「中小企業白書・小規模企業白書」の発刊に寄せて

はじめに、今般の米国による関税措置をはじめとした広範な貿易制限措置は、中小企業・小規模事業者の皆様を含め、日本経済に大きな影響を及ぼしかねないものであります。皆様のご懸念・ご不安を払しょくできるよう、中小企業・小規模事業者の皆様への適切な支援に万全を期してまいります。

さて、2024年は、実に33年ぶりとなる高水準の賃上げ、100兆円を超える設備投資など、日本の経済に明るい兆しが現れ始めた年であります。2025年の日本経済は、まさにこうした「潮目の変化」を継続させ、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」へ移行できるか否かの分岐点にあります。成長型経済への移行を確実なものとするためには、中小企業・小規模事業者の皆様の更なる成長・発展が極めて重要であり、政府としても大いに期待しているところです。

一方で、依然として中小企業・小規模事業者にとって厳しい環境が続いていることは事実です。円安・物価高の継続、金利の上昇、構造的な人手不足等、乗り越えなければならない課題は数多く存在します。しかし、こうした状況は、従来のやり方に固執しているだけでは打開することはできません。むしろこれを契機として、自社の状況と目指すべき方向性を改めて見つめ直し、思い切ったアクションを起こすことが必要です。コストカット戦略から脱却して付加価値向上を重視する戦略に転換する。そのために積極的な投資に着手する。こうした「攻め」の経営へのシフトに向けて適切な対策を打っていくことが期待されます。

今回の白書では、このような力を経営者の「経営力」と位置づけ、ここに焦点を当てて執筆しました。実際に思い切った改革を断行し、成長・発展を実現した企業の事例も多数掲載しています。この白書が、中小企業・小規模事業者はもちろん、地方公共団体や支援機関等の幅広い方々に発見をもたらすことを期待しています。政府としても引き続き、賃上げ原資の確保に向けたサプライチェーン全体での価格転嫁の定着や、「稼ぐ力」の向上に向けた生産性向上支援といった対策に全力で取り組んでまいります。

結びになりますが、中小企業・小規模事業者の皆様が、足下の課題を乗り越え、成長・発展を実現することを祈念して、私の挨拶とさせていただきます。

Portrait of Minister of Economy, Trade and Industry, Koichi Wakatsuki.
Portrait of Minister of Economy, Trade and Industry, Koichi Wakatsuki.

令和7年6月
経済産業大臣

武藤容治