も行い、働きやすい環境を整えた。M & Aの結果、営業拠点の共有により、取引先ごとに効率的な拠点運用が可能になるといったシナジー効果が生まれた。また、鈴木社長による丁寧な経営統合の取組により、静岡防災では従業員の退職は発生せず、業績面でも営業利益が前期比約200%へと成長した。「買収先の社員の士気を高めることが、M & Aのポイントと考えていた。個々の社員との対話を通じて、考えを理解し、意思を尊重することが良い効果をもたらしたのではないか」と鈴木社長は振り返る。
▶ M & Aの経験をいかし、新たにIT会社を傘下に
さらに同社は、グループのDX強化を狙い、2024年9月にシステム開発・メンテナンス等を手掛ける株式会社ビーエス静岡(同県富士市)を新たに買収。今後は消防用設備のリモートメンテナンスなどの新事業展開にもシナジーを波及させていく方針だ。また、鈴木社長は静岡防災とのM & Aの経験をいかし、東京中小企業投資育成株式会社の支援を受けながら経営統合に取り組んでおり、今回も同様に、ビーエス静岡の全従業員との面談に臨む意向である。「買収先の社員との丁寧な対話によって士気を高めることができれば、多少の困難はあっても、M & Aはうまくいく」と鈴木社長は語る。
鈴木文三社長(左)と静岡防災株式会社 遠藤英敏会長(当時社長)(右)
鈴木文三社長(右)と株式会社ビーエス静岡 古屋学社長(左)
消防用設備の点検作業現場
コラム
2-2-4
中小M & A市場における健全な環境整備に向けた取組
1. 中小M & Aガイドライン
中小企業庁では、2015年3月に、M & Aの手続や手続ごとの利用者の役割・留意点、トラブル発生時の対応等を記載した「事業引継ぎガイドライン」を策定した。その後、2020年3月には、後継者不在の中小企業のM & Aを通じた第三者への事業の引継ぎを促進するために、同ガイドラインを全面的に改訂し「中小M & Aガイドライン-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-」(以下、「初版」という。)を策定した。
2023年9月には、初版に対して、M & A専門業者向けの基本事項や中小企業向けの手引きとして仲介者・フィナンシャル・アドバイザー(以下、「FA」という。)への依頼における留意点等を拡充するとともに、行政・民間における取組についても修正を図った「中小M & Aガイドライン(第2版)-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-」(以下、「第2版」という。)に改訂を行った。
さらに、2024年8月には、不適切な譲受側の存在や経営者保証に関するトラブル、M & A専門業者が実施する過剰な営業・広告等の課題に対応するため、第2版を改訂し、「中小M & Aガイドライン(第3版)-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-」(以下「第3版」という。)を策定した。
コラム
2-2-4①図
中小M & Aガイドライン(第3版)における改訂の概要
中小M & Aガイドラインの改訂(第3版)の概要
- ● 第3版改訂では、 手数料も踏まえつつ、質の高い仲介者・FAが選ばれる環境を促すため、手数料・提供業務に関する事項を追記。
- ● 加えて、前回第2版改訂時と同様に M & A支援機関の支援の質を確保する観点から、仲介者・FAが実施する営業・広告に係る規律や仲介者において禁止される利益相反事項等の具体化を図っている。
- ● さらに、 譲り渡し側・譲り受け側の当事者間におけるトラブルに関し、最終契約後にトラブルに発展するリスク、その対応策について解説するとともに、仲介者・FAに対して求める対応や最終契約の不履行を意図的に生じさせるような不適切な譲り受け側を市場から排除するための対応 についても追記している。
① 仲介者・FAの手数料・提供業務に関する事項
【中小企業向け】手数料と業務内容・質等の確認の重要性⇒(納得できない場合)他の仲介者・FAへの依頼、手数料の交渉の検討
【仲介者・FA向け】手数料(仲介者の場合、相手方の手数料を含む。)の詳細、プロセスごとの提供業務の具体的説明、担当者の保有資格、経験年数・成約実績の説明。手数料の交渉を受けた際の誠実な対応の検討。
② 広告・営業の禁止事項の明記
【仲介者・FA向け】広告・営業先が希望しない場合の広告・営業の停止、M & Aの成立可能性や条件等について誤解を与える広告・営業等の禁止。
③ 利益相反に係る禁止事項の具体化
【仲介者向け】追加手数料を支払う者やリプーターへの優遇(当事者のニーズに反したマッチングの優先実施、譲渡額の誘導等)の禁止、情報の扱いに係る禁止事項の明確化⇒これらの禁止事項は仲介契約書に仲介者の義務として定める必要。
④ ネームクリア・テール条項に関する規律
【仲介者・FA向け】譲り渡し側の名称の譲り受け側への開示(ネームクリア)前の、譲り渡し側の同意の取得、譲り受け側との秘密保持契約の締結の徹底。テール条項の対象の限定範囲の具体化・専任条項がない場合の扱いについての限定。
⑤ 最終契約後の当事者間のリスク事項について
【中小企業向け】最終契約・クロージング後に当事者間でのトラブルとなりうるリスク事項の解説⇒専門家の支援を受けつつ、自らでも確認することの重要性。
【仲介者・FA向け】リスクの認識時、最終契約締結前等に、当事者間でのリスク事項についての依頼者に対する具体的説明。
⑥ 譲り渡し側の経営者保証の扱いについて
【中小企業向け】士業等専門家、事業承継・引継ぎ支援センターへの相談*や経営者保証の提供先の金融機関等へのM & A成立前の相談*の検討。
【仲介者・FA向け】上記*の相談が選択肢となる旨の説明・相談する場合の対応、最終契約における経営者保証の扱いの調整。
【金融機関向け】M & Aの成立前又は成立後に経営者保証の解除又は移行について相談を受けた場合の「経営者保証に関するガイドライン」に基づく対応。
⑦ 不適切な事業者の排除について
【仲介者・FA、M & Aプラットフォーム向け】譲り受け側に対する調査の実施、調査の概要・結果の依頼者への報告。不適切な行為に係る情報を取得した際の慎重な対応の検討。業界内での情報共有の仕組みの構築の必要性、当該仕組みへの参加有無の説明。
資料:中小企業庁「中小M & Aガイドライン改訂(第3版)に関する概要資料」
第3版改訂時は、提供する業務の内容・質とその対価となる手数料の額(M & Aにおける相手方の手数料を含む。)について、中小企業向けに確認すべき事項を解説するとともに、仲介者・FAに対して求められる説明について追記している。
また、第2版改訂時と同様にM & A専門業者の支援の質を確保する観点から、仲介者・FAが実施する営業・広告に係る規律の明記や仲介者において禁止される利益相反事項の具体化を図っている。
さらに、譲渡側・譲受側の当事者間において、最終契約に定めた事項の不履行等のトラブルも発生している。特に、譲渡側の経営者保証の扱いについては、譲受側に移行させる想定であったにもかかわらず、実際には移行しない不適切な譲受側の存在も指摘されている。
これらを踏まえ、最終契約(株式譲渡契約等)において当事者間でトラブルに発展する可能性があるリスク及びその対応策について解説するとともに、仲介者・FAに対して求める対応について追記している。加えて、最終契約の不履行を意図的に生じさせるような不適切な譲受側を市場から排除するために、仲介者・FAに求められる対応についても追記している。
2. M & A支援機関登録制度
中小企業庁では、初版を策定した後、2021年8月に「M & A支援機関登録制度」(以下、「登録制度」という。)を創設した。登録制度への登録を希望するM & A支援機関に対して、中小M & Aガイドラインの遵守宣言を求めることや、事業承継・引継ぎ補助金(現:事業承継・M & A補助金)の専門家活用枠において、登録制度に登録されたM & A支援機関を活用することを要件とすること等により、中小M & Aガイドラインに記載された行動指針の普及・定着を図ってきた。
また、登録制度においては、登録継続の要件として、手数料の算定基準の開示を求めることとした。これを受け、2024年8月以降、同制度のホームページでは、登録支援機関ごとに、登録支援機関の種類(専門業者、金融機関等の別)、M & A支援業務の開始時期、専従者や所在地、また、手数料の算定基準(最低手数料の水準や報酬基準額の種類等)等を確認・検索することができるデータベースを提供しており、中小企業が仲介者・FAを選定する際の情報収集手段として有用である。
コラム 2-2-4 ②図 登録支援機関データベース
登録支援機関データベース
登録 72 専門サービス型 (他に分類されないもの) M&A支援機関の検索 主要専門分野: 税理士
M&A支援業務開始時期: 2023年1月
M&A支援業務従事者の従業員数: 1人
支援業務提供都道府県: 全国
法人番号: サンプル
代表者氏名:
本店所在地:
会社HP:
資本金: 500~1,000万円未満
従業員数: 0~2人
FA手数料体系: 譲渡側 譲受側
仲介手数料体系: 譲渡側 譲受側
情報更新日: 2024年5月1日
支援機関別の手数料体系
※下記はM&A支援機関から標準的な手数料体系として報告されたものであり、個別の案件によって実際の手数料は異なる場合がありますのでご注意ください。
詳細については、M&A支援機関に個別にお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。
レーマン方式 / 主に使われている報酬基準の例
成功報酬算定方法 (税抜)
主な算定方法: レーマン方式
主な報酬基準額: 移動段階別レーマン方式
| 報酬基準額 | 報酬率 / 報酬額 |
|---|---|
| ~ 100万円以下 | 5% |
| 100万円超 ~ 1,000万円以下 | 4% |
| 1,000万円超 ~ 5,000万円以下 | 3% |
| 5,000万円超 ~ | 2% |
最低手数料: (税抜)
設定: 有 金額: 500万円
標準的な各手数料体系 (税抜)
| 項目 | 有/無 | 金額 | 成功報酬の内訳 | 報酬の発生時点 |
|---|---|---|---|---|
| 着手金 | 有 | 500万円 | 成功報酬に含む | - |
| 中間金 | 有 | 500万円 | 成功報酬に含む | 企業概要表作成終了時 |
| 月額報酬 | 有 | 500万円 | 成功報酬に含む | - |
| タイムチャージ | 有 | - | 成功報酬に含まない | - |
成功報酬: 成功報酬は、主にクロージング等の案件完了時に発生する手数料である。
着手金: 着手金は、主に情報提供の対価(FA契約締結時に発生する)手数料である。
中間金: 中間金は、基本の報酬期間等、案件完了前の一定の時点に発生する手数料である。
月額報酬: 月額報酬(定期報酬、リテナーシップと呼ばれることもある。)は、主に月ごとに定期的に定額で発生する手数料である。
タイムチャージ: タイムチャージは、時間単価と稼働時間で発生する手数料である。
※支援形態(仲介・FA) / 支援対象(譲受・譲渡) 別に表示
資料: 中小企業庁「中小M & Aガイドライン改訂(第3版)に関する概要資料」
3. 中小M & Aをめぐる不適切な事案への対応
登録制度に登録されたFAや仲介業者が提供するM & A支援サービスをめぐり、仲介とFAの違いや手数料等について十分な説明を受けなかった、といったトラブルが発生している。こうした実態にも鑑み、中小企業からの情報を受け付ける「情報提供受付窓口」も併せて設置している。登録制度においては、情報提供受付窓口に不適切な対応に係る情報が寄せられており、中小M & Aガイドラインへの違反が認められた場合等は、「M & A支援機関登録制度の取消し等に関する要領」に基づき、登録の取消しを可能としている。
なお、M & Aを検討する中小企業向けに、M & A支援機関の選定・契約時に留意すべき事項について注意喚起も行っている。具体的には、M & A支援機関は登録制度の登録を受けている者の中から選定することや、支援機関の手数料や支援の内容・質に関して確認すべきポイントについて、チラシ・メディア等により周知浸透を図っている。
中小企業庁では、引き続き、中小企業が安心してM & Aに取り組めるよう、健全な環境整備を進めていく。
コラム
2-2-5
中小企業におけるPMI促進に向けた取組
1. 中小企業のM & AにおけるPMIの重要性
中小企業のM & Aが増加している中、譲り受けた事業が円滑に継続し、譲渡側・譲受側双方が更なる成長を遂げるためには、M & Aの成立は「スタートライン」に過ぎず、その後の事業や経営の統合作業(PMI:Post Merger Integration)を適切に行うことが重要である。
この観点から、中小企業庁では、2022年3月に「中小PMIガイドライン」により中小企業のPMIの「型」を提示するなど、中小企業におけるPMIの推進に取り組んできた。一方で、M & Aを実施した譲受企業の中で、PMIの実施経験のある中小企業は限られており、PMIの促進のためには、PMIの認知度の向上や自社内のノウハウ不足といった課題への対応が必要である。中小企業及び支援機関におけるPMIの理解・取組は、依然として十分な状況とはいえない。そのため、中小企業庁では令和5年度にPMIに関する実証事業を行い、その成果を「PMI実践ツール」及び「PMI実践ツール活用ガイドブック」、「PMI取組事例集」として取りまとめ、2024年3月に公表した。
「PMI実践ツール」は、中小PMIガイドラインの標準的なステップ・取組等を踏まえてPMIに取り組むために、「PMI分析ワークシート」、「PMIアクションプラン」、「統合方針書」の三つのツールで構成されている。以下、「PMI実践ツール」について紹介する。
コラム
2-2-5①図
PMI実践ツールの全体像
※②PMIアクションプランは、M&Aの目的確認・現状把握・方針検討を含めたPMI全体のスケジュール管理のために活用することもできる。
1
資料:中小企業庁「PMI実践ツール 活用ガイドブック」
2. PMI実践ツール
まず、「PMI分析ワークシート」は、「M & Aの目的」と「譲渡側等の現状」を確認し、優先課題と対応方針を整理するツールである。PMIの拠り所となるM & Aの目的及び成功を定義するとともに、様々な分析を通じて譲渡側・譲受側の現状を把握し、優先すべき課題・対応方針を整理するために活用されることを想定している。
その上で、「PMIアクションプラン」は、具体的な取組(ToDo)を計画し、スケジュールを管理するツールとなる。「PMI分析ワークシート」により整理した優先課題と対応方針を基に、「いつ・誰が・何を行うか」について具体的に計画し、スケジュール・担当者・取組(ToDo)を一覧化し、進捗を管理するために活用されることを想定している。
さらに、「統合方針書」は、M & Aの目的、PMIでどのようなことに取り組んでいくかを社内外の関係者に説明するツールである。譲渡側・譲受側におけるM & Aの目的や現状の課題を踏まえた統合基本方針、PMI推進体制、会議体の位置付け等を言語化し、譲渡側・譲受側の社内の関係者(経営者・従業員等)や社外の関係者(取引先等)に共有・説明するために事業者が活用可能となっている。
これらのツール、活用ガイドブック及び事例集の活用により、譲受企業及び支援機関におけるPMIの理解・取組を促進し、M & Aによる中小企業の成長が促進されることを目指している。
3. PMIへの支援
中小企業庁では、中小企業が支援機関の支援を受けてPMIに取り組めるよう、令和6年度補正予算「中小企業生産性革命推進事業」の内数として措置された「事業承継・M & A補助金」において「PMI推進枠」を設け、PMIに係る専門家費用や設備投資を支援することとしている。
今後、中小企業においては、M & Aの成立を「ゴール」とせず、その後の成長に向けた「スタートライン」とするために、必要に応じて支援機関の力も借りつつ、「PMIガイドライン」や「PMI実践ツール」等を参照しながら、PMIに取り組むことを期待したい。
また、「中小企業におけるM & A後の取り組み調査 38 」によれば、従業員21人~50人の企業では、PMIの際に月10万円以上支出する意思があると答えた企業が半数に上るなど、一定程度のコストをかけて支援機関を活用することも視野に入れていることがうかがえる。支援機関においては、「PMIガイドライン」や「PMI実践ツール」等を参照しつつ、中小企業に対するPMI支援を行うノウハウを獲得することが重要となる。
最後に、中小企業のPMIに関する支援に積極的に取り組んでいる支援機関の事例を紹介する。
38 「令和6年度中小企業活性化・事業承継総合支援事業(中小企業におけるPMIの実施効果等の実態の解明に向けた調査事業)」(委託先: PwCコンサルティング合同会社)において、2024年11月26日~2024年12月20日にかけてM & A実施経験のある中小企業等を対象に実施したもの。【有効回答数: 846件、有効回答率: 5.5%】
事例:埼玉県中小企業診断協会による「中小PMI支援専門家養成研修」
中小企業診断士や税理士などの士業は、地域金融機関やM&A支援機関などと並んで、中小企業へのPMI支援の担い手として期待される。一方で、PMI支援に当たっては、士業が持つ専門性に加えて、M&AやPMIに関する一定の専門的な知見が求められることから、支援機関のキャパシティビルディングも重要な課題であるため、ここでは、士業団体が独自に行う、会員士業向けのPMI研修について紹介する。
従前から事業承継・引継ぎ支援センターと連携して事業承継支援を積極的に行ってきた一般社団法人埼玉県中小企業診断協会は、2022年3月に、中小企業庁と一般社団法人中小企業診断協会(現:一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会)が、PMIを中心に中小企業の事業承継・引継ぎに関して連携して取り組むことを共同で宣言したことを契機として、PMI支援に向けた会員向け研修を実施するなど、先駆的な取組を開始した。
埼玉県のみならず、近郊各県の診断協会から受講者を募ったところ、2023年9月~11月に計6回にわたって実施した第1回目の開催では、9県から73名が参加し、2024年9月と10月に計6回にわたって実施した第2回目の開催では、8県から55名が参加した。講義内容は、独立行政法人中小企業基盤整備機構関東本部の支援も受けて策定し、1回3時間程度、中小PMIガイドライン及び実践ツールの解説や、中小企業経営者からのPMIの講話、ロールプレイングを実施したほか、PMIはM&Aと一体不可分なことから、M&Aの総論やM&A案件の掘り起こし、マッチングや実行手続きも研修の内容に盛り込んだ。
研修の受講終了後の受講者へのアンケートでは、参加者の8割が今回の中小PMI業務研修を知り合いの中小企業診断士に「積極的に受講を推奨したい」と評価するとともに、中小PMI業務に「積極的に取り組む(チャレンジする)」意向の参加者が6割を超えるなど、高い評価を得ている。
埼玉県中小企業診断協会では、2024年7月に埼玉りそな銀行と締結した包括連携の枠組みを活用して、同行のM&A資金の融資先においてPMI支援案件の橋渡しを受けるなど、独自の連携も進めている。今後、こうした独自の取組が、全国に広まっていき、中小企業のPMI支援を実施する支援機関が拡大していくことが期待される。
コラム
2-2-5②図
PMIセミナーの修了式の模様ほか
資料:(一社)埼玉県中小企業診断協会提供
3. 研究開発・イノベーション活動
第2-2-41図では、企業規模を拡大するに当たり重要な投資戦略として、スケールを問わず一定割合の事業者が「研究開発」と回答しており、スケールアップにおいて重要な戦略の一つであることを確認した。また、研究会においても、成長企業の課題として、自社の軸となる製品・サービスの基盤技術・コア技術を基にした、製品・商品・サービス開発や、生産技術の維持・強化などを指摘している。本項では、研究開発の動向を概観しながら、イノベーション活動の取組状況、その目的や効果等について、スケールアップ
との関係性に焦点を当て、分析を進めていく。
①研究開発の動向
まず、我が国における企業の研究開発の動向を概観するために、経済産業省「企業活動基本調査」を用いて、研究開発費の推移について確認する。これを見ると、研究開発投資は、「中小企業」では約30年にわたって横ばいであったが、ここ数年で積極化しており、2022年度は「中小企業」、「大企業」共に前年度に比べて研究開発費が増加していることが分かる(第2-2-69図)。
第2-2-69図 研究開発費の推移(企業規模別)
| 年度 | 大企業 (兆円) | 中小企業 (兆円) |
|---|---|---|
| 1994 | 7.5 | 0.5 |
| 1996 | 8.5 | 0.5 |
| 1998 | 9.0 | 0.5 |
| 2000 | 9.5 | 0.5 |
| 2002 | 9.5 | 0.5 |
| 2004 | 10.5 | 0.5 |
| 2006 | 12.0 | 0.5 |
| 2008 | 12.5 | 0.5 |
| 2010 | 10.5 | 0.5 |
| 2012 | 11.5 | 0.5 |
| 2014 | 13.5 | 0.5 |
| 2016 | 14.0 | 0.5 |
| 2018 | 14.5 | 0.5 |
| 2020 | 14.0 | 0.5 |
| 2022 | 16.2 | 1.4 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注)中小企業と大企業の分類は、中小企業基本法上の定義に基づく。
第2-2-70図は、企業規模別に見た売上高比研究開発費の推移である。第2-2-69図では研究開発費の実額が足下で増加している傾向を確認したが、売上高に対する比率においても、「中小企業」は2020年度以降で上昇傾向にある。一方で、「大企業」は上昇基調で推移してきたが、直近で下落
に転じていることが分かる。「中小企業」の研究開発投資は、「大企業」と比較すると、実額、売上高比率共に水準は低いものの、いずれも増加又は上昇傾向にあり、取組が進んでいることがうかがえる。
第2-2-70図 売上高比研究開発費の推移(企業規模別)
| 年度 | 大企業 (%) | 中小企業 (%) |
|---|---|---|
| 1994 | 1.6 | 0.4 |
| 1996 | 1.7 | 0.4 |
| 1998 | 2.0 | 0.4 |
| 2000 | 1.9 | 0.4 |
| 2002 | 2.0 | 0.5 |
| 2004 | 1.9 | 0.5 |
| 2006 | 2.1 | 0.4 |
| 2008 | 2.2 | 0.4 |
| 2010 | 2.1 | 0.5 |
| 2012 | 2.1 | 0.5 |
| 2014 | 2.4 | 0.5 |
| 2016 | 2.5 | 0.5 |
| 2018 | 2.5 | 0.4 |
| 2020 | 2.7 | 0.4 |
| 2022 | 2.6 | 0.7 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注)中小企業と大企業の分類は、中小企業基本法上の定義に基づく。
ここからは経済産業省「企業活動基本調査」のパネルデータを用いて、分析を進めていく。第2-2-71図は、研究開発投資の実施有無別に、売上高の推移を見たものである。研究開発投資につ
いて、「2017年度に実施した企業」は「2013~2022年度の間に一切実施していない企業」に比べて、2022年度における売上高の成長度合いが高いことが分かる。
第2-2-71図 売上高の推移(研究開発投資の実施有無別)
| 年度 | 2017年度に実施した企業 (n=3,155) | 2013~2022年度の間に一切実施していない企業 (n=6,538) |
|---|---|---|
| 2013 | 91.6 | 93.8 |
| 2014 | 94.3 | 95.7 |
| 2015 | 96.1 | 95.1 |
| 2016 | 95.7 | 95.4 |
| 2017 | 100.0 | 100.0 |
| 2018 | 104.0 | 102.9 |
| 2019 | 102.9 | 101.5 |
| 2020 | 96.8 | 94.9 |
| 2021 | 102.9 | 99.2 |
| 2022 | 111.2 | 106.4 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
- (注)1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
- 2.ここでいう「研究開発投資の実施」とは、「自社研究開発費」及び「委託研究開発費」の合計額が0(調査票上の単位はそれぞれ百万円)より大きい場合をいう。
- 3.2017年度の数値を100として比較した、2013年度から2022年度までの変化を見たもの。
第2-2-72図は、2017年度のスケール別に研究開発投資を実施した企業の売上高の推移を見たものである。これを見ると、2022年度時点において、いずれのスケールにおいても、2017年度比
で10%程度売上高を高めていることが分かる。研究開発投資は、スケールを問わず、スケールアップに向けて一定程度有効であることが示唆される。
第2-2-72図 研究開発投資実施企業の売上高の推移(スケール別)
| 年度 | 30億円未満 (n=1,145) | 30億円以上~60億円未満 (n=907) | 60億円以上~100億円未満 (n=500) | 100億円以上 (n=603) |
|---|---|---|---|---|
| 2017 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
| 2018 | 104.5 | 104.0 | 103.5 | 103.0 |
| 2019 | 103.5 | 103.0 | 102.5 | 102.0 |
| 2020 | 97.5 | 97.0 | 96.5 | 96.0 |
| 2021 | 103.0 | 102.5 | 102.0 | 101.5 |
| 2022 | 109.2 | 109.6 | 110.8 | 112.0 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注)1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.ここでいう「研究開発投資実施」とは、2017年度において、「自社研究開発費」及び「委託研究開発費」の合計額が0(調査票上の単位はそれぞれ百万円)より大きい場合をいう。
3.2017年度の数値を100として、2017年度から2022年度までの変化を見たもの。
4.スケールは、2017年度の実績である。
第2-2-73図は、研究開発投資の実施有無別に、経常利益の推移を見たものである。研究開発投資について、「2017年度に実施した企業」は「2013~2022年度の間に一切実施していない企業」に比べて、2022年度における経常利益の成長度合い
が高いことが分かる。研究開発投資による効果は、売上高の増加だけでなく、自社製品・商品・サービスの付加価値を高めること等により利益の増加にもつながる可能性がある。
第2-2-73図 経常利益の推移(研究開発投資の実施有無別)
| 年度 | 2017年度に実施した企業 (n=3,155) | 2013~2022年度の間に一切実施していない企業 (n=6,538) |
|---|---|---|
| 2013 | 79.0 | 75.2 |
| 2014 | 81.7 | 83.7 |
| 2015 | 85.4 | 89.7 |
| 2016 | 91.1 | 94.5 |
| 2017 | 100.0 | 100.0 |
| 2018 | 114.1 | 97.4 |
| 2019 | 92.2 | 90.7 |
| 2020 | 89.2 | 84.4 |
| 2021 | 119.7 | 104.3 |
| 2022 | 126.1 | 115.2 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.ここでいう「研究開発投資の実施」とは、「自社研究開発費」及び「委託研究開発費」の合計額が0(調査票上の単位はそれぞれ百万円)より大きい場合をいう。
3.2017年度の数値を100として比較した、2013年度から2022年度までの変化を見たもの。
②イノベーション活動の取組状況と効果
ここからはアンケート調査を用いて、中小企業のイノベーション活動の取組状況等について分析
を進めていく。なお、ここでの「イノベーション活動」は、第2-2-74図の定義に基づく。
第2-2-74図 イノベーション活動の定義
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| プロダクト・イノベーション | 新しい又は改善した製品(サービス) |
| ビジネス・プロセス・イノベーション | 新しい又は改善したビジネス・プロセス |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」より中小企業庁作成
(注)1.「新しい又は改善した製品(サービス)」とは、自社の以前の製品(サービス)とはかなり異なり、かつ市場に供給されているものをいう。
2.「新しい又は改善したビジネス・プロセス」とは、製品(サービス)を生産・配送する新しい方法を導入することを指し、自社内において利用に付されているものをいう。
第2-2-75図は、業種別にプロダクト・イノベーションの取組状況を見たものである。これを見ると、「全体」では2割弱の事業者がプロダクト・イノベーションに取り組んでおり、業種別では「情報通信業」、「製造業」の順に、「取り組んだ」と回答した事業者の割合が高い。
第2-2-75図 プロダクト・イノベーションの取組状況(業種別)
| 業種 | 取り組んだ (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| 全体 (n=24,588) | 16.2% | 83.8% |
| 建設業 (n=5,605) | 8.3% | 91.7% |
| 製造業 (n=5,713) | 25.7% | 74.3% |
| 情報通信業 (n=542) | 33.2% | 66.8% |
| 運輸業、郵便業 (n=899) | 7.2% | 92.8% |
| 卸売業 (n=3,660) | 17.3% | 82.7% |
| 小売業 (n=2,330) | 13.2% | 86.8% |
| 不動産業、物品賃貸業 (n=764) | 10.1% | 89.9% |
| 宿泊業 (n=280) | 20.0% | 80.0% |
| 飲食サービス業 (n=1,035) | 13.8% | 86.2% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 (n=535) | 20.0% | 80.0% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 (n=633) | 14.8% | 85.2% |
| サービス業(他に分類されないもの) (n=1,706) | 16.1% | 83.9% |
| その他 (n=886) | 12.6% | 87.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.直近5年間程度におけるイノベーション活動について聞いたもの。
2.「その他」は、「鉱業、採石業、砂利採取業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「教育、学習支援業」、「医療、福祉」、「その他」と回答した事業者の合計。
次に、実現したプロダクト・イノベーションの新規性について確認する。第2-2-76図は、「市場新規プロダクト・イノベーション 39 」の実現割合を見たものである。これを見ると、いずれのス
ケールにおいても、約半数の事業者が新規性のあるプロダクト・イノベーションを実現していることがうかがえる。
第2-2-76図 市場新規プロダクト・イノベーションの実現状況
| 規模 | 実現した (%) | 実現していない (%) |
|---|---|---|
| 10億円未満 (n=2,487) | 48.3% | 51.7% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=1,089) | 47.0% | 53.0% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=176) | 48.3% | 51.7% |
| 100億円以上 (n=126) | 48.4% | 51.6% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 1.直近5年間程度において、プロダクト・イノベーションに「取り組んだ」と回答した事業者聞いたもの。
2.ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
39 ここでの「市場新規プロダクト・イノベーション」とは、「以前にいかなる競合他社も提供したことがない新しい又は改善した製品・サービス」の開発を指す。なお、文部科学省 科学技術・学術政策研究所「全国イノベーション調査2022年調査」の定義を参照している。
第2-2-77図は、業種別にビジネス・プロセス・イノベーションの取組状況を見たものである。これを見ると、「全体」では約1割の事業者がビジネス・プロセス・イノベーションに取り組んでおり、業種別では「情報通信業」、「製造業」の順に、「取り組んだ」と回答した事業者の割合が高い。また、プロダクト・イノベーションの取
組状況と比べ、「全体」の取組割合は低い中、「運輸業、郵便業」、「不動産業、物品賃貸業」についてはビジネス・プロセス・イノベーションの取組割合の方が高い。これらの業種では、製品・商品・サービスの差別化が難しい中で、ビジネスモデルの差別化や効率化に取り組んでいることがうかがえる。
第2-2-77図 ビジネス・プロセス・イノベーションの取組状況(業種別)
| 業種 | 取り組んだ (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| 全体 (n=24,588) | 12.0% | 88.0% |
| 建設業 (n=5,605) | 7.4% | 92.6% |
| 製造業 (n=5,713) | 16.0% | 84.0% |
| 情報通信業 (n=542) | 18.8% | 81.2% |
| 運輸業、郵便業 (n=899) | 11.7% | 88.3% |
| 卸売業 (n=3,660) | 14.0% | 86.0% |
| 小売業 (n=2,330) | 10.0% | 90.0% |
| 不動産業、物品賃貸業 (n=764) | 10.9% | 89.1% |
| 宿泊業 (n=280) | 11.8% | 88.2% |
| 飲食サービス業 (n=1,035) | 10.0% | 90.0% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 (n=535) | 14.2% | 85.8% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 (n=633) | 10.4% | 89.6% |
| サービス業(他に分類されないもの) (n=1,706) | 12.4% | 87.6% |
| その他 (n=886) | 10.7% | 89.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.直近5年間程度におけるイノベーション活動について聞いたもの。
2.「その他」は、「鉱業、採石業、砂利採取業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「教育、学習支援業」、「医療、福祉」、「その他」と回答した事業者の合計。
次に、イノベーション活動の姿勢・取組状況について確認する。第2-2-78図のとおり、イノベーション活動を実施している事業者のうち、
「主体的に実施している」、「顧客・取引先からの要請に応じて実施している」と回答した割合は同程度であることが見て取れる。
第2-2-78図 イノベーション活動の姿勢・取組状況
| 取組状況 | 割合 |
|---|---|
| 主体的に実施している | 13.6% |
| 顧客・取引先からの要請に応じて実施している | 12.3% |
| 必要性を感じているが、実施していない | 26.6% |
| 必要性を感じておらず、実施していない | 47.5% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)ここでの「イノベーション活動」は、「プロダクト・イノベーション」又は「ビジネス・プロセス・イノベーション」の実現に向けた取組を指す。
第2-2-79図は、スケール変動状況別にイノベーション活動の取組状況を見たものである。これを見ると、「スケールアップ」の事業者は、「横ばい・スケールダウン」の事業者と比べ、イノベーション活動に「取り組んだ」と回答している
割合が高いことが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、イノベーション活動は、スケールアップに向けて有効な戦略の一つであると考えられる。
第2-2-79図 イノベーション活動の取組状況(スケール変動状況別)
| スケール変動状況 | 取り組んだ (%) | 取り組んでいない (%) |
|---|---|---|
| スケールアップ (n=2,938) | 28.7% | 71.3% |
| 横ばい・スケールダウン (n=21,168) | 19.7% | 80.3% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
2.ここでの「イノベーション活動の取組状況」とは、直近5年間程度における「プロダクト・イノベーション」又は「ビジネス・プロセス・イノベーション」の実現に向けた取組状況を指す。
先行研究 40 で指摘されているように、中小企業によるイノベーションの実現に当たっては、取引先や大学等の研究機関との連携が重要である。第2-2-80図は、イノベーション活動を実施した際
の連携先について確認したものである。これを見ると、「自社のみで行った」を除けば、「支援機関」と回答した割合が最も高く、次いで「仕入先」、「販売先・顧客」と続いていることが分かる。
第2-2-80図 イノベーション活動における連携先
| 連携先 | 割合 |
|---|---|
| 自社のみで行った | 41.5% |
| 支援機関 | 20.5% |
| 仕入先 | 17.6% |
| 販売先・顧客 | 15.0% |
| 同業他社 | 13.2% |
| 大学等の高等教育機関 | 6.8% |
| 政府・公的研究機関 | 4.2% |
| その他 | 6.8% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.直近5年間程度において、「プロダクト・イノベーション」又は「ビジネス・プロセス・イノベーション」に取り組んだと回答した事業者に聞いたもの。
2.ここでの「連携」には、単なる資金支援を含まない。ただし、資金支援のプロセスで、イノベーション活動における助言等を行った場合は「連携」とみなしている。
3.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
40 岡室(2016)では、「研究開発集約度やその他の企業属性を一定とすれば、取引先企業や大学と連携する企業のほうが全体としてイノベーションを実現しやすい」ことを示した上で、その背景について「内部の経営資源の乏しい中小企業にとって、外部組織との連携によって外部の優れた専門知識やノウハウ等を活用することが重要である」ということを示唆している。
第2-2-81図は、イノベーション活動を実施した際の連携先について、スケール別に確認したものである。これを見ると、「10億円未満」では「支援機関」と回答している割合が比較的高いことが分かる。また、スケールが大きくなるほど、「仕入先」、「大学等の高等教育機関」と回答した割合が高くなる傾向にあり、外部のプレイヤーと
直接連携しながらオープンイノベーションに取り組んでいることがうかがえる。
事例2-2-6では、産学官連携で新たなものづくりに挑戦し、技術・ノウハウを磨きながら、事業の高度化を実現し、成長している企業の事例を紹介する。
第2-2-81図 イノベーション活動における連携先(スケール別)
| 連携先 | 10億円未満 (n=3,126) | 10億円以上~50億円未満 (n=1,433) | 50億円以上~100億円未満 (n=237) | 100億円以上 (n=173) |
|---|---|---|---|---|
| 自社のみで行った | 41.0% | 42.6% | 40.9% | 43.4% |
| 支援機関 | 24.6% | 14.0% | 12.2% | 12.7% |
| 仕入先 | 15.7% | 20.8% | 21.5% | 20.2% |
| 販売先・顧客 | 13.8% | 17.2% | 18.6% | 13.3% |
| 同業他社 | 13.2% | 12.9% | 13.1% | 14.5% |
| 大学等の高等教育機関 | 4.9% | 8.9% | 12.2% | 15.0% |
| 政府・公的研究機関 | 3.8% | 4.6% | 5.5% | 4.6% |
| その他 | 7.0% | 6.5% | 6.8% | 6.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.直近5年間程度において、「プロダクト・イノベーション」又は「ビジネス・プロセス・イノベーション」に取り組んだと回答した事業者に聞いたもの。
2.ここで「連携」には、単なる資金支援を含まない。ただし、資金支援のプロセスで、イノベーション活動における助言等を行った場合は「連携」とみなしている。
3.ここでスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
4.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
事例
2-2-6
産学官連携で技術・ノウハウを磨き、
事業の高度化を実現し成長している企業
所在地 東京都墨田区
従業員数 48名
資本金 2,000万円
事業内容 金属製品製造業
株式会社浜野製作所
▶ 多品種少量生産へ舵を切り、価格競争を生き抜く。更なる成長を見据え、開発領域への進出を決意
東京都墨田区の株式会社浜野製作所は、精密板金、金型、プレス、機械加工などの金属加工製品の設計・製造とそれらの技術を基盤としてロボット・装置の設計・製造などを手掛ける企業である。1980年代以降、大手企業が量産品の生産拠点を海外へシフトしたことで、加工を主体とする町工場が厳しい価格競争にさらされる中、2000年頃に当時の社長であった浜野慶一会長は精密板金の多品種少量生産に対応できるよう新たな設備を導入した。また、多品種少量生産の分野でも、同社は後発であり、地方の同業他社は24時間営業で製造している中、住宅の多い都心部では夜間に機械を稼働することが難しく、生産量や価格で戦っていくことは容易ではない。このような状況を踏まえ、浜野会長は、将来的にはより情報の上流の製品開発領域への挑戦が必要であると考えた。
▶ 産学官連携で新たなものづくりに挑戦し、技術力とノウハウを培う
開発領域への進出に当たって、「待っていても仕事は来ない」と考え、実績を作るべく産学官連携に取り組んだ。同社は2009年に墨田区、早稲田大学などと提携し、電気自動車「HOKUSAI」を開発したほか、2012年には地域の町工場が技術とノウハウを持ち寄って、大学や研究機関の指導の下、深海無人探索機を開発する「江戸っ子1号」プロジェクトに参加した。2014年には「これまでの挑戦の中で培ってきた技術やノウハウをいかして、新たな付加価値を生み出していきたい」との考えから、当時は企画系部署にいた小林亮社長を中心にものづくりの実験工房として「ガレージスミダ」を開設。「ガレージスミダ」は、「こういうモノを作りたい」という相談事に対して、同社のノウハウ・技術力を総動員し実現に向けた活動を10年以上続けており、新たなものづくりに挑戦し製品開発のノウハウを蓄積してきた同社を頼りに、「ガレージスミダ」にはベンチャー企業をはじめ、多くの企業から相談が持ち込まれる。持ち込まれた相談事に対して、同社だけで対応できないものは同業他社とも連携を進めながら、日々新たなものづくりの可能性を追求している。
▶ 売上げの7割が開発案件、優秀な人材も多く集まる
同社が開発領域に進出する以前は受注の大半が図面どおりに部品を加工する案件であったが、近時は大企業や研究機関等から開発案件の受注が増加しており、売上高の約7割が開発案件である。さらに、まだ見ぬものづくりに挑戦できるという同社の魅力は、優秀な人材の獲得にもつながっている。技術人材ではロボットコンテストに参加した経験を持つ工業高等専門学校卒業生や、営業や企画、バックヤードでもいわゆる高学歴の人材が集まっており、同社の技術力をいかした案件への対応力が厚みを増している。2024年10月には、一橋大学の学生時代に同社へ訪問したことをきっかけに入社した小林氏が社長に就任。「環境変化の激しい今、町工場は生き残りの岐路に立たされている。設計・製造の両面においてエンジニアリング力を高め、0から1を生み出す『創造業』としての力を蓄えていく必要がある。今後は、仲間と共に『次世代の町工場』の姿を模索し、ものづくりの在り方を発信・啓発できるような『ガレージスミダネクスト』といえるような拠点をつくりたい」と小林社長は語る。
小林亮社長
(撮影者:香川賢志)
ガレージスミダ(2016年当時)
新たな相談事が連日寄せられる
(撮影者:香川賢志)
コラム
2-2-6
オープンファクトリーと万博がもたらす、ものづくりの未来
1. オープンファクトリーとは
「オープンファクトリー」という言葉は、Open(=開く)とFactory(=工場)をつなげた造語である。イメージしやすい単語を用いれば「工場見学」であるが、近畿経済産業局が令和2年度に行った調査事業 41 において、行動を起こす人によって言葉を整理し、①見学者側が工場を見に行く行為を「工場見学」、②企業側が工場を見せる行為を「オープンファクトリー」として定義付けている。
コラム
2-2-6①図
「オープンファクトリー」と「工場見学」の違い
オープンファクトリー
Open Factory
見せる側
Sender
「付加価値を創り出す現場」
見る側
Viewer
工場見学
Factory-Tour
オープンファクトリーとは、Open(=開く)とFactory(=工場)の造語であり、一般的にイメージしやすいのは「工場見学」という言葉。
令和2年度調査※により、「工場見学」は見る側を主語とした言葉であり、「オープンファクトリー」は見せる側を主語とした言葉として整理。
※令和2年度 関西におけるオープンイノベーションを創出する地域一体型オープンファクトリーの発展可能性事例調査
資料:株式会社地域計画建築研究所「令和2年度 関西におけるオープンイノベーションを創出する地域一体型オープンファクトリーの発展可能性事例調査 報告書」より近畿経済産業局作成
2. 全国に波及する「地域一体型オープンファクトリー」
さらに、企業単独ではなく、地域内で企業等が面として集まり一体的に見せていく取組を「地域一体型オープンファクトリー」と定義。オープンファクトリーを研究する京都橘大学経営学部の丸山一芳教授によれば、オープンファクトリーを通して生まれる「産地における中小企業連携によるイノベーション」も多数確認されており、産業観光資源としての可能性だけでなく、「オープンイノベーション」の観点からも注目されることからコラム2-2-6②図のとおり、取組は日本全国に広がっている(2024年3月末時点における地域一体型オープンファクトリーは47事例)。
41 株式会社地域計画建築研究所「令和2年度 関西におけるオープンイノベーションを創出する地域一体型オープンファクトリーの発展可能性事例調査 報告書」
コラム 2-2-6②図 全国に広がる地域一体型オープンファクトリー
資料:近畿経済産業局「OPEN FACTORY REPORT2.0」
3. 大阪・関西万博と各地をつなぐ「Co-Design Challenge 2024」
オープンファクトリーに公益社団法人2025年日本国際博覧会協会も注目し、全国から募集を行ったプログラムが「Co-Design Challenge 2024」である。
同事業は「大阪・関西万博を契機に、日本全国それぞれの土地で“これからの日本の暮らし(まち)をつくる”ことをコンセプトに、万博会場と全国のものづくり産地をつなぎ、相互誘客することを目的としている。
対象は、「工場の生産現場を公開し、来場者にものづくりを体感してもらう取組(オープンファクトリー)を行っている/行おうとしていること」、「万博期間中にもものづくり体験企画による地域誘客に取り組むこと」が条件とされ、実際に万博会場内において使用する椅子や展示台等を新たに開発することが求められた。
審査の結果、万博会場と各地のオープンファクトリーをつなぐ事業として、全国から11件が採択 42 (令和6年5月28日採択)されている。
42 令和6年5月、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会「プレスリリース:未来社会ショーケース事業 EXPO共創事業 特別プログラム『Co-Design Challenge 2024』」の選定事業が決定した。
コラム 2-2-6③図 「Co-Design Challenge 2024」
コラム 2-2-6③図 「Co-Design Challenge 2024」
「Co-Design Challenge 2024」のコンセプト
大阪・関西万博を契機に、日本全国それぞれの土地で
これからの日本の暮らし(まち)をつくる
夢洲会場
相互誘客
全国のものづくり産地
資料:公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 公式サイトほか
4. 万博を機会とした「ビジネス・バイウェイ
43
」の活性化
オープンファクトリーは、地域一体型を含めて、全国各地で広がっており、経済にも好影響を及ぼすことが考えられる。例えば、一般財団法人アジア太平洋研究所が実施した万博における経済効果の試算 44 を見ると、「拡張万博」として、万博のテーマ・時間軸・空間軸の概念を拡張し、関西全体を仮想的なパビリオンに見立てることによって、より大きな経済波及効果を見込んでいる。これは、上述の「Co-Design Challenge 2024」の選定事例のように、オープンファクトリーから生まれる経済効果も含まれるものと考えられる。また、近畿経済産業局は、MICEなど主としてビジネスを目的に出張する際に、追加的に訪れることが業務として容認される『国際社会的に魅力あるコンテンツ』を指す「ビジネス・バイウェイ」という考え方を提唱している。この取組を進めていくことで、万博がこのビジネス・バイウェイのための訪問先となり、万博開催時における経済効果向上のみならず、訪問者がこれから地域へのリピーターとなる効果が生まれ、我が国経済の活性化につながるが期待される。
43 株式会社ダン計画研究所「令和5年度『無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(MICE×MaaSによる発展可能性調査)』報告書」
44 一般財団法人アジア太平洋研究所「大阪・関西万博の経済波及効果-最新データを踏まえた試算と拡張万博の経済効果-」(APIR Trend Watch No.92)
③知的財産権の活用状況
先行研究 45 では、経済・社会のデジタル化が進む中で、企業が自社の中核的な経営資源を守る戦略の重要性が高まっていることを指摘している。
ここからは、中小企業の知的財産権の出願、使用及び所有状況について確認していく。第2-2-
82図は、特許出願件数に占める中小企業による出願件数の割合を見たものである。これを見ると、我が国の企業の99.7%を中小企業が占める 46 中で、中小企業による出願件数の割合は2割弱にとどまっていることが分かる。
第2-2-82図 特許出願件数に占める中小企業割合(2023年)
| 企業区分 | 割合 |
|---|---|
| 中小企業 | 17.6% |
| 大企業 | 77.8% |
| その他 | 4.7% |
資料:特許庁総務部普及支援課調べ
(注)1.特許出願件数は、内国人による特許出願件数であり、2023年の数値を集計している。なお、ここでの「内国人」とは、日本国内に事業所を有する企業等を指す。
2.「その他」には、国・自治体、その他の法人(大学法人や独立行政法人等)、個人が含まれる。
45 公益社団法人中小企業研究センター(2022)は、「イノベーションの実現を目指すプレーヤーとしての個人が企業、研究・教育機関等の所属組織の別なく、極めて迅速に、かつ低コストで世界規模で情報を交換することが可能になり、イノベーションの実現による知的財産形成のスピードアップに寄与した」と同時に、その一方で、「知的財産のコピーも極めて低コストで行えるようになった」という弊害に言及した上で、経営資源を守る戦略の重要性を指摘している。
46 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス-活動調査」再編加工
第2-2-83図は、中小企業の特許出願件数及び特許出願件数に占める中小企業割合を見たものである。これを見ると、足下の中小企業の特許出願
件数及び割合は2010年と比較すると増加傾向にあることが分かる。
第2-2-83図 中小企業の特許出願件数及び特許出願件数に占める中小企業割合
| 出願年 | 特許出願件数 (中小企業) (左軸) | 特許出願件数に占める中小企業割合 (右軸) |
|---|---|---|
| 2010 | 33,615 | 11.6% |
| 2011 | 31,068 | 10.8% |
| 2012 | 32,759 | 11.4% |
| 2013 | 33,090 | 12.2% |
| 2014 | 35,007 | 13.2% |
| 2015 | 36,017 | 13.9% |
| 2016 | 39,624 | 15.2% |
| 2017 | 39,880 | 15.3% |
| 2018 | 37,793 | 14.9% |
| 2019 | 39,597 | 16.1% |
| 2020 | 39,789 | 17.5% |
| 2021 | 37,875 | 17.0% |
| 2022 | 39,648 | 18.1% |
| 2023 | 40,221 | 17.6% |
資料:特許庁総務部普及支援課調べ
(注) 特許出願件数は、内国人による特許出願件数である。なお、ここでの「内国人」とは、日本国内に事業所を有する企業等を指す。
知的財産権を取得することそのものが目的とされ、実際に使用されていない知的財産権も一定程度存在しており、こうした権利をいかに使用に結びつけるかといったことも従来からの検討課題となっている 47 。
第2-2-84図は、知的財産権の使用状況を見たものである。これを見ると、大企業に比べて、中小企業の方が知的財産権の使用に向けた意識が高い
いことが見て取れる。特許権の使用率を見ると、「大企業」では約3割であるのに対して、「中小企業」では約7割と、使用を前提として特許権を取得していることが分かる。さらに、特許権以外の権利についての使用率は8割を超えるなど、中小企業による知的財産権の取得は使用に直結していることがうかがえる。
第2-2-84図 所有する知的財産権の使用率
(1) 特許権の使用率
| 企業規模 | 使用率 |
|---|---|
| 大企業 | 32.4% |
| 中小企業 | 66.4% |
(2) 中小企業における、知的財産権の使用率
| 権利の種類 | 使用率 |
|---|---|
| 特許権 | 66.4% |
| 実用新案権 | 84.0% |
| 意匠権 | 83.6% |
| 商標権 | 84.2% |
資料:中小企業庁「中小企業実態基本調査」、経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1.中小企業は「中小企業実態基本調査」(令和4年度決算実績)から集計しており、大企業は「企業活動基本調査」(2022年度実績)から集計している。
2「使用率」とは、各知的財産権の所有件数に占める使用件数の割合。
3.法人企業のみを対象として集計している。
47 2020年版中小企業白書第2部第1章第5節においても、同様の問題意識を踏まえ、知的財産権戦略について分析している。
次に、経済産業省「企業活動基本調査」のパネルデータを用いて、スケール別の知的財産権の所有状況を確認した(第2-2-85図)。「所有している」割合について、スケール間の差に着目すると、「10億円未満」と「10億円以上~30億円未
満」の間で最も大きな差があることが分かる。知的財産権の活用により、自社の製品・商品・サービスの保護に取り組むことが、10億円以上へのスケールアップに向けて、重要な戦略の一要素である可能性がある。
第2-2-85図 特許権・実用新案権・意匠権の所有状況(スケール別)
| スケール | 所有している (%) | 所有していない (%) | サンプル数 (n) |
|---|---|---|---|
| 10億円未満 | 17.4% | 82.6% | 1,053 |
| 10億円以上~30億円未満 | 27.9% | 72.1% | 3,674 |
| 30億円以上~60億円未満 | 35.4% | 64.6% | 2,689 |
| 60億円以上~100億円未満 | 35.7% | 64.3% | 1,468 |
| 100億円以上 | 33.3% | 66.7% | 1,970 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注)1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.特許権・実用新案権・意匠権の所有状況及びスケールは、2022年度の実績である。
最後に、特許権を所有する企業における、従業者一人当たりの特許権所有件数を従業者規模別に確認した(第2-2-86図)。これを見ると、「50人以下」が最も多いことが分かる。特許権を所有している研究者等の個人が創業したケースなども一
定数存在していると考えられるため、この調査結果から一概にはいえないが、比較的小さい中小企業も独自の技術を有しており、イノベーションの源泉・担い手としての役割を発揮している可能性が示唆される。
第2-2-86図 特許権を所有する企業における、従業者一人当たりの特許権所有件数(従業者規模別)
| 従業員規模 | 従業者一人当たりの特許権所有件数 |
|---|---|
| 50人以下 | 0.6 |
|
50人超
100人以下 |
0.1 |
|
100人超
300人以下 |
0.1 |
|
300人超
500人以下 |
0.1 |
|
500人超
1,000人以下 |
0.2 |
| 1,000人超 | 0.3 |
資料:中小企業庁「中小企業実態基本調査」再編加工、経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注)1.本集計は、中小企業と大企業いずれも含んでいる。中小企業は「中小企業実態基本調査」(令和4年度決算実績)から集計しており、大企業は「企業活動基本調査」(2022年度実績)から集計している。なお、「中小企業実態基本調査」は拡大個票により集計したものである。
2.従業者一人当たり特許権所有件数 = 特許権(所有しているもの) ÷ 従業者数(非正規雇用者を含む)。
3.「従業者一人当たり特許権所有件数 = 0」の企業は集計から除いている。
④まとめ
本項では、研究開発の動向、イノベーション活動の取組状況、その目的や効果等について確認した。まず、我が国における企業の研究開発の動向では、中小企業と大企業共に研究開発費が増加しており、売上高に対する比率は、大企業が直近で下落に転じている中、中小企業では上昇傾向にあり取組が進んでいることを確認した。また、経済産業省「企業活動基本調査」のパネルデータを用いて、研究開発投資の実施有無別に売上高及び経常利益の推移を確認したところ、研究開発投資実施企業は非実施企業よりも、売上高及び経常利益をより高めていることが分かり、研究開発投資は、売上高の増加だけでなく、自社製品・商品・サービスの付加価値を高めること等により利益の増加にもつながる可能性が示唆された。
次に、イノベーション活動とスケールアップの関係性について確認すべく、スケール変動状況別にイノベーション活動の取組状況を見たところ、
「スケールアップ」の事業者は、「横ばい・スケールダウン」の事業者と比べ、イノベーション活動に「取り組んだ」と回答している割合が高いことが分かり、イノベーション活動はスケールアップに向けて有効な戦略の一つであると考えられる。また、イノベーション活動を実施した際の連携先については、スケールが大きいほど「仕入先」、「大学等の高等教育機関」と回答した割合が高くなる傾向にあり、外部のプレイヤーと直接連携しながらオープンイノベーションに取り組んでいることがうかがえた。
研究開発・イノベーション活動による知的財産形成を進めると同時に、それらを守る取組として、知的財産保護の取組も重要である。事例2-2-7では、デッドコピー品の被害に遭ったことを契機に、知財保護に社を挙げて取り組むとともに、価格決定の主導権を握り、海外に販路を広げている企業の事例を紹介する。
事例
2-2-7
知財戦略により自社製品の保護と脱価格競争を実現し、成長する企業
所在地 岐阜県郡上市
従業員数 30名
資本金 1,200万円
事業内容 プラスチック製品
製造業
八幡化成株式会社
▶ 自社製品を開発するも、デッドコピー品の被害に遭い、価格競争に巻き込まれる
岐阜県郡上市の八幡化成株式会社は、キッチン雑貨やガーデン用品といった、デザイン性の高いプラスチック製雑貨のメーカーである。創業当初は生産委託による製造が主であったが、付加価値向上のため1990年代から自社での製品企画・製造とブランド展開を開始。同社の高垣克朗社長は、「『世の中にプラスチック製品がありふれている中、プラスチックには見えないサブライズ感のある製品を作っていきたい』という先代社長の思いがあった」と話す。1993年に開発した最初の自社製品で、段ボールを模した波板形状が特徴的な「ウェイビー」は、通常のプラスチックバケツとは異なる独特なフォルムが評価され、全国のホームセンターや量販店で取り扱われるようになった。しかし、プラスチック製品は加工が比較的容易であることもあり、程なくして国内の競合他社による安価なデッドコピー品が出回り、苦労して生み出した製品が模倣され価格競争に巻き込まれてしまった。
▶ 自社製品を守るため、知財保護に社を挙げて取り組む
同社は「ウェイビー」のデッドコピー被害を契機に、自社製品の知財保護に重点的に取り組む。実は「ウェイビー」についても意匠権を申請していたが、権利の登録以前に発売してしまったためデッドコピー品が出回ってしまった。そこで同社は、「何よりもまず知財保護を」の方針を掲げ、製品開発後は弁護士に相談することを徹底し、おおよそ7割の製品において意匠権や特許権等の知的財産権を取得。また、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)や大手商社の知財担当者の指導を得ながら、海外での知財保護にも取り組んでいるという。
知的財産権の権利行使に当たっては、まずは模倣品の情報をキャッチする必要があるが、同社では協力会社や同業者からの情報提供に加え、自社製品の特徴を象徴するキーワード検索等のネットパトロールを行っている。地道かつ時間が掛かる取組であるが、高垣社長と同社従業員が総力を挙げて取り組んでいる。「製品のデザイン・企画から製造までを一気通貫で取り組んでいるからこそ、当社の社員には製品を我が子のように大事にする熱い思いがあり、『模倣は許さない』という強い意識につながっているのだと思う」と高垣社長は語る。
▶ 知財保護で価格決定の主導権を握り、海外に販路を広げる
同社は1994年以来グッドデザイン賞を7度受賞しているなど、デザイン性の高い製品ラインナップを有していることと、それらの多くを知的財産権によって保護することで価格競争に陥らなくなった。その効果として、流通先は従来の量販店中心から、「価値あるものを着実に広める」という同社の考えを共有できる専門店やインテリアショップを選べるようになっている。また、国内市場が頭打ちとなる中、欧州の展示会に継続して出展するなど、熱意を伝えることで海外でも同じ思いのパートナーを増やしている。この10年間で売上高は新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前のピークを超え、海外輸出はおおよそ3倍に増加した。「海外のディストリビューターも覚悟を持って、当社製品を取り扱い販売している。製品の作り手である我々が模倣品を放置するわけにはいかない。今後も知財保護に一層取り組んでいく」と高垣社長は語る。
高垣克朗社長
令和6年度知財功労賞表彰式の様子
(Fontanaジョウロ)
コラム
2-2-7
技術流出防止対策について
1. 技術流出リスクの高まり
国際的な安全保障環境が複雑化する中、企業が保有する技術の流出リスクが高まっており、これは中堅・中小企業も例外ではない。
かつては、国家により多額の予算が投じられる軍事技術の開発が先行し、それが民生技術にスピノフしていくことが一般的であった。しかし、現在は、民間の研究開発投資が拡大しており、それに伴い、民生技術が最先端をリードすることが一般的になっている。このため、民生技術の軍事転用という流れが拡大しており、そもそも、軍事技術と民生技術の垣根がなくなりつつある。優れた技術を持つ企業に注目が集まっており、技術獲得のターゲットとなるリスクが高まっている。
さらに、経済のグローバル化が進む中で、産業のサプライチェーンは、様々な国・地域と複雑に絡み合っている。これを背景として、国家安全保障戦略が指摘するように、他国が経済的威圧を行うことで自国の勢力を拡大しようとする事例も見受けられる。他国からの影響を最小化し、自国を強化する観点から、サプライチェーン上のチョークポイントとなる技術をいかに獲得するかは、経済安全保障を確保する上での各国の関心事項となっている。こうした背景からも、民間企業が保有する優れた技術が、国家組織レベルでターゲットとなるリスクが高まっている。
我が国は、優れた技術を数多く保有する技術立国であるが、その多くが中堅・中小企業によって支えられている。そのため、優れた技術を持つ中堅・中小企業における技術流出対策の強化が急務である。
企業経営の観点からも、技術流出が生じた場合には、利益の源泉や社会からの信用を失い、今後の取引に重大な影響を及ぼすことも懸念される。取引先や金融機関等のステークホルダーからの信頼を得るためにも、技術流出対策は、単なる「コスト」ではなく、企業経営上も不可欠な「投資」と捉え、積極的に取り組むことが重要である。その際には、中堅・中小企業は、技術流出対策に用いる経営資源に制約があるため、官民が連携して取り組んでいくことが重要である。
2. 技術流出対策に資する施策の紹介
企業が技術流出対策を進めるに際しては、流出の経路に応じた対策を進める必要がある。例えば、役務提供としての技術移転、人材の流出、買収、技術情報の不正取得・開示などが想定されるが、情報通信技術の発展に応じて、経路は多様化・複雑化し、獲得に向けてとられる手法も巧妙化している。具体的にどのような技術流出対策を行えばよいかは、各企業の置かれた状況や取引の形態によっても様々であり、画一的な正解は存在しないというのが現状である。
このため、企業は自らの強みとなる技術を正確に把握し、その保有主体や利用の形態等を踏まえ、想定される技術流出経路に応じた対策を講じていくことが必要である。経済産業省でも、技術流出対策の強化に取り組んでいるところであり、以下に紹介する施策を進めるとともに、産業界への普及・広報、アウトリーチ活動を実施している。
(1) 民間企業の好事例の横展開
多くの企業において、技術流出リスクを含む経済安全保障上の諸課題に関する問題意識が高まっているものの、具体的にどのような対策を講じればよいか分からないとの悩みも多い。このため、経済産業省では、技術流出対策に取り組む企業の好事例を収集し、民間ベストプラクティス集として公表している(令和5年10月、以降も継
続的に更新)。
また、民間ベストプラクティス集に掲載した取組事例や、新たに企業から収集した情報も踏まえた、「技術流出対策ガイダンス」の策定も進めている。
コラム
2-2-7①図
民間ベストプラクティス集に掲載した技術流出対策の好事例(参考)
- ① 重点的に守るべき技術の特定
- ② 従業員の情報管理意識の醸成
- ③ 従業員の副業からの技術流出防止
- ④ 重要な技術を持つ従業員の流出抑制
- ⑤ 守るべき情報へのアクセス権の設定
- ⑥ PR用展示品に関する技術流出対策
- ⑦ 全体工程を把握する従業員の限定
- ⑧ 原材料等のコードネーム化
- ⑨ 海外企業との合弁会社における情報管理
- ⑩ 従業員に対する重要技術の秘匿
- ⑪ 重要なノウハウを持つ技術者の雇用延長
- ⑫ 製造設備の調達先分散
- ⑬ 取引先企業の情報管理
- ⑭ 海外工場で扱う技術・工程の制限
- ⑮ 自社ノウハウ類似技術の他社による特許化対策
- ⑯ 海外での事業撤退時のノウハウを含む製造設備の廃棄
資料:経済産業省作成
(2)技術管理対話スキーム
技術は貨物と異なり、一度流出するとその後の管理が困難である。このため、安全保障上の観点から、海外への移転は、移転後も適切な技術管理が行われる体制が確保されることを前提に行われる必要がある。経済産業省では、指定された技術について、外為法に基づき事前報告を義務付ける「技術管理対話スキーム」を導入した(令和6年12月30日施行)。事前報告を端緒として官民が対話し、適切な技術管理体制を検討していく。対話に当たっては、経済産業省から、他社の成功事例や個別の懸念情報等の提供も行っていく予定である。対象となる技術は、他国の関心と我が国の優位性の観点から、技術流出リスクが高いと思われるものを特定し、告示されている。技術動向等を踏まえて適時に見直していく予定である。
コラム 2-2-7②図 技術管理対話スキームの概要
① 事前報告
- 外為法55条の8に基づき、技術移転の契約前の報告を義務づける。
- あくまでも官民対話の端緒としての報告であるため、必要最小限の報告事項とする(1枚の様式)。
② 官民対話
- 現状・課題を認識共有した上で、支援策の検討、懸念情報提供、具体的対策の助言等を通じ、官民で技術管理の方策を検討。
③ インフォーム
- 原則として②までの解決を目指す。どうしても技術流出の懸念が払拭されない場合には、許可申請を求めるインフォームを発出する場合もある。
- 官民対話の中で、許可条件を付することが有効との結論となった場合に、インフォームを活用することもありうる。
資料:経済産業省作成
【事前報告の対象技術】(令和6年12月30日現在)
①積層セラミックコンデンサ、②SAW/BAWフィルタ、③電解銅箔、④誘電体フィルム、⑤チタン酸バリウム粉体、⑥炭素繊維、⑦炭化ケイ素繊維、⑧フォトレジスト、⑨非鉄金属ターゲット材、⑩走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡
※対象技術は適時に追加等を行う。
(3)技術情報管理認証制度
技術流出対策は、社内の体制構築から始まり、物理的な情報管理から電子情報の管理まで、様々な観点からの対策を進める必要がある。特に中堅・中小企業にとっては体系的な取組が困難な状況であるため、平成30年より産業競争力強化法に基づき、国が定める基準に沿って事業者が適切な情報管理体制を構築していることを国が認証する「技術情報管理認証制度(TICS)」を開始した。令和6年8月には、事業者が取るべき対策をより分かりやすくし、社会環境の変化に対応した基準の抜本的な改正を行った。
TICSは中堅・中小企業の経営資源の状況に配慮し、取得に必要な時間が短く(早くて1か月~2か月)、取得費用も低いことが特長である。認証機関は必要に応じて事業者の状況に沿った情報管理方法について指導・助言を行い、情報管理を始める事業者にとっても取り組みやすい制度となっている。認証を取得すると、取引先に適切な情報管理体制が整備されていることを示すことができ、取引先からの信頼獲得につながるほか、取引の拡大や新たな取引の獲得にもつながる。また、従業員の情報セキュリティ意識の向上にも寄与し、人を通じた情報流出リスクの低減にもつながるといった声も寄せられている。
4. 海外展開
第2-2-41図では、企業規模を拡大するに当たって重要な投資戦略について、スケールが大きくなるほど「輸出の開始・拡大」と回答している事業者の割合が高くなっており、将来的に100億企業を目指すに当たっては重要な戦略である可能性を確認した。また、先行研究 48 では、中小企業による輸出の実施効果について、「高い生産性を有するなど稼ぐ力のある企業が輸出を行っており、また輸出を通じて更に稼ぐ力を高めていると
いった面」があること、さらに「輸出企業においては、海外企業との競争環境の中で自社の製品に競争力をもたせるための研究開発が積極的に行われ」る結果、売上増加に加え、経常利益や付加価値の向上にもつながり得る可能性を指摘している。本項では、輸出と海外直接投資を中心に、海外展開の実施状況、その目的や効果等について、スケールアップとの関係性に焦点を当て、分析を進めていく。
48 内閣府政策統括官(経済財政分析担当)(2023)は、経済産業省「企業活動基本調査」を用いて、輸出企業と非輸出企業における、売上高・経常利益・付加価値生産性・研究開発実施率の水準の差について分析しており、中小企業において、いずれも輸出企業の方が高い水準であることを示している。
①輸出の実施状況と効果
まず、中小企業における輸出の実施状況について確認する。第2-2-87図は、アンケート調査を用いて、業種別に輸出の実施状況を見たものである。これを見ると、「直接輸出を実施している」又は「間接輸出を実施している」と回答した割合は、「全体」で約1割であり、業種別では、「製造
業」が3割超と最も高く、次いで「卸売業」と続いていることが分かる。一方、「飲食サービス業」をはじめとしたサービス業は、その業種特性上、「直接輸出を実施している」又は「間接輸出を実施している」と回答した割合は総じて低くなっていることも分かる。
第2-2-87図 輸出の実施状況(業種別)
| 業種 | 直接輸出 (%) | 間接輸出 (%) | 輸出していたが、今はしていない (%) | 実施したことがない (%) |
|---|---|---|---|---|
| 全体 (n=24,588) | 5.9% | 8.1% | 82.4% | |
| 建設業 (n=5,605) | 96.8% | |||
| 製造業 (n=5,713) | 12.3% | 20.1% | 7.2% | 60.5% |
| 情報通信業 (n=542) | 91.7% | |||
| 運輸業、郵便業 (n=899) | 94.0% | |||
| 卸売業 (n=3,660) | 14.0% | 13.4% | 7.3% | 65.2% |
| 小売業 (n=2,330) | 90.7% | |||
| 不動産業、物品賃貸業 (n=764) | 96.3% | |||
| 宿泊業 (n=280) | 97.9% | |||
| 飲食サービス業 (n=1,035) | 97.1% | |||
| 学術研究、専門・技術サービス業 (n=535) | 93.6% | |||
| 生活関連サービス業、娯楽業 (n=633) | 97.8% | |||
| サービス業(他に分類されないもの) (n=1,706) | 92.8% | |||
| その他 (n=886) | 91.0% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 1.ここで「直接輸出」とは、「企業が自己又は自社名義で通関手続きを行った輸出」を指し、「間接輸出」とは、「自国内商社や卸売業者、輸出代理店等を通じて行った輸出」を指す。
2.「直接輸出」、「間接輸出」の双方に取り組んでいる場合は、いずれか売上高が大きい方の回答を集計している。
3.「その他」は、「鉱業、採石業、砂利採取業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「教育、学習支援業」、「医療、福祉」、「その他」と回答した事業者の合計。
第2-2-4図(再掲)は、スケール別に輸出の実施状況を確認したものである。これを見ると、スケールが大きくなるほど、「直接輸出を実施している」又は「間接輸出を実施している」と回答し
ている割合が高くなっていることが分かる。「製造業」や「卸売業」を中心に、輸出により外需を獲得し、スケールアップを実現してきた可能性が示唆される。
第2-2-4図 輸出の実施状況(スケール別)(再掲)
| スケール別 | 直接輸出を実施している | 間接輸出を実施している | 輸出していたが、今はしていない | 実施したことがない |
|---|---|---|---|---|
| 10億円未満 (n=17,106) | 3.6% | 6.4% | 3.0% | 87.0% |
| 10億円以上~50億円未満 (n=5,934) | 9.7% | 11.1% | 5.3% | 73.9% |
| 50億円以上~100億円未満 (n=917) | 15.8% | 14.0% | 5.0% | 65.2% |
| 100億円以上 (n=556) | 20.0% | 18.3% | 5.2% | 56.5% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここで「直接輸出」とは、「企業が自己又は自社名義で通関手続きを行った輸出」を指し、「間接輸出」とは、「自国内商社や卸売業者、輸出代理店等を通じて行った輸出」を指す。
2.「直接輸出」、「間接輸出」の双方に取り組んでいる場合は、いずれか売上高が大きい方の回答を集計している。
3.ここでスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
第2-2-88図は、2013年度から2022年度まで継続して直接輸出を行っている企業と、2013年度から2022年度まで一度も輸出をしていない企業のそれぞれの売上高の推移を、2013年度を100として指数で示したものである。これを見ると、「2013~2022年度まで継続して実施してい
る企業」は、「2013~2022年度の間一切実施していない企業」よりも高い水準で売上高が推移していることが分かる。その他の取組や経営者の手腕などといった他の要素を排除しきれないため、これらの調査結果から一概にはいえないが、輸出の実施が成長につながる可能性が示唆される。
第2-2-88図 売上高の推移(直接輸出の実施有無別)
| 年度 | 2013~2022年度まで継続して実施している企業 (n=1,890) | 2013~2022年度の間一切実施していない企業 (n=7,449) |
|---|---|---|
| 2013 | 100.0 | 100.0 |
| 2014 | 104.7 | 101.2 |
| 2015 | 105.6 | 101.0 |
| 2016 | 105.1 | 100.8 |
| 2017 | 111.6 | 104.6 |
| 2018 | 117.4 | 107.0 |
| 2019 | 113.4 | 106.5 |
| 2020 | 105.2 | 100.3 |
| 2021 | 116.9 | 103.8 |
| 2022 | 128.0 | 110.8 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注)1.パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2.ここでいう「直接輸出の実施」とは、「売上高、うちモノの輸出額」が0(調査票上の単位は百万円)より大きい場合をいう。
3.2013年度の数値を100として比較した、2013年度から2022年度までの変化を見たもの。
第2-2-89図は、2013年度のスケール別に直接輸出実施企業の売上高の推移を見たものである。これを見ると、いずれのスケールにおいても、2022年度時点では、2013年度比で2割超売上高を高めており、中でも「30億円未満」が最も
売上高を高めていることが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、将来的なスケールアップを見据え、スケールが比較的小さい段階から輸出に取り組むことが重要である可能性がある。
第2-2-89図 直接輸出実施企業の売上高の推移(スケール別)
| 年度 | 30億円未満 (n=629) | 30億円以上~60億円未満 (n=571) | 60億円以上~100億円未満 (n=318) | 100億円以上 (n=372) |
|---|---|---|---|---|
| 2013 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
| 2014 | 108.0 | 106.0 | 104.0 | 103.0 |
| 2015 | 111.0 | 108.0 | 106.0 | 103.0 |
| 2016 | 113.0 | 108.0 | 106.0 | 102.0 |
| 2017 | 119.0 | 114.0 | 112.0 | 109.0 |
| 2018 | 125.0 | 121.0 | 117.0 | 115.0 |
| 2019 | 120.0 | 117.0 | 114.0 | 111.0 |
| 2020 | 112.0 | 107.0 | 103.0 | 104.0 |
| 2021 | 122.0 | 117.0 | 114.0 | 116.0 |
| 2022 | 135.2 | 127.0 | 123.6 | 128.6 |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) 1. パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
2. ここでいう「直接輸出実施」とは、「売上高、うちモノの輸出額」が0(調査票上の単位は百万円)より大きい場合をいう。
3. 2013年度の数値を100として比較した、2013年度から2022年度までの変化を見たもの。
4. スケールは、2013年度の実績であり、2013年度から2022年度まで継続して直接輸出を実施している企業を対象に集計している。
②海外直接投資の実施状況と効果
中小企業白書(2016) 49 では、海外直接投資の実態と効果等について分析しており、海外直接投資の実施が中小企業の生産性を高める可能性があることを指摘している。ここからは、足下の海外直接投資の実施状況、スケールアップとの関係性、海外直接投資の目的について確認していく。
第2-2-90図は、アンケート調査を用いて、海外直接投資の実施状況を見たものである。これを見ると、「実施している」と回答した割合は「全体」
で1割にも満たない中で、業種別では「製造業」が最も高く、次いで「卸売業」、「情報通信業」と続いていることが分かる。一方、「飲食サービス業」をはじめとしたサービス業は、「実施している」と回答した割合が低い傾向にあるが、BtoCビジネスは現地の商慣習を含めたカントリーリスクを適切に把握する必要があるなど、投資によるリスクとリターンを見極めることが難しいといった要因が考えられる。
第2-2-90図 海外直接投資の実施状況(業種別)
| 業種 | 実施している (%) | 実施していたが、今はしていない (%) | 実施したことがない (%) |
|---|---|---|---|
| 全体 (n=24,588) | 3.8 | 0.0 | 93.2 |
| 建設業 (n=5,605) | 0.0 | 0.0 | 97.8 |
| 製造業 (n=5,713) | 8.3 | 0.0 | 85.9 |
| 情報通信業 (n=542) | 5.5 | 0.0 | 91.5 |
| 運輸業、郵便業 (n=899) | 0.0 | 0.0 | 96.6 |
| 卸売業 (n=3,660) | 6.3 | 0.0 | 88.5 |
| 小売業 (n=2,330) | 0.0 | 0.0 | 97.0 |
| 不動産業、物品賃貸業 (n=764) | 0.0 | 0.0 | 97.1 |
| 宿泊業 (n=280) | 0.0 | 0.0 | 98.9 |
| 飲食サービス業 (n=1,035) | 0.0 | 0.0 | 98.4 |
| 学術研究、専門・技術サービス業 (n=535) | 0.0 | 0.0 | 94.8 |
| 生活関連サービス業、娯楽業 (n=633) | 0.0 | 0.0 | 98.3 |
| サービス業(他に分類されないもの) (n=1,706) | 0.0 | 0.0 | 96.4 |
| その他 (n=886) | 0.0 | 0.0 | 95.9 |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注) 1. ここでの「海外直接投資」とは、出資により海外に法人を設立すること、及び、企業が海外現地法人に資本参加することを指す。
2. 「その他」は、「鉱業、採石業、砂利採取業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「教育、学習支援業」、「医療、福祉」、「その他」と回答した事業者の合計。
49 2016年版中小企業白書第2部第3章第2節及び第3節を参照。
第2-2-91図は、経済産業省「海外事業活動基本調査」を用いて、中小企業における海外現地法人の設立・資本参加年別に、海外直接投資先の推移を見たものである。これを見ると、「中国(香港含む)」、「台湾」、「韓国」、「ASEAN」、「その他アジア」のアジア諸国の割合は2011年をピークに低下傾向にあり、2022年においては5割を下回っていることが分かる。特に、「中国(香港含む)」の割合が低下傾向にある背景として、経済成長の減速や先行き不透明感に加え、感染症を含む環境リスクや経済安全保障上のリスクといっ
たサプライチェーンリスクの高まりを受け 50 、製造業のみならず卸売業やサービス業をはじめとする様々な業種の企業が、生産拠点や販売・サービス拠点として中国以外の国・地域に大きな魅力やビジネスチャンスを見いだし、重点とする投資国・地域を移している可能性がある。このように、設立・資本参加年ごとに投資先の国・地域の傾向に変動が見られることから、その時々の国際情勢や為替相場の変動などを踏まえながら、投資目的に応じて投資先を選定していることがうかがえる。
第2-2-91図 中小企業における、海外直接投資先の推移(海外現地法人の設立・資本参加年別)
| 年 | 中国(香港含む) | 台湾 | 韓国 | ASEAN | その他アジア | 北米 | 欧州 | その他 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2000 | 32.7% | 13.4% | 26.2% | 7.9% | 47.8% | 13.4% | 26.2% | 7.9% |
| 01 | 47.8% | 9.0% | 22.4% | 7.7% | 59.8% | 9.0% | 22.4% | 7.7% |
| 02 | 59.8% | 7.9% | 20.8% | 3.7% | 59.9% | 7.9% | 20.8% | 3.7% |
| 03 | 59.9% | 7.5% | 18.9% | 5.0% | 63.6% | 7.5% | 18.9% | 5.0% |
| 04 | 63.6% | 6.9% | 14.3% | 6.4% | 58.6% | 6.9% | 14.3% | 6.4% |
| 05 | 58.6% | 6.2% | 19.2% | 4.7% | 47.8% | 6.2% | 19.2% | 4.7% |
| 06 | 47.8% | 8.7% | 26.6% | 6.6% | 46.9% | 8.7% | 26.6% | 6.6% |
| 07 | 46.9% | 8.7% | 25.9% | 4.6% | 37.2% | 8.7% | 25.9% | 4.6% |
| 08 | 37.2% | 7.6% | 31.9% | 7.3% | 44.7% | 7.6% | 31.9% | 7.3% |
| 09 | 44.7% | 6.5% | 22.3% | 7.4% | 45.4% | 6.5% | 22.3% | 7.4% |
| 10 | 45.4% | 8.2% | 25.2% | 4.5% | 42.2% | 8.2% | 25.2% | 4.5% |
| 11 | 42.2% | 3.5% | 35.3% | 4.1% | 31.1% | 3.5% | 35.3% | 4.1% |
| 12 | 31.1% | 6.1% | 43.4% | 3.0% | 22.2% | 6.1% | 43.4% | 3.0% |
| 13 | 22.2% | 9.0% | 45.6% | 5.3% | 18.9% | 9.0% | 45.6% | 5.3% |
| 14 | 18.9% | 8.9% | 47.9% | 4.7% | 13.3% | 8.9% | 47.9% | 4.7% |
| 15 | 13.3% | 10.5% | 40.4% | 10.5% | 12.0% | 10.5% | 40.4% | 10.5% |
| 16 | 12.0% | 11.2% | 38.2% | 11.2% | 22.0% | 11.2% | 38.2% | 11.2% |
| 17 | 22.0% | 11.8% | 35.7% | 11.8% | 21.8% | 11.8% | 35.7% | 11.8% |
| 18 | 21.8% | 10.2% | 35.3% | 12.6% | 25.8% | 10.2% | 35.3% | 12.6% |
| 19 | 25.8% | 8.8% | 26.4% | 13.2% | 24.7% | 8.8% | 26.4% | 13.2% |
| 20 | 24.7% | 11.3% | 37.1% | 7.2% | 16.5% | 11.3% | 37.1% | 7.2% |
| 21 | 16.5% | 12.7% | 30.4% | 12.7% | 10.3% | 12.7% | 30.4% | 12.7% |
| 22 | 10.3% | 6.9% | 17.2% | 17.2% | 5.2% | 6.9% | 17.2% | 17.2% |
資料:経済産業省「海外事業活動基本調査」(2023年調査)再編加工
(注)1.「海外現地法人」とは、「海外子会社」と「海外孫会社」を総称したものをいう。「海外子会社」とは、日本側出資比率が10%以上の外国法人をいう。また、「海外孫会社」とは、日本側出資比率が50%超の海外子会社が50%超の出資を行っている外国法人(日本側親会社からの出資と日本側出資比率合計が50%超の海外子会社の出資の合計が50%超の外国法人を含む)をいう。
2.国内本社企業が、中小企業基本法上で定義する中小企業として判定された企業の回答について集計している。
3.海外現地法人の調査時点における操業状況について、「操業中」のものを対象に集計しており、調査時点以前において既に解散又は撤退している海外現地法人は集計対象外である。
50 令和5年版通商白書第II部第1章第1節では、海外展開を行う我が国企業を対象に「直近10年間でサプライチェーンリスクが高まった国・地域」を尋ねた調査を用いて、中国に対するリスク認識が突出して高いことを示している。
第2-2-92図は、海外直接投資の実施状況別に、5年間のスケール変動状況を見たものである。これを見ると、「実施している」と回答した事業者は、「実施していない」と回答した事業者よりも、スケールアップを実現している割合が高いことが分かる。この調査結果から一概にはいえないが、
海外直接投資は、スケールアップに向けて有効な投資行動の一つであると考えられる。その一方で、海外直接投資は、国際情勢や為替相場の変動など、国内での投資と比べて不確定要素が多いことから、自社の経営状況や外部環境を踏まえながら、より慎重な投資判断が求められると考えられる。
第2-2-92図 スケール変動状況(海外直接投資の実施状況別)
| 海外直接投資の実施状況 | スケールアップ | 横ばい・スケールダウン |
|---|---|---|
| 実施している (n=933) | 27.1% | 72.9% |
| 実施していない (n=23,173) | 11.6% | 88.4% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.ここでの「海外直接投資」とは、出資により海外に法人を設立すること、及び、企業が海外現地法人に資本参加することを指す。
2.ここでの「実施していない」は、「実施していたが、今はしていない」、「実施したことがない」と回答した事業者を合計したもの。
3.5期前と今期見通しの売上高を比較して、第2-2-6図の売上高区分を基に、上方遷移した場合を「スケールアップ」、スケールの変動がない場合又は下方遷移した場合を「横ばい・スケールダウン」と定義している。
第2-2-93図は、海外直接投資の目的を確認したものである。これを見ると、「新規の取引先・市場の開拓」と回答した割合が最も高く、販路拡大により売上高を高めることが主な狙いであると考えられる。そのほか、「労働力の確保」、「取引
先の要望」、「原材料等の調達コストの削減」、「サプライチェーンの強化」等と回答している事業者も一定数存在しており、海外直接投資の目的は多様であることもうかがえる。
第2-2-93図 海外直接投資の目的
(n=917)
| 目的 | 割合 |
|---|---|
| 新規の取引先・市場の開拓 | 57.3% |
| 労働力の確保 | 22.0% |
| 取引先の要望 | 21.2% |
| 原材料等の調達コストの削減 | 17.3% |
| サプライチェーンの強化 | 17.2% |
| 新規事業の開始 | 16.4% |
| 人件費の削減 | 12.4% |
| 輸出コストの削減 | 5.0% |
| その他 | 9.7% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.「海外直接投資」を「実施している」と回答した事業者に聞いたもの。
2.ここでの「海外直接投資」とは、出資により海外に法人を設立すること、及び、企業が海外現地法人に資本参加することを指す。
3.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
③まとめ
本項では、輸出と海外直接投資を中心に、海外展開の実施状況、その目的や効果等について確認した。まずは輸出について、アンケート調査を用いて、その実施状況を確認すると、全体では約1割の企業が輸出を実施しており、業種別では「製造業」が3割超と最も高いことが分かった。スケール別の輸出の実施状況では、スケールが大きくなるほど、輸出を実施している割合が高くなっていることも確認した。また、直接輸出の実施企業と非実施企業の売上高の推移を確認したところ、実施企業は非実施企業よりも、売上高をより高めていることが分かり、特に比較的小規模な企業ほど売上高増加につながっており、将来的なスケールアップを見据え、早い段階から輸出に取り組むことが重要である可能性が示唆された。
次に、海外直接投資について、アンケート調査
を用いて、業種別の海外直接投資の実施状況を確認したところ、「実施している」と回答した割合は、全体で1割にも満たない中で、業種別では、「製造業」が最も高く、次いで「卸売業」、「情報通信業」と続いていることが分かった。また、海外直接投資の実施状況別に、5年間のスケール変動状況を見ると、「実施している」事業者は、「実施していない」事業者よりも、スケールアップを実現している割合が高いことが示された。この結果から、海外直接投資は、スケールアップに向けて有効な投資行動の一つである可能性が示された。その一方で、海外直接投資は、国際情勢や為替相場の変動など、国内での投資と比べて不確定な要素が多く、自社の経営状況や外部環境を踏まえながら、より慎重な投資判断が求められる。
事例2-2-8では、緻密なマーケティングでニーズをつかんで輸出を軌道に乗せ、地元農家との共存共栄により成長する企業の事例を紹介する。
事例
2-2-8
海外ニーズをつかんだ輸出拡大と、
地元農家との共存共栄により成長する企業
所在地 茨城県かすみがうら市
従業員数 70名
資本金 1,000万円
事業内容 飲食料品卸売業
株式会社ひのでや
▶ 将来の国内市場の縮小に備え、輸出を開始。成長に向けた布石を打つ
茨城県かすみがうら市の株式会社ひのでやでは、地元農家から仕入れたサツマイモなどの農作物の卸販売と、農作物の加工販売を手掛ける企業である。同社の生サツマイモ仕入量は国内有数の規模を誇り、祖業であるサツマイモ卸販売から、菓子やスイーツなどの加工品製造や直販店での販売など、国内で事業を展開してきた。しかしながら、人口減少等を背景に今後日本のマーケットは縮小が見込まれ、国内一本足の経営では中長期的に成長が制限されることは、同社であっても例外ではない。同社の瀧雄太社長は「現状、国内での事業展開は順調ではあるが、今後人口が減少し国内市場が縮小してから『いざ海外』では間に合わない。早期に取組を開始し、レールを作っておく必要がある」と先を見据え、2018年にサツマイモの輸出を開始した。
▶ 長期輸送による商品ロスを解消し、緻密なマーケティングでニーズをつかんで輸出を軌道に
輸出開始に当たって、長期輸送による商品の劣化とロスの発生に直面した。瀧社長は「コンテナ内で約80%が腐食やカビでロスとなってしまった」と振り返る。同社は試行錯誤の中で独自の加工方法を編み出し、出荷前に加工を施すことで、輸送時のロスを2~3%に抑制することに成功した。また、現地のニーズを汲み取ったマーケティングも重要である。同社の主な輸出版路は海外に出店する日系スーパーへの供給だが、瀧社長は卸売先の企業任せにせず自ら現地を歩き回り、現地商品の特徴や販売形態の差異などの情報収集を進めながら、求められる要素とそれを訴求するためのパッケージに至るまで緻密なマーケティングを実施した。その結果、健康志向が需要獲得のカギを握ると判断し、砂糖を使用する加工品ではなく、芋本来の味がいかにする焼き芋を中心にする戦略で勝負に出た。「焼き芋の美味しさが認められれば、次に生芋や加工品も売れていくだろう」との考えから、焼き芋を切り口に生芋を含むサツマイモ商品群を徐々に展開。海外販路は東南アジアや豪州から始め、近年ではカナダへも供給を拡大し、輸出の初年度に3%だった売上高に占める輸出高の割合は現在では約15%にまで上昇した。
▶ 地元農家と共存共栄する仕組みをベースに好循環を実現
加えて、「当社が国内外の需要をつかめているのは、ひとえに美味しい農作物を売ってくれる生産者のおかげである」との考えから、瀧社長は「地元農家との共存共栄」を常に意識している。国内外の両輪で安定成長する基盤を築くことができたのは、農作物の質と量の確保の課題を、農家との二人三脚で追求してきた取組によるところが大きい。同社は、農家が運営しやすい柔軟な取引条件の設定や、負荷が大きい収穫作業のカバーや栽培方法の指導といったサポートを実施。さらに、買付単価は、肥料やエネルギー費等のコスト高騰の反映はもちろん、利益配分を念頭に置いて設定している。これらの取組を通じて、取引先農家の安定的な経営と生産力の向上を実現。農作物の質と量を確保しながら、新たなマーケット開拓により収益力を高め、それを農家に還元するという好循環を生み出している。「生産者に還元するための仕組みづくりはある程度できた。現状70人の社員を5年以内に100人に増強し、生産者と共に成長していくための好循環を一層大きくしていく」と瀧社長は語る。
瀧雄太社長
商品パッケージ
同社商品の販売ブース(タイ)
第4節 まとめ
本章では、賃上げ等により人材を確保し、投資を積極的に進めながら、地域経済を先導するような企業、輸出等の外需を獲得する企業に成長することが我が国経済・地域経済のより一層の発展につながっていくとの考えに基づき、中小企業がスケールアップを実現するための課題や、それを乗り越えるための経営戦略・投資行動等について分析した。
第1節では、中小企業がスケールアップを実現することで、賃上げ、域内経済への貢献、外需の獲得という三つの観点において、我が国経済の成長に寄与している可能性を確認した。
第2節では、「成長の壁」とその打開策について分析を行った。スケールが小さい事業者においては、人材育成の取組により、経営者に不足するスキルを補う人材の確保を進めることが重要である。一方、スケールが大きい事業者はガバナンスの強化を課題として捉えており、取締役会の設置や社外取締役の登用といった体制面の整備を進めることに加え、従業員への経営理念・ビジョンの共有といった経営の透明性を高めるための取組が打開策となる可能性を確認した。
第3節では、スケールアップを実現するための手段として、設備投資、M&A、研究開発・イノベーション活動といった投資行動と海外展開に焦点を当て、その実施状況や効果等について分析した。
設備投資については、拠点の増設といった、生
産・販売能力の強化を目的に据えた投資がスケールアップにつながっている可能性を確認した。
M&Aは、売上高を高めるだけでなく、経営資源の共有等によるシナジー効果の発揮により、経常利益も高める可能性を確認した。一方で、M&Aを成功させてシナジー効果を発揮するためには、買収先との関係構築といったPMIが重要であり、特に買収先の働き手との相互理解や雇用保証など、働き手のエンゲージメントを高めていくことが重要である。
研究開発・イノベーション活動については、必要に応じて支援機関や大学等の外部機関と連携しながら、イノベーション活動に取り組むことが、スケールアップにつながっている可能性を示した。また、イノベーション活動による知的財産形成を進めると同時に、それらを守る取組として、知的財産保護の取組も同時に進めていく必要がある。
海外展開については、継続的な直接輸出、海外直接投資のいずれも、スケールアップにつながる可能性を確認した。特に、輸出については、比較的小規模な企業ほど売上高増加につながっており、早い段階から輸出に取り組むことでスケールアップにつながる可能性がある。ただし、海外展開は、国際情勢や為替相場の変動など、国内での投資と比べて不確定な要素が多く、実施に当たっては、より慎重な判断が求められることに留意が必要である。
参考文献
●第1部
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付属統計資料
付属統計資料 目次
| 1表 | 産業別規模別企業数(民営、非一次産業、2012年、2014年、2016年、2021年) | Ⅲ-8 |
| 2表 | 産業別規模別従業者数(民営、非一次産業、2012年、2014年、2016年、2021年) | Ⅲ-10 |
| 3表 | 産業別規模別常用雇用者数(民営、非一次産業、2012年、2014年、2016年、2021年) | Ⅲ-12 |
| 4表 | 産業別規模別売上高(民営、非一次産業、2013年、2015年、2020年) | Ⅲ-14 |
| 5表 | 産業別規模別付加価値額(民営、非一次産業、2015年、2020年) | Ⅲ-16 |
| 6表 | 都道府県別規模別企業数(民営、非一次産業、2012年、2014年、2016年、2021年) | Ⅲ-18 |
| 7表 | 都道府県別規模別従業者数(民営、非一次産業、2012年、2014年、2016年、2021年) | Ⅲ-22 |
| 8表 | 都道府県別規模別常用雇用者数(民営、非一次産業、2012年、2014年、2016年、2021年) | Ⅲ-26 |
| 9表 | 都道府県別規模別付加価値額(民営、非一次産業、2020年) | Ⅲ-30 |
| 10表 | 開廃業率の推移(民営、非一次産業) | Ⅲ-32 |
| 11表 | 業種別の開廃業率の推移(民営、非一次産業、事業所ベース) | Ⅲ-33 |
| 12表 | 有雇用事業所数による開廃業率の推移 | Ⅲ-34 |
| 13表 | 会社の設立登記数及び会社開廃業率の推移 | Ⅲ-35 |
| 14表 | 金融機関別中小企業向け貸出残高 | Ⅲ-36 |
| 15表 | 中小企業(法人企業)の経営指標(2023年度) | Ⅲ-37 |
1表
産業別規模別企業数(民営、非一次産業、2012年、2014年、2016年、2021年)
| 中小企業 | 大企業 | 合計 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | ||||||||||
| 産業 | 年 | 企業数 | 構成比 (%) | 企業数 | 構成比 (%) | 企業数 | 構成比 (%) | 企業数 | 構成比 (%) | |
| 建設業 | 2012 | 467,119 | 99.9 | 448,293 | 95.9 | 291 | 0.1 | 467,410 | 100.0 | |
| 2014 | 455,269 | 99.9 | 435,110 | 95.5 | 284 | 0.1 | 455,553 | 100.0 | ||
| 2016 | 430,727 | 99.9 | 410,820 | 95.3 | 272 | 0.1 | 430,999 | 100.0 | ||
| 2021 | 424,976 | 99.9 | 403,449 | 94.9 | 274 | 0.1 | 425,250 | 100.0 | ||
| 製造業 | 2012 | 429,468 | 99.5 | 373,766 | 86.6 | 2,044 | 0.5 | 431,512 | 100.0 | |
| 2014 | 413,339 | 99.5 | 358,769 | 86.4 | 1,957 | 0.5 | 415,296 | 100.0 | ||
| 2016 | 380,517 | 99.5 | 327,617 | 85.7 | 1,961 | 0.5 | 382,478 | 100.0 | ||
| 2021 | 335,552 | 99.4 | 283,297 | 83.9 | 1,938 | 0.6 | 337,490 | 100.0 | ||
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 2012 | 657 | 96.1 | 410 | 59.9 | 27 | 3.9 | 684 | 100.0 | |
| 2014 | 1,000 | 97.2 | 708 | 68.8 | 29 | 2.8 | 1,029 | 100.0 | ||
| 2016 | 975 | 96.9 | 699 | 69.5 | 31 | 3.1 | 1,006 | 100.0 | ||
| 2021 | 5,273 | 99.2 | 4,925 | 92.6 | 44 | 0.8 | 5,317 | 100.0 | ||
| 情報通信業 | 2012 | 44,332 | 98.9 | 29,558 | 65.9 | 508 | 1.1 | 44,840 | 100.0 | |
| 2014 | 45,254 | 98.8 | 29,993 | 65.5 | 533 | 1.2 | 45,787 | 100.0 | ||
| 2016 | 42,454 | 98.7 | 27,782 | 64.6 | 552 | 1.3 | 43,006 | 100.0 | ||
| 2021 | 55,174 | 99.0 | 37,611 | 67.5 | 557 | 1.0 | 55,731 | 100.0 | ||
| 運輸業、郵便業 | 2012 | 74,316 | 99.7 | 55,287 | 74.2 | 245 | 0.3 | 74,561 | 100.0 | |
| 2014 | 73,136 | 99.7 | 53,255 | 72.6 | 251 | 0.3 | 73,387 | 100.0 | ||
| 2016 | 67,220 | 99.7 | 48,326 | 71.6 | 236 | 0.3 | 67,456 | 100.0 | ||
| 2021 | 64,886 | 99.7 | 45,211 | 69.4 | 220 | 0.3 | 65,106 | 100.0 | ||
| 卸売業、小売業 | 卸売業・小売業計 | 2012 | 919,671 | 99.6 | 751,845 | 81.4 | 3,917 | 0.4 | 923,588 | 100.0 |
| 2014 | 896,102 | 99.5 | 712,939 | 79.2 | 4,182 | 0.5 | 900,284 | 100.0 | ||
| 2016 | 831,058 | 99.5 | 659,141 | 78.9 | 4,076 | 0.5 | 835,134 | 100.0 | ||
| 2021 | 729,570 | 99.5 | 571,468 | 78.0 | 3,472 | 0.5 | 733,042 | 100.0 | ||
| 卸売業 | 2012 | 225,599 | 99.3 | 163,713 | 72.1 | 1,508 | 0.7 | 227,107 | 100.0 | |
| 2014 | 227,908 | 99.3 | 162,533 | 70.8 | 1,575 | 0.7 | 229,483 | 100.0 | ||
| 2016 | 207,986 | 99.3 | 146,481 | 69.9 | 1,544 | 0.7 | 209,530 | 100.0 | ||
| 2021 | 202,432 | 99.3 | 144,201 | 70.7 | 1,399 | 0.7 | 203,831 | 100.0 | ||
| 小売業 | 2012 | 694,072 | 99.7 | 588,132 | 84.4 | 2,409 | 0.3 | 696,481 | 100.0 | |
| 2014 | 668,194 | 99.6 | 550,406 | 82.1 | 2,607 | 0.4 | 670,801 | 100.0 | ||
| 2016 | 623,072 | 99.6 | 512,660 | 81.9 | 2,532 | 0.4 | 625,604 | 100.0 | ||
| 2021 | 527,138 | 99.6 | 427,267 | 80.7 | 2,073 | 0.4 | 529,211 | 100.0 | ||
| 金融業、保険業 | 2012 | 30,184 | 99.2 | 29,187 | 95.9 | 253 | 0.8 | 30,437 | 100.0 | |
| 2014 | 29,959 | 99.1 | 28,821 | 95.4 | 259 | 0.9 | 30,218 | 100.0 | ||
| 2016 | 27,338 | 99.0 | 26,180 | 94.8 | 271 | 1.0 | 27,609 | 100.0 | ||
| 2021 | 28,647 | 99.0 | 27,341 | 94.5 | 276 | 1.0 | 28,923 | 100.0 | ||
| 不動産業、物品賃貸業 | 2012 | 325,803 | 99.9 | 318,962 | 97.8 | 276 | 0.1 | 326,079 | 100.0 | |
| 2014 | 319,221 | 99.9 | 311,568 | 97.5 | 296 | 0.1 | 319,517 | 100.0 | ||
| 2016 | 299,961 | 99.9 | 292,610 | 97.4 | 322 | 0.1 | 300,283 | 100.0 | ||
| 2021 | 324,197 | 99.9 | 316,400 | 97.5 | 347 | 0.1 | 324,544 | 100.0 | ||
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 2012 | 185,730 | 99.7 | 159,400 | 85.6 | 550 | 0.3 | 186,280 | 100.0 | |
| 2014 | 188,455 | 99.7 | 160,861 | 85.1 | 622 | 0.3 | 189,077 | 100.0 | ||
| 2016 | 181,763 | 99.6 | 154,892 | 84.9 | 683 | 0.4 | 182,446 | 100.0 | ||
| 2021 | 202,747 | 99.6 | 173,981 | 85.5 | 809 | 0.4 | 203,556 | 100.0 | ||
| 宿泊業、飲食サービス業 | 2012 | 543,543 | 99.9 | 475,183 | 87.3 | 718 | 0.1 | 544,261 | 100.0 | |
| 2014 | 544,281 | 99.9 | 464,989 | 85.3 | 759 | 0.1 | 545,040 | 100.0 | ||
| 2016 | 509,698 | 99.9 | 435,199 | 85.3 | 736 | 0.1 | 510,434 | 100.0 | ||
| 2021 | 424,543 | 99.9 | 365,011 | 85.9 | 513 | 0.1 | 425,056 | 100.0 | ||
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 2012 | 383,059 | 99.9 | 357,806 | 93.3 | 512 | 0.1 | 383,571 | 100.0 | |
| 2014 | 382,304 | 99.9 | 353,250 | 92.3 | 542 | 0.1 | 382,846 | 100.0 | ||
| 2016 | 363,009 | 99.8 | 337,843 | 92.9 | 572 | 0.2 | 363,581 | 100.0 | ||
| 2021 | 330,461 | 99.9 | 307,420 | 92.9 | 428 | 0.1 | 330,889 | 100.0 | ||
| 教育、学習支援業 | 2012 | 103,867 | 99.9 | 92,619 | 89.1 | 121 | 0.1 | 103,988 | 100.0 | |
| 2014 | 107,479 | 99.9 | 94,409 | 87.7 | 129 | 0.1 | 107,608 | 100.0 | ||
| 2016 | 101,663 | 99.9 | 88,993 | 87.4 | 136 | 0.1 | 101,799 | 100.0 | ||
| 2021 | 94,060 | 99.9 | 81,851 | 86.9 | 125 | 0.1 | 94,185 | 100.0 | ||
| 医療、福祉 | 2012 | 195,088 | 99.9 | 140,484 | 71.9 | 232 | 0.1 | 195,320 | 100.0 | |
| 2014 | 210,326 | 99.9 | 146,427 | 69.5 | 258 | 0.1 | 210,584 | 100.0 | ||
| 2016 | 207,043 | 99.9 | 143,291 | 69.1 | 275 | 0.1 | 207,318 | 100.0 | ||
| 2021 | 205,710 | 99.9 | 138,480 | 67.2 | 274 | 0.1 | 205,984 | 100.0 | ||
| その他(鉱業、採石業、砂利採取業・複合サービス事業・サービス業(他に分類されないもの)) | 2012 | 150,097 | 99.4 | 110,014 | 72.9 | 902 | 0.6 | 150,999 | 100.0 | |
| 2014 | 143,103 | 99.3 | 101,155 | 70.2 | 1,009 | 0.7 | 144,112 | 100.0 | ||
| 2016 | 134,750 | 99.2 | 94,997 | 70.0 | 1,034 | 0.8 | 135,784 | 100.0 | ||
| 2021 | 139,095 | 99.2 | 96,911 | 69.1 | 1,087 | 0.8 | 140,182 | 100.0 | ||
| 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
| 産業 | 年 | 企業数 | 構成比 (%) | 企業数 | 構成比 (%) | 企業数 | 構成比 (%) | 企業数 | 構成比 (%) |
| 非一次産業計 | 2012 | 3,852,934 | 99.7 | 3,342,814 | 86.5 | 10,596 | 0.3 | 3,863,530 | 100.0 |
| 2014 | 3,809,228 | 99.7 | 3,252,254 | 85.1 | 11,110 | 0.3 | 3,820,338 | 100.0 | |
| 2016 | 3,578,176 | 99.7 | 3,048,390 | 84.9 | 11,157 | 0.3 | 3,589,333 | 100.0 | |
| 2021 | 3,364,891 | 99.7 | 2,853,356 | 84.5 | 10,364 | 0.3 | 3,375,255 | 100.0 | |
| うち会社数 | 2012 | 1,677,949 | 99.4 | 1,277,893 | 75.7 | 10,319 | 0.6 | 1,688,268 | 100.0 |
| 2014 | 1,719,805 | 99.4 | 1,278,901 | 73.9 | 10,817 | 0.6 | 1,730,622 | 100.0 | |
| 2016 | 1,599,436 | 99.3 | 1,186,539 | 73.7 | 10,878 | 0.7 | 1,610,314 | 100.0 | |
| 2021 | 1,746,540 | 99.4 | 1,331,783 | 75.8 | 10,150 | 0.6 | 1,756,690 | 100.0 | |
| うち個人事業者数 | 2012 | 2,174,985 | 100.0 | 2,064,921 | 94.9 | 277 | 0.0 | 2,175,262 | 100.0 |
| 2014 | 2,089,423 | 100.0 | 1,973,353 | 94.4 | 293 | 0.0 | 2,089,716 | 100.0 | |
| 2016 | 1,978,740 | 100.0 | 1,861,851 | 94.1 | 279 | 0.0 | 1,979,019 | 100.0 | |
| 2021 | 1,618,351 | 100.0 | 1,521,573 | 94.0 | 214 | 0.0 | 1,618,565 | 100.0 | |
資料:総務省「平成 26 年経済センサス-基礎調査」、
総務省・経済産業省「平成 24 年、28 年、令和 3 年経済センサス-活動調査」再編加工
(注)1. 2012 年 2 月時点、2014 年 7 月時点、2016 年 6 月時点、2021 年 6 月時点の値を掲載。
2. 農林漁業を除く、非一次産業について集計。
3. 企業は、会社及び個人事業者を指す。会社は、法人格を有する団体のうち、株式会社、有限会社、相互会社、合名会社、合資会社、合同会社及び外国の会社を指す。個人事業者は、個人が事業を経営している場合(個人経営)を指す。
4. 企業の区分は、下記のとおり。(中小企業基本法(昭和 38 年法律第 154 号)及び中小企業関連立法における政令において中小企業者又は小規模企業者として扱われる企業の定義に基づき算出。)
(1) 中小企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 900 人以下
イ 卸売業:資本金 1 億円以下又は常用雇用者数 100 人以下
ウ サービス業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 100 人以下
※ソフトウェア業、情報処理サービス業は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※旅館業は、資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 200 人以下
エ 小売業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 50 人以下
(2) 小規模企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:常用雇用者数 20 人以下
イ 卸売業、小売業、サービス業:常用雇用者数 5 人以下
※宿泊業、娯楽業は、常用雇用者数 20 人以下
(3) 大企業
(1) 及び (2) に該当しない企業
2表
産業別規模別従業者数(民営、非一次産業、2012年、2014年、2016年、2021年)
| 産業 | 年 | 中小企業 | 大企業 | 合計 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
||||
|
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
|||||||||
| 建設業 | 2012 | 3,398,423 | 89.1 | 2,338,163 | 61.3 | 416,141 | 10.9 | 3,814,564 | 100.0 | |
| 2014 | 3,390,493 | 89.2 | 2,237,415 | 58.8 | 412,522 | 10.8 | 3,803,015 | 100.0 | ||
| 2016 | 3,244,169 | 88.6 | 2,107,520 | 57.5 | 419,285 | 11.4 | 3,663,454 | 100.0 | ||
| 2021 | 3,339,900 | 88.6 | 2,090,255 | 55.4 | 429,723 | 11.4 | 3,769,623 | 100.0 | ||
| 製造業 | 2012 | 6,550,429 | 65.6 | 2,130,081 | 21.3 | 3,441,424 | 34.4 | 9,991,853 | 100.0 | |
| 2014 | 6,486,389 | 66.4 | 1,998,167 | 20.5 | 3,279,571 | 33.6 | 9,765,960 | 100.0 | ||
| 2016 | 6,202,447 | 65.3 | 1,838,047 | 19.4 | 3,294,245 | 34.7 | 9,496,692 | 100.0 | ||
| 2021 | 6,185,371 | 64.9 | 1,627,569 | 17.1 | 3,349,591 | 35.1 | 9,534,962 | 100.0 | ||
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 2012 | 29,502 | 14.9 | 3,432 | 1.7 | 167,968 | 85.1 | 197,470 | 100.0 | |
| 2014 | 34,590 | 17.3 | 4,608 | 2.3 | 165,874 | 82.7 | 200,464 | 100.0 | ||
| 2016 | 38,689 | 20.3 | 4,615 | 2.4 | 152,146 | 79.7 | 190,835 | 100.0 | ||
| 2021 | 60,117 | 28.2 | 13,669 | 6.4 | 152,737 | 71.8 | 212,854 | 100.0 | ||
| 情報通信業 | 2012 | 961,057 | 63.4 | 113,956 | 7.5 | 555,510 | 36.6 | 1,516,567 | 100.0 | |
| 2014 | 979,521 | 62.8 | 113,266 | 7.3 | 579,402 | 37.2 | 1,558,923 | 100.0 | ||
| 2016 | 969,660 | 61.5 | 104,029 | 6.6 | 605,754 | 38.5 | 1,575,414 | 100.0 | ||
| 2021 | 1,209,580 | 63.2 | 122,874 | 6.4 | 704,364 | 36.8 | 1,913,944 | 100.0 | ||
| 運輸業、郵便業 | 2012 | 2,172,982 | 68.8 | 387,135 | 12.3 | 987,234 | 31.2 | 3,160,216 | 100.0 | |
| 2014 | 2,284,186 | 73.5 | 380,199 | 12.2 | 824,350 | 26.5 | 3,108,536 | 100.0 | ||
| 2016 | 2,216,062 | 73.9 | 346,779 | 11.6 | 780,964 | 26.1 | 2,997,026 | 100.0 | ||
| 2021 | 2,340,447 | 74.6 | 356,643 | 11.4 | 796,618 | 25.4 | 3,137,065 | 100.0 | ||
| 卸売業、小売業 | 卸売業・小売業計 | 2012 | 6,911,424 | 66.1 | 2,191,498 | 21.0 | 3,540,778 | 33.9 | 10,452,202 | 100.0 |
| 2014 | 7,303,086 | 66.5 | 2,008,511 | 18.3 | 3,675,997 | 33.5 | 10,979,083 | 100.0 | ||
| 2016 | 6,952,779 | 65.0 | 1,824,332 | 17.0 | 3,747,437 | 35.0 | 10,700,216 | 100.0 | ||
| 2021 | 6,917,684 | 65.6 | 1,572,025 | 14.9 | 3,623,978 | 34.4 | 10,541,662 | 100.0 | ||
| 卸売業 | 2012 | 2,397,968 | 73.3 | 562,523 | 17.2 | 871,421 | 26.7 | 3,269,389 | 100.0 | |
| 2014 | 2,557,628 | 74.5 | 541,928 | 15.8 | 876,683 | 25.5 | 3,434,311 | 100.0 | ||
| 2016 | 2,462,540 | 72.2 | 484,470 | 14.2 | 948,164 | 27.8 | 3,410,704 | 100.0 | ||
| 2021 | 2,455,090 | 75.0 | 456,848 | 14.0 | 817,098 | 25.0 | 3,272,188 | 100.0 | ||
| 小売業 | 2012 | 4,513,456 | 62.8 | 1,628,975 | 22.7 | 2,669,357 | 37.2 | 7,182,813 | 100.0 | |
| 2014 | 4,745,458 | 62.9 | 1,466,583 | 19.4 | 2,799,314 | 37.1 | 7,544,772 | 100.0 | ||
| 2016 | 4,490,239 | 61.6 | 1,339,862 | 18.4 | 2,799,273 | 38.4 | 7,289,512 | 100.0 | ||
| 2021 | 4,462,594 | 61.4 | 1,115,177 | 15.3 | 2,806,880 | 38.6 | 7,269,474 | 100.0 | ||
| 金融業、保険業 | 2012 | 200,011 | 16.4 | 110,336 | 9.1 | 1,018,792 | 83.6 | 1,218,803 | 100.0 | |
| 2014 | 222,123 | 17.9 | 112,145 | 9.0 | 1,021,775 | 82.1 | 1,243,898 | 100.0 | ||
| 2016 | 213,887 | 16.9 | 104,591 | 8.3 | 1,049,863 | 83.1 | 1,263,750 | 100.0 | ||
| 2021 | 228,025 | 18.1 | 106,583 | 8.5 | 1,028,458 | 81.9 | 1,256,483 | 100.0 | ||
| 不動産業、物品賃貸業 | 2012 | 1,162,155 | 84.4 | 789,931 | 57.4 | 214,345 | 15.6 | 1,376,500 | 100.0 | |
| 2014 | 1,209,578 | 84.0 | 772,029 | 53.6 | 230,379 | 16.0 | 1,439,957 | 100.0 | ||
| 2016 | 1,164,919 | 82.2 | 718,118 | 50.7 | 252,789 | 17.8 | 1,417,708 | 100.0 | ||
| 2021 | 1,242,462 | 81.0 | 786,266 | 51.3 | 291,396 | 19.0 | 1,533,858 | 100.0 | ||
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 2012 | 1,002,971 | 75.1 | 451,941 | 33.8 | 332,976 | 24.9 | 1,335,947 | 100.0 | |
| 2014 | 1,043,067 | 73.5 | 440,702 | 31.0 | 376,867 | 26.5 | 1,419,934 | 100.0 | ||
| 2016 | 1,008,309 | 70.6 | 420,595 | 29.5 | 419,533 | 29.4 | 1,427,842 | 100.0 | ||
| 2021 | 1,121,619 | 69.9 | 443,998 | 27.7 | 483,587 | 30.1 | 1,605,206 | 100.0 | ||
| 宿泊業、飲食サービス業 | 2012 | 3,463,871 | 71.7 | 1,504,546 | 31.1 | 1,367,785 | 28.3 | 4,831,656 | 100.0 | |
| 2014 | 3,801,986 | 73.4 | 1,394,749 | 26.9 | 1,378,825 | 26.6 | 5,180,811 | 100.0 | ||
| 2016 | 3,603,582 | 73.1 | 1,283,663 | 26.0 | 1,324,203 | 26.9 | 4,927,785 | 100.0 | ||
| 2021 | 3,401,140 | 78.1 | 1,054,376 | 24.2 | 951,272 | 21.9 | 4,352,412 | 100.0 | ||
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 2012 | 1,836,429 | 81.1 | 833,626 | 36.8 | 429,362 | 18.9 | 2,265,791 | 100.0 | |
| 2014 | 1,923,886 | 82.2 | 800,893 | 34.2 | 415,270 | 17.8 | 2,339,156 | 100.0 | ||
| 2016 | 1,772,497 | 80.3 | 747,774 | 33.9 | 435,788 | 19.7 | 2,208,285 | 100.0 | ||
| 2021 | 1,629,655 | 82.0 | 658,135 | 33.1 | 358,252 | 18.0 | 1,987,907 | 100.0 | ||
| 教育、学習支援業 | 2012 | 544,758 | 82.4 | 209,656 | 31.7 | 116,002 | 17.6 | 660,760 | 100.0 | |
| 2014 | 603,498 | 84.1 | 205,170 | 28.6 | 113,926 | 15.9 | 717,424 | 100.0 | ||
| 2016 | 565,763 | 82.4 | 185,818 | 27.1 | 121,109 | 17.6 | 686,872 | 100.0 | ||
| 2021 | 574,850 | 83.0 | 171,389 | 24.7 | 117,939 | 17.0 | 692,789 | 100.0 | ||
| 医療、福祉 | 2012 | 1,425,122 | 88.4 | 470,131 | 29.2 | 186,185 | 11.6 | 1,611,307 | 100.0 | |
| 2014 | 1,687,240 | 89.9 | 471,474 | 25.1 | 190,517 | 10.1 | 1,877,757 | 100.0 | ||
| 2016 | 1,666,393 | 88.7 | 447,866 | 23.8 | 212,071 | 11.3 | 1,878,464 | 100.0 | ||
| 2021 | 1,930,194 | 89.4 | 428,021 | 19.8 | 228,413 | 10.6 | 2,158,607 | 100.0 | ||
| その他(鉱業、採石業、砂利採取業・複合サービス業・サービス業(他に分類されないもの)) | 2012 | 2,508,350 | 67.7 | 388,848 | 10.5 | 1,196,957 | 32.3 | 3,705,307 | 100.0 | |
| 2014 | 2,640,167 | 61.4 | 329,238 | 7.7 | 1,660,377 | 38.6 | 4,300,544 | 100.0 | ||
| 2016 | 2,581,876 | 59.3 | 303,524 | 7.0 | 1,773,776 | 40.7 | 4,355,652 | 100.0 | ||
| 2021 | 2,917,398 | 61.0 | 294,119 | 6.1 | 1,868,502 | 39.0 | 4,785,900 | 100.0 | ||
| 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
| 産業 | 年 |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
| 非一次産業計 | 2012 | 32,167,484 | 69.7 | 11,923,280 | 25.8 | 13,971,459 | 30.3 | 46,138,943 | 100.0 |
| 2014 | 33,609,810 | 70.1 | 11,268,566 | 23.5 | 14,325,652 | 29.9 | 47,935,462 | 100.0 | |
| 2016 | 32,201,032 | 68.8 | 10,437,271 | 22.3 | 14,588,963 | 31.2 | 46,789,995 | 100.0 | |
| 2021 | 33,098,442 | 69.7 | 9,725,922 | 20.5 | 14,384,830 | 30.3 | 47,483,272 | 100.0 | |
|
うち会社の
従業者数 |
2012 | 25,864,443 | 65.0 | 6,936,359 | 17.4 | 13,934,762 | 35.0 | 39,799,205 | |
| 2014 | 27,671,356 | 65.9 | 6,705,986 | 16.0 | 14,288,785 | 34.1 | 41,960,141 | ||
| 2016 | 26,550,602 | 64.6 | 6,164,926 | 15.0 | 14,557,421 | 35.4 | 41,108,023 | ||
| 2021 | 28,591,674 | 66.6 | 6,369,561 | 14.8 | 14,365,147 | 33.4 | 42,956,821 | ||
|
うち個人事業者
の従業者数 |
2012 | 6,303,041 | 99.4 | 4,986,921 | 78.7 | 36,697 | 0.6 | 6,339,738 | |
| 2014 | 5,938,454 | 99.4 | 4,562,580 | 76.4 | 36,867 | 0.6 | 5,975,321 | ||
| 2016 | 5,650,430 | 99.4 | 4,272,345 | 75.2 | 31,542 | 0.6 | 5,681,972 | ||
| 2021 | 4,506,768 | 99.6 | 3,356,361 | 74.1 | 19,683 | 0.4 | 4,526,451 | ||
資料:総務省「平成 26 年経済センサス-基礎調査」、
総務省・経済産業省「平成 24 年、28 年、令和 3 年経済センサス-活動調査」再編加工
(注)1. 2012 年 2 月時点、2014 年 7 月時点、2016 年 6 月時点、2021 年 6 月時点の値を掲載。
2. 農林漁業を除く、非一次産業について集計。
3. 企業は、会社及び個人事業者を指す。会社は、法人格を有する団体のうち、株式会社、有限会社、相互会社、合名会社、合資会社、合同会社及び外国の会社を指す。個人事業者は、個人が事業を経営している場合(個人経営)を指す。
4. 企業の区分は、下記のとおり。(中小企業基本法(昭和 38 年法律第 154 号)及び中小企業関連立法における政令において中小企業者又は小規模企業者として扱われる企業の定義に基づき算出。)
(1) 中小企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 900 人以下
イ 卸売業:資本金 1 億円以下又は常用雇用者数 100 人以下
ウ サービス業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 100 人以下
※ソフトウェア業、情報処理サービス業は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※旅館業は、資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 200 人以下
エ 小売業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 50 人以下
(2) 小規模企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:常用雇用者数 20 人以下
イ 卸売業、小売業、サービス業:常用雇用者数 5 人以下
※宿泊業、娯楽業は、常用雇用者数 20 人以下
(3) 大企業
(1) 及び (2) に該当しない企業
3表
産業別規模別常用雇用者数(民営、非一次産業、2012年、2014年、2016年、2021年)
| 産業 | 年 | 中小企業 | 大企業 | 合計 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | ||||||||||
|
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
|||
| 建設業 | 2012 | 2,383,460 | 85.2 | 1,411,548 | 50.5 | 413,238 | 14.8 | 2,796,698 | 100.0 | |
| 2014 | 2,467,738 | 85.7 | 1,400,733 | 48.7 | 410,487 | 14.3 | 2,878,225 | 100.0 | ||
| 2016 | 2,382,843 | 85.1 | 1,322,591 | 47.2 | 418,436 | 14.9 | 2,801,279 | 100.0 | ||
| 2021 | 2,501,373 | 85.4 | 1,334,699 | 45.6 | 427,079 | 14.6 | 2,928,452 | 100.0 | ||
| 製造業 | 2012 | 5,689,006 | 57.3 | 1,399,410 | 14.1 | 4,247,936 | 42.7 | 9,936,942 | 100.0 | |
| 2014 | 5,681,828 | 62.0 | 1,343,064 | 14.6 | 3,487,977 | 38.0 | 9,169,805 | 100.0 | ||
| 2016 | 5,469,061 | 61.7 | 1,241,406 | 14.0 | 3,401,210 | 38.3 | 8,870,271 | 100.0 | ||
| 2021 | 5,516,967 | 62.0 | 1,107,128 | 12.4 | 3,380,707 | 38.0 | 8,897,674 | 100.0 | ||
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 2012 | 27,021 | 13.9 | 2,500 | 1.3 | 166,959 | 86.1 | 193,980 | 100.0 | |
| 2014 | 31,975 | 16.2 | 3,371 | 1.7 | 164,840 | 83.8 | 196,815 | 100.0 | ||
| 2016 | 36,321 | 19.3 | 3,406 | 1.8 | 151,659 | 80.7 | 187,980 | 100.0 | ||
| 2021 | 52,014 | 25.5 | 7,049 | 3.5 | 152,036 | 74.5 | 204,050 | 100.0 | ||
| 情報通信業 | 2012 | 850,340 | 60.8 | 60,538 | 4.3 | 547,325 | 39.2 | 1,397,665 | 100.0 | |
| 2014 | 880,620 | 60.6 | 63,958 | 4.4 | 573,628 | 39.4 | 1,454,248 | 100.0 | ||
| 2016 | 882,403 | 59.5 | 62,020 | 4.2 | 600,031 | 40.5 | 1,482,434 | 100.0 | ||
| 2021 | 1,109,673 | 61.4 | 68,164 | 3.8 | 697,658 | 38.6 | 1,807,331 | 100.0 | ||
| 運輸業、郵便業 | 2012 | 1,953,552 | 67.0 | 271,896 | 9.3 | 964,253 | 33.0 | 2,917,805 | 100.0 | |
| 2014 | 2,084,844 | 72.3 | 276,857 | 9.6 | 800,064 | 27.7 | 2,884,908 | 100.0 | ||
| 2016 | 2,054,874 | 73.2 | 258,428 | 9.2 | 753,378 | 26.8 | 2,808,252 | 100.0 | ||
| 2021 | 2,184,079 | 73.6 | 270,001 | 9.1 | 785,286 | 26.4 | 2,969,365 | 100.0 | ||
| 卸売業、小売業 | 卸売業・小売業計 | 2012 | 5,072,244 | 59.6 | 847,814 | 10.0 | 3,441,971 | 40.4 | 8,514,215 | 100.0 |
| 2014 | 5,643,075 | 61.2 | 850,130 | 9.2 | 3,583,164 | 38.8 | 9,226,239 | 100.0 | ||
| 2016 | 5,486,614 | 59.8 | 761,446 | 8.3 | 3,694,144 | 40.2 | 9,180,758 | 100.0 | ||
| 2021 | 5,622,458 | 61.0 | 654,772 | 7.1 | 3,595,903 | 39.0 | 9,218,361 | 100.0 | ||
| 卸売業 | 2012 | 1,906,462 | 68.7 | 260,206 | 9.4 | 868,141 | 31.3 | 2,774,603 | 100.0 | |
| 2014 | 2,090,910 | 70.5 | 264,850 | 8.9 | 876,437 | 29.5 | 2,967,347 | 100.0 | ||
| 2016 | 2,051,524 | 68.6 | 238,033 | 8.0 | 941,115 | 31.4 | 2,992,639 | 100.0 | ||
| 2021 | 2,063,844 | 71.3 | 216,994 | 7.5 | 831,225 | 28.7 | 2,895,069 | 100.0 | ||
| 小売業 | 2012 | 3,165,782 | 55.2 | 587,608 | 10.2 | 2,573,830 | 44.8 | 5,739,612 | 100.0 | |
| 2014 | 3,552,165 | 56.8 | 585,280 | 9.4 | 2,706,727 | 43.2 | 6,258,892 | 100.0 | ||
| 2016 | 3,435,090 | 55.5 | 523,413 | 8.5 | 2,753,029 | 44.5 | 6,188,119 | 100.0 | ||
| 2021 | 3,558,614 | 56.3 | 437,778 | 6.9 | 2,764,678 | 43.7 | 6,323,292 | 100.0 | ||
| 金融業、保険業 | 2012 | 144,249 | 12.3 | 60,095 | 5.1 | 1,025,982 | 87.7 | 1,170,231 | 100.0 | |
| 2014 | 170,361 | 14.4 | 64,410 | 5.5 | 1,010,992 | 85.6 | 1,181,353 | 100.0 | ||
| 2016 | 166,747 | 13.6 | 62,380 | 5.1 | 1,055,702 | 86.4 | 1,222,449 | 100.0 | ||
| 2021 | 179,965 | 14.9 | 63,382 | 5.3 | 1,026,521 | 85.1 | 1,206,486 | 100.0 | ||
| 不動産業、物品賃貸業 | 2012 | 598,952 | 74.0 | 258,781 | 32.0 | 209,970 | 26.0 | 808,922 | 100.0 | |
| 2014 | 684,658 | 75.6 | 276,582 | 30.5 | 220,985 | 24.4 | 905,643 | 100.0 | ||
| 2016 | 679,253 | 73.4 | 253,452 | 27.4 | 246,290 | 26.6 | 925,543 | 100.0 | ||
| 2021 | 709,168 | 71.3 | 274,488 | 27.6 | 285,780 | 28.7 | 994,948 | 100.0 | ||
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 2012 | 692,926 | 67.6 | 213,830 | 20.9 | 332,271 | 32.4 | 1,025,197 | 100.0 | |
| 2014 | 751,933 | 66.8 | 215,485 | 19.1 | 373,431 | 33.2 | 1,125,364 | 100.0 | ||
| 2016 | 735,878 | 63.9 | 206,773 | 18.0 | 415,729 | 36.1 | 1,151,607 | 100.0 | ||
| 2021 | 820,377 | 63.6 | 208,519 | 16.2 | 468,907 | 36.4 | 1,289,284 | 100.0 | ||
| 宿泊業、飲食サービス業 | 2012 | 2,280,585 | 63.7 | 600,893 | 16.8 | 1,299,681 | 36.3 | 3,580,266 | 100.0 | |
| 2014 | 2,738,473 | 68.7 | 618,333 | 15.5 | 1,247,530 | 31.3 | 3,986,003 | 100.0 | ||
| 2016 | 2,726,604 | 68.2 | 580,873 | 14.5 | 1,273,226 | 31.8 | 3,999,830 | 100.0 | ||
| 2021 | 2,659,475 | 74.3 | 459,149 | 12.8 | 921,605 | 25.7 | 3,581,080 | 100.0 | ||
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 2012 | 1,217,936 | 75.5 | 325,103 | 20.2 | 395,118 | 24.5 | 1,613,054 | 100.0 | |
| 2014 | 1,345,409 | 77.8 | 330,449 | 19.1 | 382,994 | 22.2 | 1,728,403 | 100.0 | ||
| 2016 | 1,246,819 | 75.4 | 297,198 | 18.0 | 407,614 | 24.6 | 1,654,433 | 100.0 | ||
| 2021 | 1,163,019 | 77.2 | 257,100 | 17.1 | 342,597 | 22.8 | 1,505,616 | 100.0 | ||
| 教育、学習支援業 | 2012 | 338,486 | 76.0 | 60,220 | 13.5 | 107,033 | 24.0 | 445,519 | 100.0 | |
| 2014 | 413,400 | 80.6 | 65,307 | 12.7 | 99,410 | 19.4 | 512,810 | 100.0 | ||
| 2016 | 409,908 | 79.6 | 65,398 | 12.7 | 104,963 | 20.4 | 514,871 | 100.0 | ||
| 2021 | 427,569 | 80.0 | 59,986 | 11.2 | 106,770 | 20.0 | 534,339 | 100.0 | ||
| 医療、福祉 | 2012 | 1,089,299 | 86.1 | 255,174 | 20.2 | 175,811 | 13.9 | 1,265,110 | 100.0 | |
| 2014 | 1,356,495 | 88.2 | 265,541 | 17.3 | 182,005 | 11.8 | 1,538,500 | 100.0 | ||
| 2016 | 1,372,341 | 87.0 | 257,772 | 16.3 | 204,835 | 13.0 | 1,577,176 | 100.0 | ||
| 2021 | 1,624,145 | 87.8 | 235,163 | 12.7 | 226,279 | 12.2 | 1,850,424 | 100.0 | ||
| その他(鉱業、採石業、砂利採取業・複合サービス業・サービス業(他に分類されないもの)) | 2012 | 1,992,565 | 63.9 | 157,749 | 5.1 | 1,124,435 | 36.1 | 3,117,000 | 100.0 | |
| 2014 | 2,215,867 | 57.9 | 146,397 | 3.8 | 1,609,080 | 42.1 | 3,824,947 | 100.0 | ||
| 2016 | 2,199,637 | 57.0 | 135,174 | 3.5 | 1,656,420 | 43.0 | 3,856,057 | 100.0 | ||
| 2021 | 2,573,630 | 58.4 | 131,585 | 3.0 | 1,829,911 | 41.6 | 4,403,541 | 100.0 | ||
| 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
| 産業 | 年 |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
| 非一次産業計 | 2012 | 24,330,621 | 62.7 | 5,925,551 | 15.3 | 14,451,983 | 37.3 | 38,782,604 | 100.0 |
| 2014 | 26,466,676 | 65.2 | 5,920,617 | 14.6 | 14,146,587 | 34.8 | 40,613,263 | 100.0 | |
| 2016 | 25,849,303 | 64.2 | 5,508,317 | 13.7 | 14,383,637 | 35.8 | 40,232,940 | 100.0 | |
| 2021 | 27,143,912 | 65.6 | 5,131,185 | 12.4 | 14,247,039 | 34.4 | 41,390,951 | 100.0 | |
|
うち会社の
常用雇用者数 |
2012 | 21,375,140 | 4,115,052 | 11.5 | 14,416,903 | 40.3 | 35,792,043 | 100.0 | |
| 2014 | 23,488,511 | 4,154,808 | 11.1 | 14,111,092 | 37.5 | 37,599,603 | 100.0 | ||
| 2016 | 23,021,405 | 3,895,938 | 10.4 | 14,351,936 | 38.4 | 37,373,341 | 100.0 | ||
| 2021 | 24,876,309 | 3,885,392 | 9.9 | 14,227,935 | 36.4 | 39,104,244 | 100.0 | ||
|
うち個人事業者の
常用雇用者数 |
2012 | 2,955,481 | 1,810,499 | 60.5 | 35,080 | 1.2 | 2,990,561 | 100.0 | |
| 2014 | 2,978,165 | 1,765,809 | 58.6 | 35,495 | 1.2 | 3,013,660 | 100.0 | ||
| 2016 | 2,827,898 | 1,612,379 | 56.4 | 31,701 | 1.1 | 2,859,599 | 100.0 | ||
| 2021 | 2,267,603 | 1,245,793 | 54.5 | 19,104 | 0.8 | 2,286,707 | 100.0 | ||
資料:総務省「平成 26 年経済センサス-基礎調査」、
総務省・経済産業省「平成 24 年、28 年、令和 3 年経済センサス-活動調査」再編加工
(注) 1. 2012 年 2 月時点、2014 年 7 月時点、2016 年 6 月時点、2021 年 6 月時点の値を掲載。
2. 農林漁業を除く、非一次産業について集計。
3. 企業は、会社及び個人事業者を指す。会社は、法人格を有する団体のうち、株式会社、有限会社、相互会社、合名会社、合資会社、合同会社及び外国の会社を指す。個人事業者は、個人が事業を経営している場合(個人経営)を指す。
4. 企業の区分は、下記のとおり。(中小企業基本法(昭和 38 年法律第 154 号)及び中小企業関連立法における政令において中小企業者又は小規模企業者として扱われる企業の定義に基づき算出。)
(1) 中小企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 900 人以下
イ 卸売業:資本金 1 億円以下又は常用雇用者数 100 人以下
ウ サービス業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 100 人以下
※ソフトウェア業、情報処理サービス業は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※旅館業は、資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 200 人以下
エ 小売業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 50 人以下
(2) 小規模企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:常用雇用者数 20 人以下
イ 卸売業、小売業、サービス業:常用雇用者数 5 人以下
※宿泊業、娯楽業は、常用雇用者数 20 人以下
(3) 大企業
(1) 及び (2) に該当しない企業
5. 常用雇用者数には、海外における常用雇用者数も含む。
4表 産業別規模別売上高(民営、非一次産業、2013年、2015年、2020年)
| 産業 | 年 | 中小企業 | 大企業 | 合計 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | ||||||||||
|
売上高
(億円) |
構成比
(%) |
売上高
(億円) |
構成比
(%) |
売上高
(億円) |
構成比
(%) |
売上高
(億円) |
構成比
(%) |
|||
| 建設業 | 2013 | 616,064 | 70.2 | 316,188 | 36.0 | 261,185 | 29.8 | 877,248 | 100.0 | |
| 2015 | 754,237 | 69.7 | 360,908 | 33.3 | 328,508 | 30.3 | 1,082,745 | 100.0 | ||
| 2020 | 853,829 | 71.2 | 403,665 | 33.7 | 344,677 | 28.8 | 1,198,506 | 100.0 | ||
| 製造業 | 2013 | 1,250,933 | 36.1 | 222,207 | 6.4 | 2,217,637 | 63.9 | 3,468,569 | 100.0 | |
| 2015 | 1,494,508 | 37.8 | 242,406 | 6.1 | 2,457,023 | 62.2 | 3,951,531 | 100.0 | ||
| 2020 | 1,519,822 | 39.3 | 246,812 | 6.4 | 2,342,906 | 60.7 | 3,862,728 | 100.0 | ||
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 2013 | 22,890 | 8.9 | 3,180 | 1.2 | 234,069 | 91.1 | 256,959 | 100.0 | |
| 2015 | 26,326 | 10.1 | 4,902 | 1.9 | 235,021 | 89.9 | 261,347 | 100.0 | ||
| 2020 | 39,623 | 11.0 | 14,277 | 4.0 | 321,595 | 89.0 | 361,218 | 100.0 | ||
| 情報通信業 | 2013 | 145,751 | 31.0 | 13,940 | 3.0 | 324,034 | 69.0 | 469,785 | 100.0 | |
| 2015 | 191,388 | 32.5 | 15,428 | 2.6 | 397,637 | 67.5 | 589,025 | 100.0 | ||
| 2020 | 284,788 | 38.3 | 27,601 | 3.7 | 457,818 | 61.7 | 742,606 | 100.0 | ||
| 運輸業、郵便業 | 2013 | 264,291 | 50.0 | 43,537 | 8.2 | 264,695 | 50.0 | 528,986 | 100.0 | |
| 2015 | 320,362 | 52.2 | 47,707 | 7.8 | 292,781 | 47.8 | 613,143 | 100.0 | ||
| 2020 | 361,457 | 60.9 | 59,896 | 10.1 | 232,370 | 39.1 | 593,826 | 100.0 | ||
| 卸売業、小売業 | 卸売業・小売業計 | 2013 | 1,933,274 | 47.2 | 311,176 | 7.6 | 2,162,344 | 52.8 | 4,095,618 | 100.0 |
| 2015 | 2,261,548 | 46.8 | 335,762 | 7.0 | 2,566,788 | 53.2 | 4,828,336 | 100.0 | ||
| 2020 | 2,395,951 | 51.8 | 346,592 | 7.5 | 2,227,427 | 48.2 | 4,623,378 | 100.0 | ||
| 卸売業 | 2013 | 1,319,071 | 47.4 | 176,016 | 6.3 | 1,462,618 | 52.6 | 2,781,689 | 100.0 | |
| 2015 | 1,556,623 | 46.9 | 195,684 | 5.9 | 1,760,902 | 53.1 | 3,317,525 | 100.0 | ||
| 2020 | 1,603,275 | 52.2 | 212,098 | 6.9 | 1,467,856 | 47.8 | 3,071,131 | 100.0 | ||
| 小売業 | 2013 | 614,203 | 46.7 | 135,160 | 10.3 | 699,726 | 53.3 | 1,313,929 | 100.0 | |
| 2015 | 704,925 | 46.7 | 140,078 | 9.3 | 805,886 | 53.3 | 1,510,810 | 100.0 | ||
| 2020 | 792,676 | 51.1 | 134,494 | 8.7 | 759,571 | 48.9 | 1,552,247 | 100.0 | ||
| 金融業、保険業 | 2013 | 86,007 | 10.8 | 29,330 | 3.7 | 712,060 | 89.2 | 798,067 | 100.0 | |
| 2015 | 80,530 | 8.7 | 36,669 | 4.0 | 846,109 | 91.3 | 926,639 | 100.0 | ||
| 2020 | 96,864 | 10.6 | 44,709 | 4.9 | 815,325 | 89.4 | 912,189 | 100.0 | ||
| 不動産業、物品賃貸業 | 2013 | 187,946 | 55.2 | 92,442 | 27.2 | 152,486 | 44.8 | 340,432 | 100.0 | |
| 2015 | 243,736 | 55.4 | 106,545 | 24.2 | 196,178 | 44.6 | 439,915 | 100.0 | ||
| 2020 | 336,560 | 58.8 | 151,371 | 26.4 | 235,868 | 41.2 | 572,428 | 100.0 | ||
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 2013 | 116,660 | 44.4 | 36,841 | 14.0 | 146,066 | 55.6 | 262,726 | 100.0 | |
| 2015 | 159,533 | 42.0 | 49,192 | 13.0 | 220,228 | 58.0 | 379,761 | 100.0 | ||
| 2020 | 189,479 | 43.5 | 59,859 | 13.7 | 245,898 | 56.5 | 435,377 | 100.0 | ||
| 宿泊業、飲食サービス業 | 2013 | 134,661 | 65.9 | 42,051 | 20.6 | 69,766 | 34.1 | 204,427 | 100.0 | |
| 2015 | 164,551 | 65.3 | 44,324 | 17.6 | 87,334 | 34.7 | 251,885 | 100.0 | ||
| 2020 | 151,554 | 73.4 | 39,810 | 19.3 | 54,797 | 26.6 | 206,351 | 100.0 | ||
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 2013 | 215,101 | 63.7 | 45,199 | 13.4 | 122,316 | 36.3 | 337,417 | 100.0 | |
| 2015 | 273,656 | 64.8 | 49,102 | 11.6 | 148,962 | 35.2 | 422,618 | 100.0 | ||
| 2020 | 202,347 | 75.9 | 44,312 | 16.6 | 64,175 | 24.1 | 266,522 | 100.0 | ||
| 教育、学習支援業 | 2013 | 18,372 | 67.0 | 3,748 | 13.7 | 9,043 | 33.0 | 27,415 | 100.0 | |
| 2015 | 22,146 | 68.9 | 3,918 | 12.2 | 10,009 | 31.1 | 32,155 | 100.0 | ||
| 2020 | 24,294 | 72.1 | 4,666 | 13.9 | 9,393 | 27.9 | 33,687 | 100.0 | ||
| 医療、福祉 | 2013 | 77,996 | 88.1 | 25,324 | 28.6 | 10,572 | 11.9 | 88,568 | 100.0 | |
| 2015 | 90,482 | 86.1 | 26,607 | 25.3 | 14,575 | 13.9 | 105,057 | 100.0 | ||
| 2020 | 106,464 | 85.0 | 26,349 | 21.0 | 18,830 | 15.0 | 125,295 | 100.0 | ||
| その他(鉱業、採石業、砂利採取業・複合サービス事業・サービス業(他に分類されないもの)) | 2013 | 163,953 | 54.1 | 33,388 | 11.0 | 139,187 | 45.9 | 303,140 | 100.0 | |
| 2015 | 207,129 | 52.8 | 35,612 | 9.1 | 184,931 | 47.2 | 392,060 | 100.0 | ||
| 2020 | 238,265 | 53.9 | 40,199 | 9.1 | 203,997 | 46.1 | 442,262 | 100.0 | ||
| 非一次産業計 | 2013 | 5,233,899 | 43.4 | 1,218,549 | 10.1 | 6,825,458 | 56.6 | 12,059,357 | 100.0 | |
| 2015 | 6,290,133 | 44.1 | 1,359,085 | 9.5 | 7,986,085 | 55.9 | 14,276,218 | 100.0 | ||
| 2020 | 6,801,298 | 47.3 | 1,510,118 | 10.5 | 7,575,075 | 52.7 | 14,376,373 | 100.0 | ||
| うち会社の売上高 | 2013 | 4,959,036 | 42.1 | 1,024,503 | 8.7 | 6,823,308 | 57.9 | 11,782,344 | 100.0 | |
| 2015 | 5,998,826 | 42.9 | 1,160,291 | 8.3 | 7,983,631 | 57.1 | 13,982,456 | 100.0 | ||
| 2020 | 6,551,835 | 46.4 | 1,344,568 | 9.5 | 7,573,722 | 53.6 | 14,125,557 | 100.0 | ||
| うち個人事業者の売上高 | 2013 | 274,863 | 99.2 | 194,046 | 70.0 | 2,150 | 0.8 | 277,013 | 100.0 | |
| 2015 | 291,307 | 99.2 | 198,794 | 67.7 | 2,455 | 0.8 | 293,762 | 100.0 | ||
| 2020 | 249,463 | 99.5 | 165,549 | 66.0 | 1,353 | 0.5 | 250,816 | 100.0 | ||
資料:総務省「平成 26 年経済センサス-基礎調査」、
総務省・経済産業省「平成 28 年、令和 3 年経済センサス-活動調査」再編加工
(注) 1. 売上高は、それぞれ 2013 年、2015 年、2020 年における 1 年間の実績。
2. 農林漁業を除く、非一次産業について集計。
3. 企業は、会社及び個人事業者を指す。会社は、法人格を有する団体のうち、株式会社、有限会社、相互会社、合名会社、合資会社、合同会社及び外国の会社を指す。個人事業者は、個人が事業を経営している場合(個人経営)を指す。
4. 企業の区分は、下記のとおり。(中小企業基本法(昭和 38 年法律第 154 号)及び中小企業関連立法における政令において中小企業者又は小規模企業者として扱われる企業の定義に基づき算出。)
(1) 中小企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 900 人以下
イ 卸売業:資本金 1 億円以下又は常用雇用者数 100 人以下
ウ サービス業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 100 人以下
※ソフトウェア業、情報処理サービス業は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※旅館業は、資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 200 人以下
エ 小売業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 50 人以下
(2) 小規模企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:常用雇用者数 20 人以下
イ 卸売業、小売業、サービス業:常用雇用者数 5 人以下
※宿泊業、娯楽業は、常用雇用者数 20 人以下
(3) 大企業
(1) 及び (2) に該当しない企業
5表
産業別規模別付加価値額(民営、非一次産業、2015年、2020年)
| 産業 | 年 | 中小企業 | 大企業 | 合計 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 |
付加価値額
(億円) |
構成比
(%) |
付加価値額
(億円) |
構成比
(%) |
||||||
|
付加価値額
(億円) |
構成比
(%) |
付加価値額
(億円) |
構成比
(%) |
|||||||
| 建設業 | 2015 | 155,450 | 74.8 | 85,622 | 41.2 | 52,477 | 25.2 | 207,927 | 100.0 | |
| 2020 | 183,009 | 76.4 | 97,194 | 40.6 | 56,552 | 23.6 | 239,561 | 100.0 | ||
| 製造業 | 2015 | 325,894 | 47.5 | 71,583 | 10.4 | 359,736 | 52.5 | 685,630 | 100.0 | |
| 2020 | 316,543 | 48.8 | 61,904 | 9.5 | 332,419 | 51.2 | 648,963 | 100.0 | ||
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 2015 | 4,193 | 10.5 | 933 | 2.3 | 35,827 | 89.5 | 40,020 | 100.0 | |
| 2020 | 7,543 | 18.5 | 3,258 | 8.0 | 33,265 | 81.5 | 40,808 | 100.0 | ||
| 情報通信業 | 2015 | 61,640 | 39.1 | 4,504 | 2.9 | 95,821 | 60.9 | 157,461 | 100.0 | |
| 2020 | 86,102 | 44.8 | 6,563 | 3.4 | 106,235 | 55.2 | 192,337 | 100.0 | ||
| 運輸業、郵便業 | 2015 | 95,859 | 60.2 | 14,409 | 9.0 | 63,412 | 39.8 | 159,272 | 100.0 | |
| 2020 | 98,182 | 80.9 | 15,504 | 12.8 | 23,167 | 19.1 | 121,348 | 100.0 | ||
|
卸売業、
小売業 |
卸売業・
小売業計 |
2015 | 301,618 | 57.0 | 56,446 | 10.7 | 227,370 | 43.0 | 528,987 | 100.0 |
| 2020 | 279,209 | 59.8 | 47,973 | 10.3 | 187,346 | 40.2 | 466,555 | 100.0 | ||
| 卸売業 | 2015 | 157,569 | 59.9 | 23,033 | 8.8 | 105,375 | 40.1 | 262,944 | 100.0 | |
| 2020 | 145,177 | 62.3 | 20,088 | 8.6 | 87,912 | 37.7 | 233,088 | 100.0 | ||
| 小売業 | 2015 | 144,049 | 54.1 | 33,413 | 12.6 | 121,995 | 45.9 | 266,043 | 100.0 | |
| 金融業、保険業 | 2015 | 17,501 | 11.4 | 5,776 | 3.8 | 135,458 | 88.6 | 152,959 | 100.0 | |
| 2020 | 18,691 | 14.1 | 6,462 | 4.9 | 113,671 | 85.9 | 132,362 | 100.0 | ||
| 不動産業、物品賃貸業 | 2015 | 62,452 | 68.2 | 33,685 | 36.8 | 29,096 | 31.8 | 91,548 | 100.0 | |
| 2020 | 78,597 | 67.9 | 42,935 | 37.1 | 37,239 | 32.1 | 115,836 | 100.0 | ||
|
学術研究、専門・技術
サービス業 |
2015 | 70,939 | 51.2 | 24,250 | 17.5 | 67,597 | 48.8 | 138,536 | 100.0 | |
| 2020 | 89,025 | 47.9 | 30,565 | 16.5 | 96,759 | 52.1 | 185,785 | 100.0 | ||
| 宿泊業、飲食サービス業 | 2015 | 66,260 | 69.5 | 18,022 | 18.9 | 29,121 | 30.5 | 95,381 | 100.0 | |
| 2020 | 47,500 | 78.3 | 12,739 | 21.0 | 13,200 | 21.7 | 60,701 | 100.0 | ||
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 2015 | 49,903 | 66.8 | 13,843 | 18.5 | 24,795 | 33.2 | 74,698 | 100.0 | |
| 2020 | 38,045 | 82.5 | 11,530 | 25.0 | 8,045 | 17.5 | 46,090 | 100.0 | ||
| 教育、学習支援業 | 2015 | 9,958 | 70.1 | 1,600 | 11.3 | 4,239 | 29.9 | 14,197 | 100.0 | |
| 2020 | 10,023 | 73.0 | 1,691 | 12.3 | 3,703 | 27.0 | 13,726 | 100.0 | ||
| 医療、福祉 | 2015 | 49,167 | 90.5 | 13,938 | 25.6 | 5,175 | 9.5 | 54,343 | 100.0 | |
| 2020 | 55,505 | 87.4 | 13,001 | 20.5 | 7,992 | 12.6 | 63,497 | 100.0 | ||
| その他(鉱業、採石業、砂利採取業・複合サービス事業・サービス業(他に分類されないもの)) | 2015 | 76,494 | 50.9 | 9,656 | 6.4 | 73,763 | 49.1 | 150,257 | 100.0 | |
| 2020 | 93,209 | 53.3 | 12,324 | 7.0 | 81,623 | 46.7 | 174,833 | 100.0 | ||
| 非一次産業計 | 2015 | 1,351,106 | 52.9 | 357,443 | 14.0 | 1,205,336 | 47.1 | 2,556,442 | 100.0 | |
| 2020 | 1,401,185 | 56.0 | 363,643 | 14.5 | 1,101,216 | 44.0 | 2,502,402 | 100.0 | ||
|
うち会社の
付加価値額 |
2015 | 1,227,935 | 50.5 | 274,918 | 11.3 | 1,204,313 | 49.5 | 2,432,248 | 100.0 | |
| 2020 | 1,302,910 | 54.2 | 299,544 | 12.5 | 1,100,677 | 45.8 | 2,403,587 | 100.0 | ||
|
うち個人事業者
の付加価値額 |
2015 | 123,171 | 99.2 | 82,526 | 66.4 | 1,023 | 0.8 | 124,195 | 100.0 | |
| 2020 | 98,275 | 99.5 | 64,099 | 64.9 | 539 | 0.5 | 98,814 | 100.0 | ||
資料:総務省・経済産業省「平成 28 年、令和 3 年経済センサス-活動調査」再編加工
(注)1. ここで付加価値額は、「純付加価値額」。それぞれ 2015 年、2020 年における 1 年間の実績。
2. 農林漁業を除く、非一次産業について集計。
3. 企業は、会社及び個人事業者を指す。会社は、法人格を有する団体のうち、株式会社、有限会社、相互会社、合名会社、合資会社、合同会社及び外国の会社を指す。個人事業者は、個人が事業を経営している場合(個人経営)を指す。
4. 企業の区分は、下記のとおり。(中小企業基本法(昭和 38 年法律第 154 号)及び中小企業関連立法における政令において中小企業者又は小規模企業者として扱われる企業の定義に基づき算出。)
(1) 中小企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 900 人以下
イ 卸売業:資本金 1 億円以下又は常用雇用者数 100 人以下
ウ サービス業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 100 人以下
※ソフトウェア業、情報処理サービス業は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※旅館業は、資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 200 人以下
エ 小売業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 50 人以下
(2) 小規模企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:常用雇用者数 20 人以下
イ 卸売業、小売業、サービス業:常用雇用者数 5 人以下
※宿泊業、娯楽業は、常用雇用者数 20 人以下
(3) 大企業
(1) 及び (2) に該当しない企業
6表
都道府県別規模別企業数(民営、非一次産業、2012年、2014年、2016年、2021年)
| 都道府県 | 年 | 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
| 企業数 | 構成比(%) | 企業数 | 構成比(%) | 企業数 | 構成比(%) | 企業数 | 構成比(%) | ||
| 北海道 | 2012 | 153,790 | 99.8 | 133,263 | 86.5 | 263 | 0.2 | 154,053 | 100.0 |
| 2014 | 151,123 | 99.8 | 128,686 | 85.0 | 279 | 0.2 | 151,402 | 100.0 | |
| 2016 | 141,386 | 99.8 | 120,299 | 84.9 | 283 | 0.2 | 141,669 | 100.0 | |
| 2021 | 131,874 | 99.8 | 111,552 | 84.4 | 242 | 0.2 | 132,116 | 100.0 | |
| 青森県 | 2012 | 42,669 | 99.9 | 37,427 | 87.6 | 50 | 0.1 | 42,719 | 100.0 |
| 2014 | 41,863 | 99.9 | 36,319 | 86.6 | 52 | 0.1 | 41,915 | 100.0 | |
| 2016 | 39,824 | 99.9 | 34,417 | 86.3 | 43 | 0.1 | 39,867 | 100.0 | |
| 2021 | 35,887 | 99.9 | 30,741 | 85.6 | 42 | 0.1 | 35,929 | 100.0 | |
| 岩手県 | 2012 | 38,711 | 99.8 | 33,837 | 87.3 | 68 | 0.2 | 38,779 | 100.0 |
| 2014 | 38,665 | 99.8 | 33,263 | 85.9 | 72 | 0.2 | 38,737 | 100.0 | |
| 2016 | 37,235 | 99.8 | 32,022 | 85.8 | 71 | 0.2 | 37,306 | 100.0 | |
| 2021 | 33,245 | 99.8 | 28,411 | 85.3 | 50 | 0.2 | 33,295 | 100.0 | |
| 宮城県 | 2012 | 59,565 | 99.8 | 51,274 | 85.9 | 135 | 0.2 | 59,700 | 100.0 |
| 2014 | 61,685 | 99.8 | 52,151 | 84.4 | 134 | 0.2 | 61,819 | 100.0 | |
| 2016 | 59,314 | 99.8 | 50,049 | 84.2 | 144 | 0.2 | 59,458 | 100.0 | |
| 2021 | 56,023 | 99.8 | 47,232 | 84.1 | 119 | 0.2 | 56,142 | 100.0 | |
| 秋田県 | 2012 | 36,304 | 99.9 | 32,087 | 88.3 | 30 | 0.1 | 36,334 | 100.0 |
| 2014 | 35,098 | 99.9 | 30,666 | 87.3 | 32 | 0.1 | 35,130 | 100.0 | |
| 2016 | 33,096 | 99.9 | 28,833 | 87.0 | 30 | 0.1 | 33,126 | 100.0 | |
| 2021 | 29,042 | 99.9 | 25,147 | 86.5 | 24 | 0.1 | 29,066 | 100.0 | |
| 山形県 | 2012 | 42,277 | 99.9 | 37,527 | 88.6 | 62 | 0.1 | 42,339 | 100.0 |
| 2014 | 40,874 | 99.8 | 35,940 | 87.8 | 64 | 0.2 | 40,938 | 100.0 | |
| 2016 | 38,726 | 99.8 | 33,879 | 87.3 | 64 | 0.2 | 38,790 | 100.0 | |
| 2021 | 34,593 | 99.8 | 30,178 | 87.1 | 53 | 0.2 | 34,646 | 100.0 | |
| 福島県 | 2012 | 61,887 | 99.9 | 54,804 | 88.4 | 75 | 0.1 | 61,962 | 100.0 |
| 2014 | 61,566 | 99.9 | 53,545 | 86.9 | 70 | 0.1 | 61,636 | 100.0 | |
| 2016 | 58,639 | 99.9 | 50,943 | 86.8 | 69 | 0.1 | 58,708 | 100.0 | |
| 2021 | 53,235 | 99.9 | 45,930 | 86.2 | 55 | 0.1 | 53,290 | 100.0 | |
| 茨城県 | 2012 | 85,709 | 99.9 | 75,833 | 88.4 | 81 | 0.1 | 85,790 | 100.0 |
| 2014 | 84,268 | 99.9 | 73,717 | 87.4 | 93 | 0.1 | 84,361 | 100.0 | |
| 2016 | 79,443 | 99.9 | 69,352 | 87.2 | 99 | 0.1 | 79,542 | 100.0 | |
| 2021 | 72,818 | 99.9 | 63,189 | 86.7 | 82 | 0.1 | 72,900 | 100.0 | |
| 栃木県 | 2012 | 65,262 | 99.8 | 57,961 | 88.7 | 100 | 0.2 | 65,362 | 100.0 |
| 2014 | 63,516 | 99.8 | 55,713 | 87.6 | 99 | 0.2 | 63,615 | 100.0 | |
| 2016 | 60,058 | 99.8 | 52,610 | 87.5 | 99 | 0.2 | 60,157 | 100.0 | |
| 2021 | 53,541 | 99.9 | 46,468 | 86.7 | 80 | 0.1 | 53,621 | 100.0 | |
| 群馬県 | 2012 | 70,660 | 99.9 | 62,703 | 88.6 | 94 | 0.1 | 70,754 | 100.0 |
| 2014 | 68,792 | 99.9 | 60,220 | 87.4 | 97 | 0.1 | 68,889 | 100.0 | |
| 2016 | 64,907 | 99.8 | 56,623 | 87.1 | 100 | 0.2 | 65,007 | 100.0 | |
| 2021 | 58,555 | 99.9 | 50,779 | 86.6 | 87 | 0.1 | 58,642 | 100.0 | |
| 埼玉県 | 2012 | 174,574 | 99.9 | 153,792 | 88.0 | 242 | 0.1 | 174,816 | 100.0 |
| 2014 | 172,182 | 99.9 | 149,751 | 86.8 | 253 | 0.1 | 172,435 | 100.0 | |
| 2016 | 161,341 | 99.8 | 139,968 | 86.6 | 272 | 0.2 | 161,613 | 100.0 | |
| 2021 | 150,113 | 99.8 | 129,638 | 86.2 | 228 | 0.2 | 150,341 | 100.0 | |
| 千葉県 | 2012 | 129,722 | 99.8 | 112,831 | 86.8 | 242 | 0.2 | 129,964 | 100.0 |
| 2014 | 128,900 | 99.8 | 110,411 | 85.5 | 226 | 0.2 | 129,126 | 100.0 | |
| 2016 | 120,789 | 99.8 | 103,338 | 85.4 | 229 | 0.2 | 121,018 | 100.0 | |
| 2021 | 114,104 | 99.8 | 97,252 | 85.1 | 209 | 0.2 | 114,313 | 100.0 | |
| 東京都 | 2012 | 442,952 | 99.1 | 369,710 | 82.7 | 4,161 | 0.9 | 447,113 | 100.0 |
| 2014 | 447,659 | 99.0 | 364,265 | 80.6 | 4,538 | 1.0 | 452,197 | 100.0 | |
| 2016 | 413,408 | 98.9 | 336,759 | 80.6 | 4,580 | 1.1 | 417,988 | 100.0 | |
| 2021 | 419,013 | 98.9 | 340,304 | 80.3 | 4,582 | 1.1 | 423,595 | 100.0 | |
| 神奈川県 | 2012 | 200,146 | 99.7 | 172,717 | 86.1 | 544 | 0.3 | 200,690 | 100.0 |
| 2014 | 199,958 | 99.7 | 169,491 | 84.5 | 572 | 0.3 | 200,530 | 100.0 | |
| 2016 | 187,428 | 99.7 | 158,796 | 84.5 | 587 | 0.3 | 188,015 | 100.0 | |
| 2021 | 183,675 | 99.7 | 156,138 | 84.8 | 522 | 0.3 | 184,197 | 100.0 | |
| 新潟県 | 2012 | 83,509 | 99.8 | 73,654 | 88.1 | 135 | 0.2 | 83,644 | 100.0 |
| 2014 | 80,499 | 99.8 | 70,248 | 87.1 | 146 | 0.2 | 80,645 | 100.0 | |
| 2016 | 76,136 | 99.8 | 66,191 | 86.8 | 143 | 0.2 | 76,279 | 100.0 | |
| 2021 | 67,093 | 99.8 | 57,987 | 86.3 | 123 | 0.2 | 67,216 | 100.0 | |
| 都道府県 | 年 | 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
| 企業数 | 構成比 (%) | 企業数 | 構成比 (%) | 企業数 | 構成比 (%) | 企業数 | 構成比 (%) | ||
| 富山県 | 2012 | 37,772 | 99.8 | 32,835 | 86.7 | 84 | 0.2 | 37,856 | 100.0 |
| 2014 | 36,686 | 99.8 | 31,505 | 85.7 | 90 | 0.2 | 36,776 | 100.0 | |
| 2016 | 34,613 | 99.7 | 29,571 | 85.2 | 93 | 0.3 | 34,706 | 100.0 | |
| 2021 | 31,390 | 99.7 | 26,750 | 85.0 | 82 | 0.3 | 31,472 | 100.0 | |
| 石川県 | 2012 | 43,834 | 99.8 | 38,627 | 87.9 | 88 | 0.2 | 43,922 | 100.0 |
| 2014 | 42,807 | 99.8 | 37,193 | 86.7 | 88 | 0.2 | 42,895 | 100.0 | |
| 2016 | 40,430 | 99.8 | 35,032 | 86.5 | 89 | 0.2 | 40,519 | 100.0 | |
| 2021 | 36,839 | 99.8 | 31,827 | 86.2 | 78 | 0.2 | 36,917 | 100.0 | |
| 福井県 | 2012 | 31,429 | 99.9 | 27,816 | 88.4 | 43 | 0.1 | 31,472 | 100.0 |
| 2014 | 30,626 | 99.9 | 26,711 | 87.1 | 43 | 0.1 | 30,669 | 100.0 | |
| 2016 | 29,210 | 99.8 | 25,413 | 86.9 | 45 | 0.2 | 29,255 | 100.0 | |
| 2021 | 26,868 | 99.8 | 23,382 | 86.9 | 46 | 0.2 | 26,914 | 100.0 | |
| 山梨県 | 2012 | 33,291 | 99.9 | 29,922 | 89.8 | 41 | 0.1 | 33,332 | 100.0 |
| 2014 | 32,485 | 99.9 | 28,906 | 88.9 | 38 | 0.1 | 32,523 | 100.0 | |
| 2016 | 30,677 | 99.9 | 27,179 | 88.5 | 38 | 0.1 | 30,715 | 100.0 | |
| 2021 | 28,526 | 99.9 | 25,185 | 88.2 | 26 | 0.1 | 28,552 | 100.0 | |
| 長野県 | 2012 | 78,580 | 99.8 | 70,414 | 89.5 | 124 | 0.2 | 78,704 | 100.0 |
| 2014 | 77,326 | 99.8 | 68,597 | 88.6 | 130 | 0.2 | 77,456 | 100.0 | |
| 2016 | 73,189 | 99.8 | 64,708 | 88.2 | 136 | 0.2 | 73,325 | 100.0 | |
| 2021 | 66,551 | 99.8 | 58,519 | 87.8 | 111 | 0.2 | 66,662 | 100.0 | |
| 岐阜県 | 2012 | 76,432 | 99.9 | 67,372 | 88.0 | 97 | 0.1 | 76,529 | 100.0 |
| 2014 | 74,446 | 99.9 | 64,763 | 86.9 | 96 | 0.1 | 74,542 | 100.0 | |
| 2016 | 70,731 | 99.9 | 61,315 | 86.6 | 89 | 0.1 | 70,820 | 100.0 | |
| 2021 | 64,426 | 99.9 | 55,559 | 86.1 | 88 | 0.1 | 64,514 | 100.0 | |
| 静岡県 | 2012 | 130,085 | 99.8 | 114,366 | 87.8 | 210 | 0.2 | 130,295 | 100.0 |
| 2014 | 127,440 | 99.8 | 111,010 | 87.0 | 203 | 0.2 | 127,643 | 100.0 | |
| 2016 | 119,807 | 99.8 | 103,900 | 86.6 | 217 | 0.2 | 120,024 | 100.0 | |
| 2021 | 108,727 | 99.8 | 93,732 | 86.1 | 190 | 0.2 | 108,917 | 100.0 | |
| 愛知県 | 2012 | 223,698 | 99.7 | 189,829 | 84.6 | 645 | 0.3 | 224,343 | 100.0 |
| 2014 | 220,767 | 99.7 | 183,800 | 83.0 | 644 | 0.3 | 221,411 | 100.0 | |
| 2016 | 208,310 | 99.7 | 172,235 | 82.4 | 638 | 0.3 | 208,948 | 100.0 | |
| 2021 | 195,313 | 99.7 | 161,194 | 82.3 | 599 | 0.3 | 195,912 | 100.0 | |
| 三重県 | 2012 | 55,694 | 99.8 | 48,614 | 87.1 | 97 | 0.2 | 55,791 | 100.0 |
| 2014 | 54,826 | 99.8 | 47,246 | 86.0 | 85 | 0.2 | 54,911 | 100.0 | |
| 2016 | 51,486 | 99.8 | 44,188 | 85.7 | 84 | 0.2 | 51,570 | 100.0 | |
| 2021 | 46,382 | 99.8 | 39,503 | 85.0 | 77 | 0.2 | 46,459 | 100.0 | |
| 滋賀県 | 2012 | 36,824 | 99.8 | 31,999 | 86.7 | 69 | 0.2 | 36,893 | 100.0 |
| 2014 | 36,520 | 99.8 | 31,225 | 85.4 | 60 | 0.2 | 36,580 | 100.0 | |
| 2016 | 34,608 | 99.8 | 29,578 | 85.3 | 59 | 0.2 | 34,667 | 100.0 | |
| 2021 | 32,195 | 99.8 | 27,434 | 85.1 | 55 | 0.2 | 32,250 | 100.0 | |
| 京都府 | 2012 | 86,119 | 99.8 | 75,334 | 87.3 | 171 | 0.2 | 86,290 | 100.0 |
| 2014 | 84,702 | 99.8 | 73,047 | 86.0 | 194 | 0.3 | 84,896 | 100.0 | |
| 2016 | 79,023 | 99.8 | 68,022 | 85.9 | 191 | 0.2 | 79,214 | 100.0 | |
| 2021 | 74,822 | 99.8 | 64,233 | 85.6 | 177 | 0.2 | 74,999 | 100.0 | |
| 大阪府 | 2012 | 298,381 | 99.6 | 256,293 | 85.6 | 1,065 | 0.4 | 299,446 | 100.0 |
| 2014 | 292,993 | 99.6 | 246,927 | 84.0 | 1,106 | 0.4 | 294,099 | 100.0 | |
| 2016 | 270,874 | 99.6 | 227,963 | 83.8 | 1,062 | 0.4 | 271,936 | 100.0 | |
| 2021 | 261,653 | 99.6 | 218,624 | 83.2 | 966 | 0.4 | 262,619 | 100.0 | |
| 兵庫県 | 2012 | 154,765 | 99.8 | 134,163 | 86.5 | 296 | 0.2 | 155,061 | 100.0 |
| 2014 | 154,646 | 99.8 | 132,006 | 85.2 | 303 | 0.2 | 154,949 | 100.0 | |
| 2016 | 144,748 | 99.8 | 122,808 | 84.7 | 306 | 0.2 | 145,054 | 100.0 | |
| 2021 | 134,030 | 99.8 | 113,737 | 84.7 | 272 | 0.2 | 134,302 | 100.0 | |
| 奈良県 | 2012 | 33,106 | 99.9 | 28,888 | 87.2 | 27 | 0.1 | 33,133 | 100.0 |
| 2014 | 33,296 | 99.9 | 28,749 | 86.3 | 27 | 0.1 | 33,323 | 100.0 | |
| 2016 | 31,526 | 99.9 | 27,128 | 86.0 | 31 | 0.1 | 31,557 | 100.0 | |
| 2021 | 30,062 | 99.9 | 25,807 | 85.8 | 21 | 0.1 | 30,083 | 100.0 | |
| 和歌山県 | 2012 | 37,613 | 99.9 | 33,715 | 89.6 | 30 | 0.1 | 37,643 | 100.0 |
| 2014 | 36,270 | 99.9 | 32,099 | 88.4 | 26 | 0.1 | 36,296 | 100.0 | |
| 2016 | 34,367 | 99.9 | 30,242 | 87.9 | 27 | 0.1 | 34,394 | 100.0 | |
| 2021 | 31,817 | 99.9 | 27,879 | 87.6 | 19 | 0.1 | 31,836 | 100.0 | |
| 鳥取県 | 2012 | 17,489 | 99.8 | 15,228 | 86.9 | 29 | 0.2 | 17,518 | 100.0 |
| 2014 | 17,118 | 99.9 | 14,709 | 85.8 | 25 | 0.2 | 17,143 | 100.0 | |
| 2016 | 16,059 | 99.8 | 13,690 | 85.1 | 29 | 0.2 | 16,088 | 100.0 | |
| 2021 | 14,623 | 99.9 | 12,318 | 84.1 | 18 | 0.1 | 14,641 | 100.0 | |
| 島根県 | 2012 | 24,256 | 99.9 | 21,405 | 88.2 | 22 | 0.1 | 24,278 | 100.0 |
| 2014 | 23,542 | 99.9 | 20,508 | 87.0 | 21 | 0.1 | 23,563 | 100.0 | |
| 2016 | 22,167 | 99.9 | 19,260 | 86.8 | 24 | 0.1 | 22,191 | 100.0 | |
| 2021 | 19,550 | 99.9 | 16,866 | 86.2 | 22 | 0.1 | 19,572 | 100.0 | |
| 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
| 都道府県 | 年 | 企業数 | 構成比 (%) | 企業数 | 構成比 (%) | 企業数 | 構成比 (%) | 企業数 | 構成比 (%) |
| 岡山県 | 2012 | 56,272 | 99.8 | 48,694 | 86.4 | 90 | 0.2 | 56,362 | 100.0 |
| 2014 | 55,224 | 99.8 | 47,004 | 85.0 | 98 | 0.2 | 55,322 | 100.0 | |
| 2016 | 52,368 | 99.8 | 44,595 | 85.0 | 104 | 0.2 | 52,472 | 100.0 | |
| 2021 | 50,112 | 99.8 | 42,494 | 84.6 | 88 | 0.2 | 50,200 | 100.0 | |
| 広島県 | 2012 | 89,204 | 99.8 | 77,158 | 86.3 | 162 | 0.2 | 89,366 | 100.0 |
| 2014 | 87,414 | 99.8 | 74,540 | 85.1 | 164 | 0.2 | 87,578 | 100.0 | |
| 2016 | 82,962 | 99.8 | 70,693 | 85.0 | 164 | 0.2 | 83,126 | 100.0 | |
| 2021 | 77,919 | 99.8 | 66,177 | 84.8 | 150 | 0.2 | 78,069 | 100.0 | |
| 山口県 | 2012 | 42,172 | 99.9 | 36,535 | 86.5 | 56 | 0.1 | 42,228 | 100.0 |
| 2014 | 40,991 | 99.9 | 35,091 | 85.5 | 49 | 0.1 | 41,040 | 100.0 | |
| 2016 | 38,933 | 99.9 | 33,187 | 85.1 | 54 | 0.1 | 38,987 | 100.0 | |
| 2021 | 34,128 | 99.9 | 28,834 | 84.4 | 46 | 0.1 | 34,174 | 100.0 | |
| 徳島県 | 2012 | 27,490 | 99.9 | 24,567 | 89.3 | 24 | 0.1 | 27,514 | 100.0 |
| 2014 | 26,911 | 99.9 | 23,816 | 88.4 | 25 | 0.1 | 26,936 | 100.0 | |
| 2016 | 25,345 | 99.9 | 22,333 | 88.0 | 24 | 0.1 | 25,369 | 100.0 | |
| 2021 | 23,237 | 99.9 | 20,414 | 87.8 | 22 | 0.1 | 23,259 | 100.0 | |
| 香川県 | 2012 | 33,467 | 99.8 | 29,388 | 87.7 | 58 | 0.2 | 33,525 | 100.0 |
| 2014 | 32,743 | 99.8 | 28,357 | 86.4 | 62 | 0.2 | 32,805 | 100.0 | |
| 2016 | 30,883 | 99.8 | 26,628 | 86.1 | 52 | 0.2 | 30,935 | 100.0 | |
| 2021 | 28,593 | 99.8 | 24,590 | 85.9 | 48 | 0.2 | 28,641 | 100.0 | |
| 愛媛県 | 2012 | 46,905 | 99.8 | 41,333 | 88.0 | 79 | 0.2 | 46,984 | 100.0 |
| 2014 | 45,899 | 99.8 | 40,008 | 87.0 | 76 | 0.2 | 45,975 | 100.0 | |
| 2016 | 43,500 | 99.8 | 37,666 | 86.4 | 77 | 0.2 | 43,577 | 100.0 | |
| 2021 | 39,605 | 99.8 | 34,069 | 85.9 | 63 | 0.2 | 39,668 | 100.0 | |
| 高知県 | 2012 | 26,970 | 99.9 | 24,116 | 89.3 | 27 | 0.1 | 26,997 | 100.0 |
| 2014 | 26,373 | 99.9 | 23,326 | 88.4 | 26 | 0.1 | 26,399 | 100.0 | |
| 2016 | 24,997 | 99.9 | 22,054 | 88.1 | 28 | 0.1 | 25,025 | 100.0 | |
| 2021 | 22,403 | 99.9 | 19,678 | 87.8 | 19 | 0.1 | 22,422 | 100.0 | |
| 福岡県 | 2012 | 142,502 | 99.8 | 121,401 | 85.0 | 333 | 0.2 | 142,835 | 100.0 |
| 2014 | 143,058 | 99.8 | 119,666 | 83.4 | 350 | 0.3 | 143,408 | 100.0 | |
| 2016 | 135,052 | 99.8 | 112,884 | 83.4 | 337 | 0.2 | 135,389 | 100.0 | |
| 2021 | 130,936 | 99.8 | 109,179 | 83.2 | 304 | 0.2 | 131,240 | 100.0 | |
| 佐賀県 | 2012 | 25,957 | 99.9 | 22,447 | 86.4 | 34 | 0.1 | 25,991 | 100.0 |
| 2014 | 25,521 | 99.9 | 21,819 | 85.4 | 34 | 0.2 | 25,555 | 100.0 | |
| 2016 | 24,423 | 99.9 | 20,817 | 85.1 | 36 | 0.1 | 24,459 | 100.0 | |
| 2021 | 22,383 | 99.9 | 19,048 | 85.0 | 22 | 0.1 | 22,405 | 100.0 | |
| 長崎県 | 2012 | 44,687 | 99.9 | 39,157 | 87.5 | 43 | 0.1 | 44,730 | 100.0 |
| 2014 | 43,745 | 99.9 | 37,851 | 86.4 | 49 | 0.1 | 43,794 | 100.0 | |
| 2016 | 41,793 | 99.9 | 36,201 | 86.5 | 53 | 0.1 | 41,846 | 100.0 | |
| 2021 | 38,236 | 99.9 | 32,972 | 86.2 | 31 | 0.1 | 38,267 | 100.0 | |
| 熊本県 | 2012 | 53,370 | 99.9 | 46,424 | 86.9 | 70 | 0.1 | 53,440 | 100.0 |
| 2014 | 52,730 | 99.9 | 45,321 | 85.8 | 65 | 0.1 | 52,795 | 100.0 | |
| 2016 | 47,815 | 99.9 | 40,955 | 85.5 | 62 | 0.1 | 47,877 | 100.0 | |
| 2021 | 46,778 | 99.9 | 40,033 | 85.5 | 52 | 0.1 | 46,830 | 100.0 | |
| 大分県 | 2012 | 37,257 | 99.9 | 32,489 | 87.1 | 46 | 0.1 | 37,303 | 100.0 |
| 2014 | 36,687 | 99.9 | 31,580 | 86.0 | 42 | 0.1 | 36,729 | 100.0 | |
| 2016 | 34,711 | 99.9 | 29,853 | 85.9 | 41 | 0.1 | 34,752 | 100.0 | |
| 2021 | 31,967 | 99.9 | 27,383 | 85.6 | 32 | 0.1 | 31,999 | 100.0 | |
| 宮崎県 | 2012 | 37,491 | 99.9 | 33,048 | 88.1 | 37 | 0.1 | 37,528 | 100.0 |
| 2014 | 36,909 | 99.9 | 32,074 | 86.8 | 35 | 0.1 | 36,944 | 100.0 | |
| 2016 | 34,819 | 99.9 | 30,141 | 86.5 | 36 | 0.1 | 34,855 | 100.0 | |
| 2021 | 31,861 | 99.9 | 27,508 | 86.2 | 39 | 0.1 | 31,900 | 100.0 | |
| 鹿児島県 | 2012 | 53,680 | 99.9 | 47,567 | 88.5 | 56 | 0.1 | 53,736 | 100.0 |
| 2014 | 52,721 | 99.9 | 46,155 | 87.5 | 56 | 0.1 | 52,777 | 100.0 | |
| 2016 | 49,915 | 99.9 | 43,624 | 87.3 | 55 | 0.1 | 49,970 | 100.0 | |
| 2021 | 45,780 | 99.9 | 39,777 | 86.8 | 47 | 0.1 | 45,827 | 100.0 | |
| 沖縄県 | 2012 | 48,405 | 99.9 | 42,250 | 87.2 | 61 | 0.1 | 48,466 | 100.0 |
| 2014 | 49,158 | 99.9 | 42,259 | 85.8 | 73 | 0.2 | 49,231 | 100.0 | |
| 2016 | 47,105 | 99.9 | 40,448 | 85.8 | 63 | 0.1 | 47,168 | 100.0 | |
| 2021 | 44,368 | 99.9 | 37,705 | 84.9 | 56 | 0.1 | 44,424 | 100.0 | |
| 合計 | 2012 | 3,852,934 | 99.7 | 3,342,814 | 86.5 | 10,596 | 0.3 | 3,863,530 | 100.0 |
| 2014 | 3,809,228 | 99.7 | 3,252,254 | 85.1 | 11,110 | 0.3 | 3,820,338 | 100.0 | |
| 2016 | 3,578,176 | 99.7 | 3,048,390 | 84.9 | 11,157 | 0.3 | 3,589,333 | 100.0 | |
| 2021 | 3,364,891 | 99.7 | 2,853,356 | 84.5 | 10,364 | 0.3 | 3,375,255 | 100.0 | |
資料:総務省「平成 26 年経済センサス-基礎調査」、
総務省・経済産業省「平成 24 年、28 年、令和 3 年経済センサス-活動調査」再編加工
(注)1. 2012 年 2 月時点、2014 年 7 月時点、2016 年 6 月時点、2021 年 6 月時点の値を掲載。
2. 農林漁業を除く、非一次産業について集計。
3. 企業は、会社及び個人事業者を指す。会社は、法人格を有する団体のうち、株式会社、有限会社、相互会社、合名会社、合資会社、合同会社及び外国の会社を指す。個人事業者は、個人が事業を経営している場合(個人経営)を指す。
4. 企業の区分は、下記のとおり。(中小企業基本法(昭和 38 年法律第 154 号)及び中小企業関連立法における政令において中小企業者又は小規模企業者として扱われる企業の定義に基づき算出。)
(1) 中小企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 900 人以下
イ 卸売業:資本金 1 億円以下又は常用雇用者数 100 人以下
ウ サービス業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 100 人以下
※ソフトウェア業、情報処理サービス業は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※旅館業は、資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 200 人以下
エ 小売業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 50 人以下
(2) 小規模企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:常用雇用者数 20 人以下
イ 卸売業、小売業、サービス業:常用雇用者数 5 人以下
※宿泊業、娯楽業は、常用雇用者数 20 人以下
(3) 大企業
(1) 及び (2) に該当しない企業
7表
都道府県別規模別従業者数(民営、非一次産業、2012年、2014年、2016年、2021年)
| 都道府県 | 年 | 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
|
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
||
| 北海道 | 2012 | 1,239,770 | 85.2 | 473,607 | 32.5 | 215,677 | 14.8 | 1,455,447 | 100.0 |
| 2014 | 1,265,958 | 84.8 | 442,912 | 29.7 | 226,966 | 15.2 | 1,492,924 | 100.0 | |
| 2016 | 1,200,804 | 83.5 | 408,816 | 28.4 | 237,380 | 16.5 | 1,438,184 | 100.0 | |
| 2021 | 1,200,476 | 84.4 | 379,980 | 26.7 | 221,674 | 15.6 | 1,422,150 | 100.0 | |
| 青森県 | 2012 | 315,974 | 91.1 | 126,730 | 36.5 | 30,826 | 8.9 | 346,800 | 100.0 |
| 2014 | 318,762 | 91.4 | 118,692 | 34.0 | 29,993 | 8.6 | 348,755 | 100.0 | |
| 2016 | 304,352 | 90.5 | 111,542 | 33.2 | 31,850 | 9.5 | 336,202 | 100.0 | |
| 2021 | 296,204 | 91.5 | 100,579 | 31.1 | 27,640 | 8.5 | 323,844 | 100.0 | |
| 岩手県 | 2012 | 291,444 | 88.1 | 116,904 | 35.3 | 39,469 | 11.9 | 330,913 | 100.0 |
| 2014 | 305,956 | 88.5 | 112,193 | 32.4 | 39,934 | 11.5 | 345,890 | 100.0 | |
| 2016 | 294,554 | 89.0 | 107,718 | 32.6 | 36,301 | 11.0 | 330,855 | 100.0 | |
| 2021 | 277,788 | 89.0 | 95,922 | 30.7 | 34,161 | 11.0 | 311,949 | 100.0 | |
| 宮城県 | 2012 | 496,876 | 85.1 | 186,263 | 31.9 | 86,865 | 14.9 | 583,741 | 100.0 |
| 2014 | 532,834 | 85.1 | 185,735 | 29.7 | 93,375 | 14.9 | 626,209 | 100.0 | |
| 2016 | 528,256 | 84.6 | 177,092 | 28.4 | 96,276 | 15.4 | 624,532 | 100.0 | |
| 2021 | 534,626 | 86.1 | 166,830 | 26.9 | 86,105 | 13.9 | 620,731 | 100.0 | |
| 秋田県 | 2012 | 257,810 | 93.0 | 107,062 | 38.6 | 19,550 | 7.0 | 277,360 | 100.0 |
| 2014 | 254,609 | 92.4 | 99,745 | 36.2 | 20,888 | 7.6 | 275,497 | 100.0 | |
| 2016 | 244,296 | 92.5 | 93,337 | 35.3 | 19,826 | 7.5 | 264,122 | 100.0 | |
| 2021 | 233,966 | 91.5 | 81,953 | 32.1 | 21,665 | 8.5 | 255,631 | 100.0 | |
| 山形県 | 2012 | 299,042 | 87.8 | 126,881 | 37.2 | 41,600 | 12.2 | 340,642 | 100.0 |
| 2014 | 299,260 | 90.2 | 117,848 | 35.5 | 32,676 | 9.8 | 331,936 | 100.0 | |
| 2016 | 292,584 | 91.1 | 111,240 | 34.6 | 28,497 | 8.9 | 321,081 | 100.0 | |
| 2021 | 276,578 | 91.0 | 97,802 | 32.2 | 27,221 | 9.0 | 303,799 | 100.0 | |
| 福島県 | 2012 | 464,549 | 84.4 | 196,195 | 35.7 | 85,757 | 15.6 | 550,306 | 100.0 |
| 2014 | 481,870 | 86.2 | 187,353 | 33.5 | 76,829 | 13.8 | 558,699 | 100.0 | |
| 2016 | 466,407 | 85.3 | 178,137 | 32.6 | 80,565 | 14.7 | 546,972 | 100.0 | |
| 2021 | 465,206 | 88.0 | 161,532 | 30.6 | 63,404 | 12.0 | 528,610 | 100.0 | |
| 茨城県 | 2012 | 645,167 | 87.9 | 279,979 | 38.1 | 89,096 | 12.1 | 734,263 | 100.0 |
| 2014 | 643,250 | 87.8 | 263,090 | 35.9 | 89,201 | 12.2 | 732,451 | 100.0 | |
| 2016 | 615,398 | 86.4 | 245,040 | 34.4 | 96,607 | 13.6 | 712,005 | 100.0 | |
| 2021 | 607,861 | 87.9 | 222,682 | 32.2 | 83,852 | 12.1 | 691,713 | 100.0 | |
| 栃木県 | 2012 | 456,329 | 85.6 | 205,063 | 38.5 | 76,753 | 14.4 | 533,082 | 100.0 |
| 2014 | 472,300 | 86.8 | 192,721 | 35.4 | 71,988 | 13.2 | 544,288 | 100.0 | |
| 2016 | 443,066 | 85.4 | 179,912 | 34.7 | 75,735 | 14.6 | 518,801 | 100.0 | |
| 2021 | 426,392 | 86.2 | 160,591 | 32.5 | 68,465 | 13.8 | 494,857 | 100.0 | |
| 群馬県 | 2012 | 524,067 | 80.7 | 218,953 | 33.7 | 125,349 | 19.3 | 649,416 | 100.0 |
| 2014 | 522,228 | 81.8 | 204,507 | 32.1 | 115,856 | 18.2 | 638,084 | 100.0 | |
| 2016 | 503,830 | 82.6 | 190,170 | 31.2 | 106,051 | 17.4 | 609,881 | 100.0 | |
| 2021 | 495,630 | 82.4 | 169,907 | 28.3 | 105,804 | 17.6 | 601,434 | 100.0 | |
| 埼玉県 | 2012 | 1,343,724 | 80.8 | 551,382 | 33.1 | 319,890 | 19.2 | 1,663,614 | 100.0 |
| 2014 | 1,405,272 | 80.9 | 527,337 | 30.4 | 331,961 | 19.1 | 1,737,233 | 100.0 | |
| 2016 | 1,338,179 | 80.3 | 483,382 | 29.0 | 327,331 | 19.7 | 1,665,510 | 100.0 | |
| 2021 | 1,329,245 | 81.7 | 446,895 | 27.5 | 298,329 | 18.3 | 1,627,574 | 100.0 | |
| 千葉県 | 2012 | 989,855 | 76.6 | 405,375 | 31.4 | 301,852 | 23.4 | 1,291,707 | 100.0 |
| 2014 | 1,025,489 | 78.3 | 384,721 | 29.4 | 284,051 | 21.7 | 1,309,540 | 100.0 | |
| 2016 | 968,960 | 76.9 | 353,292 | 28.1 | 290,474 | 23.1 | 1,259,434 | 100.0 | |
| 2021 | 1,002,570 | 75.9 | 332,264 | 25.2 | 318,154 | 24.1 | 1,320,724 | 100.0 | |
| 東京都 | 2012 | 5,020,049 | 41.1 | 1,339,578 | 11.0 | 7,203,532 | 58.9 | 12,223,581 | 100.0 |
| 2014 | 5,758,435 | 43.0 | 1,291,889 | 9.7 | 7,628,071 | 57.0 | 13,386,506 | 100.0 | |
| 2016 | 5,464,123 | 41.3 | 1,167,447 | 8.8 | 7,775,085 | 58.7 | 13,239,208 | 100.0 | |
| 2021 | 6,187,709 | 44.3 | 1,147,927 | 8.2 | 7,782,073 | 55.7 | 13,969,782 | 100.0 | |
| 神奈川県 | 2012 | 1,691,858 | 75.8 | 624,235 | 28.0 | 538,941 | 24.2 | 2,230,799 | 100.0 |
| 2014 | 1,787,764 | 75.3 | 593,870 | 25.0 | 586,833 | 24.7 | 2,374,597 | 100.0 | |
| 2016 | 1,690,008 | 72.3 | 543,756 | 23.2 | 649,098 | 27.7 | 2,339,106 | 100.0 | |
| 2021 | 1,761,827 | 72.9 | 523,524 | 21.7 | 654,363 | 27.1 | 2,416,190 | 100.0 | |
| 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
| 都道府県 | 年 |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
| 新潟県 | 2012 | 636,313 | 85.2 | 257,821 | 34.5 | 110,347 | 14.8 | 746,660 | 100.0 |
| 2014 | 632,252 | 84.2 | 240,714 | 32.0 | 118,867 | 15.8 | 751,119 | 100.0 | |
| 2016 | 618,341 | 84.4 | 225,303 | 30.7 | 114,413 | 15.6 | 732,754 | 100.0 | |
| 2021 | 589,333 | 84.4 | 198,559 | 28.4 | 108,997 | 15.6 | 698,330 | 100.0 | |
| 富山県 | 2012 | 314,353 | 83.6 | 119,834 | 31.9 | 61,624 | 16.4 | 375,977 | 100.0 |
| 2014 | 313,878 | 83.1 | 111,447 | 29.5 | 63,757 | 16.9 | 377,635 | 100.0 | |
| 2016 | 299,923 | 81.6 | 104,164 | 28.3 | 67,762 | 18.4 | 367,685 | 100.0 | |
| 2021 | 292,389 | 81.6 | 93,468 | 26.1 | 66,110 | 18.4 | 358,499 | 100.0 | |
| 石川県 | 2012 | 337,105 | 87.4 | 135,976 | 35.2 | 48,786 | 12.6 | 385,891 | 100.0 |
| 2014 | 343,676 | 88.6 | 127,138 | 32.8 | 44,417 | 11.4 | 388,093 | 100.0 | |
| 2016 | 330,159 | 86.6 | 119,387 | 31.3 | 51,101 | 13.4 | 381,260 | 100.0 | |
| 2021 | 328,962 | 85.0 | 107,894 | 27.9 | 57,965 | 15.0 | 386,927 | 100.0 | |
| 福井県 | 2012 | 236,882 | 88.9 | 102,583 | 38.5 | 29,534 | 11.1 | 266,416 | 100.0 |
| 2014 | 237,607 | 89.6 | 94,688 | 35.7 | 27,636 | 10.4 | 265,243 | 100.0 | |
| 2016 | 231,337 | 89.4 | 90,122 | 34.8 | 27,340 | 10.6 | 258,677 | 100.0 | |
| 2021 | 225,341 | 88.6 | 82,917 | 32.6 | 29,081 | 11.4 | 254,422 | 100.0 | |
| 山梨県 | 2012 | 225,984 | 91.7 | 104,991 | 42.6 | 20,385 | 8.3 | 246,369 | 100.0 |
| 2014 | 219,479 | 90.8 | 96,891 | 40.1 | 22,167 | 9.2 | 241,646 | 100.0 | |
| 2016 | 214,171 | 90.2 | 91,510 | 38.5 | 23,288 | 9.8 | 237,459 | 100.0 | |
| 2021 | 214,858 | 92.4 | 82,197 | 35.4 | 17,588 | 7.6 | 232,446 | 100.0 | |
| 長野県 | 2012 | 558,105 | 87.1 | 240,438 | 37.5 | 82,519 | 12.9 | 640,624 | 100.0 |
| 2014 | 556,251 | 86.3 | 226,338 | 35.1 | 88,029 | 13.7 | 644,280 | 100.0 | |
| 2016 | 534,453 | 85.5 | 211,931 | 33.9 | 90,633 | 14.5 | 625,086 | 100.0 | |
| 2021 | 535,873 | 87.3 | 189,785 | 30.9 | 77,612 | 12.7 | 613,485 | 100.0 | |
| 岐阜県 | 2012 | 581,708 | 86.9 | 241,353 | 36.0 | 87,968 | 13.1 | 669,676 | 100.0 |
| 2014 | 580,043 | 86.0 | 224,817 | 33.3 | 94,514 | 14.0 | 674,557 | 100.0 | |
| 2016 | 569,446 | 85.6 | 210,953 | 31.7 | 95,932 | 14.4 | 665,378 | 100.0 | |
| 2021 | 561,782 | 84.0 | 191,080 | 28.6 | 107,027 | 16.0 | 668,809 | 100.0 | |
| 静岡県 | 2012 | 1,013,362 | 82.9 | 404,404 | 33.1 | 209,359 | 17.1 | 1,222,721 | 100.0 |
| 2014 | 1,016,324 | 83.5 | 378,926 | 31.1 | 201,364 | 16.5 | 1,217,688 | 100.0 | |
| 2016 | 968,285 | 82.4 | 350,085 | 29.8 | 206,464 | 17.6 | 1,174,749 | 100.0 | |
| 2021 | 970,490 | 83.3 | 315,007 | 27.0 | 195,100 | 16.7 | 1,165,590 | 100.0 | |
| 愛知県 | 2012 | 2,145,708 | 70.4 | 710,849 | 23.3 | 901,449 | 29.6 | 3,047,157 | 100.0 |
| 2014 | 2,265,083 | 71.3 | 672,037 | 21.2 | 912,383 | 28.7 | 3,177,466 | 100.0 | |
| 2016 | 2,221,795 | 70.8 | 622,998 | 19.8 | 917,760 | 29.2 | 3,139,555 | 100.0 | |
| 2021 | 2,255,826 | 72.0 | 578,466 | 18.5 | 879,067 | 28.0 | 3,134,893 | 100.0 | |
| 三重県 | 2012 | 422,517 | 86.5 | 174,970 | 35.8 | 66,198 | 13.5 | 488,715 | 100.0 |
| 2014 | 428,825 | 88.7 | 166,076 | 34.3 | 54,863 | 11.3 | 483,688 | 100.0 | |
| 2016 | 410,350 | 88.3 | 153,131 | 33.0 | 54,174 | 11.7 | 464,524 | 100.0 | |
| 2021 | 403,698 | 88.3 | 137,509 | 30.1 | 53,651 | 11.7 | 457,349 | 100.0 | |
| 滋賀県 | 2012 | 294,729 | 83.8 | 116,725 | 33.2 | 57,110 | 16.2 | 351,839 | 100.0 |
| 2014 | 297,596 | 85.2 | 108,748 | 31.1 | 51,722 | 14.8 | 349,318 | 100.0 | |
| 2016 | 284,781 | 84.3 | 101,389 | 30.0 | 53,170 | 15.7 | 337,951 | 100.0 | |
| 2021 | 286,326 | 84.7 | 93,576 | 27.7 | 51,759 | 15.3 | 338,085 | 100.0 | |
| 京都府 | 2012 | 669,626 | 76.2 | 265,382 | 30.2 | 209,098 | 23.8 | 878,724 | 100.0 |
| 2014 | 684,206 | 76.3 | 247,761 | 27.6 | 213,001 | 23.7 | 897,207 | 100.0 | |
| 2016 | 649,458 | 74.4 | 227,114 | 26.0 | 223,694 | 25.6 | 873,152 | 100.0 | |
| 2021 | 658,054 | 73.6 | 214,481 | 24.0 | 235,978 | 26.4 | 894,032 | 100.0 | |
| 大阪府 | 2012 | 2,726,933 | 66.4 | 930,059 | 22.7 | 1,378,261 | 33.6 | 4,105,194 | 100.0 |
| 2014 | 2,876,197 | 67.4 | 876,170 | 20.5 | 1,391,018 | 32.6 | 4,267,215 | 100.0 | |
| 2016 | 2,744,150 | 66.9 | 795,914 | 19.4 | 1,358,060 | 33.1 | 4,102,210 | 100.0 | |
| 2021 | 2,894,237 | 68.5 | 763,692 | 18.1 | 1,328,011 | 31.5 | 4,222,248 | 100.0 | |
| 兵庫県 | 2012 | 1,237,175 | 81.0 | 476,572 | 31.2 | 290,982 | 19.0 | 1,528,157 | 100.0 |
| 2014 | 1,270,454 | 84.0 | 447,374 | 29.6 | 242,206 | 16.0 | 1,512,660 | 100.0 | |
| 2016 | 1,208,637 | 83.4 | 413,327 | 28.5 | 240,374 | 16.6 | 1,449,011 | 100.0 | |
| 2021 | 1,186,345 | 84.1 | 382,435 | 27.1 | 224,455 | 15.9 | 1,410,800 | 100.0 | |
| 奈良県 | 2012 | 238,798 | 94.6 | 104,373 | 41.3 | 13,657 | 5.4 | 252,455 | 100.0 |
| 2014 | 244,225 | 94.4 | 99,679 | 38.5 | 14,487 | 5.6 | 258,712 | 100.0 | |
| 2016 | 226,528 | 94.1 | 92,329 | 38.3 | 14,282 | 5.9 | 240,810 | 100.0 | |
| 2021 | 233,393 | 95.6 | 85,971 | 35.2 | 10,637 | 4.4 | 244,030 | 100.0 | |
| 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
| 都道府県 | 年 |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
| 和歌山県 | 2012 | 234,374 | 87.9 | 112,595 | 42.2 | 32,178 | 12.1 | 266,552 | 100.0 |
| 2014 | 235,859 | 91.9 | 103,461 | 40.3 | 20,890 | 8.1 | 256,749 | 100.0 | |
| 2016 | 229,110 | 89.9 | 97,129 | 38.1 | 25,872 | 10.1 | 254,982 | 100.0 | |
| 2021 | 227,970 | 89.2 | 88,983 | 34.8 | 27,630 | 10.8 | 255,600 | 100.0 | |
| 鳥取県 | 2012 | 133,930 | 93.8 | 53,535 | 37.5 | 8,780 | 6.2 | 142,710 | 100.0 |
| 2014 | 134,974 | 95.7 | 50,336 | 35.7 | 6,113 | 4.3 | 141,087 | 100.0 | |
| 2016 | 130,010 | 94.2 | 46,475 | 33.7 | 7,932 | 5.8 | 137,942 | 100.0 | |
| 2021 | 126,810 | 96.1 | 41,891 | 31.8 | 5,096 | 3.9 | 131,906 | 100.0 | |
| 島根県 | 2012 | 174,303 | 93.0 | 74,892 | 40.0 | 13,068 | 7.0 | 187,371 | 100.0 |
| 2014 | 174,127 | 92.7 | 69,663 | 37.1 | 13,760 | 7.3 | 187,887 | 100.0 | |
| 2016 | 166,937 | 92.5 | 64,780 | 35.9 | 13,620 | 7.5 | 180,557 | 100.0 | |
| 2021 | 157,571 | 91.3 | 57,675 | 33.4 | 15,036 | 8.7 | 172,607 | 100.0 | |
| 岡山県 | 2012 | 476,216 | 85.4 | 177,127 | 31.8 | 81,613 | 14.6 | 557,829 | 100.0 |
| 2014 | 484,797 | 83.9 | 166,571 | 28.8 | 93,173 | 16.1 | 577,970 | 100.0 | |
| 2016 | 465,111 | 82.6 | 156,683 | 27.8 | 98,263 | 17.4 | 563,374 | 100.0 | |
| 2021 | 472,382 | 82.5 | 149,302 | 26.1 | 100,166 | 17.5 | 572,548 | 100.0 | |
| 広島県 | 2012 | 778,091 | 78.6 | 276,394 | 27.9 | 212,012 | 21.4 | 990,103 | 100.0 |
| 2014 | 786,462 | 78.3 | 258,835 | 25.8 | 218,293 | 21.7 | 1,004,755 | 100.0 | |
| 2016 | 769,403 | 76.7 | 244,522 | 24.4 | 233,790 | 23.3 | 1,003,193 | 100.0 | |
| 2021 | 761,838 | 75.2 | 228,166 | 22.5 | 251,422 | 24.8 | 1,013,260 | 100.0 | |
| 山口県 | 2012 | 327,843 | 82.1 | 128,914 | 32.3 | 71,590 | 17.9 | 399,433 | 100.0 |
| 2014 | 323,489 | 83.8 | 120,419 | 31.2 | 62,459 | 16.2 | 385,948 | 100.0 | |
| 2016 | 307,749 | 81.8 | 112,200 | 29.8 | 68,637 | 18.2 | 376,386 | 100.0 | |
| 2021 | 300,296 | 80.9 | 99,602 | 26.8 | 70,694 | 19.1 | 370,990 | 100.0 | |
| 徳島県 | 2012 | 179,253 | 91.0 | 83,018 | 42.2 | 17,636 | 9.0 | 196,889 | 100.0 |
| 2014 | 175,154 | 88.6 | 77,770 | 39.3 | 22,507 | 11.4 | 197,661 | 100.0 | |
| 2016 | 167,957 | 90.5 | 72,766 | 39.2 | 17,611 | 9.5 | 185,568 | 100.0 | |
| 2021 | 165,258 | 89.9 | 66,408 | 36.1 | 18,652 | 10.1 | 183,910 | 100.0 | |
| 香川県 | 2012 | 262,737 | 81.9 | 102,806 | 32.0 | 58,258 | 18.1 | 320,995 | 100.0 |
| 2014 | 268,159 | 83.0 | 96,760 | 29.9 | 54,944 | 17.0 | 323,103 | 100.0 | |
| 2016 | 258,244 | 83.5 | 90,474 | 29.3 | 50,883 | 16.5 | 309,127 | 100.0 | |
| 2021 | 256,306 | 87.0 | 84,037 | 28.5 | 38,386 | 13.0 | 294,692 | 100.0 | |
| 愛媛県 | 2012 | 358,323 | 85.9 | 148,503 | 35.6 | 58,995 | 14.1 | 417,318 | 100.0 |
| 2014 | 350,127 | 87.1 | 138,161 | 34.4 | 51,860 | 12.9 | 401,987 | 100.0 | |
| 2016 | 341,263 | 86.1 | 129,007 | 32.5 | 55,249 | 13.9 | 396,512 | 100.0 | |
| 2021 | 337,101 | 88.4 | 118,870 | 31.2 | 44,182 | 11.6 | 381,283 | 100.0 | |
| 高知県 | 2012 | 173,073 | 92.7 | 79,056 | 42.4 | 13,590 | 7.3 | 186,663 | 100.0 |
| 2014 | 173,284 | 89.1 | 73,800 | 37.9 | 21,273 | 10.9 | 194,557 | 100.0 | |
| 2016 | 164,103 | 91.9 | 70,150 | 39.3 | 14,417 | 8.1 | 178,520 | 100.0 | |
| 2021 | 162,114 | 91.3 | 64,265 | 36.2 | 15,418 | 8.7 | 177,532 | 100.0 | |
| 福岡県 | 2012 | 1,258,259 | 75.1 | 439,151 | 26.2 | 416,289 | 24.9 | 1,674,548 | 100.0 |
| 2014 | 1,305,475 | 79.0 | 419,767 | 25.4 | 346,490 | 21.0 | 1,651,965 | 100.0 | |
| 2016 | 1,272,986 | 77.7 | 391,652 | 23.9 | 364,999 | 22.3 | 1,637,985 | 100.0 | |
| 2021 | 1,318,611 | 77.3 | 376,444 | 22.1 | 386,198 | 22.7 | 1,704,809 | 100.0 | |
| 佐賀県 | 2012 | 195,939 | 92.3 | 79,823 | 37.6 | 16,283 | 7.7 | 212,222 | 100.0 |
| 2014 | 193,854 | 90.8 | 74,634 | 34.9 | 19,755 | 9.2 | 213,609 | 100.0 | |
| 2016 | 187,554 | 89.6 | 71,082 | 34.0 | 21,685 | 10.4 | 209,239 | 100.0 | |
| 2021 | 182,891 | 88.9 | 64,714 | 31.4 | 22,894 | 11.1 | 205,785 | 100.0 | |
| 長崎県 | 2012 | 313,435 | 92.5 | 133,663 | 39.4 | 25,521 | 7.5 | 338,956 | 100.0 |
| 2014 | 313,811 | 92.8 | 124,624 | 36.9 | 24,354 | 7.2 | 338,165 | 100.0 | |
| 2016 | 299,626 | 91.8 | 118,916 | 36.4 | 26,879 | 8.2 | 326,505 | 100.0 | |
| 2021 | 286,875 | 94.7 | 108,287 | 35.8 | 15,924 | 5.3 | 302,799 | 100.0 | |
| 熊本県 | 2012 | 396,851 | 90.9 | 164,961 | 37.8 | 39,601 | 9.1 | 436,452 | 100.0 |
| 2014 | 401,899 | 91.5 | 155,783 | 35.5 | 37,282 | 8.5 | 439,181 | 100.0 | |
| 2016 | 370,108 | 90.2 | 141,948 | 34.6 | 40,190 | 9.8 | 410,298 | 100.0 | |
| 2021 | 388,955 | 92.7 | 136,952 | 32.6 | 30,711 | 7.3 | 419,666 | 100.0 | |
| 大分県 | 2012 | 275,070 | 85.4 | 114,227 | 35.5 | 46,951 | 14.6 | 322,021 | 100.0 |
| 2014 | 278,516 | 85.8 | 107,513 | 33.1 | 46,240 | 14.2 | 324,756 | 100.0 | |
| 2016 | 265,741 | 85.9 | 101,701 | 32.9 | 43,631 | 14.1 | 309,372 | 100.0 | |
| 2021 | 273,521 | 93.7 | 93,235 | 31.9 | 18,485 | 6.3 | 292,006 | 100.0 | |
| 都道府県 | 年 | 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
|
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
従業者数
(人) |
構成比
(%) |
||
| 宮崎県 | 2012 | 253,075 | 92.4 | 110,666 | 40.4 | 20,819 | 7.6 | 273,894 | 100.0 |
| 2014 | 257,285 | 93.5 | 103,638 | 37.7 | 17,955 | 6.5 | 275,240 | 100.0 | |
| 2016 | 245,605 | 93.1 | 97,876 | 37.1 | 18,226 | 6.9 | 263,831 | 100.0 | |
| 2021 | 242,586 | 94.0 | 89,683 | 34.7 | 15,502 | 6.0 | 258,088 | 100.0 | |
| 鹿児島県 | 2012 | 372,363 | 87.3 | 165,215 | 38.7 | 54,098 | 12.7 | 426,461 | 100.0 |
| 2014 | 373,417 | 88.2 | 155,737 | 36.8 | 50,139 | 11.8 | 423,556 | 100.0 | |
| 2016 | 357,230 | 87.5 | 145,669 | 35.7 | 51,134 | 12.5 | 408,364 | 100.0 | |
| 2021 | 355,098 | 91.7 | 133,504 | 34.5 | 32,276 | 8.3 | 387,374 | 100.0 | |
| 沖縄県 | 2012 | 328,537 | 88.7 | 134,197 | 36.2 | 41,743 | 11.3 | 370,280 | 100.0 |
| 2014 | 339,038 | 87.3 | 129,677 | 33.4 | 49,112 | 12.7 | 388,150 | 100.0 | |
| 2016 | 335,664 | 87.9 | 123,703 | 32.4 | 46,422 | 12.1 | 382,086 | 100.0 | |
| 2021 | 349,274 | 89.7 | 118,479 | 30.4 | 40,210 | 10.3 | 389,484 | 100.0 | |
| 合計 | 2012 | 32,167,484 | 69.7 | 11,923,280 | 25.8 | 13,971,459 | 30.3 | 46,138,943 | 100.0 |
| 2014 | 33,609,810 | 70.1 | 11,268,566 | 23.5 | 14,325,652 | 29.9 | 47,935,462 | 100.0 | |
| 2016 | 32,201,032 | 68.8 | 10,437,271 | 22.3 | 14,588,963 | 31.2 | 46,789,995 | 100.0 | |
| 2021 | 33,098,442 | 69.7 | 9,725,922 | 20.5 | 14,384,830 | 30.3 | 47,483,272 | 100.0 | |
資料:総務省「平成 26 年経済センサス-基礎調査」、
総務省・経済産業省「平成 24 年、28 年、令和 3 年経済センサス-活動調査」再編加工
(注) 1. 2012 年 2 月時点、2014 年 7 月時点、2016 年 6 月時点、2021 年 6 月時点の値を掲載。
2. 農林漁業を除く、非一次産業について集計。
3. 企業は、会社及び個人事業者を指す。会社は、法人格を有する団体のうち、株式会社、有限会社、相互会社、合名会社、合資会社、合同会社及び外国の会社を指す。個人事業者は、個人が事業を経営している場合(個人経営)を指す。
4. 企業の区分は、下記のとおり。(中小企業基本法(昭和 38 年法律第 154 号)及び中小企業関連立法における政令において中小企業者又は小規模企業者として扱われる企業の定義に基づき算出。)
(1) 中小企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 900 人以下
イ 卸売業:資本金 1 億円以下又は常用雇用者数 100 人以下
ウ サービス業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 100 人以下
※ソフトウェア業、情報処理サービス業は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※旅館業は、資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 200 人以下
エ 小売業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 50 人以下
(2) 小規模企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:常用雇用者数 20 人以下
イ 卸売業、小売業、サービス業:常用雇用者数 5 人以下
※宿泊業、娯楽業は、常用雇用者数 20 人以下
(3) 大企業
(1) 及び (2) に該当しない企業
8表
都道府県別規模別常用雇用者数(民営、非一次産業、2012年、2014年、2016年、2021年)
| 都道府県 | 年 | 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
|
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
||
| 北海道 | 2012 | 923,865 | 81.3 | 236,012 | 20.8 | 212,832 | 18.7 | 1,136,697 | 100.0 |
| 2014 | 986,910 | 81.7 | 236,699 | 19.6 | 221,276 | 18.3 | 1,208,186 | 100.0 | |
| 2016 | 954,517 | 80.3 | 219,429 | 18.5 | 233,524 | 19.7 | 1,188,041 | 100.0 | |
| 2021 | 969,836 | 81.7 | 204,531 | 17.2 | 217,955 | 18.3 | 1,187,791 | 100.0 | |
| 青森県 | 2012 | 230,889 | 88.6 | 59,884 | 23.0 | 29,758 | 11.4 | 260,647 | 100.0 |
| 2014 | 244,072 | 89.3 | 60,858 | 22.3 | 29,298 | 10.7 | 273,370 | 100.0 | |
| 2016 | 235,673 | 88.2 | 56,666 | 21.2 | 31,466 | 11.8 | 267,139 | 100.0 | |
| 2021 | 235,089 | 89.8 | 52,675 | 20.1 | 26,575 | 10.2 | 261,664 | 100.0 | |
| 岩手県 | 2012 | 216,030 | 84.9 | 58,870 | 23.1 | 38,349 | 15.1 | 254,379 | 100.0 |
| 2014 | 237,831 | 85.9 | 60,267 | 21.8 | 39,086 | 14.1 | 276,917 | 100.0 | |
| 2016 | 230,393 | 86.6 | 57,039 | 21.4 | 35,625 | 13.4 | 266,018 | 100.0 | |
| 2021 | 220,295 | 86.7 | 50,945 | 20.0 | 33,887 | 13.3 | 254,182 | 100.0 | |
| 宮城県 | 2012 | 373,632 | 81.6 | 92,294 | 20.2 | 84,373 | 18.4 | 458,005 | 100.0 |
| 2014 | 416,479 | 82.0 | 98,492 | 19.4 | 91,244 | 18.0 | 507,723 | 100.0 | |
| 2016 | 420,190 | 81.5 | 94,650 | 18.3 | 95,665 | 18.5 | 515,855 | 100.0 | |
| 2021 | 432,558 | 83.4 | 89,539 | 17.3 | 86,150 | 16.6 | 518,708 | 100.0 | |
| 秋田県 | 2012 | 189,262 | 90.3 | 51,850 | 24.7 | 20,256 | 9.7 | 209,518 | 100.0 |
| 2014 | 194,177 | 90.5 | 52,323 | 24.4 | 20,332 | 9.5 | 214,509 | 100.0 | |
| 2016 | 188,336 | 90.7 | 47,995 | 23.1 | 19,281 | 9.3 | 207,617 | 100.0 | |
| 2021 | 185,205 | 90.3 | 43,140 | 21.0 | 19,873 | 9.7 | 205,078 | 100.0 | |
| 山形県 | 2012 | 217,061 | 81.7 | 60,718 | 22.9 | 48,603 | 18.3 | 265,664 | 100.0 |
| 2014 | 227,040 | 85.3 | 60,350 | 22.7 | 39,205 | 14.7 | 266,245 | 100.0 | |
| 2016 | 224,583 | 86.4 | 56,018 | 21.5 | 35,374 | 13.6 | 259,957 | 100.0 | |
| 2021 | 215,626 | 86.5 | 48,905 | 19.6 | 33,710 | 13.5 | 249,336 | 100.0 | |
| 福島県 | 2012 | 352,162 | 81.4 | 96,323 | 22.3 | 80,209 | 18.6 | 432,371 | 100.0 |
| 2014 | 379,288 | 83.8 | 98,686 | 21.8 | 73,247 | 16.2 | 452,535 | 100.0 | |
| 2016 | 361,751 | 82.4 | 93,939 | 21.4 | 77,355 | 17.6 | 439,106 | 100.0 | |
| 2021 | 370,317 | 85.5 | 85,696 | 19.8 | 62,905 | 14.5 | 433,222 | 100.0 | |
| 茨城県 | 2012 | 471,948 | 83.5 | 140,718 | 24.9 | 93,341 | 16.5 | 565,289 | 100.0 |
| 2014 | 491,046 | 84.7 | 141,134 | 24.4 | 88,523 | 15.3 | 579,569 | 100.0 | |
| 2016 | 473,301 | 83.2 | 128,624 | 22.6 | 95,638 | 16.8 | 568,939 | 100.0 | |
| 2021 | 479,920 | 87.1 | 118,368 | 21.5 | 71,212 | 12.9 | 551,132 | 100.0 | |
| 栃木県 | 2012 | 329,322 | 81.1 | 101,482 | 25.0 | 76,837 | 18.9 | 406,159 | 100.0 |
| 2014 | 356,846 | 83.3 | 100,961 | 23.6 | 71,491 | 16.7 | 428,337 | 100.0 | |
| 2016 | 336,664 | 81.2 | 92,788 | 22.4 | 77,749 | 18.8 | 414,413 | 100.0 | |
| 2021 | 331,053 | 82.8 | 83,133 | 20.8 | 68,618 | 17.2 | 399,671 | 100.0 | |
| 群馬県 | 2012 | 381,225 | 75.0 | 105,469 | 20.7 | 127,086 | 25.0 | 508,311 | 100.0 |
| 2014 | 398,398 | 77.8 | 106,323 | 20.8 | 113,682 | 22.2 | 512,080 | 100.0 | |
| 2016 | 390,457 | 78.9 | 97,389 | 19.7 | 104,255 | 21.1 | 494,712 | 100.0 | |
| 2021 | 393,308 | 78.9 | 87,938 | 17.6 | 105,405 | 21.1 | 498,713 | 100.0 | |
| 埼玉県 | 2012 | 1,003,505 | 74.5 | 281,375 | 20.9 | 343,679 | 25.5 | 1,347,184 | 100.0 |
| 2014 | 1,086,987 | 78.8 | 279,438 | 20.3 | 292,372 | 21.2 | 1,379,359 | 100.0 | |
| 2016 | 1,059,638 | 76.3 | 256,982 | 18.5 | 329,983 | 23.7 | 1,389,621 | 100.0 | |
| 2021 | 1,071,613 | 78.4 | 238,755 | 17.5 | 295,544 | 21.6 | 1,367,157 | 100.0 | |
| 千葉県 | 2012 | 724,129 | 69.0 | 200,342 | 19.1 | 325,506 | 31.0 | 1,049,635 | 100.0 |
| 2014 | 781,459 | 74.0 | 200,799 | 19.0 | 274,337 | 26.0 | 1,055,796 | 100.0 | |
| 2016 | 754,368 | 72.6 | 185,119 | 17.8 | 285,404 | 27.4 | 1,039,772 | 100.0 | |
| 2021 | 803,532 | 71.7 | 175,985 | 15.7 | 317,703 | 28.3 | 1,121,235 | 100.0 | |
| 東京都 | 2012 | 4,033,546 | 35.3 | 679,268 | 5.9 | 7,397,361 | 64.7 | 11,430,907 | 100.0 |
| 2014 | 4,817,898 | 39.0 | 684,311 | 5.5 | 7,524,907 | 61.0 | 12,342,805 | 100.0 | |
| 2016 | 4,672,969 | 37.9 | 633,897 | 5.1 | 7,646,447 | 62.1 | 12,319,416 | 100.0 | |
| 2021 | 5,406,797 | 41.2 | 610,896 | 4.7 | 7,723,682 | 58.8 | 13,130,479 | 100.0 | |
| 神奈川県 | 2012 | 1,267,644 | 65.1 | 310,565 | 15.9 | 679,889 | 34.9 | 1,947,533 | 100.0 |
| 2014 | 1,404,473 | 70.2 | 311,030 | 15.5 | 597,108 | 29.8 | 2,001,581 | 100.0 | |
| 2016 | 1,363,020 | 68.4 | 288,420 | 14.5 | 630,603 | 31.6 | 1,993,623 | 100.0 | |
| 2021 | 1,442,466 | 68.9 | 274,721 | 13.1 | 651,300 | 31.1 | 2,093,766 | 100.0 | |
| 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
| 都道府県 | 年 |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
| 新潟県 | 2012 | 473,325 | 83.2 | 131,433 | 23.1 | 95,826 | 16.8 | 569,151 | 100.0 |
| 2014 | 487,353 | 82.4 | 129,584 | 21.9 | 104,062 | 17.6 | 591,415 | 100.0 | |
| 2016 | 485,627 | 81.2 | 119,822 | 20.0 | 112,583 | 18.8 | 598,210 | 100.0 | |
| 2021 | 473,151 | 82.1 | 106,827 | 18.5 | 103,290 | 17.9 | 576,441 | 100.0 | |
| 富山県 | 2012 | 239,673 | 78.9 | 62,023 | 20.4 | 64,205 | 21.1 | 303,878 | 100.0 |
| 2014 | 247,854 | 79.5 | 61,487 | 19.7 | 63,965 | 20.5 | 311,819 | 100.0 | |
| 2016 | 239,728 | 77.5 | 57,362 | 18.5 | 69,700 | 22.5 | 309,428 | 100.0 | |
| 2021 | 237,678 | 78.6 | 50,851 | 16.8 | 64,589 | 21.4 | 302,267 | 100.0 | |
| 石川県 | 2012 | 249,998 | 83.5 | 67,527 | 22.5 | 49,534 | 16.5 | 299,532 | 100.0 |
| 2014 | 265,946 | 85.5 | 66,588 | 21.4 | 45,216 | 14.5 | 311,162 | 100.0 | |
| 2016 | 259,232 | 83.3 | 62,684 | 20.2 | 51,838 | 16.7 | 311,070 | 100.0 | |
| 2021 | 264,244 | 82.2 | 56,232 | 17.5 | 57,233 | 17.8 | 321,477 | 100.0 | |
| 福井県 | 2012 | 173,266 | 85.4 | 51,146 | 25.2 | 29,517 | 14.6 | 202,783 | 100.0 |
| 2014 | 182,289 | 86.9 | 50,511 | 24.1 | 27,520 | 13.1 | 209,809 | 100.0 | |
| 2016 | 178,430 | 86.6 | 47,293 | 22.9 | 27,703 | 13.4 | 206,133 | 100.0 | |
| 2021 | 176,654 | 86.0 | 43,506 | 21.2 | 28,853 | 14.0 | 205,507 | 100.0 | |
| 山梨県 | 2012 | 156,529 | 88.2 | 49,229 | 27.7 | 20,887 | 11.8 | 177,416 | 100.0 |
| 2014 | 161,153 | 88.1 | 48,998 | 26.8 | 21,758 | 11.9 | 182,911 | 100.0 | |
| 2016 | 158,964 | 87.5 | 46,005 | 25.3 | 22,722 | 12.5 | 181,686 | 100.0 | |
| 2021 | 165,053 | 90.4 | 41,561 | 22.8 | 17,500 | 9.6 | 182,553 | 100.0 | |
| 長野県 | 2012 | 401,337 | 81.4 | 113,072 | 22.9 | 91,725 | 18.6 | 493,062 | 100.0 |
| 2014 | 415,655 | 82.9 | 113,992 | 22.7 | 85,788 | 17.1 | 501,443 | 100.0 | |
| 2016 | 405,878 | 82.1 | 106,880 | 21.6 | 88,501 | 17.9 | 494,379 | 100.0 | |
| 2021 | 419,415 | 84.5 | 95,683 | 19.3 | 77,176 | 15.5 | 496,591 | 100.0 | |
| 岐阜県 | 2012 | 426,124 | 82.0 | 118,512 | 22.8 | 93,396 | 18.0 | 519,520 | 100.0 |
| 2014 | 449,673 | 82.6 | 117,652 | 21.6 | 94,947 | 17.4 | 544,620 | 100.0 | |
| 2016 | 446,629 | 82.3 | 110,975 | 20.5 | 95,808 | 17.7 | 542,437 | 100.0 | |
| 2021 | 449,285 | 80.7 | 100,737 | 18.1 | 107,782 | 19.3 | 557,067 | 100.0 | |
| 静岡県 | 2012 | 760,496 | 77.2 | 204,792 | 20.8 | 224,055 | 22.8 | 984,551 | 100.0 |
| 2014 | 798,008 | 79.6 | 201,179 | 20.1 | 205,090 | 20.4 | 1,003,098 | 100.0 | |
| 2016 | 773,059 | 79.5 | 185,212 | 19.0 | 199,517 | 20.5 | 972,576 | 100.0 | |
| 2021 | 785,448 | 79.8 | 167,377 | 17.0 | 199,155 | 20.2 | 984,603 | 100.0 | |
| 愛知県 | 2012 | 1,687,234 | 64.3 | 371,457 | 14.2 | 935,133 | 35.7 | 2,622,367 | 100.0 |
| 2014 | 1,842,707 | 66.1 | 366,180 | 13.1 | 944,133 | 33.9 | 2,786,840 | 100.0 | |
| 2016 | 1,850,839 | 66.5 | 342,238 | 12.3 | 931,534 | 33.5 | 2,782,373 | 100.0 | |
| 2021 | 1,904,918 | 68.5 | 315,353 | 11.3 | 876,201 | 31.5 | 2,781,119 | 100.0 | |
| 三重県 | 2012 | 312,691 | 81.0 | 87,479 | 22.7 | 73,510 | 19.0 | 386,201 | 100.0 |
| 2014 | 327,362 | 86.9 | 86,261 | 22.9 | 49,252 | 13.1 | 376,614 | 100.0 | |
| 2016 | 321,020 | 86.4 | 79,937 | 21.5 | 50,475 | 13.6 | 371,495 | 100.0 | |
| 2021 | 323,234 | 86.3 | 72,802 | 19.4 | 51,439 | 13.7 | 374,673 | 100.0 | |
| 滋賀県 | 2012 | 218,733 | 78.2 | 56,090 | 20.1 | 60,920 | 21.8 | 279,653 | 100.0 |
| 2014 | 226,504 | 81.6 | 55,319 | 19.9 | 50,941 | 18.4 | 277,445 | 100.0 | |
| 2016 | 221,847 | 80.7 | 52,566 | 19.1 | 52,967 | 19.3 | 274,814 | 100.0 | |
| 2021 | 228,599 | 83.2 | 48,581 | 17.7 | 46,180 | 16.8 | 274,779 | 100.0 | |
| 京都府 | 2012 | 491,624 | 67.2 | 126,376 | 17.3 | 239,992 | 32.8 | 731,616 | 100.0 |
| 2014 | 522,455 | 71.2 | 122,973 | 16.8 | 210,843 | 28.8 | 733,298 | 100.0 | |
| 2016 | 507,338 | 69.9 | 113,848 | 15.7 | 218,904 | 30.1 | 726,242 | 100.0 | |
| 2021 | 520,611 | 69.3 | 107,986 | 14.4 | 230,556 | 30.7 | 751,167 | 100.0 | |
| 大阪府 | 2012 | 2,123,465 | 61.1 | 467,900 | 13.5 | 1,353,985 | 38.9 | 3,477,450 | 100.0 |
| 2014 | 2,301,988 | 62.7 | 464,876 | 12.7 | 1,367,457 | 37.3 | 3,669,445 | 100.0 | |
| 2016 | 2,253,454 | 62.8 | 426,730 | 11.9 | 1,334,547 | 37.2 | 3,588,001 | 100.0 | |
| 2021 | 2,426,455 | 65.0 | 407,502 | 10.9 | 1,308,509 | 35.0 | 3,734,964 | 100.0 | |
| 兵庫県 | 2012 | 931,899 | 73.6 | 231,196 | 18.3 | 334,475 | 26.4 | 1,266,374 | 100.0 |
| 2014 | 985,666 | 79.3 | 232,379 | 18.7 | 257,606 | 20.7 | 1,243,272 | 100.0 | |
| 2016 | 955,590 | 80.2 | 215,317 | 18.1 | 236,496 | 19.8 | 1,192,086 | 100.0 | |
| 2021 | 949,972 | 81.1 | 196,935 | 16.8 | 221,346 | 18.9 | 1,171,318 | 100.0 | |
| 奈良県 | 2012 | 170,593 | 91.6 | 48,090 | 25.8 | 15,602 | 8.4 | 186,195 | 100.0 |
| 2014 | 180,094 | 91.6 | 48,790 | 24.8 | 16,465 | 8.4 | 196,559 | 100.0 | |
| 2016 | 169,457 | 91.1 | 45,482 | 24.4 | 16,594 | 8.9 | 186,051 | 100.0 | |
| 2021 | 179,163 | 94.5 | 41,975 | 22.1 | 10,390 | 5.5 | 189,553 | 100.0 | |
| 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
| 都道府県 | 年 |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
| 和歌山県 | 2012 | 161,879 | 84.5 | 52,039 | 27.2 | 29,790 | 15.5 | 191,669 | 100.0 |
| 2014 | 171,875 | 89.2 | 51,313 | 26.6 | 20,724 | 10.8 | 192,599 | 100.0 | |
| 2016 | 171,191 | 86.8 | 49,151 | 24.9 | 25,999 | 13.2 | 197,190 | 100.0 | |
| 2021 | 174,159 | 86.4 | 44,225 | 21.9 | 27,401 | 13.6 | 201,560 | 100.0 | |
| 鳥取県 | 2012 | 100,189 | 92.1 | 26,827 | 24.7 | 8,624 | 7.9 | 108,813 | 100.0 |
| 2014 | 104,335 | 94.6 | 26,663 | 24.2 | 5,989 | 5.4 | 110,324 | 100.0 | |
| 2016 | 102,142 | 93.0 | 24,705 | 22.5 | 7,727 | 7.0 | 109,869 | 100.0 | |
| 2021 | 101,896 | 95.3 | 22,651 | 21.2 | 5,006 | 4.7 | 106,902 | 100.0 | |
| 島根県 | 2012 | 126,597 | 90.9 | 38,036 | 27.3 | 12,739 | 9.1 | 139,336 | 100.0 |
| 2014 | 131,013 | 90.7 | 36,988 | 25.6 | 13,475 | 9.3 | 144,488 | 100.0 | |
| 2016 | 128,049 | 90.5 | 33,818 | 23.9 | 13,407 | 9.5 | 141,456 | 100.0 | |
| 2021 | 122,739 | 89.5 | 30,645 | 22.3 | 14,425 | 10.5 | 137,164 | 100.0 | |
| 岡山県 | 2012 | 362,191 | 82.6 | 89,068 | 20.3 | 76,348 | 17.4 | 438,539 | 100.0 |
| 2014 | 380,130 | 80.7 | 88,570 | 18.8 | 90,976 | 19.3 | 471,106 | 100.0 | |
| 2016 | 370,505 | 79.5 | 83,152 | 17.9 | 95,288 | 20.5 | 465,793 | 100.0 | |
| 2021 | 383,780 | 79.4 | 79,516 | 16.5 | 99,536 | 20.6 | 483,316 | 100.0 | |
| 広島県 | 2012 | 602,577 | 74.0 | 141,588 | 17.4 | 211,693 | 26.0 | 814,270 | 100.0 |
| 2014 | 626,190 | 74.5 | 138,214 | 16.5 | 214,007 | 25.5 | 840,197 | 100.0 | |
| 2016 | 621,926 | 73.0 | 131,513 | 15.4 | 230,190 | 27.0 | 852,116 | 100.0 | |
| 2021 | 623,809 | 71.5 | 121,810 | 14.0 | 248,389 | 28.5 | 872,198 | 100.0 | |
| 山口県 | 2012 | 245,113 | 77.6 | 64,756 | 20.5 | 70,818 | 22.4 | 315,931 | 100.0 |
| 2014 | 249,653 | 80.1 | 64,614 | 20.7 | 62,050 | 19.9 | 311,703 | 100.0 | |
| 2016 | 241,019 | 78.0 | 59,983 | 19.4 | 67,987 | 22.0 | 309,006 | 100.0 | |
| 2021 | 243,292 | 77.6 | 53,956 | 17.2 | 70,227 | 22.4 | 313,519 | 100.0 | |
| 徳島県 | 2012 | 124,366 | 87.8 | 38,182 | 26.9 | 17,331 | 12.2 | 141,697 | 100.0 |
| 2014 | 125,736 | 84.8 | 37,518 | 25.3 | 22,562 | 15.2 | 148,298 | 100.0 | |
| 2016 | 122,431 | 87.5 | 35,211 | 25.2 | 17,503 | 12.5 | 139,934 | 100.0 | |
| 2021 | 123,765 | 87.0 | 32,350 | 22.7 | 18,491 | 13.0 | 142,256 | 100.0 | |
| 香川県 | 2012 | 195,992 | 77.5 | 50,907 | 20.1 | 56,822 | 22.5 | 252,814 | 100.0 |
| 2014 | 207,448 | 79.5 | 49,946 | 19.1 | 53,374 | 20.5 | 260,822 | 100.0 | |
| 2016 | 203,681 | 80.2 | 47,045 | 18.5 | 50,443 | 19.8 | 254,124 | 100.0 | |
| 2021 | 205,026 | 84.3 | 43,772 | 18.0 | 38,093 | 15.7 | 243,119 | 100.0 | |
| 愛媛県 | 2012 | 262,219 | 81.6 | 72,262 | 22.5 | 59,101 | 18.4 | 321,320 | 100.0 |
| 2014 | 265,849 | 84.1 | 71,404 | 22.6 | 50,092 | 15.9 | 315,941 | 100.0 | |
| 2016 | 263,393 | 82.8 | 67,036 | 21.1 | 54,659 | 17.2 | 318,052 | 100.0 | |
| 2021 | 266,288 | 85.9 | 63,059 | 20.3 | 43,691 | 14.1 | 309,979 | 100.0 | |
| 高知県 | 2012 | 120,993 | 90.1 | 36,876 | 27.4 | 13,368 | 9.9 | 134,361 | 100.0 |
| 2014 | 126,135 | 85.6 | 36,088 | 24.5 | 21,158 | 14.4 | 147,293 | 100.0 | |
| 2016 | 120,851 | 89.4 | 34,700 | 25.7 | 14,331 | 10.6 | 135,182 | 100.0 | |
| 2021 | 123,055 | 89.0 | 32,282 | 23.3 | 15,263 | 11.0 | 138,318 | 100.0 | |
| 福岡県 | 2012 | 957,528 | 69.4 | 216,356 | 15.7 | 421,784 | 30.6 | 1,379,312 | 100.0 |
| 2014 | 1,031,005 | 75.3 | 219,993 | 16.1 | 338,340 | 24.7 | 1,369,345 | 100.0 | |
| 2016 | 1,029,173 | 74.0 | 208,371 | 15.0 | 362,075 | 26.0 | 1,391,248 | 100.0 | |
| 2021 | 1,085,780 | 74.0 | 201,572 | 13.7 | 381,221 | 26.0 | 1,467,001 | 100.0 | |
| 佐賀県 | 2012 | 144,032 | 90.1 | 39,699 | 24.8 | 15,829 | 9.9 | 159,861 | 100.0 |
| 2014 | 147,849 | 87.7 | 39,276 | 23.3 | 20,729 | 12.3 | 168,578 | 100.0 | |
| 2016 | 144,595 | 87.1 | 36,862 | 22.2 | 21,367 | 12.9 | 165,962 | 100.0 | |
| 2021 | 143,513 | 86.6 | 34,172 | 20.6 | 22,212 | 13.4 | 165,725 | 100.0 | |
| 長崎県 | 2012 | 226,267 | 88.8 | 65,764 | 25.8 | 28,473 | 11.2 | 254,740 | 100.0 |
| 2014 | 237,619 | 89.9 | 65,119 | 24.6 | 26,557 | 10.1 | 264,176 | 100.0 | |
| 2016 | 228,023 | 89.6 | 61,582 | 24.2 | 26,516 | 10.4 | 254,539 | 100.0 | |
| 2021 | 222,223 | 93.4 | 56,213 | 23.6 | 15,590 | 6.6 | 237,813 | 100.0 | |
| 熊本県 | 2012 | 288,192 | 88.2 | 80,751 | 24.7 | 38,566 | 11.8 | 326,758 | 100.0 |
| 2014 | 304,595 | 89.4 | 81,005 | 23.8 | 36,247 | 10.6 | 340,842 | 100.0 | |
| 2016 | 288,784 | 88.0 | 73,405 | 22.4 | 39,424 | 12.0 | 328,208 | 100.0 | |
| 2021 | 305,305 | 91.0 | 70,922 | 21.1 | 30,365 | 9.0 | 335,670 | 100.0 | |
| 大分県 | 2012 | 200,994 | 81.2 | 55,766 | 22.5 | 46,563 | 18.8 | 247,557 | 100.0 |
| 2014 | 213,163 | 82.5 | 56,459 | 21.9 | 45,116 | 17.5 | 258,279 | 100.0 | |
| 2016 | 205,305 | 82.6 | 52,972 | 21.3 | 43,395 | 17.4 | 248,700 | 100.0 | |
| 2021 | 218,532 | 92.3 | 49,358 | 20.8 | 18,327 | 7.7 | 236,859 | 100.0 | |
| 都道府県 | 年 | 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | |||||||||
|
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
常用雇用者数
(人) |
構成比
(%) |
||
| 宮崎県 | 2012 | 180,865 | 90.6 | 53,031 | 26.6 | 18,837 | 9.4 | 199,702 | 100.0 |
| 2014 | 192,633 | 92.5 | 52,792 | 25.3 | 15,685 | 7.5 | 208,318 | 100.0 | |
| 2016 | 186,017 | 91.3 | 49,672 | 24.4 | 17,809 | 8.7 | 203,826 | 100.0 | |
| 2021 | 187,965 | 92.5 | 45,527 | 22.4 | 15,296 | 7.5 | 203,261 | 100.0 | |
| 鹿児島県 | 2012 | 263,337 | 85.7 | 77,467 | 25.2 | 43,995 | 14.3 | 307,332 | 100.0 |
| 2014 | 274,510 | 87.1 | 78,383 | 24.9 | 40,785 | 12.9 | 315,295 | 100.0 | |
| 2016 | 267,750 | 86.5 | 72,588 | 23.4 | 41,904 | 13.5 | 309,654 | 100.0 | |
| 2021 | 272,280 | 89.6 | 66,620 | 21.9 | 31,738 | 10.4 | 304,018 | 100.0 | |
| 沖縄県 | 2012 | 236,083 | 85.4 | 64,684 | 23.4 | 40,461 | 14.6 | 276,544 | 100.0 |
| 2014 | 259,327 | 84.5 | 67,832 | 22.1 | 47,570 | 15.5 | 306,897 | 100.0 | |
| 2016 | 261,516 | 85.2 | 65,245 | 21.3 | 45,355 | 14.8 | 306,871 | 100.0 | |
| 2021 | 279,010 | 88.3 | 63,400 | 20.1 | 37,050 | 11.7 | 316,060 | 100.0 | |
| 合計 | 2012 | 24,330,621 | 62.7 | 5,925,551 | 15.3 | 14,451,983 | 37.3 | 38,782,604 | 100.0 |
| 2014 | 26,466,676 | 65.2 | 5,920,617 | 14.6 | 14,146,587 | 34.8 | 40,613,263 | 100.0 | |
| 2016 | 25,849,303 | 64.2 | 5,508,317 | 13.7 | 14,383,637 | 35.8 | 40,232,940 | 100.0 | |
| 2021 | 27,143,912 | 65.6 | 5,131,185 | 12.4 | 14,247,039 | 34.4 | 41,390,951 | 100.0 | |
資料:総務省「平成 26 年経済センサス-基礎調査」、
総務省・経済産業省「平成 24 年、28 年、令和 3 年経済センサス-活動調査」再編加工
(注) 1. 2012 年 2 月時点、2014 年 7 月時点、2016 年 6 月時点、2021 年 6 月時点の値を掲載。
2. 農林漁業を除く、非一次産業について集計。
3. 企業は、会社及び個人事業者を指す。会社は、法人格を有する団体のうち、株式会社、有限会社、相互会社、合名会社、合資会社、合同会社及び外国の会社を指す。個人事業者は、個人が事業を経営している場合(個人経営)を指す。
4. 企業の区分は、下記のとおり。(中小企業基本法(昭和 38 年法律第 154 号)及び中小企業関連立法における政令において中小企業者又は小規模企業者として扱われる企業の定義に基づき算出。)
(1) 中小企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 900 人以下
イ 卸売業:資本金 1 億円以下又は常用雇用者数 100 人以下
ウ サービス業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 100 人以下
※ソフトウェア業、情報処理サービス業は、資本金 3 億円以下又は常用雇用者数 300 人以下
※旅館業は、資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 200 人以下
エ 小売業:資本金 5 千万円以下又は常用雇用者数 50 人以下
(2) 小規模企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:常用雇用者数 20 人以下
イ 卸売業、小売業、サービス業:常用雇用者数 5 人以下
※宿泊業、娯楽業は、常用雇用者数 20 人以下
(3) 大企業
(1) 及び (2) に該当しない企業
5. 常用雇用者数には、海外における常用雇用者数も含む。
9表
都道府県別規模別付加価値額(民営、非一次産業、2020年)
| 都道府県 | 中小企業 | 大企業 | 合計 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| うち小規模企業 | ||||||||
|
付加価値額
(百万円) |
構成比
(%) |
付加価値額
(百万円) |
構成比
(%) |
付加価値額
(百万円) |
構成比
(%) |
付加価値額
(百万円) |
構成比
(%) |
|
| 北海道 | 4,384,659 | 81.6 | 1,299,847 | 24.2 | 991,582 | 18.4 | 5,376,241 | 100.0 |
| 青森県 | 997,057 | 85.1 | 284,074 | 24.3 | 173,936 | 14.9 | 1,170,993 | 100.0 |
| 岩手県 | 971,745 | 84.1 | 271,274 | 23.5 | 183,900 | 15.9 | 1,155,645 | 100.0 |
| 宮城県 | 2,126,909 | 72.1 | 559,661 | 19.0 | 821,917 | 27.9 | 2,948,826 | 100.0 |
| 秋田県 | 785,257 | 91.4 | 234,695 | 27.3 | 73,783 | 8.6 | 859,040 | 100.0 |
| 山形県 | 1,061,869 | 89.4 | 270,824 | 22.8 | 125,896 | 10.6 | 1,187,765 | 100.0 |
| 福島県 | 1,636,377 | 88.2 | 511,405 | 27.6 | 219,661 | 11.8 | 1,856,038 | 100.0 |
| 茨城県 | 2,382,981 | 82.7 | 741,289 | 25.7 | 498,597 | 17.3 | 2,881,578 | 100.0 |
| 栃木県 | 1,593,319 | 79.3 | 527,013 | 26.2 | 414,915 | 20.7 | 2,008,234 | 100.0 |
| 群馬県 | 1,890,564 | 76.4 | 567,091 | 22.9 | 583,738 | 23.6 | 2,474,302 | 100.0 |
| 埼玉県 | 5,172,785 | 77.5 | 1,631,565 | 24.5 | 1,498,876 | 22.5 | 6,671,661 | 100.0 |
| 千葉県 | 3,647,179 | 76.7 | 1,203,626 | 25.3 | 1,105,738 | 23.3 | 4,752,916 | 100.0 |
| 東京都 | 35,261,530 | 34.4 | 6,770,447 | 6.6 | 67,255,279 | 65.6 | 102,516,809 | 100.0 |
| 神奈川県 | 7,360,805 | 66.4 | 2,221,838 | 20.1 | 3,718,995 | 33.6 | 11,079,800 | 100.0 |
| 新潟県 | 2,137,288 | 79.8 | 603,319 | 22.5 | 541,188 | 20.2 | 2,678,476 | 100.0 |
| 富山県 | 1,214,847 | 76.4 | 365,681 | 23.0 | 374,849 | 23.6 | 1,589,696 | 100.0 |
| 石川県 | 1,231,956 | 78.2 | 350,738 | 22.3 | 342,572 | 21.8 | 1,574,529 | 100.0 |
| 福井県 | 945,064 | 83.8 | 278,710 | 24.7 | 183,230 | 16.2 | 1,128,294 | 100.0 |
| 山梨県 | 783,480 | 84.7 | 253,324 | 27.4 | 141,399 | 15.3 | 924,879 | 100.0 |
| 長野県 | 2,066,359 | 78.1 | 555,641 | 21.0 | 579,482 | 21.9 | 2,645,841 | 100.0 |
| 岐阜県 | 2,276,894 | 80.7 | 628,081 | 22.3 | 543,419 | 19.3 | 2,820,313 | 100.0 |
| 静岡県 | 3,857,910 | 74.5 | 1,094,326 | 21.1 | 1,319,738 | 25.5 | 5,177,648 | 100.0 |
| 愛知県 | 9,289,672 | 59.3 | 2,215,593 | 14.1 | 6,382,433 | 40.7 | 15,672,105 | 100.0 |
| 三重県 | 1,553,194 | 84.1 | 470,264 | 25.5 | 292,695 | 15.9 | 1,845,890 | 100.0 |
| 滋賀県 | 1,120,438 | 82.6 | 324,713 | 23.9 | 235,409 | 17.4 | 1,355,847 | 100.0 |
| 京都府 | 2,452,751 | 49.6 | 700,885 | 14.2 | 2,491,336 | 50.4 | 4,944,087 | 100.0 |
| 大阪府 | 13,157,962 | 54.2 | 3,161,501 | 13.0 | 11,134,659 | 45.8 | 24,292,620 | 100.0 |
| 兵庫県 | 4,705,351 | 75.0 | 1,333,331 | 21.3 | 1,569,016 | 25.0 | 6,274,368 | 100.0 |
| 奈良県 | 752,534 | 91.4 | 261,115 | 31.7 | 70,450 | 8.6 | 822,984 | 100.0 |
| 和歌山県 | 787,988 | 89.6 | 262,933 | 29.9 | 91,797 | 10.4 | 879,785 | 100.0 |
| 鳥取県 | 452,002 | 94.8 | 125,089 | 26.2 | 24,575 | 5.2 | 476,577 | 100.0 |
| 島根県 | 524,176 | 81.2 | 162,681 | 25.2 | 121,648 | 18.8 | 645,823 | 100.0 |
| 岡山県 | 1,854,713 | 80.8 | 516,307 | 22.5 | 440,165 | 19.2 | 2,294,878 | 100.0 |
| 広島県 | 3,063,972 | 69.8 | 805,788 | 18.3 | 1,327,975 | 30.2 | 4,391,947 | 100.0 |
| 山口県 | 1,172,419 | 73.4 | 344,897 | 21.6 | 424,945 | 26.6 | 1,597,365 | 100.0 |
| 徳島県 | 574,829 | 82.4 | 183,834 | 26.3 | 123,173 | 17.6 | 698,003 | 100.0 |
| 香川県 | 1,044,033 | 78.4 | 276,784 | 20.8 | 287,302 | 21.6 | 1,331,335 | 100.0 |
| 愛媛県 | 1,222,819 | 80.6 | 347,286 | 22.9 | 294,788 | 19.4 | 1,517,607 | 100.0 |
| 高知県 | 549,302 | 88.3 | 186,272 | 29.9 | 72,704 | 11.7 | 622,006 | 100.0 |
| 福岡県 | 5,065,681 | 71.1 | 1,316,692 | 18.5 | 2,062,032 | 28.9 | 7,127,713 | 100.0 |
| 佐賀県 | 637,042 | 84.8 | 180,812 | 24.1 | 113,967 | 15.2 | 751,008 | 100.0 |
| 長崎県 | 922,106 | 92.2 | 309,334 | 30.9 | 77,707 | 7.8 | 999,812 | 100.0 |
| 熊本県 | 1,370,459 | 85.5 | 408,419 | 25.5 | 232,832 | 14.5 | 1,603,291 | 100.0 |
| 大分県 | 961,201 | 88.1 | 278,872 | 25.6 | 130,214 | 11.9 | 1,091,415 | 100.0 |
| 宮崎県 | 869,055 | 92.6 | 263,105 | 28.0 | 69,349 | 7.4 | 938,404 | 100.0 |
| 鹿児島県 | 1,206,182 | 85.9 | 399,588 | 28.5 | 197,265 | 14.1 | 1,403,447 | 100.0 |
| 沖縄県 | 1,021,817 | 86.4 | 303,767 | 25.7 | 160,499 | 13.6 | 1,182,316 | 100.0 |
| 合計 | 140,118,533 | 56.0 | 36,364,332 | 14.5 | 110,121,623 | 44.0 | 250,240,157 | 100.0 |
資料:総務省・経済産業省「令和3年経済センサスー活動調査」再編加工
(注)1. ここで付加価値額は、「純付加価値額」。2020年における1年間の実績。
2. 農林漁業を除く、非一次産業について集計。
3. 企業は、会社及び個人事業者を指す。会社は、法人格を有する団体のうち、株式会社、有限会社、相互会社、合名会社、合資会社、合同会社及び外国の会社を指す。個人事業者は、個人が事業を経営している場合(個人経営)を指す。
4. 企業の区分は、下記のとおり。(中小企業基本法(昭和38年法律第154号)及び中小企業関連立法における政令において中小企業者又は小規模企業者として扱われる企業の定義に基づき算出。)
(1) 中小企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:資本金3億円以下又は常用雇用者数300人以下
※ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金3億円以下又は常用雇用者数900人以下
イ 卸売業:資本金1億円以下又は常用雇用者数100人以下
ウ サービス業:資本金5千万円以下又は常用雇用者数100人以下
※ソフトウェア業、情報処理サービス業は、資本金3億円以下又は常用雇用者数300人以下
※旅館業は、資本金5千万円以下又は常用雇用者数200人以下
エ 小売業:資本金5千万円以下又は常用雇用者数50人以下
(2) 小規模企業
ア 製造業、建設業、運輸業その他の業種:常用雇用者数20人以下
イ 卸売業、小売業、サービス業:常用雇用者数5人以下
※宿泊業、娯楽業は、常用雇用者数20人以下
(3) 大企業
(1) 及び(2)に該当しない企業
10表
開廃業率の推移(民営、非一次産業)
| 年 | 75~78 | 78~81 | 81~86 | 86~91 | 91~96 | 96~99 | 99~01 | 01~04 | 04~06 | 09~12 | 12~14 | 14~16 | 16~21 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 調査間隔(月数) | 37 | 37 | 60 | 60 | 63 | 33 | 27 | 32 | 28 | 31 | 29 | 23 | 60 | |
|
企業
(会社+個人事業者) |
開業率 | 5.9 | 5.9 | 4.3 | 3.5 | 2.7 | 3.6 | 5.8 | 3.5 | 5.1 | 1.4 | 4.6 | 3.6 | 4.0 |
| 廃業率 | 3.5 | 3.8 | 4.0 | 4.0 | 3.2 | 5.6 | 6.8 | 6.1 | 6.2 | 6.1 | 6.1 | 7.1 | 5.3 | |
| 会社 | 開業率 | 5.0 | 5.4 | 4.4 | 4.5 | 3.0 | 3.8 | 6.1 | 3.6 | 5.6 | 1.2 | 5.6 | 3.1 | |
| 廃業率 | 0.8 | 1.0 | 2.0 | 1.0 | 1.6 | 5.3 | 6.4 | 5.5 | 5.5 | 5.6 | 5.7 | 7.1 | ||
| 個人事業者 | 開業率 | 6.2 | 6.0 | 4.3 | 3.2 | 2.6 | 3.5 | 5.6 | 3.5 | 4.8 | 1.6 | 3.9 | 3.9 | |
| 廃業率 | 4.1 | 4.5 | 4.6 | 4.9 | 3.9 | 5.7 | 7.1 | 6.4 | 6.6 | 6.5 | 6.4 | 7.1 | ||
資料:総務省「事業所・企業統計調査」、総務省「平成21年、26年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成24年、28年、令和3年経済センサス-活動調査」
- (注)1.「事業所・企業統計調査」は、1991年までは「事業所統計調査」、94年は「事業所名簿整備調査」として実施された。
- 2. 農林漁業を除く、非一次産業について集計。
- 3. 企業は、会社及び個人事業者を指す。会社は、法人格を有する団体のうち、株式会社、有限会社、相互会社、合名会社、合資会社、合同会社及び外国の会社を指す。個人事業者は、個人が事業を経営している場合(個人経営)を指す。
- 4. 開業率・廃業率の算出方法については、(参考) 2~3 を参照。
- 5. 「令和3年経済センサス-活動調査」では、「国税庁法人番号公表サイト」を活用し、過去の調査では捉えていない外観からの確認では把握が困難な事業所を加えた調査名簿を基に調査を行った。このため、従来の調査よりも幅広に事業所を捉えており、単純な比較ができないことから、2016~2021年の実績について、時系列比較を行う際は十分に留意が必要である。
- 6. 2006~2009年については、「事業所・企業統計調査」と「経済センサス」における「新設事業所」の定義が異なる等の理由から、他の年次と比較することが適さないため掲載していない。
(参考)
- 1. 99年調査は、「第1巻事業所に関する集計 全国編第7表」、01年調査は「事業所の異動及び事業転換に係る特別集計(2)11~13年の異動状況 全国集計第8表」、04年調査は、「第1巻事業所に関する集計 全国編第10表」、06年調査は、「全国集計 事業所に関する集計第46表」、12年調査は、「全国集計 事業所に関する集計-産業横断的集計第32表」、14年調査は、「事業所に関する集計 全国結果 第32表」、16年調査は、「事業所に関する集計 全国結果 第25表」、21年調査は、「事業所に関する調査 全国結果 第25-1表」より引用した。
- 2. ここで開業率とは、「①新設事業所(年平均)」の「②前回調査の事業所数(総数)」に対する割合とし、①÷②で算出している。①は新設事業所÷(調査間隔(月数)÷12)で算出している。廃業率も同様に、「③廃業事業所(年平均)」の「②前回調査の事業所数(総数)」に対する割合とし、③÷②で算出している。③は廃業事業所÷(調査間隔(月数)÷12)で算出している。
- 3. 「会社」を算定する上での事業所数は、単独事業所及び本所・本社・本店の合計とし、支所・支社・支店は除いている。「個人事業者」を算定する上での事業所数は、単独事業所、本所・本社・本店及び支所・支社・支店の合計としている。
11表
業種別の開廃業率の推移(民営、非一次産業、事業所ベース)
| 年 | 75~78 | 78~81 | 81~86 | 86~89 | 89~91 | 91~94 | 94~96 | 96~99 | 99~01 | 01~04 | 04~06 | 09~12 | 12~14 | 14~16 | 16~21 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 調査間隔(月数) | 37 | 37 | 60 | 36 | 24 | 34 | 29 | 33 | 27 | 32 | 28 | 31 | 29 | 23 | 60 | |
| 非一次産業全体 | 開業率 | 6.2 | 6.1 | 4.7 | 4.2 | 4.1 | 4.6 | 3.7 | 4.1 | 6.7 | 4.2 | 6.4 | 1.9 | 6.5 | 5.0 | 4.7 |
| 廃業率 | 3.4 | 3.8 | 4.0 | 3.6 | 4.7 | 4.7 | 3.8 | 5.9 | 7.2 | 6.4 | 6.5 | 6.3 | 6.6 | 7.6 | 5.5 | |
| 製造業 | 開業率 | 3.4 | 3.7 | 3.1 | 3.1 | 2.8 | 3.1 | 1.5 | 1.9 | 3.9 | 2.2 | 3.4 | 0.7 | 3.4 | 2.4 | 2.7 |
| 廃業率 | 2.3 | 2.5 | 3.1 | 2.9 | 4.0 | 4.5 | 4.0 | 5.3 | 6.6 | 5.7 | 5.4 | 5.7 | 5.5 | 6.2 | 4.4 | |
| 卸売業 | 開業率 | 6.8 | 6.4 | 5.1 | 4.8 | 3.2 | 5.0 | 3.3 | 4.9 | 6.6 | 3.9 | 5.6 | 1.3 | 6.2 | 4.4 | 4.3 |
| 廃業率 | 3.7 | 3.8 | 3.7 | 4.1 | 3.2 | 5.0 | 5.3 | 7.4 | 7.5 | 7.0 | 6.4 | 5.9 | 6.8 | 7.1 | 5.2 | |
| 小売業 | 開業率 | 4.8 | 4.4 | 3.4 | 3.1 | 2.8 | 3.9 | 3.6 | 4.3 | 6.1 | 3.9 | 5.7 | 2.2 | 6.4 | 5.5 | 3.8 |
| 廃業率 | 3.2 | 4.0 | 4.0 | 3.4 | 6.4 | 4.3 | 4.6 | 6.8 | 7.2 | 6.7 | 6.8 | 6.6 | 7.7 | 8.3 | 6.2 | |
| サービス業 | 開業率 | 6.1 | 6.4 | 5.3 | 4.9 | 4.7 | 5.0 | 3.8 | 4.2 | 7.3 | 4.4 | 6.4 | 1.7 | 6.5 | 4.5 | 5.8 |
| 廃業率 | 3.3 | 3.1 | 3.2 | 3.6 | 2.9 | 4.2 | 2.8 | 4.8 | 6.3 | 5.5 | 5.9 | 5.9 | 5.4 | 6.8 | 4.5 | |
資料:総務省「事業所・企業統計調査」、総務省「平成21年、26年、令和3年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成24年、28年、令和3年経済センサス-活動調査」
- (注)1.「事業所・企業統計調査」は、1991年までは「事業所統計調査」、94年は「事業所名簿整備調査」として実施された。
- 2. 農林漁業を除く、非一次産業について集計。
- 3. 開業率・廃業率の算出方法については、(参考)2~3を参照。
- 4. 「令和3年経済センサス-活動調査」では、「国税庁法人番号公表サイト」を活用し、過去の調査では捉えていない外観からの確認では把握が困難な事業所を加えた調査名簿を基に調査を行った。このため、従来の調査よりも幅広に事業所を捉えており、単純な比較ができないことから、2016~2021年の実績について、時系列比較を行う際は十分に留意が必要である。
- 5. 2006~2009年については、「事業所・企業統計調査」と「経済センサス」における「新設事業所」の定義が異なる等の理由から、他の年次と比較することが適さないため掲載していない。
(参考)
- 1. 99年調査は、「第1巻事業所に関する集計 全国編第7表」、01年調査は「事業所の異動及び事業転換に係る特別集計(2)11~13年の異動状況 全国集計第8表」、04年調査は、「第1巻事業所に関する集計 全国編第10表」、06年調査は、「全国集計 事業所に関する集計第46表」、12年調査は、「全国集計 事業所に関する集計-産業横断的集計第32表」、14年調査は、「事業所に関する集計 全国結果 第32表」、16年調査は、「事業所に関する集計 全国結果 第25表」、21年調査は、「事業所に関する調査 全国結果 第25-1表」より引用した。
- 2. ここでの開業率とは、「①新設事業所(年平均)」の「②前回調査の事業所数(総数)」に対する割合とし、①÷②で算出している。①は新設事業所÷(調査間隔(月数)÷12)で算出している。廃業率も同様に、「③廃業事業所(年平均)」の「②前回調査の事業所数(総数)」に対する割合とし、③÷②で算出している。③は廃業事業所÷(調査間隔(月数)÷12)で算出している。
- 3. 「事業所」を算定する上での事業所数は、単独事業所、本所・本社・本店及び支所・支社・支店の合計としている。
12表
有雇用事業所数による開廃業率の推移
(単位:%)
| 年度 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | 88 | 89 | 90 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 開業率 | 7.2 | 6.4 | 6.1 | 5.9 | 5.8 | 6.0 | 6.8 | 7.4 | 6.7 | 6.3 |
| 廃業率 | 3.7 | 5.8 | 4.3 | 4.2 | 4.2 | 4.1 | 3.7 | 3.4 | 3.2 | 3.0 |
| 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 | 98 | 99 | 00 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 5.8 | 5.1 | 4.6 | 4.8 | 4.6 | 4.7 | 4.2 | 3.9 | 4.4 | 4.9 |
| 3.3 | 3.3 | 3.4 | 3.4 | 3.6 | 2.5 | 2.8 | 3.1 | 4.0 | 4.0 |
| 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4.4 | 4.1 | 4.0 | 4.1 | 4.4 | 4.8 | 5.0 | 4.2 | 4.7 | 4.5 |
| 4.4 | 4.6 | 4.8 | 4.5 | 4.4 | 4.3 | 4.4 | 4.5 | 4.7 | 4.1 |
| 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4.5 | 4.6 | 4.8 | 4.9 | 5.2 | 5.6 | 5.6 | 4.4 | 4.2 | 5.1 |
| 3.9 | 3.8 | 4.0 | 3.7 | 3.8 | 3.5 | 3.5 | 3.5 | 3.4 | 3.3 |
| 21 | 22 | 23 |
|---|---|---|
| 4.4 | 3.9 | 3.9 |
| 3.1 | 3.3 | 3.9 |
資料:厚生労働省「雇用保険事業年報」より中小企業庁作成
-
(注) 1. 開業率=当該年度の保険関係新規成立事業所数/前年度末の適用事業所数×100
2. 廃業率=当該年度の保険関係消滅事業所数/前年度末の適用事業所数×100
3. 適用事業所数とは、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定により雇用保険に係る労働保険の保険関係が成立している事業の事業所数をいう(雇用保険法第5条)。
4. 事業所における保険関係の成立、消滅をそれぞれ開廃業とみなしているため、企業単位での開廃業を確認できない点、雇用者が存在しない事業者の開廃業の実態は把握できない点に留意が必要。
13表
会社の設立登記数及び会社開廃業率の推移
| 年 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 設立登記数(件) | 77,323 | 51,391 | 54,216 | 53,452 | 57,270 | 62,143 | 65,155 | 63,402 | 71,483 | 72,926 | 71,145 |
| 会社開業率(%) | 19.6 | 12.5 | 12.4 | 12.2 | 12.0 | 12.4 | 12.1 | 11.0 | 11.5 | 11.1 | 10.1 |
| 会社廃業率(%) | 15.2 | 6.1 | 12.7 | 3.0 | 6.6 | 5.1 | 4.9 | 3.9 | 5.4 | 3.4 | 4.4 |
| 66 | 67 | 68 | 69 | 70 | 71 | 72 | 73 | 74 | 75 | 76 | |
| 81,418 | 88,214 | 77,857 | 88,521 | 93,778 | 97,692 | 112,903 | 119,226 | 96,286 | 96,158 | 102,950 | |
| 10.9 | 11.1 | 9.3 | 9.9 | 10.0 | 10.0 | 10.7 | 10.6 | 8.0 | 7.5 | 7.7 | |
| 4.7 | 5.5 | 2.8 | 4.8 | 5.4 | 2.7 | 4.0 | 3.4 | 1.2 | 3.2 | 3.0 | |
| 77 | 78 | 79 | 80 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | |
| 100,845 | 93,799 | 103,972 | 100,802 | 96,071 | 93,293 | 95,879 | 104,061 | 105,941 | 105,133 | 117,475 | |
| 7.2 | 6.3 | 6.8 | 6.3 | 5.9 | 5.5 | 5.5 | 5.8 | 5.7 | 5.5 | 6.0 | |
| 1.6 | 2.9 | 2.5 | 3.7 | 2.5 | 2.9 | 2.5 | 1.7 | 4.1 | 3.0 | 3.5 | |
| 88 | 89 | 90 | 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 | 98 | |
| 140,520 | 165,718 | 176,058 | 172,105 | 107,459 | 97,603 | 92,522 | 92,885 | 103,723 | 92,610 | 82,502 | |
| 7.1 | 8.0 | 8.1 | 7.6 | 4.5 | 3.9 | 3.6 | 3.6 | 4.0 | 3.5 | 3.1 | |
| 3.5 | 3.1 | 3.4 | 1.7 | 1.0 | 1.6 | 1.9 | 2.1 | 2.3 | 4.6 | 2.0 | |
| 99 | 00 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | |
| 88,036 | 98,350 | 90,687 | 87,544 | 95,381 | 101,100 | 103,545 | 115,178 | 101,981 | 92,097 | 86,016 | |
| 3.3 | 3.6 | 3.3 | 3.2 | 3.4 | 3.7 | 3.7 | 4.1 | 3.6 | 3.2 | 3.0 | |
| 2.2 | 2.4 | 2.5 | 2.7 | 4.1 | 3.1 | 3.1 | 3.4 | 2.7 | 3.2 | 3.2 | |
| 10 | 10(※1) | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | |
| 87,916 | 89,664 | 91,942 | 96,659 | 106,644 | 111,238 | 114,343 | 118,811 | 116,208 | 118,532 | ||
| 3.4 | 3.1 | 3.5 | 3.6 | 3.8 | 4.2 | 4.3 | 4.4 | 4.5 | 4.4 | ||
| 4.2 | 3.8 | 3.7 | 3.5 | 3.5 | 3.5 | 3.4 | 3.3 | 3.3 | 3.7 | ||
| 20 | 21 | 22 | |||||||||
| 118,999 | 132,343 | 129,548 | |||||||||
| 4.4 | 4.8 | 4.6 | |||||||||
| 2.6 | 2.8 | 2.9 |
資料:法務省「民事・訟務・人権統計年報」、国税庁「国税庁統計年報書」より中小企業庁作成
(注)1. 会社開業率=設立登記数/前年の会社数×100
2. 会社廃業率=会社開業率-増加率
(=(前年の会社数+設立登記数-当該年の会社数)/前年の会社数×100)
3. 設立登記数については、1955 年から 1960 年までは「登記統計年報」、1961 年から 1971 年までは「登記・訟務・人権統計年報」、1972 年以降は「民事・訟務・人権統計年報」を用いた。
4. 設立登記数は、各暦年中の数値を指す。
5. 1963、1964 年の会社数は国税庁「会社標本調査」による推計値である。1967 年以降の会社数には協業組合も含む。
6. 2006 年以前の会社数は、その年の 2 月 1 日から翌年 1 月 31 日までに事業年度が終了した会社の数を指す。2007 年から 2009 年の会社数は、翌年 6 月 30 日現在における会社の数を指す。2010 年以降の会社数は、確定申告のあった事業年度数を法人単位に集約した件数を指す。なお、2010 年については、前年と連続した数値を表示するため、2009 年と同様の定義の会社数を分母とした開廃業率を併記した(※1)。
14表
金融機関別中小企業向け貸出残高
(単位:兆円)
| 金融機関 |
年
月 |
2019 | 2020 | 2021 | |||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 3 | 6 | 9 | 12 | 3 | 6 | 9 | 12 | 3 | 6 | 9 | 12 | ||
| 国内銀行銀行勘定 | 207.4 | 206.4 | 207.8 | 210.1 | 212.0 | 218.0 | 220.6 | 222.1 | 224.8 | 222.3 | 222.2 | 224.9 | |
| 国内銀行信託勘定 | 1.9 | 1.9 | 1.9 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 1.9 | 1.9 | 2.1 | 2.1 | 2.4 | 2.4 | |
| 信用金庫 | 46.2 | 45.7 | 46.3 | 46.8 | 46.8 | 49.3 | 51.7 | 52.6 | 52.8 | 52.8 | 53.1 | 53.3 | |
| 信用組合 | 11.5 | 11.5 | 11.6 | 11.7 | 11.9 | 12.1 | 12.4 | 12.5 | 12.6 | 12.7 | 12.8 | 12.9 | |
| 民間金融機関合計 | 267.0 | 265.5 | 267.6 | 270.6 | 272.7 | 281.4 | 286.6 | 289.1 | 292.2 | 289.9 | 290.4 | 293.5 | |
| 民間金融機関合計(信託勘定他を除く) | 265.1 | 263.6 | 265.7 | 268.6 | 270.7 | 279.4 | 284.7 | 287.2 | 290.2 | 287.7 | 288.1 | 291.1 | |
| (株)商工組合中央金庫 | 8.2 | 8.2 | 8.1 | 8.3 | 8.2 | 9.1 | 9.5 | 9.6 | 9.5 | 9.4 | 9.5 | 9.6 | |
| (株)日本政策金融公庫(中小企業事業) | 5.3 | 5.3 | 5.2 | 5.2 | 5.2 | 7.0 | 7.9 | 8.2 | 8.2 | 8.4 | 8.4 | 8.5 | |
| (株)日本政策金融公庫(国民生活事業) | 6.2 | 6.2 | 6.1 | 6.2 | 6.2 | 10.0 | 11.5 | 11.8 | 11.9 | 12.0 | 11.9 | 11.9 | |
| 政府系金融機関等合計 | 19.8 | 19.7 | 19.5 | 19.7 | 19.7 | 26.2 | 28.9 | 29.5 | 29.6 | 29.8 | 29.8 | 30.0 | |
| 中小企業向け総貸出残高 | 286.8 | 285.2 | 287.2 | 290.3 | 292.4 | 307.6 | 315.5 | 318.6 | 321.8 | 319.7 | 320.2 | 323.5 | |
| 中小企業向け総貸出残高(信託勘定他を除く) | 284.9 | 283.3 | 285.3 | 288.3 | 290.4 | 305.6 | 313.6 | 316.7 | 319.8 | 317.6 | 317.9 | 321.0 | |
| 金融機関 |
年
月 |
2022 | 2023 | 2024 | |||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 3 | 6 | 9 | 12 | 3 | 6 | 9 | 12 | 3 | 6 | 9 | 12 | ||
| 国内銀行銀行勘定 | 228.8 | 228.6 | 231.8 | 236.0 | 239.6 | 240.1 | 243.5 | 247.6 | 251.2 | 250.7 | 250.9 | 256.2 | |
| 国内銀行信託勘定 | 2.4 | 2.5 | 2.7 | 2.9 | 3.0 | 3.1 | 3.2 | 2.7 | 2.8 | 2.9 | 2.9 | 3.2 | |
| 信用金庫 | 53.2 | 52.9 | 53.6 | 54.0 | 54.1 | 53.7 | 54.4 | 54.6 | 54.4 | 54.1 | 54.7 | 55.1 | |
| 信用組合 | 13.0 | 13.0 | 13.2 | 13.4 | 13.5 | 13.5 | 13.7 | 13.9 | 14.0 | 14.1 | 14.2 | 14.4 | |
| 民間金融機関合計 | 297.3 | 297.0 | 301.3 | 306.3 | 310.0 | 310.4 | 314.8 | 318.8 | 322.3 | 321.8 | 322.8 | 328.9 | |
| 民間金融機関合計(信託勘定他を除く) | 294.9 | 294.5 | 298.6 | 303.4 | 307.1 | 307.3 | 311.6 | 316.1 | 319.6 | 318.9 | 319.8 | 325.7 | |
| (株)商工組合中央金庫 | 9.6 | 9.6 | 9.6 | 9.7 | 9.6 | 9.5 | 9.5 | 9.6 | 9.6 | 9.5 | 9.5 | 9.7 | |
| (株)日本政策金融公庫(中小企業事業) | 8.4 | 8.5 | 8.4 | 8.4 | 8.4 | 8.3 | 8.1 | 8.0 | 7.9 | 7.9 | 7.8 | 7.8 | |
| (株)日本政策金融公庫(国民生活事業) | 11.7 | 11.7 | 11.5 | 11.4 | 11.2 | 11.0 | 10.7 | 10.5 | 10.3 | 10.1 | 9.9 | 9.8 | |
| 政府系金融機関等合計 | 29.7 | 29.7 | 29.6 | 29.6 | 29.2 | 28.7 | 28.3 | 28.1 | 27.7 | 27.5 | 27.2 | 27.3 | |
| 中小企業向け総貸出残高 | 327.1 | 326.6 | 330.8 | 335.9 | 339.2 | 339.1 | 343.1 | 346.9 | 350.1 | 349.3 | 350.0 | 356.2 | |
| 中小企業向け総貸出残高(信託勘定他を除く) | 324.6 | 324.2 | 328.1 | 333.0 | 336.2 | 336.0 | 339.9 | 344.2 | 347.3 | 346.4 | 347.1 | 353.0 | |
資料:日本銀行「貸出先別貸出金」ほかより中小企業庁作成
- 1. 国内銀行銀行勘定、国内銀行信託勘定における中小企業向け貸出残高とは、資本金3億円(卸売業は1億円、小売業、飲食店、サービス業は5千万円)以下、又は常用従業員300人(卸売業、サービス業は100人、小売業、飲食店は50人)以下の企業(法人及び個人企業)への貸出を集計している。個人、海外円借款、国内店名義現地貸を除いている。
- 2. 信用金庫における中小企業向け貸出残高には、個人、地方公共団体、海外円借款、国内店名義現地貸を除いている。
- 3. 信用組合における中小企業向け貸出残高とは、個人、地方公共団体などを含む総貸出残高。
- 4. 各年のデータは翌年3月時点での資料による。数字は遡及して改定される可能性がある。
15表
中小企業(法人企業)の経営指標(2023年度)
| 産業 | 財務項目 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 自己資本当期純利益率 (ROE) | 売上高経常利益率 | 総資本回転率 | 自己資本比率 | 財務レバレッジ | 付加価値比率 | |
| 全業種 | 9.88 | 4.37 | 1.01 | 44.40 | 2.25 | 26.13 |
| 建設業 | 10.46 | 4.71 | 1.09 | 47.59 | 2.10 | 27.30 |
| 製造業 | 8.73 | 5.06 | 0.92 | 49.83 | 2.01 | 29.68 |
| 情報通信業 | 11.84 | 7.04 | 0.99 | 55.54 | 1.80 | 43.24 |
| 運輸業、郵便業 | 11.70 | 3.44 | 1.11 | 36.57 | 2.73 | 43.99 |
| 卸売業 | 9.93 | 2.72 | 1.61 | 43.54 | 2.30 | 10.88 |
| 小売業 | 10.49 | 2.53 | 1.59 | 36.03 | 2.78 | 19.42 |
| 不動産業、物品賃貸業 | 10.52 | 12.61 | 0.29 | 40.18 | 2.49 | 47.18 |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 7.90 | 10.30 | 0.53 | 65.59 | 1.53 | 50.24 |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 22.00 | 3.47 | 1.08 | 16.00 | 6.25 | 46.57 |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 8.02 | 3.13 | 1.07 | 34.55 | 2.90 | 27.47 |
| サービス業(他に分類されないもの) | 10.39 | 4.78 | 0.96 | 45.08 | 2.22 | 50.78 |
資料:中小企業庁「令和6年中小企業実態基本調査速報(令和5年度決算実績)」
(注)1. それぞれの財務項目の定義は、下記のとおり。
①自己資本当期純利益率 (ROE) = (当期純利益 ÷ 純資産) × 100
②売上高経常利益率 = (経常利益 ÷ 売上高) × 100
③総資本回転率 = 売上高 ÷ 総資本 (総資産)
④自己資本比率 = (純資産 ÷ 総資本 (総資産)) × 100
⑤財務レバレッジ = 総資本 (総資産) ÷ 純資産
⑥付加価値比率 = (付加価値額 ÷ 売上高) × 100
※付加価値額 = (売上原価のうち労務費、動産・不動産賃借料、減価償却費) + (販売費及び一般管理費のうち人件費、動産・不動産賃借料、減価償却費、租税公課) + (営業外費用のうち支払利息・割引料) + 経常利益 + 能力開発費 (従業員教育費)
2. 本調査結果は、日本標準産業分類(大分類)のうち、建設業、製造業、情報通信業、運輸業、郵便業(一部業種を除く)、卸売業、小売業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業(一部業種を除く)、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、サービス業(他に分類されないもの)(一部業種を除く)に属する企業(個人企業を含む)に対して実施した調査を基に、推計した結果である。
図表索引
図表索引
第1部第1章
| 第1-1-1図 | 実質GDP成長率の推移 | I-2 |
| 第1-1-2図 | 鉱工業生産指数の推移 | I-3 |
| 第1-1-3図 | 第3次産業活動指数の推移 | I-4 |
| 第1-1-4図 | 商業販売額指数の推移 | I-5 |
| 第1-1-5図 | 輸出数量指数の推移(国・地域別) | I-6 |
| 第1-1-6図 | 輸入数量指数の推移(国・地域別) | I-7 |
| 第1-1-7図 | 業況判断DIの推移(企業規模別) | I-8 |
| 第1-1-8図 | 業況判断DIの推移(業種別) | I-9 |
| 第1-1-9図 | 売上高・経常利益の推移(企業規模別) | I-10 |
| 第1-1-10図 | 中小企業における経常利益の推移(業種別) | I-11 |
| 第1-1-11図 | 売上高・経常利益の推移(企業規模別、小規模企業を含む) | I-12 |
| 第1-1-12図 | 貸出残高の推移(企業規模別) | I-13 |
| 第1-1-13図 | 借入金金利水準判断DI(企業規模別)、基準金利の推移 | I-14 |
| 第1-1-14図 | 借入金依存度(企業規模別・業種別) | I-15 |
| 第1-1-15図 | 有利子資産利子率・有利子負債利子率(企業規模別) | I-16 |
| 第1-1-16図 | 国内企業物価指数、消費者物価指数、輸入物価指数、ドル円相場の推移 | I-28 |
| 第1-1-17図 | 輸出入比率(従業者規模別) | I-28 |
| 第1-1-18図 | 直接輸出・直接投資企業割合の推移(企業規模別) | I-29 |
| 第1-1-19図 | 最終需要・中間需要物価指数の推移 | I-34 |
| 第1-1-20図 | 民間最終消費支出、消費者態度指数の推移 | I-35 |
| 第1-1-21図 | 最も重視する経営課題(企業規模別) | I-46 |
| 第1-1-22図 | 従業員数過不足DIの推移(企業規模別) | I-47 |
| 第1-1-23図 | 従業員数過不足DIの推移(業種別) | I-48 |
| 第1-1-24図 | 完全失業率・完全失業者数・就業者数の推移 | I-49 |
| 第1-1-25図 | 有効求人倍率・有効求職者数・有効求人数の推移 | I-50 |
| 第1-1-26図 | 雇用者数の増減の推移(前年比、産業別) | I-51 |
| 第1-1-27図 | 雇用者数の増減の推移(前年比、年齢階級・性・雇用形態別) | I-52 |
| 第1-1-28図 | 雇用者数の増減の推移(前年比、従業員規模別) | I-53 |
| 第1-1-29図 | 中小企業における産業間の労働移動の状況(労働者数、2020~2023年) | I-54 |
| 第1-1-30図 | 中小企業における産業間の労働移動の状況(前職の産業の割合、2020~2023年) | I-55 |
| 第1-1-31図 | 労働生産性の推移(企業規模別) | I-56 |
| 第1-1-32図 | 中小企業における労働生産性の推移(業種別) | I-57 |
| 第1-1-33図 | 労働生産性の水準ごとの企業割合の累積分布(業種別・企業規模別) | I-58 |
| 第1-1-34図 | 生産・営業用設備判断DIの推移(企業規模別、業種別) | I-59 |
| 第1-1-35図 | 設備投資額の推移(企業規模別) | I-60 |
| 第1-1-36図 | 中小企業の設備投資計画 | I-61 |
| 第1-1-37図 | ソフトウェア投資比率の推移(企業規模別) | I-62 |
| 第1-1-38図 | ソフトウェア装備率の分布(企業規模別) | I-63 |
| 第1-1-39図 | 現預金残高及び借入金等の推移(企業規模別) | I-64 |
| 第1-1-40図 | 貯蓄投資差額の推移(企業規模別) | I-65 |
| 第1-1-41図 | デジタル化の取組段階 | I-68 |
| 第1-1-42図 | デジタル化の取組内容(デジタル化の取組段階別) | I-69 |
| 第1-1-43図 | デジタル化の取組の効果(デジタル化の取組段階別) | I-70 |
| 第1-1-44図 | DXに向けてこれから取り組もうとしていること(デジタル化の取組段階別) | I-71 |
| 第1-1-45図 | DXに向けた取組を進めるに当たっての問題点(デジタル化の取組段階別) | I-72 |
| 第1-1-46図 | デジタル化に関する支援状況 | I-73 |
| 第1-1-47図 | 売上単価DI、原材料・商品仕入単価DI、採算DIの推移 | I-80 |
| 第1-1-48図 | 価格交渉の状況 | I-81 |
| 第1-1-49図 | 各コストの変動に対する価格転嫁率の推移 | I-82 |
| 第1-1-50図 | 価格転嫁率の状況(受注側企業の取引段階別) | I-83 |
| 第1-1-51図 | 最低賃金の推移 | I-97 |
| 第1-1-52図 | 春季労使交渉による賃上げ率の推移 | I-98 |
| 第1-1-53図 | 所定内給与額の推移(常用労働者規模別) | I-99 |
| 第1-1-54図 | 時間当たり所定内給与額の分布(企業規模別、常用労働者・2023年) | I-100 |
| 第1-1-55図 | 付加価値額の構成要素(企業規模別) | I-101 |
| 第1-1-56図 | 労働分配率の推移(企業規模別) | I-102 |
| 第1-1-57図 | 中小企業・小規模事業者における賃上げの実施状況 | I-103 |
| 第1-1-58図 | 消費者物価指数・賃金指数・消費者態度指数の推移 | I-104 |
| 第1-1-59図 | 開業率・廃業率の推移 | I-106 |
| 第1-1-60図 | 倒産件数の推移 | I-107 |
| 第1-1-61図 | 倒産件数の推移(内訳) | I-108 |
| 第1-1-62図 | 休廃業・解散件数の推移 | I-109 |
| 第1-1-63図 | 休廃業・解散企業数の企業規模別構成比の推移 | I-110 |
| 第1-1-64図 | 休廃業・解散企業の損益別構成比の推移 | I-111 |
| 第1-1-65図 | 休廃業・解散企業の損益別構成比の推移(企業規模別) | I-112 |
| 第1-1-66図 | 休廃業・解散企業の経営者年齢の推移 | I-113 |
| 第1-1-67図 | 中小企業における後継者不在率の推移(経営者の年代別) | I-114 |
| 第1-1-68図 | 中小企業における経営者年齢の分布 | I-115 |
| 第1-1-69図 | 事業承継の意向(企業形態別) | I-116 |
| 第1部第2章 | ||
| 第1-2-1図 | 脱炭素化の取組段階(企業規模別) | I-129 |
| 第1-2-2図 | 脱炭素化に向けた協力要請状況(業種別) | I-130 |
| 第1-2-3図 | 脱炭素化に向けた協力要請の内容 | I-131 |
| 第1-2-4図 | GXの取組を進めるに当たっての問題点(脱炭素化の取組段階別) | I-132 |
| 第1-2-5図 | GXに関する相談件数の変化 | I-133 |
| 第1-2-6図 | GXに関する相談において、最も件数が多い相談内容 | I-134 |
| 第1-2-7図 | サーキュラーエコノミーの認知・取組状況(企業規模別) | I-139 |
| 第1-2-8図 | サーキュラーエコノミーの実現に向けた取組内容 | I-140 |
| 第1-2-9図 | サーキュラーエコノミーの実現に向けた取組を通して、期待する効果 | I-141 |
| 第1-2-10図 | サーキュラーエコノミーの実現に向けた取組を進めるに当たっての問題点 | I-142 |
| 第1-2-11図 | 経済安全保障に関する要請内容 | I-144 |
| 第1-2-12図 | 経済安全保障関連の要請や規制の強化を背景に、自ら積極的に行っている対応 | I-145 |
| 第1-2-13図 | 人権尊重に関する取組の要請有無 | I-146 |
| 第1-2-14図 | 企業活動における人権尊重の重要性に関する認識(企業規模別) | I-147 |
| 第1-2-15図 | 人権方針の策定状況(企業規模別) | I-148 |
| 第1-2-16図 | 人権デュー・ディリジェンスの実施状況(企業規模別) | I-149 |
| 第1-2-17図 | BCP策定率の推移(企業規模別) | I-152 |
| 第1-2-18図 | BCP策定率(地域別) | I-153 |
| 第1-2-19図 | 事業中断リスクに備えた実施・検討内容(企業規模別) | I-154 |
| 第1-2-20図 | BCPを策定していない理由(企業規模別) | I-155 |
第2部第1章
| 第2-1-1図 | 製品・商品・サービスで最も重視する差別化要素 | II-3 |
| 第2-1-2図 | 製品・商品・サービスで最も重視する差別化要素(業種別) | II-4 |
| 第2-1-3図 | 経営戦略策定や新規事業の検討で最も重視する外部環境 | II-5 |
| 第2-1-4図 | 経営戦略策定や新規事業の検討で最も重視する外部環境(業種別) | II-6 |
| 第2-1-5図 |
売上高、経常利益の変化率
(差別化への意識・市場環境への意識の有無別、中央値) |
II-7 |
| 第2-1-6図 | 価格転嫁の状況(差別化への意識・市場環境への意識の有無別) | II-8 |
| 第2-1-7図 | 経営計画の策定状況 | II-10 |
| 第2-1-8図 | 経営計画の計画期間 | II-10 |
| 第2-1-9図 | 経営計画の策定目的 | II-11 |
| 第2-1-10図 | 経営計画の策定状況(経営人材の有無別) | II-12 |
| 第2-1-11図 | 経営計画を策定しない理由 | II-13 |
| 第2-1-12図 | 経営計画の運用状況 | II-14 |
| 第2-1-13図 | 経営計画の運用に取り組んでいる割合(経営人材の有無別) | II-15 |
| 第2-1-14図 | 経営計画策定で実現できたこと | II-16 |
| 第2-1-15図 | 売上高、付加価値額の変化率(経営計画の策定状況別、中央値) | II-17 |
| 第2-1-16図 | 売上高、付加価値額の変化率(経営計画の計画期間別、中央値) | II-18 |
| 第2-1-17図 | 経営計画の評価(経営計画の運用状況別) | II-19 |
| 第2-1-18図 | 組織運営の透明化への取組状況 | II-24 |
| 第2-1-19図 | 組織運営の透明化への取組状況(従業員規模別) | II-25 |
| 第2-1-20図 | 従業員の定着状況(組織運営の透明化への取組状況別) | II-26 |
| 第2-1-21図 | 売上高の変化率(従業員への経営理念・ビジョンの共有への取組状況別、中央値) | II-27 |
| 第2-1-22図 | 付加価値額の変化率(組織運営の透明化への取組状況別、中央値) | II-28 |
| 第2-1-23図 | 経営管理の透明化への取組状況 | II-31 |
| 第2-1-24図 | 財務諸表分析・管理会計などを通じた財務戦略 | II-32 |
| 第2-1-25図 | 価格転嫁の状況(製品・商品・サービスの原価構成・利益の把握への取組状況別) | II-33 |
| 第2-1-26図 | 経常利益の変化率(業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理への取組状況別、中央値) | II-34 |
| 第2-1-27図 | 社外に対する経営の開放性への取組状況 | II-36 |
| 第2-1-28図 | 社外への経営課題の共有・相談への取組状況(経営者の年代別) | II-37 |
| 第2-1-29図 | 経常利益の変化率(社外への経営課題の共有・相談への取組状況別、中央値) | II-38 |
| 第2-1-30図 | 企業類型図 | II-39 |
| 第2-1-31図 | 企業類型の構成割合 | II-39 |
| 第2-1-32図 | 企業類型の構成割合(売上高規模別) | II-40 |
| 第2-1-33図 | ガバナンス体制構築への取組状況(企業類型別) | II-41 |
| 第2-1-34図 | 経営の透明性への取組状況(ガバナンス体制別) | II-42 |
| 第2-1-35図 | 同族企業の財務戦略(取締役会・社外取締役の有無別) | II-43 |
| 第2-1-36図 | 経営計画の策定状況(企業類型別) | II-44 |
| 第2-1-37図 | 組織運営の透明性への取組状況(企業類型別) | II-45 |
| 第2-1-38図 | 経営判断におけるステークホルダーの重視度合い(企業類型別) | II-46 |
| 第2-1-39図 | 経営方針として重視するもの(企業類型別) | II-47 |
| 第2-1-40図 | 経営計画の計画期間(企業類型別) | II-48 |
| 第2-1-41図 | 人材の過不足状況 | II-51 |
| 第2-1-42図 | 人材の過不足状況(従業員規模別) | II-52 |
| 第2-1-43図 | 不足している職種(企業規模別) | II-53 |
| 第2-1-44図 | 従業員の定着状況(人材の不足状況別) | II-54 |
| 第2-1-45図 | 従業員の定着状況(賃上げの実施状況別) | II-55 |
| 第2-1-46図 | 労働分配率の変化率(従業員数の増加状況別、中央値) | II-56 |
| 第2-1-47図 | 5年前と比較した採用コストの変化(従業員規模別) | II-57 |
| 第2-1-48図 | 採用実績の状況(採用の主な担当者別、従業員規模別) | II-58 |
| 第2-1-49図 | 採用実績の状況(イノベーション活動への取組姿勢別、従業員規模別) | II-59 |
| 第2-1-50図 | 外国人労働者数と就業者数全体に占める割合の推移 | II-60 |
| 第2-1-51図 | 外国人労働者数の推移(在留資格別) | II-61 |
| 第2-1-52図 | 副業がある者の数及び追加就業希望者数の推移 | II-62 |
| 第2-1-53図 | 副業・兼業人材の活用状況 | II-63 |
| 第2-1-54図 | 5年前と比べた人材育成への取組状況(従業員規模別) | II-64 |
| 第2-1-55図 | 従業員の定着状況(5年前と比べた人材育成の取組状況別) | II-65 |
| 第2-1-56図 | 売上高、付加価値額の変化率(5年前と比べた人材育成の取組状況別、中央値) | II-66 |
| 第2-1-57図 | 人材育成の問題点 | II-67 |
| 第2-1-58図 | 人事評価制度の有無(従業員規模別) | II-68 |
| 第2-1-59図 | 従業員の定着状況(人事評価制度の有無別、従業員規模別) | II-69 |
| 第2-1-60図 | 人事評価制度を設けていない理由(従業員規模別) | II-70 |
| 第2-1-61図 | 人材確保に効果があった働き方改善の取組(従業員数の増加状況別) | II-71 |
| 第2-1-62図 | 従業員の定着状況(社内コミュニケーションの円滑度合い別) | II-72 |
| 第2-1-63図 | 円滑な社内コミュニケーションによる効果 | II-73 |
| 第2-1-64図 | 労働生産性の変化率(社内コミュニケーションの円滑度合い別、中央値) | II-74 |
| 第2-1-65図 |
社内コミュニケーションが円滑でない関係性
(社内コミュニケーションが円滑でない事業者) |
II-75 |
| 第2-1-66図 | 経営者のリスクリングへの取組状況 | II-80 |
| 第2-1-67図 | 経営者のリスクリングへの取組状況(経営者の年代別) | II-81 |
| 第2-1-68図 | 経営者のリスクリングへの取組状況(経営方針別) | II-82 |
| 第2-1-69図 | 経営者がリスクリングにより獲得したいスキル | II-83 |
| 第2-1-70図 | 経営者のリスクリングの取組内容 | II-84 |
| 第2-1-71図 | 経営者がリスクリングに取り組まない理由 | II-85 |
| 第2-1-72図 | 売上高、付加価値額の変化率(経営者のリスクリングへの取組状況別、中央値) | II-86 |
| 第2-1-73図 | 5年前と比べた人材育成への取組状況(経営者のリスクリングへの取組状況別) | II-87 |
| 第2-1-74図 | 経営者ネットワークへの参加状況(企業規模別) | II-92 |
| 第2-1-75図 | 経営者ネットワークの属性分類図 | II-93 |
| 第2-1-76図 | 経営者ネットワークの属性の構成割合 | II-93 |
| 第2-1-77図 | 経営者ネットワークへの参加経緯(経営者ネットワークの属性別) | II-94 |
| 第2-1-78図 | 経営者ネットワークへの参加で最も得られた効果(経営者ネットワークの属性別) | II-95 |
| 第2-1-79図 | 経営者のリスクリングへの取組状況(経営者ネットワークの属性別) | II-96 |
| 第2-1-80図 | 売上高の変化率(経営者ネットワークの参加状況・属性別、中央値) | II-97 |
| 第2-1-81図 | 後継者の選定状況(経営者の年代別) | II-100 |
| 第2-1-82図 | 後継者の選定状況(売上高規模別) | II-101 |
| 第2-1-83図 | 後継者の選定状況(企業類型別) | II-102 |
| 第2-1-84図 | 後継者の属性分類図 | II-103 |
| 第2-1-85図 | 後継者の属性(企業類型別) | II-103 |
| 第2-1-86図 | 事業承継後に効果のあった取組(40歳代以下の経営者) | II-104 |
第2部第2章
| 第2-2-1図 | 従業者一人当たり人件費(スケール別) | II-109 |
| 第2-2-2図 | 賃上げ率(2024年における正社員一人当たりの平均賃金、スケール別) | II-110 |
| 第2-2-3図 | 域内仕入高・域内仕入率(スケール別) | II-111 |
| 第2-2-4図 | 輸出の実施状況(スケール別) | II-112 |
| 第2-2-5図 | 1社当たり直接輸出額(スケール別) | II-113 |
| 第2-2-6図 | スケール別の企業数 | II-127 |
| 第2-2-7図 | スケールの変動(例) | II-128 |
| 第2-2-8図 | スケールの変動状況 | II-128 |
| 第2-2-9図 | スケールの変動状況(2013年度におけるスケール別) | II-129 |
| 第2-2-10図 | スケールの変動状況(業種別) | II-130 |
| 第2-2-11図 | 従業者数の推移(スケール変動状況別) | II-131 |
| 第2-2-12図 | 従業者一人当たり売上高平均値の推移(スケール変動状況別) | II-132 |
| 第2-2-13図 | 有形固定資産の推移(スケール変動状況別)..... | II-133 |
| 第2-2-14図 | 資本装備率の推移(スケール変動状況別)..... | II-134 |
| 第2-2-15図 | 有形固定資産回転率の推移(スケール変動状況別)..... | II-135 |
| 第2-2-16図 | 売上高の推移(設備投資の実施有無別)..... | II-136 |
| 第2-2-17図 | 売上高営業利益率の推移(スケール変動状況別)..... | II-137 |
| 第2-2-18図 | 独力で対応していくことが難しい経営課題(スケール別)..... | II-138 |
| 第2-2-19図 | 企業規模を拡大するに当たって、重要と考える組織・人材戦略(スケール別)..... | II-139 |
| 第2-2-20図 | スケール変動状況(人材育成の取組の増減別)..... | II-140 |
| 第2-2-21図 | スケール変動状況(人材育成の取組の増減別、スケール別)..... | II-141 |
| 第2-2-22図 | 経営人材の有無及び人数(スケール別)..... | II-142 |
| 第2-2-23図 | 経営判断において、重視する利害関係者(スケール別)..... | II-144 |
| 第2-2-24図 | ガバナンス体制(スケール別)..... | II-145 |
| 第2-2-25図 | 従業員への経営理念・ビジョンの共有の取組状況(スケール別)..... | II-146 |
| 第2-2-26図 | スケール変動状況(従業員への経営理念・ビジョンの共有の取組状況別)..... | II-147 |
| 第2-2-27図 | 業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理の取組状況(スケール別)..... | II-148 |
| 第2-2-28図 |
スケール変動状況
(業績やキャッシュフローを適時・適切に確認できる管理の取組状況別)..... |
II-149 |
| 第2-2-29図 | 意思決定プロセスの明確化に向けた取組状況(スケール別)..... | II-150 |
| 第2-2-30図 | スケール変動状況(意思決定プロセスの明確化に向けた取組状況別)..... | II-151 |
| 第2-2-31図 | 決算情報の社外開示の取組状況(スケール別)..... | II-152 |
| 第2-2-32図 | スケール変動状況(決算情報の社外開示の取組状況別)..... | II-153 |
| 第2-2-33図 | 経営計画の策定状況(スケール別)..... | II-154 |
| 第2-2-34図 | スケール変動状況(経営計画の策定状況別)..... | II-155 |
| 第2-2-35図 | 経営計画を策定したことによる効果(スケール別)..... | II-156 |
| 第2-2-36図 | 計画に対する実績の評価・計画の見直しの取組状況(スケール別)..... | II-157 |
| 第2-2-37図 | デジタル化の取組段階(スケール別)..... | II-158 |
| 第2-2-38図 | デジタル化の取組内容(スケール別)..... | II-159 |
| 第2-2-39図 | 支援機関の活用状況(スケール別)..... | II-160 |
| 第2-2-40図 | 2024年の売上高(支援機関の活用状況別、スケール別)..... | II-161 |
| 第2-2-41図 | 企業規模を拡大するに当たって、重要と考える投資戦略(スケール別)..... | II-164 |
| 第2-2-42図 | 売上高の推移(無形固定資産投資の実施有無別)..... | II-166 |
| 第2-2-43図 | 設備投資の実施状況(業種別)..... | II-167 |
| 第2-2-44図 | スケール変動状況(設備投資の実施状況別)..... | II-168 |
| 第2-2-45図 | 実施した設備投資の目的..... | II-169 |
| 第2-2-46図 | 実施した設備投資の目的(スケール変動状況別)..... | II-170 |
| 第2-2-47図 |
今後3年間程度における設備投資の実施予定・総投資予定額
(スケール変動状況別)..... |
II-171 |
| 第2-2-48図 | M&A件数の推移..... | II-172 |
| 第2-2-49図 | 事業承継・引継ぎ支援センターの相談社数・成約件数..... | II-173 |
| 第2-2-50図 | M&Aの実施状況(スケール別)..... | II-174 |
| 第2-2-51図 | 売上高の推移(M&Aの実施有無別) | II-175 |
| 第2-2-52図 | M&A実施企業の売上高の推移(スケール別) | II-176 |
| 第2-2-53図 | 経常利益の推移(M&Aの実施有無別) | II-177 |
| 第2-2-54図 | M&Aの実施状況(業種別) | II-178 |
| 第2-2-55図 | スケール変動状況(M&Aの実施状況別) | II-179 |
| 第2-2-56図 | M&Aの実施回数(スケール別) | II-180 |
| 第2-2-57図 | 買収先との関係性(スケール変動状況別) | II-181 |
| 第2-2-58図 | M&Aの目的(スケール変動状況別) | II-182 |
| 第2-2-59図 | 自社売却による効果 | II-183 |
| 第2-2-60図 | 資本提携による効果 | II-184 |
| 第2-2-61図 | 経常利益の変化率(自社売却、事業譲渡、資本提携の実施状況別、中央値) | II-185 |
| 第2-2-62図 | M&A実施時の課題 | II-187 |
| 第2-2-63図 | M&A実施に当たっての障壁 | II-188 |
| 第2-2-64図 | PMIの取組状況 | II-189 |
| 第2-2-65図 | 実施したM&Aの評価(PMIの取組状況別) | II-190 |
| 第2-2-66図 | 重点的に実施したPMIの取組 | II-191 |
| 第2-2-67図 | 重点的に実施したPMIの取組(実施したM&Aの評価別) | II-192 |
| 第2-2-68図 | PMIの主導者 | II-193 |
| 第2-2-69図 | 研究開発費の推移(企業規模別) | II-202 |
| 第2-2-70図 | 売上高比研究開発費の推移(企業規模別) | II-203 |
| 第2-2-71図 | 売上高の推移(研究開発投資の実施有無別) | II-204 |
| 第2-2-72図 | 研究開発投資実施企業の売上高の推移(スケール別) | II-205 |
| 第2-2-73図 | 経常利益の推移(研究開発投資の実施有無別) | II-206 |
| 第2-2-74図 | イノベーション活動の定義 | II-207 |
| 第2-2-75図 | プロダクト・イノベーションの取組状況(業種別) | II-208 |
| 第2-2-76図 | 市場新規プロダクト・イノベーションの実現状況 | II-209 |
| 第2-2-77図 | ビジネス・プロセス・イノベーションの取組状況(業種別) | II-210 |
| 第2-2-78図 | イノベーション活動の姿勢・取組状況 | II-211 |
| 第2-2-79図 | イノベーション活動の取組状況(スケール変動状況別) | II-212 |
| 第2-2-80図 | イノベーション活動における連携先 | II-213 |
| 第2-2-81図 | イノベーション活動における連携先(スケール別) | II-214 |
| 第2-2-82図 | 特許出願件数に占める中小企業割合(2023年) | II-219 |
| 第2-2-83図 | 中小企業の特許出願件数及び特許出願件数に占める中小企業割合 | II-220 |
| 第2-2-84図 | 所有する知的財産権の使用率 | II-221 |
| 第2-2-85図 | 特許権・実用新案権・意匠権の所有状況(スケール別) | II-222 |
| 第2-2-86図 |
特許権を所有する企業における、従業者一人当たりの特許権所有件数
(従業者規模別) |
II-223 |
| 第2-2-87図 | 輸出の実施状況(業種別) | II-230 |
| 第2-2-88図 | 売上高の推移(直接輸出の実施有無別) | II-232 |
| 第2-2-89図 | 直接輸出実施企業の売上高の推移(スケール別) | II-233 |
| 第2-2-90図 | 海外直接投資の実施状況(業種別)..... | II-234 |
| 第2-2-91図 |
中小企業における、海外直接投資先の推移
(海外現地法人の設立・資本参加年別)..... |
II-235 |
| 第2-2-92図 | スケール変動状況(海外直接投資の実施状況別)..... | II-236 |
| 第2-2-93図 | 海外直接投資の目的..... | II-237 |